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2012年11月エロパロ342: ショタが電気あんまされて悶絶して・・・ part2 (594) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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ショタが電気あんまされて悶絶して・・・ part2


1 :2009/09/16 〜 最終レス :2012/10/30
前スレ
ショタが電気あんまされて悶絶して・・・
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230554783/
保管庫
http://mywiki.jp/tgamtgam/%83V%83%87%83%5E%82%AA%93d%8BC%82%A0%82%F1%82%DC%82%B3%82%EA%82%C4%96%E3%90%E2%82%B5%82%C4%81E%81E%81E%81%40%95%DB%8A%C7%8C%C9/
禁止事項
過度のクレクレ禁止
ホモネタは禁止(ショタ同士も含む)
荒らしに反応しない

2 :
>>1
乙です!

3 :
スレ立て乙

4 :
>>1


5 :
スレ立て乙です
新作、正座待ちw

6 :
>>1
同意する、乙

7 :
>>スレ立て乙です!
そして投下開始

8 :
「…ほんなら純くん、また明日なぁ!!」
手を振って校門から走り去る新しい友人たちを見送り、神城純は校舎に戻ってゆく。転校してきて一週間、彼はすっかり打ち解けた男子児童たちの顔と名前を笑顔で思い浮かべながら、駆け足で二階にある図書室へと向かう。
転校前の心配は取り越し苦労だった。関西弁も殆ど問題なく理解できたし。純の関東訛りを笑う者もいない。熱中しているゲームや遊びも同じ。六年生になる頃には、前の学校のことを忘れてしまいそうだ。
(…ええと…)
放課後の校舎はひっそりとしていた。まだ慣れない校内を走り、純はようやく図書室にたどり着いた。休み時間に前から読みたかった本を見つけたのだ。
「…あれ!?」
貸出終了まであと二十分ほど。急いで図書室の扉を開いた彼の口から思わず声が漏れた。
『むじんかしだし』
無人貸出。図書係が急用でもできたのだろうか。ポカンと貸出カウンターの貼り紙を見つめた純は、すぐに納得した表情で頷くとスリッパに履き替えて書架に向かった。
SFに冒険記…目当ての本以外にも興味深い本が沢山並んでいる。
(…こっちの学校のほうが、断然本が多いや…)
薄暗い図書室に純の足音だけが小さく響く。うっとりと並んだ背表紙を眺めながら、古い書物独特の匂いのなかを酔ったように歩く純の足が、硬い何かを踏みつけた。
(…?)
珍しい落とし物ではなかった。この場所では当たり前の、一冊の本。おそらく誰かが出しっぱなしにしたのだろう。拾い上げて棚に戻そうとした純の目が何気なく本のタイトルに落ちる。
『おとなになること〜みんなの性教育』
少し戸惑った顔を赤らめた純は、頻繁に開かれたと覚しき癖のついた頁をおずおずと開いてみる。そこには、愛らしくデフォルメされているものの、流石に五年生の純には刺激が強すぎる思春期の男女の裸体が描かれていた。

9 :
(…うわ…)
平均よりやや幼く、ふと中性的な愛らしさを覗かせる純にはまだ十分な性知識は備わっていない。
しかし漠然とした生殖の仕組みしか知らない彼も、僅かな発毛と性器を露わにした少女のイラストには、キュンと股間が痒くなる妙な感覚を覚えた。
「…あっ!! あんた何見てるん!?」
凝視、というにはあまりに短いその瞬間、突然背後から高い声が響き、純の体は激しく跳ね上がった。尋常ではない動悸を抑えて恐る恐る振り向くと、意地の悪い笑みをたたえた同じクラスの女子児童、水瀬早英が佇んでいた。
「あ、いや…これ…」
慌てて弁解する純を冷ややかに見下ろす長身の彼女は、相棒の鴇谷千夏と並び純の編入された五年五組の男子と火花を散らす女子のリーダー格だ。
長い黒髪に色白で華奢な身体。どことなく狐を想わせる吊り眼の早英と口をきくのは初めてだった。
「…うわあ!! いやらしっ!!」
純の必の釈明を無視した早英は、嬉しげに高い声を張り上げ続ける。純は激しい喉の渇きと焦燥感のなか、転校初日に仲良くなった男子『カツやん』の言葉を思い出していた。
『…ええか純くん、もし早英や千夏に因縁つけられたら、すぐ俺に言うんやぞ…』
ちらりと見た窓の遥か向こうに、道草を食いながら楽しげに下校する『カツやん』たちの姿が小さく見えた。後悔の念が深く純を包み込む。一人で図書室に寄る気まぐれなど起こすのではなかった…
「…言うたろ言うたろ!! 転校生がこっそりエロい本見てたって、みんなに言うたろ!!」
早英は小躍りしながら甲高くはやし立てる。どんな言い訳も聞き入れそうにない彼女の様子に、純はひとたびこの場所を離れ、『カツやん』たち男子児童に助けを求めようと決意した。
「…ど、退いてよ!!」


10 :
問題の書物を手放すことも忘れ、純は通路を塞ぐ早英に突進する。彼女の脇をくぐり抜けて出入り口に向かうつもりだったが、チェックのミニスカートを翻してその行く手を阻もうとする早英に肩を打ちつけ、彼はいまいましい本を抱えたまま彼女ともつれ合って転倒した。
「きゃあっ!!痛あい…」
大袈裟な悲鳴とともに尻もちをついた早英の吊り上がった眼が、憎々しげな視線を純に向ける。
しかし動転した純は彼女を振り返る余裕もなく、あたふた立ち上がり一目散に扉を目指した。心臓が弾ける位走って立ち並ぶ書架を抜け、ようやく扉に隣接した貸出カウンターにたどり着く。
(…!?)
下足場にはいつの間にか上履きが三足。純がそのうち二足が赤い爪先の女子用であることに気づいたとき、低い声と共に誰かの力強い手が、純の肩をぐいっと掴んでいた。
「…こらぁ。女の子に暴力振るたらあかんやろ…」
がっちりと逞しい、もう一人の女子児童。下駄箱の影に潜んでいたのは、相棒の早英とは対照的な童顔にショートカットの鴇谷千夏だった。彼女はもがく順の腕を捻じ上げ、まるで獲物を捕らえた虎のように、ずるずると彼を再び暗い通路へ引きずり込んでいった。
「離せ!! 止めろよお!!」

11 :
惨めに組伏せられ、弱々しくもがく純の耳に、ひたひたと歩み寄る早英の声も聞こえてくる。
「…ああ痛。えげつない転校生や。千夏、その子アホのカツヤんとこへ逃げる気やで。」
絶対絶命の状況だった。大声で助けを求めようとも考えたが、更に女子児童など集まってしまったら、とりかえしのつかない恥をかくことになる。
そして純のそんな考えを読んだかのように、耳元に忍び寄った早英が冷たく囁いた。
「…早よ謝らんかったら、ヘンタイ転校生や、ってクラス中に言いふらすで…」
千夏が低く笑う。
「…どうせ謝っても、早英は言いふらすんや。」
しかし純はいわれない濡れ衣を被る気はなかった。きっと本当のことを信じてくれる人はいる筈だ。じたばたともがきながら彼は一心不乱に叫んだ。
「離せ!! 離せ!! 僕は落ちてた本を拾っただけだよ!!」
暴れる純を面白そうに眺めていた千夏は、彼を取り押さえる腕に一層力を込め、呆れたような声で相棒に告げた。
「あかん。早英、お仕置き決定や。」
「ほい、了解。」
たちまち座り込んだ純の背中に早英の身体が密着した。痩せっぽちに見える彼女の胸の柔らかさと、鼻をくすぐる甘い髪の香りに純はびくりと身を竦ませる。
「い、嫌だ…」
暴れる純の背後から、早英の黒いニーソックスの細い脚が絡みつき、蛇のように彼の腰を挟み込んむと、じわじわと閉じた太腿を開かせた。前の学校に、こんな乱暴な女子児童たちはいなかった…
「や、止め…て…」
「…なんや、力ないなあ…」
純が背後から手足を締め上げる早英に気を取られている隙に、正面の千夏は呆気なく純の両足首を握っていた。彼女はその強い握力で易々と純の両足をこじ開ける。
「…早英。しっかり押さえときや…」


