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2012年11月エロパロ60: 保健室の神でエロパロ 入室者2人目 (539)
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保健室の神でエロパロ 入室者2人目
- 1 :2010/10/30 〜 最終レス :2012/11/04
- 前スレ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1258469346/
- 2 :
- 保健室のぬるぽ
- 3 :
- ガッ
やらすなw
- 4 :
- 容量超えちゃったのでこっちに投下させてもらいます
- 5 :
- 次の日、花巻さんは学校に来ていましたが、俺から見ても藤を避けているというのは一目瞭然です。
朝に顔を合わせては逃げ、昼休みにはトイレに閉じこもり
移動教室で席が近くになれば必で寝たふりをしてました(すごくバレバレで逆に面白かったです)
藤はといえば、せっかく大嫌いな音楽の授業に出たというのに
たまたま歌のテストの日と被ってしまい、悲惨なことになってました。
神様は本当に残酷ですが、神は二物を与えないということがわかりました。
藤の後なので、美っちゃんの美声も一層際立ち、初めて藤が役に立ちました。
藤を授業に参加させた花巻さんに賞賛の拍手を送りたいとおもいます。
5時間目の休み時間に、痺れを切らしたのか、藤は強行作戦に出たようです。
なんと、自分から花巻さんの机に出向き、話をつけようとしたのです。
花巻さんは廊下にむかって全力で逃げました。
すかさず藤も追い掛けます。
それから先は、あの二人のにしかわからないことだけど、
きっと悪いようにはならないと思います。
だって藤には…
美っちゃんがついてるから…。
完
- 6 :
- えー
もう終わっちゃうのかよ・・・
もっと聞かせろよ(゜д゜)/ゴルァ
- 7 :
- >>5
GJ!
スレまたぎで大変だったね
美っちゃん、この二人を早くくっつけて下さいお願いします
- 8 :
- 前スレハデみの藤花の人も、本好実験の人も後日談ありがとう!
藤花好きなのでニヤニヤが止まらんw
- 9 :
- 本好が良キャラすぎるwwwww
彼の中で美っちゃんどれだけ万能なんだw
藤花好きだし本好おもろいしGJでした
- 10 :
- シンヤエロス
- 11 :
- 久々に来てみたら、ハデみの藤花藤シンが投下されてた…!
全部好きだからニヤニヤする
特に藤シンがえろすで萌えました。
>>5の本好に惚れたんだけど、この設定使って書くのはダメかな?
自分は>>5とは別人なんだけど。
- 12 :
- 藤花投下してくれた人マジGJすぎる
- 13 :
- 前スレの時点で書きかけていたハデみのが完成したので投下。
相変わらずエロスランプの上、風邪気味。
- 14 :
- 「…助かりました、才崎先生」
「いいえ、お役に立てたようで嬉しいですわ」
放課後の保健室。心底安堵しきった表情をしたハデスが、ソファーに座った美徳の前に一杯の
お茶を置いた。
「もしも、またハデス先生では手に余ることがおありでしたら、いつでも相談なさって下さい」
熱いお茶を一口飲んで、美徳はまめまめしく立ち働く空ろ姿に声をかけた。
何となく、お茶の味がいつもよりも苦いような気がした。
三十分ほど前、職員室に困りきったハデスがやって来て、たまたま書類整理をしていた美徳に
とある女子生徒のことで相談がある、と持ちかけたのが今回のきっかけだった。
よくよく話を聞いてみれば何のことはない、その生徒は思春期特有の体調変化による不安という
ものを抱えていたのだが、ここからが厄介だった。他の学校なら大抵は養護教諭といえば女性
だから相談もしやすいのだが、男である上に普段から無駄に怖がられているハデスにはなかなか
悩みを訴えられない。けれどやっぱり気になって仕方がない。ようやく意を決して保健室に入った
ものの、それでもはっきりとは言えないままだったので困り果てたハデスが、同性として話を聞きや
すい女性教師が誰かいないか探しに来たという訳だった。
結局、美徳が十分ほど本人の話を聞いて、思春期の頃のことを話すとようやく女子生徒の不安は
解消したようだった。
「分かってはいましたが、やはり女子生徒のこととなると男ではやりにくい部分はありますね」
ようやく向かい合わせに腰を降ろしたハデスが居心地悪そうに笑う。
「まあ…年齢的に身体の悩みは異性には言いにくいものですからね。でも、だからこそまたこの
ようなことがありましたら、どうぞご遠慮なく。私も男子生徒のことで手に余ることがあれば相談
に伺いますので」
「ありがとうございます、才崎先生」
少しだけいつもの笑顔を見せたハデスに、胸がときめいた。学校では何よりも生徒たちのこと
ばかり気にかけているのに、こんな風にどうしようもなく力及ばずにいるのはどんなにか歯痒い
ことだろう。そう気遣う気持ちの端で、あまり見られない表情を目にすることの出来る喜びを噛み
締めているのだ。
そんな穏やかな時間の中。
「…あ、そのお茶、調合を変えてみたんです。このところ残業が続いていますのでお疲れだと思い
ましたから」
やっと普段の様子に戻ったハデスが、ほとんど飲み干してしまったお茶を指した。
- 15 :
- 「そんな、お気遣いなく」
「いえ、僕に出来るのはこれぐらいですから」
お茶が苦いと思ったのは間違いではなかったようだ。それで普段の疲れが取れるかどうかは
ともかくとして、わざわざそこまでしてくれたのは素直に嬉しい。
翌日の昼休み、いつものように弁当持参で保健室に来ていた美作が淹れたばかりのお茶を噴き
出した。
「うわ苦っ、何だよこれっ」
「そうかなあ…そりゃちょっとは苦いかもだけど」
隣で弁当を開いていたアシタバは、首を傾げながら湯呑みの中のお茶を飲んだ。
「ああ、それ?昨日調合してみたんだけど、どうかな。疲れが取れるし集中力もつくから午後の
授業にいい結果が出るよ」
ハデスはにこにこしながらお茶の説明をしている。それなりに自信作だったのだろう。そのせいで、
余計なことまで口に出してしまったのが後々の出来事に繋がった。
「才崎先生も昨日飲んだから、今日はとても元気だしね」
「え、マジかよ?」
素っ頓狂な声を出したのは美作だけで、アシタバと藤は何とも言えない微妙な顔になったのだが
それは美作にもハデスにも気付かれなかったらしい。
「それって、媚薬か何かの失敗作で、仕方ないからお茶にしただけじゃね?」
教室に戻ってから美作がぽろっと漏らした先程のことを、教室のどこから聞きつけたのか物凄い
勢いで安田が食いついてきた。
「誰でもお前と同じにするなよ」
美作の側で頷きながら話を聞いていた本好が、相変わらず冷静に辛辣な言葉を吐く。しかしそれ
ぐらいで挫けないのがエロリストたるものだ。
「だってよ、せっかくみのりちゃんに飲ませるんなら、只のお茶じゃ勿体ないじゃん。もっとこうさ…
やらしい気分になるようなモンとか」
「飲ませたのが先生で良かったと思うよ」
だが、他のクラスの体育の授業の為にたまたま廊下を通りかかった美徳が、そんな教室の騒ぎ
を偶然聞きつけてしまった。
「媚薬…って?」
- 16 :
- 急に抑えられなくなった。
体育の授業が終わってからすぐに職員用トイレに駆け込んだ美徳は、ずっと堪えていた身体の
疼きを少しでも癒す為に知る限りの性感帯を探り始めた。
「んっ…」
声が漏れないようにジャージの襟を噛みながら、はちきれそうな乳房を揉み、ショーツの下で熱を
帯び始めて刺激を求める核を擦り上げた。以前ならはしたないことだからと自分ですることなど滅多
になかったのに、快感を知って身体も心も満たされてからというもの、もう制御することなど出来そう
にもない。
「ぅん、ん…っ」
安田が言っていたことが本当でも嘘でも、それはもうどうでも良かった。ハデスと媚薬という二つの
単語を聞いただけで頭の中に妄想が渦巻き、欲情のスイッチが入る。そんな簡単に反応してしまう
自分にまだ戸惑っているのだが、これだけはどうしようもない。
あの微笑、あの優しく探られる手、何もかもが今すぐに欲しかった。
「あ…逸人さん」
もうこうなってしまった以上は、早く抱かれたかった。自分でその場しのぎの慰みを与えているだけ
では全然足りない。
放課後の保健室は、昨日と同じで穏やかな空気が流れている。主であるハデスの存在が静謐
な雰囲気を醸しているのだろう。
「ああ、才崎先生」
保健室に入った途端、ハデスが笑いかける。ずっと疼きを抑えたままだった美徳は押し黙って
ソファーに座った。一言でも声を漏らしたら、何かとんでもない淫らなことを言いそうで怖かった
のだ。
「今日は少し肌寒いですね、どうぞ」
昨日と同じように、淹れたばかりのお茶がテーブルに置かれた。中身も昨日飲んだものと同じ
なのだろう。いつもよりも少し苦い、安田が媚薬と言っていたお茶だ。
「…ありがとう、ございます」
やっとのことで声を振り絞りながら、美徳は湯呑みを手に取ると湯気の立つ熱いお茶を少しずつ
飲んだ。やはり苦い。けれど恋という蜘蛛の糸に絡め取られている美徳にとっては苦味すら甘露
に感じるほどだった。
やがて、全てを飲み尽くしてしまってからゆっくりと立ち上がった。
「才崎先生?」
いつもの様子とはまるで違う美徳に、ハデスはいぶかしむように見上げてくる。
- 17 :
- 「逸人さん、私を癒して下さい」
「え…?」
返事を聞かないうちに隣に座るなり、抱きつく。
普段はほとんど感じることのない髪や肌の匂いをこうしてダイレクトに感じ取りたいと思ってしまう
のは、異常なほど性感が高まっているせいだろう。こうして間近にいるだけでも心臓が鼓動を早め
てしまうのだ。感覚や身体の隅々にまで馴染みきったこの男の全てで、今も内部から絶え間なく
突き上げようとしている淫らな惑動を鎮めて欲しかった。
「ごめんなさい、でも私…ずっと我慢していて、もう抑えられないんです」
「美徳さん」
「はしたないのは、分かっています。でも…」
以前にも似たようなことがあっただけに、とんでもなく淫らな女だと思われるのは嫌だったのだが、
他の手段など考えつかなかった。思わず抱きつく腕に力が入る。
「そんなに苦しいのですか?」
耳元で優しい声がした。
「ええ、苦しい…苦しくて仕方がないのです」
「僕がそうさせてしまったのですね、では」
「あ…」
反応する前に胸元に手が入ってきた。慌ててジャージを下まで引き下げ、触りやすいようにきつい
ブラに締め付けられている乳房を開放した。肌触りを楽しむように探ってくる手の感触にほっと安堵
しながらも、まっすぐに見つめてくる視線をそのまま見返した。
「前のこともあるし、ここでするのは抵抗がある…とは思いますけど、私もう…」
「構いませんよ、美徳さん。具合の悪い人をきちんと診るのは僕の役目ですから。それに」
そこでわずかに、ハデスが言葉を濁して美徳の手を股間に導いた。触れさせたそこには、確かに
熱く脈動するものが布地の下にある。
「そういう美徳さんを見ていると、僕も堪らないんです」
言葉が終わらないうちに乳房を彷徨っていた手が力を強め、ぐっと抱き寄せられた。
「あぁ…逸人さんたら…」
ハデスもまた自分と同じように興奮していることで、より昂りが増して目眩がしそうだった。望ま
れるままに身を添わせれば、乱れた髪を掻き上げられて顔が一層近付いてくる。
- 18 :
- 「…逸人さん、わがままを聞いて下さって嬉しいですわ…」
「お気になさらず。僕もあなたとこうして過ごしたかったんです」
すっかり見慣れて怖いとも思わなくなった顔が、恥ずかしそうに笑む。こういう純粋なところに心
惹かれてここまで来たのだ。
舌先で唇を撫でられながら、昂りに突き上げられるように瞼を閉じてその先を促す。
