2013年10エロパロ561: エロなしSS総合スレ (86)
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エロなしSS総合スレ
- 1 :2012/03/10 〜 最終レス :2013/09/01
- エロなしSS総合スレです。
- 2 :
- 【この板の趣旨】
一般向け作品(漫画/アニメ/ゲーム/小説/ドラマ等)のエロ妄想・萌え談義、
およびオリジナル・パロディを問わないエロ小説創作等を行う板です。
エロなしは“創作発表板(http://engawa.2ch.net/mitemite/)で十分だろ
- 3 :
- SS速報でやれ
- 4 :
- 意味がわからん
- 5 :
- 過去スレはこちら
エロくない作品はこのスレに
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1062/10624/1062491837.html
エロくない作品はこのスレに 1+
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1064/10645/1064501857.html
エロくない作品はこのスレに2
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1073364639/
エロくない作品はこのスレに3
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1089502253/
エロくない作品はこのスレに4
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1104414812/
エロくない作品はこのスレに4 (+)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105002475/
エロくない作品はこのスレに5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1128600243/
エロくない作品はこのスレに6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1140876291/
エロくない作品はこのスレに7
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161876969/
エロくない作品はこのスレに8
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1198090558/
エロくない作品はこのスレに9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199377879/
エロくない作品はこのスレに10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280504220/
エロくない作品はこのスレに・10+
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286113682/
- 6 :
- 過去作品はこちら
2chエロパロ板SS保管庫
http://red.ribbon.to/~eroparo/
→ENTER →その他のジャンル、ノンジャンルの部屋 →エロ無し作品の部屋
- 7 :
- >>1
復活乙!実は待ってた
- 8 :
- 保守
- 9 :
- 本番ありかどうか、ってこと?
本番なし微エロ作品は大歓迎だ
- 10 :
- >>9
【本番無】エロパロ板の微エロ!ちょいエロ!スレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286447109/l50
- 11 :
- 保守
- 12 :
- 保守
- 13 :
- 保守
- 14 :
- 保守
- 15 :
- 保守
- 16 :
- 保守
- 17 :
- 1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
5. ファーランド サーガ1、2
6. MinDeaD BlooD
7. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
- 18 :
- 寸止めスレ無くなってたんだな
結構好きだったのに
- 19 :
- 保守
- 20 :
- エロ無しスレ懐かしいな
復活したのか
- 21 :
- 保守
- 22 :
- 保守
- 23 :
- 保守
- 24 :
- 保守
- 25 :
- 保守
- 26 :
- 保守
- 27 :
- 保守
- 28 :
- 保守
- 29 :
- 本番あるのにエロくない話でもセーフですか!? ><
昔、エロ話書いて、「エロ書きに俺は成れない…orz」 と
色んな意味で絶望させられた感想を言われて、。・゚・(ノД`)・゚・。 した思い出があるんで
(叩かれた感想じゃないんですが…)
そういうのは駄目ですか!? ><
- 30 :
- 保守
- 31 :
- 保守
- 32 :
- 保守
- 33 :
- 1〜8番の二次創作小説SS(Side Story)のコミケや通販予定はないでしょうか?
1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
5. ファーランド サーガ1、2
6. MinDeaD BlooD
7. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
8. アイドルマスターブレイク高木裕太郎
- 34 :
- 1〜8番の二次創作小説SS(Side Story)のコミケや通販・ダウンロード販売予定はないでしょうか?
1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
5. ファーランド サーガ1、2
6. MinDeaD BlooD
7. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
8. アイドルマスターブレイク高木裕太郎
- 35 :
- 保守
- 36 :
- 保守
- 37 :
- 狼の日 The Day of Werewolf
その日はとても晴れた日で、とても暑っ苦しい日だった。
わたしは暑いのが嫌いだ。特に夏にはよけいに嫌いになる。
けれどもその日は、暑い日にしては機嫌がよかったと思う。
そのときまでは。
「ね、ケン。あしたは、いっしょにどこか行こっか」
講義が終わって、わたしはルーズリーフをまとめながら、
それとなく聞いた。
「あした?」隣からの声。「えっと……いや、ぼく、あしたは
ダメなんだ」
「え、どうして?」
「それは、その」
「なんなのよ」
「だから……あ、そうだ、あさってなら、ぼく、午後は講義ない
から。あさって、どこか行こうよ、エリイ」
わたしはしばらく黙ってから、言った。
「あのさ。あした、何の日かわかってる?」
「え、火曜日だよ。平日の」
「ふーん……そう。わかんないんだ。わたしの誕生日」
あ、と短い声が聞こえた。わたしはぎろりと横目でそっちを
見た。しまった、どうしよう、絶対おこってる、と表情で言っている
顔がそこにある。見慣れた顔。なんでこんな表情を見慣れてるのよ。
何人かがそそくさとわたしたちの脇を通り抜けて教室を出ていった。
「え、あ、そ、そうだね。もちろん、それはわかってたんだけど」
「じゃ」わたしはまだ我慢していた。「あした、どこ行く?」
「だから、あしたは……ダメなんだよ、どうしても。ごめん、
本当に」
「そう。わたしの誕生日より大事な用事があるんだ」
一瞬、彼がとても悲しそうな顔になった。
「ごめん、エリイ」
それから、わたしが何を言ったか、わたしは覚えていない。ただ、
そのとき教室に残っていた連中は、教授を含めて誰もわたしに注意
しようとはしなかったから、きっと冷静だったんだろう。そぉおよ、
彼女の誕生日を知っててバックレる男になんて、熱くなる必要が
あるもんですか!
†
「で」と、呆れた声。「ノロケ話は、以上? 帰っていい?」
「待って」わたしは言った。「まだまだ、愚痴りたいことが山ほど
あるんだから!」
「あ、そ。ケンくんもかわいそうだけど、あたしもかわいそう。
こんないい天気の午後に、痴話ゲンカの愚痴を聞かされるんだもの。
給料もらっていいくらいだわ」
「おごったるわよ! チョコパフェふたつ!」
どん、とテーブルにクリームソーダのグラスを置くと、バイトの
ウェイターがびくっとして、ただいまお持ちします、と駆けていった。
なによ、どいつもこいつも、意気地ってもんがない!
「それで?」わたしの向かいに座る、髪の長い友人が言う。美人。
「ケンくんの用事って、なんだったの?」
「あの日よ、あの日」
- 38 :
- 「あの日?」首をかしげ、「あ、そっか。明日、満月だもんね。
じゃ、しょうがないじゃない、怒る筋合いないわよ」
納得顔にスプーンを向けて、わたしは言ってやる。
「じゃ、ユキは、生理の日なら彼氏の誕生日すっぽかすわけ?