12 :
「や…め…」
場違いに人懐っこい微笑みを浮かべた千夏の足が、無防備な純の股間に迫る。彼がかすれた悲鳴を上げようとした瞬間、早英の片手が器用に彼の口を塞いだ。
「むふううううう!!!?」
「さ、いくでぇ!!」
ハーフスパッツからすらりと伸びた千夏の足は、正確かつ強烈に純の急所を捕らえた。日焼けした肉付きのよい彼女の太腿がぶるぶると震え、耐え切れぬ振動が未熟な股間を襲う。
「う…ふう…うう!!」
しだいにトランクスの中で、自分の小さな陰茎が反り返るのがはっきりと純には判った。痺れと灼熱感が、彼の下半身でびりびりと暴れ回る。
(ち、ちんちんが…ちんちんが…)
激しく揺れる純の身体を逃がすまいと、さらに強く絡み付く早英のしなやかな肉体もまた、純を未知の昂まりに誘う一因だった。
癖のない漆黒の髪が彼の首筋を撫で、悪戯なクスクス笑いが火照った耳朶に妖しく響く。

「…どや? 参ったか!?」
加速してゆく千夏の足の下で、こみ上げる何かが臨界を迎えた。熱いものがじわっ、と純の下着に広がり、初めて経験する甘美な到達感に彼の身体は感電したように硬直した。
「ん…ふ…」
朦朧と天井を見上げる純の生暖かく濡れた部分に、千夏の執拗な責めは続く。そのたびに押し寄せる快感の余波に彼の全身はびくびくと跳ねる。
(ああ…ああ…)
混乱する意識のなか、純の耳にねちゃ、という卑猥な音が聞こえた。他でもない自らの下半身から発せられたごく小さな音だ。
ようやく我に返った彼が恐慌を起こすその間にも、じわじわと下着には恥ずかしい体液が染み込んでゆく。
(お、お漏らしまでバレたら…)
もはや猶予はない。冷たくなってきたトランクスの滲みが千夏の白いソックスまで濡らしてしまったら一大事だ。


13 :
焦りと屈辱感のなか、純は唇を覆った早英の指を舌で押しやり、吠えるような涙声を上げた。早く家に帰って、下腹部の異変も調べなくては…
「…ごめんなさぁい…僕は…いやらしい本を見てましたぁ…女の子に乱暴なこともしました…ごめん…なさい…」
目配せを交わした二人の女子児童は、脱力し、ひくひくと嗚咽する純を得意げに見下ろしてようやく打ちひしがれた彼の身体を解放する。純はズボンの湿りだけは悟られまいと、痺れた両手でしっかり股間を覆った。

「…大丈夫やって。健康な男の子の証拠や。これ読んで勉強しい。」
白い歯を見せてニカッと笑った千夏はそういうと、傍らに落ちている『おとなになること〜みんなの性教育』を馴れた手つきで開く。
すぐに『精通』の頁にたどり着いた千夏は、ポンと純の顔に本を載せ、早英と二人でクスクスと笑いながら、夕暮れの図書室を去って行った。
「…へへん。三日間連続ヒットや。早英はやっぱり頭ええなあ…」
遠ざかる二人の声をかき消すように、下校時間を告げるベルがけたたましく鳴り響いた。

おわり

14 :
投下終了です。

15 :
うおぉぉっ!
好みのシチュすぎる、GJ!!

16 :
>>14
3人目の被害者なんだなw
GJ!

17 :
新スレ一発目、乙
GJです!

18 :
これはシリーズ化を希望せざるを得ないw
GJです!!!

19 :
>>1
スレ立て乙!
>>14
GJです!
私もシリーズ化希望(w

20 :
続編投下です

21 :
「…そして、お母さんブタは、三匹を残して帰って行きました…」
眩く照らされた舞台を早英の落ち着いたナレーションが流れる。しっかり俺の手を握りしめた千夏の掌は、冷たく汗ばんで震えていた。
「…さあみんな、めいめいの自分のお家を造ろう!!」
これは本来『お兄さんブタ』役である千夏の台詞。しかし本番直前になってまた取り乱した千夏には無理、というみんなの判断で『末っ子ブタ』役の純が引き受けたのだ。
…そして俺は『真ん中のブタ』。なんでこんなキャスティングになったのかは長い話になる。とにかく、学習発表会五年五組の演目『三匹の子ブタ』は今始まったばかりだ…
涙目で俺から離れて、ギクシャクと『ワラの家』を造る芝居を始めた鴇谷千夏は幼なじみで…まあ、一応俺の彼女でもある。手がつけられない乱暴者だが、その、俺とっては結構可愛い奴なのだ。
「ゆ、勇介どうしよ!? 金槌壊れてしもた…」
俺が『木の家』を造る演技に掛かると、すぐにすっ飛んできた千夏、いや『お兄さんブタ』がおろおろと叫ぶ。見ると段ボールで出来た小道具の金槌がぐにゃりと曲がっている。
「…アホ!! 家造る真似だけしてたらええねん!! ほれ!!」
にこやかに金槌を『貸してあげる』演技をしながら俺は囁く。昔から千夏は、大勢の視線に晒されると極端に緊張してしまう困った奴なのだ。前列の観客からクスクスと笑い声が漏れた。
…こんなことなら、『アレ』をやらしてやりゃ良かった。誰にも言えない千夏の悪い癖…。

…半泣きの千夏が俺に縋りついたのは開演直前のことだ。みんなが慌ただしく大道具を搬入するなか、ブタ耳と尻尾を付けた千夏は舞台裏で俺を捕まえて懇願した。
『… お願い勇介!! 電気アンマやらして!! もう心臓破れそうや…』


22 :
千夏の悪い癖とは、不安に押し潰されそうなときは人に思いっきり電気アンマをすると落ち着く、という厄介極まりない妙な習性だ。
小さい頃から習っている空手で大事な試合が近づく度に、周囲の罪も無い男子児童を餌食にしていたのだが、彼女と付き合い始めたとき、俺は『電気アンマ禁止』を固く約束させたのだ。
そもそもこんな大舞台であがり性で有名な千夏が『お兄さんブタ』に選ばれたのも普段の悪行に対する五年五組一同の彼女への懲らしめであり、
ほうっておく訳にもいかず泣く泣く『真ん中ブタ』に立候補した俺の深い愛に、千夏はもっと感謝すべきだろう。
『なあ勇介…お願いや。今度おっぱい好きなだけ揉んでええから…』
…追い詰められた千夏の破格の申し出だった。Tシャツの下で揺れる千夏のたわわなおっぱいは俺にとって猛烈に魅惑的だった。しかし周りにはクラスの連中の眼もある。残念ながらとてもグリグリやっていられる状況ではなかった。
『…大丈夫や千夏。俺がついてるやろ!!』
未練を断ち切ってそう叫んだ俺は千夏の手を強く握り、勢いよく舞台に駆け上がった…

…黙々と『木のお家』を建てながら、俺は隣の千夏をチラリと見る。どうやら『ワラの家』は無事完成したようだったがここからが問題だ。
カチカチに固まった千夏がゆっくりと客席を振り返った。思った通り、数百人の視線を一斉に浴びた彼女の顔から、さあっ、と血の気が引いてゆく。
「…や、や、っとワラのお家が、出来た…」
千夏の長い台詞はこれだけだ。しかし祈るように彼女を見つめる五組一同の視線のなか、悪い予感通り彼女の青ざめた唇はピタリと動きを止めた。
「…えと、ええと…」


23 :
大きな瞳には涙が滲み、短パンから覗いた丸っこい膝小僧が小刻みにがくがく震えている。万事休すか…と俺が拳を握りしめたとき、突然ざわめく会場を、台本にないナレーションが流暢に流れた。
「…一番に自分のお家を建てたお兄さん子ブタは、喜んで新しいお家に入りました…」
さすが千夏の親友、水瀬早英の見事なアドリブだった。なんとかここさえ乗り切れば、あとは殆どオオカミの一人舞台だ。
しかし、ほっとして『木のお家』を仕上げようとしたとき、少し焦った声で再び早英のナレーションが流れた。
「…お家に、入りましたっ!!」
まるでお地蔵さんのように立ち竦む千夏の耳に、早英の声は全く届いていなかった。全身をがくがくと痙攣させ、客席からも判るほど激しく肩を上下させ始めた千夏に、早英の甲高い声が三たび降り注ぐ。
「…お、う、ちに入りましたあっ!!」
虚ろな眼で観客を凝視していた千夏は、やっと我に返ってびくりと飛び上がり、無様な格好で段ボール製の『ワラのお家』に潜り込んだ。
俺も自分の台詞を上の空でこなし、続く純の演技を横目に冷や汗びっしょりで『木のお家』に入る。そして、おそらく暗闇のなか、不安と恐怖に膝を抱えて泣いているだろう千夏の身を案じた。
そばにいて慰めてやりたい。ギュッと肩を抱いてやりたい。ついでに乳も揉んでやりたい…
とはいうものの、もう少しの辛抱で彼女の苦難も終了だ。誰でも知っているとおり、このあとオオカミにワラの家を吹き飛ばされたお兄さんブタは、真ん中ブタすなわち俺のいる木の家に逃げ込んでくるのだから。
「…子ブタ共め、食ってやるぞぉ…」
野蛮な効果音に合わせて、カツやんのドスの利いた声が聞こえる。いよいよオオカミの登場だ。