その途端、渡り廊下の方向で何か物音が聞こえた。
「あっ…」
急に現実に引き戻されて、美徳は咄嗟に露出した胸元を隠した。入口のドアには鍵すらかけて
いないのだ。生徒の誰かが入って来ないとも限らない。
「ここにいて下さい」
ハデスは一旦立ち上がると異変があったのかと様子を伺いに行った。そして外を一通り眺めて
からドアを閉めて戻って来る。
「特に何事もなかったようです」
「そう、ですか…」
だが、美徳はまだ胸元を隠したままだ。それまで勢いと情欲に任せていただけに、出鼻を挫か
れてしまった形になってはそう簡単には戻れない。
「私…」
ためらうような声に、ハデスの腕が伸びて抱き締められた。
「何を恐れているんですか?」
「えっ?」
「以前、約束をしましたね。僕があなたを守りますから、何も心配はいりません」
「逸人さん」
咄嗟に感じた不安を見透かすように、ハデスの柔らかい声が現実の前に萎縮しかけていた美徳
の心を癒した。
そうだ、何も恐れることはない。この男との関係は決して世間に顔向け出来ない性質のものでは
ない、ただ生徒たちを指導するという職業柄もあって、軽はずみなことは必要以上に自戒している
部分がある。ただそれだけのことだ。
「私、あなたに守られてもいいんですね…」
「もちろんですよ、美徳さん。むしろもっと頼って欲しいぐらいです」
その言葉で、収まりかけていた心身の熱と昂りが瞬時にして復活した。確かに立場上付随する
諸々のことは教育者の一人として考慮しなければならないとしても、過剰に恐れたりする必要は
何もないのだと。
- 19 :
- カーテンが引かれ、壁際のベッドに寝かされた美徳はようやく表情を緩めることが出来た。その
肌の上を長い指が這う。
「どこの具合が悪いんですか?」
「あ…む、胸がさっきから…それに、ここがもっと」
身体から湧き上がる疼きに従うように、ハデスの手を取って呼吸で上下している乳房やまだ露出
していない下肢に触れさせた。この身体がこれほどまでに欲しがっていることを知って貰いたい。
もうまだるっこしいことは一切抜きで感じ合いたい。それだけしか考えられなかった。
「分かりました、美徳さん」
別に焦らしているつもりはないのだろう。すぐにベッドに乗り、舌を絡めてきながら両手で乳房を
掴んできた。つられて一気に性感が高まった。
「んン…」
呼吸すら危ういほど口腔内をくまなく犯され、頭の芯がぼんやりとしながらも美徳は必に腕を
回して愛しい男を掻き抱いた。もっと欲しい、もっとその目で見て、その手で触って、全てで感じ
取って欲しいと言葉なきまま訴え続けていた。
「ぁ…」
やがて、思う存分絡め合っていた舌が細い糸を引いて離れていく。思わず不満そうな声が漏れて
しまったが、恥じ入る余裕などもうなかった。その舌が今度は乳首を撫で、軽く歯で噛んできた
からだ。
「ぅあ、そ、んなぁ…」
「嫌、ですか?」
乳房の感触を確かめるように揉んでいた手の片方が離れて、ジャージの上から股間を探った。
「…あ…いえ、もっと、して下さい…」
中心で疼いている箇所 を的確に刺激してくる指先が、更に美徳を煽る。少しずつ脱がされてい
くジャージがベッドから滑り落ちた。
「美徳さん、綺麗ですよ。とても…」
ショーツ一枚だけになった姿を見下ろして、ハデスは満足そうに笑った。
「それは…逸人さんの為ですわ…あなたに恋をしたから私はこんな風に…」
「…嬉しいです」
見交わした視線にねっとりと艶かしい色がよぎった。ぴったりと眼差しを合わせてお互いに無言
のまま、美徳の足から最後の一枚が抜かれる。
- 20 :
- 「あぁ…」
両手で口を押さえ、堪えようとしても声が漏れる。慣らす必要もないほどそこはびっしょりと濡れて
いるのが自分でも分かるのに、それでも少しでも傷つけまいとしてハデスはその指先で念入りに
膣内を探り尽くしていた。
そんなことよりも、早く欲しい。指などではなくもっと確実に内部を満たすもので好き放題に突き
上げて、メチャクチャにして欲しかった。
「逸人、さん…早く…っ」
「…そうですね、そろそろ…」
もう少しも我慢出来ず、腰をもじもじさせながら身をくねらせてねだる美徳の誘いに応じるように、
ハデスは一度身を乗り出して唇にキスをしてきた。
「お好きなだけ、差し上げます」
「…下さい、早く…」
堪りかねて叫ぶように声を絞り上げた途端、ぬるついた膣口に硬い圧迫感を感じた。溢れる愛液
を先端に絡めるようにしながら、ようやく待ち望んだものが浸入してくる。
「はぁうう…っ」
二つの身体が一つになる感覚に支配されゆく美徳の意識にあったのは、もう歓喜のみだった。
長い間汚されざる領域だった最も神聖な箇所、その奥の奥までを侵略されながらもこうして無上
の悦びを感じることが出来るのはこの男がそれだけ信頼に足る、この心を預けるに相応しい相手
だからなのだろう。
でなければ、こんなことはとても出来ない。考えることすらも。
「あっ…ん、い…逸人、さん…もっと、もっと、ぉ…」
情欲のままに激しく突き上げられる度に、細い爪先がシーツを蹴る。愛される女としての悦びを
甘受しきっている美徳の表情は幸せそうに蕩けている。こんな時にただ一人にだけ見せる最高
の顔だった。
「美徳さん…」
ずっと絡めていた指が解かれ、背骨がしなるほど硬く抱き締められて更に深く突き立てられた。
凄まじい刺激に予期すらしていなかった絶頂が突然やって来る。
「やああっ…」
目を見開きながら、美徳は先に達してしまった。
- 21 :
- 「くっ…」
達した途端に強く引き絞られる膣内の誘惑から逃れようとしたのだろう。一瞬だけ早く一物を引き
抜いたハデスだったが、先端から勢い良く放たれたものが乳房から腹部までを濡らしていった。
「あっ、済みません…」
「…いえ、お気になさらず…」
息を弾ませながらも、美徳は白濁したものを指先で拭った。心底済まなそうにしているハデスを
見るのは本意ではない。今の美徳にとっては、こんなことぐらい何でもないことなのだ。
それよりも、ハデスとの時間がこれで終わりなのかと思うと何となく呆気なくて名残惜しい。出来
ればもう一度抱かれたかった。
と、唐突に誰かが室内に入ってくる物音がした。
「何だよ、誰もいねーのかよ」
声からして、美作のようだ。例の三人がやって来たのだろう。ばれてはいけないと、美徳は慌てて
シーツを被った。
「どうしたの、君たち」
ハデスは何事もなかったようにカーテンの外へ出て行った。
「それがさ、傑作でさー」
三人はいつもの調子で今日の様子などをてんでに話し始めた。話の腰を折らずその合間を見計
らうように、ハデスが静かに制している声がする。
「ごめんね、今日は具合が悪くて寝ている子がいるから、また明日」
「なーんだ、そっか。じゃあ帰っか」
「そうだね。じゃあ先生、また明日」
特に疑問も持たずに、三人は帰って行ったようだ。再びベッドの側に戻って来たハデスは決まり
が悪そうに笑っている。
「…ここにしておいて良かったですね、危ないところでした」
「え、え…本当に…」
あれだけではまだ完全には満足しきっていない身体が、まだ疼いている。美徳はベッドから降り
るとハデスの足元に蹲った。
「美徳さん…?」
「ここにいれば、すぐに邪魔が入らないのなら…続きをしましょう。ね…?」
すかさずスラックスのファスナーを開いて、先程まで膣内を存分に支配していたものを取り出す。
まだ時間はそれほど経っていない上にハデスも満足はしていなかったのだろう。それはまだ充分
な硬さを保っていた。
「逸人さん…あなたもなのですね…嬉しい」
硬い幹に誘うように舌を這わせながら、上目遣いで愛しい男を見た。仕方ないですねと苦笑して
髪を撫でてくる手の感触にうっとりとしてしまう。
手の中でまた熱く脈を打ち始めた一物を愛しく擦って、頬を寄せる。すぐにでも始まるだろう次の
交わりがもう待ちきれなかった。
「また、愉しみましょう。これは私のものなのですから」
終
- 22 :
- IDがDQ児かよ…orz
- 23 :
- 超GJです!
みのりちゃんたまらんよ
ハデスうらやましすぎる…
>>11
自分実験書いた者だけど
あんなのでよければどうぞ使ってやってください
gdgdなのに光栄です
- 24 :
- どこからGJしていいかも解らないほどの神々の宴……!
- 25 :
- 雀の盛りマンむにむに
- 26 :
- 許可もらったので投下
実験本好君の話です
・藤花
・花ちゃんが可哀想
・同じクラスの女子がひどい
エロ入れたら強引な展開になりました
ドロドロしたのが見たくない方は見ないほうが無難かも
- 27 :
- なんだかつまんないなぁ。修学旅行ってもっと楽しいのかと思ってた。
こんなふうに考えてしまうことには理由があった。
まず、旅館の部屋割りを決める日に学校を休んでいたせいで、グループを勝手に決められていたのだ。
そのことにより、普段仲良くしている友達とは別の部屋になってしまった。
おまけに、同室の人たちとは一度も話したことがない。
さらに、バスの座席は出席番号順で座るから、藤くんとは隣のはずだったのに
部屋割りで同室になった女の子に強引に席を替えられて、離れた席に座ることになった。
彼女が藤くんに恋愛感情を抱いているのは明らかだ。
そのことを分かっているのに断れなかった自分の気弱さに腹が立つ。どうしていつもこうなのか。
ハイテンションな女の子達の声が耳に障る。
きっと、私が隣だったらあんな風に盛り上がらないんだろうな。
そんなことを考えて、自己嫌悪に陥った。
離れた席でため息をつく。
隣の人は、後ろに仲のいい子がいるらしく、その子とばかり喋っている。
――退屈。もう、寝ちゃおう。
窓際にもたれ、ゆっくりと瞼を下ろす。
昨日、あまり眠れなかったこともあり、意識を手放すのはすぐだった。
どれくらい経っただろうか。
「…おい…花巻ー?……起きねーな」
肩を揺すられる感覚がある。
誰よ、せっかく気持ち良く寝てたのに。
意地でも起きないんだから!
覚醒しようとする意識を、無理矢理眠らせようとする。
しかし、次に聞こえてきた台詞に、決意も虚しく目を開いてしまった。
「なんで狸寝入りしてんだよ。俺だよ。藤」
慌てて目を開くと、本当に藤くんがいる。
「えぇえぇぇー!?何で…」
寝呆けた頭で必に思考を巡らせるが答えが浮かばない。
「あ、わかった!これは夢ね!そうよ、夢なのよ美玖!そうに違いないわ!」
「お前、それ面白い」
クスリと笑い、欠伸を一つ。その後に
「じゃ、俺寝るから」
そう言って、藤くんは目を瞑った。
「藤くん…?」
話し掛けてみるが、返事はない。本当に寝てしまったみたいだ。
「あああぁあ!どうしよう!」
あの日以来、藤くんは何事も無かったかのように接してくる。
しかし、前よりも少し気に掛けてくれているような気がするのだ。自惚れかもしれないが。
爆発しそうになる頭を一度冷やしてみる。
考え方を変えるのよ美玖!こんなこと、夢でもないとありえないわ!
なら、堂々と寝顔を見てもいいじゃない!
夢だと決め付けた途端に、ちょっぴりオープンになる感情。
「やっぱりかっこいいな…」
しかし、あまりにも気持ち良さそうに寝られると、こちらまでウトウトしてくる。
夢で眠るっていうのも変な話だけど…
意識の片隅で呟くが早いか、すぐに眠りの世界に引きずりこまれた。
- 28 :
- 「ちょっと、なんで藤くん、花巻さんの隣に行くのよ」
「ありえなーい!せっかく席替わったのに。花巻さんのどこがいいの?」
「最近藤くんと仲良いよね、花巻さん」
「ムカつく。あの子調子乗りすぎ」
「ちょっとわからせてあげないとね…」
「おいおい、ちょっとやべぇんじゃねえの?」
前の席から聞こえる、不穏な会話(完全な逆恨み)に気付き、美っちゃんはこっそりと俺に話し掛けた。
「美っちゃん。女というのは怖いものなんだよ」
「あれは藤がいけないよな。付き合ってるならまだしもよ」
俺の経験則はあえなくスルーされた。さすが美っちゃん!