ふーん、あっそう」
「ちょぉっと、エリイ。あんた、うら若き乙女でしょうが。言葉くらい
選びなさいよ」
「あいにく乙女ではござません! だいたい、満月は月に一度
だけど、わたしの誕生日は年に一度なのよ。重要性が十倍くらい
違うじゃないの」
「あんたねえ……」と言って、また笑う。わたしは笑われる方、
ったく。「ケンくんはさ、あんたのことが心配で言ってるのよ。
普段はあんなでも、ケンくんは……」
「狼男」わたしは言った。
「それはNG」ユキが言う。「遺伝性呪縛型定期狼状変性病。
通称ローレンス・タルボット病。男女ともにかかる病気よ。
医学部のはしくれとしては指摘しておきたいわねえ」
「そんなの関係ないわよ。狼男になるんでしょ、あいつは、
満月の日にさ。だから、わたしの誕生日をすっぽかしても
しょうがないし、怒っちゃいけないし、わたしはにこにこ笑って
『大変だったね』って言ってあげなきゃいけないんでしょ。
わかってるわよ、こんちくしょう!」
「ごめんね」という言葉は、わたしに向けられたものではない。
「追加で、ベイクドチーズケーキおねがい。一つでいいわよ」
「ふたつ」
わたしはぽつりと言って、ウェイターが大声で復唱した。
†
伊津城ケン。19歳。出身地は千葉。C大学教育学部(6年制)
在籍、2年生。小学校から高校の成績はオール5、ただし体育を
除く。ちなみに、わたしは、体育も5。
6歳のとき、両親を亡くす。千葉県T市の孤児養育施設に引き
取られ、中学校卒業までをそこで過ごす。なお、7歳のとき、
遺伝性呪縛型定期狼状変性病であることが公的検査で確定、
特種特定疾患認定を受ける。10歳のとき、読書感想文コンクールで
文部科学大臣賞受賞。ちなみに、わたしは11歳のとき、小学校
魔法技術作品展で最優秀賞を受賞。
15歳、県内の公立高校に進学。18歳、C大学合格、入学。
現在、身長およそ195センチ、体重およそ70キロ。血液型はAB型、
趣味は読書、好きな食べ物はかき氷のグレープフルーツ味、
嫌いな食べ物はレバー。なんでレバーが嫌いなのか、わたしには
理解できない。
†
「そういうあんたはさ、ケンくんが狼になってるの、見たこと
あるの?」
チョコパフェを一瞬で平らげた我が友人が聞いた。羽場山ユキ。
美人。ときどき腹が立つほど美人。
「ないわよ」わたしはスプーンをアイスに突き刺した。「孤児院に
いたころは、満月の日は『お休みの日』だったもの、あいつ」
アイスをまるまる一つ持ち上げて、ぱくりと一口。幸せな一瞬。
- 39 :
- 「ふぅん。ケンくん、子供の頃はもっと可愛かったんでしょうねえ。
写真とか、ないの?」
「あるけど」言って、すぐに取り消す。「いや、やっぱ嘘」
「なぁによ、もったいぶる。見せて減るもんじゃないでしょ」
「ケンが写ってる写真、だいたいわたしも写ってるの。あんた、
小学校の頃の写真、わたしに見せたい?」
「全力でお断りするわ。でも、そっか、その頃から、あんたに
べったりか。それとも、あんたの方がべったりだったのかしら?」
「お勘定、ワリカンにする?」
ユキは黙った。黙って、画像が表示されたパッドをわたしに
よこして見せる。
高校の頃のわたしだ。それにユキ。それにケン、あいつ。私立高に
行ったわたしが、あいつを誘って海に連れていってやったのだ。水着姿の
わたし、ユキ、その真ん中で頬を染めている、頭ひとつ出た少年。
学校の制式水着。耳をぴんとさせているのは緊張の証拠。
「こんな写真、まだ残ってたんだ」わたしは思わず言った。
「あんた、写真は残さないタイプよね。普通、アルバムは大事に
するものよ」
「ときどき、むなしくなるのよね。思い出の中じゃあんなにキラキラしてた
出来事が、写真で見ると、大したことなくって」
「彼のことも、そう?」口を傾け、ユキ。「ずいぶん幻滅してたじゃない、
あのとき」
「そうじゃないわよ」わたしは素直に笑う。「ぜんぜん変わってなくて、
子供の頃のまんまで、ガッカリしたの。3年も離れれば、ずいぶん
大人になってるんじゃないかって、思ってたのにさ」
「あんたの方は、どうだったのよ」ユキが口元で指をそろえる仕草。
あのころはまだ、吸ってたんだろうな、こいつ。「で、今は? もう
したの? まだよね、そんな中学生みたいな喧嘩してるんじゃ」
わたしは黙った。少し、不意打ちだった。
「向こうにその気がないんじゃ、できるもんもできないわよ」
わたしはそれだけ、なんとか言った。ユキは黙って、どこか斜め上の
空間を見つめている。人の腹を立たせる方法を、たくさん知ってる女。
なんで、こんなのと友達になったんだろう、わたしはときどき思う。
向こうもそうかな。
「男ってのは、基本的に狼よ。獰猛な狼も、臆病な狼もいるけどね。
狼は、同じ狼は襲わないもの。ましてや噛みつかれるかもしれない狼、
孤独で何を考えているかわからない狼はね」
「どういうことよ」
チーズケーキが運ばれてきた。ウェイターが何も聞かずに、レシートを
置いて慌てて去っていった。わたしたちは黙々とケーキを切り刻んで
食べた。
「怖いのよね、誰だって、最初は」
- 40 :
-
†
ベッドに寝転がって、アルバムを開いた。先生がくれたアルバム。
15歳の頃までのわたし。わたしたち。
8歳のケン。わたしの後ろにいる。長い前髪に目が隠れそう。
今見ると、ほんとにこの頃のあいつは、子犬みたいに見える。尻尾を
振って、短い足で必に、わたしの後をついてくる。ときどき転んで、
泣いて、わたしに叱られて、先生になぐさめられる。まだ、この頃は、
ケンちゃんって呼んでたはず。
11歳のケン。本を読んでいる。机に座って、姿勢よく。わたしは
その隣で、紙に何か書いている。きっと、将来の夢だろう。落書き
ではないはず。この頃、背が追いつかれた。とても腹が立った記憶が
ある。
14歳のケン。学生服。この頃にはもう、あいつの肩が隣にある。
そのくせ、さえない髪型に、だっさい眼鏡のおかげで、身長の恩恵が
まるで無駄になっている。そう、この頃、満月の日はあいつに決して
会えなくなった。先生が会わせてくれなくなった。ごめんね、エリイ。
ケンちゃんは、今、がんばってるから。
15歳のケン。わたし。卒業式の日。二人がはじめて、別れる日の前。
先生は笑っている。ケンも笑っている。わたしは、そうでもない。先生、
ぜんぜん変わんないな。いまも、そうなのかな。
†
ケンのマンションに来るのは初めてではなかった。オートロック
だけど、裏の通用口がいつも開いているのは知っていた。郵便受けの
天井に合鍵が貼り付けてあるのも知っていた。わたしはドアの前に
立つ。この時代、馬鹿正直に名札が掲げてある。
呼び鈴を鳴らす。出ない。オートロックの玄関で呼んでも出なかったのだ。
本当に留守である可能性もある。ほんとのことを言うと、わたしは少し
だけ、いやかなり、そちらの可能性を望んでいたのかもしれない。
鍵穴に差し込んで、回す。小さな音がして、鍵は開いた。ドアを開ける。
外の夕闇色の光が部屋に差し込む。部屋は真っ暗だった。
かすかに、汗のにおいがした。何も見えない。冷蔵庫の低い
うなりがうるさく聞こえるほどに静か。靴を脱ぐ。電気をつけようとして、
やめる。寝ているのかもしれない。
そっと、キッチンと居間の間の戸を開ける。闇に慣れてきた目に、
空っぽの部屋が映る。エアコンはついていない。外と同じ空気だった。
ベッドの布団が乱れているけれど、それ以外に人の気配はない。
わたしは息をついた。拍子抜けか、それとも、安心したのか。
油断していたのは、間違いない。背後に現れた人影に、まったく
気付かなかった。
「あ」
とん、と押された。強い力ではなかった。それだけで、かんたんに
人は倒れるんだ、ということを知った。倒れた先がベッドでよかった、
と、そのとき、回らない頭の中で思った。
- 41 :
- カーテンの隙間から、闇色の光が長い四角形に差している。影が
その暗い光の中に入った。わたしは言った。
「ケン、っ……」
見えなかった。ほんの瞬きした一瞬、その影が、わたしの上に
覆いかぶさっていた。熱を感じる。体温。影なのに。吐息の感触が
ある。長い前髪が、わたしのおでこに触れる。そして、
「あ」わたしは言おうとして、舌がもつれた。「え、あ」
その眼が、わたしを見ている。眼鏡はなかった。瞳の中に、わたしの
顔。瞳の色は、血のように真っ赤。瞳のなかに血まみれのわたし。
おびえたわたし。瞳に、顔に、表情がない。普段から、表情のパターンが
少ないと思っていた、その顔が、今、本当に、人間の表情がない。
獲物を見るけものの目だ。
低いうなり。冷蔵庫ではない。目の前の口から漏れる声。声では
ない。喉が鳴る音。遠吠えでも、叫びでもない、ただうなるだけなのに、
それはわたしの心の深いところに響いて、反響する。わずかに
開かれた口、長い歯、牙が見える。わたしは背筋の芯からぞっと
するような冷たいものを感じた。それは原初の恐怖、人がまだけもの
だった時代の恐怖、
――たべられる。
ケンと、おなじ顔なのに、おなじ顔をしているのに、そこには、
けものの影がある。本能的に、押しのけようとして、強い力で手首が
抑えられる。痛いくらいに。こんな力があるなんて、知らなかった。
ケンが、わたしに痛いことをしたことなんて、なかった。
