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2012年11月エロパロ92: 【ドラマ】もう一度君にプロポーズ (316)
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【ドラマ】もう一度君にプロポーズ
- 1 :2012/06/07 〜 最終レス :2012/11/04
- 萌え要素いっぱい有ると思うんだけどな。
職人さんもそうでない人も募集!
- 2 :
- 今後の展開がすごく気になるドラマ
- 3 :
- ageてみる
- 4 :
- このスレ、最終回放送後の方が需要あるかな
- 5 :
- 需要はあるが供給がない・・・
- 6 :
- わー、まさかのスレあった!
本放送見ながら、抱いちゃえよー、身体が覚えてるよーと……思うよねw
夫婦だったんだもんなー
- 7 :
- その時は波留さん、めちゃくちゃ嬉しいだろうなぁ…
いい歳の2人なのにやたら初々しいことになりそうw
回想シーンでも、4月に出会って、9月のドライブデートの時はアレ、あの敬語の喋り方はまだプラトニックな関係だよね?
その4ヶ月後にプロポーズだから、波留さん関係もってすぐ結婚決めた感じかな。
素敵な男気だw
- 8 :
- 本編ではキスもあるかどうかだろうなあ
- 9 :
- 膝に乗ったり
肩抱いたり
ああいうところがもっと見たい
- 10 :
- 速攻で子供できてたな・・・w
- 11 :
- キスすらなかったw
その分、2度目の初夜を妄想するぞ
一般にドラマの最後で「◎年後」と見せるのは蛇足だと思う。
思うけど今回だけは嬉しかった
- 12 :
- 「波留!そのゴミ待ってー!!」
ゴミをまとめて、先に家を出た俺をパタパタと可南子が追いかけてくる。可愛い。
「どーしたの。月曜は燃えるゴミだろ?」
「そ、そうなんだけど」
「これ以上は入んないよー」
返して欲しそうなのは分かってたけど、袋を持った手を逆側に持ち上げてすぐには渡さない。
焦る様子がまた可愛いんだから観ていたいじゃないか。
「どうされました?」
聞きつけて大家さんがゴミチェックにやってくる。
「おはようございまーす」
「何でもありません、ちょっとダメな物が」
そんな筈ない、俺はきっちり分別したぞと口を開きかけたところで発見。そうか、
このシンプルな紙の箱がまずかったのか。
しかし時遅く
「あらあら、缶とか?出しといてあげますよ、お仕事に遅れるでしょ」
「いえ!私が!」
と大家サンと可南子の間で軽く取り合いになった衝撃で、ひしゃげていた箱の蓋が
開き、ゴミ袋の隙間へだらーっと中身がこぼれだす事になった。つながった正方形の
薄いビニールに、浮き出る丸い輪の……要するにコンドームが10個ほど。
あーあ。
「これ、周りのビニールは、資源ゴミですかね」
フォローのつもりで言ってみたけど、取り乱した大家さんはオロオロと消えてしまうし
真っ赤になった可南子には、はたかれた。
「…もうっ!波留ったら!」
可愛い。
使用済みじゃあるまいし、別にいいじゃないか。でも確かに、我が家が子づくりを
始めましたってバレたのかも。
終わり。(同居を再開した2人の、軽い日常でした〜w)
- 13 :
- カワイイw
- 14 :
- >>12GJです!
可南子さんを可愛くてしかたがない波留さん、
いいなあああああw
- 15 :
- 12です、GJありがとうございました
もっといちゃいちゃしたの読みたい……
その後の2人ももちろん気になりますが
最初のプロポーズとか
可南子処女なんじゃ?と手を出しかねたり、そうじゃなくてホッとしたりもやっとしたり
する波留とか、昔の2人もいろいろ想像しちゃいます
- 16 :
- >>12さん、遅くなりましたがGJ!です
いいですね〜付き合ってる時のアレコレも読んでみたいです
ここはエロ無しでも大丈夫でしょうか?
ちょっと書き始めたのですが、あまりに2人が爽やかで可愛くて、
波留さんには申し訳ないのですが今回はエロまでたどり着けそうにありません…
- 17 :
- >>16
大歓迎です
少なくとも自分はw
- 18 :
- >>17
ありがとうございます
とりあえず書き続けてみますが、時間がなく来週になりそうです
このスレが賑わってくれる事を祈りつつ、下手なりに頑張ってみます…
- 19 :
- >>18
是非是非!
- 20 :
- 『この手を、知っている』
波留との暮らしに戻って、3日目。
遠慮がちな抱擁や、軽いキスの繰り返しがそろそろもどかしくなっていた可南子は、
舌を絡ませる深い口づけを迎えてホッとしていた。
ああやっと、波留に抱かれるのだ。
2人きりのリビングに、息継ぎと唾液の水音が静かに満ちて行く。
そしてカットソーの下から潜り込んだ大きな手が、脇腹の素肌に触れた瞬間
「……!」
厚く固くささくれた肌の感触が、ありえない快感を呼んでドクドクと身体の中心が
溢れ出した。仕事で荒れた手を目で見てはいたけれど。
何?これは何?
衝撃で我が身が固くすくむのが分かる。ああでも…イキソウ。
「可南子?」
口づけの途中でうつむいた愛妻を、不審げに波留が覗き込んでくる。
「…大丈夫」
だから離さないで。
喘がずにちゃんと言えただろうか。膝から崩れ落ちそうで目の前のシャツにすがりつくと、
黙って抱きとめてくれた腕がひょいと私を持ち上げて、ソファに落とされる。
隣に座るのでなく、覆いかぶさってきた波留の口づけはうなじを這い、今度は髭の
柔らかい感触が気持ちよくて背筋にまで突き刺さるようだ。
- 21 :
-
事故の後、ずっと自慰でイケなかった。
記憶が乱れ体調も戻らず、将来が不安で不安でたまらない夜にせめて慰めでごまかせ
たらと指を使い息を乱してみても、そこは鋭敏になるばかりで絶頂は訪れなかった。
何かが違った。
カウンセラーにも、まして家族や『夫だという人』にも言えぬままだったことの答えが、
こんな簡単なことだったなんて。
この固い手で、この強い指で触れて欲しかったんだ、私は。
そんな可南子の想いは知らない波留は、鎖骨から胸乳に舌を落としながらも
長いスカートをたくし上げ、核心に迫ってくる。手のひらが内股を滑る度に
声がもれる。
そう、もっと、もっと来て。私に触って。
でも。
ほとんど自分からこすりつけそうに燃え上がりながら、可南子はふいに本当に触れられるのが
怖くなった。どうしよう。
こんなに濡れて。
まだほとんどキスだけ。ちょっと脚をなでただけでこんなになっている女なんて、
どう思われてしまうんだろう。
思わず身を捩って避けると、優しい夫は深追いをせずに起き上がった。
「ここじゃ、嫌かな」
違うのに。いっそもっと乱暴に性急に貫いてくれたらいいのに。そんな身勝手な
想いで曇った頭は、浮かんだ疑問をそのままつるんと口から出させてしまった。
「私たち……いつもはどんなふうに」
- 22 :
-
しまった、と顔をしかめた可南子に気付いたのかどうか。
ひと呼吸だけ動きを止めた波留は、それでも答えをくれた。
「いつも……ってコスプレかな。ナースとか。俺も白衣で」
「う」
「場所もベランダとかぁ? 鍵開けたまま玄関でってのもスリルがあって」
「うそ嘘嘘嘘ー」
「バレたか」
ははは、と笑う波留に安堵しながらも、やはり可南子は自らの不注意を呪った。いつも、
を問うなんて。抱いている女は別人だと言っているも同然なのに。どれだけこの人を
傷つけてしまうのだろう。
「……ごめんなさい。変なコト言って」
「いいよ、久しぶりなのは確かだし。ちょっと急ぎすぎた」
そんな。ここで止められたら気が変になってしまう。慌ててふるふると首を振る
可南子の真意は伝わっているのだか。
「正直、怖くてさ。俺のやり方が満足か分かんないし」
「私…」
「だから全っ然いつも通りじゃなく長めに前戯ってのするつもりが、もう
始める前からイキそうで高校生かよっていう」
自然に導かれた手の下では、波留の分身がパンツの固い生地を押し上げて脈打っていた。
「笑っちゃうよな」
「いえ、私。私もこんな…」
重ねられた波留の手をとっさにとり、乱れた裾の奥に押し当てる。
とても彼の顔は見られないままでいると、ちゅく…と音を立てて潤みに指が侵入する。
- 23 :
-
「あ…ん」
びしょびしょの下着を無理矢理ずらして、溢れる裂け目をなぞるように長い指がうごめく。
ぬめる指が何本で抜き差しされているのか、腰だけで感じている可南子にはもう
分からなかった。
「すごい、濡れてるよ可南子」
「恥ず…かし…い」
「どうして? 嬉しいし、きれいだ」
ここで、もう片方の手が膝の裏に差し入れられ、抱え上げられた。
「ひゃぅ…ん…!」
腿を大きく広げられて秘所に風があたったことよりも、波留の手に電気が走ったように
感じてしまう。
ああ、この手を私は知っている。
「挿れるぞ、その、生で」
波留の切羽詰まった声に、どう応えたのか記憶がないけれど。「きて」とか
「いれて」とか恥ずかしい事を言ったに決まっている。
熱い塊に満たされて激しく揺すられて気持ちよすぎて喘ぎ声が止まらなくて……。
泣きながらイッた頬に添えられた手は、かすかな機械油とせっけんの匂いがした。
私をこんなにも乱れさせる暖かい手。
"記憶がない"というと、げびた冗談で必ず聞いた『身体が覚えている』というのは
本当にこんなことなんだろうか。
もうろうとした頭で、可南子は悩んでいた。貴方の身体だけ思い出しました、なんて
とても伝えられない。
それでも、待っていてくれたから。
触れて欲しいと思える今日まで待っていてくれた人との営みだからこそ、
素直に快楽に溺れられるのだ、そうに違いない。
文学少女の理屈っぽさで筋道を立てると、もう心の奥にそれはしまうことにした。
「波留」
荒い息で果てている愛しい人に、寄り添ってささやく。
「ありがとう。幸せです、私」
- 24 :
- GJです!