24 :
覗き穴からはよく見えないが、カツやん演じるオオカミは、順調にワラの家を吹き飛ばしつつあるようだった。
「…へへえん、どんなもんだ!!」
芝居っ気たっぷりの叫び声と舞い上がるワラの家。もうすぐ血相を変えた千夏が飛び込んでくる筈だ…
ドカッ!!
確かに薄い段ボール製の『木のお家』が壊れる程の勢いで、千夏は台本通り俺のところへ逃げ込んできた。しかしいささか予想とは違う雰囲気だ。
「…ふうぅ…ふうぅ…」
鼻息荒く『木のお家』へ突入してきた千夏の瞳は既に危険な光すら帯びていた。彼女のパニックはどうやら遥かに俺の想定を上回っていたらしい。
「ち、千夏、大丈夫か!?」
答えはない。代わりに獣のように唸りながら跳び掛かってきた彼女の腕が、俺の両脚ををむんずと持ち上げた。
「ふうう…」
「わあああっ!! な、何!?」
暗闇のなかで標的を探しながら、俺の股間を這い回る千夏の素足。危うく『木のお家』を蹴破りそうになったが、俺までパニックを起こしてはクラスの努力が水の泡になってしまう。
「落ち着け!! 千夏、落ち着けぇ」
必の説得も極限まで錯乱した彼女の耳には届かなかった。ショートの髪を伝う千夏の汗がポタリ、と俺の頬に落ちた次の瞬間、強烈な攻めが俺の股間を遠慮なく襲っていた。
「うおおおおおお!!?」
何度となく食らった千夏の電気アンマの中でも、とびきり物凄いスピードと攻撃力だ。切迫した今の状況を忘れる程の刺激に腰が抜けそうになる。
「や…め…」
「勇介…勇介…勇介…」
鬼気迫る勢いで右足を揺らし続ける千夏の気迫に、不覚にも俺の一物はむくむくと膨らみ始めた。一学期までは恐怖の拷問だった千夏たち女子の電気アンマ。しかし最近、なぜかやたら気持ちよかったりするのだ…


25 :
…段ボール一枚隔てた外にはオオカミと数百人の全校児童。ムチャクチャな状況に俺は…俺はなぜかぬほど興奮した。
「うおお…ち、千夏…」
「…勇介…勇介…」
徐々に制御不能の荒々しい激情から解放され、半狂乱だった千夏の瞳から憑かれたような妖しい光が消えてゆく。火照った頬と悩ましげな喘ぎ。このままずっと二人で…

「…テメェらぁ!! ええ加減にせえ!!」
突然、カツやんの怒声と眼も眩む明るい照明が俺たち二人に降り注いだ。
タイミング良く家を吹き飛ばすのは中にいる俺たちの仕事だった。オオカミ渾身の演技にもかかわらず、いつまで経ってもびくともしない木の家にしびれを切らせたカツやんが、ついに俺たちの愛の巣を蹴り飛ばしたのだ。
「ひゃあああああ!?」
「うわあああっ!?」
眩しいスポットライトに目が慣れるまでしばらくかかった。幸い観客は折り重なって倒れた俺と千夏の様子をそれほど不審に感じなかったらしく、短気なカツやんの暴挙に大喝采している。
しかし、やっとこさ心の平安を取り戻しつつあった千夏にはたまらなかった。熱狂する大観衆の眼差しを一斉に浴びた彼女は、なんとここで偶然にも、一世一代、迫真の名演技を全校児童に披露することになった。
「うひゃあああっ!!!」
本物の狼に襲われた人間でも、恐らくこれほどは取り乱さないだろう。頭を抱え跳ね上がった千夏はもはや本能のみで隠れ場所を求め、命からがら末っ子ブタの待つレンガの家に突進した。
そして、その後を追う俺もひどい格好だ。すでに痛い程膨らんだズボンの前を隠す為、四つん這いで情けなく走る俺は、今日の学芸会で一番笑いを取ったに違いない。


26 :
リハーサルの大根ぶりが嘘のような俺たちの熱演に、呆然としていたオオカミが我に返ってうおう、と吠えたとき、俺と千夏は重なり合って『レンガのお家』に転がり込んでいた。
「…勇介、つ、続き!!」
「な、何!? どうしたの!?」
中で俺たちを待っていた末っ子ブタの純が仰天して尋ねたが、未だ興奮覚めやらぬ千夏は、扉を塞ぐ手ももどかしく俺を押し倒して電気アンマを始めた。勃ちっぱなしの一物はもう爆発寸前だ。
「はうぅ…ち、千夏…」
すでに理性など吹っ飛んでいた。唖然とする純を尻目に、千夏の足は絶妙な力加減で具合よく上下する。俺はゆさゆさと揺れる千夏のおっぱいを見上げながら、頭の中が真っ白になる程の振動に酔った。
「う…おお…」
下半身を包むきゅうん、とする感覚。覚えてまだ日の浅い、蕩けるような『射精』の感覚だ。確か夏休みに初めて夢精したときも、俺は千夏の夢を見ていた…
「…勇…介…」
びくびくと震える俺の身体に、熱くやわらかい千夏の身体がぐったりと凭れ込む。力の入らない両手で抱きしめると、今ごろ緊張を解いた彼女は恥ずかしそうにくふふっ、と笑った。
「…くん!! 千夏ちゃん!! 早く、早くったら!!」
気がつくと純が地団太を踏みながら叫んでいた。促されるままに跳ね起き、よろよろレンガの家から出ると、早英がほっとした声で物語のハッピーエンドを告げる。
「…オオカミは諦めて帰って行きました。それから、三匹の子ブタは仲良く幸せに暮らしました…」
…めでたしめでたし。鳴り響く拍手のなか、五組一同は舞台に並び、俺も少し気持ち悪いズボンでその列に混じった。純やカツやん、クラスの連中にも迷惑を掛けたが、なんとか大舞台は乗り切れたようだ。
俺はもう一度隣りにいる千夏の手を握る。厄介で目の離せない、大切なこいつがずっと俺から離れないように。

おわり

27 :
投下終了

28 :
筆早ぇっ(w
千夏、こういう面も持ってたのかぁ。
GJです!

29 :
GJ!!
今回の千夏は、可愛いモードの千夏
次回は、また悪辣モードの千夏を期待したい

30 :
まさに獣(ビースト)w
GJ!

31 :
GJ!
次は初心に帰っていじめっ子モードのちなつを希望しますw

32 :
関西弁に萌えた。
つくづく多芸な書き手さんにGJ!