音も無く、口が開いた。歯。牙。歯並びのいい、きれいな口。ひ、と
わたしの口から空気が漏れた。悲鳴のかたちを成しえなかった一筋の
空気。その喉笛に、牙が振り降ろされて、わたしは目を閉じた。
布が引き裂かれる、嫌な音がした。
私は目を開けた。布の切れはしをくわえたけもの。シャツの胸が引き
千切られていた。顎と首の力だけで。今気付いた。ケンは、それは、
裸だった。わたしを抑えつける手は筋肉が盛り上がっていた。こんなに
男らしい身体だったんだ、わたしはまた、はじめて知る。
そしてもうひとつ、気付く。わたしの脚に押し当てられた、熱いもの。
硬いもの。けものの手がわたしのシャツを、胸から裾まで引き裂く。
吐息が鼻にかかる。わたしの本能が言う。
交尾しようとしているんだ、
「や……」わたしの声。「や、やだっ……」
それが腰を上げ、闇の光に、信じられないほど大きく怒張した
それが照らされる。先はぬらぬらとぬめって、わたしの腿にぽとぽとと
汁が落ちる。
「やだ」わたしは言った。人間の声で。「やめて……嫌」
手が、わたしの喉を絞めた。わたしはその奥から声を絞り出した。
嫌。こんなのは、嫌。けものの唾が、わたしの頬に落ち、涙と混じって
したたる。嫌。
「嫌よ!」
痛みの記憶。またひとつ。
- 42 :
-
†
冷蔵庫の中には食材が揃っていた。わたしが調理法を知っているのは、
その中で卵くらいだった。フライパンに、卵を落とす。ひとつの命に
なるかもしれなかった卵。産まれなければよかった命。偶然が、ふたつを
分けて、偶然が、わたしを生かしている。
ケンはベッドの上で膝を抱えて、うずくまっている。わたしの血が残る
ベッド。
「ちょっと」わたしはフライパンを見ながら言った。「なんか、逆じゃないの。
わたしの方が、落ち込みたいわよ」
ごめん、という、声の残滓のようなものが聞こえた。
†
「嫌だったの?」ユキが言った。
「そう。わたしは、ケンとしたかったの。狼とではなくて」
「本当に?」
「ケダモノは、嫌」
「ケンくんとしたかったのか、って聞いてるの」
†
わたしは目玉焼きをひとりで食べた。口の中で、卵と血の味が混じる。
まだどこか切れているようだった。
「ケン」わたしは言う。「あんたの分、あるから」
答えは無い。
「ぼく」小さな声。「ぼく、全部覚えてる」
「当たり前でしょ」わたし。「忘れてたら、承知しないわよ」
「あんなつもりじゃなかったんだ」
「どんなつもりだったの?」
「ぼくは、ただ……」
「ただ?」
「ただ……」
「したかったんでしょ。交尾」
答えは無い。
†
「痛かった?」
「ぬほど」
「身体の方? 両方?」
†
「中学生になって、最初の夏だった」ケンは言った。「その日も満月
だった。ぼくは病気のことは知ってたけど、それまでは、満月も、
そうでない日も、病気のことなんて気にもしなかった。しないでよかった。
でも、その日は違った……」
- 43 :
- 「覚えてるわ。園の中の食べ物が、根こそぎ食べられてた。
盗まれたんじゃなくて。行儀のいい動物でも入りこんだみたいに、
きれいさっぱり」
「止められなかったんだ。食べても、食べても、全然足りなかった。
胃袋の中が、食べ物でいっぱいになるくらいに食べても、お腹が
すり切れそうになるようだった。井戸の側で倒れて、後のことは、
覚えてない。起きたらベッドの上だった。先生が、だいじょうぶ、
って言ってくれた。ぼくは吐いた。吐いたけど、なにも出て来なかった。
あんなに食べたのに、何も」
「そういえば、それからだったわね。満月の日、あんたに会えなく
なったの」
「ぼく、自分で言ったんだよ。満月の日は、手首と足首に、手錠を
してもらった。怖かったから。そうしないと、何をするかわからないから。
本当にわからなかった。盗み食いだけじゃ済まないかもしれない、
そう思った。確信した、のかもしれない。先生はそんなぼくを
みんなに見せたくなかったんだ」
「辛くなかった?」
「すごく辛かった。飢えにするかもしれないって、何度も思った。
でも、みんなに迷惑をかけるよりは、よかった。一日だけ我慢すれば
いいって、しばらくすると思えるようになった。そのうち、手錠も
必要なくなった。ひとりで本を読んで、空腹を紛らわして、いつのまにか、
寝られるようになった。――でも、」
「こういうことしたことは、あるの?」
ケンは黙った。わたしは目線を逸らした。そうしないと、いつまで
たっても黙り続けそうだった。
「あるよ」彼は弱々しく言った。また長い沈黙。「先生を……」
うつむいた顔から、嗚咽と、泣き声。そう。わたしのことより、ショック
だったんだ。
「あんなことをするくらいなら……鎖で縛られていた方が、ずっと、
よかった」
んだ方がよかった。そんなセリフ、はじめて聞いた。
†
「珍しいことじゃないわ。ローレンス・タルボット病患者の
ほとんどは、発症時の異常な欲求、特に食欲と性欲の過剰さに
悩まされているの。一種の不安障害を併発する人もいるわ。
精神的なもの以外にも、発症を境に代謝が異常に高まって、
凄まじい飢餓感と同時に、人体の限界を超えた力を発揮する
こともある。これが、人狼病と言われるゆえんよ。病の論理的
原因は未解読。ローレンス・タルボットに呪いをかけた魔法使いは、
もうんでるからね」
- 44 :
-
†
「先生は怒らなかった。でも、ひとつだけ、教えてくれた」
わたしは黙っていた。
「ぼくが子供を作ると、ぼくと同じ病気を、その子は持って
産まれるんだって。だから」
「そんなことはするな?」
「ううん」うつむいたまま、「よく、考えなさいって」
「先生は?」
「大丈夫だった。一度きりだったから」
わたしはお腹を押さえた。一度きり。確率は? わからない。
神様だって。
†
「患者数は世界で約千五百人。一部の国では福祉と引き換えの
生殖制限が課せられているけど、ほとんどの国にはそうした人権の
制約は無いわ。ただ、周囲の目がね。カウント・ドラクラ病ほど
じゃないにせよ、一定の差別はあるのが現実ね。理不尽だけどね、
望んでそう産まれたわけじゃないのに」
「差別って、みんな、そんなものじゃない」
†
ケンは解凍したご飯を食べていた。瞳は金色だった。泣き腫らして、
まわりが赤くなっている。わたしはじっとそれを見ている。
けもの。わたしはきのう、確かにそれを、同じこの顔の中に見た。
わたしの顔におびえている、同じこの顔に。人とけものを隔てるものは
なんなのだろう。理性? 知性? 愛? そんな言葉では片付けられない
何かを、わたしはきのう、見た気がする。けれどのその影は、ケンの
臆病な表情の中に溶けて、今はもう見えない。
「エリイ」ケンが、ご飯に目を落としたまま言う。「怒ってる?」
「怒ってないと思う?」
「ごめん」
「わたしは、あんたの母親でも、先生でもないから」わたしは言う。
「無理矢理されれば、怒るし、嫌になるわよ。それも、ゴムも無しに……
ったく、狼はいいわね、避妊なんて考えなくていいから」
「ごめん」
「謝ればいいと思ってない?」
「ごめん」ケンが言う。人の声で。「なんて言えばいいのかわからない
から、……ごめん」
わたしは立ち上がり、つかつかとテーブルを周って、ケンの脇に立った。
「エリイ、」と言いかけたくちびるを、ふさぐ。十秒。離れる。
「ケン。あんた、わたしのこと、好き?」
「え、あ」何が起こったか、わかっていない顔。「う、うん、それは」
「じゃあ、あんた、悔しくないの!」わたしの声。「自分じゃない、
なんだかわからないケダモノに、好きな人犯されてさ、悔しくないの!」
「あれは、ぼくだよ」
- 45 :
- 意外なほどの、即答だった。落ち着いた表情。
「だから、辛いんだ。ぼくのしたことだから……ぼくの望んだことだから」
ケンは黙る。わたしも黙った。
そっか。ひとのせいにしないんだ。昔みたいに。つまんないの。
†
「治療法は?」
「無いわ。遺伝子に刻まれた呪縛は、デコードだけでも数十年かかる。
それを制御、解体するためのプログラムは……コンピュータの世代が
いくつか進まないと、無理ね。あなたたちのひ孫の世代よ、可能性が
あるのはね。科学の限界。魔法の限界ね」
†
「ときどき思うんだ。ぼくの中には、ぼくの魂以外に、狼の魂が
あってさ。それが、月に一度だけ、燃え上がるように生きようとする。
ぼくが生きているあいだ、千日もない命、ぼくはそれを抑えつけて、
さなきゃいけない。罪のない魂が生きようとするのを、止めなくちゃ
いけない」
「あ、そう。わたしをレイプするのは、罪じゃないわけ」
「それは」頬を染める赤。「誰でもいいってわけじゃ、ないよ。狼の
本能と、ぼくの欲望が合わさって……歯止めがきかなくなって」
「先生、好きだったの?」
うつむいたのか、うなずいたのか、わかりゃしない。
「……どうして、好きな人を、傷つけてしまうんだろう」
好きだからよ、と言えなかった。わたしは、ケンを傷つけたこと、
あったかな。無いんだ、きっと。傷つけるのも、傷つくのも、怖かったから。
関係が壊れるのが、怖かったから。あのとき感じた、原始的な恐怖とは
違う、もっと臆病で、理性的で、人間臭い恐怖。子供じみた、幼い怖れ。
わたしがいちばん、臆病なのかもしれない。女になれていないのかも
しれない。慣れていない?
