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2012年11月エロパロ297: 立場だけの交換・変化 5交換目 (850) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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立場だけの交換・変化 5交換目


1 :2012/04/29 〜 最終レス :2012/11/05
いわゆる人格が入れ替わる「入れ替え」や性別が変化するTSではなく、  
「肉体や人格はそのまま、突然別の立場に変化する」系統の小説や雑談などをするスレです  
たとえば成人会社員と女子小学生の立場が交換されたり、  
AV女優と女子高生の立場が交換されたり、  
ペットと飼い主の立場が交換されたりと、  
周囲は立場の交換に気づいていたりいなかったり  
交換や変化の内容はさまざまです  

本スレから旧スレの立場に変化したスレ  
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1310791923/

2 :
スレ立て乙です。
これで気兼ねなく投下できる!
……とか言いつつ

3 :
多分ペースはボチボチでしょうけど(途中書き込み失礼)。
厳密には立場交換と言えるか微妙だけど、
●ケガ人♂と看護師♀の立場交換
→両手両足の骨折で病室から出られず退屈な患者に、魔法の心得のある看護婦(ただしドジっ娘)が
  「ケガ人としての立場」だけを自分に一時移し替えたつもりが、なぜか名前や社会的身分まで
 交換されてしまい、元患者がにわか看護婦さんをやるハメになる……なんてネタもありですかね。

4 :
その場合立場だけ入れ替わると、
両手両足を骨折したままで看護師として働かなくちゃいけなくなるのか…?
「ケガ人としての立場」が変わると歩けるようになってしまうんだろうか?

5 :
>>4
その辺はグノーグレイヴの「カルテ」を見ると良いよ
純粋とは矛盾色って言うサイトにあるから

6 :
そういやそこはTS物含めたカオス系統が多いよな
自分の趣味とはあまり合わないからほとんど読んでないけど

7 :
>4
発案者としては、「ケガ人という立場」(形相・属性でも可)を、看護婦が一時的に我が身に
移し替えることで、患者を健康な状態にして、しばし気晴らしさせてあげるつもりだった
(余談ながら、このふたりは恋人同士)……というつもりだった(類感呪術の応用?)が、
一個人の特定の立場「だけ」を限定して移し替えるのは、半人前魔女な彼女には難しく、
「ケガ人」だけでなく「看護士」「女」「個人の名前」という部分まで一緒に入れ換えてしまった
──と想定してます。
で、この魔術の行使には手による複雑な動作も必要なので、ケガをしてる「患者」な
魔女には使用できず、しばらく彼氏が「看護婦」として勤めることになる……という流れ。
仕方ないので、彼女は彼氏にキスで仕事に関する記憶の一部を譲渡します。
……設定固めると書きたくなるぁ。

8 :
「そこはとあるお屋敷」の人復帰してくれないかな
全作品が好きだったんだが

9 :
>>8
女装スレで投下されている話し違うの?
たぶんその作者だろう
このスレ立てたのもその作者だし、特定できないが気配と言うか
書き込みから雰囲気がその作者なんじゃないかと思えるものは度々見るから健在だろう


10 :
#チロルの描写がいまいちスランプ気味なので、昔ネタふりしたものをSS化してみる!
『Nursing Samba 看護婦しちゃうぞ♪』
 駅前繁華街……から見て裏道にあたる通りの端っこで営業しているバー”TRABULANCE”。
 店構えはちと小さめだが、オーナーの趣味か内装が古き良きジャズ喫茶を思わせる作りで、店内に流れるBGMもジャズやブルース、あるいはイージーリスニングなどが主体の、流行に真っ向からケンカを売った店だった。
 もっとも、だからこそ懐古趣味の変わり者や、ちょっと通ぶりたい人間に支持され、そこそこの客入りを得ている。
 そんな店だから、客層も落ち着いた品の良い(あるいはおとなしい)人間が多いのだが……。
 「ふぅ〜……ゥィック!」
 酒場である以上は、飲み過ぎたり、悪酔いしたりする人間は、やはり不可避なのである。
 「もう、詠くん、飲み過ぎだよ?」
 連れの女性の呆れたような言葉にも、青年はボンヤリした視線を返すばかり。
 じつはこの酔っぱらってクダ撒いてる青年──詠一の方は、とある総合病院に勤める新米医者で、しかも院長の息子だったりする。
 金持ちのボンボンで職業が医者となると、キザで鼻持ちならないハンサム……というのが物語なんかのお約束だが、詠一の場合は生憎それにはあてはまらない。
 顔立ち自体はそこそこ整っているが、背が低く童顔なため、20代半ばになった今でも学生(それも大学生ではなく高校生)と間違われることもしばしばだ。
 性格も、甘ったれなところは確かに坊ちゃんっぽいが、強引とかプライドとか言う言葉とは縁の遠い、むしろ他人とブツかることを極端に忌避するヘタレといってよいタイプだ。
 対して、女性──英美の方は詠一と同い年の幼馴染で、現在は同じ病院の小児科の婦長をしている。
 癖の強い髪を首筋にかかるくらいのショートカットに切り揃え、意志の強そうな瞳が印象的な女性だ。容貌も、可愛いというよりは美形あるいはカッコいいと評した方が似合うタイプ。実際、看護学校時代は後輩にモテモテだった。
 ふたりは幼稚園の頃からの同い年の幼馴染で、高校までは同じ学校に通っていたのだ。と言っても、色恋めいた関係ではなく、どちらかと言うと「強気で優等生な姉貴分と弱気で地味な弟分」といった方が似合う関係だったが。
 成績に関しても、英美が3年間学年首位だったのに対して、詠一はどうにか上の下という程度だった。
 高校卒業後、英美はそのまま看護学校に入り、その後正看護師の資格を得て、詠一の家が経営する病院に就職。
 一方、詠一は何とかかんとか地方の大学の医学部に滑り込み、そこでの精進の結果、医師免許取得に成功し、余所でのインターンを経て、今年実家の病院に晴れて医師として帰って来た……と言うワケだ。

11 :
 このふたり、決して仲が悪いワケではないのだが、互いに複雑なコンプレックスめいたものを胸中に抱えているのも事実だった。
 「はぁ……そりゃ、勤め始めたばかりで仕事に慣れてないから、ストレスが溜まってるのはわかるけどね」
 溜息をつく女性の言葉の何かが琴線に触れたのか、青年はすわった目付きで愚痴を垂れ流し始めた。
 女性の方も最初は酔っ払いの言うことだからと「ハイハイ」と適当に流していたのだが、それが10分以上続くと、さすがに堪忍袋の緒が切れたらしい。
 「いい加減にしなさい! 詠くん、アンタ、どれだけ自分が恵まれてるか、わかってないの?」
 高校始まって以来の秀才と呼ばれ、また本人にも密かに自負があったにも関わらず、金銭的な事情で医大への進学をあきらめ、看護師への道を進むことに「妥協」した太田英美。
 「なんだよ、それなら僕なんかじゃなくて英美さんが医者になればよかったんだよ!」
 対して、自分に医者は向いていないと思い、どうせ医療に携わるなら看護師の道の方が良かったと思いつつも家庭環境がそれを許さず、結果的に医者に「なってしまった」初瀬川詠一。
 互いが本音を隠さず話せば衝突は必至だったと言えよう。
 酔いに任せた醜い口論が始まるか……と思いきや。
 「ふむ。それでは、おふたりが立場を交換してみると言うのはどうでしょう?」
 カウンターの内側でグラスを磨いていたはずの”TRABULANCE”のマスターが、ふたりの前にコトリとグラスを置いたことで、気勢が削がれた英美たちは口をつぐむ。
 「立場を…交換?」
 いくらか理性が残っていた英美と異なり、ホロ酔いを通り越して潰れる手前まで来ている詠一は、ボンヤリとマスターの言葉を繰り返した。
 「ええ。隣りの芝は青く見えるもの。一時的にお互いの立場になれば、自分が羨望していた相手の立場が、それほど気楽なものではないと思い知ることができるでしょう」
 「そんなコト、できるワケが……」
 「それが可能なんですよ」
 英美の否定をさえぎるようにマスターが割り込み、自信ありげに片目をつむってみせる。
 「そちらに今お出ししたカクテルを、おふたりが半分ずつ口にすれば、たちまちおふたりの「立場」が交換されます。御二方とカクテルを作った私以外の人には、太田さんが初瀬川さんに、初瀬川さんが太田さんだと認識されるようになるんですよ」
 「そんな馬鹿な。マスターの冗談でしょ」と否定する一方で、英美の心の中で「それがもし本当なら……」と期待する気持ちがなかったと言ったら嘘になるだろう。
 考え込む英美を尻目に、すっかり酔いの回った詠一が、「そりゃいいや、ハハハ!」と珍しく大胆に躊躇いなくカクテルグラスの中味を半分ゴクゴクと飲み下す。
 「ヒック……これで、あとはひでみさんのばんれすよ〜」
 得意げな詠一の表情を見た英美は、引っ込みが付かず、自らもグイッとグラスの残りを飲み干した。

