2013年07月エロパロ167: 愛するが故に無理やり…… Part9 (90) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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愛するが故に無理やり…… Part9


1 :2013/05/16 〜 最終レス :2013/06/25
愛するが故にレイプor強姦or無理やりしてしまうシチュが好きな奴は集え!
二次でもオリジナルでもおk。
襲う側に深い愛情があればおkおk。
相思相愛なら尚更おkおkおk。
逆レイプもおkおkおkおk。
■前スレ
愛するが故に無理やり…… Part8
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1307475399/l50
■お約束
・エロパロ板は18禁です。大人の方だけ利用してください。
・原則sage進行。メール欄に半角、小文字で「sage」と記入。
・愛あるレイプに確定的な定義はありません。他人の考え方も尊重しましょう。
・他スレのSS紹介禁止。迷惑をかける可能性があります。
・相手をすると喜ぶので荒らし、煽りは徹底的にスルー。
・投下する方は事前の注意書きをお願いします(特に暴力等描写)。
 事前措置をとればトラブルを回避しやすいと思います。
・書きながらの投下は禁止。書き上げたものをコピペしてください。
・作品の最後には「終り」、「続く」などと宣言してください。
・気に入らない作品はスルーしましょう。好きなものにだけコメントをつければおk。
・感想の域を超えた批評、展開予想はご遠慮ください。
・リクエスト、続き希望は節度を持ち、行き過ぎたなれ合いは控えましょう。
・他人に注意をするときは、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
■過去スレ
愛するが故に無理やり…… Part7
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1298291948/l50
 愛するが故に無理やり…… Part6
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1289151978/
 愛するが故に無理やり…… Part5
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280147771/
 愛するが故に無理やり…… Part4
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1272428300/
 愛するが故に無理やり…… Part3
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1251197866/
 愛あるレイプ Part2
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234146553/
 愛あるレイプ
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197985819/
■保管庫
 2chエロパロ板SS保管庫
 ttp://sslibrary.arings2.com/
 ENTER→オリジナル、シチュエーション系の部屋→17号室
※保管されたくない方は投下時に一言添えてください。

2 :
落ちてたので立てた
コッペリア続き期待

3 :
落ちててびっくりしたら立ってたww
1おつ!

4 :
>>1
気がついたら落ちてた…コッペリアの続き来てた?

5 :
>>4
来てた
第一幕が終わった

6 :
>>5
マジか…見損ねたorz

7 :
保管庫もまだ収録されてないな
ところで>>1の保管庫リンク切れだよな
生きてるリンクにしなくていいのか?
前にもリンク切れの話出してスルーされたんだが、何か理由があるのか?

8 :
>>7
それは俺も思った
http://green.ribbon.to/~eroparo/contents/
これが生きてるやつだから次回以降はこっちな
あと、コッペリアの続き俺も見損ねたんで誰かログ持ってたら再うp希望

9 :
>>8
ほい
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4210989.dat
でも2ちゃんの過去ログうpって初めてやるからちょっと自信ない
何かおかしかったらごめんよ

10 :
>>9
ありがとう
和姦いいよ和姦

11 :
ここはコッペリア専スレになりました

12 :
>>11
どうぞ気にせず投下して下さい
お待ちしています

13 :
容量的にもまだいけた筈なのになんで落ちたニカ?
運悪く圧縮に問答無用で巻き込まれた?

14 :
容量が480KB超えると1週間でdat落ちするんじゃなかったっけ

15 :
1週間くらい書き込みなかったからじゃね?

16 :
保守

17 :
スレ立て乙。コッペリアの続き投下します
ここから第2部

18 :
ヒース=スプリングスの免罪から1ヶ月が経とうとしていた。
その日は快晴。だが、気分までは晴れやかになりそうも無い。…最近、妙にフローリスト卿の機嫌がいいのだ。
脇差の切っ先を突きつけてやった日から、あの男は面白いほどに余所余所しくなった。
アスターがミオを遠ざけ始めてからは水を得たように娘のアピールを再開させたのだが、それも長くは続かず。
2人が和解し、周りも和やかになるほどの純愛ぶりを見せるようになってから、奴の苛立ちは目に見えるようになった。
使用人への八つ当たりは日増しに酷くなり、つい1週間ほど前に使用人一同から奴への処罰を求める嘆願書が提出された。
その矢先だ。フローリスト卿が突然にこやかになり、使用人への八つ当たりがぴたりと治まったのは。
嘆願書が提出された事が相当堪えたのだろう、と周りの者は言うが、アスターやシュロはそうとは思えなかった。
あの男は変に勘繰ってしまうほどに一挙一動が判り易い。それに、自らの行いを悔い改めるような誠実さなど持ち合わせているはずがない。
奴の機嫌がいいのはそれ相応の理由があるはずだ。見下している下々の者達にまで愛想が良い点を見ると、奴にとってはなかなかの朗報とみる。
「気持ち悪ぃな。」
「全くだ。気持ちが悪い。」
使用人全員の名が入った嘆願書を指で弾きながら、2人して不快感を露わにする。
「ネリーに探ってもらったんだが…「フローリスト家は生涯安泰だ」って高笑いするだけでその他を語らないらしい。」
奴をあれだけにこやかにする朗報といえば、娘の王族入り以外に何もないだろう。
アスターにしてみれば永久に有り得ない事ではあるのだが、高笑いしている辺りどうやらそれを確信しているらしい。
目頭を押さえた。1ヶ月前の、ヒース=スプリングスの姿を思い出す。
ヒースをミオに差し向けた人物…それはフローリスト卿ではなかった。それだけでも十分に驚きなのだが。
ヒースの背後にいた人物は、アスターの想像を絶する人間だった。驚愕すると同時に、深い嫌悪感が湧き上がる。
同時に何が何でもミオを守らなければならないと固く誓った。だからこそ、今日までの平穏な日々が不気味に感じる。
「おい、ちっと顔面の力抜けや。」
ふと、シュロが肩を叩いてきた。シュロが心配するほど、自分は酷い顔をしていたらしい。
「なあ、気分転換に中庭に行こうぜ? ネリーとミオ姫が茶会やってるらしいしな。」
気分転換がしたいのはどっちなんだか。いそいそと崩した身なりを整えるシュロを見て、気付かれないよう苦笑した。
中庭に出てすぐ、探す間もなく2人を発見した。妙齢の女性が花に囲まれ談笑する姿はなかなか絵になる光景である。
サイネリア――愛称ネリーは快活で気風のよい女性だ。その性分は、控えめなミオと意外にも相性がいいらしい。
2人はすぐに打ち解け、気がつけば、親友と呼んでも差し支えなさそうなほど良好な関係を築いていた。
ミオの笑顔を最初に引き出したのは彼女だ。2人の姿を見かけるときは、大抵ミオは笑みを浮かべている。
以前はその事実に大いに嫉妬していたが、今は違う。彼女に見せる笑顔とは別の、格別の表情をアスターだけが知っていた。
「あら、ローラント陛下ではないですか!」
こちらに気付いたネリーが軽く手を挙げる。同時にミオの視線がこちらへ注がれ、花のような笑みが咲く。
…彼女がこんな表情をするのは、アスターの前でだけだ。

19 :
「随分と会話に花が咲いていたようだな。」
「それは、もう。正妃様とお話するのは楽しい限りですわ。」
城の人間の目があるせいか、今日のネリーは“フローリスト家の令嬢”を演じている。
その姿を見るたび、彼女の名女優ぶりに感嘆し、可笑しくて内心笑った。普段の彼女は口調も砕けていて、もっと自由奔放だのに。
……演じているといえば、手馴れた様子で紅茶を注ぐこのシュロもかなりの演技力だ。その所作言動全てが“国王専属執事”だ。
あまりの自然さに、アスターも時々シュロという男がよくわからなくなってくるほどだ。
「そうそう聞いてくださいな、ローラント様。ミオソティス様ったら可愛らしいんですのよ。さっきからずっと」
「さ、サイネリア様!」
慌てるミオと、ちょろりと舌を出しておどけるネリーの姿は見ていて微笑ましい。
だがやはり、その仲睦まじさには少しばかり嫉妬してしまう。……ほんの、少しだけ。
「なんだ、我には言えぬ事か? ミオ」
「え、っと、それは…、その……!」
頬はすっかり紅潮しきり、俯く彼女を2人して笑う。笑い声を受けたせいか、若干涙目になっていた。
そんな和やかな空気の中に、割って入るように1人の衛兵がサイネリアの元へ駆け寄る。
「ご休息の折申し訳ありません。フローリスト卿がお呼びでございます」
「お父様が? …用件は、何と?」
「そこまでは仰せつかっておりません。至急卿の書斎へ参るようにとのことです。」
「そうですか。至急向かいます。お下がりなさい。」
定位置へ駆け戻る衛兵を尻目に、ネリーは深くため息をついた。
「あまり気乗りがしないのですが…至急といわれて行かない訳にもいきませんので、わたくしはこれで失礼させていただきます。」
一礼した後、立ち去っていく。立ち上がったときに、ミオに向かって軽くウインクしたのをアスターは見逃さなかった。
あのウインクの意味は一体なんなのだろう? ちらりとミオを見遣る。顔を赤くしたまま困ったような表情を浮かべていた。
それを見ていると、嗜虐心に火が点る。少し虐めてやろうか。立ち上がり、ミオの手をとる。
「ミオ、あちらの花も綺麗に咲いてるようだ。一緒に見に行こうか」
「え、ええ……」
彼女の手を引き、奥の垣根へと誘導する。ふと振り返った時、シュロが不愉快に笑んでいた。掌をひらひらと振り、どこかへと歩き去っていく。
…どうやら、奴にはお見通しらしい。

20 :
ガーデンアーチを潜り抜けた先には、甘い芳香を漂わせる白い花々の垣根が広がっている。
アスターの少し後ろで感嘆の声が聞こえた。純粋に花々を、甘い香りを楽しんでいるようだ。
だがずいずいと進んでいくアスターに違和感を覚えたのか、次第にその声が不安げなものに変わる。
そして。人気の全くない垣根の角にたどり着くと、ようやく振り返って彼女の体を引き寄せ、後ろから抱きしめた。
「お前、ネリーと何を話してたんだ?」
耳元に唇を寄せ、囁く。彼女の首筋が粟立っていく。
「な、なんでもないんです! あの、大したことでは…」
「ふーん。そうか、俺には話せないんだな?」
彼女の首筋から漂う果実のような芳香が堪らない。刺激するのは、何もアスターの鼻腔だけではなくて。
彼女が小さく悲鳴を上げた。どうやら、アスターの変化に気付いたらしい。
「や、やだっ…アスター様!」
「たまには外でするのもいいだろ」
服の上からやんわりと胸を揉む。先ほどまで腕から抜け出そうともがいていたのに、急に動きが鈍った。
「いつもより感じるのが早いな。」
「そんなこと、……っ!」
口ではそう言うがやはり体は正直なもの。胸を強く揉むにつれ、体がどんどん熱を帯びていく。
抵抗の意で身を捩っていたはずが、いつの間にかくすぐったさによる身体の反応へと変わっている。
この素直過ぎる身体がアスターを欲情させる。最も、そう開発したのは自分なのだが。
「言いますっ…、言い、ますか、らっ……! も、やめて……」
甘い吐息を漏らしながらミオは切なげに懇願する。だが、もう遅い。
「やだね。」
耳筋に舌を這わせながら、手を徐々に服の中へ侵入させていく……
そんな時だった。
「おい…こんなとこで楽しんでる場合じゃねーぞ! アスター!!」
突然の乱入者により、漂っていた甘い空気が一瞬にして打破される。
乱入者の介入によって生じた一瞬の隙に、ミオはアスターの腕から逃れ慌てて衣服を正した。
恨み言の一つや二つ述べてやりたい気分だったが、乱入者の…シュロの珍しく慌てた様子がまたもそれを打破する。
「何があった? そんなに慌てるとはお前らしくない」
「それは…今ここで言う事はできね。だが、不味い事になってるのは確かだ。」
シュロがちらりと見遣ったのは、ミオの姿。その視線を察した瞬間、今起きている“不味い事”というのが何なのか、おおよそ察知できた。
「すぐに謁見の間へ向かう。…ミオ、お前は部屋へ戻っていろ。」
「ですが…アスター様」
「今すぐ部屋へ戻り、一歩も出るな!!」
冷静なアスターからは考えられないような怒号にミオはただ圧倒され、言葉無く了解するしかなかった。