お腹を押さえる。鈍い痛み。
†
「遺伝性呪縛の一番の邪悪さは、男女としての営みを妨げること、
これね」
「本当に憎いなら、してしまえばいいのに」
「馬鹿ね。子子孫孫にも痛みを味わわせる、これはもう、相手ひとり
だけに収まる程度の恨み辛みじゃないのよ。遺伝性呪縛を練るには
人間の半生を捧げる必要があるの。末代まで祟る、日本的ではあるわ」
「狼男って、イギリス発でしょ?」
「そう。ケンくんには、いい迷惑よね」
「人間の関係って、イギリスから日本まで、よくも広がるものね」
「男女の愛は普遍よ。哲学じゃなくてね」
†
天井。ふたり並んで寝るには狭いベッド。
寝た振りをする彼。その手を握るわたし。
†
「素直になりなさいよ、いい加減」
- 46 :
-
†
わたしは服を来た。ぶかぶかのTシャツ。半分コートみたいな
ジャケット。なんとか、ストリートっぽく見えなくもない。靴を履く。
きのうから脱ぎっぱなしの靴。
「エリイ」また、背後から声。「また、会える?」
わたしは黙っている。紐を結ぶ。きついくらいに。
立ち上がる。さよなら、――背後から声。振り向く。
ごめんなさい、――わたしから声。
「え」驚いた顔。
「ごめんなさい、って言ってるの」その顔に、「あんたの言うこと、
信じてなかったから。あんたのこと、知らなかったから。知ろうと
しなかったから。しっぺ返しよ。彼女失格だわ、わたし」
「え、あ」また驚いて、「そんなこと、その」
「だから」その頬に手を、「挽回のチャンスをちょうだい。今度は、
わたしから……わたしから、好きになってあげるから」
その口にキスを。八重歯を舐める。硬くて、鋭い。わたしの舌
なんか、喉なんか、たやすく噛み切れる牙。わたしを、さなかった
牙。どうしてだろう。それは、狼の本能? 彼の欲望?
暖かい。体温を感じる。優しい体温。早鐘のような鼓動。耳に
触れると、怯えるように引っ込む。腕を背に回して、ぎゅっと抱く。
確かにそこにある身体。彼の身体。優しい魂に似つかわしくない
牙と、けものの影。
そのすべてが、彼。唇を離す。
「いいわね、ケン」わたしの声。
「あ……」いつもの、その声。おっかなびっくり、慌てて、転んで。
「ぼ……ぼく、ぼくも頑張るから! もっと、強くなって、狼なんて、
抑えられるようになるから! だから、その、あの、ぼく、いや、
オレを……」
その唇に、指を添える。
「いいのよ」微笑んで、「あんたは、あんたで。そろそろ、わたしも
変わらなくちゃ」
そう。変わらなくちゃいけない。
わたしの知らないあいだに戦って、かっこよくなった、わたしの
好きな人に、追いつけるように。彼の光も影も、受け容れられるように。
彼の中の孤独な狼を愛せるように。
そして、母親になれるように。
わたしは、狼になる。でも、一匹狼じゃない。狼男の奥さんになる。
決めたから、もう、怖がらない。怖くても、前に進み続ける。お母さんを
しらないわたしでも、きっとなれる。あのひとといっしょだから。
†
その日はとても晴れた日で、とても暑っ苦しい日だった。わたしは
暑いのが嫌いだ。海はなおさら嫌い。なんで、あんな塩まみれの
ベッタベタした水の中に入らなきゃいけないのか。罰ゲームじゃないん
だから。そんな暑い日に海にいれば、もちろんわたしは不機嫌だけども、
それにはまた別の理由もあった。
- 47 :
- 「はぁい、ケンくん。ひさしぶり」
「あ、ゆ、ユキさん……おひさしぶり、です」
「なによ、水臭い。ユキでいいのよ」
「は……はい」
「ケン!」わたしは黙っていようと思ったけど、こらえきれずに言った。
「目線、いやらしいわよ。なによ、恥ずかしい、っとに」
「な、あ」頬を染める彼。「ち、違うよ、そんなんじゃ」
「いいのよ、ケンくん。水着は他人に見せるために着てるんだから。
こんな場所じゃ、なおさらね」
「は……はあ、そうですか」
「あのね、露出狂の常識を一般常識にしないでくれる?」
「あらあら。さすがに、裸を見慣れ合ってる二人の前じゃ、わたしも
形無しかしらね」
「な」ごくんと、噛みきれていない麺を飲み込む。「な、な、何を
言い出すのよ、こんなとこで!」
思わず焼そばを片手に箸を片手に立ち上がったわたしに、
冗談よ、と笑った声がかけられる。わたしはケンを見る。ちょっと
照れくさそうに、頬をかく男。なんでわたしの方が恥ずかしがってるのよ!
「ケン!」
「は、はい!」ぴんと立つ耳。
「かき氷みっつ。わたしはいちご」
「あ、わたしはブルーハワイね」
こくこくとうなずいて、砂に足を取られながら走って行く、ウェイター、
もとい、わたしの彼氏。尻尾がぱたぱたと揺れる。それを見つめる
わたし。
「泳がないの?」ユキ。
「別に」わたしはプラ容器に残った紅しょうがを見ている。「他に、
言いたいことあるんでしょ。言いなさいよ」
「そうね……。私生活の方、順調?」
「わたし、学生なんだけど」
「答えたくないなら、いいの。どうせそのうちわかるし」
「何よそれ」わたしは笑う。「……うん、思ったより、順調かも」
「幸せ?」
「うん」
「夜の方も?」
「それは、ノーコメント」
「そう? あの子、甘えんぼでしょ。子犬みたいに……いっしょう
けんめいにしてくれそうよね。がんばって、無我夢中でさ。違う?」
「……ノーコメント」
「そういうときは、嘘でも、違うっていうものよ」くすりと笑い、
「うらやましいな。ま、男ってのはみんな、甘えんぼだけどね」
わたしは少し黙った。口を開く。
「あんたの場合、すっぱいブドウの逆よね。あれもオオカミだっけ?