12 :
 「それで、マスター、このあと……」
 そう言いかけたところで、英美の意識は途切れ……。
 次に意識を取り戻したのは、”TRABULANCE”の営業時間が終わる、そろそろ看板という時間だった。すでに、ふたりのほかに客は残っていない。
 「え、ヤダ、うそ。私、あのまま潰れちゃったの!?」
 それほど度の強いカクテルだとは思えなかったのだが……。
 「ええ、その通りですよ、英美さん……いえ、英一さんとお呼びするべきですかね」
 マスターの意味ありげな視線を辿り、自らの身体に目を落とした英美はハッとする。
 なぜなら、そこには見覚えのある色合いは高価なアルマーニのジャケットとスラックスを身に着けていたからだ。
 (まさか、私と詠くんの身体が入れ替わった!?)
 慌てて胸元に手をやったところ、幸いにして(あまり大きくないのが悩みの種ではあるが)乳房の存在が感じ取れたのでホッとする。おそるおそる股間を探ってみたところ、こちらも女性のままだった。
 ふと傍らを見れば、先程まで自分が着ていたはずのヴィヴィフルールのレディススーツをだらしなく着崩した詠一の姿があった。
 胸の膨らみがほぼ皆無(僅かな盛り上がりはたぶん、寄せて上げるブラの影響だろう)なことから、身体は男のままのようだ。
 「ちょっと、詠くん、起きなさい。マスター、いくら何でもこんな悪戯……!」
 ヘタレな幼馴染を揺さぶり起こしつつ、マスターに抗議する英美だったが、マスターは慌てず、身分証を確認してみるように言う。
 英美のジャケットの胸ポケットには、「初瀬川英一」名義の免許証が入っていた。貼られた顔写真は、髪を短く刈り込んだ英美そのものだ。ふと頭のあたりが随分さっぱりしていることに気付く英美。どうやら、この写真同様の髪型になっているようだ。
 まだ寝ぼけ眼の詠一の傍らのハンドバッグを探ると、そこには「太田詠美」名義の身分証が入っていた。よく見れば、かなり寝乱れてはいるものの、今の詠一の髪型はさっきまでの自分のものに違いない。
 混乱してすっかり酔いも醒めたふたりに、マスターは「ご覧の通り、おふたりの立場を交換しましたよ」とニヤリと笑う。
 「ま、まさか、本当にこんなコトができるなんて……」
 「もしかして、ずっとこのままなんてことは……」
 蒼い顔をしてふたりを「心配無用」となだめるマスター。
 「今日はもう材料がないので無理ですが、来週あたりにもう一度おふたりでご来店いただければ、同じカクテルを作って差し上げますよ。それを飲めば元の通りです」
 元に戻れる方法があると知って、ようやくふたりは安堵する。
 「先程も言った通り、基本的に、今のおふたりの立場は完全に入れ替わっています。ですから、元に戻るまでは太田さんは初瀬川さん、初瀬川さんは太田さんとして行動してくださいね」
 最後にそう言うと、「そろそろ看板ですので」とマスターはふたりを店から追い出したのだった。
-つづく-
#「ケガ人♂と看護師♀の立場交換」の方は、「看護婦しちゃうぞ♪2」ってことで、コレが終わったら書きます。

13 :
>>9
どうしてそんなの分かるんだよ
おまえハッカーなのか?w

14 :
>>10
新作乙
続きも楽しみにしている
>>13
いやID見たら分かるから
とあるお屋敷を書いた作者と同じ作者かどうかは文体で何となく

15 :
>>10
GJすぎる・・・!!
抵抗しながらもその立場に染まっていく姿を楽しみにしてますw

16 :
>>10
GJ!
やっぱりコレが立場交換の醍醐味だなぁ
続きも楽しみです!

17 :
>>10
乙です

18 :
>>8
どう見ても本人かKCA氏です。本当にありがとうございました
本当にここは馴れ合いと自演の板だよな
別に良いがたまに呆れる

それとは別として>>10の話しは面白い
続き期待のGJ

19 :
8だけど本人でもないしKCAでもないよ。純粋にあの人の作品が好きだったんだよ…
今じゃHPも消されて見れないし
わかったよ、あんま言わんようにする。すまんな

20 :
本当だ閉鎖されてる
だが過去ログ見れば問題ないだろうし、某支援所の図書館にも作品置いてある
他スレでやってるらしいから書くの辞めた様子では無いだろう
良く分からんがさーにん氏も何か考えがあるんじゃないか?
メアドとか公開してる作者なんだからファンならメールとかしてみれば?

21 :
まあそこまで好きって訳でもないからなぁ
今まで通り過去ログ漁るわ
>>20
サンキュー

22 :
何時もならそろそろ本人が降臨しても良いはずなんだが

23 :
あんまし雑談してっと作品の邪魔になるって怒られるから
作者さんが書いてくれるの静かに待ってよ

24 :
『Nursing Samba』2
 「な、なぁ、どうしよう、英美さん……??」
 ”TRABULANCE”から出て(というか追い出されて)、混乱した頭を落ち着けるべく24時間営業してるマ●ドに入ったふたり。
 幸いにも2階の客席に人影はほとんど見られなかったので、隅の方の席で小声で話すぶんには問題ないだろう。
 「どうしようって……このまま帰るしかないんじゃない? 店員さんの反応とか見る限り、マスターの言ったことは事実みたいだし」
 オロオロとプチパニック状態に陥っている青年に比べると、彼女の方は随分と肝が据わっていた。
 「まぁ、私はともかく、キミの場合はそのまま素でも女に見えないことはないかもね」
 クスッと笑われて顔を赤くする青年。
 「男仕立てのスーツでマニッシュに決めている」と主張できないでもない彼女(しかも刈り込んだ髪型とあいまって結構似合っている)に比べて、自分がどう見ても女装しているのは明らかだったからだ。
 前合わせが男性物とは逆で、しかも随分と丈の短い──腰に届くぐらいしかないジャケット。色もラベンダーパープルで普通の男物のスーツにはあまり色合いだ。
 その下に着ているブラウスも、ツルツルした肌触りのポリエステル製で男のYシャツとはまるで着心地が違う。ボタンの付き方も反対だし、袖口や襟元に細かいレース飾りがついていることが、如実に女物であることを主張していた。
 胸を軽く締め付けられるような感覚からして、おそらくは下にブラジャーも着けさせられているのだろう。
 しかしながら、それらはボトムの違和感に比べれば、まだ些細なものだった。
 今の彼は、男性ならまず一生縁がないはずの「タイトミニスカート」を身に着けているからだ。
 学生時に文化祭や運動会などで余興的に女装させられる男もいないわけではないだろうが、そういう時は大抵、女子制服か体操着(ブルマーかスパッツ)あたりが定番だ。あるいは、いかにもコスチューム然としたメイド服や舞台用ドレスとかだろう。
 しかし、今、彼が履いている(履かされている)のは、ごく普通に街角を歩いているキャリアウーマンっぽいタイトミニなのだ。しかもその下にベージュのパンストまで履かされいるので、恥ずかしさはさらに倍増だった。
 彼女の慰め(からかい?)の言葉はともかく、いかに自分が童顔とは言え、見る人が見れば「男が女装して表を歩いている」状態に間違いないだろう。
 「こ、このまま帰るって……英美さん本気!?」
 「うん。キミも既にわかっているはずだけど? 現在、私達ふたりの立場は、入れ替わっているんだから、私が初瀬川家に、キミが病院の女子寮の私の部屋に帰るのが妥当だと思うよ」
 元々、太田英美はしっかり者ではあったが、突拍子もない非日常的事態に、ここまで冷静に判断を下せるとは、実は自分でも驚きだった。
 「それに、お店で飲んでる時も言ってたよね。私は看護師よりも医者に、逆にキミは医者よりも看護師のに、本当はなりたかった。だったら、コレはまたとないチャンスじゃない?」
 あるいはそれは、歪な形とは言え、見果てぬ自分の夢が叶ったことへの喜び故か。
 「それは……そうだけど……」
 その点を指摘されると、青年の方も否定はできない。確かに、「看護師として働く」ことを望んでいたのは事実だからだ。