33 :
続編期待保守

34 :
方言っていいよね。
地方によって電気アンマの呼び方も違ったりするんだろうか。
えげつない感じの呼称があれば、効果的に使えそう。

35 :
投下開始です。

36 :
「…知らん言うてるやろ!! 絶対に人違いや!!」
「…咲も裕香も確かに見た言うてんねん!! 四年生にも見た子がおる!!」
放課後の五年五組教室。千夏の尋問は始まったばかりだった。彼女の疑惑を裏付ける幾つかの証言にも関わらず、教室の床に座り込んだ勇介は他校の女子児童との浮気行為を頑なに認めようとしない。
「…じゃ、土曜の四時半頃、どこで何してたん?」
「…家で宿題。」
「嘘や!!あんたが土曜に宿題する訳ないやん!!」
少し瞳を潤ませた千夏の追及を、勇介はのらりくらりとはぐらかす。女子には意外と人気がある彼が嫉妬深い千夏をやきもきさせるのは今に始まったことではなかった。
「…信じる信じへんはおまえの勝手や。俺、今からカツやんと釣りへ行く約束やねん。」
勇介は澄まして言い放つと白々しくそっぽを向く。言葉に詰まった千夏が拳を握りしめ俯いたとき、二人きりだった教室の扉がガラガラと開いた。
「…千夏、怜ちゃん来てくれたで。」
少し緊張した声で教室に入ってきたのは千夏の親友である早英だ。ひょろりと長身の彼女よりさらに上背のある女子児童がひとり、その背後に続いている。
「…ね、姉ちゃん!?」
座り込んだままの勇介がうわずった声を上げた。こんなとき千夏の傍らに必ず控えている早英が見当たらないことを不審に思っていた勇介だったが、事態の急変に彼の激しい動揺は明らかだった。
「…ごめんな千夏っちゃん!! このアホがまた迷惑かけて…すぐ白状させるさかい!!」
あたふたと詫びながら駆け込んできた勇介の姉、六年生の鷲沢怜は、その抜きん出た戦闘力と公正で正義感の強い性格で全校女子児童の尊敬を集める少女だ。


37 :
すらりと発育のよい肢体にセミロングの髪。成績も良く、凛とした魅力的な佇まいの彼女は千夏や早英にとっても幼い頃から畏敬の対象だった。
『ほんなら怜ちゃんに聴いて貰お!!』これは、様々なトラブルが膠着したとき、高学年の女子たちが必ず口にする台詞だ。
「…すんません怜ちゃん。で、でもひょっとしたらうちの誤解かも…」
彼女らしからぬ気弱な呟きを漏らした千夏には応えず、怜は無表情に手提げ鞄から分厚い国語辞典を取り出すと、一瞬の躊躇いも見せず勇介の股間、開かれた太腿の間に思いきり叩きつけた。
「ひいいっ!!」
バァン!! 国語辞典は勇介の急所を僅かに逸れ、木製の床に轟音を響かせる。あと数センチ前方に落下していれば、勇介の睾丸を直撃する位置だった。
「あ、あ、危ないやないかあっ!! だいたい姉ちゃんには関係な…」
青ざめた勇介はすっかり取り乱した声で姉に抗議したが、怜の教室中の空気をビリビリ振わせる大音声が、その悲鳴のような叫びをあっけなくかき消す。
「やかましいっ!! 姉ちゃんはな、あんたの眼ぇ見たらすぐ嘘言うてるのが判るねん!! 今やったら姉ちゃんも一緒に千夏っちゃんに謝ったる!!」
「し、知らん!!本当に知らん!!」
「…あんた、まだシラ切る気ぃかぁ!!」
怒声と共に怜の両手ががっちりと勇介の脚を掴む。千夏と早英には電気アンマの師にもあたる最上級生、鷲沢怜の妙技が久しぶりに炸裂するかと、二人が固唾を呑んだ瞬間だった。
「うわあっ!?」
勇介の身体がふわりと斜め上方に浮いた。慌てて飛び退いた早英を危うく掠めて、彼は姉を軸にぐるぐると旋回を始める。
「わああ!! た 助け…」


38 :
格闘技で使われる大技、いわゆるジャイアント・スイングだった。甲高い悲鳴と共に回転速度はぐんぐん増してゆき、旋回軌道上ぎりぎりにあった椅子が回る勇介に接触して派手に吹き飛ぶ。
「わあ、や、やめ…助けて…千夏…」
…大変な助っ人を呼んでしまった…遠心力で赤黒く顔を染めた勇介の悲痛な懇願に、よもやの冤罪を危惧した千夏はおろおろと怜を止めようとしたが、彼女は見事に姿勢を保持しつつ、回転のスピードを上げ続ける。
「どうやぁ!! 千夏っちゃんに謝るんかぁ!?」
「…ひい!!ご、めん…なさ…しま…したぁ…」

聞き取りにくかったが、確かに勇介はビュンビュンと空を切りつつ犯行を認めていた。やはり勇介の姉としての怜の観察眼は決して伊達ではない。
「…やっぱり…」
覚悟はしていたとはいえ、千夏がショックにガクリと肩を落としたとき、ようやく怜は猛烈な回転を停止した。しかし彼女は出来の悪い弟に軟着陸を許すほど慈悲深くはない。
「そりゃああっ!!」
「うわああああ!!」
だしぬけに無情な姉の手を離れた勇介の身体は、慣性に従ってひらりと宙を舞う。
床にドスンと叩きつけられ、そのまままるでストライクを狙うボーリング球のように椅子を薙ぎ倒して滑り続けた勇介は、掃除道具のロッカーに激突してようやく停止した。
「…ぐ…え…」
他校にまでその名を轟かせるこの恐ろしい『電撃レイちゃん』に可愛いがられていることもあり、五年生の中では幅を利かせている千夏と早英だったが、さすがにこの暴虐ぶりにはすっかり顔色を無くした。
そして、まだまだ序の口であろうこの修羅場から早く退散しようと、一応は部外者である早英が遠慮がちに囁く。
「…う、うち、スイミングスクール行かな…」

「あ、早英ちゃんにもえらい世話掛けたなあ。早よ行っといで!!」


39 :
怜はそそくさとランドセルを背負って駆けだす早英をにこやかに見送ると、大の字に横たわり呻き続ける勇介に歩み寄って問いかけた。
「で、相手は? 勇介。」
「…そ、それだけは…」
びくりと身を縮めた勇介は苦しげに喘ぎながら答えを拒んだ。きちんと謝って、二度と余所の女の子とは遊ばない、と約束すれば今回はもう許してやってもいい、とさえ千夏は思ったが、再び怒鳴りながら弟に突進した怜には追及を緩める気は全く無さそうだ。
「ええ加減にせえ!! 洗いざらい正直に言うて、千夏っちゃんにちゃんと謝るんやぁ!!」
勇介の手前で勢いよく跳んだ怜の身体は、窮屈そうに黒いホットパンツに収まっている発育の良い尻から勇介の顔面に落ちた。むっちりと肉付きのよい尻が衝撃とともに彼の泣きっ面をすっぽり覆う。
「ぐふうううう!!!!」
実姉ならではの恐ろしい責めだった。唖然とする千夏の前で勇介の顔に跨った怜はぐいぐいと容赦なく腰を揺すり、窒息し虚しく空を掻く勇介の指先が彼の激しい苦悶を物語っていた。
「むふう…うう…」
「ほれ!! 早よう全部喋って楽になり!! 」
怜はリズミカルに弟の顔面を圧迫しながら、おろおろと見守る千夏に声を掛けた。年長者らしい優しい声音が却って恐ろしい。
「…千夏っちゃん、ちょっと来てみ。『電気アンマ上級編』や。」
「は、はい…」
そう言って怜は勇介の顔に跨ったまま、ばたつく彼の両脚首を握ってぐいっと引き寄せた。まるでバイクを運転するような格好で勇介をがっちり拘束し、千夏を見上げた怜は微笑んで言葉を続ける。
「…これがいちばんタマを狙いやすい姿勢や。腰が完全に浮いてるやろ?」
「う、うん…」
「靴脱いで踏んづけてみ? 五年生にもなるとちんちんも頑丈になって、玉だけ狙わな逆に喜ぶだけやからな。」
「ぐふぅ!! むふぅ!!」

40 :
言われるままに千夏が上履きを脱いだとき、姉の尻の下で勇介が唸りながら激しくかぶりを振った。どうやら辛うじて二人の会話は聞こえているらしい。
「やかましいっ!!」
一喝した怜の尻がまた勇介の顔面を勢いよく押しつぶすと、彼の身体から観念したようにぐったりと力が抜けた。
「…さ、千夏っちゃん、チャックの下辺りがタマや。最初はそおっとな。」
「…れ、怜ちゃん、勇介、んだんと違う?」
ピクリともしなくなった勇介の全身を眺め、千夏はさすがに不安げな声を漏らす。…小学生、痴情のもつれでリンチ人。しかし慌てて足を引っ込めた千夏に、怜はククッと笑ってから静かに答えた。
「…んだふりはこいつの十八番や。ちょっと静かにしてみ…」
すう…すう…千夏が耳を澄ますと、勇介が顔と怜の股の間に開いたごく僅かな隙間から、貴重な空気を慎重を取り込んでいる音が微かに聞こえた。この期に及んでも猿芝居をしてまで浮気相手を庇う気らしい。
「…ほんまや…こいつ…」
「な!! 思いっきり懲らしめたり。」
開き直った彼の身体はすぐまたジタバタと無駄な抵抗を始めたが、怒りを再燃させた千夏の足は再び勇介の股間に掛かる。いつもは曖昧だった二つの睾丸の位置も、この体勢でははっきりと捕捉できた。
「タマを逃がさんように…そう、土踏まずでしっかり押さえて…」
「う、ううう!!」
師匠である怜の指示通り、的確に睾丸を捕らえた千夏の足が、じりじりと二つの球体を加圧する。余計な振動は加えず、ただ静かに、しかし確実にじりじりと踏み込んでゆくべし…
「ぬぐふううううう!!」