すぐに手に入れられるのに、それがとても高尚なものだと思って、
ためらうのよ。怖いんでしょ、スレた自分が触れるのが。汚して
しまうのが。そう思って、手を出せない自分を、正当化する」
「人はみんな、怖がりよ。男も女も」ユキは静かに答える。
「怖いから、いっしょにいたいのね。……愛なんて崇高なもの
じゃないわ、人は動物の、けものの仲間だもの。男も女も、
父も母も、子も……ひとが動物であることの、あかし」
砂浜の向こうから、彼が駆けてくる。両手にかき氷。自分の分は
どうしたんだか。彼が転んでしまう前に、わたしは自分から、彼に
近付いていく。支えようとする。たとえ力が及ばなくても、いっしょに
転んで、砂だらけになって、いっしょに泣く。いっしょに笑って、
いっしょに苦しむ。辛いことでも、ふたり離れているよりは、辛く
ないから。あの人への思いから目を逸らすよりは、まっすぐで、
自分に正直な生き方だと思うから。
狼の日は、狼になろう。いっしょに。
- 48 :
- おわり。レイポは書けないわ( ´`)
- 49 :
- GJ
投下乙
- 50 :
- 乙
- 51 :
- 幾多のキュゥマミSSを見たがいまだにこのネタを使ったキュゥマミSSはない
パターン1
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ちされた」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1304834183/1
パターン2
QB「うううっ……マミ、どうして、んじゃったんだよ、マミを蘇らせて欲しい」
まどか「私の願い事はマミさんの蘇生。叶えてよインキュベーター!」
パターン3
マミ「あなた誰なの?」 QB「前の個体は処分した」
QB「『前の僕』、は精神疾患を『患い』かけていたからね。『僕達』にとっては、『煩わしい』存在でもあったしね」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
5. ファーランド サーガ1、2
6. MinDeaD BlooD
7. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
8. アイドルマスターブレイク高木裕太郎
SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
- 52 :
- 1. 初恋ばれんたいん スペシャル
初恋ばれんたいん スペシャル PS版は あまりのテンポの悪さ,ロードは遅い(パラメーターが上がる度に、いちいち読み込みに行くらしい・・・)
のせいで、悪評が集中しました。ですが 初恋ばれんたいん スペシャル PC版は テンポ,ロード問題が改善して 快適です。
(初恋ばれんたいん スペシャル PC版 プレイをお勧めします!) 初恋ばれんたいん スペシャルはゲームシステム的にはどうしようもない欠陥品だけど。
初恋ばれんたいん スペシャル のキャラ設定とか、イベント、ストーリーに素晴らしいだけに SSがないのが とても惜しいと思います。
(初恋ばれんたいん スペシャル PC版は XPで動作可能です。)
2. エーベルージュ
科学と魔法が共存する異世界を舞台にしたトリフェルズ魔法学園の初等部に入学するところからスタートする。前半は初等部で2年間、後半は高等部で3年間の学園生活を送り卒業するまでとなる。 (音声、イベントが追加された PS,SS版 プレイをおすすめします。)
同じワーランドシリーズなのに ファンタスティックフォーチュンSSは多いのに似ている 魔法学院物なのに ネギま、ゼロの使い魔 SSは多いのに
エーベルージュのSSがほとんどありませんでした。
3. センチメンタルグラフティ2
センチメンタルグラフティ1のSSは多いのにセンチメンタルグラフティ2のSSがほとんどありませんでした。
前作『センチメンタルグラフティ1』の主人公が交通事故で亡したという設定でセンチメンタルグラフティ2の
主人公と前作 センチメンタルグラフティ1の12人のヒロインたちとの感動的な話です
前作(センチメンタルグラフティ1)がなければ センチメンタルグラフティ2は『ONE 〜輝く季節へ〜』の茜シナリオ
を軽くしのぐ名作なのではないかと思っております。(システムはクソ、シナリオ回想モードプレイをおすすめします。)
4. ONE 〜輝く季節へ〜 茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司のSS
茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司を主人公にして、
中学生時代の里村茜、柚木詩子、南条先生を攻略する OR 城島司ルート、城島司 帰還END(茜以外の
他のヒロインEND後なら大丈夫なのに。) SS
5. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
個人的には 「呪い」 と「花言葉」 を組み合わせた百合奈 シナリオは Canvas 最高と思います。
Canvasの他のヒロイン SSは多いのに Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSSがほとんどありませんでした。
6. ファーランド サーガ1、ファーランド サーガ2
ファーランド シリーズ 歴代最高名作 RPG
- 53 :
- 7. MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂曲〜
似ている 伝奇バトル吸血鬼作品なのに 月姫、Fate、痕(きずあと) SSは多いのに
MinDeaD BlooDのSSがほとんどありませんでした。
8. Dies irae
9. Phantom of Inferno
END.11 終わりなき悪夢(帰国end)後 玲二×美緒 SS
10. 銀色-完全版-、朱
『銀色』『朱』に連なる 現代を 背景で 輪廻転生した久世がが通ってる学園に
ラッテが転校生,石切が先生である 石切×久世 SS
11. TYPE-MOON
(1) 逆行最強化断罪スーパー慎二がペルセウスを召還する SS
(2) 凛がイスカンダルを召還するSS
(3) 逆行最強化慎二 OR 四季が 秋葉、琥珀 OR 凛を断罪する SS
(4) 原作知識有憑依最強化( 漫画・アニメ・ゲーム すべての作品 技術使用可能。 EX) ダイの大冒険、bleach、エヴァ)
慎二 OR 四季が秋葉、琥珀 OR 凛を断罪する SS
(5) ロアの転生体が 慎二
(6) アルクェイドに 吸血されて 徒化
12. ゼロの使い魔
(1) 原作知識有 助演 憑依転生最強化( 漫画・アニメ・ゲーム すべての作品 技術使用可能。 EX) ダイの大冒険、bleach、エヴァ)SS
(ウェールズ、ワルド、ジョゼフ、ビダーシャル)
(2) 原作知識有 オリキャラ 憑依転生最強化 SS
(タバサ OR イザベラの 双子のお兄さん)
13. とある魔術の禁書目録
(1) 垣根 帝督が活躍する OR 垣根帝督×麦野沈利 SS
(2) 原作知識有 垣根帝督 憑依転生最強化( 漫画・アニメ・ゲーム すべての作品 技術使用可能。 EX) ダイの大冒険、bleach、エヴァ) SS
(3)一方通行が上条当麻に敗北後もし垣根帝督がレベル6実験を受け継いだら IF SS
- 54 :
- 14. GS美神
(1) 逆行最強化断罪 横島×ダーク小竜姫のSS(非ハーレム 単独カップリング ルシオラ も除外 )
15. EVA
(1) 逆行断罪スーパーシンジ×2番レイ(貞本版+新劇場版)のSS
(2) 一人目のレイがなないで生存そのまま成長した一人目のレイが登場する(二人目のレイは登場しない)
P.S
エヴァンゲリオンのLRSファンフィクションで、レイの性格は大体二つに分かれます。
1.白痴幼児タイプのレイ
LRSファンフィクションで大体のレイはこの性格のように思えます。
白痴美を取り越して白痴に近いレイであり、
他人に裸や下着姿を見せてはいけないという基本的な常識も知らず、
キスや性交等、性に関する知識も全然無いか、それともほとんどありません。
このタイプの場合、逆行物では、シンジがレイに常識や人間の感情等を一つ一つ教えていくという「レイ育成計画」になってしまいがちです。
このタイプは、アニメのレイに近いと言えるでしょう。
2.精神年齢が高く、大人っぽいレイ
1番の白痴幼児タイプとは違って、他人に裸や下着姿を見せてはいけないという
基本的な常識くらいはあり(見られたとしても恥ずかしく思ったりはしないが)、
キスや性交等、性に関する知識は理論的に知っており、自分の自我が確立している、
(命令には絶対服従だが)感情表現がより豊富です。
このタイプの場合、 コミックスのレイに近いと言えるでしょう。
16. BlackCat
(1) BlackCatの禁書目録のクロスオーバーSS
(2) イヴ×リオンのSS
17. 鬼切丸
鬼切丸×鈴鹿のSS
18. MURDER PRINCESS マーダープリンセス
カイト×ファリスのSS
19. 式神の城
玖珂光太郎×結城小夜 OR 玖珂光太郎×城島月子のSS
20. 大竹たかし DELTACITY 全2巻
21. ヴァンパイア十字界
(1) 蓮火×花雪 OR 蓮火×ブリジット
(2) とある魔術の禁書目録×ヴァンパイア十字界のクロスオーバーSS
- 55 :
- 22. 地獄少女
(1) 不合理な 地獄少女の被害者(e× 看護婦、1期の看護婦、2期の 拓真を助けに来てくれた若い刑事、秋恵) 家族・恋人が 地獄通信に 地獄少女と仲間たちの名前を書くSS
(2) 極楽浄土の天使 OR 退魔師が 地獄少女と仲間たちを断罪するSS
(3) 拓真の 地獄少年化SS
二籠の最終回で拓真が地獄少年になるのかと思ってたんですが・・
地獄少年 ジル : 所詮この世は弱肉強食。 強ければ生き弱ければぬ。
拓真 : あの時誰も僕を守ってくれなかった。
守ってくれたのはジルさんが教えてくれた真実とただ一振りの超能力
・・・だから 正しいのはジルさんの方なんだ。
23. 真・女神転生CG戦記ダンテの門
ダンテ× ユーカのSS
24. スレイヤーズ
魔竜王ガーヴが慎二に転生 ワカメ魔竜王シンガーヴ無双
25. るろうに剣心
志士雄真実が禁書世界に転生
26. CODE:BREAKERととある魔術の禁書目録のクロスオーバーSS
27. ガンダムWとエヴァのクロスオーバー SS
28. ロードス島戦記 IF
(1) ナシェルのロードス統一
(2) ロードス島戦記の破壊の女神カーディス復活 VS ロードス連合軍
(3) 新ロードス島戦記の終末の巨人復活 VS ロードス連合軍
29. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
30. アイドルマスターブレイク高木裕太郎SS
- 56 :
- 31.
ヴァンパイア十字界×禁書
スレイヤーズ×禁書
ダイの大冒険×禁書
blackcat×禁書
Bleach×禁書
ガンダムW×禁書
エヴァ×禁書
鬼切丸×禁書
Claymore×禁書
鬼哭街×禁書
ToLOVEる×禁書
鬼畜王ランス×禁書
32.