25 :
 「でも、いきなり今日からしばらく英美さんとして暮らせって言われても……」
 「そうでもないと思うよ。じゃあ、聞くけど、キミが今住んでいる女子寮の部屋がどこかわかるかな?」
 「へ? そんなの205号室に決まって……あれ?」
 自分は英美から部屋の番号まで聞いたことがあったろうか?
 「じゃあ、明日、と言うかもう今日だけどの勤務予定は?」
 「朝番で9時出勤──だけど、今日は婦長会議があるから30分早めに入らないといけないはず……」
 「今担当している患者さんで一番の難物は?」
 「807号の高木さん。言葉と視線によるセクハラがヒドいって部下の子たちからも苦情が絶えない……って、ええぇっ!?」
 彼女の問いに、スラスラと答えてしまってから、ハッと口を押さえる。
 「ね? 私がキミ、キミが私として暮らすのに必要な知識は、すでに頭に入っているみたいなんだよ」
 彼女はニヤリと不敵に笑った。
 「あるいは、何でもいいから医大での専攻科目のこととか思い出してみなよ」
 「えっと……」
 そう言われて、懸命に学生時代の勉強を思い出そうとするが、浮かんでくるのは「看護学I」とか「栄養学概論」といった看護師に必須の知識ばかりだ。
 「そ、そんなバカな……」
 「な? わかっただろ。今は私が新人医師の
 茫然とする「詠美」の肩に手を置いて、「英一」は楽しそうにそう言い聞かせるのだった。
#此処までで起承転結の「起」、終了。「承転結」については、たぶん1回ずつで済む予定。
#そしてODssスレに誤爆してしまった罠。ハズカシー

26 :
#しかも最後の一文、脱字してました。正しくはこう↓
 「な? わかっただろ。今は私が新人医師の初瀬川英一、そしてキミが小児科婦長の太田詠美なんだよ」
 茫然とする「詠美」のなれなれしく肩に手を置いて、「英一」は楽しそうにそう言い聞かせるのだった。

27 :
ttp://www.tsadult.net/wakaba/futaba.php?res=17284

28 :
>>24
久しぶりに来てる!!ヒャッハー!
乙です(・∀・)

29 :
>>24
GJです!
今回は男性主展なんですね
学校際で先生も巻き込んで先生に制服を着てもらって、
生徒がスーツを着ると言うのもありましたよ。
男女ではなく女同士でしたけど。

30 :
>>24

良い感じになってきた

31 :
>>24
あらやだ、興奮するやん

32 :
【その1】
終業のチャイムが高らかに鳴り響くと、生徒たちはけだるい午後の授業から解放された喜びから一斉にざわめきだす。
私――田村あかりもまた、学校に通っている最大の理由へと思いをはせながら、
机の中の教科書やノートをカバンの中に詰め込んでいく。
「あかりん、今日も練習?」
手早く帰り支度をしていると、友達のひばりが声をかけてきた。
「うん♪ 大会も近いし、これから毎日一生懸命練習しないとね」
「新体操界期待の新星、『御神原の妖精』サマでも練習しないとダメかー」
「期待されているからこそ、練習しないとダメなのよ」
「そっかー。帰りに『にゃんこ』のパフェでも食べてこうかと思ったけど、それなら無理だよねー」
「ごめんね」
生クリームとフルーツたっぷりなにゃんこのパフェは気になるけれども、
それ以上に大会のほうが気になる。
「期待してますよ、『御神原の妖精』サマ♪」
「また明日ね!」
軽く手を振ってひばりを見送り、黒板の上にかかっている時計に目を移す。
「うわ! もうこんな時間だ!」
気がついたら時計の針は4時10分前をさしていた。
練習開始の4時きっかりまで、もうそんなに時間がない。
もしも時間までに着替えを終えて準備完了してなかったら、あの鬼コーチに何を言われるかわかったものじゃない。
教室から新体操部専用の練習場まで大体3分。そこから更衣室で速攻着替えて髪を整えるのに5分。
いける。
そう確信した瞬間、私は教室を飛び出していた。
思い思いに下校する生徒たちを避けながら廊下を走り、階段を駆け下り、
そして渡り廊下へと向かう角を曲がろうとした瞬間……
「キャッ!」
「うぉっ!」
なにか大きな壁のようなものにぶつかって、私は大きく転がった。
「いった〜〜〜〜〜」
派手に吹き飛ばされたけれども、壁のようなものがやけに柔らかかったおかげでなんとか怪我をしないですんだ。
「だ、だ、だ、大丈夫?」
壁のようなものはぬっと手を伸ばし、私を引き起こそうとしてきた。
よく見ると同じクラスの大沼だ。
いつものようにふうふうと息を切らしながら、相撲部らしいぶよぶよと太った巨体を揺らしている。
「まったく危ないわよ! 怪我したらどうするのよ!」
「そ、そ、そうは言っても、は、は、走ってきたのはそっちなんだな」
「そんなこと知らないわよ!」
「そ、そ、そんなこと言われても困るんだな。
 じゃ、ぼ、ぼ、ぼくは部活に行くから……」
まるで逃げるかのように、大沼はどこかへ――たぶん相撲部へ――行ってしまった。
「ああっ! もうこれじゃ遅刻じゃない!」
私と一緒に吹き飛んだカバンを拾いあげ、私も慌てて練習場へと走り出した。

33 :
【その2】
既に練習場の中は練習前の緊張した空気で満たされ、
脇に併設された更衣室からは同じ新体操部で練習に励む仲間たちがレオタードに身を包んで練習場へと向かっていた。
先輩たちは練習用の地味なものではなく本番用のカラフルなものを着用しており、
今度の大会に懸ける思いが全身から伝わってきている。
「先輩方、ごきげんよう」
いつものように、新体操部伝統のあいさつをして皇室に入ろうとしたその時、
ドアの前にいた向井先輩が凄い形相で食いかかってきた。
「ちょっとあなた! どこに入ろうとしてるのよ!」
「えっと……どこって更衣室ですけど?」
あまりにも当たり前な質問に、面喰らいながら答えを返す。
「『更衣室』じゃないわよ! ここは新体操部の更衣室なのよ!?」
「ええ、だから着替えようと……」
「なんであなたが! 新体操部の更衣室で着替えようとしてるのよ!」
「え?」
「だ・か・ら! なんであんたが新体操部で着替える必要があるのよ!
 痴漢にしては堂々としすぎて、思わずスルーするところだったわ!」
何を言ってるのかまったくわからない。
痴漢? なんで? どこに?
あの優しかった向井先輩が、なんでこんなに、まるで変態男を見るかのような目で私を怒鳴りつけるのだろうか。
あまりの出来事にパニックを起こしていると、新体操部の仲間が私と先輩のやりとりを遠巻きに見つめているのが視界に入った。
その目は、やはり先輩と同様に汚らわしいものを見るもので、
まるでいつだったか練習風景を盗撮しようとしてつかまった男を眺めていたものとまったく同じものだった。
「ご、ご、ごきげんようです」
しばらく身に覚えのない罵倒を浴びせかけられ、逃げ出したくなったそのとき、
この場に似つかわしくない巨体をゆすって、あの大沼が現れて更衣室の扉を開けて入って行った。
「あ! なんで大沼が更衣室に入っていけて、私はダメなんですか!?」
「なんでって、あなたは部外者で大沼は部員だからに決まってるでしょ!」
「あれのどこが新体操部員なんですか!?」
「どこがって、どこからどうみても新体操部員じゃない!」
いい加減このやりとりにうんざりしたような表情を浮かべた先輩が、
もはや悲鳴にも似た叫び声で私を怒鳴りつける。
「あー、うちの田村がご迷惑をおかけして申し訳ない」
すると、今さっき更衣室に入っていった大沼と同じぐらい大きな体の男が、
刈りこまれた頭をかきながら頭を下げて私と先輩の間に割って入った。
その男はほぼ全裸に近く、太った体には泥で汚れた廻しだけを身に着けている。
学校新聞で見たことがある。相撲部の部長だ。
「あんたんところはどういう部員飼ってるわけ!?」
「まったくもって面目ない」
頭2つ分は違う巨体にもまったくひるまず、相撲部の部長に向かって吼えまくる向井先輩。
その向井先輩に平身低頭謝りつつ、相撲部の部長は私をひょいと担ぎ上げた。
「こいつは責任もって回収いたしますので、今日のところは勘弁してもらえんでしょうか」
今日だけよ! と言い残し、向井先輩は練習場へと入って行った。
かたや私は、まるで荷物か何かのようにそのまま相撲部の部長に担ぎ上げられたまま。
段々と遠ざかっていく更衣室から出てくる部員たちに混じって、
まるでコント番組のように場違いな肥った男のレオタード姿がいたような、そんな気がした。