女の悪口を言わないなんて器が大きすぎるよね。素晴らしいことだと思います。
「…美っちゃん。例え花巻さんでも何してるかわかったもんじゃないよ」
俺は保健室の二人の情事を思い出した。
薬のせいではあるのだが、二人の距離はかなり近くなったように思う。
しかし、美っちゃんが詳しいことを何も知らないとは。
藤のやつ、美っちゃんに頼らないなんて馬鹿もいいところだよね。愚か者だと思います。
俺は藤と花巻さんのことなんて本当に興味ないんだけど、
美っちゃんに心配かけるのはいただけない。
それに、花巻さんには少し負い目があるし。
解毒剤は渡したけど、それで万事解決ってわけにもいかなかった。
俺と安田のせいであの二人は急接近して、藤は花巻さんを今まで以上に気にするようになった。
それは、俺からみてもはっきりと断言できる事実。
でも、その態度に嫉妬した藤のファンの子達に花巻さんは疎まれてる。
あまりよろしくない状況だよね。すべての原因は残念なイケメンにあります。
あいつは自分の価値をわかってない。
確かに俺からしたら、藤なんて無価値にも程があるんだけど
ファンの人からしたら、それはもう、神様みたいなものだよね。
それをいきなり取られちゃうんだもん。嫉妬に狂うに決まってます。
そのことは、俺自身も病魔に罹ったことで体感してるし。
本当に、嫉妬という感情は恐ろしいよね。
「ウチら花巻さんと同じ部屋じゃん?だからぁ……」「いいじゃんそれ……だからさ……だよね」
「もっとひどい目に遭ってもいいくらいだよね」
「ウケるーなんかかわいそー」
肝心な部分は聞こえないが、花巻さんと同室であることを利用して何かするようだ。
さて。どうしたものか。
藤は自分の行動がどれだけ他人に影響を与えているかもわからない能天気野郎だし
花巻さんは花巻さんで、何されても泣き寝入りしそうだし。
いや、別に俺はそれでもいいんだけど、美っちゃんが黙ってないと思う。
それに、俺が原因で花巻さんがひどい目にあうのは、すごく胸くそ悪い。
「確か、ハデス先生は来てるんだよね?」
「おう。一番前のアシタバの隣の席のはずだぜ。」
彼女達が何をするにしても、ハデス先生が旅行中についててくれるなら最悪の事態は免れられるだろう。
「ありがとう美っちゃん。手は回しておくよ」
「本好が味方なら怖いもの無しだな!任せたぞ!」
「ラジャー」
- 29 :
- 「ちょっと、なんで藤くん、花巻さんの隣に行くのよ」
「ありえなーい!せっかく席替わったのに。花巻さんのどこがいいの?」
「最近藤くんと仲良いよね、花巻さん」
「ムカつく。あの子調子乗りすぎ」
「ちょっとわからせてあげないとね…」
「おいおい、ちょっとやべぇんじゃねえの?」
前の席から聞こえる、不穏な会話(完全な逆恨み)に気付き、美っちゃんはこっそりと俺に話し掛けた。
「美っちゃん。女というのは怖いものなんだよ」
「あれは藤がいけないよな。付き合ってるならまだしもよ」
俺の経験則はあえなくスルーされた。さすが美っちゃん!
女の悪口を言わないなんて器が大きすぎるよね。素晴らしいことだと思います。
「…美っちゃん。例え花巻さんでも何してるかわかったもんじゃないよ」
俺は保健室の二人の情事を思い出した。
薬のせいではあるのだが、二人の距離はかなり近くなったように思う。
しかし、美っちゃんが詳しいことを何も知らないとは。
藤のやつ、美っちゃんに頼らないなんて馬鹿もいいところだよね。愚か者だと思います。
俺は藤と花巻さんのことなんて本当に興味ないんだけど、
美っちゃんに心配かけるのはいただけない。
それに、花巻さんには少し負い目があるし。
解毒剤は渡したけど、それで万事解決ってわけにもいかなかった。
俺と安田のせいであの二人は急接近して、藤は花巻さんを今まで以上に気にするようになった。
それは、俺からみてもはっきりと断言できる事実。
でも、その態度に嫉妬した藤のファンの子達に花巻さんは疎まれてる。
あまりよろしくない状況だよね。すべての原因は残念なイケメンにあります。
あいつは自分の価値をわかってない。
確かに俺からしたら、藤なんて無価値にも程があるんだけど
ファンの人からしたら、それはもう、神様みたいなものだよね。
それをいきなり取られちゃうんだもん。嫉妬に狂うに決まってます。
そのことは、俺自身も病魔に罹ったことで体感してるし。
本当に、嫉妬という感情は恐ろしいよね。
「ウチら花巻さんと同じ部屋じゃん?だからぁ……」
「いいじゃんそれ……だからさ……だよね」
「もっとひどい目に遭ってもいいくらいだよね」
「ウケるーなんかかわいそー」
肝心な部分は聞こえないが、花巻さんと同室であることを利用して何かするようだ。
さて。どうしたものか。
藤は自分の行動がどれだけ他人に影響を与えているかもわからない能天気野郎だし
花巻さんは花巻さんで、何されても泣き寝入りしそうだし。
いや、別に俺はそれでもいいんだけど、美っちゃんが黙ってないと思う。
それに、俺が原因で花巻さんがひどい目にあうのは、すごく胸くそ悪い。
「確か、ハデス先生は来てるんだよね?」
「おう。一番前のアシタバの隣の席のはずだぜ。」
彼女達が何をするにしても、ハデス先生が旅行中についててくれるなら最悪の事態は免れられるだろう。
「ありがとう美っちゃん。手は回しておくよ」
「本好が味方なら怖いもの無しだな!任せたぞ!」
「ラジャー」
- 30 :
- 目的地に着いたときに目を覚ますと、これは夢じゃないんだということに気付いた。
恥ずかしさに身体中が熱くなる。
藤くんがわざわざ隣の席に来てくれたなんて信じられないことだけど、すごく嬉しい。
これは来世もその次の運も使っちゃったな…
でも、いいや。
そんなことを思いながら研修を終えた。
「人数の都合により、入浴はクラスごとに別れてしてもらいます。
入浴の順番は、厳正なるあみだくじの結果、B→C→Aとなりました
入浴時間は厳守。順番を間違えないようにね」
才崎先生はそう言って、女子だけ残るように言って解散させた。
「今日が生理の子は入浴する場所が別のところになるから気をつけてね。
なにかわからないことがあれば先生に聞きにきてちょうだい」
「いけない。私生理だ…」
隣で仲良しの子がため息をもらす。
「えー、そんなぁ」
「花ちゃんごめんね。明日には終わる予定だから!」
同室の子達に私は良く思われていない。彼女たちは藤くんが好きなのだ。
確かに、バスでのことは嬉しかった。けど、同時に言い様のない不安を掻き立てる。
胸騒ぎが起きたけれども何が起こるかはわからない。
友達と入浴中とはいえ離れてしまうことで、同時に心細くなる。
「まぁ、大丈夫だよね」
そうやって自分に言い聞かせることで不安を拭おうとしたが、さほど効果はなかった。
あっというまに入浴の時間が来た。
部屋のある3階から1階の大浴場まで降りなければならない。
何かをされるかもしれないという不安に苛まれる。
しかし、何が起きるでもなく、入浴は終わった。
「はぁ、取り越し苦労かぁ」そう呟いた時だった。
「あれ?私の服が無い…」
確かにここに置いたはずなのに。
念のため、脱衣所内をくまなく探してみるが、それでも見つからない。
そうこうしているうちにみんな帰ってしまい、脱衣場に残るのは、残すところ数人となってしまった。
「あれぇ?花巻さんどうしたの?」
同室の、それもバスの席を替わった子に話し掛けられる。
「あの…着替えがなくて…」
「なんでだろうねぇ?アタシが花巻さんの着替え、取ってきてあげる」
「いいの?ありがとう!」
とりあえず一安心。
かに思えたのだが、20分経っても30分経っても、さらには1時間経っても帰ってこない。
バスタオルで身体を隠して通路を覗く。
大浴場から部屋まではかなり距離がある。
人と会う可能性の低い階段を使ったとしても、きっと廊下で誰かに会ってしまうだろう。
もし誰にも会わずに部屋にたどり着いたとして、彼女達が入れてくれるだろうか?
ケータイも部屋に置いてきてしまった。
「もぉー!!どうしてこうなっちゃうのよー!!」
叫んでみるが、一向に誰かが来る気配はない。
おそらく大浴場は常伏中の修学旅行団が貸し切っているのだろう。
誰も助けに来てくれない。
こうして、悪い予感は的中してしまったのだった。
- 31 :
- 入浴も終わり、俺たちはこっそり持ってきたゲームで通信プレイをして遊んでいた。
俺たちと言っても、ゲームをしているのは美っちゃんと俺とアシタバ君だけで
安田は『夜這いに行って来る!』と言って出ていったっきり戻ってこないし、藤はケータイ片手に悶々としている。
さすがに見兼ねた美っちゃんが「どうしたんだよ。仲間に入れなくて悔しいのか?」と話し掛けた。
さすが美っちゃん!こんな残念なイケメンを仲間に入れてやろうなんて、懐が深すぎるよね。なかなか真似できることじゃないと思います。
「ちげーよデブ!」
藤は、あろうことか美っちゃんの好意を蹴った。何様なんだよ美っちゃんいないと存在価値無いくせに。
よっぽどそう言ってやろうかと思ったが、たしかに藤の様子はおかしい。ケータイ片手に悩むなんて、藤らしくない。
やつなら、そんなことする暇があるなら寝るだろう。
「あ。わかった。花巻さんでしょ」
思ったことを口にだすと、藤はまたもや噛み付いた。
「…ちげーよ!バッカじゃねえの!?」
「何、その間」
これは花巻さんだな。何かあったんだぁ。美っちゃんも同じことを考えたようで、藤を問い詰める。
状況が飲み込めないアシタバ君は、ただ黙って話を聞いていた。
「花巻のメールがおかしい」
とうとう観念したのか、藤がぼそりと言う。美っちゃんがプルプルと震えながら返事をした。
「…お前、そんなことで悩むキャラじゃねーよな」
笑わないなんて美っちゃん優しすぎるよ。俺は本気で爆笑したけどね。アシタバ君が引くくらい。
「だから言いたくなかったんだよ!」
藤は本気で恥ずかしがっている。これはレアだ。ケータイで写メしてクラス中にばらまいてやろうかな。
「あいつ、トロいからさ、メールの返信はいつも遅いんだよ。それにハートマークなんて使われたことないし」
確かに、花巻さんは性格上ハートマークなんて使いそうにない。どちらかといえば汗マークを大量に使ってそうなイメージだ。
しかしあの鈍感王子がこんなことに気付くとは…
さすが、美っちゃんの近くにいたことはあるよね。
優しい美っちゃんが、イマイチついてこれていないアシタバくんに状況を説明していると、安田が帰ってきた。
「鏑木、蝶間林、蜂谷、日暮のパンツは拝めたんだけど、花巻が見つからなかった…
部屋まで行ったけど居なかったし、全室覗いたんだけどな!」
花巻さんが見つからないという状況。
バスの中での不穏な会話が頭を掠める。
「同室の子達に良く思われてないんだ。はめられたのかもね」
俺がそういうと、藤の顔が一気に青ざめる。
「嫉妬は怖いよ。病魔かもしれない」
俺がそういうと、アシタバ君は『ハデス先生を呼んでくるよ』と言って部屋を出ていった。
「安田はもう一度女子の部屋に夜這いに行ってきて。俺は男子の部屋を調べる。」
「俺はアシタバと合流して花巻の部屋に行く。それでいいか?」
「さすが美っちゃんだ。ほら、急げよ安田」
部屋を出ると、藤が追いかけてきた。
「おい、俺は?」
藤が俺に指示を求めるなんて、どういう風の吹き回しだよ。
でも、こいつを女子の部屋に行かせると逆効果だ。俺も藤と行動するのは嫌だし。
「お前は大浴場だよ」
入浴の時間は終わっている。藤には当たり障りのないところをやらせておくことにした。
「なんでだよ!もっと他に居そうなとこあるだろ!」
本当にこいつは分かってないよ。呆れちゃうよね。
「よく考えろよ。今回のことの原因の一部はお前にもあるんだ」
「はあ?意味わかんねぇよ」
「時間が無いから教えてやるよ。お前の花巻さんに対する態度に嫉妬した女子が、彼女を嵌めたんだよ」
心当たりがあるのか、藤の表情には後悔が見受けられた。
「それに大浴場もそれほど的外れでもないよ。
風呂はA組が一番最後なんだから、そこにいる可能性だって無いわけではない」
「…本好、お前」
「こうなってしまった責任の一端は俺にもあるんだ。しっかりやれよバカ王子」俺がそういうと、藤は階段の方へ走っていった。
- 32 :
- 脱衣場内の時計を見ると、消灯時間の23時が迫っている。
湯冷めして体温の下がった身体をあたためるためにバスタオルにくるまるが、あまり効果はない。
消灯時間を過ぎればこっそり部屋にもどれるはずだ。
中に入れてもらえなければ、友達の部屋に入れてもらって一晩を過ごせばいい。
ぶるぶると震える身体をさすりながら自分を鼓舞する。
片隅にある脆さを隠すように。
大丈夫よ美玖!別にぬわけじゃないんだから!