Clannad×まどか
Kanon×まどか
Air×まどか
ONE 輝く季節へ×まどか
痕×まどか
雫×まどか
ToLOVEる×まどか
ヴァンパイア十字界×まどか
blackcat×まどか
CODE:BREAKER×まどか
吸血殲鬼ヴェドゴニア×まどか
PHANTOM OF INFERNO×まどか
天使ノ二挺拳銃×まどか
ヴァンパイア十字界×まどか
鬼哭街×まどか
Claymore×まどか
スレイヤーズ×まどか
鬼切丸×まどか
真・女神転生CG戦記ダンテの門×まどか
鬼畜王ランス×まどか
鬼切丸×まどか
エヴァ×まどか
ガンダムW×まどか
Diesiare×まどか
- 57 :
- age
- 58 :
- SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
エーベルージュ
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gal/1248267409/701-800
センチメンタルグラフティ2
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gal/1338866433/1-100
Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1302172024/201-300
初恋ばれんたいん スペシャル
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gal/1331519453/1-100
ファーランド サーガ1、2
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/game/1172644654/501-600
MinDeaD BlooD 4
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1206403697/801-900
【シヴァンシミター】WOG【クリムゾンクルセイド】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/goverrpg/1331402981/1-100
アイドルマスターブレイク高木裕太郎
- 59 :
- age
- 60 :
- age
- 61 :
- age
- 62 :
- age
- 63 :
- age
- 64 :
- 荒らすな!
- 65 :
- 荒らすな!
- 66 :
- age
- 67 :
- age
- 68 :
- age
- 69 :
- SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
エーベルージュ
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gal/1248267409/l50
センチメンタルグラフティ2
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gal/1338866433/l50
Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1302172024/l50
初恋ばれんたいん スペシャル
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gal/1331519453/l50
ファーランド サーガ1、2
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/game/1172644654/l50
MinDeaD BlooD 4
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1206403697/l50
【シヴァンシミター】WOG【クリムゾンクルセイド】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/goverrpg/1331402981/l50
『銀色』 現代を背景で輪廻転生した久世×石切
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1344757209/l50
アイドルマスターブレイク高木裕太郎
- 70 :
- 同人誌の小説
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/2chbook/1351343342/l50
読み手】同人小説を語る2【書き手】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/doujin/1304953868/l50
【pixiv】小説スレpart23【novel】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1353470144/l50
二次創作のSSを語るスレ
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1351411140/l50
二次創作小説SS総合スレ
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1345707113/l50
SS作家が集うスレ12
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1349094758/l50
【通称は】ハーメルンについて語るスレ33【洞窟】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1354120046/l50
【オンラインコミック】web漫画描きスレ【ウェブコミック】22
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/doujin/1347171854/l50
- 71 :
- ほ
- 72 :
- し
- 73 :
- こんばんは、2010年当時のスレで「よみがえる空」と『戦術と指揮』と拙作の3次創作を書いていたものです。
書いている途中でスレが落ちたので、続きは書きかけで蔵していたのですが、
このたびめでたくスレが復活しておりましたので、また書いてもよろしいでしょうか。
ttp://green.ribbon.to/~eroparo/contents/noero.html
上記URLで題名は『目標は撃墜された』として収載されているものです。
Q島という架空の土地で行なわれている国連の平和創造活動を舞台にして、
撃墜された女性戦闘機パイロットを、海兵隊と「よみがえる空」の救難チームが救出しに赴く、
というのが基本的なストーリーになっております。
- 74 :
- 放課後
晶「帰んのかよー、どうせ暇だろ健介ww」
健介「まぁ…」
晶「ちょっとこっち来いよ」
健介「勘弁してください」
晶「おっし、ここは滅多に誰も来ねーからさw」ヌギヌギ
健介「体育倉庫…いや、なんで脱いでるんですか」
晶「あー、勝負下着じゃねーけどお前だからいいだろww」
健介「意味が…」
晶「いーじゃねーかおめーも期待してたんだろwwwほれほれ、興奮してんだろ童貞ww」
健介「説明を…」
- 75 :
- >>73
ぜひぜひ。続きをずっと待ってました!
- 76 :
- >75
有難うございます。以前の読者の方がおられるとは、望外の喜びです。
ただいかんせん時間も開きましたし、以前のスレとの連続性も途切れていますので、簡単な紹介をさせて
いただきます。
<背景>
本編は、トム・クランシーの『レッド・ストーム作戦発動』の2次創作であった「北の鷹匠たちの」の
続編であり、非核戦争としての第3次世界大戦から5年が過ぎて、低脅威度紛争の時代を迎えた世界の物語である。
南大西洋上に浮かぶQ島でも民族紛争が激化し、国連の指導下で、NATO諸国と日本を中心にした平和創造活動が
行われていた。しかし民族主義過激派の大規模武装蜂起により、平和創造活動は本格的な戦争行為に移行、
国連部隊(UNQPMF)は全力戦闘を展開している。
詳細な舞台設定については、原作である松村劭の『戦術と指揮』を参照されたい。
<主な登場人物>
スーザン・パーカー
ノルウェー空軍中佐。F-16戦闘機パイロットとして第3次大戦に従軍、エースの称号を得たが、5機目を
撃墜した戦闘で自身も撃墜され、終戦までクレトフたちの部隊で捕虜となっていた。
本編では、Q島の国連航空部隊の一員として哨戒飛行中、民族浄化収容所を発見したものの、直後にSAMで
撃墜され、敵民兵組織の捕虜となった。その後、浅網たちにより救出され、現在行動を共にしている。
セルゲイ・クレトフ
旧ソ連空挺軍少佐。大戦末期の戦闘で部隊が壊滅、本人も片脚を失いNATOの捕虜になった。
その後、政府が親友の愛娘を謀していたことが判明して祖国に絶望、戦争中にすっかりスーザンと仲良く
なっていたこともあり、そのまま彼女と結婚してノルウェーに亡命。本編時点ではノルウェー国籍の民間人だが、
本郷少佐のUH-60Jに同乗し、<チーム・ナイフ>救出のため急行中。
浅網 渉
日本海兵隊中尉。英海兵隊に交換派遣されており、本編では英海兵隊SBSの偵察隊<チーム・ナイフ>指揮官として
登場する。長距離潜入偵察中にスーザンの陵辱現場を目撃、座視できずに突入して奪還。
現在、スーザンを守り、また本隊からはぐれたオランダ兵2名を糾合しつつ脱出中。
本郷 修二郎(「よみがえる空」からのキャラクター)
日本空軍少佐。UH-60J救難ヘリコプターのパイロット。現在、<チーム・ナイフ>救出のため、UH-60Jを駆って
急行中。キャラクターデザインなど詳細は下記URL参照。
ttp://www.rescue-w.jp/anime_chara.html
三鷹(『戦術と指揮』からのキャラクター; 下の名前は設定なく不明)
日本陸軍大佐。日本陸軍のQ島派遣団の指揮官であり、連隊戦闘団(3iRを想定)を率いている。
元来は、いまスーザンたちが逃げ回っているバルゴ地区に隣接した地区を担当していたが、
バルゴ地区の国連部隊が事実上全滅したことから、当該地区を解放すべく、越境攻撃を準備中。
- 77 :
- あまり一般には知られていないが、偵察部隊はしばしば、重武装の機甲部隊となる。
三鷹戦闘団でもそれは例外ではなく、晴海大尉の豪気さと相まって、戦闘団の偵察中隊は、
三鷹大佐の懐刀と称されるまでになっていた。
三鷹戦闘団の攻撃開始は3日後に迫っており、三鷹大佐はこの正面の敵の配備を知る必要が
あった。
そんなところに舞い込んだのが、今回の話だった。
一挙両得を狙える格好の機会である。
晴海大尉は、装甲指揮車のなかで時計を見て、短く命じた。
「射撃開始」
3門の重迫撃砲が急速射を開始した。
民兵中隊の陣地に砲弾の雨が降り、虎の子の中国製対戦車ミサイルは次々と吹き飛んだ。
たった1両しかなかった装甲車が直撃弾を受けて、火球となって舞い上がった。
さらに、騎兵戦闘車の35ミリ機関砲が続けて発砲した。
たちまち、観測哨のうち2つが壊滅し、偵察中隊の動きを報告できるだけの猶予を与えた上で、
3つめも破壊された。
*****
敵軍の前方指揮所は、まさに混乱の極みに至ろうとしていた。
5分前、複数のヘリコプターの低空侵入が報告された。アロンソ大尉は、日本の特殊作戦群の
偵察隊であると判断し、自分の推定が正しかったことに満足していた。
その直後にこの有様である。
「ミタカです! ミタカが動き出しました!」
少尉が緊張の余り裏返った声で叫んだ。
「落ち着け、莫迦者!」
アロンソ大尉はむしろそれに苛立って、机を拳で叩いた。
「ルート16上、三鷹戦闘団の先鋒部隊が攻撃前進中!」
「砲兵射撃を受けて周辺の観測哨は沈黙! 状況不明!」
「敵部隊は火線を後方に延伸中!」
「現地部隊は混乱しています。コールに誰も答えません!」
もともと脆弱な通信網である。ひとたび攻撃を受ければ、見るも無残に倒壊する。
「どうみても、先ほどのヘリコプターは陽動です。助攻にしては遠すぎます。
敵の狙いはルート16上です!」
読者は、この瞬間を記憶しなければならない。
明敏なアロンソ大尉が、ついに日本人どもの術中に陥った瞬間であった。
*****
- 78 :
- 〈クロー・ワン〉のベルグ准将は再び、血の沸き立つような感じを覚えていた。
先の大戦で、彼は空軍作戦部長という重職にありながら、F-5戦闘機を駆って出撃し、
2機のMiGを撃墜し、かわりに1回撃墜されて逃げ回ったあげく、かけつけた救難隊に
ぎりぎりで救い出されたという経験を持っていた。
今度は最新のF-16、相手は同じくMiG-21、そして下には守るべき弟子と救難部隊。
彼の弟子を救うために、イギリス、オランダと日本の男女が命を張っているのだ。ベルグ
たちににできるのは、敵機を彼らに近づけないことである。
MiG-21が4機、こちらは2機。
数の面では劣勢だ。おまけにこちらは守勢ときている。
しかし――
やれるさ。
彼は酸素マスクの下で、獰猛な笑いを浮かべた。
三鷹戦闘団の対空レーダーはもともと野戦防空用のもので、探知距離は長くないし、
邀撃管制にも向いていない。
それ以上はベルグたち自身のセンサー、つまりF-16のレーダーと、“マーク1 アイボール・
センサー”が頼りになる。
――要するに、昔ながらの空中戦をもういちどおっぱじめようというわけだ!