41 :
くりくりした感触を足裏に感じながら、千夏は少しずつ足に力を込めてゆく。弟の足首を握りしめる怜の力漲る両腕が、勇介の凄まじい苦悶を告げていた。
「ぬふうう!! ぐ、ふう!!」
緩慢だが激痛を伴う玉責めと、顔面圧迫による呼吸困難。びくびくと悶絶する勇介の腕が床を激しく叩いた。

「ん!?」
怜が少し腰を浮かせ、息も絶え絶えの勇介を見下ろす。ついに完全屈服した彼は声の限りに自白を始めた。
「…に、二小のミキちゃんっていう五年生ですぅ!! ゲーセンで知り合って、何度か一緒に遊びましたぁ…もう逢いません!! 勘弁して下さいっ!!」
「…当たり前や、アホ!!」
ゲホゲホと咳き込みながら見苦しく身悶える勇介を睨みながら怜は、情けなさそうに千夏に手を合わせた。
「…千夏っちゃん、なんとか今回だけはこれくらいで勘弁したってくれへんか? 二小のハナタレ娘にはうちが責任持って刺客送っとくさかいに…」
つい先ほどまでは浮気相手の股を裂いてやろうとまで激昂していた千夏だったが、まだ涎を垂らしてぜえぜえと喘いでいる勇介を見ると、顔も知らぬ『二小のミキちゃん』が少し気の毒になった。
勇介の浮気癖がこれで治るかは判らない。しかしいずれにせよ、怜の真摯な謝罪は受け入れなくてはならないだろう。
「…そうや!! うち、明後日の区民文化祭の食券ようけ持ってんねん!! 焼きそばとかな。すぐ取ってくるさかい、二人で行って仲直りしたらええ!!」
…軽やかに自分の教室へ駆け出した怜を見送りながら、千夏は果たして明後日までに勇介がこの深刻なダメージから回復できるか、困った顔で考え続けていた。

おわり


42 :
投下終了です。
いつもご感想有難うございます!!

43 :
乙です
なぜか涙が出てきた
今度は文化祭で気持ちよくさせてやってくれ

44 :
俺としては恋人関係よりはまた新たな獲物が
でもGJ

45 :
よもや千夏の上を行く強烈なキャラが出てくるとは…w
番外編として、彼女の武勇伝なんかも読んでみたい
GJでした!!

46 :
GJ!・・・だけど、今回はアンマ成分少なめだったのが残念(´・ω・`)
新たなアンマキャラも出たし、次回に期待。

47 :
これ、漫画化されたら確実に買うなw

48 :
姉妹スレで外伝もお待ちしております

49 :
三連休、正座で待機してたが来なかったか…

50 :
投下開始。今回は前スレ『夏祭り』の続編風です。電気アンマシーンは4レス目より。

51 :

「…保健体育でも勉強したように、男の子のおちんちんはとても大事なところなんです。二人とも、よく判りましたね?」
「…はぁい。」
この春赴任してきたばかり五年五組担任、鶴見香織教諭の長い説教を神妙な顔で聴いていた千夏と早英はほっとしたように顔を上げた。
例によって男子児童に傍若無人な急所攻撃を加えていた二人は、運悪くこの新米教師に犯行現場を目撃され、必の抗弁も空しく昼休みの職員室に呼び出されたのだ。
「…でもね、先生の田舎にはね、ふふ…『牛落としの神事』っていう『電気アンマ』のお祀りがあったのよ…」
「え!?」
生真面目な担任の珍しく悪戯っぽい言葉に思わず顔を見合わせた千夏と早英は、すぐ興味溢れる視線を香織の顔に注ぐ。
「…あんまり、村以外で話しちゃいけないんだけどね…」
窓から遥かな秋の山々を眺めながら、この小柄で華奢な女性教諭は教え子に懐かしく、少し淫靡な祭礼の思い出を語り始めた。猛々しくぶつかり合う褌一丁の少年たち。そしてその夜、神事に勝利した村の少女たちによって、敗けた村の少年に加えられる神聖な『辱め』…
あの蒸し暑く心騒ぐ遠い夜に想いを馳せながら、久しく訪れていない故郷の風景、眩しい十二歳の夏に香織は帰っていた。そういえば、夢中で話に聴き入っている千夏の勝ち気そうな顔は懐かしい友人によく似ている。…ミユキにゴンドウ、そして…
「…今も続いてるのかは、ちょっと判らないけどね。」
照れたようにそう締めくくった若い鶴見教諭に、千夏が不思議そうに尋ねた。
「…でも何の為に、捕虜に電気アンマなんかするんやろ…」
香織もかつては抱いた疑問だ。今は様々な見地からの答えを彼女は持っていたが、最近の授業内容『農耕民族のくらし』に基づいた最も一般的な解答を香織は口にした。
「それはね…」


52 :

「…『五穀豊穣祈願』や!!」
周りに集まった五年五組女子児童を見回し、千夏は高らかに叫んだ。ざわめく彼女たちは他愛ないお喋りの為に廊下の一隅に集まっているのではない。
直面している深刻な問題、人間ではどうしようもない自然の猛威に立ち向かうべく、十数名のクラスの女子ほとんどが、千夏の召集に応じて集まっているのだ。
「…それって、ほんまに効果あるんかな?」
女子のひとりがもっともな疑問を発する。千夏は担任教師鶴見香織の言葉通り淀みなく堂々と答えを返した。
「…ある!!『負け綱持ち』にきっちり電気アンマした年は、不思議とその村の田んぼは害虫や病気も、台風も避けて通る、て香織先生は言うてはった!!」
…問題は初夏に遡る。毎年恒例の体験学習で、五年生は近隣の農家を訪れて田植えを手伝い、秋には自分たちが植えた稲を刈り入れることになっている。
しかし楽しみにしてきた収穫の日を目前にして害虫、台風と災厄が続き、あろうことか五組の田んぼが最も酷い被害を被っている、という知らせが昨日の朝礼でもたらされたのだ。
もはや神仏に縋るほかないこの事態に、折りよく千夏は珍妙な打開策を携え、颯爽と職員室から帰ってきたのだった。
「…でも、誰を電気アンマすんのん? クラスの男子はその…『同じ村』やろ?」
「…カツやん達は今日も田んぼの手伝いに行くらしいし、可哀想や。」
口々に女子たちが意見を述べ始めたとき、パソコン室に寄道していた早英が帰ってきた。何枚かA4サイズのプリントを手にしている。
「…『牛落としの神事』のこと、ネットで調べてきたで。ほれ。」
女子児童たちは早英の手渡した資料を回覧し、風変わりな祭祀の概要を苦心して読み取る。一連の行程はなんとか理解できたが、さすがに肝心の電気アンマについての記述はごく素っ気なかった。

53 :
「…そうや!!『牛落としの神事』に負けた奴を電気アンマするんやろ?…ほんなら、運動会の騎馬戦でうちらに負けた三組の男子でどうやろ!?」
「あ、咲ちゃんナイスアイデア!! …あいつらの田んぼ、被害ゼロっちゅうのも気に入らんしな!!」
『ちょっとエッチな秘密の儀式』の魅力には抗えない年頃だ。通りすがる児童たちが怪訝そうに眺めるなか、神事の放課後決行に向けて、計画は急ピッチで進行してゆく。
「…それから…この『辱めは御神木の前で…』ってとこは?」
「講堂裏の松の木でええんちゃう? あそこやったら滅多に人来へんやん?」
愉しげに密談を続けるクラスメイトを満足げに見渡した千夏と早英は、しなやかな四肢を伸ばし柔軟体操を始める。最優先事項である獲物の確保に備える為だ。
二人の標的はもう決まっていた。運動会で学年優勝した五組を最後まで苦しめた三組リーダー格の雁矢聡馬。小柄だが俊敏で人気者の彼こそ、名誉ある三組の『負け綱持ち』に相応しい…
「…うちと千夏で獲物は押さえる。みんなは場所と段取り頼むわ。それから…」
役割が分担され、それぞれが任務を胸に秘めて駆けだした。そして作戦参謀たる早英はひとり、強敵雁矢聡馬攻略の糸口を求めて、無責任な噂話の宝庫である高学年女子の溜まり場、西校舎三階踊り場へ足を向けた…