「おーい!誰かいる?」
男の人の声が聞こえた。
聞き間違えるはずもない、藤くんの声。
「藤くん…!」
そう叫べばこちらに気付いて脱衣場に入ってきてくれた。
「大丈夫か?」
私の格好に驚いたようだが、なりふりかまわず抱きつく私を抱き留めてくれる。
「藤くん…私、悔しいよ…」
泣きじゃくる私をあやすように背中を撫でてくれる。
「もう大丈夫だから」
藤くんの体温が、冷えた身体に流れ込んでくる。
恐怖を吸い取ってくれる、不思議な声。
私が落ち着いてきた頃、藤くんはポツリポツリと話しだした。
「ごめん、花巻。責任は俺にある」
「そんなこと、ないよ」
「俺、お前に甘えてたよ。
だから、今からケリをつける」
藤くんは私を見つめた。
こんなに真剣な表情の彼を、見たことが無い。
「花巻、俺、お前の事が好きだ」
せっかくおさまってたのに、また涙腺が崩壊する。
「私も…だよ…ありがとうっ…」
藤くんは、初めて唇にキスをしてくれた。
- 33 :
- 「していい?」
私が頷くと藤くんは、身体中のいろんなところにキスを落とした。
おでこ、瞼、頬、鼻、唇、首、鎖骨…
だんだんと位置が下がっていくにつれて、安心感が身体を覆う。
胸の先にキスをされると、ぴくんと身体が跳ねてしまう。
「やっぱり、ここが好き?」
キスから徐々に舐める愛撫へと変わっていく。
そのたびに思考を埋め尽くしていく白い霧。
「ふぁあ…んぁ…」
思わず声が洩れると、藤くんは、可愛い、とだけ呟いて頭を撫でてくれた。
胸を舐めながらお腹や脇腹をすべすべとさする暖かい手。
特におへその辺りを撫でられると、一瞬力が抜けて声が出てしまう。
「ひゃっ…んぅ…」
手の動きは少しずつ下降していき、太ももの内側に到達した。
舐められる箇所が、胸から太ももに変わる。
先ほどよりもビクビクと跳ねる身体。持て余した熱を、どこに出せばいいのかすらもわからない。
「どう?続けてもいい?」過去2回とも気絶しているからだと思う。藤くんが最終確認をしてきた。
「うん…はやく…」
藤くんを見つめると、決意したかのように、舌を秘所に這わせる。
「ひゃあぁあん!」
電流が駆け抜けるような快感にどうしていいのかわからない。
時々甘噛みされる度に、藤くんの頭を押さえ付けてしまう。
「あはは。俺、窒息しちゃうかも」
藤くんは笑いながらそう言ってたけど、私にはその言葉を処理するだけの余裕が無かった。
「花巻、いれるぞ」
藤くんが熱をあてがう。
そして、ゆっくりと私の中に入ってきた。
「痛い…!痛いよぉ」
思わずそう言ってしまうと、藤くんは私に優しいキスをして頭を撫でる。
「ダメそうなら今日は止めとく。無理するな」
「嫌ぁ!やめないで…」
藤くんに抱きつくと「無理そうならすぐ言えよ」と耳元で囁いた。
「はい、息吸って」
いきなりそういわれて、訳も分からず息を吸う。
「息吐いてー」
「はぁー…」
ゆっくりと息を吐くと、そのタイミングに合わせるかのように、熱いものが奥に進む。
それを3回ほど繰り返した時には、藤くんは私のなかにぴったりと収まっていた。
「やっと、一つになれた」
藤くんはそういうと、ぎゅっとだきしめてくれる。
私も抱き締め返すと、深い深い口付けの雨が降ってきた。
- 34 :
- ハデス先生によると、やっぱり花巻さんと同室の彼女たちからは病魔の気配がするらしい。
早速退治してくれたらしくて、彼女達は泣きながら事情を説明していた。
しかし、藤のどこがいいんだろう。
あいつ、ゲラゲラ笑うし、食事中下品なこと言うし、暇さえあれば寝てるし。さらに口は悪い。イケメンのすることじゃないよね。
見た目はイケメンかもしれないけど、中身はとんでもないブサイクだよ。
それにくらべて美っちゃんは、男らしく豪快に笑うし、出されたものは何があっても完食するし良く眠るし、口調も男らしく荒々しい。素晴らしいよね。
ちなみに藤とやってること同じじゃん、と思ったひとは美っちゃんへの愛が足りないよ。修行して出なおしてこないと、俺にボロカスに罵倒されるから気をつけてね。
俺たちは花巻さんの着替えを受け取り、脱衣場に向かった。
ハデス先生は、他の部屋からも病魔の気配がすると言って、そっちに行ってしまった。
「怖いね、女子って」
アシタバ君が発言する。
「藤なんかのどこがいいんだろうね。性格最悪じゃん」
「本好くん…」
脱衣場につくと、藤と花巻さんの声が聞こえてきた。
「…動くぞ」
「うん……ぁ」
「ヤバい花巻……俺…ッ」
「痛ぁ、ぁ、ん」
「うっ……」
何で俺っていつもこのパターンなんたろう。
なんか俺、あの二人を覗く親みたいじゃん。
「本好くん…これは…」
アシタバ君が顔を真っ赤にそめて言った。おそらくなにをしているか、彼にもピンと来たのだろう。
「アシタバくん。ここは覗かないでおこうよ」
「いや、うん。わかってるよ」
俺たちは、脱衣場の外に花巻さんの着替えを放置して立ち去った。
「なんか、人間不信になりそうだ…」
アシタバ君の一言はやけに心に響いた。
「さぁ、やっと捕まえたよ。」
「くっ!やっぱりアンタが俺の行く手を阻むんだな…」
「君も懲りないね、安田くん」
ハデスはじりじりと安田に迫る。
「さぁ、日暮さんを離すんだ」
「嫌だよ!鏑木は強いし、蜂谷も凶暴だし、蝶間林は容赦が無い!手籠めにできそうなのは花巻か日暮だけだ!」
「どうしても話さないというのなら」
「ぎゃぁああああああ!」
その日から、ハデスの教育方針は、安田に対してのみムチ10割になったのだという。
完
- 35 :
- >>29誤爆です。
初書きなのでお見苦しい箇所、多いと思いますがご容赦ください。
ご拝読ありがとうございました。
- 36 :
- GJ!GJ!GJ!!
萌えたしうまいよ
本好の嫉妬病魔経験からめるのとか
実は安田と日暮好きだからオチも俺得w
- 37 :
- GJ!
女ってホントこんな感じで嫌なところがあるね。
でも、最後に花巻が幸せになれて良かった。本好のキャラも生かされていて読み応えが
あった。
ところで、突然アフォな話が降ってきたので書いた。
今夜はハデみの・赤ずきんちゃんパロ。明日は藤花で何か書けるかな。
- 38 :
- 昔々、常伏町に美徳という名を持つ25歳の巨乳美女がおりました。
周囲の子供たちには何故か本名ではなく「みのりちゃん」と呼ばれていましたが、この歳でそれは
ちょっと痛いかも知れないと思い始めているところです。
さてそんなある日。
みのりちゃんは町内運動会でビーチバレーをするというので赤いビキニを着せられましたが、どう
やら騙されたようです。
「人を騙すなんて失礼な!こんなものはもう着替えますからね!」
不当なことには我慢ならないと烈火の如く怒り狂ったみのりちゃんでしたが、とりあえずの代替案
が出て来ました。それが森に住むという謎のお婆さんのお見舞いだったのです。一体どこがどう
謎なのかはほとんど聞かされませんでしたが、体力だけは有り余っているのであっさりOKしたの
でした。
「じゃあこれ、お願いしますね」
やけにびくびくしているM田(仮称)が渡してきたバスケットには、クッキーらしきものが詰め込ま
れていました。
「何ですか?これは」
「ええっと…お婆さんが今ハマっているという、モンブランのティーコンフェクトです…」
あまりにも出来過ぎているこの流れが良く分かりませんでしたが、病気のお婆さんのお見舞いと
いうシチュエーションは悪くありません。何より、良いことをしているという気分にはなれます。
「じゃあ…お気をつけて」
そんな訳で、M田(仮称)に見送られてみのりちゃんはバスケットを持って森に向かいました。
「あ、森には怖い狼さんがいるって…あー…行っちゃった…」
どうやら話を最後まで聞かなかったようです。
ともあれ体力に感謝。
15分ほどで町はずれの森の入口に到着したみのりちゃんは、一息つく間もなくそのままずかずか
と入って行きました。森には何かがある。昔からそう聞かされていたからです。
ところが、いきなり出くわしてしまいました。
「…あの、寒くないですか?」
どうやら、狼さんのようです。
- 39 :
- 出発する時にM田(仮称)の言葉を最後まで聞いていなかったみのりちゃんには分からなかった
のですが、常日頃から町のみんなに事あるごとに怖い怖いと言われているのはどうやらこの狼
さんのようでした。
「…は?」
無意識に身構えていたみのりちゃんは拍子抜けしてしまいました。何故なら、白髪長身でやたら
コワモテな狼さんは幾つもの変なぬいぐるみを側に置いて、のんびりと日本茶を啜っていたから
です。
「今日はいいお天気ですね。もしお時間がおありでしたらご一緒にお茶でもいかがですか?」
「…あ、で、では少しだけなら」
北風と太陽という寓話によれば柔らかい物腰は要注意ということですが、気持ちの隙を突かれて
しまったせいで一瞬みのりちゃんは無防備になってしまいました。
「…本当に、寒くないですか?」
「え?」
「あ、いいえ。この時期にその格好ですからね」
「…!」
忘れていましたが、みのりちゃんは赤いビキニのままです。いくら何でも11月にその格好は寒い
にも程があるというものです。
「何を言ってるんですか、いやらしい!」
つい頭に血が昇ってしまったみのりちゃんは、学生時代の栄光を思い出して咄嗟に無抵抗の
狼さんを背負い投げしてしまいました。そしてはっと我に返ったのです。
「あ、いけない…私ったら」
気の毒な狼さんは思い切り投げつけられて、地面に伸びたままです。
「あの、もしもし…狼さん?」
んだようになっている狼さんを抱き起こすと、みのりちゃんはとても悲しくなってぽろぽろ涙を
流しました。
「ごめんなさい、私こんなことするつもりじゃなかったのに…」
その涙が狼さんの頬にぽたりと落ちました。
「…どうかしましたか?」
ベタといえばあまりにも使い尽くされたベタな展開ですが、うっかり盛り上がってしまった二人には
もう関係がなくなってしまったようです。
- 40 :
- 「乱暴にしてしまって、ごめんなさい。お怪我はありませんでしたか?」
「ええ、大丈夫ですよ。あの…」
「美徳ですわ、狼さんのお名前は?」
「逸人と申します」
「まあ、とても素敵なお名前ですわね…」
「あなたもですよ、とてもお綺麗な名前です」
古い伝説のカップル、トリスタンとイゾルデのように脈絡に関係なく突然恋に落ちてしまった二人
にとっては、この場で出会ったことだけがお互いの全てとなったのでした。
狼さんなのに意外に草食系っぽいところも、割ととみのりちゃんのタイプだったようです。
「美徳さん、どうしてこんなところに」
しばらく見つめ合った後、狼さんが口を開きました。本来の目的を完全に忘れてしまったことに
頬を染めながら、みのりちゃんは言葉を返します。
「ええっと…お婆さんのお見舞いに来たのですけど、家が分からないのです」
「それでしたら、僕がご案内しますよ」
お婆さんの家はそれほど遠くはありませんでした。けれどどうした訳か留守のようで家の中は
しんと静まり返っています。
「病気の筈なのに…おかしいですわね」
早く用事を済ませたかったみのりちゃんは、がらんとした家の中を見回してあからさまに不満そう
な声を出しました。
「あの人は気紛れですからね、お疲れでしたらこのままお待ちになってはいかがでしょう」
狼さんはそつのない物腰で、傍らにあった丸椅子を勧めました。ついでに持って来たらしいペット
ボトルの青汁も勧めてきましたが、それはひとまず遠慮をしておきました。
けれど、待てど暮らせどお婆さんは帰って来ません。そのうちに二人は何となくそういう雰囲気に
なってきました。
「…あの、逸人さん。もしよろしければこのままお付き合い願えますか?」
裸同然の扇情的な格好をしてもじもじしているみのりちゃんを見て、何とも思わない男がいる筈は
ありません。
「そんな、僕でよろしければ」
「嬉しい…」
本来のストーリーをガン無視して盛り上がっている二人には、もう他のことなど全部どうでもいい
ことに思えているのでしょう。
ちなみに、ゴスロリファッションで決めたお婆さんは毎日暇を持て余していました。時間さえあれば
町のゲーセンで高校生たちと対戦し、今日も圧倒的な勝ち逃げをして意気揚々と帰って来ました。
タイミング的にはみのりちゃんと狼さんが×××に雪崩れ込んでいる真っ最中に。
後のことは言わぬが花というものです。
終
- 41 :
- 千歳ちゃんがお婆さんww
ともあれGJです!