21 :
「合併…?!」
謁見の間へ入るなり、目に飛び込んできたのは十数名の騎士達だった。
血を連想させるような緋色の鎧は、明らかにこの国が保有する騎士団のものではない。
こんな色をした鎧を纏っている騎士は、何処を探してもあの国の騎士団以外にはないだろう。
赤い集団の中でただ1人、白銀の軽鎧を纏った女の姿が写る。凛とした佇まいと、精悍かつ清廉な顔つき。
かの国の女王に生き写しだと称されている。…その女の名はアプリコット。ミオの妹だ。
「いかにも、僭越ながら報告に参り申しました。此度我が国は、フロックス領と併合し、新王国を築くこととなりました。」
「解せぬ。フロックス領は我が叔父の治める領地。あそこが独立領とはいえ、それを許可なく勝手に併合だと?
まずは国王たる我に報せの一つなど寄越すべきであろう。」
「陛下へは書簡にて通達済みのはずですが?」
そうであれば、ここまで動揺などするものか。そのような重要な書簡がアスターの元に届かないはずはない。
…考えられるのは、この合併が事後報告前提で進められた可能性と、書簡が何者かによって処分された可能性。
フロックス領は、不貞により国を追放される王弟へのせめてもの情けとして前国王が与え、独立を認めた土地だ。
いくら独立を認めているとはいえ、大国の管轄下にあり、治めているのは国王の実弟。
大国の属国という肩書きが欲しい周辺の国々は、挙ってフロックス領と同盟を組み、今では事実上大陸北部の3分の1を統治している。
そこに同じ手法で西の3分の1を統治しているかの国が加わるとなると、実質大国に次ぐ規模の領土を掌握した事になる。
これは大陸の安寧を揺るがしかねない事態である。そこまでして、かの国は何がしたい? …いや、そんな事はわかりきっているか。
「女王陛下及び新議会はは新王国の閣僚として、ミオソティス様の起用を決定しました。それは先の書簡にてお伝えしたとおりですが…。
ローラント陛下が返答を下さらないので我々はこれを無言の了解と見なし、此度ミオソティス様のお迎えに上がった次第です。
貴国より戴いた結納金は全額返金し、建前上正妃が必要だという事でしたら、代わりに四の姫のカルミアを寄越すと――」
「ふざけるな!!」
アスターの怒号が轟く。これほどまでの怒りを覚えたのは、初めてだ。ヒースですら、彼をここまで激昂させる事はなかった。
嫁がせる事でミオの唯一無二の居場所を奪い、ヒースという刺客を送る事でミオを惑わし、王族の地位から堕落させる。アスターの面目を潰すのはその片手間。
一向に解せず、同時に許せない。何故ミオをそれほどまでに毛嫌いする。彼女に何故これほどまでに惨い仕打ちをするのか。
―――アキレギア女王よ。
「一刻も早く国へ帰り、あの狂乱女王に言い聞かせよ。ミオソティスは既に身も心も我に染まっておる。あれはもうこの国の王妃だ。我の女だ。
お前が今更欲している一の姫はもう我から離れられぬ、我以外の男を欲さぬ身体にしてやった、とな!」
今まで平静だったアプリコットの顔が、一瞬にして不快感に満ちていく。だがそれも束の間、すぐにいつもの仏頂面に戻り、淡々と言葉を述べる。
「…拒否するのならば、戦争です。」
もはやここまで来れば狂国。醜いものに悉く汚された愚かな国だ。それをアスターは大いに嘲笑う。
「我が国を挑発するとは愚の骨頂。だが実に愉快だ。いいだろう、受けて立つ! この際、貴国を徹底的に――」
「……お止めください!」
静かな、だが力強い声が謁見の間に響き渡る。その場にいた全員の視線が声の主へと集まる。
アプリコットの周りを取り囲む騎士達が一斉にざわめいた。
「ミオ……」
息を切らしながら現れたミオは2,3深呼吸をした後アスターに歩み寄り、彼を真っ直ぐな目で見据える。
「冷静さを欠いて、衝動的に戦争なんて…貴方らしくもない。そんなばかげた事、お止めください。
私が祖国へ戻る事で戦争を回避できるのであれば、私は喜んでそうします。」
「ミオ、お前何を」
アスターを見つめたまま、ミオは微笑む。彼を癒し、落ち着かせる花のような笑み。もう何も言えなかった。否、言えなくなった。
そして彼女は振り向き、呆気にとられたままのアプリコットに向かって、口を開く。
「リコ、ローラント陛下を挑発するのは止めなさい。……貴女と共に祖国へ帰還いたします。
荷物をまとめ次第岐路に着きます。半刻ほど、城の外で待っていてください。いいですね?」
静かに響いたその言葉に、リコもまた無言で頷く事しか出来ずにいた。

22 :
もともと身一つでこの城へやってきたミオにまとめる荷物などあるはずもなく。
この城でそろえてもらった服飾品などはおそらくミオの目の届かぬところで処分されるだろう。
だから、用意できる荷物などこの身以外は何一つなかった。
―――最期に、庭の花々を見ておきたいわ。
庭へ行こう。そして、花々に別れを告げよう。思い立った瞬間、足は自然とそちらへと向かっていた。
ゆっくり、一歩一歩踏みしめるように中庭を歩く。この城の庭は美しい。そこに咲き誇る花々には随分と癒され、慰められ、励まされた。
処女を失い茫然自失になった時に。まるで儀式のように彼に抱かれる度に。彼とすれ違い、どうしようもない不安感に襲われた時も。
足を止める。金色の光が庭中を包み込み、ミオの足元に影を落とす。
―――私はまるで、真冬の庭だった。
冬の庭に花は咲かない。冷たい土に覆われ、冷たい風に晒され続ける毎日。
緑は凍えて色を失い、草木は訪れる事のない春に恋焦がれて身を震わせる日々。
春の訪れを願っていた。だが、願えば願うほど庭は色を無くしていった。花咲く春など一生来ない、そう諦めていた。
―――けれど、あの人はそんな真冬の庭を美しいと言ってくれた。
どんなに厳しい冬だろうと、芽吹く緑はある。咲く花だってある。彼はそう教えてくれた。
枯葉の下に眠り続けていた小さな花を、ずっと昔から欲していたと、愛しげに囁いてくれた。
―――私にとって、あの人は太陽。まぶしくて、あたたかくて、時々身を焦がしそうなくらい熱いけれど、狂おしいほど愛しい……
上を向いた。涙なんか見せてはいけない。今ここで泣いてしまったら、自分自身の思いを吐き出してしまったら、きっと後戻りできなくなる。
「ミオ」
太陽のような、愛しい人の声がする。そちらへ自然と視線が移り、驚いた。
目の前にいる彼は、決して太陽ではなかった。分厚い雲に翳ってしまったかのように、虚ろな目をしてこちらを見据えている。
「アスター様、どうしたのです?」
そこからアスターに唇を塞がれるまで、ほんの一瞬のようだった。
柔らかな芝生の上に組み敷かれ、荒々しい口づけを何度も何度も繰り返される。息をつく暇もなく、彼の舌が口内を、唇を蠢く。
「ん……っ、ふ………!」
心がかき乱されそうになるのを必に抑えた。ここで本能に負けてはいけない。感情を開放すればどうなるか、よくわかっているから。
ミオの格闘を知る由もなく、相変わらず舌は激しく蠢き、その間にミオの服の中へ手を入れ、胸を乱暴に揉みしだく。
もう片方の手はドレスの裾をまくり、下着を強引に引き摺り下ろす。快楽を感じている余裕などミオにはなかった。唐突過ぎる展開に未だに頭が追いつかない。
だが、まだ濡れてもいない蜜壷に彼のモノが押し当てられた瞬間、ぞくりと背筋が凍った。
「や、やだ……待って!」
アスターは何も答えない。無言のまま潤わぬ蜜壷へゆっくりと己を沈めていく。
「あああああぁぁっ、い、痛っ……! あ、アスター様っ、きつ、いっ……!」
アスターのものが最奥へたどり着いた瞬間、乾いたままだった蜜壷が一気に潤いを増す。
身を震わすほどの快楽に襲われるのはもはや女の…いや、ミオの本能だ。他の男だったらこうはならない。
彼は相変わらず無言のまま、まるで機械的に腰を動かす。奥を突いては入り口近くまで引き戻し、また強く腰を打ちつける。
「やああ、あああぁぁぁっ、ああぁっ!! や、だっ、ちょ、待っ……!!!」
いつかと同じ野性的な腰の動きが、ミオの生き物のメスとしての本能に火を点ける。一気に火照っていく身体。
原始に限りなく近い欲望と、熱情。生まれる至高の快楽を逃すまいときつく締め上げ、放さない。
思考にノイズがかかり、意識が何度も飛びかける。無心に快楽だけを貪れたら、それがどんなに至福だろうか。
だが、自分がこのまま絶頂を向かえ、彼が達したら。もう2度とこの快楽を享受することは無くなるだろう。
「く……っ」
苦しげな呻き声の後、一度、滾る精を放たれる。一時の放心の後、今度はアスターが下になり、天を貫くように突き上げる。
下になった彼の苦悶に歪んだ顔と瞳がぶつかる。それを見て察した。…ああ、彼も、自分と同じ想いなのだと。
…もう2度と会うこともないのならば、この身体に彼を余すことなく刻み込もう。自分が愛した男の全ての記憶を。
「ミオ…愛してる。愛して、るんだ……!」
終始無言だった彼がようやく発した言葉は、おそらく彼の口から初めて聞いた直接的な愛の言葉だった。
思わず涙腺が緩む。それを、天を仰ぎながら留める。今泣いてしまえば、きっと愚かな女に成り果ててしまうだろうから。

23 :
辺りはすっかり薄暗くなった。歩く気力さえ失った2人は、芝生の絨毯の上に横たわり、身を寄せ合う。
快楽の余韻の中、一度部屋に戻って着替えなければ。結局かなりの時間リコを待たせてしまった、などと考えていると。
「……子どもが出来れば、お前を留めておく事が出来ただろうか」
呆けた様な声色が耳に届く。
これだけ身体を重ねたのに、ミオには妊娠の兆候すらない。それはつまり、子を宿す事が出来ないという事なのだろう。
「…出来たとしても、構わず私を連れ戻すでしょう。…そういう人間なのです、母は。」
「なぜアキレギアはお前をここまで苦しめようとする。何故そんなにミオが憎いんだ……!
実の娘にこのような仕打ちをするなど、俺には到底理解出来ない。」
抱きしめる腕に力が篭る。自分の為に心から不快感を示しているというその事実が嬉しくて堪らない。
だが素直に喜べない。アスターの不快を伴った疑問の答えをミオは知っているのだ。
「…なあミオ。戻るのが辛いならそう言ってくれ。俺があの国を滅ぼしてやる。お前のためなら、俺は王位だって捨てれる。」
「それは、いけません…! 貴方は国王で在るべきお方です。貴方がこの国の民にどれだけ信頼されているか、私は知ってます。」
この城の人間は、自分にとてもよくしてくれた。その理由を年配の侍女に尋ねると、彼女はこう言ったのだ。
『ローラント陛下はとても素晴らしい王です。民を思い、国を思っている。それがきちんと行動にも出ておられる。
そんな素晴らしいお方がお選びになったのだから、貴女もさぞかし素晴らしいお方なのでしょう。』
冷血王。ローラント陛下に対しそのような印象しか持っていなかったミオは大変驚いた。
誰もがローラントを心から尊敬し、心から信頼しているのだ。…これほどまでに民に慕われる国王は珍しい。
「貴方は素晴らしい国王です。だから、道を誤らないでください。一人の女の為に多くの命を犠牲にするような愚かな王に成り下がらないで。
私だったら、大丈夫。この先どんな事があっても生きていける。貴方が愛してくれたというその証と記憶さえあれば、耐えられる。」
「だが、ミオ……」
その先を言わせまいと、唇を瞬時に塞ぐ。この瞬間がこの先永遠に霞まぬようにと、願いを込めて。
「アスター様。私は貴方だけを愛し続けます。これからもずっと、永遠に―――」
髪飾りを外し、彼の手にそっと握らせる。これこそが、ミオの想いの証。
もう傍にはいられないけれど、せめてこの心だけはこの国に……この人の元に置いていきたい。
―――さようなら、私の愛しい人。
彼に背を向け、歩き出す。別れの言葉は口に出さない。どうしても言う事ができなかった。
背後でアスターが何かを叫ぶ。だけど、振り返らない。頬に伝う涙を、見せる事なんて出来なかった。

24 :
以上
専スレになってて申し訳ない…

25 :
GJ!続き気になってるから問題ないよ!

26 :
今、大学生の先輩後輩で書いているが正直かなり長くなりそうだ。
どれくらいが許容範囲?テンプレにも無いし、特に規定は無いのだろうか?

27 :
大学内での先輩♀後輩♂
長さに関しては過去ログを見て問題ないと判断し、投下します。
エロに至るまでの過程が長いです。
タイトルは「先輩と僕」NTR要素あり。