男と男の戦い、現代の決闘だ。
もっとも、これに異を唱えそうな女を少なくとも1人、彼は知っていたが――
この種の戦闘について、北欧諸国の空軍士官たちほど精通した人間は、たぶんいない。
彼らは第3次大戦がはじまるまで、数十年ものあいだ、日々領空侵犯をかけてくるソヴィエト機を
要撃してきたのだ。
ベルグ准将は一気に加速して、2機のミグ戦闘機を視認すると同時に、あからさまに
レーダー波を放った。こうすると、いくらミグのレーダー警報機が旧式でも、彼らがF-16
戦闘機に追尾されていることが分かる。
思ったとおり、敵機はそれを無視できなかった。
ベルグはすばやく妨害装置を作動させつつ、上昇して逃げに入った。F-16の上昇力は
きわめて優秀で、ついてこられる戦闘機はそう多くない。
しかし、その数少ない戦闘機がフィッシュベットだった。彼らはやや反応が遅れたが、
ベルグの追尾に入った。
もうすぐ、ミグの射程に入る――
その瞬間、ミグのレーダー警報機が再び、猛烈な勢いで鳴りたてた。
リッター少佐は既にミグの背後に回り込んで、レーダーでしっかりと2機のミグを
捕捉していた。
F-16は最近の改修で、ソヴィエトが従来使ってきたレーダー警報機では捉えられない
タイプのレーダーを搭載していた。
今こそ、そのテクノロジーが真価を発揮するときだった。
2機のミグは、立て続けに、黄と黒の交じり合った火球となって、空に消えた。
僚機があっという間に撃破されて、残る2機は動揺した。
そして不運なミグに向けて、復仇の念に燃えたF-16が到した。
*****
- 79 :
- 状況はわずかに好転していた。
チーム・ナイフの容赦ない火力の前に、さすがの少年兵部隊の戦意も阻喪しつつあった。
『あと3分だ』
その放送を聴いて、ゴドウィンは希望を持った。〈ナイフ〉は主抵抗線でもちこたえており、
彼女は、このままどうにかできるのではないかと思いはじめていた。
ゴドウィンは右翼方向に移動して、彼らを予期しない方向から襲おうとしている敵が
いないかを確認してきたところだった。
レシュカとスーザンは既に主抵抗線から後退し、着陸地点に向かいつつあった。
ゴドウィンは少し偵察してから銃を構え、雨裂を一気に走りぬけた。もうすぐ
スーザンたちと合流できる。
そして木立を回り込んだところで、ひとりの敵兵を見つけた。
その敵は危険なまでに彼女に近く――
スーザンに向けて銃を構えつつあった。躊躇している場合ではない。
彼女は銃を握り直して、一気に跳躍した。
彼女が2歩ほどのところに迫ったとき、ようやく敵は彼女に気づき、あわてて銃を
向けてきた。
無益なことだった。
既に彼女は間合いに入り込んでいた。
AKMで敵のライフルをはじきとばすと、その拍子に、相手の銃から数発発射されて、
無意味に木を裂いた。
彼女はAKMを相手のライフルに絡めるようにして跳ね飛ばし、返すままに銃床で
一撃を入れた。
相手はふらふらと後じさり、何かを探しているのか、あわてて腰をまさぐったが、
それに構わず、彼女は一気に突き入れた。
銃剣が胸に深く突き刺さり、ゴドウィンが刃を捻るとともに、心臓が切り裂かれた。
血液を送りだそうとする無意味な努力とともに、心臓はさらに引き裂かれ、
敵兵は泣くような細い悲鳴とともに口から泡立った血をあふれさせて、崩れ落ちた。
返り血が飛んで、襟から胸に入り、垂れていくのが分かった。
ゴドウィンはさすがに深く息をつき、敵を見下ろした。
あっけなさすぎた。
何でこいつはこんなに弱かったんだろう?
理由は一目瞭然だった。
その敵兵はせいぜい14歳くらい、まだ胸が膨らみかけたばかりの少女だった。
うつろな目の下の頬にはそばかすがあり、力なく開いた口から覗く歯は白かった。
ゴドウィンは、近接戦闘の興奮が一気に冷めていくのを感じた。
自己嫌悪と吐き気がこみあげてくるのを抑えて、彼女は、さっきまで少女だった
血まみれのかたまりに背を向けた。
これは戦争なのだ。
そして彼女は、女王陛下の海兵隊員なのだ。
- 80 :
- 『コクピットよりキャビン。あと1分だ。
着陸地点で戦闘が行なわれている。敵対行為を予期せよ』
「キャビン了解」
それとほぼ同時に、やや後方の地上から光の線があらわれて、クレトフはいささかたじろいだ。
その線は後方に向かい、52号機が応射して、さらに太い線が飛び交った。
背後では黒木が機関銃の連射を放ち、敵をけん制した。
地上の若者が、冷静に状況を伝えてきた。
『ナイフよりヘリオス78、我々は敵と近接している』
「着陸地点へ急行せよ。我々が援護できる。くり返す、着陸地点へ急行せよ!」
『了解。我々は着陸地点へ向かう』
下の若いのは優秀だな、と本郷は思った。なかなか落ち着いている。
「ストロボが見えます!」と内田が叫んだ。
『ナイフよりヘリオス78、いまIRストロボを点灯した。
風は弱く、向きは南。そのまま進入せよ。
我々は全員、丘の上にいる。丘の頂で円形に散っているのが我々、それ以外は全部敵だ。
我々は射撃戦を続けている。そちらから我々が見えるか?』
これまでとは違う、女の声が聞こえてきた。
本郷は知らなかったが、それはスーザンだった。
『こちらヘリオス78、そちらを視認した。我々はこれより進入する』
『コクピットよりキャビン、あと30秒。地上に味方部隊がいる。
繰り返す、地上に味方がいる。狙いに気をつけろ』
「了解」
白拍子がキャビンのドアを開き、温かい風が一気に吹き込んできた。
これまでクレトフが経験してきた極寒の戦場にはないものだった。
敵は全周から迫りつつあり、今や、円陣の中央にいるスーザンを除いた全員が敵と交戦して
いた。
歩兵たちの残弾は最後の弾倉を残すのみとなっていて、グリネードは既に1発しか残って
いなかった。
しかし間もなく、横手からの射撃が敵に容赦なく降り注ぎ始めた。
そして、ヘリコプターの回転翼が空気を叩く、ばたばたという音が聞こえた。
- 81 :
- ヘリコプターを誘導するスーザンの暗視装置には、エンジンの排気がわずかに光って見えていた。
1機がやや後方に留まって射撃を続け、もう1機が降下してきた。
機体は完全には着陸せず、わずかに浮いた状態で止まった。
ドアのところにいた年かさの日本人が手を差し伸べ、まずスーザンを引き上げた。
機体後方のジャンプ・シートに導かれた彼女が腰をおろし、顔を上げたとき、機体の
右手で機関銃を構える男と視線が合った。
それがクレトフだった。
それは、ほんの数秒にすぎなかったが、彼女にとっては永遠とも思える瞬間だった。
様々な思いが心をよぎり、なぜだか、それを彼も共有していることが分かった。
ヴァイザーの奥に隠れた碧い目は記憶の中にあったのと同じように暖かく、彼女は危うく
飛びつくところだった。
しかしここは戦場で、彼らは軍人だった。彼はわずかに頷き、彼女も同様にしてそれに応じた。
そして彼は顔を戻し、再び長い連射を放った。彼女はカービンを握り直し、外に向き直った。
*****
スーザンに続いてオランダ人たちが上がり、エステベス曹長とゴドウィンが続いた。
ゴドウィンが振り向くと、ニコルズ軍曹と浅網中尉が援護しあいながら進んでくるところだった
――次の瞬間、ニコルズ軍曹が倒れた。
起き上がろうとしたが、右足が動かないようで、再びもんどりうったのを見るや、
ゴドウィンは飛び降りて駆け寄り、肩を貸して立ちあがらせた。
*****
3人の海兵隊員がヘリコプターに向けてよろよろと進んでいく背後で、敵の射撃が強さを