いいもの読ませて頂きました
波留の手、魅力的だもんね
またお願いします
- 25 :
- なんかきてたー
イイ!
このカップルって波留が優しすぎてひたすら可南子が羨ましいわw
- 26 :
- 短いの(1レス)投下します。
挿入なし=微エロ?
- 27 :
- 困った。
風呂上がりの一杯をひっかけながら男は今晩をどう乗り切ろうか悩んでいた。
…可南子がエロすぎる!
今まさに風呂上がりで現れた妻は、中学生でも着そうな部屋着でそこだけみれば
色気とは縁遠い。でも男の視線に恥じらう様子がたまらないのだ。
「いいお風呂でした」
と微笑む今も、目が合った途端にバスタオルを抱えたのは、ノーブラの胸元を気に
したに違いない。
ついこの間まで、脱衣場で裸のところに出くわしても平然としていた古女房はいない
のだ……それが悲しいのかどうか、新婚当時に戻った様な妻に毎夜ムラムラしている
男にはもうわからなくなってしまっていた。
でもこの年齢で、毎晩はさすがに疲れてしかたない。
今夜こそは何気なくやりすごして、と思うのだが…。
「つまみ、出しますねー」
と冷蔵庫を開ける妻に、嘆息する。それは反則だろ。言っただろ。
「…可南子ぉ」
総菜の皿を持ってやってきたところを捕まえて膝に乗せる。
「敬語。」
「あ」
「おしおきだぞー」
こちょこちょこちょ。
ひとしきり笑わせたところで、勃つ前にと降ろそうとすると妻の方から首に手を回し、
伸びてきた無精髭を撫で始める。ああ、これはまずい。
「ねえ波留」
「…ん?」
「大好き」
と、こんなことを言われて口づけまでされて、あちこちまさぐらないわけにいくだろうか。
小振りな胸はすっぽりと手のひらに収まって揉み心地が実にいい。固く起き上がってくる
乳首を押しつぶして弾くと
「ア…ん」
と可愛い声がする。もうダメだ、今夜も最後までいってしまうに違いない。
分かっている、ショーツを剥いで舐めるとどんな風に悶えるのかも、味も。
でも恥ずかしがるんだろう。
そして自分も、まだ敬語を使う様な相手に易々と身体を開きやがってと、
理不尽な想いでまた燃え上がってしまうのだ。
夜は静かにふけていく。
…頑張れ波留!明日も太陽は黄色いぞ!
*end*
- 28 :
- >>27
おもろい GJです!
波留さんの幸せな苦悩ごちそうさまでしたw
- 29 :
- 可南子がはにかむってことはまだなのかと思ったら
毎晩やってんのかよw
イイネイイネ職人さんたちありがとう
- 30 :
- GJありがとう、嬉しいです
ところで>16さんお待ちしてますよ!
- 31 :
- >>16 です
お待ちいただいてすみません
明日には投下できそうです
ちょこちょこ書き進んでいたら、どんでもなく長くなってしまいました
20コメ分ほどで、エロありです
トラブル無く投下できるといいのですが…
>>30さんの作品も、またお待ちしています!
- 32 :
- 皆さんの作品おとなしく待ってます!
- 33 :
- >>31です
PCから投下しようと思ったのですが
規制がかかっていて書き込めません…
解除の方法もわからず…残念です
- 34 :
- えええええ残念すぎるね
こういうのはどっか規制のかからないとこに投下してもらって
転載するってわけにもいかないし
規制が終わるまで待つしかないかー
- 35 :
- 解除されるか、トライしつつしばらく待ってみます
- 36 :
- 成功することを祈りつつ待ってます
- 37 :
- >>31さん
一回分の文字数減らしてもだめ?
33を書き込んでる媒体にメールで送るとか方法はある気がする。
(でも誤送信しないように気をつけてw)
- 38 :
- みなさん予告をしたばっかりに、気にかけて頂く結果になり申し訳ありません。
ありがとうございます。
>>37さん
規制は改行規制ではなく、アクセス規制に巻き込まれたようです
解除まで数日…と書かれてましたが、実際はどうかわかりませんね…
今は携帯から書き込んでますが、携帯から投下したことは無いのでうまくいくか心配です…
なにぶんすごく長いので…
携帯からも長文遅れるのでしょうか…
- 39 :
- ↑ ×遅れる
○送れる でした
1コメに送れる文字数等は、携帯からでもPCからでも同じでしょうか
細切れにすると、もう40コメくらい使ってしまいそうですし
もし途中で切れたらと思うとそれこそ申し訳なくて…
とはいえ、それ以前に駄文なのですが…汗
こんな関係ない内容でスレを汚してすみません
- 40 :
- 1日数レスずつ連載でもいいんじゃないかと個人的には思いますが
そう活発に動いてるスレでもないですし
- 41 :
- 頂いたアドバイスを参考に、小分けにして少しずつ投下やってみます。
とりあえず冒頭を試して、いけそうなら続けてみます。
失敗したらすみません!
- 42 :
-
教会でのプロポーズを受けた二日後、休みを取った可南子は波留の待つマンションへ戻る事になった。
そう・・・今日から二人で暮らすのだ。
波留は自分の休みが取れる日に合わせてゆっくりでいいと言ってくれたが、可南子は葬儀の後の諸々の処理や
仕事を休んでしまってその間に待たせていた作業に追われる彼を心配し、早く戻りたいと申し出たのだ。
「おじゃましまーす・・・じゃないか、ただいまぁ・・・」
合鍵でマンションに入りリビングを見渡すと、窓際に積まれたダンボールはキレイに片付けられていて
可南子の愛読書たちは所定の位置に戻されていた。
それだけで、なぜかほっとする自分がいる。
退院して初めてここに来たときは違和感しか感じなかったのに、今はなんとなく居心地よく感じるから不思議だ。
買い物してきたものを冷蔵庫やなんかに片付ける。
一見キレイに片付いてはいるけれど、キッチンも部屋の所々も汚れていた。
一人家事をこなしていた波留を思い、可南子の胸がチクリと痛んだ。
「・・・よし、掃除掃除!」
思いを振り切るようにエプロンの紐をキュッと結んで、可南子はテキパキと部屋を整えていく。
一つ一つ、これから生活を共にする物たちを確かめるように、丁寧に磨いていく。
そうこうしていると、昨日実家から送った荷物が届いた。
衣類を寝室のクローゼットやチェストにしまっていると、替えのリネン類を見つける。
(これ・・・替えた方がいいよね・・・)
ベッドを眺める可南子。
シーツくらいは取り替えていそうだけれど、カバーはずっと同じ柄だ。
外そうと布団をめくると、フワッと波留の匂いがした。
- 43 :
-
(今日からここで、二人で寝るんだ・・・)
夫婦なんだからあたり前の事だけれど、その夫婦として・・・ってところにまだ全然慣れない自分がいる。
ここに戻ってくるってことは・・・そういうこともあるとちゃんと理解しているつもりだけれど・・・
やはり胸の高鳴りが抑えられない。
(大丈夫、波留さんとなら・・・)
日記の中の幸せな自分と、教会で抱き合った時、自然と嬉しいと思えた自分。
信じようと決めたから、ここにいるんだ・・・。
可南子は一つ大きく頷いて、作業を続けた。
掃除を終えて夕飯の支度をしていると携帯が鳴る。波留からだ。
「もしもし」
『もしもしごめん、今から帰る。一人で大丈夫だった?』
「はい、全然大丈夫です。それより気を付けて・・・安全運転で帰ってきて下さい」
『はい・・・ありがと』
通話が切れて時計を見ると、7時を過ぎたところ。
「やばいっ、早く仕上げなきゃ」
掃除に時間を掛けすぎて、波留が帰る頃に料理が間に合いそうに無い。
可南子は慌てて手を動かした。
- 44 :
-
「ちょっと波留さん、なんで言ってくれないんですかー!」
「そうだぞー波留、水臭いなー」