34 :
【その3】
「まったく、お前はなにやってるんだよ」
「……すいません」
訳もわからず、相撲部の稽古場の片隅で正座させられて説経される私。
何か言い訳しようとすると口答えするなと殴られてしまうため、もう抵抗するのも諦めた。
「お前のようなヤツが新体操部員だなんて、天地が引っくり返ってもありえないのにな」
嫌らしく笑う相撲部の部長の言葉に、稽古している他の相撲部員たちは声を上げて大笑いする。
もう疲れた。早く帰りたい。
「ま、もうこのぐらいでいいか。稽古するぞ。
 廻し締めてやるから、早いところ脱いじまいな!」
「え?」
「え? じゃない! また殴られたいのか?」
「……はい」
しかし、どこで着替えればいいのだろう。それにこんなところで裸になるなんて。
そう思いながらもじもじしていると、またも部長の雷が落ちた。
「すいませんすいません!」
殴られるよりはマシとばかりに、慌てて制服を脱ぎ始める。
「おいおい! 脱ぐなら隅っこでちゃんと脱げよ!」
部長が指差す先には何個も籠があり、そのいくつかには乱暴に脱ぎ捨てられた制服が無造作に投げ入れられていた。
私もそれに倣うようにブレザーを投げ入れ、ブラウスのボタンに手をかける。
家族でもない男の人の前で裸を晒すなんて……と、恥ずかしさで顔から火が出そうになるけれども、
そんな私の様子なんて誰も気にせず黙々と稽古を続けている。
意を決してブラウスとスカートを脱ぎ、スリップも籠に入れ、ブラジャーも外す。
パンツ1枚になったところでどうしようかと右往左往していると、
いつの間にか廻しを持った部長が横に立っていた。
「ほら、とっとと脱いじまいな!」
言われるがままパンツも脱ぎ、生まれたての姿を部長に晒す。
すると部長は私の股間に薄汚い幅広の厚い布をあてると、慣れた手つきで素早く私に廻しをつけていく。
しばらくすると、土俵よりも少し高くなっている板の間に張ってある大きな鏡には、
長い髪を頭の両サイドで結んだ髪型――いわゆるツインテールにしたスレンダーな少女が映っていて、
わずかに膨らんだ胸を恥ずかしそうに隠していた。
身に纏っているものはわずかに廻しだけ。
あまりにも現実感のない自分の姿を客観的に確認して、私はさらに恥ずかしくなってきた。
「なぁに胸を隠してるんだ! 誰もてめぇの胸なんか見やしねえよ!」
部長がそう高らかに笑うと、私に生まれてはじめての相撲の稽古をつけるのだった。

35 :
【その4】
週1の終業ホームルームも終わり、クラスメイトはようやく長い授業から開放された喜びでざわめきだす。
しかしそんな喜びとは無縁な私は、まるで今日の空模様のようなどんよりとした気持ちでいっぱいだった。
のろのろと机の中身をカバンに詰め込み、1つ大きくため息を吐く。
「あかりん、今日も稽古?」
「うん……」
けだるそうに帰り支度をしていると、ひばりが声をかけてきた。
「そっかー。帰りに『にゃんこ』のパフェでも食べてこうかと思ったけど、それなら無理だよねー」
「ごめんね」
「いいよ気にしないで。だってあかりんは『御神原のイノシシ』だもんね」
じゃあねと手を振って、ひばりは教室を出ていった。
私もまた、重い足取りでとぼとぼと歩き、稽古場を目指す。
ふと目に入った掲示板には学校新聞が張られていて、そこには廻しを締めて恥ずかしそうに立っている私の写真に
『御神原のイノシシ! 田村あかりさん都大会優勝!』という見出しがつけられていた。
横には同じように別競技の大会の様子を撮影した写真が張られており、
『御神原の妖精 全国大会へ』という文字が躍っている。
その写真の中では、あと少し動いたらはじけ飛ぶのではと思うぐらいに張りつめたレオタードを着た、
まるで相撲取りのような体格の坊主頭が満面の笑みを浮かべてフィニッシュのポーズを決めていた。

36 :
新スレから本スレに立場が変わったので、リハビリがてらに投下
>>24
この後「詠美」は仕事だけじゃなく合コンだとか
いろいろ女性としての経験を経験を積んでいくのかと思うとドキドキです!
続き期待しております!

37 :
お、お、乙なんだな

38 :
部活での立場だけが交換ってなかなか変則的で面白いな

39 :
>>36
GJです!
新体操をしているなら、あかりちゃんはきっと小柄ですよね。
小柄な体型の女の子が相撲で巨体の男子を打ち負かしているかと思うと、ちょっと見て見たい気もします。
面白いお話しでした。

40 :
>>32
素晴らしい

41 :
>>24 >>32 両作品ともGJ >>24は続きに期待
ありきたりかもしれないが御曹司と新人メイドの立場交換のような話しを読みたい
社長と新人OLの立場交換もいいな

42 :
それいいな
メイドとお坊ちゃんの立場交換

43 :
>>42
初代スレの「そこはとあるお屋敷」、「次期当主はメイドさん!?」が該当

44 :
過去作品も良いとは思うけど
主人の立場になったギャルみたいな性格のメイドが好き勝手にやって最後にしっぺ返しもらったり
メイドの立場になった主人が態度を改めず無理矢理従わせれて恥辱をなめるみたいな話しがないものかと
個人的にそんな話しを期待している訳だが同士は居るだろうか?

45 :
俺も下克上で思いっきり虐げられるシチュは好きだけど語り合えればそれだけでいいかな

46 :
見も蓋もない話だけどメイドと主人の入れ替わりならTSFで読みたい
だけどそこをあえて立場だけの交換で書く所が凄いと思う

47 :
じゃあTSスレに行けよって思うくらい身も蓋もないなw
俺は立場交換の方が羞恥心が煽られる分だけ好みだが

48 :
立場って対等や平等ではないから交換とかして見たくなる
だから違いが大きいほど面白いんだと思う
男と女だったり大人と子供だったり強い者と弱い者だったり

49 :
>>48
あくまで「自分は」ですが、交換した(された)「立場」の側から「自分」が浸食される恐怖(とその裏に潜む愉悦)みたいなのがエロいな〜、と思ってみたり。「たとえ立場を入れ換えられても、自分自身は何も変わってない!」と思っているのに、実は……みたいな。
自分がこれまでココに投下してきたSSでも、おおよそソレを意識していたつもりです(必ずしも主眼ではありませんが)。