28 :
最初の出会いはまだ俺が10代の頃だった。大学に入学したばかりの頃だ。

大学の春は慌ただしく、新入生を迎えようとする先輩と、新生活を彩りのある物へと急激な変化を求める新入生でごった返す。
大学全体がそんな浮き足立った雰囲気をまとっている。俺は、そんな浮き足立った雰囲気が嫌いだった。
いろんな人の思惑や焦りが渦巻いている気がして好きになれなかったのだ。
そりゃ、俺だって、それなりには友達も欲しいし彼女だって欲しいけど。
義務感とか焦りから友達を作るとか彼女を作るとか…。それって何か違う。
皆「友達を作らなきゃ」「早く彼女作らなきゃ」という一種の焦燥感みたいな物が、周囲からは感じられた。
人とのコミュニケーションも下手だという自覚はあるし、俺のような後ろ向きな人間こそ早く友達を作らなきゃいけないような気もしたけど…。
そんなモヤモヤが残る中、いよいよ授業が始まった。
授業初日。しかも1限。
広い大学からお目当ての教室を探し当て、教室に入った。
教室を見渡すと、尻込みしている学生が多いのか、それとも皆やる気がないのか?
教室の前方には殆ど学生が座っていない。皆、後方にばかり座っている。
1限だし、皆眠いのだろうか。初っ端から学生の気怠さが充満した教室に少し呆れる。
とりあえず空いているスペースを探し、三列目端の席に座る。
冒頭、ちょっと尖った事を言ってみたが結局は俺もまだまだ子供だ。
授業も楽しみだが、なんだかんだ言っても、やっぱり新生活。大学生だ。友達が欲しい。
しかし。陣取る席を間違えた。話しかけようにも、周りには誰もいない。
後方では元々の友人同士なのか盛り上がっているグループもあるが、
初々しさが残る明らかな新入生らしき人も、初々しい者同士で会話をしている。
―ヤバイ、これ、俺取り残されてる?
若干の焦りを感じながらも、講義が始まる時刻を鑑みると席を移動するのは躊躇う。
覚悟を決めてそのまま座り続けるも、先生は来ない。
今日はこの講義の初回だというのに、規定の時刻を過ぎても一向に先生は現れない。
―学生も学生なら、先生も先生か…。
開始時刻から20分、教室前方の扉が開いた。
時刻が時刻なだけに、当然先生かと思い、学生が一斉に扉の方を見た。
しかし、入ってきたのは若い女の子だった。
今までは女の子を見た時には「可愛い」という感情を抱いたのに、その人は違った。
そもそも、「女の子」ではない。「女の人」と形容した方が相応しいだろう。
華やかで、美しい。
でも、何かが危なっかしいような…。
見たわけではないが、その美しさに後方の学生も目を奪われているのが分かった。
彼女が入った瞬間、教室全体が息を飲むような、一瞬の静寂が起きたのだ。
彼女はヒールをカツカツ鳴らして移動し、俺の斜め前方に座った。
吸い寄せられるように彼女を見た。
明るめの栗色の髪。窓から差し込む陽光が彼女の栗色の髪を一際明るく輝かせる。
彼女はハーフアップにして、髪の間からうなじをのぞかせている。
―いや、もうこれ誘ってるだろ!
勿論そんな訳はないのに、余計なツッコミを入れてしまう。
ドキドキしながらも、彼女の横顔を見てしまう。いや、決していやらしい気持ちとかではなくて。
見惚れるというか…なんというか…、あ、これもやらしい気持ちなのか?
なんだろう、うまく説明できないけれど…自然と目で追ってしまうというか。
斜め後ろから見るだけでも、彼女は「華やか」だった。これはオーラとでも言うんだろうか?
でも、最初に感じた危なっかしさもやっぱりあって。
気になって見てしまう。そして、やっぱりきれいな人だ。
―こりゃ、高嶺の花的ポジションか…? モテそうだなー、いや、逆にヤリマンか?w
付き合える訳でも無いのに余計な値踏みをしてケチをつけてしまうのは男の悪い癖だ。
寧ろ、付き合える訳が無い、自分の世界には無関係の人間だからこそ厳しい評価をくだしてしまうのであろう。

29 :
そんな馬鹿にしたような評価をしながらも、彼女への視線をそらす事は出来なかった。
そのまま、感情の赴くままに彼女を見ていると、彼女が突然振り返った。
―や、やべぇ。見てんのバレたかも。
一瞬、焦る。すると、予想外の言葉。
「ねぇ、教科書見せてくれない?」
―ホッ。バレてなかったー!助かったー!
一瞬の安堵の後、教科書を持っていない事を思い出す。
「あ、僕まだ入学したばっかりでまだ教科書とかちゃんと準備してなくって…」
「じゃあさ、シャーペン貸してくれない?」
「あ、それなら…」
ごそごそと手探りにペンケースからシャーペンを取り出し、彼女に渡す。
すると、彼女は出席カードに名前と学籍番号とを書きなぐって、当然のようにそれとシャーペンとを俺に渡してきた。
「え…?」
大学に入ったばかりの俺には、その行為の意味がよく分からなかった。
その上、こんな華やかな女の子と会話しているという事実だけで舞い上がっていた。
それと同時に、俺もそこらへんの学生とたいして変わらないなとどこかで自分を客観視していた。
困惑する俺を見て、彼女は怪訝な顔をする。それでも、意味が分からなかった俺は問いかける。
「え?これ、どういう…」
「いや、だーかーらー、代返だって! 代わりに出席カード出しておいて。」
代返という制度はなんとなくは知っていた。
大学生ならではの愚かな行為と言えばそれまでだが、いつか自分も頼ったり頼られたりするのかなと漠然と考えてはいたが…。
―え、でも、初日からこれ?というか、見知らぬ人から頼まれるもんなの?これって友達同士でやるもんだろ?え?
引き続き小さく混乱している僕を見て、彼女はニカッと笑った。
「あははは、別にいいじゃん。今度は私が代返したげるからさ。ね、今日だけ。お願い。」
「…は、はぁ。」
納得いかないが、あからさまに「渋々」頷く俺を見て、また彼女は笑った。
「あと、この先生の授業って教科書無いとキツイよ?前列に居るとめっちゃ指名されるし。これ先輩からのアドバイスねっ。」
「はぁ…。」
彼女はサッと立ち上がって、学生には似つかわしくない小ぶりの鞄を抱えて、ヒラヒラと手を振りながら教室から去っていった。
彼女が立ち去り、少し冷静さを取り戻す。
しかし冷静さを取り戻せば取り戻すほど、「これって理不尽だよな?」という結論に落ち着く。
―おいおい、美人だからって調子のんなよ!ていうか明らかに寝起きの顔だったろ!寝坊して遅刻した挙句、他人に代返頼むってなんだよ!
心の中でツッコミを入れつつ、その理不尽な行為にほんの少し浮かれている自分が悔しい。
結局、その講義に先生は来なかった。
急な体調不良で休講の連絡が遅れたとかなんとか。まったく。1限から集まっている学生になんたる仕打ちだ。
しかし、手元に残った学生カードが少し嬉しかった。
あんな理不尽な行動をする女、俺は苦手な筈なんだが…。それでもなぜか、彼女の姿が頭から離れない。
学生カードに記された名前は「伊藤由香」。続けて「二年生 文学部…」と。
書きなぐった割には綺麗な字だな、と思った。
「イトウ ユカ、か…。」
意味もなく小さく呟いてみる。
でも、彼女はただ単に代返を頼みたかっただけ。ただ、それだけだ。もう言葉を交わす事も無いだろうと、その時は思っていた…。

30 :
授業3日目。今日は7限。
朝が早いのも考え物だが、夜遅いのもなかなかに辛い。終わるのは22時近くになる。
ただ、以前から読んでいた本の著者であり、尊敬する先生の授業だったので仕方なくこの講義を選択したのだ。
授業も3日目ともなると、自分のペース配分等がなんとなく掴めてきた。
前方の端に座ると、そこまで目立たずに授業に集中できることも分かってきた。
そして、今日も3列目の端に、座った。
「ねぇ、教科書見せてくれない?」
背後から聞き覚えのある声。でも、まさか。考えが纏まる前に反射的に後ろを振り返ると、例の「伊藤由香」がいた。
「あれ。……うーん?」
不思議そうに僕を見る彼女。
「あのさ、どこかで会った?」
「あの〜、この前も教科書忘れてましたよね。」
普通は初対面の人に突然代返頼まないだろうとか、大体あの時遅刻だっただろうとか、
諸々言ってやろうかとも思っていたが彼女の顔を見たらそんな気持ちはすっかりどこかへ消えてしまった。
本当に、俺もそこらへんの学生とたいして変わらない。浮ついている…。
「あ。あー!この前の!!!」
―ヤバい。可愛い。
この前は、可愛いなんて言葉は似合わない、きれいな人だと思った。
でも、コロコロとせわしなく変わる表情を表すのに適切な言葉は「可愛い」だ。
彼女が記憶を辿っている間の表情が可愛すぎて。直感的に「ヤバい」と感じた。
「ねぇねぇ、代返してくれた?」
「あ、えっと。」
「えー?もしかしてしてくれなかったの?真面目ちゃんっぽいもんなぁ。」
「いや、実は、結局先生が来なくて。休講になったんで…。」
「なーんだ、そうだったの?早起きして損したー!!」
「あ、だから、この前の出席カード、お返ししますよ。」
「あー、いいよいいよ、今度私が授業にいなかったら出しておいて?w」
悪戯っぽく笑う彼女が可愛くて断れない。男って愚かだ…。
「いや、でも、こういうのは…」
「あ、じゃあ、君がいない時にはー、私が代返しとく。どーよ、これ。画期的じゃない?」
―画期的…なのか?w
「とりあえず名前教えて、あと学籍番号。ほらほら、遠慮しない遠慮しない。」
「高橋浩介、です。」
「タカハシコウスケ、ね?」
名前を呼ばれるだけでドキッとする。ヤバい。
「入ったばっかって言ってたから1年だよね?学部は?」
俺と交わした会話を覚えていてくれた事に気付く。
―ヤバい。…好きになってる。ヤバい。
そこから先の会話はあまり覚えてない。ただただ楽しくて。ドキドキして。
人と会話するのは苦手な筈なのに。しかも、女の人と。それもこんなに綺麗な人となんて。

7限が始まった。
彼女は授業を真面目に受けないタイプなのかと思っていたが、
予想に反して背筋を伸ばし、熱心に聞いていた。まぁ、教科書は忘れてたけど。
ノートもきっちり書き込んでいるようで、意外だった。
まっすぐ前を見て真剣に講義を聞く姿は、突然代返を頼んできた姿とはあまりにもかけ離れていた。俗に言うギャップってやつか。
先生がちょっと難しい事を言うと不思議そうな表情を見せたり。
先生の意見に納得すると「うんうん」と小さく頷いたり。
どれが本当の「伊藤由香」なんだろう…。
俺は、彼女とは逆に、まったく授業の内容が入ってこなかった。ただ、彼女の真剣な姿だけは脳裏にはっきりと焼き付いた。
この姿を見て、本格的に恋に落ちた。ような気がする。

31 :
俺にとっては刺激の強い90分が終わった。
「あー、お腹空いた。飲みに行かない?私、奢るよ。」
「え?僕と、ですか?一応未成年なんですけど…。」
「でも一人で飲むのは寂しいもーん。高橋くんは飲まなくていいから、付き合ってよ。」
居酒屋までの道、男女二人で歩く事に慣れていない俺は何度も彼女との距離が空いてしまった。
彼女はヒールを履いているんだから、俺もゆっくり歩かなくては。
並んで歩くと、彼女の華奢さが際立った。
春らしい薄手のトップスは彼女の小さな胸の膨らみを微かに示していた。
―強く抱きしめたら簡単に壊れちゃいそうだな…。
なんとなくそんな事を思った。あぁ、俺、完全に浮き足立ってる。

半ば強引な誘いだったが、内心嬉しかった。表情筋が緩む。居酒屋の照明が暗くて助かった。
適当に料理を頼んで、乾杯。「あ、こういうの大学生っぽいな」とかいちいち思ってしまうのがなんだか気恥ずかしい。
「彼女居るの?」
あまりにもダイレクトな質問だったので、思わず飲み物を吹き出しそうになる。
「いや、いない…すけど。」
「へぇ〜、でも高校の頃とかは居たでしょう?」
「居るわけないじゃないですか!ご覧の通り人と喋るのとか苦手なんで。そういうのとは本当、無縁で。」
「ふーん。でも私と普通に喋ってるじゃん?私、今普通に楽しいけど。」
―いや、今脳みそフル回転でいっぱいいっぱいなんですよ!
頭の中でジタバタしつつ、サラッと言葉に出された「楽しい」に小躍りしそうになる。
そして、この流れだったら俺も聞いていいよな?と自問自答。うん、多分聞いていい流れだ。
「彼氏、とか、居る…んですか?」
「うん、居るよ〜。」
…まぁ、分かってはいたけれど。
俺の淡い淡〜い小さな期待は早くも崩壊した。
―これだけ美人な訳だから彼氏いないはずがないな。うん。寧ろ当たり前過ぎて驚かないな。
とにかくこの無駄でちっぽけ過ぎる淡い期待をかき消すように「そりゃ当然の事だ、分かってただろ」と強く強く頭の中で繰り返す。
俺は今日の7限、ずっとそんな事を考えていた。「彼氏はいるんだろうか?いやいや、居るに決まってるだろ」の繰り返しだった。
そのうち、いくら俺なんかでも男女二人で会うのはマズくないか?という考えに至る。
―古風な考え方か?最近の若者はこういうもんなのか?(俺も一応若者だけど)
この考えが浮かんだ頃には自然と言葉が出ていた。
「いや、でも彼氏さん…とか居るんだったらやっぱり二人で男と食事するのって嫌がるんじゃないですか?」
「あー、彼氏居るけど大丈夫だよぉw 面倒な事には巻き込まないから大丈夫。
 あっちは私に興味無いし…私の事は基本どうでもいいっぽいから。」
こういう時にどんな返答をすればスマートなんだろう。
すべての会話が探り探りになってしまうのが情けない。
「……あんまり、うまくいってない…ん、ですか?」
「う〜ん。そうだねぇ。私の場合はいつもうまくいってないよw」
「え、でもお付き合いされてるんですよね?」
「一応はそういう事になるけど。」
「じゃ、どうでもいいって事は無いと思いますけど。忙しいとか、じゃないですか?今は特に新歓とかありますし。就活とか…」
精一杯絞り切った言葉はたったのこれだけ。当たり障りの無い事しか言えない。
思いきって、次の言葉に踏み出す。自分なりに勇気を出した。
「いや、あの、先輩普通に美人だし、僕だって一緒にいて楽しいですし。
 先輩が彼女だったら絶対大事にしますよ!いや、あの、一般的な、話、ですけど…」
俺の言葉を遮って、彼女は笑った。
「ふふ。ほーんと、だったらいいんだけどね〜w」
―あ、本当に何て返せばいいか分からない。
黙るしか無かった。