「・・・は?」
事務所から大声の桂と、社長があとに続いて出てくる。
「は?じゃないですよ、今日可南子さん帰ってくるんじゃないですかー!」
「そうなの?って、桂お前なんで急にそんなこと言い出すんだよ」
「えー?いや今メール見たら裕樹さんからで、そう書いてあったから」
「裕樹ー!?あいつなんの用だよ、まさか・・・デートの誘いか?」
「そ、レストランの市場調査のお誘い。楽しいんだよねー、色んなお店にタダで行けてさ」
「あいつ・・・桂!俺も連れてけよ!」
「何言ってんの、あんたみたいながさつな味音痴、連れて行くわけ無いでしょ、バーカ!」
最近の桂に対する進藤の言動は本当にわかりやすい。
にしても、裕樹と桂がこう頻繁に連絡を取り合ってるとなると・・・ますます我が家の事情は筒抜けだな。
波留がそんな事を考えて二人を見ていると、社長に背中を押された。
「今日はもう帰れ。社長命令だ」
「そうそう。あ、明日の朝もゆーっくりでいいぞ〜」
例のごとく、蓮沼がいやらしい笑みを浮かべている。
- 45 :
-
「いやでも、みんな俺のカバーで残業続きだったていうのに・・・」
「何言ってんすか!私、残業でもなんでもいーっぱいして、早く一人前になりたいんです!だから任せて下さい!」
「残業!?じゃぁ、お前やつとなんとか調査には行かないんだな?よし、俺も働くぞー!」
「おいおい、お前達、張り切るのはいいが、半人前に払う残業代はないぞー」
「えーー!社長そんなケチケチしないで下さいよー!」
(・・・このやり取りは、俺が帰るまで延々終わらないんだよな・・・)
「すみません!じゃぁ・・・お言葉に甘えさせて頂きます!」
波留は温かな職場の仲間の思いやりに感謝した。
ロッカーで着替えを済ませ、逸る気持ちを抑えて愛車に跨り、可南子へ帰るコールをする。
携帯を切ると、背後から視線を感じ・・・振り返ると、面々がニヤニヤしながら手を振っている。
(こりゃ、明日からが思いやられるな・・・)
あれこれとまた冷やかされるのかと思うと面倒くさかったが・・・まぁそんな事は今はもういい。
家で可南子が待っている。
「安全運転、安全運転」
(可南子に心配かけないようにしないとな・・・)
波留は丁寧にバイクを走らせた。
- 46 :
-
マンションに着いて階段を駆け上がり、いつもの癖で鍵を開けようとしてしまい苦笑する。
気を取り直し、呼吸を整えてからインターホンを鳴らした。
ドアのガラス越しに人の気配がして、扉が開く。
「おかえりなさい」
こぼれるような笑顔で出迎える可南子。
「ただいま・・・」
この3ヶ月あまり・・・あたり前のように感じていたこの小さな瞬間を、何度思い浮かべたことだろう。
波留は嬉しさのあまり、また可南子を抱きしめたい衝動にかられたが・・・
同居再開の初っ端から、そんなガツガツしたところは見せられないと思い自重した。
「ほんっとごめんね、もっと早く帰れれば良かったんだけど・・・」
「大丈夫ですよ、荷物っていっても着るものくらいですし」
「そっか・・・あ・・」
何かに気付いたような波留がリビングを見渡し、大きく息を吸い込む。
- 47 :
-
「なんかいい匂いがするね」
「あ、料理の?」
「それもあるけど・・・」
「あ、花?・・・お義父さんに・・・丁度良かったです」
テーブルと、サイドボードの上の太助の写真の前に花が飾られている。
「ありがと。でもそうじゃなくて・・・」
「?」
「なんだろうな。可南子がいるって匂い・・・かな」
「・・・え?・・・私?」
掃除したからかな・・・とかブツブツいいながら、可南子はいぶかしげな顔で袖口をくんくん臭っている。
(可愛いな・・・)
波留が笑いながら見つめていると、今度は少しむくれたような顔をする。
(この顔この顔)
そんなくるくる変わる可南子の表情が、可愛くてたまらない。
「だから、いい匂いだって。でも・・・掃除、してくれたんだ。よかったのに・・・」
「いえ、少し汚れてたし・・・この家のことも色々覚えなきゃなんないから」
「・・・そっか」
「あ、でも夕飯の準備がもう少しかかりそうで」
「俺も手伝うよ」
「それは結構です。それより今のうちにお風呂どーぞ」
こりごり、というような表情の可南子。
実家で、慣れない料理を手伝おうとしてかえって邪魔をした事を思い出した。
「はいはい」
波留は大人しく着替えを持って風呂場へ向かった。
- 48 :
-
「あー・・・気持ちいい・・・」
湯船につかり、ため息をつく波留。
いつもは手早くシャワーを浴びるだけだったから、こんな風にゆっくり風呂に入るのも久しぶりだ。
家のそこかしこに可南子がいる幸せがあって、波留はじわじわとそれを実感していく。
実はいい歳をして、昨日の夜はなかなか寝付けなかった。
主のいないベッドの片側を見つめていたら、教会で久々に抱きしめた可南子の柔らかな体を思い出し・・・
そんなことを思いながら、一人欲を吐き出してしまった。
それが今夜のために良かったのか、悪かったのか・・・一人可南子を思うと、また男の欲求がもたげてくる。
妻でいることをOKしてくれたといっても、自分に対する可南子の態度はまだまだぎこちない。
波留は、夫婦の営みとして可南子を抱くのはまだ先の事だと思っていた。
- 49 :
-
(この感じ・・・あの頃と似ているな・・・)
5年前・・・可南子の恋人になってからも、なかなかキス以上の関係には進めなかった。
可南子が今までの彼女と全くタイプが違っていたからだろうか。
30を過ぎた大人の女性であるのに、幼さと少女のような愛らしさを残す可南子に夢中になって・・・
たわいない冗談なら言えるのに、肝心な思いをいつも伝えられず、悶々とした日々があった。
やっと結ばれたのは、出会った年の11月の終わり・・・二人の誕生日に近い頃に行った旅行先でだった。
あの時の自分は、笑ってしまうくらい緊張して・・・余裕がなくて・・・
だから、あの日の可南子の日記のページは読んでいない。
今の可南子にとっての初めての自分は、少しは余裕のある男でありたい・・・
なんて、ちっちゃな男のプライドだと思うが、情けない事に今やその自信すら無くなりつつある。
でも・・・大切にしたい。
これから先もずっと可南子と一緒にいて、守ってやりたい。
あの時心に決めた誓いを、今度こそは決して見失わないと、波留は思った。
「・・・よしっ」
一人気合を入れなおし、熱くなった体と心を落ち着けようと冷水を浴びて、波留は風呂から上がった。
- 50 :
-
テーブルに料理を並べていると、タオルで頭を拭きながら波留が戻ってきた。
「うまそー・・・」
「お待たせしました」
「そんなことないけど、見たら急に腹減ってきた。食おっか」
二人で「いただきます」と手を合わせる。
波留の実家で好評だった煮物を含めた、野菜たっぷりの和食。
この間の葬儀の後もそうだったけれど、波留は本当に美味しそうに食べてくれる。
そんな姿を見つめながら、自分が不在の間、偏った食生活を送っていたであろう波留を思い
可南子はまた申し訳ない気持ちになった。
「・・・すみませんでした」
「え?なんで?すっごく美味しいよ?」
波留は不思議そうに可南子を見つめる。
「そうじゃなくて・・・留守の間、いろいろ迷惑かけてしまって・・・食事とか、掃除とか・・・」
「あ・・・そっか、俺が可南子の料理に飢えてたみたいにがっつくからだよな・・・」
波留は箸を止めて、優しく微笑みながら可南子に語りかける。
「可南子は何も悪くないよ。俺の方が謝らなきゃ。これまで家の事、可南子に何もかもまかせきりで・・・
今回の事で、身に沁みて反省した。100点には程遠いだんなさんにはいい薬でした!