50 :
#そして3話の投下。
『Nursing Samba』3
 「来ちゃった……」
 初瀬川総合病院女子職員寮の205号室。表札に「太田詠美」と書かれたその部屋のドアの前にまで来て、まだ「彼女」は二の足を踏んでいた。
 「しょうがない、よね?」
 100近く数えられるほどの躊躇ののち、ハンドバッグから取り出した鍵を差し込み、ドアを開ける。
 意を決して、「彼女」が部屋に入ると……目の前には、少々飾り気には乏しいものの、間違いなく若い女性が暮らしていると思しき空間が広がっている。
 「うぅ、なんか、罪悪感……」
 心持ち頬を赤らめつつ狭い玄関で靴を脱ぐと、「彼女」は室内に足を踏み入れる。
 8畳程度の広さのワンルームで、クリーム色の壁紙とベージュのカーペットで無難な色彩にまとめられている。
 玄関からは見えない位置にベッドとドレッサーが置かれ、反対側の壁際にやや大きめのタンスが本棚がある。ベッドカバーの色は淡い空色だ。
 部屋の余白の中央には2メートル四方くらいの毛足の長い絨毯が敷いてあり、その上にローテーブルとクッションが置かれている。クッションに座ると本棚の一角に設置された液晶テレビを観るのにちょうどよい位置なのだろう。
 「女の子の部屋」と聞いて連想されるぬいぐるみやマスコット人形、あるいはファッション雑誌や男性アイドルのポスターなどは見当たらないが、スイートピーが活けられている簡素な一輪ざしは、男の部屋にはあまりないものだろう。
 全体に清潔感は感じられるが、女らしさ(あるいは女臭さ)は乏しい印象だ。
 「──ふふっ、英美さんらしいや」
 「このような状況」になって以来、初めて「彼女」はクスリと笑いを漏らすと、それで緊張がほぐれたのか、いくぶん肩の力が抜けたようだ。
 時刻はすでに午前2時を回っている。
 明日の朝は会議があるから8時半には出勤しないといけないのだ。色々考えるべきことはあるものの、とりあえず今日はもう寝ようと考え(あるいは深く悩むことを放棄して)、「彼女」は、「化粧を落とすために」洗面所に向かった。
 1ルームとは言え、一応玄関から部屋までのあいだに短い廊下のようなものがあり、そこの右側が台所(と言っても幅50センチ足らずの流しと電気コンロがあるだけだが)、左側がトイレ&洗面所&シャワー室になっている(ちなみに風呂は1階に共同の大浴場がある)。
 「彼女」は、レディススーツの上着を脱いでハンガーにかけてから、洗面所に足を運んだ。
 メイク落としを使い、顔をぬるま湯で洗ってから、なにげなく鏡を覗き込んで、「彼女」──いや、「太田詠美」という立場になった青年は、ふと我に返り、真っ赤になった。
 「え? あれ、ボク……えぇっ!?」
 軽いパニックになる「詠美」。
 部屋に入るまであれ程ためらっていたのが嘘のように、たった今まであたかも本当にこの部屋の主であるように振る舞っていたはずなのだが。
 「どうして? な、なんで!?」
 自分のとった行動自体は覚えているらしい。ただ、そんな真似がなぜ出来たのかが、「詠美」には理解できていないのだ。
 言うまでもなく、これは例の「立場交換のカクテル」の副次的効果だ。本来の自分を強く意識しない限り、ふたりは現在の立場にふさわしい行動を無意識にとってしまうのだ。
 そして、日常的な習慣については、人間は意外とあまり意識せずに行動しているものなののだ。

51 :
 これから一週間、「彼女」が「初瀬川総合病院の小児科の婦長・太田詠美」として暮らすためには不可欠な措置とも言えるが、この時の「詠美」は、自分の自我同一性(アイデンティティ)がグラリと揺らいだような、不安な気分でいっぱいだった。
 「ボクは……ボク、だよね?」
 すでに化粧を落としてスッピンになったはずの鏡の中に映る自らの顔は、けれど髪型が変わっていることもあいまって、どこかいつもより女性的に感じられる。
 「そんなはずはない」と首をフルフルと振りつつ、まるで鏡から逃げるようにして、「詠美」は狭い洗面所から出て、部屋に戻る。
 「はぁ〜疲れたなぁ」
 そのままボフンとベッドに仰向けに身を投げる。
 今日(正確には昨夜)は、本来それ程アルコールに強い方でもないのにストレスに任せて痛飲し、そのあとマスターから「例のカクテル」を飲まされてしばし潰れ、目が覚めたと思ったらこんな状況──幼馴染の女性と「立場を入れ換えられて」いたのだ。
 あまり神経がズ太くない「詠美」としては、もう限界だった。
 「脱がないと洋服が皺になっちゃう」と頭の片隅で考えながらも、「彼女」はそのまま泥のような眠りに引きずり込まれていくのだった。
 * * *
 ──PiPiPi……
 ベッドサイドに置かれた目ざまし時計の音で、泥のような眠りから強制的に起こされる。
 「うぅ〜ねむい……」
 それでも今日は朝から週に一度の婦長会議がある日だ。ベテラン揃いの各科の婦長の中では自分が一番年下なのだから、遅れるわけにはいかない(いや、年長なら遅刻してもいいとうワケでもないが)。
 いまだ半覚醒状態のまま、それでも渋々ベッドから身を起こす。
 「あちゃー、昨日、このまま寝ちゃったんだ」
 ブラウスはともかくタイトスカートまで皺くちゃになっている。これはもうクリーニングに出すしかないだろう。
 余計な出費に落胆しつつも、プチプチとブラウスのボタンを外し、スカートのホックとジッパーを下ろして脱ぎすてる。
 下着にパンストという、はしたない(見ようによって扇情的な)格好のままタンスを物色し、替えのブラジャーとショーツを取り出す。勤務中はあまり色の濃い下着を着けられない(でないとナース服から透けて見える)のが、看護師という職業の不自由なところだろう。
 とりあえず、オフホワイトのフルカップブラと同色のショーツをベッドの上に並べてから裸になり、下着をランドリーボックスに入れてか、シャワーを浴びる。
 時間がないのでゆっくり洗っている暇はないため、サッと汗を流しただけで上がると、バスタオルを一枚の格好のまま、ドレッサーの前に座り──そこで「詠美」は、はたと我に返った。
 「な、何やってるんだ、ボクは!?」
 どうやら、寝ぼけ眼のまま無意識に動いていたため、またも身体が勝手に「太田詠美」に相応しい行動をとってしまったらしい。
 鏡には胸を隠すようにバスタオルを巻いた自分の姿が映っており、昨夜以上に女性的に見え、「詠美」は顔を赤らめた。

52 :
 確かに、成人女性の朝の支度の仕方なんて、独身かつ恋人もいない詠一が知るばすもない。だから、ある意味、助かることは助かるのだが……そのメリットを踏まえても、「自分の身体が勝手に動く」と言う現象は、やはり不気味だし遠慮したい。
 「このまま流されてちゃマズいよね……」
 もし女としての行動が無意識にしみついてしまったら、元の詠一の立場に戻ってもかまっぽい仕草とかが出るかもしれない。それは勘弁してほしかった。
 「これから出来るだけひとつひとつの行動をキチンと意識しよう!」と意気込む「詠美」だったが……。
 orz
 ベッドの上に置かれたランジェリーを前にガクリと膝を折る。
 下着も含めて女物の衣服をまとい、社会人女性として恥ずかしくないメイクをすることなど、正気(しらふ)のままの「詠美」には不可能だろう。
 あるいは時間をかければ不可能ではないかもしれないが、すでに会議の8時半まであと30分を切っている。情けないが、先程の誓いを反故にせざるを得なかった。
 「し、下着とお化粧は仕方ないよね……」
 それでも気を取り直し、タンスから極力無難なモスグレーのパンツスーツを引っ張り出し、パンツルックなのをいいことにストッキングも省略し、ヒールが低めのバレエパンプスを履いて寮を出ることで、ギリギリ妥協したのだが……。
 .......orz
 病院の女子更衣室で、ロッカーのナース服と純白のストッキングを前に、抵抗は無意味と覚るのであった。
 * * *
 さて、朝から無用に精神的な疲労を背負い込むハメになった「彼女」だが、半ばヤケクソ気味に開き直り、こうなったら「太田詠美」になりきって「婦長」としての立場を全うしようと決意した途端、不思議と事が巧く運ぶようになっていた。
 ある意味当然だろう。
 昨日までの「太田英美」は、若いながらも有能な小児科婦長として上司・同僚・部下・患者のすべてから信頼されていたのだ。
 その知識と技能を受け継いだ詠美に角があろうはずもない。
 そればかりではない。「彼女」が持って生まれた気配り上手(裏を返せば小心で気にしすぎ)な性格は、看護師という職業にうってつけであった。
 そのぶん、能率と規律を優先するであろう本来の「英美」に比べれば(不慣れなことも加わって)、効率性という面ではいくぶん劣っていたかもしれないが、周囲に与える心証の良さは、デメリットを補ってあまりある。
 それに、もともと詠一は看護師になりたいという密かな夢を抱いていたのだ。その夢が(一週間限定とは言え)叶ったのだ。張りきらないワケがなかった。
 詠美は、日を追うごとに「太田婦長」としての立場に、やり甲斐と充実感を感じるようになっていた。
 さらに、いくら諦めて「太田詠美」の立場を受け入れたとは言え、やはりふとした弾みに自分の言動を省みて恥ずかしさを感じずにはいられない。それがまた、傍から見ると、微妙な初々しさを醸し出しているのだ。
 おかげで、ナースステーションでは、詠美のいない時をみはからって、ナース達は「あの堅物婦長が最近優しい、と言うかなんか可愛い!」「男か? 男でもできたのか!?」とコッソリ噂されてるくらいだ。