- 42 :
- 昔々、とある国で二番目の王子が誕生しました。
そこで国王は生まれたばかりの王子の為に国中の魔法使いを招待しましたが、ただ一人だけ
意図的に招かなかった人物がいました。
うっかり呼んでしまうと、うるさい上にその場をとんでもなくエロい感じにしてしまうからです。
でも来てしまいました。
お城の大広間で他の魔法使いが一人一人様々な才能や美点をお祝いとして授けている時に、
奴はやって来たのです。
「ちょっと待ったー!!俺を忘れんなよなっ!!」
そう、安田です。
安田はずかずかと生まれたばかりの王子に近付き、まじまじと顔を眺めて勝手に敗北感を感じて
しまったようです。
「ちくしょー、イケメンに生まれやがってーーー!お前なんか大人になる前に饅頭喉に詰まらせて
んじまえっ!」
そう言って、一人で騒いだ挙句泣きわめきながら出て行ってしまいました。大広間に集まっていた
人たちがぽかんとしていると、また誰かが入って来たようでした。
「あのー…遅れてしまってごめんなさい」
招待した魔法使いは十二人、その最後の一人のアシタバがようやく到着しました。そして、大広
間の空気が何となく暗いのを察して、王子に何か大変な呪いがかかってしまったことを他の魔法
使いたちから聞いたのです。
「それひどいなあ。じゃ、一度かかった呪いは消せないけど…十四歳の誕生日に百年の眠りに
落ちるってことには変えられます…それでどうかな」
どうかなと言われても、んでしまうよりはましです。そんな訳で、うっかり喉に詰まらせたりしない
ようにと国中の饅頭は全部なくなってしまいました。
- 43 :
- そして王子は成長と共に大層イケメンとなりましたが、隙あらば怠けようとする困った癖がありま
した。そんな呪いはかかっていない筈ですので、これは個性というものでしょう。
そんな感じで迎えた十四歳の誕生日、パーティーの準備があるので誰も相手をしてくれないので
王子はすっかり退屈していました。ついでに空腹でした。
なので城中をうろうろしながら食べるものを探しているうちに、塔のある小部屋に辿り着きました。
「お、ラッキー」
どうやら食べるものを見つけたようです。
けれど飲み物もなしにがっついてしまったので、喉に詰まってしまいました。王子はその場に
倒れ込んで、そのまま深い眠りに落ちてしまいました。
その瞬間、城の中にいた人も時間も全てが止まってしまったのです。
長い時間が経ちました。
「あのお城の中に超イケメンの王子様がいるよ」と女の子たちの間では噂になっていましたが、
イバラに囲まれてしまったお城には誰も辿り着けませんでした。
ある日のうららかな午後。
どこからどう見ても兄妹だと分かる二人が、お城の前を通りかかりました。
「ったくお前は…もっと落ち着いて話せよなあ」
「…そんなこと言ったって、いざとなるとどうしても慌てちゃうんだもん…」
ノートを抱えた妹は、兄にもごもごと言い訳をしながらいつものようにお城をそのまま通り過ぎよう
としましたが、何ということでしょう。その瞬間に例の百年が経ってしまったのです。
もちろんそんなことを、今通りかかったこの二人が知る訳はありません。ただ、これまで何者をも
阻んでいたイバラが自動ドアのように一人分のスペースを空けて、城へと導いているようでした。
「うわっ、何だよこれ…気持ち悪っ」
兄はあからさまにキモがってさっさとその場を離れてしまいましたが、妹は普段の臆病さも忘れて
しまったようにイバラの奥を覗き込んでいます。
- 44 :
- 「美玖!」
少し離れたところから兄が名前を呼びましたが、妹は迷いながらもきっぱりと断りました。
「私、中に入ってみる…」
「あっ、こら!中に何がいるのか分かんないんだから…」
そんな言葉ももう届いていないようでした。
「うわー…すごい」
妹は一人でイバラの奥をどんどん進んで行きます。百年もの間、誰も見たことのないお城の敷地
を初めて見ました。イバラに囲まれてはいても、とても広大でおとぎ話のようです。そういえば、
超イケメンの王子様がここには眠っていると聞いたことがあります。どのみち会えないものと思って
いましたので、今までは興味のない振りをしていましたが、もしかしたら出会えるかも知れないと
思うと胸がドキドキしてきました。
敷地の中には、色々なものがありました。色々な人もいました。けれど何もかもが動きを途中で
止めたままです。薪を割る使用人は斧を振り上げたまま。暖炉の火は勢い良く燃え上がったまま。
全ての時間がここでは止まっていたのです。
そんな城の内部の様子に驚きながらも、妹は呟きました。
「王子様…どこなんだろう」
城の内部はあまりにも広大でどこを探せば良いのか分かりませんでしたが、ありとあらゆるところ
に巡らされていたイバラがまるで波が引くようにざわめいて妹を導いていきます。
「何、ここ…」
そのうちに、イバラの後を追って城の隅にある塔の回廊を上って行きました。その頂上に小さな
小部屋があり、妹は思い切って粗末な扉を開けました。
「こんなところに王子様がいる訳…あ、いた…」
案外簡単に見つかったようです。
ベッドの上に横たわる王子は、とてもイケメンでした。噂以上です。初めて見たばかりの妹は
どうしていいのか分からなくなって、しばらく眺めるばかりでした。
- 45 :
- と、それまでずっとんだように眠り続けていた王子が突然寝返りを打ちました。その拍子に
思いっきり床に転げ落ちそうになったので、怪我をさせてはいけないと妹が咄嗟に下敷きになり
ました。弾みで床に額をぶつけてしまいましたが、王子は無事のようです。
「…いったぁ…」
「…ふぁあーーー」
王子が、いきなり伸びをして目を覚ましました。百年の呪いが今解けたのです。
「あー良く寝たあ…誰お前」
やっと、下敷きにしている相手に気付いたようです。
「え、あの…えーと…初めまして、王子様…」
たんこぶを作りながらも、妹は健気に挨拶をしました。いまいち状況が分かっていない王子は
妹と一緒に塔を降りて来ました。他の人たちや物の時間も動き出したようで、みんな大騒ぎで
大変な喜びようです。
そこで、王子もようやくお城の中の時間が百年も止まったままだったことに気がついたのです。
「マジかよ…でも、ありがとな」
感謝の言葉に、思わず妹も頬を染めました。
「あ、い、いえ…私はそんな…」
お城中の喜びの声は、やがて国全体に広がっていったのです。
程なくして王子と妹の婚礼が執り行われました。
妹は一番目の王子夫婦と共に城で暮らし、絵に描いたような幸せを手に入れましたが、城のあり
とあらゆる場所に仕掛けてあるトラップにその後もことごとく引っ掛かっては、散々な目に遭った
といいます。
終
- 46 :
- アフォ話第二段w
エロは入れられなかった
- 47 :
- 何これかわいいwGJ
- 48 :
- 安田wwwww
ハマり役過ぎて噴いたw
- 49 :
- アシタバも適役だよなww
- 50 :
- 雀×リュウキはないのか!?
- 51 :
- リュウキと雀か…
胸にコンプレックスのある雀が、男に揉んでもらったら胸が大きくなるという話を聞いてリュウキに揉ませようとする王道展開を受信した。
だって上のねーちゃんみんな大きいんだもん。
絶対気にしてるはずだよ
- 52 :
- 龍黄と雀を見てたら、ヤンキー君と眼鏡ちゃんとか俺の妹(姉)がこんなにryとかしか思い浮かばないw
実の姉弟とはいえ好きな組み合わせだ
- 53 :
- >>51
みのりちゃんや花巻のパターンも含めて、明日投下予定。
- 54 :
- 恋する姉は、切なくて弟のことを思うとry
- 55 :
- そろそろ保管庫ほしいね
- 56 :
- 書いたので投下。
- 57 :
- 花巻編
鏡に映るのは、いつもと同じ自分だった。
成長期だというのにここ最近というもの、身長から体重に至るまで全く変化が見られない。当然
一番大きくなって欲しい胸囲も同様だ。
気休めだとは思っても、一応やるべきことはやっている。牛乳は毎朝飲んでいるし、乳腺を成長
させる体操も寝る前に必ず行っている。なのに全く効果がないのはどういうことだろう。
誰かに揉んで貰うといいと聞いたことがあるが、相手は一人しか思い浮かばなかった。しかし、
その気になってくれるとはとても思えない。
「はあ…」
意味もなく溜息が漏れた。
どうでもいい悩みといえばそれまでだ。しかし全く成長しないというのはこの時期の少女にとって
大きな問題だ。特にプロポーションに関することにはどうしても敏感になってしまう。
今はとりあえず藤の気が向きさえすれば色々と構ってくれてはいるが、女としての魅力のない
こんな身体ではすぐに嫌になるに違いない。そうなったらどうしようとつい余計なことばかり考えて
しまうのだ。
「やっぱ…胸おっきい方がいいよねえ…」
その日はずっと放課後になるまで溜息をつきっぱなしの悩める少女、花巻だった。
「腹痛いのか、お前」
「…あひゃっ…」
そろそろ帰ろうと教科書をカバンに入れている時、突然藤に後ろから声をかけられた。
「あ、あ…あの、私…」
今一番顔を合わせたくなかった相手を前にして、何か気の利いたことを言おうとしてもテンパって
しまって全然言葉が出て来ない。それどころか、一層もごもごと口篭って醜態を晒すばかりだ。
他の生徒が誰もいなくて良かった、と心から思った。
「どっか具合悪いんじゃないかと思ってたぜ」
「あの、私大丈夫、だから…どこも悪くなんか」
「そうか?」
テンパりながらも一生懸命言い訳を探す花巻を不思議そうに眺めながら、藤はぺたぺたと制服
の上から身体を触ってきた。
「うぁ…な、に???」
いきなり想像すらしていなかったことをされて、ますます身体が縮こまる。
「嫌いじゃないぜ、お前のそーいうトコ」
きっと藤のことだから特に理由もなかったのだろう。ぶっきらぼうな言葉を残して教室を出て行こう
とする後ろ姿が、ふと止まった。
「何してんだよ、置いてくぞ」
「あ…藤くん、待って…!」
花巻は慌ててカバンを持って追いかけた。
一日中悩み続けたことは結局解消すらしていない。そしてきっとこれからも続くに違いない。それ
でも、今はそれほど気にしなくてもいいように思えていた。