「…離せコラァ!! おまえら、なんのつもりやねん!!」
放課後の講堂裏に響き渡る怒声。もちろんその叫びは狂乱する三組の聡馬のものだ。悪戦苦闘しつつ彼をここまで引きずってきた千夏と早英の身体は彼の凄まじい抵抗にびっしょりと汗ばんでいる。
「…ごめん!! えらい手間取ってしもた…」


54 :
結局、力技に頼るしかなかった様子だが、講堂裏で待ち構えていた五組の女子児童たちは予想外の見事な獲物に興奮した歓声を上げ、千夏たちに加勢して聡馬の手足に群がった。
クールな二枚目でスポーツ万能の彼は、五組女子の間では抜群に気になる存在だった。普段は内気な幾人かの女子さえ、目の色を変えて大暴れする彼に飛びつく。
「…うちらの田んぼの為や。悪いけど大人しいして。」
「意味判らんわい!! 離せ!! 離せぇ!!」
悲しいかな多勢に負勢、組伏せられた彼の顔にバシリと竹箒が叩きつけられる。資料によると行事で女子が使用する武器は稲穂の束らしいのだが、そんなものを調達する時間は勿論なく、添えられていた画像を参考に竹箒で代用したのだ。
「…ええと、『悔しかったら婿に来ぉい!!』かな?」
「うん。『悔しかったら婿に来ぉい!!』」
これも資料に記載されたしきたり通りの囃し言葉だ。はしゃぐ女子に訳の判らぬまま押さえつけられ、バシバシと竹箒でめった打ちにされた聡馬はたまらずに吠えた。
「ぶふ!! お、お前らぁ、ええ加減にせえ!! 頭おかしいんとちゃうか!!」
もがきつつ上げると聡馬のすぐ頭上、記念植樹されたばかりの小さな松の木に、運動会の飾りつけに使われた金銀のモールが巻きつけられている。
いちおう御神木、という設定の装飾なのだが、数分前まで呑気に下校しようとしていた聡馬は突然襲った異常な状況に戦慄した。世の中、どこに妙な落とし穴が待っているかわからない。
「…さあ始めるで。まずはうちからや…」
身震いする聡馬の足元にすっくと長身の早英が佇む。悪名高い電気アンマコンビの片割れがバスケットシューズをするりと脱ぐと、振りかかる運命を悟った聡馬はたまらず声を振り絞った。
「お、俺が何したっちゅうねん!! 止め…」


55 :
すると意外にも早英の足はピタリと止まった。にたりと妖しい笑みを浮かべた早英はしゃがみこんで、九人掛かりでがっちり手足の自由を奪われた聡馬に小さな顔を近づける。
「…ふうん、電気アンマは嫌なん? ほんなら…」
早英は、きょとんと見つめる仲間たちを見回し、ロングヘアをかきあげる芝居じみた仕草と共に悪戯っぽく聡馬に告げた。
「…『ムケチンチェック』にしよか?」
ギクッ、と思わず聡馬が身を竦ませたとき、すでに早英の指は素早く彼のベルトに掛かっていた。
一瞬戸惑った視線を交わした五組の女子たちも、すぐ興味津々な視線を急所である一点に集中させる。
「や、止めてくれぇ!! そ、そんな…」
ごくり、と生唾を呑む五組女子たち。激しく動揺する聡馬を目を細めて愉快そうに見つめ、早英は意地悪くベルトを弄びながら言う。
「…五年生やったら大抵ムケてるんやろ? まさか…」
「か、関係ないやろ!! お前らには関係ないっ!!」
「…五組の男子は全員ムケてるもんなぁ。な、みんな?」
「…そ、そうや!! そらもう、ムケムケや!!」
早英の意図を察した千夏がやたらと頷いて答える。周囲の女子たちも、一様に顔を赤らめてうんうんと同意した。
「…さあ、どっちがええ? 電気アンマか、ムケチンチェック。早よ選ばな両方やで!?」
「う…」
絶句した聡馬に詰め寄る早英は内心ほくそ笑む。どうやら、彼女が五時間目直前に三階踊り場で仕入れた聡馬の陰茎に関する情報は真実だったようだ。しかし実際のところ何割くらいの男子が『ムケて』いるのだろう…

「…で、電気アンマ…」
長い沈黙のあと、蚊の鳴くような声で聡馬が苦渋の選択に応える。潔く目を瞑り、手足の力を抜いた聡馬を少し可哀想に思いながら、早英は厳かに出鱈目な祝詞を唱え始めた…


56 :

「…う…うう…」
歯を食いしばって早英の責めを耐え抜いた聡馬は、ようやく彼女が靴に足を戻すのを見ると、このひどい災厄は終わったものだと全身を弛緩させた。
しかし、憑かれたように行為を見つめていた女子たちに彼を解放する気配はなく、靴を履き終えた早英は聡馬の腕にしがみついている眼鏡の少女に声を掛ける。
「ふう…替わろ。次は裕香や。」
「お、おい…ちょっと待て!!」
早英は彼女に替わって聡馬の腕にがっちりと手を回し、立ち上がった裕香もごく当然のごとく、まだむずがゆい感覚の残る聡馬の股間に効き脚を降ろした。
「お、おい、まさかまだ…」
「うん。ええと、十三人かな…」
空恐ろしい裕香の答え。聡馬は知る由もないが彼を襲った恐慌は、この伝統ある祭祀で数え切れぬ少年が遭遇した恐怖だった。順番を待ちながら全身に縋りつく少女たちの表情からは、冗談めいた笑みは消え失せている。
古ぼけた講堂裏のにわか造りの聖域。だが豊穣の神は今、確かにこの場所に居た。
「うわああ…あ!!」
聡馬はこの裕香という五組の少女が、普段はにかみ屋で目立たない児童だと知っていた。しかし今、躊躇なく聡馬の股間にその足を伸ばす彼女の瞳はどこか神々しく、ぐいぐいと発育途上の陰茎を踏みしめる足は早英と同じくらい力強い。
「あう…うっ!!」
渇いた喉から堪えきれぬ呻きが洩れ、次第に理不尽な仕打ちへの怒りが、溢れるような昂ぶりに溶けてゆく。湧き上がる未知の感覚に聡馬がぐったりと身を任せ始めると、彼を辱める柔らかな足は、再び別の少女のものに替わっていた。
「…勃っ…てる…」
酔ったような、三つ編みの少女の低い呟き。聡馬もまた自分を押し包む少女たちの甘い香りに酔った。いつも癪に障る得体の知れない少女の匂いは意地悪で、気紛れで、そして…たまらなく魅惑的だった。
「う…」
「次…あたし…」


57 :
甘美な振動は間断なく股間を襲う。もはや聡馬には彼女たちの交代すらじれったかった。仇敵である五組女子のいかがわしい『儀式』は、さながら本物の呪術のごとく聡馬を虜にしてゆく。
「ねえ…交代…」
そして、消え失せた反抗心に替わって彼の心に湧き上がったのは男子としての自然な欲求だった。『女子うざってえ』
思春期の見え透いた嘘で自分にさえ隠してきた、燃えるような異性への興味。
その想いを絞り出すように暖かく弾力のある少女たちの身体は快く彼を包み込み、小刻みに蠢く爪先は脈打つ豊穣のシンボルを、いよいよ限界まで奮い立たせた。
「う、うあ…あ…」
「よぉし…だいぶ弱ってきたな…」
聡馬の明らかに苦痛とは異なる響きを帯び始めた溜め息に、その馬鹿力で彼を羽交い締めにしていたリーダー、鴇谷千夏がそっと立ち上がる。
ぐにゃりと脱力し、呻き続ける彼に抵抗の様子がないのを確認し、彼女は投げ出された聡馬の両脚を強く握った。
「…協力感謝や。うちで終わりやさかいな…」
しなやかに筋肉のついた千夏の足が繰り出す最強のヴァイブレーション。運動会のリレーで直線には絶対の自信をもっっていた聡馬に競り勝った健脚だ。朦朧と千夏を見上げた聡馬の心には、もう屈辱感も羞恥心も無かった。
「ふああああ、あ!!」
震える両脚の間が灼けるように痺れ、乱暴に上下する千夏の足が彼を瞬く間に絶頂へと導く。とめどなく噴き出したものが生暖かくトランクスに染みてゆく。
「うっ!!」
彼の長く激しい硬直と痙攣が終わり、千夏が静かに足を止めると、神事に参加した少女たちはまるで夢から醒めたように眼を見開いた。かすかな罪悪感に皆が沈黙するなか、クラスで最もあどけない一人の少女が素っ頓狂な声を上げた。
「え、終わり? なんで?」
「…あとで教えたるから…豊作祈願これにて無事終了や!!」


