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2013年06月純情恋愛360: 死ぬ前に伝えておきたいことがある (163) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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死ぬ前に伝えておきたいことがある


1 :2011/02/07 〜 最終レス :2013/04/11
俺もうすぐ死ぬらしいの。
お医者が言うには胃ガンだと。しかもすでに末期。完璧に詰んでるじゃねーか。
というわけで、近々死ぬのが確定した俺だけど一つだけ心残りがありましてね。
それというのが、だいぶ昔に俺のことを大好きでいてくれた女の子がいるのよ。
もう相当お子様な時の思い出だから、その子の顔も名前も覚えちゃいないんだけど。
死ぬ前にその子のことをちょこっとだけ、カキコしておきたいのよ。
でもって、できればそれがその子に届けばいいな、と。
そんなわけで、ここは完全に自己マンスレだ。不快に思った人がいたらスマヌ

2 :
すでに不幸な話を聞かされてめちゃくちゃ不快なんだが…

3 :
俺は今年で20丁度になるんだが、あれは遡ること15,6年前の話。
だからたぶん幼稚園ぐらいの時の話になるのかな?
俺って変なガキでさ、笑うのが馬鹿みたいに下手くそだったのよ。
おかげで他の子供や先生とかにやたら心配されてさ、
「大丈夫?何かあったの?」
みたいな感じのリアクションされまくってたわけよ。

4 :
ところが一人だけ、素知らぬ顔して話しかけてくる女の子がいてさ、
「この子へんだなー」
とか思いながらも、気を遣わなくていいから一緒にいつもいたのよ。

5 :
なにこのおっちゃん臭
(´・ω・`)

6 :
「お本読んでー」
っていつも俺の方に本ひっ掴んで走ってきてさ、俺も別に嫌じゃなかったから
その子の隣で絵本読んであげたりしてたのよ。
まあでも、よくよく考えればその子もなかなか変な子だったんだわな。
外に出て遊ばないし、先生じゃなくて俺の方に本もってくるし。

7 :
でさ、ある日聞いてみたのよ。
「なんでお外行かないの?」ってさ。
そしたらさ、
「知らないー」
ってニコニコ笑いながら俺の肩に腕巻きつけて遊び始めたのよ。
…階段登ってる途中で。

8 :
で、そのままぶらぶらと上下左右に女の子が揺れだして。
なんか危ないなあ、とか思いつつも上手くバランスをとりつつ
階段登ってたらさ、ふと女の子が手を放したんだ。

9 :
女の子の体重移動を考慮しつつ、若干右斜め前に体重を傾けていた俺は思いっきりバランス崩して転倒。
眉間に階段の角がヒットして、痛みとかなんやらでそのまま気絶しちゃった。
で、目が覚めたら幼稚園のベッドに寝かされてて、先生があたふたしてて。
あれ?ここどこよ?とか思ってのそのそと上半身起こしたら、あの女の子が心配そうにじーっと見てたのよ。

10 :
で、一言いったのよ。
「階段でお昼寝しちゃだめなんだよ?」
…俺は子供ながらにずっこける人の気持ちってのがわかった気がした。

11 :
それから先生が俺の意識が戻ったことに安心しつつ、親に迎えに来てもらうからおとなしく寝てなさい、
みたいなことを言って俺が寝かされてる保健室みたいな所から出てって、俺と女の子が二人だけで残されたんだ。
そしたら急に女の子がしゅんとして、俺にこう言った。
「ごめんなさい。いたかったよね?」
そう言われて俺はちょっとびっくりした。そうやって謝るのは先生の前だけでいいって思ってたから。
だってそうすれば怒られずに済むし。

12 :
だから言ったのよ。
「どうしてぼくに先生の前で謝らなかったの?」
って。そしたらさ、その女の子
「だってそうしたら○○くん(←俺の名前)が怒ったりできないじゃない」
って言って泣き出しちゃって。
正直俺、困ったよ。別にその子のことを怒ってたわけじゃなかったし、腹も立ってなかったから。
(階段にぶつけたとこは痛かったけど)

13 :
それになにより、言ってる意味が分からなかった。どうして俺に怒られようとするのよ。
先生の前で謝っとけば先生が仲裁に入って済むからそれでいいじゃん、って俺は思ってたから。
で、そのまま伝えたらその子がもっと泣き出しちゃって、しかも、
「ばかばか!」
つって俺の頭をぽかぽか叩いてきて。痛くはないけどなんかこう、罪悪感みたいなのが募ってきちゃって。
結局俺がゴメンって謝ってしまった。
そしたらその子、泣きながら飛び出して行っちゃった。俺、茫然。