とりあえず、次の日から朝食の時に飲む牛乳の量が増えたけれど。
- 58 :
- 美徳編
恐れていたことが起こった。
この間ワンサイズ上にしたばかりのブラが、またキツくなったのだ。
美徳にとって最も憎むべき敵であるこのボリュームがあり過ぎる胸は、これでもかと不幸を呼ぶ
ばかりだ。胸の大きい女性用に開発されたというブラも結局あまり効果がなかったし、本当に
万策尽きてしまっている。
とはいえ、最近のこのサイズアップの原因は嫌というほど分かっていた。
「僕のせいですね、きっと」
相変わらず穏やかな物腰で、目の前の『原因』が憎らしいほど優しく微笑む。
「…そう、なのでしょうね」
くだらないと言われればそれまでだが、美徳にとっては長年の問題でもある。
只でさえ嫌というほど大きいのに、この男と付き合うようになって揉んだり吸われたりアレやコレ
される機会が増えてからは、その刺激もあって尚更サイズアップするばかりだ。これ以上大きく
なるのは正直勘弁して欲しいが、だからといってこの男と過ごす時間をなくしてしまうことなど、
今となっては決して考えられない。
「胸腺を刺激することが乳房を大きくするのはもちろん分かっていますが、もし美徳さんがお嫌だと
仰るのであれば少し控えることも」
「それは嫌です!」
「美徳さん?」
校内でも暇な時間を見つけては、何とか一緒にいられる時間を捻出しているほどだ。どんな些細
なきっかけでもこの男と繋がっていたい。なのに胸が大きくなる程度のことで遠ざかってしまうこと
だけは絶対に嫌だった。
「私、こうして一緒にいられるだけでいいんです。そりゃあこれ以上大きくなったら、嫌…なのです
けれど。でも、逸人さんにされることでしたら、それが何であっても私は望みます。ですから、構い
ませんわ」
言いながら美徳はハデスの手を取って、悩みの種である胸に押し当てた。
今でさえこの胸の大きさは嫌だし、これ以上となったら本当に想像もつかない。けれど、この男
がもたらすものであるならば受け入れられそうな気がした。
「あなたにそう言われたら、堪えられませんよ。美徳さん」
交歓による極上の快味を覚えた男の手が緩やかながらも力を込めた気がして、美徳は湧き上が
ってくる甘やかな欲情に目が眩みそうだった。
- 59 :
- 雀編
妹尾家はいつも賑やかだ。
両親は揃って出張続きで不在がちだが、四人の娘と一人の息子が朝から晩まで何かと騒動を
起こしている。
今日の騒動の中心は四女の雀だった。自室のベッドで寝こけていた龍黄に突撃して、とんでも
ないことを言い出したのだ。
「リュウキ、ちょっと起きなさい!」
気持ち良く寝ていたところをいきなりパンチされて、龍黄は最悪な寝起きを迎える羽目になった
のだが、そんなことに気遣う姉ではない。制服のスカートを脱いだだけの姿でぐいぐいと身体の
上に乗ってくる。
「何だよ、うっせーな…」
「あんたに頼みごとがあるの」
「あぁ?面倒くせーな、何だよ…」
いきなり起こされてまだ頭がふらふらしているのか、龍黄は不機嫌ながらも律儀に返事をする。
「ちょっと胸揉んでよ」
「はぁあ???」
龍黄はパニックを起こしそうなほど慌てていた。一番年の近い姉である雀とは喧嘩ばかりして
いるのだが、いつも訳の分からないことばかり言われるので雀は正直苦手だった。
「だーって、友達みんなナイスバディーなんだもん、羨ましいの。それって彼氏がいるからだと
思うんだよね。でも私いないじゃん。せめて胸ぐらい誰かに揉んで貰わないと幼児体型のまま
高校生になっちゃう。そんなの嫌なの!」
雀は弟に媚を売るように、過剰なほどくねくねとしなを作っていた。普段はそんなことをする姉では
ないだけに、気色が悪い。それに、いくら何でも胸を揉むなんてとんでもないことだった。
「んなの知るかよっ」
「ちょっ、待ちなさいよ!」
止めようとする雀の声が背後で聞こえたが、胸を揉まされるのだけは御免だった。そのまま外に
飛び出してしまった龍黄は、その後二女の竜美が帰って来るまで怖くて家に入ることが出来なか
った。
そして、ますます女嫌いになってしまったのだった。
終
- 60 :
- GJ
三者三様に可愛すぎるな…
特にみのりちゃん
- 61 :
- 誰か今週のハデス先生をみのりちゃんの愛と
おっぱいで治してやろうと思った奴はいないのか
- 62 :
- でも・・先生のためなら・・私・・
先生に私の裸を見てほしいんです(4巻収録34診スプリングハズカムより)
- 63 :
- 今のところ、先生の為なら裸でも何でもするっていう女は二人か。
しかも美人ときた。
結構なリア充だな、先生。
- 64 :
- 誰か藤シン書いてよ
今週とかむちゃくちゃ藤シンだったじゃん
正直藤花とかただの花巻の片思いでしょ
- 65 :
- 自分で書けよ
- 66 :
- これで余計、藤シン書く職人の足が遠のいただろ
- 67 :
- >>64
藤シン主張するのは別にいいけどさ、他のカップリング批判はどうかな
藤花が花巻の片思いというなら、藤シンは全くフラグなしだろ
- 68 :
- >>67
どうして1行目でやめないんだ…
- 69 :
- ごめん、勢いあまった
- 70 :
- シンヤ厨のクレクレっぷりパネェwww
- 71 :
- 花巻ちゃんもシンヤも好きな自分に角はなかった
- 72 :
- >>71
今のお前かっこいいよ
- 73 :
- お前らが藤のCPでケンカするからハデみのを投下しようと思って即興で書いてたら
平和を愛する心が溢れすぎて少女漫画になっちまったじゃねーか
エロなし。
(さて……どうしたものかな)
「冷血」が飢えて感情が枯渇したハデスを保健室に残し、千歳は策を練る。
病魔の情報を待つか、何か他の手を講ずるか。
思案しながら歩いていると、行く手に見慣れた顔を見つける。
「ん……おや」
「あら校長先生」
茜の髪に凛とした瞳、豊かな胸を実らせた若い女。
才崎美徳だった。
彼女を見て千歳は、ひとつの策を思いつく。
誕生会でのお膳立てはあのヘタレの驚異的なヘタレっぷりに台無しにされてしまったし、ここらでもう一押ししてやるのもいいだろう。
「才崎君、ひとつ頼まれてくれんかね?」
「なるほど、これは……」
触れれば崩壊しそうなほどひび割れたハデスのグロテスクな顔を見て、みのりは引き気味に納得した。
ハデスはイスに座ったまま、お茶も淹れずにぼんやりと目の前に立つみのりを見上げている。
「才崎先生お仕事はいいんですか?」
「君は黙っとれ」
普段ならば保健室への来客はいつでも誰でも大歓迎だろうに、今のハデスは健常なみのりが保健室に来ていることをただ不思議がっていた。
「ですが、私に何かできるんでしょうか」
困ったように眉根を寄せて、みのりは首をかしげる。
千歳にハデスを助けてくれと頼まれ、事情を聞かされて保健室まで来たはいいが、彼を救う方法などみのりには思いつかない。
強い感情を抱かせれば良い、と言われても、普段の二人の場合、強い感情を抱かされているのはみのりのほうなのだ。
時には憤慨、時には呆れ、時にはときめき。いつもみのりが一方的に心を昂らせて、ハデスはただ静かに構えているだけだ。
しばし考えこんでから、みのりは頼りない声でハデスに言った。
「えっと……り、リヤカーの隠し場所を見つけました。廃棄します!」
もちろん嘘だ。手製の愛車のことならば、怒るか悲しむかするだろうと思ったのだ。
しかしハデスはさも当然といったように頷くばかり。
「そうですか、ついに……。また作らないとなあ」
「だっだから作っちゃだめなんですってば!」
「こら君が怒ってどうする」
みのりがついいつもの調子で怒鳴り返してしまったところで、千歳が諌める。
- 74 :
- すみません、とみのりはしおれた。
上司の頼み、同僚の危機だが、みのりの手には負えそうにない。
千歳はやれやれとため息をつくと、
「ええいまだるっこしい」
手に持った杖でドンとみのりの背を押した。
不意のことにみのりはあっさりと膝を折り、目の前のハデスのほうへと倒れこむ。
イスに座ったハデスの膝の上に、みのりも膝を乗せ。
とっさに支えようとしたハデスの両手がみのりの腰を掴み。
白衣を掴むように、みのりが両手をハデスの胸に突き。
みのりが上から覆いかぶさるように、唇が重なっていた。
「……っきゃああ!」
みのりはあまりのことにしばらく思考を停止していたが、やがて顔を真っ赤に染めて飛び上がった。
ハデスを突き飛ばすように離れようとするが、彼の手が腰を掴んでいて叶わない。
「よし、あとは任せたぞ」
千歳は満足げな顔で杖を魔女のように振り回しながら出て行った。
みのりは驚いて呼び止めようとする。
「ちょっ、こっ校長先生!」
しかしいまだ、ハデスの腕はみのりを離さない。
離して、と言おうとみのりは再びハデスのほうを振り返り――目を疑う。
彼は、見たこともない顔をしていた。
肌のヒビはいつもより少ないくらいにまで減っていた。
より人間らしい頬をもどかしく歪めて、骨の凹凸からしか解らない眉を切なげに寄せて、瞳孔の開きかけた目にそれでも必の感情をこめて、強く強くすがりつくように。
ハデスは、真っ直ぐにみのりを見つめていた。
その表情の意味するところを、みのりは知る。
切ない渇望、狂おしい愛情。
この男は私を愛しているのだ、私がそうであるように。
「ハデス先生……」
引いていた身を戻し、彼の膝に乗せた自分の膝に体重をかけて、みのりはハデスと額を合わせた。
「才崎先生」
目を伏せると彼のほうから唇を寄せてくる。
これは事故でも一方的でもない。確かな相互の愛情表現。
しばらく呼吸も忘れて貪り合って、息を継ぐため唇を離す。
同時に目も開くと、そこにはまたしても見たことのないハデスの顔があった。
ヒビひとつないなめらかな頬に、黒々とした柳眉と瞳の凛々しい青年が、優しく微笑んでいた。
「は、ハデス先、生?」
みのりの戸惑いでようやくハデスも自身の変化に気付いたようで、顔にかかる黒髪をつまみあげて苦笑した。
「『冷血』も食いきれなかったみたいですね」
「何……を?」
みのりが首をかしげると、ハデスは抱き寄せて耳元で回答を囁いた。
あなたへの愛をですよ。
終わり
- 75 :
- GJ!