あ、これからは料理も少しずつ手伝うから、ご指導お願いします!」
力強く宣言して頭を下げる波留の姿に、可南子にも笑みが戻る。
- 51 :
-
「わかりました。・・・ごめんなさい、食事中にこんな話」
「いいよ。これからはこんな風に、思ったことちゃんと言い合おうな」
「はい・・・あ、食べてください!」
「おう!」
自分の気持ちを気遣って、いつも明るく優しく接してくれる波留。
(ほんとうに優しい人だな・・・)
可南子の心は温かく癒されながらも、一方では切なくなっていった。
『あいつはさぁ・・・気を使われる苦しさっていうのかなぁ・・・そういうのをずーっと感じて生きてきたんだよ』
太助の言葉が耳に残っている。
あの頃から、自分の気持ちは波留に向かい始めていたのかも知れない。
波留の、優しくて強い心。
でもそれが、抱えている苦しさから生まれたのだとしたら、こんな切ないことはないだろう。
日記の中の自分は知っていた。
そんな風に自分の苦しみを覆い隠す波留を癒し、包みこむように愛していた。
その思いは、今の自分の中にも確実にある・・・。
(波留さんのために、出来る事からひとつひとつやっていこう)
可南子はそんな事を思いながら、波留を見つめていた。
- 52 :
-
食事が終わり、食器をシンクに運んでいると
「可南子はもういいから。風呂入ってきたら?あと俺、やっとく」
「え、いいですやります」
「掃除とか頑張って疲れただろ?こことかここも、ピカピカじゃん」
波留はシンクやレンジを指差しながら、可南子をキッチンから遠ざけようとする。
「でも・・」
「いいって。洗い物くらいはちゃんとできますから」
「そう・・ですか?じゃぁ、お願いします」
可南子は波留の言う通りにすることにした。
風呂からあがり、肌の手入れなど済ませリビングに戻ると、波留がソファの前にお茶を用意してくれていた。
「ありがとうございます・・・」
「うん・・・」
二人ソファに並んで座りお茶を飲むのも、退院したあの日以来だ。
あの時とは違った胸の高鳴りに、可南子が何も言えず黙っていると・・・
「あ、そうだ」
波留が思い出したように立ち上がり、窓際のデスクの上の小物入れから何かを持ってくる。
それは・・・波留の結婚指輪だった。
- 53 :
-
「この間の教会の続き・・・いいかな」
少し照れたように笑いながら、可南子に指輪を手渡す。
可南子がそれに頷くと、波留は手を差し出した。
左手の薬指にゆっくりと指輪がはめられていく。
波留はそれを見つめながら、嬉しそうに何度も頷いている。
「指・・・長いですよね」
可南子もやっぱり照れくさそうに自分の左手を差し出し、波留の大きな手と比べる。
しばらくそうやって二つの結婚指輪を眺めていると・・・可南子の手を波留の両手が包み込んだ。
「あのさ・・・いや、やっぱりいいや」
可南子の結婚指輪を指でなぞりながら、波留が何かを言いよどむ。
「なんですか?」
「ううん、いい」
波留は首をふるが、遠慮されると余計に聞きたくなる。
「良くないです。言って下さい」
「いやだって・・・敬語もやめられないような人には・・・」
余計な事を口走って後悔したような波留の表情に、可南子はだんだんムキになってくる。
「なんですか?さっき思ったこと言い合おうって言ったのに・・・・・・波留・・・言って」
とがめるような可南子の言葉と表情を見て、波留が観念したように口を開いた。
「指輪の交換が終わったので・・・誓いのキスがしたいです」
- 54 :
-
「・・・・・」
予想外の・・・いや予想していた展開とはいえ、波留の口から出たストレートな要求に、言葉が出ない可南子。
波留はそんな可南子を見て、やっぱり・・・といった困り顔だ。
「ほら、だからいいって。ごめんなさい、調子に乗りました!」
頭を下げ、気まずそうに謝る。
「・・・・・いい・・ですよ」
「・・・え?」
「お願いします・・・」
さらに鼓動が早まって、思わず言葉が止まってしまったけれど、ためらいは無かった。
今度は波留が驚いたように固まって、可南子を見つめている。
「う、うん・・・はい・・・」
ややあって、波留の手がそっと肩を引き寄せ・・・可南子は目を閉じた。
一度かすかに唇が触れ・・・離れたあともう一度重なる。
唇の温もりと柔らかさが伝わるような口づけ。
髭があたって、少しくすぐったい。
夫からの、初めてだけど初めてでないキスは、可南子の心にじんわりと、優しくなじむようなキスだった。
唇が離れ目を開けると・・・波留の深く澄んだ瞳が真っ直ぐに見つめていて・・・
ドキドキして見つめ返すことが苦しくなり、可南子は思わず俯いた。
- 55 :
-
「やっぱり・・・まだ・・・なんか照れますね」
取り繕うようにそう言うと、困惑していると受け取ったのか、波留が「ごめん」と小さく謝る。
「いえっ、嫌じゃないです、あの、髭が、ちょっと」
可南子はその言葉に焦ってぶんぶんと首を振り、さらに取り繕うように否定する。
「ああ、髭・・・気になる?」
「あ、ちょっと・・・あ、でも、すぐ慣れると思います」
別に髭が嫌だと思った訳でもないのに、自分はなにを言っているんだろう・・・
可南子が気持ちの混乱を整理しようとあわてていると、一瞬固まった波留がふき出すように笑い出した。
「慣れる・・って・・・」
その言葉が余程ツボだったのか、波留はハハハッとお腹を抱えるほど笑っている。
可南子は自分の言った事が恥ずかしくて、でもだんだん腹が立って来た。
「慣れるって、キスのことじゃないですよ、髭の事です」
「わかってるよ」
波留はまだ堪えきれないように笑っている。
- 56 :
-
「・・・なんか、馬鹿にしてません?」
「してないよ」
膨れっ面の可南子を、波留が笑顔で見つめている。
「私、もう36なんです」
「知ってます」
「別に、このくらいなんでもありません」
「・・・そうなの?」
「そうで・・・んっ・・・・・」
言い終わらないうちに、また唇が塞がれた。
優しいけれど、甘く・・・唇を包みこみ食むようなキス。
そうしながら、波留の手は可南子の頬や髪を撫でる。
さっきより長いそんなキスのあと、二人は額を合わせた。
「・・・慣れた?」
「・・・さっきよりは・・・」
波留がフワリと可南子を抱きしめる。
愛しげに髪を撫で、もう片方の手は首から肩を擦り・・・腕から腰へと回されていく。
ためらいがちに波留のTシャツと腕を掴むと、思った以上に筋肉質でがっちりとしている。
耳に熱い息がかかる・・・。
可南子は波留から、男を強く感じていた。
「無理してない?」
低い声が体中に響いて、それだけで全身の力が抜けそうになった。
「・・・大丈夫です」
「でも・・・少し震えてるよ」
「緊張・・してるだけです」
「・・・この後・・・どうなるんだろうとか、心配してる?」
「・・・」
可南子がどう答えようと返事に困っていると、波留がゆっくりと体を離した。
- 57 :
-
「大丈夫だよ。今日はこれ以上は望みません」
「え・・・でも・・・」
「ん?」
「波留さ・・・波留は・・大丈夫なんですか?」
波留がまた目を丸くして笑った。
「大丈夫じゃないって言ったら?」
「私なら大丈夫です・・・36だし・・・あなたの妻、ですから」
そう・・・ちゃんと解っててここに来たのだから・・・
可南子は自分に言い聞かせるように言った。
「ありがと。でも、気持ちは31・・・だろ?」
「あ・・・そうかもしれないですけど・・・31でも大丈夫です、十分大人です」
波留は笑いながら首を振って、可南子の髪を撫でながら諭すように見つめる。
「そうじゃなくて、始まったばかりだろ?俺達・・・」
「私は・・・でも、波留さんは・・・」
「俺も同じだよ。今の可南子と、始まったばかりだ」
「・・・」
「だから、いいから・・・ゆっくりいこっか」
波留の優しさが嬉しいし、ほっとしている自分もいる。
でも、この人をこれ以上待たせることも辛い・・・自分も・・・もっと波留のことを知りたい・・・。
なんて言ったらいいんだろう。この気持ちは、どう伝えたらいいんだろう・・・。
- 58 :
-
「ありがとうございます・・・でも、我慢、しないでください」
「え?」
まとまらないまま出てきた露骨な言葉は、可南子をまたさらに焦らせた。
「いえっ!えっと・・・私、何言って・・・」
「俺、そんなに我慢してるように見えるかな・・・」
波留は照れたような、困ったような顔をしている。
「・・・ごめんなさ・・・あっ」
可南子を強く引き寄せ、抱きしめる波留。
「まいったな・・・そんなこと言われたら、進みたくなる・・・」
言葉の後、波留は吸い付くように可南子の唇を奪う。
角度を変えて、息もつかせぬほどの食らうような口づけ。
「んっ・・・はっ・・・」
空気を求めて可南子の唇が開くと、獰猛な舌が進入し、口内を犯してくる。
波留の長い指が可南子の髪の中に割って入り、手で頭を押さえつけられて、顔を動かす事も出来ない。
激しいキスが、波留の男としての欲求の強さと・・・
それ以上に、さっきまでそんな自分を抑え、可南子を思ってくれていた深い愛情を伝えてくる。
可南子は応えようと波留にしがみつきながら、自分も懸命に舌を絡めた。
- 59 :
-
「っ・・・はぁ・・・ごめ」
急に唇が解放され、二人の荒い息遣いの中、波留の切ない声が響いた。
「さっきゆっくりって言っといて・・・止まらなくなりそうだ・・・」
可南子を強く抱きしめながら、頬を摺り寄せる波留。
「可南子が可愛くて・・・スピード違反してしまいそうです・・・」
そのままじっと黙り込み、動かなくなった。
波留が求めてくれている・・・こんなにも、今ここにいる自分を・・・。
可南子は波留に離婚届けを見せられた、あの日のことを思い出した。
『可南子、・・・・・うん、わかった』
言いかけて顔を反らし、言葉をのみ込んだ波留の姿を見て
ああ・・この人が求めているのは過去の自分で、今の自分ではないんだと・・・今の自分に出来る事は無いんだと思った。
だから、思い出せないなら別れるしかない・・・そう思い込もうとしたけれど・・・
別れることを考えれば考えるほど、何かとても大きな、大切なものを失うような気がして・・・
怖くて、悲しくてたまらなくなった。
だからそんな思いを・・・波留に会いたいと思う自分の気持ちを素直に伝えてみようと思った。
そうせずにはいられないほど、自分の中で波留の存在が大きくなっていることに気付いた。
波留の父親の看病とという悲しいきっかけではあったけれど
そんな中でも一緒にいられることが・・・少しでも波留のために、何かできることが嬉しかった・・・。
- 60 :
-
「スピード違反は駄目だよな・・・うん、すみません、ちゃんと安全運転に戻ります」
波留が体を離し、気まずそうな顔で苦笑いをしている。
「・・・戻らなくていいです・・・駄目じゃ・・ないです・・・」
考えるより先に、自然に言葉が出た。
「え?」
「・・・続けてください」
「いや、無理しなくていいから」
可南子は真っ直ぐに波留を見つめた。
「無理しちゃいけませんか?そうしたいんです。わかるんです、大丈夫だって・・・思い出せなくても、わかるんです」
驚いて困惑する波留に、可南子は自分から口づけた。
「私も・・・あなたを幸せにしたいんです」
- 61 :
- すみません今日はここまでで…
なんとか投下できそうです
残り半分はたぶん明日の夜中に…
本当にチンタラと長くてすみません!