53 :
 それら諸々の相乗効果のおかげだろうか。それまでの「英美」はどちらかと言うと上司として頼られることはあっても、プライベートでは敬遠されがちだったのだが……。
 「あら、貴女たちも上がり? お疲れ様」
 「あ、太田婦長、あたしたち、これからカラオケ行くんですけど、婦長も来られませんか?」
 ──こんな風に部下ナースたちに誘われることになった。
 「うーん、そうねぇ……」
 本物の「英美」であれば、角が立たないようソツなく断るところだろう。
 しかし、詠美は彼女ほど勤勉でも孤高でもKYでもなかった!
 「ありがとう、ご一緒させていただくわ」
 「部下との交流も円滑な人間関係には不可欠だよねー」と考えてOKする。
 ノリで誘ってみたものの、まさか了承されると思わなかったのか、一瞬茫然とするナースたち。それでも、さすがに誘いを引っ込めることはせず、恐る恐る詠美も連れてカラオケボックスに行ったのだが……。
 「♪つかまえてほしい〜」
 伸びのあるテノールで、数年前のヒットナンバーを歌いつつ、軽くフリまで入れて見せる。
 仕事中とは異なる、意外に遊び慣れた詠美の雰囲気に、皆の緊張も徐々にほぐれていった。
 (このあたりは、高校卒業後、看護学校でも一心不乱に優等生を貫き、そのまま就職した英美と、地方の大学へ通うために下宿したのをいいことに、大学生の頃はそれなり遊んだ詠一の違いだろう)
 「すごーい、婦長、歌が上手ぅ〜」
 「あはは……ありがと。さ、次は鈴木さんの番ね。それと仕事中じゃないんだから、「婦長」じゃなくて太田でいいわよ」
 おかげで、部下の娘たちとの距離も随分と縮まったようだ。
 (嗚呼、なんか、こういうのいいなぁ……)
 「詠一」の時も、医者同士で飲みに行くことなどはあったのだが、新米医故の悲しさ、相手は皆先輩で、おまけにかなり高級なクラブの類いに連れて行かれることが多く、「詠一」はどうにも馴染めなかったのだ。
 むしろ、今みたいに大人数でワイワイやってる方が性に合っている。
 ──しかし、この「立場交換」も、予定通りなら明日で終わり。明日の深夜には、ふたりでまたあの店に行かねばならない。
 (もうちょっとこのままでもいいのになぁ……)
 就職以来、初めてと言ってよいほどの充実した毎日に、つい、そんなコトを考えてしまう詠美なのだった……。
#というワケで、やや駆け足ですが起承転結の「承」の部分でした。

54 :
>>50
GJです!
看護士長の仕事は患者の担当の振り分けやシフトなどの人事、
書類仕事にムンテラなど夜勤が少ない代わりにある意味医者よりも大変だったりしますからね。
しかも小児科はもっと大変。
詠美さん頑張りましたね。
次回は英一さんの番ですか?
看護士はプライドの高い人も多く英美さんもそのタイプでしょうから医者としても頑張れるでしょうね。
楽しみです。

55 :
>>50
乙です
前スレ埋まったから最後の『男子中学生や男子高校生とアラサー女性の立場が交換された世界になりますように』が叶うな

56 :
>>50
続きGJ
いつもより女装描写薄いのはやっぱり女装に文句言う奴がいるから?
>>55
自分の願いは自分で叶えよう
このスレは書き手不足なんだから
楽しそうでは有るけどな
欲を言えばアラフォー主婦やキャリアウーマンだともっと好物

57 :
その話を蒸し返すな馬鹿が

58 :
>>50
乙!乙!
いつの間にか看護婦にしかっかり染まってふと我に返り恥ずかしがるの良いね
ナース服で人前で看護してもその時は平気でも後から恥ずかしいとか鉄板だな
>>57
そう言うふうに一々突っ掛かるから余計空気悪くなるんだよ
作者宛てのレスなんだし横やりしないでスルーしとけ

59 :
>>50
続き乙
本人よりも上手に立ち回っている
もしやもとに戻らないパターンでは?

60 :
最近知ったコミックなんですけど、ここのスレに該当する内容かもと思い紹介します。
タイトル:「幼稚園からやりなおしっ!」
国の新たな施策により高校生までICで管理されることとなった
子供ID制度におけるうるう年のシステムエラーによって
16歳にして4歳児の幼稚園生として扱われる女子高生のお話しです。
高校生なのに幼稚園児の立場にされてしまうのって、このスレっぽいお話しですよね。

61 :
認識バグがあるのは管理コンピューターで、人々はその娘が16歳の娘だとも理解してる感じだけどね

62 :
フリージングとかはこのスレ的にどうなんだろう?
戦う女の子と言うのは珍しくないけど、パートナーの男子はおまけ的サポートで
少年漫画とかでの男女の立場が逆っぽい感じ
完全女性上位

63 :
それはここじゃないと思うぞ
ここは個人同士の入れ替わりが中心で、そっち系とは全く毛色が違う
どっちかと言えば↓のスレじゃないか?
体格、体型、社会的立場が逆転してしまったら?2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/sm/1320589864/

64 :
もしくはここだな
【男女】あべこべ世界妄想スレ【逆転】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1333118365/

質問するのは勝手だが、せめて>>1と投下されてる作品くらい読めばいいのに・・・

65 :
はいはい、スレチスレチ
そう言う分化したスレもあるがここの注意書きには、そんな事は書かれてない
勝手にお前さんが思い込んで人に押し付けてるだけだよ

66 :
こんなんでスレチ扱いとかこのスレも嫌な空気になったよなぁ…
今でこそ女装しかないけどそもそも初代スレの>>1が投下した一番最初の作品は男装モノなんだよ
動物との交換も>>1のテンプレ的にはOKだし集団対集団の入れ替わりも普通にOKな空気だった
なんでもありの空気が好きだったんだが妙な連中が湧いてきたせいでスレがどんどん分化して排他的な空気が蔓延してるし
マジで連中は腐女子か何かなの?

67 :
あまり腐女子を揶揄しないで下さい。
女装ものに関しては女子より男性の方が愛好者多いですよ。
801板ですら男ばっかりで逆に女子は入り辛い空気になっていますし。
女装好きは腐女子見たいな決めつけ止めて下さい。
男の娘なんて男性向けジャンルそのものじゃ無いですか。
それはともかく今日のドラえもんは該当かも

68 :
今度はそういう荒らし方なのか。なかなか趣向を凝らしてくるなあ
女装のことなんて誰も書いてないのにわざわざ蒸し返してきてるしw
>>62の言う女尊男卑社会なんて完全にスレチだろ
「肉体や人格はそのまま、突然別の立場に変化する」系統だぞ

69 :
サーカス団員が団長以外立場逆転してしまって
ピエロの立場になった踊り子とか
像の立場になった空中ブランコ娘とか
獣使いの立場になった像とか
そんな妄想してみた

70 :
スレチでしたか、それは失礼しました
フリージングは女尊男卑ではないですよ
少年漫画で言う所のヒロインとヒーローの役割が逆の様な感じの作品なんですけど

71 :
>>68
腐女子を悪く言う発言に一言言いたかっただけです。
あなたの方こそそう言う煽りで荒そうとしているのでは無いですか?