32 :
「……………。」
「ちょ、そんな深刻にとらえないでよw 本当にたいした事じゃないから。
 多分どこのカップルでも夫婦でも時期によってはそういうのってあるんじゃないの?
 まぁ童貞君にはそういうデリケートな部分は分かんないか〜w」
「ちょ、な、なに言ってんすか!」
「あれ、あれあれあれ?お酒飲んでないのに顔真っ赤なんですけどーw」
まぁ、実際童貞なので何も言い返せないけど。
からかわれているのに、それすらもちょっと嬉しい。ドMか、俺。ごまかすように言葉をひねり出す。
「でも、本当にうまくいってないんだったらちゃんと話すとかした方がいいですよ。
 好き同士だから付き合ってる…のに、興味無いとか、そんな事絶対無いです。」
恋愛経験ほぼ皆無の俺の、根拠のない自信。
でも、本当にそう思ったのだ。この人が彼氏に放っておかれるって有り得ないだろ。
根拠のない断言に彼女はまた笑った。
また童貞だのなんだのからかわれるのかと思いきや、彼女の表情は急におとなしくなった。
「なんかでも…そういうの初めて言われた。」
「何がですか?」
「うーん?なんでもないよ。」
―あれ?やっぱり俺余計な事言ったか?
また脳みそフル回転。彼氏になりたいなんておこがましい事は言わないが、嫌われたくは無い。
「あとさー。言い難いんだけどさ、終電逃しちゃったんだよねw」
「えっ?」
「うん。」
「えぇ?!」
「あははーw」
「何で言ってくれなかったんですか?!」
「えー?楽しかったから?かな?なんかもう帰るの面倒くさいし。」
「いや、でも…。じゃ、カラオケとか、行きます?」
「私もう眠いからさー。泊めて欲しいんだけど。」
あまりにもサラッと言うので思考スピードがついていかない。
童貞の俺にはこの展開の速さに全くついていけない。
―世の中の男女ってのはこういう、もの、なのか…?いやいやいやいや、そんな訳ない。
「駄目?急に襲ったりしないから大丈夫だってばーw」
「それ僕のセリフでしょ!」
―こいつ、やっぱり美人だからって調子のってんな…!
これって据え膳食わぬは男の恥的な事なのか?いや、でも彼氏居るし駄目だ駄目だ。好きは好き、だけど。
意味も無い自問自答を繰り返す。これが所謂「惚れた弱み」ってやつなのだろうか。
俺の家以外にも選択肢はあるのに、他の提案を口に出せないし、断れない。
俺は自宅までの間、またも脳みそをフル回転させた。記憶をほじくり返す。
部屋の整理はそれなりにしてある…が、見られたらまずい物とか無かっただろうか。掃除は十分だっけ。

彼女を自宅に招いてからは、出来るだけ彼女と距離をとった。さりげない程度に。
多分彼女は気付いていたと思うけど。たまに寂しそうな顔を見せるから、少し困惑したけど、ぐっと我慢した。
俺なんかが何か出来る相手ではない、直感的にそう思ったのだ。
他愛もない話をしているうちに、彼女は寝た。細くて白い脚を投げ出したまま。なんて無防備なんだろう。
最初に見た時には「女の人」だって思ったけど、寝顔は「女の子」だ。
そっとブランケットをかけて、俺も部屋の隅で寝た。
彼女は寝る直前まで「別にしちゃってもいいんだよ?」と冗談のように何回か言っていた。
それは本当に冗談だったのかもしれない。でも、あれはどう見ても自分の存在を放棄しているような様子だった。
俺も冗談のように「そんな事しませんよw」と笑いながら返す事しか出来なかったけど。
―駄目だよ。なんでそんな事言うんだよ。誰とでもそういう事してるの?
黒い感情が渦巻いては消え、渦巻いては消え。
自分に投げやりな彼女の姿を見ると、自分の気持ちを欲望のままにぶつけてしまいそうな気がして怖かった。
勿論、無理やりだなんてそんな事はしない。
でも正直、この空気は、そういう事が許される空気なんだろうなとはなんとなく感じてはいた。
彼女はあまりにも無防備だったし、アルコールのせいか態度も柔らかいような気がしたし。
それでも、駄目だ。それは彼女にとっても俺にとってもきっと良くない。絶対良くない。
彼女は単に彼氏とうまくいっていなかったから、その淋しさの穴埋めに誰とでもいいから話したかっただけだろうし。

33 :
実は、居酒屋では緊張をほぐすために酒を飲んでしまうのもいいかもしれない、とも思っていた。
しかし本当に酒を飲まなくてよかった。三時間前の自分に心底お礼が言いたい。ありがとう、三時間前の俺。
今の俺にアルコールなんて入れたら理性が崩壊する。
「美人だからって調子にのってる」彼女に負けたくない、という変なプライドもあった。
自分は試されているような気すらしたのだ。
翌朝。
「本当に手出さなかったねw」
「あ、当たり前じゃないですか!」
「別に私はどっちでも良かったんだよー?w」
「駄目ですよ、そうやって童貞をからかったら。」
「あ、認めたーww」
「あの、もし彼氏さんに疑われるような事があったら、僕も、ちゃんと、説明しますから。終電が無くなって仕方なかったって。」
「ははは!なんか、こういうのも初めてかも。」
「何がですか?」
「ふふ。なんでもないよー。」
彼女のこのとらえどころの無い儚さと危なかっしさに、俺はのめり込んでいった。

しばらくして、俺は彼女の事を「先輩」と呼ぶようになった。
出会ったばかりの頃は、伊藤さん、だとか、ちょっと勇気を出して「由香さん」だとか言ってみたかったけれども。
名前で呼んでしまうと、自分の中の何かが崩れるような気もして「先輩」に落ち着いた。
男女の仲ではなく、「先輩と後輩」としての関係性を築こうとした。
あくまでも友達。先輩と後輩、だ。表面上は、の話だが。
そして、先輩と仲良くなるにつれて、先輩がどんな女性なのか段々分かってきた。
出会ってすぐの俺の家に泊まる位だから、まぁそういう事なんだろうな、とは薄々思ってはいたけれど。
モテる。当然彼氏も居る。でもうまくいかない。浮気される。そして別れる。でもモテるからまた彼氏もすぐできる…の繰り返し。
大体2〜3ヶ月程度のスパンで彼氏が変わっているようだった。あまりにも早く彼氏が変わるから、彼氏の姿を直接確認できた事は殆ど無い。
彼氏の姿なんて見てしまったら嫉妬にかられて頭がおかしくなるであろう事は分かりきっていたので、ちょうど良かった。
彼女もどうやらちょこちょこ浮気しているようだった。世間一般的には「ヤリマン」とされるタイプなのかもしれない。
俺が最初に下した評価は図らずもほぼ間違ってはいなかったようだ。
それでも彼女の事が好きだった。
この条件が揃ってもまだ好きなの?と呆れられても仕方が無いと思う。彼女は所謂優良物件ではない。
どうして好きかと聞かれても、上手に説明出来る自信が無い。
彼女のどこか淋しげな笑顔と、白くて華奢なその身体を自分だけの物にしたかった。
彼女の孤独を自分が埋めたいと、本気でそう思っていた。
彼女の明るい声と笑顔にはどこか影がある。この影を消し去る事が出来たら、と。
無謀にも、そんな事を本気で思っていた。
そもそも「好き」なんて感情を理論立てて説明できる人間なんて存在するのだろうか。
好意なんてあやふやなものだ。
でも、俺は間違いなく、代返を頼まれたあの時から既に好きになっていたんだと思う。
馴れ馴れしく代返を頼んできた君に「理不尽だろ」とツッコミを入れつつ。
彼女とは、週二回、授業が重なった。
彼女はふざけて「代返互助会」なんて言っていたけれど、彼女は俺に代返を頼む事なんて一度も無かった。
授業初日に代返を頼んだのは本当にたまたま、だったらしい。彼女はこう言っていた。
「あの日は、ちょっと嫌な事があってねー。頑張って大学に来たはいいんだけど、授業90分我慢できそうにないなー、って。
 頼めそうな気弱そうな男の子がちょうど近くにいたからねw頼んでみたw」
「気弱って!仕方ないですよ、僕あれが人生初めての大学の授業なんですから。緊張もしますよ、そりゃ。」
「あの時は本当にごめんw 初対面なのに不躾だったね。なんか、変に気が大きくなってたっていうか。はは。」
この会話で、あの日の顔は寝起きではなくて、泣きはらして瞼が腫れていたんだという事に気付いた。
それからというもの、彼女の瞼が腫れている事によく注視するようになった。
そして、それが「そういう事」があった次の日に決まって瞼が腫れているという事も。
普段夜更かしばかりしている彼女に、深夜にメールを送っても返信がこなかったら、まぁ「そういう事」だ。
―彼氏といるのだろうか?それとも、なんとなく一夜を共にしている男?誰の腕の中に居る?
 なんで?なんで俺とじゃないんだろう。そんなに快感が欲しいの?快感が欲しいだけなら俺だって…。

34 :
彼女が快感ではない別の物を求めている事は分かっている。
単に優しくして欲しいだけなんだ。本当は彼氏に対してもそうなんだと思う。
特に俺に対しては尚更だ。
彼女は度々俺の家に遊びに来た。
特に何かをする訳ではなし。他愛もない話をしたり、彼氏の愚痴を聞いては、彼氏の肩を持ってみたり。
「高橋くんになら彼氏に言えない事も何でも話せちゃうんだよねー、だって高橋くんどうでもいいんだもーんw 」
「もう調子にのらないでください!」
と怒ってみせつつ、でもその言葉でさえ嬉しかった。
彼女曰く「心を開く」という事がどうやら難しいそうだ。
当初、俺にはそれが俄には信じがたかった。
明るいし、きれいだし、それでいてサバサバしているしで、彼女には男女問わず友達が居るように見えたからだ。
大学内で彼女を見かけると、ほぼ必ず輪の中心にいるし、楽しそうにニコニコしている。
ただ、彼女と仲良くなるうちに、俺にはその中心だけポッカリ穴の空いたような、実体無いものにも見えてきた。
彼女が「心を開けない」という意味がなんとなく分かった気がした。
彼女は根暗な俺とは違って、誰とでもそれなりに楽しそうに話せる。
でも、それはその場を楽しく盛り上げるだけのもので、それはそれだけで終わるというか。
心を開く事無く、「一時的なコミュニケーション」として終わってしまうらしい。
俺になら何でも話せると言った彼女は、涙を流しながら感情を爆発させていた事もあった。
きっと、誰にも見せていない顔だ。
優しく抱きしめる事も出来ないけれど、ただひたすら頷いて話を聞いた。
彼女は、あの日のように無防備に寝る事なんてしょっちゅうだった。その度に俺は理性との戦いになる。
しかし、彼女が俺をからかうようにちょっと甘えてみせても、俺は意地でも手を出さなかった。
「男が皆先輩の事を好きだと思ったら大間違いですよ!」
と言うと、彼女は大きく笑っていた。
俺にとっては、そんな行為に走らなくても、彼女の信用を勝ち得る事の方が大事に思えた。
事実、俺が二年生になる頃には、彼女は俺のことを信用しきっていたように思う。
「高橋くんは、私を裏切らないもん。」
以前、彼女が言っていた言葉。これってどういう意味だろう。
好きなのに、全然興味が無い振りをして彼女の側に居続ける俺。これは裏切りなのだろうか。
ただ、時折黒い感情が自分をどうしようもなく支配する。
俺はそれに抗う事が出来ない。こういう時は、感情に身を任せてひたすら自分を慰める。
彼女を現実的に抱き寄せる事は不可能だが、彼女を想いながら自らを慰める位はきっと許されるだろう。
自分に都合のいい解釈をしながら、暗くて深い終わらない夜を過ごす。
そして、彼女が他の男に抱かれている現実に、なぜか興奮している自分に気付く。
―俺、頭おかしいな。
そう思いながらも、身体は正直だった。

35 :
そして、時は過ぎ。俺は大学三年生になった。
先輩とは、相変わらず「代返互助会」の仲だった。まぁ、代返は頼まれた事は無いけど。
相変わらず、彼氏をとっかえひっかえしているようだった。そしてこれも相変わらず、他の男とも関係があるようだった。
でも、俺には変な自信があった。これが不毛な自信である事も同時に感じていたけれど…。
「男女」という関係性ではないけれど、俺はいつも彼女の側にいた。居るようにした。
彼女の腫れやすい瞼を注意深く見ていたし、とにかく連絡を切らさないようにした。
彼女は痩せやすい体質だから、憂鬱になって食欲がなくなった時にもすぐ分かった。
彼女の様子をつま先から頭髪に至るまで注視した。
彼女は物事がうまくいかないと、自分の美容に対する意識が薄れると言っていた。
「女子力が無いんだよねー、基本w」と自虐地味に笑いながら話していたっけ。
彼女のネイルが欠けたり、外れかけたりする状態が続いていると彼氏とうまくいっていない証拠。
彼女の髪の毛の根元の黒い部分が2cm以上伸びていると彼氏とうまくいっていない証拠。
いつの間にか、そんな彼氏と仲違いしているであろう証拠を探すようになっていた。
その証拠を見つけては、静かに喜んだ。代わりに、自分に甘えてくれればいいのに、と。
ただ、そんな小さな喜びは些細な物で、首筋から見覚えのない痣が見えると、どうしようもない嫉妬にかられた。
それでも俺は、核心には触れず、彼女を支えられる様に努めた。
俺は、とにかく彼女の笑顔が見たかったんだ。
この二年間、彼女のことを知れば知るほど好きになった。
彼女の弱さを知れば知るほど、守りたい、と。とにかく彼女の孤独を埋めたい、と強く願った。

それから、俺は形式的に入っているだけのサークルの後輩に告白をされた。
後期試験が終わった直後の、春休みの事だった。
小柄で穏やかな雰囲気の女の子だ。正直言って、面食らった。
女性との関わりは、先輩以外は殆ど無いに等しかったからだ。
俺は、上手な断り方が思い浮かばず、その場では曖昧に返答してしまった。
こんな時にはどんな風に言えば傷付けず、穏便に済ませられるのだろうか。
ちゃんと断らなくては…という気持ちもあったが、告白自体は悪い気もしなかった。
先輩への気持ちを整理して前に進むのもいいかもしれないという気持ちも芽生えた。
所詮は、報われない恋だ。無駄な理性との戦いなんて繰り返したって誰も得しない。
大学に入って3回目の春なのに、俺はまだ何も成長していないんだ。
やっぱり、これも春のせいなのだろか。俺が嫌いな、学校全体が浮き足立っているこの雰囲気。
そんなに接点も無い俺なんかに告白しちゃう後輩。
生活に彩りを加えたいがために、なんとなく気弱で落とせそうな俺に声をかけたんだろうか。
それに曖昧な返答をする俺も俺だ。事実、落ちてもいいかもとぐらつく俺。
そういえば、俺が彼女を好きになったのも春だった。二年前の春だ。
そうだ。また君と出会った季節がやってきたんだ。