本編の解釈や二人のイメージが
皆さんと違うところも多々あると思いますがお許し下さい
もう少しだけお付き合い下さい…
- 62 :
- いやいやいやいいです!
続きも楽しみに待ってます!
- 63 :
-
可南子が真っ直ぐに見つめてくる。
始まったばかりだとか、ゆっくりとか言いながら、結局また身勝手な思いをぶつけてしまった自分に、応えてくれるという。
幸せにしたいと言ってくれる・・・。
可南子はやっぱりどこまでも可南子だ。
いつも自分の心も体も、すべて受け止めようとしてくれる。
可南子と出会って、結ばれて感じた、生まれて初めての感覚・・・
以前の自分は知らないうちに、そんな可南子に得られなかった実母からの愛情を重ねていたのかもしれない。
そして、可南子自身を見失っていった。
今、可南子が幸せにしたいと言ってくれるなら・・・もう一度そう思ってくれるのなら、自分もそれ以上の幸せを可南子に与えたい。
言葉では表せないほどの思いを伝えたい・・・
「うん・・・わかった・・・ありがとう」
波留は意を決したように可南子を見つめ返し、その体を抱き上げた。
寝室に向かい、ベッドの端にそっと座らせると、リビングに戻り照明を消す。
そうやって一呼吸置いてから、Tシャツを脱ぎながら可南子の元に戻った。
可南子は波留の引き締まった体から恥ずかしそうに目を反らし、自分もパジャマを脱ごうとする。
可南子の前にしゃがんだ波留が、その手をそっと抑えた。
- 64 :
-
「可南子・・・聞きたい事があるんだけど」
「なんですか?」
「子どものことなんだけど、体調とか・・・大丈夫なのかな?」
「あ・・・はい、この前病院に経過を見せに行った時、大丈夫だって言われました」
「そっか・・・」
波留は、可南子とそうなるときに伝えようと思っていたことを話した。
「俺ね、この前実の母親に会った時、いつか親父みたいな父親になれれば・・・って言ったんだ」
「・・・そうだったんですか」
「だから可南子さえ良ければ・・・今すぐじゃなくてもいいけど、子どもを作りたいって思ってる」
可南子は暫く黙って考えてから・・・
「私も・・・そうしたいって思います」
迷いのない目で波留に答えた。
「うん・・・そっか」
「はい・・・でもいい歳だから、出来るかどうかわかりませんけど」
「それならそれでいいよ。可南子がいてくれれば」
「・・・ありがとうございます」
嬉しそうな可南子の笑顔に頷いて、波留は可南子のパジャマを脱がせた。
下に着ていたTシャツにも手をかけると
「あ、やっぱり・・・自分でしますね」
可南子は恥ずかしそうに布団に入り、ごそごそと中で服を脱いでいく。
そんな可南子の初々しさを可愛らしく思いながら・・・波留は懐かしさのような、新しさのような、不思議な感覚に捕らわれていく。
波留も全てを脱ぎ捨て、可南子の隣に潜り込んだ。
- 65 :
-
布団で身をすっぽり隠している可南子を覗き込む。
「嫌じゃないんですけど、やっぱり・・・恥ずかしいですね・・・」
可南子が伏せた瞳を震わせている。
「恥ずかしがることないよ。俺、可南子の体、好きだし」
「そうなんですか?・・・そっか・・・もう何回も見てるんですよね、今更って感じですよね・・・」
「そんなことないよ」
「私ばっかり恥ずかしくてドキドキして、なんか・・・ちょっと癪ですね・・・」
「ハハッ、なんだよそれ。俺だってドキドキしてるよ」
「ほんとですか?もう、飽きちゃったりしてたんじゃないですか?・・・あ・・・ごめんなさい」
「飽きたりなんかしてません。可南子はどうだったか・・・わからないけど・・・」
「・・・わからないんですか?」
「ん?いや・・・大丈夫だったと思う・・・・・うん・・・・・」
波留は遠い目をして・・・過去の夫婦生活に思いを馳せた。
「・・・や・・・なんか今、いやらしいこと思い出してません?」
可南子が不審な顔をして睨んでくる。
波留は笑いながら・・・これからこんな風に自然に、過去と今を重ね合わせて進んでいくんだと思った。
「そろそろ黙ってくれませんか?」
可南子にチュッと軽いキスをしてから、波留は優しく囁いた。
「俺は、今までもこれからも、可南子だけだよ」
可南子が瞳を潤ませて、キュッと下唇を噛む。
「可南子じゃなきゃ駄目なんだ」
丸い大きな瞳から溢れた雫を吸い取ってから・・・波留の唇はキスの雨を降らせていった。
- 66 :
-
波留の言葉で・・・可南子の中で、もつれていた何かがほどけた。
重ねられた、波留の体の重みが心地いい・・・
それだけじゃない・・・首筋にあたる髭の感触も、耳元で低く響く声も、優しく這う大きな手も・・・
忘れてしまっているはずなのに、もうこんなにも愛しくてたまらない。
(私の夫なんだ・・・)
広い背中・・・逞しい腕・・・可南子も確かめるように手を這わせた。
何度も繰り返されるキスの途中で、波留の頬にも手を添える。
自分の唇を愛撫する顎の動きに煽られて、より深い口づけを求め絡んでしまう自分がいる。
さっきまであった緊張と恥じらうという気持ちは何処へ行ってしまったのか・・・
熱が体の中心を、どんどん急速に潤ませているのがわかる。
記憶の中ではこんな行為はもう何年もしていないのに、どうしてこんなに自然に動いてしまうのか・・・
どうしてこんなに性急に?・・・まだほとんど触れられてもいないのに・・・
熱と共に加速していく、自分が自分でないような感覚に、急に怖さが襲ってくる。
そんな恐れに身を固くした可南子に気付き、波留が動きを止めた。
- 67 :
-
「可南子・・・?」
優しい澄んだ瞳に見下ろされると、また気恥ずかしさが戻ってくる。
「私・・・変ですよね?・・・どうしてこんなに・・・」
「・・・大丈夫?」
「変なんです・・・思い出せないのに・・・なんか、心と体がバラバラになったみたいで・・・」
「・・・そっか・・・」
困惑する可南子を抱きしめる波留。
「可南子さ・・・俺が欲しいって今・・・思っちゃってる?」
「・・・えっ!?」
隠そうとしていた思いをいきなり暴かれて、可南子は驚いて波留を見つめた。
「わかるよ・・・だんなさん、ですから」
そう言ってやさしく微笑んでいた波留が
「そういう感覚みたいなものってさ、残ってんのかなぁ・・・それとも・・・
俺が可南子の体の事をよーくわかってるから反応しちゃったってことなのか・・・?」
今度は神妙な顔で分析を始めた。
「でも・・・まだほとんど・・・キスぐらいしかしてませんし・・・」
「あ、そっか。ハハハッ・・やっぱ俺の努力の積み重ねがすごくてってわけじゃないのね」
少し残念そうにしながら、おどけたように笑う波留。
- 68 :
-
「・・・どうなんでしょう・・・」
可南子もつられるように苦笑いをしてしまう。
「でも・・・嬉しい」
「え?」
「だって、裸で抱き合って、キスして、それだけで俺の事を欲しーって感じてくれる奥さん、最高じゃん」
「そんな・・・なんかはしたないです・・・変じゃないですか?」
「うーん・・・ちょっと変かもな。敬語は止められないのにね」
痛いところをつかれた気まずさに拗ねる可南子に、悪戯っぽく笑う波留。
そんなことを話しながら、可南子の心はだんだんと落ち着いてくる。
だんだんと、本当の気持ちが見えてくる・・・。
「ごめんなさい・・・記憶は戻らないのに・・・こんな感覚だけ残ってるなんて・・・」
波留に欲情してしまったことも恥ずかしいけれど、こんな状態になっても記憶が戻らないことが悲しい。
波留のために・・・どんなに戻りたいと思っても思い出せない自分が許せなかった。
「だから、俺は嬉しいって言ってるだろ?可南子は可南子なんだから・・・」
その言葉は、波留の父親が言ってくれた・・・可南子の背中を押してくれた言葉だった。
(やっぱり似てる・・・)
何度も立ち止まる自分の気持ちを、波留は受け止め癒してくれる。
一番欲しい言葉をくれる・・・。
可南子の瞳から、また涙がこぼれた。
- 69 :
-
「大丈夫だから。全然変じゃないし、驚かないし、嫌いになったりもしない」
「はい・・・ありがとうございます」
「一人で抱えたり・・・隠さなくていいから。俺達、夫婦なんだからさ」
「はい・・・そうでした」
指で何度も涙を拭ってくれる波留。
「・・・じゃぁ俺も、隠さないことにしよっかな」
「はい・・・え?」
「ちょっとはカッコつけたかったんだけどなぁ・・・でも、もういいや」
開き直ったように笑う波留を、不思議そうに見つめる可南子。
「実は昨日の夜、寝らんなくてさ」
「?」
「可南子とHがしたくてたまらなくなって、そのことばかり考えて寝られせんでしたっ」
「そ、そうなんですか?」
「そっ、40前の男がだよ?笑っちゃうだろ?」
「そう・・ですね・・・」
「そうですよ。可南子の言う通りで、家帰ってきて可南子の顔見たときからめちゃくちゃ我慢してました」
「え・・・そうだったんですか?」