少女漫画いいじゃん、純愛路線なハデみのもまた良し
- 76 :
- ぐっじょぶ
エロなしでもこんなに萌えれると思わなかった
- 77 :
- 少女漫画好きだから
すごく萌えた
このハデみの最高
- 78 :
- 喧嘩っていうか片方が一方的につっかかってきてるだけだろ
ハデみのGJ
この二人は大人なのに初々しいのがいいな
- 79 :
- 素晴らしいハデみのの後に、もう一つハデみの
>>61のリクになるべく応えてみたんだが、やっぱりちょっと外してる感が
ある
ハデスはみのりちゃんのおっぱいが好きなんだよ、そう思ってるよ
- 80 :
- 放課後、保健室の周辺がいつになく騒がしい。
しかも明らかに部外者が列を成しているのを偶然見かけた美徳は、思わず絶句した。
「これは一体どういうことです!」
ごった返す列をかきわけて中に入ると、またも驚いた。この保健室の主であるハデスの様子が
明らかにおかしいのだ。いや、様子だけではない。見慣れていた筈の顔のひび割れは更に深く
走り、今すぐにでも崩壊してしまいそうに思えた。
「…才崎先生、何か御用でしょうか」
椅子に座るハデスは茫洋としたまま、美徳に声をかける。
「この人たちは一体何なのです、それとハデス先生、どこかお具合が悪いのでは」
「いえ…それが僕にも良く分からなくて、ただ、生徒たちが心配してくれましてね」
ハデスの表情は妙にうつろで、声に何の感情も篭っていなかった。その様子にひどく悪い予感が
して仕方がない。
「…ともかく、この人たちにはお帰り願います。いいですね」
「はあ…才崎先生がそう言うのなら…」
特に何を思うでもない風に、ハデスは言葉を返してくる。
「それでは、大変申し訳ありませんが皆様はただちにお引取り下さい。お願いします」
どうやら生徒たちが何かを言って集めて来たらしい人たちは、少しの間不満を述べたりして騒が
しかったものの、比較的大人しく帰ってくれた。この事態に関して生徒たちへの追求もしなければ
いけないものの、やはり気になるのはハデスのこの只ならない様子である。
「一体、何があったんですか?」
ようやく静かになった室内で、美徳は声を潜めた。
「さあ。僕自身はいつもと変わらないつもりですが…」
あくまで茫洋と、まるで別の人間にでもなってしまったようにハデスは感情のない目で見上げて
くる。いつもならばその眼差しに様々な思いを見出せるというのに、今日は何もない。全く何も
そこにはないのだ。
「…ハデス先生、私のことをお忘れになったのですか?」
「いえ、才崎先生とは毎日顔をあわせているじゃありませんか」
返ってくる言葉にも普段の情感を感じない。やはりこれはどこか悪いのか、それとも完全に二人
でいる時のことは忘れてしまったのかと最初から感じていた不安は最高潮に達してしまった。
- 81 :
- 「…ハデス先生、私はいつでもあなたの理解者でありたいのです。ですから最近のことで何か
異変を感じたことがありましたら教えて頂きたいのですわ」
「そう言われましても…まあお茶でも淹れますから」
椅子から腰を浮かしかけたハデスを制して、念を押すように言葉をかける。
「率直に伺います。私のことは覚えてらっしゃいますよね?」
「…ええ、もちろん」
「こうして二人でいる時のことは?」
「覚えています。それが何か」
その言葉と同時に、一切感情の見えなかった眼差しにほんのわずかに柔和な色がよぎったのを
見逃さなかった。
「…良かった、お忘れになったのかと思いましたので」
それだけが美徳にとっては不安だったのだ。これまで積み重ねてきたものが全てこの男の中で
なかったことにされていたら、本当にどうしていいか分からなかっただろう。
ほっとした途端に笑みが漏れる。
「あなたのことを、僕が忘れる筈がありませんよ。美徳さん」
差し伸べてくる手が頬を撫でた。
「ええ…そうですわね。私ったら…逸人さんがそこだけは違えないのであれば、何も怖がること
なんてありませんのにね」
大きな手の感触をもっと感じたくて、頬に当てられていた手を首筋に、そして胸元へと滑らせて
いく。ハデスの反応はないものの、普段からこうして接しているだけに決して嫌ではないだろうと
思った。
「逸人さん、私はずっとあなたのものです。たとえどんなことがあっても…」
特に何の抵抗もないことに密かな喜びを感じて、美徳は次第に大胆になっていった。ジャージも
ブラも脱ぎ捨てて、誰もが羨む見事な乳房を晒したのだ。
「美徳さん…?」
一体何をするのかと首を傾げるハデスの頭をそのまま抱き込んで、豊かに張り詰めた乳房に押し
当てる。
「私をあなたの一番の理解者にして下さい、逸人さん」
今の美徳には実際のところ、何も分かっていなかった。どうしてハデスがこうなってしまったのか、
そして以前のように戻る手段があるのかどうかすらも。それでも二人で過ごした時間を決して忘れ
ていないのであれぱそれでいいと思っていた。
- 82 :
- ふと、ハデスが子供のように乳房に顔を摺り寄せたのに気付いた。
「あなたはとても温かいですね、美徳さん」
「あなたがそういう私にしてくれたのですわ、逸人さん」
もう不安も何もない、なのに何故か頬が濡れるのを感じたのだが止めることは出来ずにいた。
「…泣いているのですか?」
涙の粒が落ちたのを察したのだろう、ハデスが顔を上げて尋ねる。
「いえ、何でも…」
「美徳さん、どうか泣かないで下さい」
何とか涙を誤魔化そうとした美徳を、立ち上がったハデスが抱き締めた。強く強く。今までにない
ほどの力の強さに、戸惑ってしまいそうだった。
「逸人さん…苦しっ…」
「すみません、このまま少し…」
しっかりと腕を回して逃さないようにと抱き締めてくる腕に、美徳は若干の苦しさを覚えながらも
とろりとした陶酔に浸っていた。この男に、これほど強く求められていることが何よりも嬉しくて、
時がこのまま止まってしまえばいいと願ってしまった。
「あっ…」
ようやく腕を解かれて、見上げたハデスの顔は普段見慣れたものに戻っていた。何がどうなった
のかは全く分からない。この事態に頭がついていかない美徳に、ハデスが恥ずかしそうに言葉を
かけた。
「…美徳さん、その格好、寒くはありませんか?」
「…えっ…あ、あのっ…」
床に落ちていたジャージを美徳の肩に着せ掛けて、まだ濡れていた頬を指で拭った。
「僕のせいで泣かせたのですね。決してそうするまいと思っていたのですが…」
「いえ、逸人さんのせいなんかじゃ」
言葉が終わらないうちに唇を塞がれた。今日の色々な不安や負の感情が全て溶かされていく
ようで、夢中で求められるままに応え続ける。
「…本当に、僕はあなたに心配ばかりかけてしまいますね」
名残惜しげに唇が離れた後、ハデスが呟いた。
「それは、私も同じことですわ。だからお気になさらないで」
- 83 :
- もう一度抱き締めてくる腕に甘えきることにして、それだけを返す。
まだお互いにこの恋には慣れてはいないのだ。だから分からないことばかりが目の前にある。
今日の事態のように全く予期すらしないこともある。
それでも、この男と往く道程であれば大丈夫そうな気がした。不思議とそう思えた。
「逸人さん、私はあなたのもの…」
恋する男に腕に掻き抱かれながら、確かめるようにそう呟いて目を閉じる美徳の表情は心から
幸せそうだった。
「先生、戻ったのかあ。良かった…けど…」
保健室にいる二人は知るよしもない。ドアの前でアシタバがおろおろしながら様子を伺い、入るか
どうしようかと迷っているのを。
まだ二人の時間は終わりそうもない。
終
- 84 :
- 今回、番号がムチャクチャになってごめんよ
- 85 :
- いやぁ、天地がひっくり返るかと思ったわ。
あのイケメン野郎が俺、こと安田さんに女子の下半身(たましい)の揺さぶり方を聞いてくるなんて。
でも俺…
ぶっちゃけ女のことよくわかんねーんだよな…
確かに安田さん激選コレクションには自信を持っている。けれども、なんやかんやで、生身の女の全裸を見たことが無い。
あ、母ちゃんはあるけどあれはないわ〜
ときどきベッドで1人でモサモサやってると時々脳裏によぎっちゃうんだよね。
やめてくれないかなマジで。折角いいところなのに一気に萎えちゃうんだぜ。
まぁ、この件に関してはサシで語り合える相手がいないから自分のなかにしまい込んどくとして。
藤が俺に自分から関わってくるなんて今まで一度もないから、思わず俺は持っていたエロ本を落とした。
「なぁ…避妊ってどうやってすんの?」
えぇえぇぇえぇ!?
そこ俺に聞くゥ!?ネットで調べろよそんなもん!!
てかんなもん保健の授業ちゃんと聞いてたらわかるだろ!
保健舐めんなよコルァ!
と、言いたいことは山ほどあったのだが、ひとまず飲み込み、一番聞きたいことを聞く。
「相手、誰?」
イケメンだから相手選び放題なんだろうなフゥー!
と茶化しながら言うと、藤は本気で黙り込んだ。
ちょっとやりすぎたかな、と思いつつも、藤の相手が誰なのかは気にかかるところだ。
「なぁ、ヒントだけでも教えてくれよ」
自慢じゃないが、俺は常中の女子の全データを網羅している。
2、3のヒントがあれば的中させる自信があった。
「不器用なやつ」
オィィィィィイ!!!!
幅広すぎだろそんなもん!
なんだよわかんねーじゃねーかよ。
不器用って性格的に!?
それとも実質的に?!
どっちも含めたらすごい数になるじゃねーか。
てかむしろどっちも器用なやつって凄くね?
- 86 :
- これはルックスだルックス!
「見た目は?!見た目!!」
安田さんは自慢じゃないがルックスにはうるさい。
常中の女子の全データを網羅している俺に、角は無いはずだ!
「まぁ…そこそこ可愛い」
オィィィィィイ!!!!
んなもんお前のさじ加減だろうがよ!!鏑木を可愛いと言う奴もいれば花巻を可愛いと言う奴だっている。日暮だって俺からしたらめっちゃ可愛い。
ん?ちょっと待てよ。
藤と頻繁に接触してるのは鏑木だよな。可愛いよな?不器用だよな?
はっはーん!
俺分かっちゃったー!
やっぱり俺に角はなかったわ。やばい今の俺カッコ良すぎる。
「いやぁ。まさかお前がな〜!美男美女でいいんじゃね?」
「わかったのかよ!お前なんか気持ち悪ぃな」
「よく射止めたよなー!あいつ女子だけじゃなくて男子にも結構人気なんだぜ?」
藤が露骨に固まる。
「うそだろ…マジかよ」
「おぅ!顔可愛いし、何よりあのスタイルだろ?そりゃモテるわ」
藤は鏑木が大人気なのを知らないのか?おめでたい奴だな。
「まぁたしかに太ってはねぇけどさ…スタイルは…いいのか?」
…ムカつくよこのイケメン!!ムカつくマジでムカつくよ!助けてお母さん胸に黒いものが渦巻いてる!
どうしよう安田さん更年期でもないのにイライラするわ!
鏑木スタイルいいだろ!みのりちゃんまでとは言わないけど胸デカいし! その気持ちをそのままぶつける。
「お前どこ見てんの?胸デカいしウエスト細いしそそるじゃん。安田さんそろそろキレるかもよ?」
そういうと、藤は頭を抱える…
「嘘だろアレででかいの?まぁ俺は気にしてないけどさ…」
イケメンコノヤロォォォ!!
絶対嘘だろ気にしまくりだろ!超イライラする!お前が望んでるのは何カップなんだよ!Eか!?Fか!?Gなのか??
まさか…Hなのか…?
「藤のおっぱい星人がぁぁぁぁー!」
「ちょ!止めろよ声でかい!」
◆
「見事に食い違ってるな。藤が少し可哀想になってきたぜ…」
「あんなのの心配するなんて、さすが美っちゃん!優しいんだね」
「…。藤くんは花巻さんのこと言ってるんだよね?」
「だが安田はシンヤのことだと思ってる…と。」
「まぁ、二人ともアホってことだよ」
「本好くん…」
端でこんな会話がされていたことなど、安田は知る由もない。
完
- 87 :
- エロ入れられなかった。
ただ安田さん中心に猥談してほしかっただけなんだけどグダグダになってしまった…
ハデみのの方、本当に尊敬します。GJでした!
- 88 :
- 二人ともGJです!!
>>80-84
献身的なみのりちゃん超可愛い!
パフパフ先生超羨ましい!!