36 :
新学期が始まって、初めて先輩と授業が重なった。7限の授業だ。
先輩はもう4年なので週一日しか登校しないと言う。
「寂しかったらもっと来たげるよ〜w」
「もう、また調子にのってますね。」
春休みの間は殆ど会っていなかったので、久しぶりにからかわれた、それだけでもちょっと嬉しい。
そして7限後は自然とご飯を食べる流れになる。
自分からはなかなか誘えない俺にとっては、この自然な流れがどれだけ有難い事か。
彼氏でもないただの後輩の俺は、彼氏持ちの彼女を誘う事に、いくらかの抵抗感がまだ残っていた。
彼女は「彼氏なんてどうでもいい」と言うけれど。

居酒屋に到着して開口一番に彼女は言った。
「ねぇ。告白。されたんでしょ?」
あまりにもダイレクトな質問だったので、思わず飲み物を吹き出しそうになる。
あれ、前にもこういう事あったな。というか、同じ居酒屋だった気がする。
「え。何で知ってるんですか?」
「それは……まぁね〜w 私の情報網を舐めるでない!」
「ちょっと〜。」
「モテますねぇ〜、旦那。羨ましいぞ!あんな若くて可愛い子!私もあんな事やこんな事しちゃいたいなーw」
「オヤジ発言ですよ、それ。セクハラで訴えられたら確実に負けますよ。」
「いや〜、だってあの子小柄だし〜、なんか〜色々想像しちゃうんだもーんw」
二人してビールを一気に飲む。あ、そういえば。二年前はまだ酒のんでなかったな、俺。
「大体さー、今日なんてスーツとか着ちゃってーw 急に男前になっちゃってーw どうしたの?就活?早くない?」
「就活の準備というか…はい、まぁ、そんな感じです。」
「てかさー、もう付き合ってんでしょ?
 だから…さ。もうこういうの止めにしない?彼女が居るのに二人で会うのはマズいっしょ。」
一瞬、沈黙。頭が真っ白になる。
「きっと彼女さんに悪いと思うよ?しかも、私…こんなんだしさ。普通嫌でしょ?
 普通の女友達ならまだしも、ヤリマンの女友達とかw そりゃ信用出来っこないって!」
「何でそんな事言うんすか。俺、そんな風に思ってないですよ?」
「ははは。そんな優しくしてくれなくてもいいよw これでも自分の事は客観的に見てるつもりだよ。
 私が周囲からどんな風に見られてるかは…もういい年だもん。それなりに分かってるつもり。」
俺の言葉を遮って、彼女はどんどん話す。
「私、高橋くんには本当に本当に本っ当〜に幸せになって欲しいんだよねぇ。
 ちゃんとした子と付き合って欲しいっていうか…。あ、少なくとも私みたいな女じゃない人って意味ねw」
沈黙が流れる。
「私ね……高橋くんが初めてだったんだよねぇ。本当に信頼出来るっていうか…嘘が無い人だって思えたのって。
 今となっては、裏切られても恨まない位信じちゃってるからね。バカみたいでしょw でも、本当に…うん。
 すごく大切な友達だなって思ってて。だから幸せになって欲しいんだよ。」
―大切な「トモダチ」その一言が重くのしかかった。そりゃ当然だ、そういう振る舞いをしてきた。でも…。
「彼氏の事、愚痴ったらさー、普通彼氏の肩なんか持たないよw 適当に相槌打って、そのままヤれる程度に優しくして…てだけだもん。
 男女間なんて所詮そんなもんだもん。でも高橋くんは違った。私の話、ただただ聞いてくれて…。ただただ本当に優しくて。
 彼氏でも無いのに。本当うざかったよねw ごめんね。」
「いや、俺は、そんな…」
「勿論、たまに相談のるとかだったら…いいけど…さ。うーん…でも、そういう相談を異性にされるのもきっと彼女さんは嫌だと思うし。
 私、いっぱい浮気されてるからそういうの分かるんだよねーw 彼女の立場で、何をされたら嫌かとか。はは。
 あ、これからも友達でいてねー?あんまり放っとかれるのも寂しい…ってどっちやねん!って感じ?w 
 はは、自分でも何言ってるかよく分かんないw」
自虐に溢れた言葉を笑って口にする彼女の姿は、何度見ても痛々しい。
自虐の言葉で武装して、彼女は自分を守ってきたんだろう。そんな事しなくったって、俺が守るのに。
ただ、彼女の俺に対する揺るぎない信頼を、いざ言葉にされるとどんな対応をすれば良いのか分からなかった。
確かに、信頼されるように振舞った。唯一無二の存在になれるように努めた。
彼氏になれないのなら、代わりの別の「何か」にって。
彼女の笑顔が見られればそれでいいと本気で思っていた。
でも。俺が欲しいのは…彼女自身だ。

37 :
俺が考えを巡らせている間、彼女は黙っていた。
彼女はどんな言葉が欲しかったんだろう。
あぁ、これも二年前と一緒だ。言葉が、出てこない。出てこないんだ。
彼女は突然立ち上がった。
「ごめん、私、もう帰るね。」
「え、もう終電無いですよ?」
「いや、ちょっと…今日は約束があるの。」
「こんな遅くに?」
「その、彼氏の家、ここらへん、近い、から…。」
自分が、黒い感情に支配されつつあるのが分かった。あぁ、駄目だ。駄目だ。ヤバい。
「ていうか、そもそも!彼女持ちの男の家に二人っきりはもうマズイって。さすがに。うん。ダメダメ。」
「あ、あの、その事なんですけど。僕、付き合ってないんです。これからちゃんと断る所なんです。」
「え?あ、そうなの?何で?勿体無い。あの子、いい子だよ。私と違ってちっちゃくて可愛らしいっていうかー。
 それに清純系だし。穏やかそうだしー、高橋くんとぴったりじゃない?」
彼女の明るい声がいちいちグサリと刺さる。
―俺が欲しいのは先輩だけなのに。なんで。なんで分かってくれないんだよ。
 これから彼氏に会いに行くってなんだよ。俺って何なんだよ。
「その事で…色々相談があるんだ。今日、家来ない?」
「えっと…でも…」
「たまには僕の我儘、聞いてくれてもいいと思うんですけど。大切な友達、でしょ?」
彼女は、照れたような、困ったような顔をして笑った。
「うん…そうだよね、ごめん。分かった。彼氏の方は断っておくわ。いつでも会えるし。」
いつでも会えるという言葉がまた俺を締め付ける。
俺は、彼女の側に居るつもりだった。でも彼女と会っていたのはいつも授業が重なる時だけだ。
俺って彼女にとってなんなんだろう。
先程彼女の口から出た「大切な友達」という回答は既に頭から抜けていた。
俺って、なんなんだよ。
そのすぐコロコロ変わる彼氏どもと何が違うんだよ。
俺って、なんなんだよ…。
この瞬間。俺は、完全に黒い感情に支配された。

それからは、彼女を逃したくなくて、半ば強引にタクシーで自宅まで連れ帰った。
彼女は、いつもと違うその雰囲気に何かを察知しているようだった。
それでも、彼女は「大切な友達」である俺の家に入っていった。
疑うような、それでも信じるような、不思議な戸惑いを俺に見せながら。

38 :
扉を閉め、鍵をかけ。準備は整った。
俺はすぐさま彼女をベッドに押し倒した。
「きゃああああっ」
彼女の悲鳴に俺の雄の本能が反応していた。
俺のモノは既に硬くなっていたし、下着も濡れていた。
自分でも訳が分からない位に興奮していた。
とにかく必になってネクタイで彼女の両腕を縛り、ベッド脇の策にきつく縛り付けた。
彼女も必になって抵抗した。しかし、華奢な彼女の力なんてたかが知れている。
彼女の精一杯の抵抗があまりにも小さすぎて、笑えてしまう程だ。
―こんな抵抗しか出来ないのに、今まで平気で俺の家で寝泊まりしてたんだ?本当、馬鹿だなぁ。
彼女の細い腕は、よほどキツく縛らなくては拘束出来なかった。
馬乗りの体勢になって彼女を上から見下ろす。彼女は華奢で、すぐに潰れてしまいそうだ。
そして、俺のモノは既に彼女に触れているのだろう。彼女は一瞬驚きの表情を見せた。
「前、別にしてもいいって俺に言ってましたよね?」
「…‥…‥え?」
「じゃ、今。いいですか。」
「えっ。や、やめて!」
「いいですよね?」
「え、ちょっと。」
「一回してもいいって言ったんだから約束は守ってもらわないと。」
「いや、いや、ちょ、ちょっと待って。やめて!」
「ま、嫌と言われたところで、どっちにしてもやるんですけど」
彼女の薄手のブラウスを無理やり引き剥がす。
ボタンをいちいち外すのが面倒で、最後は力ずくだ。気持ちばかりが焦って、手元が狂うのだ。
ブラウスの扉を開けると、彼女の華やかさとは逆のパステルカラーの薄い水色のブラジャーが見えた。
―あ、これ、今日の勝負下着ってやつか。彼氏のために選んで彼氏のために着てるって訳か。
彼女は華奢で、胸の膨らみも穏やかだった。
普段、それを気にして恥らっている姿は特別可愛かった。
一生見る事は叶わないだろうと考えていた彼女の白い肌は、ただただ美しかった。
貪るように、ブラジャーのホックを外し、彼女の膨らみを味わう。
その独特の柔らかさと、真ん中で異常な程に突起して硬くなった部分とのコントラストが俺を興奮させた。
彼女は身体をよじらせる。
「本当にやめて。こんな、無理矢理とか、嫌なの。」
「無理矢理じゃなかったら、してたんですか?例えば、二年前、初めてここに来た時とか。」
「それは…」
「あの時だったらしてましたよね?俺がもし誘いにのってたら…。」
「…‥…。」
「何の躊躇もなく、してましたよねぇ?いつやろうと一緒ですよ。」
「お願い、やめて…。やめて…!いや、あっ…いや…っ……ぁっ…」
桜色をした突起部分を吸い付いたり舐めまわしたりすると、抵抗しながらも彼女はそれを明らかに悦び始めた。
嫌と言いつつも脚をもぞもぞさせて、身体をよじらせるその姿に俺は更に興奮せずにはいられなかった。
―なんだかんだ言って、結局ヤるのは好きなんだろ?w
ほぼこういった経験が無い俺の手でも感じている姿を見ると、相当開発された身体なんだろうな、と痛感した。
―一体何人の男としたんだろう。俺がもっと早く踏ん切りつけてたら…。

39 :
「逃げないから…コレ、解いて…」
「…だめ。」
「私、別に慣れてるから。どうでもいいし、実際『別にしてもいい』女だし。」
―なんでそんな事言うんだよ。慣れてるってなんだよ。してもいい女ってなんだよ。
「でも、高橋くんとは、こうはなりたくなかった、かな…。」
彼女は寂しそうに笑った。
―他の男は良くて俺は駄目なの?なんで?俺だって、ずっと側にいたよね?
 他の男に快感を貰って喜んでる位なら、俺が。俺がぐちゃぐちゃに壊してあげるよ、先輩。
いつもは彼女の冗談めいた毒舌も心地よいのに、今は彼女の言葉に全て苛々してしまうのは何故だろう。
彼女の腕には、ネクタイの痕がくっきりと残っていた。
華奢で白い彼女の肌に、その痣はあまりにも目立ちすぎた。
この痣が消えるまでは彼女に少しでも「自分」を残せるような気がした。
愚かな考えだという事は痛い程に自覚している。
でも、彼女に何かを残したい。この行為になんの意味も無い事は分かっている。でも…。
「お願い。痛いの。解いて。逃げないってば!」
「何度も言わせないでください、駄目だって言ってますよね!!」
彼女の唇を塞ぐようにくちづけを交わす。
「くちづけ」なんてそんな美しい類の物じゃない。
それはただ、俺が欲望に任せて彼女の柔らかい唇を貪っただけだ。
胸とはまた違った独特の柔らかさが、たまらなく愛おしい。
気付くと、彼女は泣いていた。
―なんで泣いてんだよ。そんなに、そんなに俺が嫌なのかよ…。
 誰とでもしてたんじゃないの?なら、なんでこんなに俺を拒むんだよ…。
多分この時、俺は怒りなのか悲しみなのかどちらとも分からないような表情をしていたんだと思う。
彼女の怯えたような表情がそれを物語っていた。
「やっ…」
「なに?」
「い、いや、なんでも、ないよ…。」
彼女がはぐらかす時に言う「なんでもない」がこんなに苛々するなんて。あぁ。
こうやって俺の気持ちもはぐらかすんだ?ずるいよ。最初っから。ずるいんだよ先輩は。
慣れてるって言う割には、俺とは嫌なんだ?泣いちゃう位に嫌なんだ?
もう、ここからは止まらなかった。俺の欲望がどんどん加速していくのが分かった。
次は、彼女の下部へと侵入していく。
彼女のミニスカートを捲り上げる。
―あぁ、このスカートも、このナマ脚も、俺のためじゃなくて彼氏のためか。そうか。そうだよな。
妙に納得がいく解釈をしてしまうと、嫉妬という感情がよりどす黒いものに生まれ変わる。
そんな混沌とした感情を抱えながらも、俺は経験が無いために、正直怖気づいている部分もあった。
が。この緊張を彼女には悟られたくない。強がって先へ進むしかない。
もし、これが。もしも、これが。彼女と愛を育んだ上での行為だったのなら…。
彼女は時々笑いながらも俺に色々と教えてくれたりしたんだろうか?
俺の緊張を察知して「大丈夫」とか言ってくれたんだろうか?
この想像自体も、今となっては全て無駄だ。