波留の可南子への思いやりの告白に、涙顔はいつのまにか笑顔に変わっていた。
- 70 :
-
「カッコ悪りぃよなぁ、俺・・・それなのにゆっくりでいいとか、今日は何もしないとか言っちゃってさ・・・」
「・・・そんなことないです・・・嬉しいです」
「ほんと?・・・良かった」
可南子に笑顔が戻って、ホッとする波留。
情けない告白をしてしまったが、可南子の気持ちが軽くなるのならそれでいい。
「じゃぁ・・・そろそろ我慢の限界なんで、再開してもいいですか?」
「・・・はい」
恥ずかしそうに微笑んで応える可南子に頷いて、またゆっくりと唇を重ねた。
ついばむようなキスから、だんだんと濃厚なキスへ・・・
歯列をなぞって舌を差し入れ、可南子のそれに絡ませる。
キスから生まれる水音と、可南子のかすかに喘ぐ息遣いを聞きながら、波留の体はまた熱く高ぶっていった。
可南子も同じなのだろう・・・体をより密着させてしがみつくように強く抱きついてくる。
可南子の体はどこも柔らかく、波留はいつも、いつまででも抱いていたいと思った。
重なった胸に、可南子の乳房の弾力を感じて気持ちがいい・・・。
波留は唇を離し、可南子の耳元で囁いた。
「柔らかい・・・」
そういって形のいいふくよかな胸を手で包む。
円を描くように撫で擦ると、主張してきた突起を掌に感じる。
柔らかな肉を揉み上げながら、紅く尖った頂に唇を寄せる。
しゃぶるように吸い付きながら舌先で転がすと、可南子がビクビクと震えながら身をよじる。
敏感な反応を見せる可南子の体は何も変わっていないのに、ふと見上げた可南子は指を噛み、漏れる声を抑えている。
あの、どこか幼く甘い声が聴きたい・・・。
可南子の手を取り、噛んでいた指に口づける波留。
赤くなった歯の跡を舐めながら、可南子を見つめる。
「我慢しないで声、聴かせてくれよ・・・」
波留の言葉と瞳に射抜かれたように、可南子は静かに頷いて、震える瞳をゆっくりと閉じた・・・。
- 71 :
-
波留の唇が、手が、指が・・・可南子の体を這っていく。
首筋を髭がなぶり、耳に熱い息がかかる。
「可南子・・・脚、開いて・・・」
耳に直接囁かれる。
波留の声は低く、子宮にそのまま響くようで、可南子は何も考えられなくなり、言われるままになってしまう。
控えめに開いてしまった脚の間に、そっと波留の手が忍んで来る。
熱が集まって、もう溶けて溢れているそこを、指が弱々しく上下になぞる。
すっかり充血して膨れた芽を、時折ゆるく弾かれる。
そんな風に繰り返されているだけで、タラタラと蜜が溢れ流れているのがわかる。
「あぁ・・・や・・・ダメ・・・」
もっと強く触ってこの疼きを鎮めて欲しいのに、波留の手は優しい動きを止めない。
違う・・・なんて意地悪な動きだろう・・・。
可南子は我慢が出来なくなって、思わず脚で波留の手を挟み込み、自分で腰をうねらせてしまう。
「ちゃんと言えばいいのに・・・」
言葉の後、急に指が挿れられて、グチュグチュと音をたてて中を掻き回される。
待ち焦がれた刺激に、可南子は尖った嬌声をあげて腰を振り喘いだ。
もう何本指が入っているのかもわからない。
波留はくるりと指の向きを変え、壁の一点を攻めてくる。
「やっ、ダメッ・・・やだっ・・・ああっ!」
可南子はガクガクと体を震わせ動かなくなった。
指を抜いた波留は、そんな可南子の見つめながら、顔に何度もキスを落とす。
可南子は自分から湧き出る抑えられない淫らな欲求に戸惑い、泣き出してしまう。
- 72 :
-
「やっぱり、私・・・変です・・・」
「大丈夫、変じゃないよ・・・ちょっと・・意地っ張りだけどな」
波留は、そんな可南子の背中を擦ってやる。
「意地っ張り?」
「そう・・・頑固で、意地っ張り・・・でも、素直だよ」
「なんですか?それ・・・・・波留は・・・意地悪ですよね」
可南子は少し腹が立って、さっき浮かんだ感情を言い返した。
「ごめん・・・可南子が可愛くて、我慢できませんでした」
波留は納得しているように笑った。
「可愛いすぎて・・・止めらんなくなるんだよ」
波留はそう言ってまた体を起こすと、可南子の膝の裏に手を入れ、脚を持ち上げ大きく開いた。
そして、まだ震え濡れそぼる秘唇に吸い付く。
驚いたようにもがく脚を押さえつけ、舌を差し込むと、髭が芽に当たって可南子をまた強い快感が襲う。
ピチャピチャと蠢く舌と唇が奏でる水音に煽られて、また一気に昇り詰めていく。
「はぁ、はぁ・・・嫌・・・も・・う・・許して・・・波留・・・」
うっ・・・と呻いてまた軽く達した可南子に体を重ね波留は、はち切れんばかりにそそり勃った自身を秘部にあてがった。
「好きだよ・・・可南子」
耳元で囁きながら、熱い塊を擦りつける。
もう足りない・・・もっと、壊れるほど強く抱いて貫いて・・・いっぱいに満たして欲しい・・・。
「もう・・・お願い・・・波留・・・」
可南子は抗うことが苦しくて、ねだるように波留に腰を押し付けた。
「ほらな・・・素直になった」
波留は笑みを浮かべながら可南子の髪を撫で、深い口づけを落とした・・・。
- 73 :
-
可南子の中に、入っていく。
久しぶりのせいなのか、初めての緊張なのか、一瞬のこわばりを感じて、波留は時々動きを止めながら、ゆっくりと全てを沈めた。
薄い膜を隔てず直接感じる可南子の中は、熱く柔らかで・・・じっと動かなくても絡むような震動が伝わってくる。
伸ばした両脚を胸に抱いて、腿を擦りながら舌を這わせると、キュッと締め付けてきて波留は思わず声を漏らした。
「ふっ・・あ・・・可南子・・すごい・・・」
可南子も堪らなくなって、グニグニと波留に腰を押し付けている。
「波留・・・もう・・だめっ・・・」
「わかった、動くよ」
言い終わらないうちから、波留の腰が動き出す。
うねるようにゆっくりと、内壁を突くように小刻みに早く・・・時折可南子の脚の角度を変えながら、緩急をつけ打ち付けていく。
激しく揺さぶられながら可南子は悲鳴のような声をあげ、身を仰け反らせ乱れた。
白い喉や胸には紅い印が散っていて、波留は妻のその淫靡な姿を、この上なく美しいと感じた。
苦しげな可南子の顔を見つめながら、波留は少しでも長く止まっていたくて、達しそうになる快感に何度も抗う。
「はぁ・・・ああ・・・波・・・留・・・」
朦朧とした意識の中で、可南子が波留を求め手を伸ばした。
「・・・ここにいるよ」
その手を取って握り締め、可南子に身を重ねる。
強く強く抱きしめながら、二人は一つになって揺れ続ける。
可南子の中から波打つような強い震えが押し寄せてきて、波留は絶頂が近い事を感じた。
- 74 :
-
「可南子っ、一緒に、イクよ・・・!」
もう声にならない声をあげ、身も蓋もなく喘ぐ可南子が、うすれる意識の中で頷いた。
大きく腰を引いて強く数回打ち付けると、可南子が震えながら達する。
波留はその体を抱き締めながら、たぎる欲の塊を最奥に放った。
全ての精を注ぎ込むと・・・波留はまだ荒い息の中、可南子を見つめる。
汗で貼り付いた前髪を撫で分け、涙で濡れた瞼を指で拭ってやる。
ピクン・・・と動いた可南子が、ゆっくりと目を開いた。
「波留・・・好き・・・」
溶かされた瞳がうっとりと自分を見つめていて・・・愛しくて眩しくて、顔がはっきり見えない。
可南子がそっと波留の頬に触れ、親指で瞼を優しく撫でた。
「やっと・・泣いた・・・」
可南子はそう言って微笑んだ。
それで、何度も掬われる雫が、自分の涙なのだと気付く。
急に胸がつかえるような感覚に呼吸が苦しくなり、波留は大きく息を吐いた。
そこからは・・・もうとめどなく涙が溢れ止められなかった。
「・・・くっ・・・」
嬉しいとか、悲しいとか、寂しいとか、悔しいとか・・・涙をどう流すのかなんて、もうとうに忘れていた。
波留は、可南子の首筋に顔を埋め・・・可南子はそんな波留の髪を鋤くように撫で続けた。
全てを流して涙が止まった後には、確かな温もりだけが残っていた・・・。
- 75 :
-
波留の愛を受け、体中が満たされて・・・可南子の心の不安も消えていた。
お互いがお互いの居場所であると、心から思える。
「嬉しいです・・・」
自然に言葉が溢れてくる。
「うん・・・」
「とっても・・・幸せです・・・」
「俺も・・・ありがと」
「・・・良かったです」
愛しくて、波留をギュッと抱きしめる可南子。
「・・・良かったですか?」
可南子の言葉を繰り返すように、波留が尋ねてくる。
「・・・はい?」
「可南子・・・すっごく感じてたね」
波留が半身体を起こし、可南子を腕の中に捕らえ見下ろしてくる。
自分がどんな状態だったのか、思い返すのも恥ずかしい。
可南子は真っ赤に染めた顔を、横に背けた。
- 76 :
-
「・・・やめてください・・・恥ずかしい・・・」
「なんで?めちゃめちゃきれいだったよ」
ねぎらうように可南子の髪を撫でながら、優しくキスをする波留。
「・・・あなたのせいです」