14 :
それからお子様なりにしばらく考えて、だいぶ考えて気づいた。
あの子がホントに悪いことしたって思ってたとに。
その日はあの子に対するすまない気持ちで一杯だったわ。
先生の前で謝ったほうがいいだなんて、どれだけふざけたこと抜かしたんだろう、って。
おれ最悪じゃん。

15 :
次の日、俺はその子と会ったらどうしていいかマジで迷った。
もしまた謝ったら昨日みたいに怒られるだろうしなぁ…。
とかいろいろ考えつつも幼稚園に到着。いつものように先生に挨拶して、教室に入る。
俺はすぐに女の子を探した。そしたらすぐに見つかった。
女の子は一人で椅子に座って、うつむいてた。
俺は彼女が心配になり、近づいて声をかけた。
「おはよう」

16 :
>>1
本当に死ぬのか?嵒?俺の兄貴と同じだ…たくさん泣いたな…悲しい事ですよ…

17 :
女の子が顔を上げた。
そして、俺の顔を見るなり満面の笑みを浮かべた。
「あ、○○くん、おはよー!」
いつもと変わらないあの笑顔だった。
俺はそれをみて、心からホッとした。
怒ってなくてホントによかった、そう思ったら自然と顔の筋肉がゆるんだ。
「えへへ、やっと笑ったね」
彼女が笑いながら言った。俺も笑いながら頷いた。
そのときから、俺は笑い方を覚えた。

18 :
>>16
残念ながらマジみたいだわ。
それを聞いたとき親がすごい泣いちゃって、それ見てたら友達にも言えなくなっちまった…。
だから誰にも言わずに黙って大学やめて帰ってきたよ。

19 :
その子のおかげで笑えるようになった俺は、他の子供や先生とも普通にコミュニケーションが取れるようになった。
でもやっぱり、その子といる時間の方が圧倒的に多かったと思う。顔や名前が思い出せなくなっても、彼女を覚えているのはきっとそのせい。
「お本よんでー」って言っていつでも俺のそばにいた彼女。
「いいよ」って笑いながら本を受け取って読んでいた俺。
ホントに、毎日が楽しくて、幸せだった。

20 :
こういうときどんなコメントすればいいか分からないの

21 :
>>1
なんでお前がなってしまったんだろうな。
お前みたいに、大好きな人にあえなくて苦しんでる奴がいるのに。
俺は会えるのに勇気がなくて話せない。何ヶ月も何年も…。代わりになることはできないか、。

22 :
でも、永遠に続くと思われたその日々はある日、急に終わりを迎えた。
彼女の父親の転勤。
それを告げられた時、俺は目の前が真っ暗になった。
毎日本を読んであげたあの子が、俺に笑顔をくれたあの子が、いなくなる。
それは俺にとって本当に、本当につらい、出来事だった。

23 :
>>21
ありがとう。でもそれはやっぱりいやだな。
死ぬのも嫌だけど、俺のために誰かが死ぬのはもっと嫌だから。

24 :
それから彼女がいなくなる日まで、俺たちはずっと一緒にすごした。
遊ぶとき、ごはん食べるとき、それ以外の時も、ずっとずっと。
そして、俺はずっと笑っていた。君がくれたものを絶対に手放さないよ、という意思表示のために。
彼女にそれが伝わってくれるように。
そうすればもしかしたら、ずっと彼女と一緒にいられるんじゃないかって、思ってたんだ。

25 :
でも、結局俺たちの別れの日は来てしまった。
俺は彼女の両親に頼んで、最後のお別れをさせてもらった。
彼女はずっと泣いていた。俺はそんな彼女に笑いかけた。
彼女の悲しみが和らぐように。彼女がまた笑ってくれるように。彼女が俺を覚えていてくれるように。
だがそれがまた裏目に出た。俺はまた、彼女に怒られてしまった。

26 :
「ばか!うそつき!」
そういってまた、彼女は俺の頭をぽかぽかと叩いた。
「さみしいくせに!なきたいくせに!あのときだっていたかったくせに!
うそつき!うそつき!うそつき!」
涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして、そう叫びながら彼女は俺の頭を叩き続けた。
そしたら俺も、少しずつ顔が歪んできてしまった。
痛くなんかないのに、彼女に笑ってほしいのはうそじゃないのに。
気が付いたら俺は、彼女を抱きしめて大声で泣いていた。
「嫌だよ!離れたくないよ!またお本読んであげたいよ!」
そう言って俺は泣いた。彼女は俺以上の大声で泣いた。
抱き合いながら、俺たちはずっと泣いていた。