>>85-87
地の文の安田さんの口調がおもしろすぎて
読みながらずっと笑ってたww
藤のとぼけっぷりもうまいww
- 89 :
- シンヤとリュウキ思いついたけど文章に出来るほどの力が自分にはなかったw
- 90 :
- 龍真大好きなので頑張って欲しいんだが
展開とかだけ書いとけば職人さんが拾ってくれるかもよ
- 91 :
- この流れで、何故か本好冤罪話が降りてきた。
数時間後に投下予定。
- 92 :
- >>91
wktk
- 93 :
- 書いた。
そしてエロはないんだが、何だかなあ。
どうしてこんなものが降ったのか自分の脳味噌が激しく疑問。
- 94 :
- うちは母が身体が弱い上に少しエキセントリックな性質だったので、僕はあまり心配かけない
ように普段から言動を抑制する癖がついていた。母に似てあまり丈夫な体質ではなかったことも
関係しているかも知れない。
そんな僕の現在に人格形成に多大な影響を与えてくれた美っちゃんについて、語るべき重大な
ことはそれこそ幾らでもあるけれど、今回は直接関係がないので控えることにする。
あの日、僕は学校からの帰路で美っちゃんたちと別れた後、近くの本屋に寄って前日に入荷した
という数学の参考書を三冊買った。もしなければ注文しようと思っていたので、手間が省けたと
自分の運の良さに感謝したぐらいだ。
その後、滅多にないことではあるけれど、親戚の家に寄って晩御飯を御馳走になった。前々から
遊びに行く予定があったとはいえ、何かと用事があったので先延ばしになっていたから、これも
丁度良かったといえばその通りなのだろう。
しばらくその家で過ごしてから自宅に帰ることになったので、時刻は既に深夜に差しかかろうと
していた。おじさんが心配して家まで送ると言ってくれたけど、それほど距離がある訳ではないし
女の子じゃないから危険も少ないと断った。
今考えると、送って貰った方が面倒に巻き込まれずに済んだのだろう。
時刻は午後十一時過ぎ。
時計代わりの携帯を手に家路を急いでいると、住宅街の外れで何やら篭った悲鳴のような声が
聞こえた気がした。嫌な胸騒ぎがあって、面倒だから通り過ぎようとしたけれど、その声は随分
近かった。
「ゃぁ…」
立ち止まって耳を済ませると、声はすぐ側の暗い路地からしきりに聞こえていた。場所的なもの
からいってもこれは間違いなく女の子が最悪の事態になっているのだと確信して、僕はすぐに
警察に電話をした。
もちろん、早合点だけはしないように出来るだけの状況は確認した上でだ。
「もしもし、常伏警察署ですか?今××町×丁目の路地で女の子が襲われています。早く来て
下さい。目印は××というドラッグストアの角の電話ボックス。そこから常伏中学校へと伸びる
道沿いの住宅街の端にある路地です。出来るだけ早く、お願いします」
とりあえずは目につく限りの目印を言ってから、通話を終えた。ここで帰ればそれで済んだ筈だ
けれど、一度目にしてしまった以上関わりませんさようならでは済まないような気がして、出来る
だけのことはしてみようと思った。
何より、女の子にはとても優しい美っちゃんなら、こんな場面に遭遇したとしたら全力でどうにか
するだろうと想像したからだ。友達なら、美っちゃんの意に沿わないことなんて絶対に出来ない。
- 95 :
- 次に、どうせ暗いから綺麗には撮れないだろうとは思ったけれど、証拠として携帯のカメラで撮る
ことにした。それには、なるべく近付かなければいけなかったが、幸い、連中は行為に熱中して
いるのか僕に気付くことはなかった。何人いるのかまでは分からなかったが。
「ぃやぁぁ…」
その間も、女の子は声を振り絞って助けを求めている。さっき警察に電話をしたからすぐに警官が
来る筈だ。それまでは何とか我慢して欲しいと思いながら、僕は撮影音を消して写真を何枚か
撮った。その上で今の時間も記憶していた。ICレコーダーでの録音も始めた。
間違っても、僕は正義漢などではない。こんな事態に立ち会ってしまった以上は全くの部外者と
して、自分の身の安全をまず考えただけのことだ。それは決して間違ってはいないだろう。もしも
正義を振りかざしてすぐに女の子を助けようとしても、ひ弱な僕に一体何が出来るというのか。
通報してから十分経過した。
そろそろ警官が来てもおかしくない。
さすがにこれ以上罪もない女の子をそのままにしてはおけないので、邪魔をすることにした。多分
一発や二発は殴られるだろうけど、それは十分もの間放置していた罪滅ぼしとして一応の覚悟を
していた。
そろそろと近付いて、僕は声を発した。
「もうやめてくれないかな」
街灯のない暗がりの中、女の子に覆いかぶさっていた奴を含めて数人…咄嗟に数えて全部で
五人の若い男たちは声をかけるとぎょっとしたように身を硬くして、その後激昂したのかてんでに
罵りながら殴りかかってきた。
何を言っているのか分からなかったけれど、きっと卑猥な罵倒なのだろう。
特に何の心得もない僕と、暴漢と化している男五人では絶対に勝てる訳がない。あっと言う間に
取り囲まれて殴られるままになっている間に、タイミング良く警官が駆けつけた。その姿を見て、
男たちは驚いたのだろう、一人二人と散り散りになりながら逃げて行ってしまった。
五人とも、隣町の高校の制服を着ていることは覚えておこうと思った。
「君、大丈夫かい?」
女の子を保護した警官が、労わるように声をかけてくれた。しかし、次の瞬間事態が変わる。
「この人です!」
何を思ったのか、助けたつもりの女の子がまっすぐに指を差しているのは僕だった。
「この人が私を…私を!」
情けは人の為ならず、という諺が誤用されるのも当然なのだろう。せっかく助けたつもりになって
いても相手がそう思わなければ何の意味もない。
同時に、女はやっぱり面倒臭いと思った。
- 96 :
- その後、時間が遅いというのに警察署に連れて行かれて事情聴取される羽目になった。
もちろん僕の方には幾つかの無実の証拠があるし、状況的に犯人である必然性が全くないことが
すぐに証明された。通報後に警官が駆けつけるまではものの十数分。その間に撮った不鮮明な
写真も時間の誤魔化しがほぼ不可能とされたし、普段の備えとして持っていたICレコーダーでの
録音も功を奏した。
「こんな時間まで、大変だったね」
最初に駆けつけた警官が長い聴取後、気の毒そうに声をかけてくれたが、僕の心の中には無実
が証明された安堵やこんなくだらない犯行の濡れ衣をかけられた怒りなどよりも、どうしてあの子が
そんな嘘を言ったのか、その疑問だけがとめどなく膨れ上がった。
日付はとうに変わっていて、自宅で心配しているだろう両親にそれまでずっと警察署にいたことの
説明をしなければならない煩わしさもあったが、それはもうどうでも良くなっていた。
女の子は、暗がりの中では顔すら良く分からなかったが同じ常中の同級生だった。
2-C組の栗本奈美。
安田じゃあるまいし、女子生徒たちには特に関心のない僕でも顔と名前ぐらいは知っているほど、
色々と目立つ容姿の子だ。
こう言っては何だが、結構恋愛関係の方も盛んなのだろう。
それまでは全く接点がなかっただけに気にも留めていなかったのだが、一度疑われたからには
何としてでも本当の答えを見出さないと気が済まない。
栗本奈美が一体何を思って調べればすぐに分かる程度のあからさまな嘘を言い、通りすがった
だけの僕をあんな卑劣な犯行の犯人にしようとしたのか。それだけははっきりさせないと何も始ま
らない気がした。
明けて翌日。
先生も生徒も、昨夜のことを知る者は誰もいないようだ。僕が何もしていないと証明された以上、
栗本も無駄に嘘は言い触らさないだろう。そこまであえてリスキーなことをするほど馬鹿ではない
筈だ。
とはいえ、まだ何が起こるか分からないので僕も最小限度の自衛をする必要はあった。
差し当たっては、先生にでも相談するのが妥当というところか。では一体誰に、と考えたところで
担任の才崎先生が思い浮かんだが、話し方をよくよく考えないと火に油ということが容易に考え
られるので結構厄介だ。
だとすれば、普段は生徒と接点を持たない養護教諭のハデス先生ぐらいか。
- 97 :
- その日の昼休みは、珍しく美っちゃんたちが早く引き上げて教室に戻って来た。それと入れ替わる
ように保健室に入る。
「珍しいね、君が相談だなんて」
怖い顔をしているのに生徒思いで優しいハデス先生は、いつもと変わらずに接してくれた。いつも
美っちゃんの後ろにいてあまりこれといった話もしない僕が相談を持ちかけても、親身になろうと
してくれているのが分かる。
「実は昨夜のことですが…」
僕は起こったことを洗いざらい話した。集団暴行現場に偶然立ち合ってしまい、何故か犯人にされ
そうになったことまで。
ハデス先生は聞き終わったあと、しばらく黙り込んでからようやく口を開いた。
「証拠の写真とICレコーダーは持っているかい?」
「いいえ。まだ本当の犯人が捕まっていないので、警察署にあります。ただ、念の為にそれぞれ
コピーは取ってあります」
「それは大切に保管しておくんだよ。ところで、君の口調だと犯人の目星はついているようだけど」
穏やかな口調が探るようなものに変わっていく。
「暗いのではっきりとは見えなかったけれど、制服の特徴からして隣町の××高校のものでは
ないかと思っています」
「それは本当?」
「手元にあるコピーの写真を調べれば、はっきりします」
ここでまたハデス先生は考え込み、声を絞り出した。
「…そんな重大なことを、よく相談してくれたね」
他に適役がいなかったから、と言わなくて良かった。僕もやはりまだ子供だ。とんでもない事件
の犯人にされそうになったことは大きなストレスになっていて、それだけでは何も解決しないと
しても、ただ誰かに聞いて欲しかったのだ。
それは美っちゃんでは決して有り得ない。美っちゃんにだけはこんなくだらないことで心配をかけ
たくなかった。なので若干の罪悪感をハデス先生には感じたけれど。
さて、こうやってとりあえず先生に対する相談実績は作っておいた。もし栗本があの連中にレイプ
されていたとすれば、体内に残っているだろう体液は僕のものではないことなどすぐに分かる。
いくら中学生だってその程度の知識ぐらいはあるだろうに、何て馬鹿な女、もうどこにも逃げ場は
ないのだ。
自分の首を絞めるだけの真似をした栗本がどうするのか、僕はしばらく静観することにした。
- 98 :
- それから三日ほどして、犯人たちが全員捕まったというニュースが入ってきた。
「ヤったの××高校の奴だって、びっくりだよなー!」
クラスの隅で声高に話しているのは、もちろん安田だ。有名大学への進学率の高い高校だけに
騒ぎもより大きくなっている。もしも僕があの時無実を証明出来ず、一時的にでも疑われたままだ
ったら、安田はやはり大袈裟に喋っていただろうかと考える。
応えは否、だ。
安田はエロいことは大好きでも、下衆なことには決して首を突っ込まない。まして確証のないうち
は口にも出さないだろう。それがこいつといまだ何とか友達でいる理由の一つだ。
ニュースでは被害者の身元も名前も伏せられているが、栗本があれから登校してきていないこと
もあって、噂が広がっている。
いい気味だ、ぬまで悩み苦しめ、と思った。
「頭いい奴も色々なんだよ、中身がいい奴も悪い奴もいるってこと」
色々考えながら僕は自分の席に大人しく座っていたのだが、突然美っちゃんがふざけて背中を
押してきた。
「…痛いよ」
「お前は大丈夫だもんなっ!」
からっと笑う美っちゃんの顔は、いつ見ても晴ればれしていて気持ちがいい。みんなこんな風に
裏表ない生き方が出来れば世の中は平和になるのにと思うばかりだ。
「当たり前じゃないか」
僕もつられて少し笑った。
結局、栗本はそのまま退学になったらしい。
転校したのかどうかは分からない。ただ、本当なのかどうか、例の事件に関連する噂が一人歩き
をして様々な尾ひれがついて伝わって来てはいた。
栗本は××高校の生徒と付き合っていたが、そいつがえらくたちの悪い奴で、深夜に呼び出さ
れて出かけて行ったら数人の友人が待ち構えていて襲われたとか、数人の女たちと争って男を
取り合ったとか、良からぬものばかりが面白おかしく広まっている。
どうして嘘をついたのか、噂のどれが本当なのかは、もうどうでも良かった。
今、栗本がどこで何をしているにしても、全ては自分自身が撒いた種なのだから。
くだらない嘘で人を陥れようとした報いは今後も必ず降りかかることを覚悟しているがいい。そう
呟いて、まだ煮え切らないものはあるものの、後はもう一切忘れることにした。
- 99 :
- 栗本の件もあって、女の子や恋愛に関して僕は一層懐疑的になった。この世にはどうしてそんな
ものばかりが山と溢れているんだろう。どうして女というものは愛なんかを全ての拠り所にしたがる
のか、ますます分からなくなった。
ただ、美っちゃんが変な女に引っ掛からないようにはしてあげたかった。男の価値は心にあるの
だから、目に見える表面じゃなく、内面を気に入ってくれるような女性ならいいのに。そうだ、鏑木
さんのような子が世の中にもっと増えれば、美っちゃんももっと幸せになれるだろう。
「本好くん、大変だったね」
考えながら廊下を歩いていると、後ろから声をかけてぽんと肩に手を置く人がいる。ハデス先生
だった。
「…そうですね、何事もなく終わって良かったです」
当たり障りのない返事をして通り過ぎようとして、ふと気付いたことがあった。この人も恋をして
いるのではないかと。特に何を知っている訳でもない、ただの勘のようなものだ。しかし妙なほど
確信が持てた。
例の事件の噂のどれかが本当だったとして、栗本は恋で身を滅ぼした。だから必ずしも恋愛感情
が良いものではない。けれど決して悪いものでもないことを証明する実例が見てみたかった。本当
ならそれが美っちゃんにとって良い相手と巡り合う瞬間であれば喜ばしいけれど、そう簡単には
いかないに違いない。
ならこの人であれば、大人である分幾らか容易そうに見えた。
だから僕はわざと意地の悪い質問をしてみよう。
「先生、恋をしていますか?」
案の定、困ったような顔をして無理に笑うばかりだった。
終
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