「ん?」
可南子は、さっき波留が話していた事を思い出した。
「だんなさんの・・・努力の積み重ねがすごかったからだと思います」
「そっか・・・やったな・・・俺も緒方に近づけたのかなぁ・・・」
波留は嬉しそうに笑って、小さくガッツポーズをする。
「なんですか?緒方って」
「ん?内緒」
「え・・何?」
「ハハッ」
二人は笑い合いながら、会話の合間に甘いキスを繰り返す。
そうやって、しばらく心地よいけだるさの中に浸っていると・・・
「あ・・・」
可南子が急に困惑した表情を浮かべた。
「ん?どうした?」
「えっと・・・あの・・・ティッシュ取ってもらえませんか?」
「うん・・・・はい」
波留がベッドサイドに手を伸ばし何枚か取って渡すと
背を向けた可南子が布団を半身に掛けて、中に手を入れ何かごそごそしている。
- 77 :
-
「どうしたの?」
「いえ・・・さっきの波留さ・・・波留のが・・・」
恥ずかしそうな赤い顔を不思議そうに覗き込んでいた波留が、やっと気付いたような顔になる。
「あっ、そっか、初めてだからわかんなかった・・・ごめん、大丈夫?」
「・・・大丈夫です」
波留は背後から布団の中に手を入れて、可南子の下腹部にそっと掌を当てた。
「できたかなぁ・・・」
「え?・・・そんなすぐには・・・」
「そういうもんなの?」
「・・・授かりものですから」
「そっかぁ・・・もっと頑張らないと授けてもらえねーのかなぁ・・・回数・・・いや、一生懸命さが大事なのか?」
真剣にブツブツ言っている波留が可愛くて、笑ってしまう可南子。
「何笑ってんだよ」
「だって・・・」
おかしくて笑いが止まらない可南子を、波留がギュッと抱きしめる。
- 78 :
-
「できるといいね」
「・・・そうですね」
「俺、頑張るよ」
「はい、頑張ってください」
「・・・・・いいの?」
「はい」
「頑張っていいの?ほんとに?」
「・・・いい・・ですよ?」
「・・・・・じゃぁ・・・・・」
可南子の胸をまさぐりだす波留。
「あっ・・・え!?今からですか!?」
「だっていいって・・・・・駄目なの?」
「んっ・・・ぁ・・・いえ、駄目・・・じゃ・・ないですけど、明日、寝坊しちゃいますよ?」
「寝坊したら俺がバイクに乗っけてってやるよ。いつもそうしてたから・・・だから・・・いいだろ?」
頬やうなじに口づけながら、耳にあの声で話しかけられると、また何も考えられなくなってくる。
「・・・・・そう・・なんですか?・・・じゃぁ・・・」
やわやわと乳房を揉んでいる手に可南子のそれを重ねると、波留の動きがピタッと止まった。
- 79 :
-
「あ、可南子も、やっぱもう一回したかった?」
邪気の無い声で、嬉しそうに聞いてくる波留。
「ちっ、違います!波留が・・・あっ・・・もう、そうやって・・・」
言い当てられた恥ずかしさに怒って、また動き出す手をつねる可南子。
「いてっ!」
「波留って、ほんと・・・すごくHな人なんですね!」
「はい、そうです。ごめんなさい」
波留に向き直り、膨れながら睨む。
怒ってごまかしてみても、触れられれば何度でも抱かれたいと思ってしまう・・・
そんな自分の本心なんて、もう知り尽くされているんだろうに・・・素直に謝ってくれる優しい人。
「可南子にだけなんで、許してください」
殊勝な言葉と甘える瞳が可愛くて・・・愛しくて・・・可南子の顔がまただんだんと笑顔に変わっていく。
「もうっ・・・」
笑いながら波留の首に手を回し、キュッと抱きつく可南子。
波留も笑って抱き返し、また可南子の体に覆いかぶさっていく。
新しいはじまりの夜・・・寝室のベッドには、深夜まで甘い声が響いていた・・・。
翌朝。
「やばい、間に合わない!・・・今日、乗せてってもらってもいいですか?」
「いいよ・・・ゴクゴク」
「ちょっ、急いで、急いでっ」
「モゴ・・ほう?・・・パク・・モグモグ」
バタバタ・・・
「・・・波留!早くっ!」
END
- 80 :
- 以上です。
長すぎですみませんでした!
とにかく波留と可南子にいっぱい喋ってもらって
思いを伝えあってもらって
幸せを感じで欲しい…という思いで書きましたが
しつこいお話になってしまいました…
他の方のお話を心よりお待ちしています!
- 81 :
- おつかれさまでした〜!!
リロードしまくり、ふたりの想いをリアルタイムに堪能しました!GJ!
- 82 :
- ステキなお話しGJでした!なんか初々しくていいわ〜
- 83 :
- 幸せそうでいいなあ
- 84 :
- >>42
波留と可南子の会話がたくさん読めて嬉しかった!
大人だけど可愛い二人だよね
エロパロ読んで、波留、よかったねって心から思うなんてw
あと、本スレでここの話ださないほうがいいと思うんだけど
荒らされちゃうよ…
- 85 :
- ここ読んで、なんか報われた気がしました。
心からありがとう感謝です。
- 86 :
- 本スレから来たよ。というか、エロパロ板に来ること自体が初めてだけど、
意外にもまったりした雰囲気で笑った。
- 87 :
- 自分が本編で見たかったシーン、可南子から波留へ指輪をはめる、誓いのキス、ずっと泣けなかった波留が
やっと可南子の胸で泣ける、が全て描いてあって夢のようです。
大好きなセリフも入っていて、ほんとに波留と可南子そのものでした。
あの教会のシーンから朝のシーンまでにあったことと脳内補完、完璧にできました。
GJでした!
- 88 :
- 職人さんたちGJです
自分書けないのでずうずうしくもリクエストですが波留が焼き餅焼くのが
読みたいです 仕事帰りにリッキーの店で待ち合わせて波留が遅れて行ったら
可南子が酔った蓮沼さんに肩抱かれててむっとするとか、一哉と偶然会ったの
知って焼き餅焼くとか
- 89 :
- >>42です
勝手な妄想駄文への温かいコメントや感想、ありがとうございます
とても嬉しいです…
お礼といいますか、>>88さんのリクエストに共感しましたので
おまけのような小品ですが投下させて頂きます
エロはちょっとだけ、波留さんやや壊れ気味です
- 90 :
-
「やべぇ、間に合うかな・・・」
今日は残業の予定もなさそうだったから、可南子と外で食事をする約束をした。
といっても・・・洒落た店なんて知らないから、いつものCHAOSでなんだが・・・。
急に飛び込んだ依頼のせいで、約束の時間はとうに過ぎている。
もちろん、可南子には「1時間ほど遅れる」と連絡を入れたが、それにも間に合うかギリギリだ。
波留は小走りで店へと急ぐ。
可南子とまた一緒に暮らし始めてから1ヶ月・・・もともと休みが必ず同じというわけでもなく
まだ休日に二人で、所用以外で出掛けるということも出来ていない。
可南子にとっては、デートもろくにせずに結婚生活を始めた状態なわけで・・・
波留はそんな可南子を思い、たまに仕事帰りに迎えにいったり、外で食事をして帰ったりしていた。
(っていつもここじゃなぁ・・・邪魔が入るし・・・今度裕樹くんにでもリサーチしとくか)
店の扉を開けてリッキーに軽く挨拶をする。
目配せをされて店の奥に進むと、可南子の楽しそうな笑い声が聞こえた。
テーブル席には裕樹の姿が見える。
「あ、裕樹く・・・」
奥にも人影が見えて、また桂かと思い確認したが・・・そうではなかった。
- 91 :
-
「あ、来た来た波留さん」
裕樹と、可南子も手を振っている。
「どうも、こんばんは」
もう一人立ち上がって挨拶をする男・・・崎野だった。
「あ、こんばんは・・・どーうしたんですか?」
波留も挨拶をするが、状況が読めないでいる。
「すいません、裕樹のやつが面白い店があるっていうんで着いて来てしまって・・・」
「そっ。そしたら姉ちゃんがいてさ・・・波留さんが来るまで一杯だけって事になって・・・あ、でももう帰ります」
男二人はスーツの上着を手に、帰ろうとしている。
「いやいや、そんなこと言わずにどうぞ一緒に・・・」
波留は同席を勧める。
「いいです。邪魔したら姉ちゃんに睨まれるから止めときますよ・・・なっ」
「な、何言ってんの・・・」
裕樹に冷やかされた可南子が、赤い顔で膨れている。
そんな様子を、崎野が笑いながら温かい目で見守っている。
「じゃぁ・・・そういうことみたいなんで、ほんとに失礼します。・・・じゃぁな、可南子」
波留に今度は別れの挨拶をした崎野が、可南子を見つめた。
「あ・・・うん、じゃぁ・・・色々ありがと」
可南子も見つめ返し、フワリと穏やかな笑顔を向ける。
言葉は無くとも伝わり合う空気を二人に感じ・・・波留は思わずその笑顔から目を背けた。
- 92 :
-
「まさか姉ちゃんに会うなんてなー・・・俺って、いっつもタイミング悪いよな」
店を出て、裕樹と崎野が並んで歩く。
「うーん・・・まぁ、いいんじゃないの?可南子の幸せそうな顔も見れたわけだしさ」
「うん・・・姉ちゃん綺麗になったよなぁ・・・」