72 :
>>70
完全女性上位って言葉に反応して女尊男卑って書いたんだが違うのか
得意気に即レスってよっぽど嬉しかったのかな
ぐぐってみたが、該当非該当以前の問題じゃないかこれ
このスレで何を語りたかったのか全く理解できない

>>71
不快にさせて申し訳ないが貴方に言ってないのです
その上のレス

73 :
レスが伸びてたから新作投下かと期待したのに何だよこの流れ(´;ω;`)ブワッ
ケンカはもうやめて別の話しようぜ

74 :
>>72
なかなか煽りが巧いな

75 :
スレチスレチって
お前らの心がすれちまってるよ

76 :
スレチ馬鹿と認定厨の立場交換

77 :
スレチ馬鹿だとスレチ認定された方に見えるorz
スレチ扱い馬鹿と腐女子認定厨の立場交換に訂正します、フリージングの人には実に申し訳ない
寝ぼけ頭で慣れん事はやるもんじゃないなw

78 :
フリージング
http://bit.ly/ioB50p
流石にこれについてここで意見を求められてもなあ・・・
スレチ馬鹿だの認定厨だの言ってる奴って、煽られて頭に血が上った奴と
もしくは単に荒らしたいだけの便乗犯にしか見えない
確かに64や72みたいな感じで煽られたらムカッと来るかもしれんが
ここは何でも受け入れる仏様みたいなスレになったのか
スレチと言うのも、誘導もしちゃいけないのか
いちいち荒れるからスレが分かれてるのに、誘導したらキレるっておかしいわ

79 :
両方気に入らないだけなんだが、何で荒らし認定されるんだよw
んなこと言ったらお前は昨日からスレチ連呼してる奴が反論する奴全員荒らし扱いしてるようにしか見えん
大体スレチの話題でいちいち荒れるのってスレチ扱い馬鹿が暴れてるからだろ
個人的にはヒーローとヒロインの立場交換語る方向にでも持っていけたら良かったなとか思ってるんだが
自治厨気取りが颯爽と現れて偉そうに誘導してくれたおかげで台無しだよ

80 :
ヒーローとヒロインの立場が入れ替わるなら、能力も入れ替わるけど身体はそのままだから
体力とか魔力みたいなものは元のままで能力を上手く扱えないような展開がいいな
ヒーローしか使えない武器に振り回されたり、発動出来るけど知識が乏しくて直ぐに使えない魔法とか
このスレ的にするなら呪いか何かで立場が入れ替わって本人達以外には入れ替わった相手の姿に見える感じかな
かなりの戦力ダウンになる敵の作戦
装備も入れ替わりになるから女装男装にもなって
入れ替わったのがばれると恥ずかしいから他の人の前ではお互いの振りをしていると
いつの間にかなりきりが板についてきてしまうとか

81 :
俺は守る立場と守られる立場が逆転して…みたいな感じが好きだな
勇者と姫で考えると、姫の立場になった勇者が敵に捕らわれて勇者の立場になった姫がそれを助けるとか

82 :
守る立場と守られる立場の逆転だと
「姫神の誤算 少年に憂鬱のドレス、少女に騎士の剣」という女子向けラノベがあった
立場交換という視点からもびったり該当だったんだけど、
内容はちょっとがっかりだった
(作品自体は楽しめたけど、立場交換ががっかり)

83 :
#いろいろな考えがあるもみたいですが、自分はssを投下するのみ。
『Nursing Samba』4
 ここ数日、「彼」は非常にご機嫌だった。
 「心配なさらずとも、単なる風邪ですよ。熱を下げるお薬出しますので、それを飲んで、あとはゆっくり睡眠をとってください」
 インターンを終えて間もない新米医師ながら、その診察は的確で自信に満ち……。
 「初瀬川先生、次が午前中最後の患者さんです」
 「おや、もうそんな時間か。ありがとう。では、次の人を診たら昼休みに入ります。
 水橋婦長もそろそろお昼に行かれてもいいんじゃないですか?」
 看護師に対しても気さくにかつ気遣いを忘れず……。
 「初瀬川くん、今日はどうだい、コッチは?」
 「お、いいですね。ご一緒させてください」
 先輩医師に誘われ、高級クラブに連れてこられてもアタフタしたりせず、如才なくホステスと会話しつつ、先輩を立てることも忘れない。
 「頼りがいがある」「優しい」「今時の若者にしては礼儀正しい」などなど、患者・看護師・医師たちからの評価は総じて高い。
 院長を務める「彼」の父親も、「頼りなかったアイツも、ようやく腰が座ってきたか」と感慨深く、息子の「成長」を歓迎している。
 無論、本人もそんな空気を肌で感じとっているから、上機嫌になるのも無理なからぬところだ。
 それに……。
 「やっぱり、男の方が服とか化粧に気を使わなくていいぶん楽だなぁ♪」
 日常面でも、いくつかのストレスの素がなくなった事を心から歓迎していた。
 ──そう、言うまでもなくこの人物は、太田英美がその幼馴染・初瀬川詠一と「立場」を取り替えた姿である。
 とあるバーのマスターに怪しげなカクテルを飲まされた結果、ふたりの身体自体はそのままなのに、英美は「初瀬川病院院長の息子で新米内科医師の初瀬川英一」、詠一は「英一の幼馴染で小児科看護婦長の太田詠美」と、周囲に認識されるようになってしまったのだ。
 しかも、念の入ったことに、人々の認識だけでなく、過去の文書記録やコンピュータの登録データなどまでもが、ふたりが現在の立場にあることを「証明」しているのだ。

84 :
 この「立場交換」そのものは、ふたりが明確に意図したものではない。どうせマスターの冗談だと思って気軽にOKしただけだ。
 しかし、同様に「詠美」になっている詠一が今自分が置かれている立場に(少なくとも当初は)非常に戸惑い、恥じらい、四苦八苦していたのに対して、英美の方は立場交換の直後から、非常に積極的かつ好意的に、「英一」としての自分を受け入れていた。
 なぜなら、「裕福な家の子で男性の医師」である「初瀬川英一」という立場は、彼女が切望していた欲求のほぼすべてを満たしてくれたからだ。
 いや、「英美が疎ましく思っていた属性を手放すことが出来た」から言う方が正確か。学生の頃から金銭的に苦労し、医療の道を希望しつつも医師になれず、看護師になるしかなかったのだから。
 無論、看護師という職業も医療現場で必要なことは十分認識してはいる。だが、それでも彼女は本当は医師になりたかったのだ。ひと昔前の、司法試験に合格できず、法曹ではなく司法書士や行政書士の道を選んだ人間なら、彼女の気持ちが多少はわかるかもしれない。
 もっとも、新司法試験になって以来、両者の合格率は逆転しているらしいが。
 また、ジェンダー面に関しても、理知的でサバサバした気性の彼女にとっては、湿度の高い「女同士の付き合い」は精神的負担になる部分が多かった。働く社会人女性として相応の服装は揃えていたものの、本音を言えば化粧や着飾ることにもあまり興味はない。
 真性のGIDの人間のように、自分の身体や「女性であること」自体に嫌悪感があったワケではないが、「男に生まれた方がよかった」程度の願望はしばしば抱いていたものだ。
 高校卒業以来の長年潜在的に抱いていたそれらの不満が(一時的とは言え)一気に解消されたのだ。「英一」がこの状況を歓迎しないはずがなかった。
 (こんなに愉快な気分になったのは、高校生の時以来かな)
 さらに、同い歳の幼馴染である詠一が慣れない女性看護師・詠美としての立場に戸惑っている様を見るのも、彼の甘えた性根や愚痴につきあってきた身としては爽快だった。
 もっとも、「彼女」が戸惑っていたのも最初に1、2日だけで、3日も経つとすっかり「太田詠美」としての立居振舞が板についてきたようだ。
 (うーん、ちょっと残念。まぁ、コレはコレでありかも)
 多少疎ましく思ってはいた面はあるものの、それでも一応もっとも親しい友人のひとりなのだから、本気で苦しめたいわけでもない。現在の境遇を「彼女」なりに楽しんでくれているなら、それはそれでいいことなのだろう。
 (でも、これなら……)
 「英一」が密かに考えている案を実行に移しても問題はないだろう。
 ニヤッと不敵に微笑む英一の様子は、すっかり若い男そのものだった。
 * * * 
 「えーっ、そんなぁ!?」
 例のカクテルを飲んでからちょうど一週間後の日曜の夕方。
 バー”TRABULANCE”で「英一」と待ち合わせしていた「詠美」のケータイに、「彼」からのメールが入っていた。
 遅れるという連絡かと思って読んでみたところ、どうやら急用が入って、今晩はそちらに行けそうにない……という内容だったのだ。
 「英一さん、来られないのですか?」
 カウンターの向こうでグラスを磨いていたマスターが、思わず声をあげてしまった「詠美」に声をかける。
 「え? あ、うん、そうみたいです……」
 場違いに騒いでしまったことが急に恥ずかしくなったのか、やや委縮しながら「詠美」がモゴモゴと口ごもる。
 「本当なら今日は、マスターに元に戻してもらうはずだったのに。ねえ?」
 「ははは、お仕事なら仕方ありません。それに、あのカクテル──"リバーサルシフト"の材料はおふたりの分は確保してありますから、いつでも都合の良い時にいらしてください。私が店に立っている時なら、いつでもお作りしますよ」
 年中無休のこの店だが、週に1、2日くらいは不定期にマスター以外の人間がバーテンダーを務めている。その日がマスターの休日なのだろう。