40 :
彼女の下着は濡れていた。あぁ、「シミが出来る」って本当の事だったんだなと初めて知った。
雑誌やAVでの前知識なんて役立たずだった。全てはリアルが上回る。
俺は正直言って戸惑った。差し込んだ指先に絡み合った粘液は予想以上のものだったからだ。
そして、こんな無理矢理な卑劣な行為でも彼女は感じていると実感できたからだ。
それだけでも俺は満たされた気分になった。
「濡れてますね。」
「もう、だから、やめて…。」
「こんなに濡れてるのに、途中でやめるなんて。エッチな先輩には無理ですよね?」
顔を背ける彼女を無視して、彼女の敏感な部分を辿っていく。
下着をずらすと、その粘液が糸を引いているのが分かった。
セオリー的には指でいやらしくなぞったりするのだろうか。よく分からない。
そんな事をぼんやりと考えながら、吸い寄せられるかのように自然と舌が向かっていった。
彼女の一番敏感な部分をこの舌で弄びたかったのだ。
彼女の脚を無理やり開き、腕で固定すると彼女が小刻みに震えているのが俺の身体に伝わってきた。
―そんなに、俺が怖いの?
舌を小さく動かすと、その動きの何倍にも彼女が大きく動く。
「いやぁっ!」
女の人はこんなに敏感なものなのか。
「ごめん、これだけは恥ずかしい。本当。やめて。」
そんな言葉を聞いてしまっては止める訳にはいかない。
俺はひたすらに弄んだ。舌をゆっくり動かし、吸い付き、彼女の粘液を絡めとる。
彼女の身体をがっちりと固定して、彼女のごくごく一部の部分を執拗に攻める。
たったその一部分の刺激だけで、彼女は甘美な声を出す。
この時初めて、彼女が快楽を解放させているかのように感じた。
―そう、我慢しないで。淫らな君を見せて。
俺なんかに犯されても身体が反応しちゃうどうしようもない君を、見せて。
「あぁっ。はぁ…あっ。はぁ…んんっ……っ…んっ…」
それは、俺なんかは当然今まで聞いた事が無い声。これからも今後聞く事は無いだろう。
一夜限りの、その甘美な声はその後もずっと俺を苦しませる事になる。
彼女の甘美な声は、ずるい。ずるいとしか言えなかった。

41 :
その時、突然携帯の着信が鳴った。
俺も彼女もピタッと身体が止まり、さっきまでの入り乱れた時間が一瞬にして彼方の物にでもなった錯覚に陥る。
彼女がハッと表情を変えたので、気付いてしまった。
―あぁ、彼氏からの電話か。
また嫉妬の感情に支配される。醜いこの感情を、世の中の人はどうやって解消しているんだろう?不思議だ。
彼女の鞄から、携帯を探り当て、乱暴に取り出す。
「彼氏さんからですよ。」
彼女に画面が見えるように、差し出す。
「……。」
「出てくださいよ。」
「嫌に決まってんでしょ、何考えてんの」
顔を背けて抵抗する彼女。無意味だと分かっているだろうに。
「俺達、大切な友達なんですから。何もやましい事は無いですよね?」
怯えながらも、確かに反抗する意志が存在する視線が俺に向けられた。
「ほら、早く。」
渋々了承し、彼女は電話に出る。
それと同じタイミングで、俺は俺自身を無理やり彼女の中に埋める。
想像していたよりも大分狭い。中で生々しく絡み合っているのが分かる。
わざとベッドの軋む音が鳴るように、いやに激しく動いた。彼女の感情を揺さぶりたかった。
「…ぁ、今日、うん、ごめん…あっ…っ…」
ニヤニヤしながら見下ろす俺を、彼女は瞳に涙をためながら見ていた。
今、彼女の中に居るのは、間違いなく俺だ。
電話先の相手?そんなの関係ない。今彼女を支配しているのは、この俺だ。
激しく出し入れすると、快感に顔を歪めながらも彼女は必になって話す。
「うん、うん……ぃゃあ…うん…あっ…」
枯れ果てるように通話を終え、彼女の表情は一瞬にして強張った。
「なんでよ…もうやめてよ…」
「電話越しで他の男とヤってんのに平気で話せるとかwやっぱり先輩って淫乱女ですね。
 俺の想像以上でした。自分でもヤリマンって言っちゃう位ですし、この意味分かりますよね?」
「もうやめてよぉ…やめてぇ…」
「感じてるくせに何言ってるんですか」
彼女が精神的な苦痛に顔を歪める表情ですら、今の俺にとっては宝物に思える。
こんな表情、俺しか見れない。こんな絶望、俺にしか与えられない。
俺は再び腰を動かす。彼女も自然と腰が浮き上がっている様に見えた。
部屋の中にネチャネチャという音が響き渡る。静かな空間でこの繋がりだけが確かな熱を帯びている。
動いているうちに、彼女がより感じる場所が分かるようになってきた。
そこを執拗に攻めると、彼女は諦めたかのように快感に身を委ねる。
「あぁっ…あっ……やぁっ…うっ…はぁ…はぁ……」
―きれいだよ。今こんな先輩が見られるのは俺だけ、だもんね。
彼女の甘美な声は、俺の雄の部分に呼び掛ける。
「もっとやれ」と。「もっと壊してしまえ」と。
もう。それからは、欲望のまま。決して枯れる事の無い欲望のままに彼女を自分のモノにした。
―先輩、きれいだよ。本当にきれい。本当はずっとこんな顔が見たかった。この顔を俺だけのものにしたかったんだ。
腰を動かすと彼女も腰を巧みに寄せてくる。
そのオートマチックな光景になんとも言えない気持ちにはなったが、その彼女の淫らさが俺をどんどん狂わせる。
俺自身を離さないかのように、出し入れすると彼女の中が俺を締め付ける。
生涯で一度も感じた事のない、これ以上無い快楽に気が狂いそうになる。
「…俺、もうイきそう。ごめん。」
やっと終わるという安堵と共に、彼女を危機感が襲ったのだろう。
みるみるうちに俺が欲していた表情が一変する。
「いや、本当、中はやめ、て…」
そんな言葉も虚しく、俺は彼女の中で果てた。
彼女の中から溢れ出る白い液体はシーツよりも俺の網膜にこびりついた。
彼女の全てを知ったような、そんな気になった。

42 :
何回かの行為の後、彼女は気を失ったかのように眠った。
彼女はこんな言葉を言い残して眠った。
「高橋くんって、こういう時は僕じゃないんだね。
 私、高橋くんの事、なんにも…なんにも知らなかったんだね…。」
彼女は眠る直前、全てを諦めるかのように笑った。
彼女の寝顔を確かめて、ネクタイを解いたところで、よくやくその意味に気付く。
気付くと確かに、先輩の前では一人称が「僕」になっていた気がする。
僕はずっと、紛い物だったんだ。嘘つきで、仮面をかぶった、どうしようもなくズルい男だったんだ…。
時が過ぎ、少し冷静になる。
乱れた衣服、シーツにこびりついた液体、彼女の傷付いた身体。
これは、居酒屋で口にしたビールのせいだろうか。
いや、多分…一滴も飲んでいなくとも、俺はこうしていた、と思う。
彼女の「裏切られても多分恨まない位信じちゃってるから。バカみたいでしょw」という言葉。
そんなの有り得ないよ。裏切られても恨まない程信じるなんてそんなの有り得ない。
本当に先輩は馬鹿だよ。何が「嘘の無い人」だよ。俺、嘘だらけだよ。
ずっとずっと隣で嘘ついてきたよ。気付かなかった?馬鹿だなぁ、本当。馬鹿だよ、先輩。
「俺、裏切ったけど恨まない?」そんな事は聞ける訳が無い。答えはひとつしか無いのだから。


次の日は、大学を休んだ。
俺は弱い。
全ては俺が原因なのに。
勝手に好きになって勝手に舞い上がって勝手に暴走して。
「もう会うのをやめたい」という断絶と、「これから彼氏に会う」という断絶が俺を狂わせた。
今考えるとたいした事ではない。
友達付き合いをやめようと言われた訳でもないし、
彼氏や他の男と合っているなんてこの二年間幾度と無く受け入れてきた。
それなのに、なぜ。なぜ狂ったんだ、俺は。
答えは簡単だ、「俺はもう必要ない」と勝手にはき違えて暴走したんだ。
最低だ。最悪だ。卑劣だ。俺なんて、ねばいい。
自らの最低で卑劣でどうしようもない愚かな行動への罪悪感と、
彼女に対する征服感と、そしてまだ昨晩の余韻とで、感情がごちゃ混ぜになっていた。
責任などとりようも無い。
とれる筈もない。そもそも、もう彼女が俺の前に姿を現す事は無いだろう。
でも、もし。もし万が一。彼女と顔を合わせてしまったら。
土下座でもすれば許してもらえるだろうか。
勿論、そんな事は有り得ない。
贖罪なんて物は、無い。償いなんて、所詮自己満足だ。
昨晩の自らに対する猛烈な後悔と反省と罪悪感に伴って、必ず興奮とが押し寄せてくる。
あぁ。本当に俺は、ただただ最低な野郎だ。

43 :
「今日は7限だけ、か…。」
11時を指す時計を確認して、小さく呟き天を仰いだ。
気付いた頃には彼女はもういなかった。当たり前だ。
その日は、結局一日中眠っていた。
気付けば夜になっていた。どうやら携帯の着信で起こされたようだ。
携帯のディスプレイに表示された「伊藤由香」の文字を見た瞬間、驚いて携帯を手放してしまった。
―え、なんで?
その文字を見ただけで、昨晩の事を思い出し、まだ身体が疼く。
昨晩無理やり、彼女に電話で会話させた瞬間、俺は確かに鬼畜だった。
だが、その罪悪感に苛まれながらも、まだ興奮している自分が、まだ確かにここにいた。
自分の理不尽さに頭がくらくらする。理不尽なのは彼女ではない、俺だ。
震える手で携帯を操作する。
まさか、またメールが来るなんて思ってもいなかった。
内容は罵倒の言葉の羅列だろうか。
まだ「繋がり」が持てるかもしれないという誰がどう考えても明らかに無駄な期待と、
俺を責める言葉の羅列を見てどこか安心したいという気持ちがあった。
いや、むしろそれでいいんだ。それが正しいんだ。
彼女は俺を責めるだろう。当然だ。
彼女の中の「憎悪」という感情が俺にだけ向かえばいい。
それだけでも、もう幸せとすら感じてしまう俺は何なんだろう。
彼女の中に俺の記憶が一生残ればいい。消せない記憶が。
心拍数が加速しているのを体感したのはこれが初めてだ。
震える手で、携帯のメールを開封した。

彼女からのメールは、一文だけだった。
「代返しといたから。」
これが、最初で最後の代返だった。


これにて、第一部終了となります。

44 :
以上です。長文失礼致しました。
この物語には、続きがあります。現時点では三部構成で考えています。
書き終えましたらまた来ますね。

45 :
どっちもGJ!
先輩と僕はこれからの展開に期待だな
先輩かわいいけどなんだか切ない…


ミオ様……。

46 :
コッペリア、前スレの分から読み返すと切なさMAX!
ミオを想うと。。。この切なさ、愛故特有だね。事情が絡んで絡んで。。。

47 :
すまん途中送信してしまった
あと、ネリーのキャラも好きw
先輩と僕、後半の〜なんで分かってくれないんだよ俺じゃあだめなの?〜とかたまらん。
無理やりモードに突入しても先輩に敬語なのもいいw
先輩可愛いね。影のある明るい感じがまた切ない。。。
やけにスレ進んでんなと思って覗いたら長文作品が2つも投下とはけしからん
深夜に読んだら燃えたぎって眠れんww お二人ともGJ

48 :
先輩と僕投下乙!
コッペリアの人は専スレ状態になったらロダ使うことも考えますとか言っておいて
本当に悪いとか思ってないだろw

49 :
>>48 別に悪くはないから仕方ないと思うがw他の職人さんも来たし

50 :
何はともあれ読み手としては作品を上げてくれるだけありがたい
このジャンル他だとなかなか見つけづらいし

51 :
まー口先だけでチラッチラッで反省しなかったの奴が専スレ化した所為で
作品さえ読めればいいという信者と投下マナーぐらい守れよ派で
過去すごいことになったからな(遠い目)
そんなつもりもなく前置きチラッされるのはウザイことこの上ないのはわかる

52 :
過去のことはよく知らないんだけど、前スレからまたいだのはコッペリアの人ぐらいで
このスレ50ほどしかレスないから、専スレ化してるという感覚がわからん
それより2作品投下GJ!
どちらも続き気になるわ

53 :
GJGJGJGJ
好きな子が他の男にヤられてんのを想像すると
嫉妬と同時に興奮する後輩よ、分かるぞ!分かるぞその気持ち!