58 :
苦笑いしつつ答えた千夏が、くたりと横たわる聡馬に掛ける言葉も思いつかず、チラリと早英の顔に瞳を向けたとき、秋風に乗ってなにやら大勢の怒号が穏やかな秋晴れの講堂裏に響いてきた。ライバル三組の腕白小僧たちの声だった。
「…あっ!! あそこや!!」「聡馬が!! 聡馬が!!」
…どうやら千夏と早英による拉致現場を目撃していた児童がいたらしい。級友の仇とばかりに血相を変えて到する追っ手を千夏は不敵に睨み据えるが、すぐ圧倒的不利と判断した早英が鋭く指示を出した。
「…全員撤収!! ランドセル忘れんなぁ!!」
奇妙な急拵えの祭礼が終わったいま、この場所に長居は無用だった。並べてあった赤いランドセルを手に手に、五年五組女子たちは勝手知ったる植え込みの中に次々と飛び込むと、それぞれ校門を目指し一目散に駆け出していった。

…霊験あらたかな神事の効果があったのか、五組の稲穂は刈り入れ実習の日、見事に金色の頭を垂れていた。後日この顛末は担任鶴見香織教諭の知るところとなったが、なぜか千夏たちへの叱責はことのほか穏やかなものであった。
おわり


59 :
投下終了です

60 :
GJ!!
小学生時代、確かに男子VS女子だけでなく、こういったクラス間のライバル意識もあったなぁ。
懐かしい記憶が蘇る名作だ。
しかも、過去の名作がこんな形で関わってくるとは…w

61 :
Gj!
しかし…香織だと…

62 :
GJ!!
今後、三組女子による五組男子への逆襲なんかも期待

63 :
素晴らしい
結局ムケチンチェックをしなかったのは武士の情けですなw
まだまだこの作品の続きみたいぜ

64 :
6年女子が聡馬の被り具合を知ってた点も深読みさせますね。
かつて彼の身にどんな災難があったのか(w
GJ!

65 :
素晴らしい!
風景描写も雰囲気出ていて絶望を感じさせますね
欲を言わせていただくと、早英御自らの按摩シーンをもっと見たいなあ…

66 :
gj
言葉の端々にエロさがあって変に興奮した。それにしてもここまで一人で持たせてるスレは珍しいな。

67 :
sageり過ぎだが良スレ

68 :
            △ \ ▲
           △△ ▲▲
          ▽▽▽▼▼▼
          ¶       ¶
          (     )
          |   ¨  |       どすーん
         _(       )_
        / (   皿   ) \
   __ / / │     |\ \___
  /      \ \    / /  ___>   どすーん
  | ___ | /    \ |  |___
  ||    |||      ||   ___>
  ||    |||    | |  |__
   V      V <     > \___>
           <     >
            \   /
            /__\
           ┃┃  ┃┃
           ┃┃  ┃┃
           ┃┃  ┃┃
           ┃┃  ┃┃
        ====   ====
        ====   ====
中途半端ロボだよ適当な場所に現れるすごいロボットだよ

69 :
投下開始

70 :

澄み渡った秋空の下、遥かに小さく見える市街を見下ろして、神城純はまた満足げにため息をついた。すぐ眼下にうねうねと続く下山道にはリュックサックを背負った同級生たちの姿が見える。
(…急がなきゃ。)
おそらく自分が五年生全クラスの最後尾だろう、と純は思う。頂上の公園にある史跡資料館で、下山時間ぎりぎりまで珍しい展示品の数々に夢中で見入ってしまったのだ。
いささかレトロなロープウェイにアスレチック、そして悠久たる歴史の置き土産をこの秋の遠足で満喫した彼は、まもなく降りかかる災厄も知らず、もう一度名残惜しく山頂を見上げてから、早く友達に追いつこうと水筒を揺らし下り道を駆け出した…

麓で待つバスはまだまだ遠い。同じ時刻、水瀬早英は脂汗の滲むような激しい尿意と闘いつつ、目立たぬよう友達の列を離れた。そして慎重にあたりを窺い、下山道を逸れた灌木の茂みに飛び込んだ。
(…よし…ここなら…)
なんとか麓まで耐え抜けば確かにトイレはある。しかし、五年生屈指のクールビューティーを自負する早英が見苦しくトイレに疾走し、かつて彼女が『お漏らし早英ちゃん』であったことを周囲にふと思い出させる失策は、絶対に避けねばならなかった。
彼女の保育園での汚名を全く知らぬ同級生も多いのだ。迂闊な行動で帰りの車中、『そや、保育園の頃、早英がなあ…』などととんでもない昔話に花が咲く可能性を排除する為にも、はしたないが『外で済ませる』リスクに彼女は賭けたのだった。
薄暗い斜面の雑木林に、ようやく落ち着ける一角を見つけた彼女は、いそいそとお気に入りのジーンズを下ろしてしゃがみこむ。すぐに楽園のごとき安堵感に包まれた早英は野鳥のさえずりを聴きながら、ぼんやり穏やかな木漏れ日を見上げていた。
(ふぅ……)


71 :

「あ…」
佇んだ純の唇から漏れた声はそれだけだった。鬱蒼とした木々の間から聞こえたガサゴソという物音に、都会からの転校生である彼は『このあたりには野生のシカがいる』という担任教師の話を思い出し、胸を踊らせながら木立に潜り込んだのだ。
迫る集合時間を気にしながらも息を潜め、落ち葉を踏む音にも注意して、確かに感じる生き物の気配にそろそろと近づいた彼が目にしたものは…
(お、おしり!?)
まさしくそれは尻であった。下草に触れそうな位置にぷりんと陣取った純白の尻。秋の落ち着いた風景と見事なコントラストを描く、眩しく艶やかな少女の尻であった。
背を向けた彼女の顔は純には見えなかったが、背負っているリュックに見覚えがある。間違いなくキャラクタープリントを子どもっぽいと嫌う水瀬早英の、洒落たデザインに固執するあまりおやつが収納できないほど小さなものだ。
(…さ、早英ちゃん!?)
当然のことだが、純は小用を足す女子の姿など見た経験がない。ましてや五年生でも比較的幼く、男女の差などまだ陰茎の有無くらいにしか捉えていない純には、すらりと華奢に見える水瀬早英の意外に女らしく発育した下半身は、息が止まるほどの狂おしい衝撃を与えた。
(…お、おしっこだ…)
転校早々の純に手荒い歓迎を仕掛けた水瀬早英。早熟な彼女は意地悪く狡猾ではあったが、野性的で天真爛漫な相棒の鴇谷千夏とはまた異なる妖しい魅力の持ち主だ。そんな彼女の…人目を憚る恥ずかしい姿。
複雑な戦慄に金縛りのごとく動けなくなっていた純がようやく我に返り、少し後ろ髪を引かれながら後退るのと、早英が不便なリュックからティッシュペーパーを取り出す為に上半身を捻るのはまったく同時だった。
「わ!?」
「ひ!!」