85 :
 「ありがとうございます。それにしても──ふぅ〜、これでまた、二人の休みが合う日までしばらくこのままかぁ」
 複雑な表情で手の中のグラスを見つめる「詠美」。
 「そうおっしゃられる割には、私には嬉しそうに見えますが」
 「ない!? そ、そんなこと……」
 ない、とは断言できなかった。
 立場を交換した当初こそ戸惑いや羞恥を感じたものの、開き直って「太田詠美」としての役柄(たちば)になりきって過ごすこの一週間は、思ったよりも快適だったからだ。
 どうやら、自分にとって看護師という職業は天職だったらしい。
 また、初瀬川家から出ての寮でひとり暮らしできていることも、あの家に息苦しさを感じていた詠一にとっては、まるで大学時代に戻ったような解放感があった。彼の父も母も善人だし、立派な人格者ではあったが、だからこそ融通の効かない面も多々あったからだ。
 (委員長気質な英美──「英一」さんなら、そのあたりも気にならないんだろうけどね)
 むしろ「彼」の方が町の名士・初瀬川家にはふさわしい気がするくらいだ。
 (それに……普通に暮らしている分には、女性の方が何かと得だよね)
 紳士の国イギリスの「レディファースト」ほどではないものの、現代日本でも、若い女性は女性車両やレディースデイを例に挙げるまでもなく何かと気遣われ優遇される機会が多い。
 男性としてはどちらかと言えば小柄で非力な部類に入る詠一だが、「詠美」としてなら力仕事の多い看護師としても、まったく問題はない。もちろん「なよなよしてる」と馬鹿にされることもなく、むしろ「淑やかで繊細」と褒められるくらいだろ。
 本音を言うなら、「詠美」とて、もうしばらくこのままでいたいとは思っていたのだ。ただ、「彼」に比べると小市民的な、「彼女」の良識(?)が異議を唱えていただけで。
 「別に構わないのではないですか? その服、よくお似合いですよ」
 「彼女」の心を見透かしたかのようなマスターの言葉に、頬を染めて俯く「詠美」。
 今日の「彼女」の服装は、先週の(英美の)カッチリしたスーツ姿とうって変わって、春らしいフェミニンな水色のシフォンドレスだった。半袖だが襟ぐりはやや深めで、肌を隠すためか白いストールを羽織っている。
 内跳ね気味にブローした髪にフェイクパールのカチューシャを飾り、足元も無色に近いストッキングと相応にヒールの高いレディスサンダルを危なげなく履きこなしている。無論、それほど濃くはないがキチンと夜用のメイクもしている。
 2週続けて同じ服装で逢うというのもどうかと思った「詠美」が、乏しい知識を絞って精一杯考えた結果のコーディネートだったが、正直、本物の英美より数段オシャレだ。20代半ば過ぎにしてはやや若めの格好だが、童顔気味な「詠美」には似合っていた。
 (だ、だって、今の「わたし」は太田詠美なんだもん。そう周囲に見られている以上は、それにふさわしい格好や行動があるのは確かだし。
 うん、これは、現在の立場上、仕方ない、仕方ない)
 そんな風に自分に言い訳しつつ、詠美もまた、心地よい「現状」に甘んじることを選ぶのだった。
 ──そんな自分の選択を悔いる日が来るとも知らず……。
-つづく-
#「転」の回ですが、むしろ「承」の続きと言ったほうが正解かも。本当の意味での「急転回」は、次回の冒頭で……。

86 :
>>83
その通り!
作者が一番さ
SSの続き乙です

87 :
>>83
乙です
急展開の続きも待っています
一連の流れは2ちゃん的なやり取りだけど直ぐにムキになるのどうにかならないのだろうか
一般的に人が嫌悪感を持つようなネタ以外は大目に見て良いと思うのに
やたら人を攻撃するのはどうなんだろう

88 :
乙です!
だからいちいち話を蒸し返すなって
またスレチ認定された奴らが暴れだすぞw

89 :
ここはSSとそれに関する事以外書き込み禁止になっているんだよ
それが分からない奴はここに来てはいけない

90 :
                           _,====ミミミヽ、
                         ,,==≡ミヽミヾミミミ、ヾ、
                       _=≡≡三ミミミ ミミヾ、ソ)),,》  .
                     彡彡二二三≡ミ-_ ミミ|ノノj )||ヽ, )、
                 __,,,,,,,,,/彡二二二    ,- __ミ|/ノ ノノノノ) ||
                -=二ミミミミ----==--'彡 ∠ミミ_ソノノノノ ノ
                  //>=''"二二=-'"_/   ノ''''')λ彡/
        ,,/ ̄''l       彡/-'''"" ̄-=彡彡/ ,,-''",,,,,,,ノ .彡''"
       (,  ,--(      彡 ,,-- ===彡彡彡"_,-_   ヽ Υ
       ヾ-( r'''''\    //=二二''''''彡ソ ̄ ∠__\ .\ソ  .|
         \;;;;  \   Ζ彡≡彡-'''',r-、>   l_"t。ミ\ノ,,r-v   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           \;;;;  \  彡""彡彡-//ヽ" ''''''"" ̄'''""(エア/  /
            \;;  \'''''')彡ヽ// | (tv   /|  , r_>'|  <一体みんな誰と戦っているんだ
             \;;;  \'"  \ ,,"''-,,ノ,r-", /  r'''-, .j   \
               \;;;  \ /,,>--'''二"''' r-|   二'" /  __  \______
                \;;r'""彡_l:::::::::::::::::::::: /./_   " / ̄ ̄"===-,
                  )''//rl_--::::::::::::::::/:/ヽ"'=--":

91 :
キチガイが自分の気に入らない意見や考えを「スレチ認定」して暴れて
そんで、そういうキチガイ相手に反論しようと無駄に熱くなる輩がいる
互いに自分が正しいと思い込んでる自治厨だから、まとまる訳もなく、スレが荒れるだけでしかない
つまり、両方ね

92 :
だな、とりあえず雑談用のスレ立ててみた
スレチ認定して回るキチガイがウザかったら向こうで好きなジャンル語ろうぜ
先に言っとくがスレチはこのスレに行けという意味ではないのでここで雑談するならするでOKだからな
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1338086415/l50

93 :
>>62はある作品はこのスレ的にどうなんだろう?って質問して
次のレスで別スレのほうがいいんじゃないかと誘導した(一言余計な感はあったが)
ここまではどこのスレでもあることだし、素直に従っとけば荒れずに済んだ話なんだけどねえ
今更どっちが悪いとかは心底どうでもいいことではあるが

未だに煽られたのを引きずってスレチ扱いする奴はキチガイ!!って喚いてるのは呆れるわ
上で挙げられた作品は気に入らないというレベルじゃなくて、本当にこのスレとは無関係な代物なわけで
今までのスレチ議論とは訳が違うのに、何故かそっちに持って行こうとするのが不思議でならない

94 :
>>92
気持ちは分かるけどさ・・・
それ、エロパロ板で立てるようなスレじゃないと思うの
スレ違いどころか板違いだよそれ

95 :
板の趣旨からは外れていないので何ら問題はない
88 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/05/27(日) 08:30:46.79 ID:hkiimuBP Be:
乙です!
だからいちいち話を蒸し返すなって
またスレチ認定された奴らが暴れだすぞw

こんな煽り入れといて今更グチグチ自分のこと正当化しても遅いと思うよ
その一言余計なのが皆の癇に障ったんじゃないかな
それと俺はあの煽り合いに参加してないから

96 :
ぶっちゃけ、キチガイが現れても、スルーすれば良いだけの話だろ
余計な事してる時点で、キチガイと変わらん

97 :
板違い認定でも怒るのかよ・・・
俺が悪かったからもうやめようぜ

98 :
ここまで全部携帯とスマホを使いながらPCでも書き込んでる俺の自演

それはそうと今回のSSもすげー良かったわ
GJ

99 :
そうだぜ
せっかく投下してくれたこの作者の作品をスルーして騒ぐなよ
今回も素晴らしい作品なんだからよ
もっと作者や作品を褒めろ

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