「おっ、出た、シスコン。・・・でも、俺もあんな顔は初めて見たな・・・」
「そうなんだ」
「うん・・・」
崎野と裕樹は可南子の笑顔を思い返した。
「でも俺またやっちゃって。波留さん、気を悪くしたかな・・・まぁ、そんなこと気にする人じゃないか」
「・・・それはどうかな」
「えっ・・・だってどう見ても二人ラブラブだし、今更さ・・・波留さん、大人だしね」
裕樹はすっかり波留を大人の男として認めたようだ。
「そうなんだけど。大人の男にだって色々あるわけですよ」
崎野は弘樹に含み笑いを向ける。
「色々って?」
「お前は爽やかだからなー・・・まっ、たまにはちょっとドロドロしてみるのも悪くないかもって話だよ」
「?」
崎野の言葉が理解できない裕樹は暫く立ち止まって考えて・・・またその背中を追いかけた。
- 93 :
-
「ごめんね、待たせちゃって」
ビールのジョッキを手にしながら謝る波留。
「いえ・・途中で裕樹たちが来たし、あっという間でした」
可南子は楽しそうに笑っている。
「なんか悪かったね。盛り上がってたのに」
「そんなっ・・・早く帰れって言ってたんです」
「そうなの?」
「はい・・・」
可南子がさっきの裕樹の冷やかしを認めるように、照れながら言った。
そんな可南子の本意を嬉しく思いながらも、波留の気持ちは晴れなかった。
可南子の・・・崎野に向けられた笑顔が頭から離れない。
「あれから・・・何度か会ってたの?」
聞いてどうなるものでもないのに、なんでこんな事を口走ってしまったのかわからない。
「え?」
「いや、別にいいんだけど」
「あ、かず・・崎野くんと?・・・会ってないです・・・一緒に暮らすようになってからは・・・」
「・・・そっか」
波留は可南子の顔を見ることができない。
可南子はそんな波留の横顔を見て・・・何かを悟ったように話出した。
「その前は何度か・・・離婚しようって話になったとき・・・心配してくれて・・・
あ、彼も結婚に失敗してて・・・後悔しないようにって気にかけてくれて・・・」
「・・・そうだったんだ」
自分が傷つけ苦しめてしまった可南子に、崎野が寄り添ってくれていた・・・。
二人がもう割り切った関係で、昔なじみの友人に戻っているのは解っている。
それでも、波留の心は大きく波立った。
「ごめんなさい、黙ってて・・・」
「いいよ。こっちこそごめん、変な事聞いて・・・」
そこから先は、可南子と何を食べて、何を話したか覚えていない。
波立った気持ちのやり場を無くした波留は、ただ酒をあおるしか無かった・・・。
- 94 :
-
マンションに帰って・・・ソファに身を投げるように座る波留。
大きくため息をつく。
「大丈夫ですか?あんまり食べずに飲みすぎるから・・・」
可南子は心配そうに波留に水を手渡す。
「・・・ごめん・・・ありがと」
その水を飲み干してから、波留はソファのクッションに突っ伏すように倒れこんだ。
床に座った可南子が、そんな波留の乱れた髪を優しく撫でる。
「なんか・・・あったんですか?」
「・・・別になんもないよ・・・」
可南子が顔を覗き込むが、波留は目を合わせようとしない。
「・・・なんか怒ってます?」
「・・・怒ってないよ・・・」
波留は可南子の質問にただ淡々と返すが、若干呂律が回っていない。
「波留・・・こっち向いて」
可南子が顔を近づけてきて、波留はやっとその顔を見つめた。
酔いが回り、目が据わっている。
「・・・かず・・崎野くんと会ってた事・・・気にしてるんですか?」
可南子は遠慮がちに聞いてみる。
「違うよ」
否定する波留。
「でも・・・」
二人の間に沈黙が流れる。
「私は何も・・・ただ彼が心配してくれただけで・・・私はずっとあなたのことが気になって・・・」
今の、酔っている波留に言ってもしかたがないのかもしれないが、言わずにはいられなかった。
波留は黙ってそんな可南子の顔を見つめている・・・。
- 95 :
-
「・・・なんか言ってください」
沈黙に耐えられなくなって口火を切る可南子。
いつもの波留の澄んだ優しい瞳はそこにはなく、酒に澱んだ目で怒ったような、拗ねたような顔をしている。
「・・・なんでだよ」
「・・・え?」
「・・・あんな顔して、笑うなよ」
「・・・いつですか?・・・誰に?」
「・・・・・」
「あ・・・・・崎野くんに?」
その名前を聞いてカッとしたように、波留はガバッと体を起こした。
「そんな・・・笑うって・・・何にも意識なんてしてないですし」
「・・・・・」
「もう昔のことで、彼とはとっくに・・・あっ・・・!」
言葉の途中で、波留は可南子を引っ張り上げるようにして抱きしめた。
そのままソファに押し倒される。
「・・・波・・・んっ」
有無を言わさぬ勢いで、口を塞ぐように乱暴なキスをしてくる。
舌が、荒々しく口内を犯してくる。
息苦しく、酒の匂いにむせるようで、可南子は思わず顔を背けた。
波留はなおも獰猛に首筋に強く吸い付き、跡をつけてくる。
- 96 :
-
「痛いっ・・・」
可南子は手で押し返そうとするが、波留の体はビクともしない。
「だから・・否定すんなって・・・」
「・・・だって・・・んっ」
可南子が言葉を挟もうとすると、暴力的な唇にさえぎられる。
そうしながら、波留は可南子が上に着ているカットソーの中に手を潜り込ませ、ブラ越しに胸をまさぐってくる。
それにも飽き足らなくなったのか背中に手を回し、ホックを外される。
乳房を乱暴に掴んで揉み上げ、先端の蕾を押しつぶすように指で弄ばれる。
可南子の下腹部に電流のように疼きが走ったが、気持ちがどうしてもついていかない。
このまま・・・こんな風に抱かれるのは嫌だ・・・。
「波留っ・・・やめて!」
可南子が振り絞った強い拒絶の言葉で、波留の動きがようやく止まった。
静まり返った部屋に、二人の荒い息遣いが響く。
「・・・波留・・・どうしたの?」
可南子の首筋に顔を埋めたまま、波留は動けないでいる。
「・・・・・嫌なの?」
波留の声が低く響いた。
「そんなことないけど・・・波留・・なんか変だし・・・」
「・・・・・」
「・・・ちょっと、怖いです」
「・・・・・・・・・ごめん・・・」
謝る気弱なその声が心配になって、可南子は波留に腕を回し抱きしめた。
- 97 :
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「ちゃんと話・・聞いてください」
「もういいよ・・・・・わかったから」
「ほんとですか?」
「・・・うん・・・最初からわかってる」
「じゃぁ・・・どうして・・・」
波留は大きくため息をついて、観念したように言葉を吐いた。
「見たくなかったから」
「・・・」
「可南子が・・・あんな風に笑うとこ、見たくなかった」
「・・・」
「・・・見せたくなかった・・・」
「・・・波留・・・」
切なく寂しげな告白に・・・可南子は愛しさが込み上げて、波留を抱く手にギュッと力をこめた。
波留は可南子の胸に抱かれて「うー・・・・」っと低く呻っている。
「ごめんね・・・波留・・・もうしないから」
可南子は波留の背中を擦ってやる。
「・・・もういいよ・・・悪かった」
「うん・・・はい・・・じゃぁ・・・・・優しくしてくれますか?」
「・・・・・え?」
波留がムクリと顔を上げて、可南子を見つめてくる。
可南子はその少年のような甘える瞳に、引き寄せられるようにキスをした。
「続き・・・優しくしてください・・・」
「・・・いいの?」
可南子はフワリとたおやかな笑顔を波留に向ける。
「・・・可南子ぉ・・・」
そして波留はその晩も・・・可南子の優しい体に溺れた・・・。
- 98 :
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翌朝・・・可南子がベッドで目覚めると、先に起きた波留が心配そうに見つめている。
「・・・おはようございます」
「うん・・・おはよう・・・」
気まずい顔をして、目が泳いでいる。
「波留・・・昨日の晩のこと、憶えてますか?」
「はい、だいたい・・・憶えてます」
「・・・なんか言いたい事でもあるんですか?」
「はい・・・・・可南子、ごめんっ!」
波留があまりに情けない顔で謝ってくるので、可南子は噴出すように笑って、波留の胸に抱きついた。
「・・・なんで笑うんだよ」
「だって・・・」
笑いが止まらない可南子に、拗ねる波留。
「酔っ払いさん・・・」
「はい、すみません」
「酔っ払いの・・ヤキモチ焼き・・・」
「・・・うっ・・・それを言うなって・・・」
うなだれる波留に、可南子は優しく口づけた。
「波留・・・大好き・・・」
END
- 99 :
- 以上です。
なにぶん波留さん酔っぱらってますので
ややカッコ悪いのはお許し下さい
素敵なリクエストありがとうございました
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