増した。一人が、地面に投げ出されていたソ連製のRPD機関銃を構えた。
52号機が鋭く旋回し、ミニガンで掃射を加えようとしたが、それよりも早く、RPDが
ひとしきり連射を放った。
- 82 :
- その射撃は狙いが悪く、大部分は海兵隊員たちを飛び越して78号機の装甲板に凹みを
作っただけに終わった。
しかし、まず1発が浅網の背中にあたり、浅い角度で胸郭をかすめ、弾かれるようにして
貫通していった。
さらに1発が左内股の付け根から入り、大腿骨を粉砕しながら左腰に抜けた。
浅網は丸太で殴られたような衝撃を覚え、さらに一歩踏み出そうとしたが、その努力は
むなしく、彼は力を失って地面に倒れ伏した。
*****
浅網が倒れるのを見るや、白拍子軍曹が猛烈な連射を浴びせてその機銃手をずたずたにし、
さらに52号機もミニガンで掃射した。
その銃声を聞きながら浅網は、ゴドウィンが自分を助けおこそうとしているのを見上げた。
(構わず、さっさと行け)
と言おうとしたが、うまく声を出すことができなかった。ずきんずきんと血が喪われて
いくのが感じられた。
そのとき、さらに左側から抱き起こされるのを感じた。
パーカー中佐だった。
「中佐、何を…!」
ゴドウィンが言いかけるのを制して、スーザンが怒鳴った。
「そいつは後だ、軍曹! こいつはあたしに任せて、さっさと行け!」
彼女は言葉を飲み込んで頷いた。さらにもう一人の日本人が浅網中尉の右肩を支えるのを
みて、彼女はニコルズを支え直して、足を踏み出した。
彼女らがヘリコプターに倒れこむや否や、本郷少佐は機体を離陸させた。
*****
障害がなくなった丘に向かって、容赦なくミニガンがうなり、クレトフの機関銃もそれに
加わった。52号機も後退しながら掃射し、そして仕上げにF-16がロケット弾を叩き込んだ。
数分のうちに、その丘からヘリコプターに向けられる銃口はなくなった。
- 83 :
- しかし、ゴドウィンたちの戦いは終わらなかった。
ヘリコプターの床に赤黒い染みがどんどん広がっていくなか、ゴドウィンが手早く駆血帯を
浅網の脚に巻き、締め上げた。
「気道OK、呼吸速い。脈拍、弱く速い、冷汗あり!」
白拍子が酸素マスクをあてるとともに、久保曹長が直ちに浅網の状況を評価した。
「中尉、手を握ってください!」
久保の叫びに、浅網は、弱弱しくはあったが、手を握り返した。血圧を測っていた黒木が叫んだ。
「血圧、上が100!」
スーザンはそれを聞いて安心した。
「脈拍120、呼吸数25」
しかし久保は厳しい表情を崩さなかった。彼はゴドウィンを見た。
ゴドウィンは一瞬ためらったが、頷いた。
久保は向き直り、宣言した。
「出血性ショックだ。静脈路確保、大至急!」
「なぜ!?」
「既に脈拍と呼吸が速くなってます、かなり出血している恐れが大です!」
ゴドウィンは叫ぶように説明しながら浅網の服の袖を裂き、腕を露出させた。
「生食!」
白拍子が差し出したチューブ針を取って、ヘリが安定した一瞬に、手早く末梢ラインを取った
その間に、黒木が太腿に止血帯を施し、久保曹長がラリンジアルマスクを押し込んだ。
今や、浅網の周囲には4人の衛生下士官がつめかけていたが、出血はあまりにも多かった。
「血圧一気に落ちました、上が80! 脈拍130!」
「畜生、ヤバいな。ボスミン準備」
『コクピットよりキャビン、前線を越える。少し揺れるぞ!』
2機のUH-60は、敵味方が対峙する前縁を、超低空で駆け抜けた。
尾根の軽機関銃が無力な抵抗を示したが、F-16の機銃掃射を浴びて、沈黙した。
「キャビンよりコクピット、要救助者1名が重態です。大量出血、ラクテック全開で落として
ますが反応なし!」
『コクピットよりキャビン、あと5分だ。5分で三鷹戦闘団の野戦病院に到着する。
それまで何としても持たせろ!』
その会話が終わるや否や、モニターが警告音を発した。
「畜生、心停止!」
黒木がゴドウィンを押しのけて、心臓マッサージに入った。ゴドウィンはボスミンを
ラインに入れつつ、久保にどなった。
「少尉の血液型はA型のRh(+)です! 到着し次第輸血に切り替えてください!」
久保は頷き、マイクに向かって叫んだ。
「腹腔内出血、ショック。初期輸液中ですが反応なし!AプラスのMAPの用意を進言します」
- 84 :
- 「脈拍確認する、CPR中断」
「VT!」
「脈なし!」
「除細動する、全員下がれ!」
黒木とゴドウィンが下がった直後、電気ショックで浅網の体が跳ねた。
「モニタ上――心拍再開!正常洞調律、心拍数145」
「左橈骨で脈触れますが、弱いです」
「酸素飽和度モニタ表示回復、95%」
直後、内田の声が聞こえた。
『コクピットよりキャビン、病院が見えたぞ!』
本郷は一切の無駄を省いた動きで、病院の屋上に機体を設地させた。
ローターの動きが完全に止まる前に、日本陸軍の医官と衛生隊員たちが駆け寄ってきた。
「26歳男性、レベル100、左橈骨で脈触れる、脈拍140、呼吸数36。右側背部と左大腿部に貫通銃創。
搬送中に意識消失、心停止。ボスミン1AでVT、DC 200Jで心拍再開。
収容直後より左大腿駆血、輸液開始、現在生食2本目つながってます」
久保曹長が飛び降りて、医官に状況を説明する一方、黒木と白拍子、そしてスーザンとゴドウィンが、
慎重に浅網の体をストレッチャーに移した。
「A採血、ガスと血算、生化、クロスマッチも取っとけ」
「右でもう一本ライン取れ!18ゲージ、輸血ライン、まず低デキで始めろ」
意識を失った浅網の体を乗せたストレッチャーは、医官と衛生隊員の一群に取り囲まれながら、
エレベータに消えた。
そこでは既に、浅網の生命を救うための新しい戦いが始まっていた。
しかしにかけている浅網ほどでなくとも、スーザンを含めて〈チーム・ナイフ〉の誰もが、何らかの傷を
負っていた。
日本陸軍もそのことを承知しており、まもなく衛生隊員の2陣が大挙して押し寄せて、傷ついた兵士たちを半ば
強制的に病院へと押しやっていった。
クレトフは少し躊躇したが、白拍子軍曹に肩をたたかれ、黒木軍曹に背中を押されて、スーザンに寄り添い
機を降りた。
スーザンは少し体を震わせたが、彼を見上げた。頬はこわばっていたが、瞳にはわずかな光が浮かんでいる
ように思われた。
# 戦闘は終わりましたが、彼らの戦争はまだ終わりません。
# 今後の「終章」では、彼らが戦闘を受け止めて、葛藤しつつ、日常に戻っていく様を描きます。
# その辺で板の趣旨に合った描写も入れたいなと思っていますw
#
# ちなみにこの作品世界では、いくつかの地域紛争が現実とは異なる帰趨を辿り、それが
# 多少の影響を及ぼしていますが、大多数の読者諸賢には関心外だと思いますので、
# その辺は興味ある方の想像にお任せします。
- 85 :
- >>84
おおおお!また48氏にお会いできるとは思わなかった!!
めっちゃ嬉しい。
取り急ぎ記念ぱぴこ
- 86 :2013/09/01
- >85
こちらこそ、以前の読者の方とお会いできるとは思いませんで、望外の楽しみでした。
ただ実のところ、これ以降の部分は全年齢化して理想郷にでも落とそうかと思っていたので、
こちら向けに書き換えるために多少の時間がかかりそうです。
どうか気長にお待ちいただければ幸いです。
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