54 :
あは〜ん

55 :
俺の中では先輩のイメージが桐谷みれい

56 :
幼馴染の高校生同士。放送部での出来事です。
♀桐子(とうこ):高2 ♂裕介:高1 タイトル「放送室での淫事」

57 :
俺は、桐子(とうこ)の事が昔から好きだった。桐子は、俺の幼なじみだ。
隣同士の家に住んでいたので、偶然会う事も頻繁にあり、自然と仲良くしていた。
よく遊んでいたし、小学生の頃は交換日記なんかもやっていた。
「わたしねー、ゆうすけのこと、だいすきー!」
恥ずかしげもなくそんな事を言う桐子を、俺は茶化して笑っていた。
極稀に、照れながら「ぼくも」なんて言ってみた事もあったけれど…。
当然同じ学区だったので、自動的に小学校や中学校も一緒になった。
しかし、お互い思春期という事もあり小学校5年生になる頃から
たまに顔を合わせても、段々避け合うようになり会話が減っていった。
ひとつ年上の桐子は、常に俺の先を行き、どんどん綺麗になっていった。
隣に住んでいるのに、桐子がどんどん遠くに行ってしまうような、そんな気持ちになった。
どうやら彼氏はいないらしい、という情報だけが俺の安心材料だった。
そのうち桐子は高校生になり、県内でも有名な進学校に入学した。
それを知った俺は必に勉強をして、彼女の後を追うように彼女と同じ高校に入った。
入学が決まった直後、久々に桐子と話すと、入学を驚くと同時に笑顔で喜んでくれた。
「え、すごーい!頑張ったね!おめでとう!」
―俺、桐子と同じ高校に入りたくて頑張ったんだよ。
本当は告白紛いの事をしたかったが、いざ本人を目の前にすると勇気が出なかった。
「あ!もし良かったら、うちの部活入りなよ!放送部。
 まぁ、存在のうっす〜い部だけどねw」
そういえば、高校に入学してからの彼女の部活も今迄知らなかった。
中学の時には、同じ学校という事もあり、なんとなく彼女の動向がうかがえたのだが…。
彼女との学園生活を夢見て、俺は期待を膨らませた。

4月。
俺は、彼女の勧め通り、放送部に入部した。
「本当に入るとは思わなかったw でも、ありがとね。」
彼女は驚きつつも、笑ってお礼を言って歓迎をしてくれた。
放送部には部員が6人だけで、新入部員の存在は実際有難いようだった。
活動内容は、昼休みや放課後に音楽を流したり、他は先生からの連絡事項を伝えたりするだけであった。
好きな音楽を流して思春期特有の小さな自己顕示欲を満たす、その程度の放送だ。
高校生の桐子は、俺が知る以上に明るく活発になっていた。
昔は少しおとなしい印象だったので、正直こんなに積極的になっているとは思わなかった。
しかし、いつも笑顔で周囲に気を配る姿に俺はますます惹かれていった。
放送部では、そんな桐子が当たり前のようにムードメーカーになっていた。
誰も口には出さなかったが、桐子は放送部の紅一点、マドンナ的存在だった。
先輩の桐子に対する視線の熱には、入部した時点で嫌でもすぐに分かった。
それでも、「お隣さん」以外の接点が桐子と改めて持てた事が俺は嬉しかった。

58 :
放送部は普段は当番制で、ランダムに二人組になり昼休みと放課後の放送を担当した。
桐子と当番が重なると、その日は朝から放送が楽しみで仕方がなかった。
部活動にも慣れた5月の連休明け、桐子と放課後の当番が重なった。
久々の桐子との当番に、連休明けの気怠さも吹っ飛んだ。
放送室に入ると、彼女は懐かしいバンドのアルバムをかけていた。
「この曲、いいでしょ。」
まるで自分の曲であるかのように自慢げに語る桐子を見て、俺はなんとなく笑った。
そういえば、30代の顧問の先生は、このバンドが好きだと言っていたっけ。
「あ、そうだ。話があるんだけど。」
『話がある』という言葉がどういう意味なのか。馬鹿な俺は舞い上がってプラスに捉えた。
「なに?」
「……あのね。皆の前では呼び捨てにするの…やめて欲しいの。」
俺は、桐子の急な提案に戸惑った。
「え?なんで?今更?」
「部活では一応、先輩後輩なんだし…。」
「まぁ、そりゃそうだけど…今更、別に…。」
「それに…加藤くんが嫌がるの。」
「加藤って…加藤先輩?」
「うん。この前告白されて…先週から付き合ってるの。だから、もう呼び捨てはやめて。
 幼馴染だから別に変な意味は無いって説明したはしたけど…。」
「わ、分かった…。」
「あと裕介、付き合ってる事は内緒ね?皆には言わないで。部内の空気的にも一応…ね。」
桐子から告げられた衝撃的な内容に、足元の感覚は無くなっていた。
沈黙が流れる中、俺は思い切って切り出した。
思い返せば、なぜこうなるまで勇気が出せなかったのであろう。
「あの…さ。俺じゃ、駄目?」
「え…。」
「俺…俺だって。ずっと、ずっと好きだったよ。先輩よりもっともっと前に。」
「……。」
黙りこむ彼女の表情が、俺の問いかけに対する答えだった。
「本当に、先輩の事…好き…なの?」
彼女は頬を赤らめて、小さく頷いた。
その姿を見て、俺の中の理性は一瞬で崩れ去った。
  『桐子を、俺だけのものにしたい。』
一途な思いは足枷を外すと、暴走を始めた。

59 :
俺は放送のボリュームのつまみを捻り、音量を確認した。
そして、そのまま勢いに任せて窓のカーテンを閉じ、扉に鍵をかけた。
部員全員が入るだけで窮屈な程度の放送室の掌握を手にするのは容易だった。
「な、何してるの?」
「準備。」
「え…な…?」
桐子は異変に気付き、椅子から立ち上がり、扉に向かった。
俺は今起きている状況が飲み込めないまま、桐子の手首を引き戻し、床に押し倒していた。
腰を押さえつけるように馬乗りになり、桐子を見下ろす。
「いやっ!」
「あんま叫ぶなよ…。」
「な、何するの…っ!やだ!やめてってば!」
「ま、曲流れてるし少し位なら声出しても大丈夫だけど。」
「ねぇ、やめて!!」
「曲、かけてくれておいてありがとね。しかも、こんなにいい曲。」
「いやああああっ」
彼女の大好きな曲が流れている。昔CDを貸してもらった、あのアルバムだ。
『君が好きだよ』と歌う男の歌詞が、今の自分に重なる。
桐子の抵抗が一向におさまらない中、掴んだ腕をネクタイでがむしゃらに縛り付ける。
「やめて…!」
「そんなに怖がらなくても、優しくするって。」
「これの、何が…優しいの…?」
俺は不敵な笑みを浮かべる。
「なん、で…?なんでこんな事するの?」
 ― 『好きだからに決まってる。』
そう心の中で呟いて俺は無言で行為を続行する。
セーラー服をまくし立てると、薄い桃色のブラジャーを纏った桐子の白い肌が見えた。
くびれたウエストは女らしさを感じさせ、俺の性欲を誘う。
「肌…綺麗だね。」
「いやッ…見ないで…っ!」
顔を背けた桐子を無視して、まずはブラジャーの上から膨らみを味わう。
幼さが残る顔に似つかわしくない豊かな胸に、こんなに成長していたのかと驚いた。
彼女の膨らみを手のひらで包み、必要以上に揉みしだき彼女の反応をうかがう。
桐子は、顔を背けて口を真一文字に結んでいた。
縦に揺らし、横に揺らし。その度に、胸の柔軟さに驚くほどだった。
俺にも自分自身を焦らす余裕などなく、すぐにブラジャーをずらし、その温かさを味わう。
手のひらで胸を包むと、すぐに乳首が硬くなっている事に気付いた。
手のひらで柔らかさを感じつつ、乳首を親指と人差し指とで掴むと、桐子が声を漏らした。
「ぁっ…」
「乳首は欲しがってるみたいだねぇ?」
その小さな桃色の突起は、実に桐子らしかった。
口の中で乳首を弄ぶと、ますます桐子の声は漏れ聞こえた。
舌で突起部分を吸い上げ、乳輪の周りを優しく舐め回す。
この刺激の繰り返しに桐子が身体を仰け反らせたのを、俺は見逃さなかった。
「桐子は感じやすいんだねぇ。幼なじみなのに初めて知ったよ。」

60 :
右手で胸を弄りながら、
俺はプリーツがきっちりと刻み込まれたスカートの中へと左手を伸ばした。
手探りに下着に触れると、それは明らかに湿っていた。
太腿にまで到達した粘液が、濡れ方の異常さを示している。
「桐子、濡れてるじゃん。」
「そんな事…ない…」
「ふっ。そういう所もすごく可愛いよ。」
必に両足を閉じようとする力が感じられたが、それは男にとっては意味の無い力だった。
下着の上から手のひらでこするように上から下へ、下から上へと移動させる。
手が触れる程にその愛液は溢れだしているようで、太腿に愛液がどんどん侵入してきた。
その濡れ方にたまらなくなり、荒々しく下着を膝の辺りまで下げる。
悲劇を受け入れるかのように、彼女の抵抗は段々と弱まっていった。
彼女の敏感な部分は、本能的にすぐに探り当てることが出来た。
強弱をつけながらクリトリスへの刺激を執拗に続ける。
押し当てるように刺激すると、桐子は明らかに悦んでいるようだった。
「あっあっ…あっ…いやぁっ…んん…」
桐子の甘美な声が、俺を刺激する。まるでわざと興奮を誘っているかのようだった。
もぞもぞと動く腰に優しくくちづけをすると、鼻に桐子の雌らしい香りが入り込んでくる。
左手に桐子の毛が絡む事で、その未熟な処理の仕方に俺は少し安心した。
指先で敏感な谷間を潜ると、粘液が俺の指の侵入を簡単に許してくれた。
彼女の中に人差し指を差し込むと、愛液がいやらしい音をたてる。
次に中指を挿入すると桐子の身体がピクッと動く。
「ゃっ…ぅっ……ああっ」
甘美な声を出しては、それを押しすかのように下唇を噛み、
声を出すまいとする桐子の口元に、今さっきまで彼女の中にあった左指を突っ込む。
「声出したくないなら、代わりにこれ噛んでなよ。」
桐子の愛液と唾液が交わる。
代わりに空いた右手で、また桐子の下半身への刺激を強める。
「んっ…んんっ…」
彼女に噛みされそうな左指の痛みは、俺にとってはただの快楽だった。
「ん?そんな気持ちいい?」
人差し指で膣壁に指を押しこむと、桐子は身体をくねらせて悦ぶ。
執拗にある特定の部分を押し上げるように力を込めた時の感じ方は特異なものであった。
「んーっ…んっ…んーっ…んんっ」
一層強い痛みが左指に走ったかと思いきや、桐子はそのまま脱力した。
ひくひくと動く膣壁を指で確認し、彼女が果てた事に気付く。
「イっちゃったの?」
「んんっ」
瞳に涙を溜めて必に否定し、首を振る桐子を見ると
俺は「彼女を満足させた」という達成感でいっぱいになった。

61 :
「俺も少しは気持ち良くなりたいんだけど。」
「はっ…な、なに…」
「いや、だからさ、これ。口でしてよ。」
自身の膨張した部分を指差す。桐子は「意味が分からない」というような顔だった。
俺はポケットから携帯を取り出し、彼女の美しい身体を撮影すると同時に、録音ボタンも押す。
迅速にカメラ起動が可能な現代の携帯電話に感謝する限りだ。
シャッター音を確認し、彼女のもみくちゃにされた半裸体が映る画面を桐子に見せつける。
「いやっ…!」
「ほんと、便利な世の中だよねぇ。」
「やめて…消してよっ…!」
「ふっ。これ、ばら撒いちゃおうかな?」
桐子が俺を睨みつける。
「いいの?加藤先輩に今メールしよっか?『あなたの彼女はとんだ淫乱女です』って。」
「やめて…。」
「『後輩を誘惑してこんなエッチな事してます』って。」
「だからやめてってば!!!」
桐子は数秒何かを考え、表情を無にして言った。
「分かった…やるから。…やるから、その写真消して。」
「よし、交渉成立。これ解くけど、抵抗したらどうなるか、言わなくても分かるよね?」
桐子は瞳に涙をいっぱい溜めて、認識するのが困難なほどに静かに頷いた。
「終わったら桐子の目の前でちゃんと写真消すから。」
ネクタイを解くと、桐子の細い手首には痣が鮮やかに残っていた。
ベルトをガチャガチャと外す金属の音と、放送されている音楽が重なる。
やっと着慣れてきた制服のズボンを脱ぎ、俺は放送卓の前の椅子に座る。
桐子は膝立ちをし、恐る恐る俺の既に隆起した部分に触れる。
桐子の手のひらに包まれただけで、正直、俺の興奮度は相当なものだった。
遠慮するかのように先を舐め始めた桐子の顔は、悲壮感に溢れていた。
物足りなさを感じさせるペロペロと舐める舌の動きの慣れなさに、俺は少し安心した。
それだけでも十分な程に気持ち良かったが、これで終わらせるつもりは到底無い。
「咥えてよ。」
肉棒を舌に押し付けると桐子は瞬時に首を振ったが、更に強く押し当てると彼女はおとなしく口に含んだ。
彼女の頬にたまった唾液が、俺自身に絡みつく。
「やり方、なんとなく分かるでしょ?やってみて。」
すると、彼女は頬をすぼめながら動き始めた。
男子高校生の未熟な俺にとってはその刺激は強く、すぐにでも出そうになる。
桐子の口膣がペニスを締め付ける。下の刺激とはまた別の高揚感があった。
たまらなくなり、俺は桐子の頭を強く抑え、口膣にひたすら出し入れする。
「んっ…」
喉の奥に深く挿れ込むと、息苦しそうな彼女の苦痛に歪ませた顔が興奮を誘う。
その表情ひとつひとつが俺の征服欲を満たしていく。
「はぁ…はぁ…」
鼓動が早くなり、俺の息が漏れる。
彼女の艶やかな髪は押さえようとしても少し手が滑った。
俺を受け入れる口膣にも、俺自身の熱が伝わっていただろう。
「はぁ…はぁ…桐子、気持ちいいよ…はぁ…っ…うっ…イ、イく…っ」
そのまま桐子の口の中で果てると、白濁した液体がどくどくと出てくる。
「うぇっ」
桐子は咳き込むようにして、それを吐き出した。
桐子の唇の横に付着した白い液体を人差し指で拭い、先程までこの肉棒が入っていた彼女の口に突っ込む。
「駄目でしょう、これも全部飲まなきゃ。」
「………っ。」
桐子の涙は、いちいち俺の征服欲を刺激してくる。
「思ってたより大分頑張ってくれたねぇ。」
「もう…これでいいでしょ…」
この世の絶望を知った桐子は小さく呟いた。