72 :
二人の視線が重なり、そして驚愕の短い叫びも重なる。狼狽しきった純は絹を裂くような早英の悲鳴を予期しながら脱兎のごとく駆け出す。
しかし瞬時に大声の致命的な代償を弾き出した早英は叫びを押ししてジーンズを上げ、渾身の跳躍を見せて逃げる純の襟首をかろうじて掴んだ。
「ひいい!!」
「…見たなぁ!!」
「見てない!! 見てないよお!!」
そんな言い訳が通用する筈もなく、陽のあたる下山道を目前に純の身体は再び暗い藪の中に引きずり込まれてゆく。される…恐怖に震える純の襟首をむんずと掴み、早英は寡黙に林の中に分け入った。
「…出しなさい。」
人目につかぬ木陰まで純を連行した早英の短い命令。冷静さと悪知恵も彼女の特徴だが、さすがにこの言葉には純も状況を一瞬忘れ首を傾げた。
「…え!?」
「…見たやろ? あんたも見せるんや。」
純は早英の意図が判らず、きょとんと困惑した表情を続けた。おしりを見せろ、ということだろうか…
「…うちの…おしっこ見たやろ!?…平等にあんたも見せえ、言うてんねん!!」
苛立たしげな声と共に、早英は懐からこっそり持参していた携帯電話を取り出していた。口約束ほど当てにならないものはない。『絶対に秘密や』がいかに危険な言葉かは、女子児童の中では当たり前の常識だ。
互角以上の立場に立ってこそ安心。だからこそ純が混乱しているうちに彼の放尿シーンを携帯電話のカメラで動画に収め、口止めの強力な切り札を握っておかなくては…
「…い、嫌だよ!! 絶対に誰にも言わないから…」
「あかん。女の子にだけ恥かかして逃げる気ぃか!!」
滅茶苦茶な理屈だが、早英が枕を高くして眠る為だった。非道は承知だが身体で了承させるしかない、とは素早く決断した彼女は携帯電話を片手にじりじりと純に詰め寄る。

73 :
「…しゃあないな。うちが絞り出したる。」
「嫌だ!! 嫌だっ!!」
隙をついて駆け出す純と夜叉のごとき形相で彼を追う早英。野を越え、山を越え、のんびり下山する同級生たちを驚かせながら、名誉を賭けた決の鬼ごっこは麓のバス停留所まで延々と続いた。

「…さあ、飲むんや。」
なだらかな山道を走るバスの中で、純は五杯目の麦茶を涙目で流し込んだ。車が揺れるたび、膨らんだ腹がちゃぷちゃぷと鳴る。
「…はい、もう一杯。」
みんな遊び疲れたのだろう。カーテンを締めた薄暗く静かなバスのなか、目立たない後部の座席に純と二人で向かい合って腰掛けた早英は、六杯目の茶をまた純のために注ぐ。
結局、麓まで執念深く彼を追い詰めた早英は、停留所手前で純を捕らえ、有無を言わせずバスの一番奥へ連行したのだ。
早英は蛇のように邪悪な笑みを浮かべ、純にひたすら水分を摂らせ続ける。起回生の作戦は順調だった。もうすぐ純の膀胱は限界を迎える筈だ…
早英の計画は万全だった。こうして純の尿意を極限まで掻き立て、彼が屈服するのを見計らって運転手に声を掛ける。友達が車酔いしたので少しバスを停めて欲しい…と。
担任の鶴見教諭が珍しい早英の親切を無にする可能性は考えられず、運転手もバスを汚される前に急いで車を停める筈だ。
あとは同じ班で保健係、という立場を利用して目立たぬ物陰まで彼を引きずってゆき、ばっちりと立ち小便の一部始終をカメラに収めればよい。
その恥ずかしい動画が携帯電話のデータフォルダに存在するかぎり、早英の秘密は永遠に守られるのだ。『お漏らし早英ちゃん』改め『野ション早英ちゃん』などという汚名はまっぴら御免だった。
「…大丈夫?そろそろ辛いんと違う?」
「…う、うう…」


74 :
早英の猫なで声に応える余裕もなく、純は土気色の顔で苦しげに唸っている。勝利を確信した早英はちらりと通路の反対側に座っている二人のクラスメイトの様子を確認した。都合よくどちらも凭れ合ってぐっすりと眠っている。
「…ふふん、頑張るなあ。でも、これでどうや?」

早英は長い脚をすっと向かいの座席に伸ばし、苦悶に喘ぐ純の下腹部に爪先を運ぶ。彼の忍耐力が学校までもつとは思えないが、人気のない山道を走っているうちに仕事を片付けるのが得策だろう。
「う、ぐ…」
黒い靴下の爪先が、抉るように身動きもままならぬ純の膀胱をギュウギュウと押す。早英の足が意地悪くうねるたび、痺れるような尿意が純の股間から脳天までビリビリと駆け抜けた。
「く、うぅ…」
「ほれ、漏れるで…」
ここで漏らされては困るが、目を見開き、ぜえぜえと喘ぎながら悶えに悶える純の様子は明らかに失禁寸前だった。最後に、もう一押し。
爆発しそうな尿意が、人の正常な思考力すら奪うことを早英はよく知っていた。今回ばかりは楽しみでやっている訳ではないのだ。土壇場での反逆を防ぐ為にも、ぎりぎりまで彼を追い詰めねばならない。
「…ほぉら、ぐりぐりぐりっ…」
まさに『絞り出す』ような執拗な責めに、ついに純の心は折れようとしていた。
「…ふふ、ぼちぼち降りよか? もうギブアップやろ?」
悪魔のように囁く早英の踵が縮んだ睾丸にぐいぐいと食い込み、意識すら危ういほどの苦しみのなか、とうとう純は蒼白な表情でガクリと頷いた。
「う…ん…」
「すいませーん!! 友達が車酔いで…」
勝ち誇った早英が大声で叫び、目を細めてダメ押しの強烈な振動を純の股間に加えた瞬間、突如甲高いブレーキ音と急停車の衝撃が車内を襲った。
「わああっ!?」「きゃあ!?」
棚の軽い荷物が飛び、驚いて目を覚ました児童が悲鳴を上げる。そして…


75 :
まっすぐ進行方向を向いて純の股間に密着していた早英の足裏は、図らずも急制動による強烈な重力を伴って、限界をとっくに越えた彼の下腹を深々と圧迫していた。
「ああああ…あ…」
純の長く悲痛な忍耐は、報われることなく最悪のピリオドを迎えた。とめどなく迸る熱い飛沫が瞬く間に彼のズボンを濡らし、慌てて足を離した早英は、気まずく床に滴る生暖かい雫を見守る。
「シカや!!シカが飛び出したんや!! な、運転手さん!?」「え!? どこどこ!?」
純の嗚咽を掻き消すように、車内に興奮した叫びが湧き上がる。想定外の事態に茫然としていた早英はようやく我に帰り、その明晰な頭脳をフル回転させて最良の結論に辿り着いた。すなわち、「あたし知ーらない」という身勝手かつ薄情な結論だ。
「…ち、千夏、ほんまにシカ見えたん!?」
ぐっしょりと濡れた膝を握って泣き崩れる純を残し、早英は冷たく席を立って賑やかなクラスメイトの会話に飛び込んでいった。

…こうして純はしばらくの間、『急ブレーキに驚いて小便を漏らした奴』という悲惨な烙印を押されることになった。
しかしその後、いわれなき嘲笑のなかでも決して早英の秘密だけは漏らさなかった純の机に、時々プリンやミカンといった給食のデザートがこっそり入れられていたのは、早英なりの謝罪と感謝の無愛想な表現だったのかも知れない。
そして、この事件はやがて『はたして同級生お漏らしチャンピオンは誰か』という激しい議論に発展し、かつて早英の持っていた『お漏らし早英ちゃん』という不名誉な称号もまた、広くクラス全員の知るところとなったのだった。

おわり


76 :
投下終了

77 :
GJ!!
早英の奥底には普段のクールな要素以外もあるんですね

78 :
GJ!!
小学生の頃、執拗に電気按摩されて失禁した奴が居たの思い出したw

79 :
通路越しに届いてしまう電気あんまってすごいな……

80 :
 今、観光バスに乗ってるんだが対面シートにした向かい席なら可能
……ただし、向かいは父だw

81 :
あ、おれの読み違いだったかw
いずれにせよ早英を姪に欲しいぜ!

82 :
ショタ(;´Д`)ハァハァ

83 :
(´・ω・`)SSコナイカナ・・・

84 :
保管庫更新したでございますよ

85 :
乙です!

86 :
>>84
ご苦労様です!!

87 :
保守

88 :
みんな規制されてんのかな…

89 :
ttp://takoyakika.kitaguni.tv/e1318972.html
小説じゃないけど萌えた。

90 :
小説化希望

91 :
この三連休に期待

92 :
あげとく

93 :
>>84 乙です

94 :
規制解除

95 :
ヒント:『データ消失に気をつけろ』
今月中にはなんとか…

96 :
ご愁傷様です…
生存報告ありがとう御座います。

97 :
なら保守だっ!

98 :
無念…今日はもう寝るか…

99 :
保守

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