62 :
しかし、男子高校生の性欲なんて、限界はあって無いようなものだ。
実際に、果てた直後の敏感なペニスは、まだ欲しがっているようだ。
「まだ足りないなぁ…。」
「……っ?!」
「あのマイク使って、一人で気持ち良くなってるトコ、見たいなぁ。」
「は…な、何言って…」
「何って、単なるオナニーの見せ合いだよ。俺はそれを見て、自分でするから。」
「そ、そんなの無理…。」
「ちょっと痛いかもしれないけど…このマイク細いし、そんだけ濡れてるんだしw
 俺の指2本分位じゃない?さっきと変わらないから平気だよ。」
「そ、そうじゃなくて…」
「俺に無理矢理されるよりマシじゃないの?桐子、頑張ってくれたからさ。これは俺なりの救済案なんだけど。」
「無理だってばぁ…。」
「それに、これもあるよ?」
携帯を見せつけると、彼女は益々悲しそうな顔をした。
「じゃ、やっぱり俺のを直接挿れて終わらそうか。ほら、まだ欲しがってる。」
また膨張し始める肉棒を指差して、見せつける様に言った。
「いや!それだけは……。」
桐子は感情のスイッチをオフにしたようだった。
「分かった、や、やるから…。」
桐子は、大量のスイッチが並ぶ放送卓の上に乗り上げて、膝立ちになる。
俺の冷めた視線を感じたのか、彼女からは焦りが感じられた。
彼女は放送用の銀色のマイクを敏感な部分にあてがった。
「これで、いい?」
「ちゃんと自分で動かないと、気持ち良くなれないんじゃないの?
 さっきアンアン声出してたじゃん。ああいうの、見せてよ。」
桐子が細い腰をくねらせるように上下左右に動かし始めると、瞬く間に愛液がまた溢れ出てくる。
「またそんなに濡らして。恥ずかしくないの?」
丘の合間からとろけるような愛液が零れ出す。
「それにしても…気持ちいいとこ、自分でもちゃんと分かってるんだね?
 もしかして普段から自分で触ってるの?w」
「…んな事…して…ないっ…ううっ・・・んっ…っ…」
「ふーんw まぁどっちでもいいけど。」
俺は桐子の姿を見て、自分の肉棒を自分で握り、いつものように右手を巧みに動かす。
家でするのとは比較にならない程の刺激の強い光景が目の前に広がっていた。
イったばかりの敏感な肉棒は、すぐにまた反応を見せる。
正直言って、またすぐにでも果てそうだった。
しかし、勿論それだけで終わらせるつもりがなかった俺は手の動きを緩やかにした。
「まだまだ。そんなんじゃオカズにならないなぁ。」
「…え?」
「それ、挿れちゃってよ?そんなんじゃエッチな桐子には足りないでしょ?
 ほら、脚。ちゃんと広げて。俺に見せてよ。」
桐子は完全に諦めたのだろうか、今度は拒否や抵抗を見せなかった。
脚をM字に開脚し、マイクの角度を自分自身で自分に向けて調整し、冷たい金属を挿入していく。
「あっ…あぁっ…」
「ふっ。意外と楽しんでるじゃん。」
ぬちゃ…ぬちゃ…いやらしい音が室内に響き渡る。
意外な程にその慣れた腰つきは、彼女の性的な本能を感じさせた。
その猥りがわしい様に、俺は左手で桐子の胸を揉みしだきつつも、右手を動かすしか無かった。
桐子が腰を上下に動かすと、白い太腿のしなやかな筋肉が妙に色っぽく見えた。
「そういうの、なんて言うか知ってる?
 騎乗位っていうんだよ。男はそれ喜ぶから。覚えておくといいよ。」
ぬちゃ…ぬちゃ…いやらしい音は桐子の大量の愛液の証拠だ。
腰の動きを一旦止め、桐子は俺に許しを請うようにこちらに視線を向ける。
「なに?やっぱり一人じゃやっぱりイけないの?」
「ぇっ…?ちがっ…」
「そっか、俺もやっぱり自分でするのは物足りないから、挿れさせてもらうわ。」
「いやっ…」

63 :
椅子から立ち上がり、彼女に覆いかぶさる。
放送卓に乗っかったままの桐子の開脚を利用して、そのまま脚を押さえつける。
まるではじめからこのために存在したかのように、放送卓の高さはちょうど俺のモノの高さに近かった。
桐子の腰を自分に引き寄せ、熱を帯びた肉棒を淫裂に擦り付ける。
愛液にまみれたその部分は、すっかり俺を向かい入れる準備が出来ているようだった。
「や、やめ…」
桐子の言葉を聞き終わらぬうちに、俺は彼女の一番大事な部分に挿入する。
指はすんなりと入っても、さすがに肉棒はすんなりとはいかなかった。
メリメリと粘膜を切り裂いていくような感覚があった。
「い…痛っ…!」
「桐子、やっぱり初めてなんだ?」
痛がりながら俺のモノを受け入れた桐子だが、部屋には粘膜が絡みあう淫らな音がした。
苦痛に顔を歪ませる桐子を、俺の中の嗜虐性が喜んでいる。
「嬉しいよ、桐子…」
腰を押さえ、無理矢理に押し込んでいくとやっと根元まで入った。
桐子と身体を密着させ、全身で桐子を感じる。
桐子の汗と雌の香りが俺を全身で包み込む。
ペニスをきゅっと締め付けるような感触で、今にでも果てそうな程だった。
無表情の桐子は俺の視線と交わるのが嫌なのか、天井を向いていた。
そんな桐子の瞳から溢れる涙の受け止め方など、俺には知る由もなかった。
「桐子…好きだよ…好きだよ…っ」
今迄ぶつけられなかった感情も、なぜかこうなると思い通りに吐き出せる。
腰を動かし、彼女の中にズブズブと突き刺していく。
俺と桐子を隔てるものは何もない。確かに今、俺と桐子は繋がっている。
彼女の温かさが直に伝わってくる。この温かさを世界で最初に知ったのは、この俺だ。
桐子の粘膜の温かさと、俺自身の熱が重なり合う。
俺のペニスを締め付ける粘膜はひくひく動き、更なる興奮を誘う。
「あっ…んっ…っ…あっあっ…うつ…」
苦痛とも快楽とも受け取れる桐子の声と俺の荒々しい息と音楽とが響く。
アルバムはもう二周目を迎えていた。
「桐子ぉ…好きだよ…好きなんだよぉ…っ」
「ううっ…はぁ…はぁ…」
「ああっ、イくっ」
果てる直前に抜き出し、桐子の顔にあてがる。
「ほら。」
桐子は何も言わずともその意味を理解し、果てて敏感になっている肉棒を咥えた。
どくどくと出る液体はそのまま桐子の口内に吸収されていく。
桐子が飲みきった事を確認し、肉棒を桐子の頬にこすりつける。
桐子の頬に涙が流れ、放送卓に赤い液体が滴るのを見ても、この行為に満足している自分が確かに居た。

64 :
放心状態の桐子はそのまま脱力したまま放送卓の上でぐったりとしていた。
自身のズボンとベルトを調整しながら、俺はいつもと変わらない声色で話し始めた。
「気付いてないみたいだけど、一応、これ。」
卓上の点灯する赤いボタンを指差す。
「え…?」
「これ、意味分かるよね?」
「う…そ…」
「今までの、ぜーんぶ放送されてたからね?」
「…い…や……」
「放送部員なんだから放送スイッチはよ〜く確認しないと駄目でしょ?」
彼女は脱力した身体に一気に力を入れて泣き叫んだ。
泣き叫ぶ彼女の目の前に、手元の携帯の画面を見せつける。
「録音もしてたし、写真も何枚か撮らせてもらったし。」
「え…」
「言うまでもないだろうけど、素直に消す訳無いじゃんw」
「っ…」
「これからどうなるか。これも、意味分かるよね?」
「いやあああああああああああ」
勿論、放送などしていなかった。
放送スイッチは押したには押したが、音声ボリュームのつまみだけミュートにしていた。
俺だけの可愛い可愛い桐子の声を、他のやつに聞かせる訳が無い。
桐子の甘美な声を楽しめるのは俺だけだ。
放送などされていたら誰かが踏み込んで来るに決まっているのに、
冷静さを欠いた彼女にそんな判断は出来なかったのだろう。
彼女に絶望を与えるには十分過ぎる条件が揃った。
「桐子、これからもよろしくね?」
桐子が生きる意味は、俺があげる。
これからもこの歪んだ愛情と絶望を、たくさんあげるよ。桐子
俺は、彼女の泣き声に心地良さすら感じながら、放送室を出た。
アルバムは二周目中盤まで進み、また同じ曲が流れていた。
『愛と/過ちを/道連れに』こんな歌詞が、俺の耳に突き刺さった。
青春の一言で片付けるにはあまりにも雑だが、他にどう形容すればいいのだろう。
体中から吹き出る冷や汗を、まだ初夏には程遠い冷たい風が乾かしていった。

65 :
以上、これにて終了です。
以前に放送部内のSSを書いて消化不良だったので愛故にしてみました。

66 :
投下GJ!! エロいなw

67 :
>>66 なにこれ、ここ壊れてる?

68 :
あ、書き込めた
>>65 GJ!
幼馴染ものかと思ったら歪んだ変態さんでしたw大変よろしいとおもいます

69 :
>>65
GJ!
なかなかの鬼畜ですね。おいしゅうございます。

70 :
54はなんだったの?(安価つけないけど)

71 :
たぶん出会い系サイト業者の書きこみ

72 :
>>71
d

73 :
>>65
投下乙です
曲は実在の曲ですよね?歌詞を見たら泣けました(やってる事鬼畜だけどw)

74 :
>>65
乙乙
良質な愛故SSが増えて嬉しい限りだ

75 :
>>73
ググって分かった。懐かしいw たしかに歌詞切ない…
>>65
GJ!! いい愛故だ〜
放送部の特権をあらゆる手段で性的に行使していてワロタ

76 :
>>74
このスレ落ちそうな時以外あげんなよksg

77 :
そういやこの板全体が過疎になりつつある頃に、このスレだけは勢いあって
あちこちから嵐さんがやってきていた時代もありましたね
もう昔の話ですが…

78 :
>>1読め

79 :
こちらのスレは、「相手を愛してるからレイプはしたくないけど、周囲の思惑がそれを許さない」ってありですかね

80 :
愛するが『故に』じゃないわけか
詳細が分からんから何とも言えんが、展開によってはこっちのスレかな
【強制】嫌がる男女同士が無理やりHなコトを… 2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1321511101/
上のスレには沿わない感じの展開なら、個人的にはここでおkだ

81 :
される側が嫌がってて、する側は愛してるなら自分は構わない

82 :
愛するが故にの「故に」の部分は大事にしてほしい

83 :
まあちょっと複雑な話で、「する側は愛してるしレイプもしたくないけど、ある理由から彼女に関係を強制せざるをえない」
「される側も愛されてることは知ってるけど、その気持ちも行為も受け入れられない事情がある」
ってな感じ

84 :
スレタイとはちょっと違うな
その関係を強制ざるをえない理由によってはありだろうけど
(たとえば自分がしなければ他の男がすることになるとかだったら充分愛故の範囲とは思うけど)

85 :
あ、すまん下げチェックが反映される前に書き込みボタン押してしまったorz

86 :
>>84
あ、その要素はある>自分がしなきゃ他人

87 :
>>86
うーん難しいね。
86の状況設定で
次期王の兄の婚約者と知らずに強国の姫を好きになってしまい
そのままその姫は兄王と結婚。
しかし結婚後兄王は子供が作れない体だと判明。
血統を守るためとその姫の子供が王座を継ぐ事が平和的な同盟として決まっている政略結婚。
苦肉の策で、兄にも似ているし血統も近いしで弟に白羽の矢が立つ。
拒否する義理姉、抱くと嫌われると思っていても、
自分が拒否すれば次の近い血統の従兄弟が抱くと思って弟殿下は立候補する。
勿論義理姉は弟殿下が好きで、抱かれれば思いが止められなくなる
誠実で自分を大事にしてくれる優しい兄王を裏切りたくないと思っていたが
ある日兄王がヤンデレで嫉妬のあまり子供が生まれれば
相手の男が誰であろうとそうと画策していたとしりその気持ちは強くなる。
・・・なんて妄想が走ったよw
これなら愛故の範囲にはいる・・・か?

88 :
>>87
なんという俺得…十分愛故ですありがとうございます

89 :
コッペリアに花束を、続き投下します
ろだろだ詐欺しててごめん。今回からろだ使う事にした
今回は百合注意
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4297509.txt
>>87
この設定最高に好みだ…
文章化希望

90 :2013/06/25
乙!待ってました!
まさかコッペリアで百合展開を見ることになるとは…ありがとうございます
ミオ姫もリコも素敵
続き楽しみにしてます
リコが何番目の妹だかが思い出せない
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