27 :
どれぐらい泣いただろうか。気が付くと彼女は泣き疲れて眠ってしまっていた。
俺は彼女をもう一度強く抱きしめてから、彼女の親父さんに彼女を引き渡した。
「ごめんね」
彼女を抱き上げた親父さんは俺にそう言った。
俺は半分泣き顔のまま、首を横に振った。
『ありがとうございました』
ほんとはそう言いたかったけど、言えなかった。涙で喉の奥にフタがされてしまったみたいだった。

28 :
そして彼女は行ってしまった。
俺にたくさんの思い出と、笑顔と、喪失感を残して。
それから時間が経ち、俺は少しずつ彼女のことが思い出せなくなっていった。
初めは全体的な姿、次に声、その次に顔。少しずつ、記憶は色あせ、俺が彼女のことを思い出すことも無くなった。
でもほんの2週間前、俺のガン宣告に泣いてる親に心配かけたくなくて笑いかけたとき、
ふと思い出したのよ。
俺をうそつきって言った大好きな女の子のことを。俺を大好きでいてくれた女の子のことを。
俺に笑顔を教えてくれたあの女の子のことを。それをこれまでずっと忘れていたことを。
俺は、心から後悔したんだわ。

29 :
だから俺はこのスレを立てた。完璧な自己満足で、ホントにゴメン。
レスくれた何人かの人、本当にありがとう。
俺は自己満足でもいいから、誰かに伝えたかったんだ。そしてもしも叶うのならば、彼女に伝えたかったんだ。
うそつきな俺を怒ってくれたこと。
死ぬ前に思い出してよかったと思える楽しい思い出をたくさんくれたこと。
笑い方すら知らないバカな俺に、ちゃんとした笑顔をくれたこと。
君よりもずっとずっと弱い俺のために泣いてくれたこと。
その一つ一つにお礼が言いたかった。
それを直接言うことは叶わないけど、何かの奇跡が起きて君にこの思いが届いてくれたらと思う。

最後に
ぼくの大好きだったきみを思い出せて、本当に良かった。

30 :
今現在
大切な人はいないのかな?
誤診である事を祈りたいけど…
逢いたい人に逢い
伝えたい言葉を伝えてください

31 :
目汁が止まんねーんだけど
奇跡起きろよマジで
てか治れよお前

32 :
未練タラタラの癖に死ぬとかいうな
やり残したことあるだろ。それにけじめつけろ

33 :
余命は?

34 :
>>32
ごめん、俺甘えてた
もしかしたらダメかもしれないけど、残された時間の中で彼女を探し出すよ
それでちゃんと『ありがとう』って言うんだ
抗がん剤の副作用がかなりきついけど、頑張ってみる
もしも見つけられたら、絶対お礼を言いに来るから

35 :
>>33
薬で最大3週間延ばせるって
でも最後の方はモルヒネとか打つみたい
もうあまり時間がない

36 :
そう…
何か自覚症状が出て病院行ったの?

37 :
>>36
ある日突然吐血して、病院行ってみたら末期の胃ガン
スキルスとかいうやつらしく、初期症状とかはほとんどなかった

38 :
若くして亡くなった弟のことを思い出しました。
抗がん剤の副作用きついだろうけど頑張って生きてください。
後悔はして欲しくないです。
病気が治って、彼女が見つかるよう祈ってます。

39 :
うざー。
ブログかツイッターかチラシの裏に書けば?

40 :
ごめん、そろそろ疲れたから寝るよ
彼女の行方は明日いろんな人に聞いてみる
もし彼女に逢えたら報告しに来るから
ホントに今日はありがとう

41 :
>>39
それこそ自分の中だけで思ってればいい。
性格悪すぎ。

42 :
「残された時間の中で彼女を探し出すよ」
「彼女の行方は明日いろんな人に聞いてみる」ということですが
ねらーに呼び掛けて当人を探すということは
>>1さんは望まれませんか?
無論そんなことをしたところで
本人を探し当てられるという保証も何もない訳ですが
ただ(変な話をしてしまい申し訳ありません)
あなたが生きておられるうちに
直接会ってあなたの言葉を伝えることが間に合わなかったとしても
そうして手掛かりを残しておいていただければ
万が一間に合わなかった時にも
「ここに彼が遺したあなたへのメッセージがあるよ」と
伝えることができるかもしれないとも思ったのですが・・・

43 :
イキロ、女で後悔すんな
商売女でも何でもいいからせめて女にハグでもしてもらえ
でも思い出の中の女が見つかるといいな

44 :
またあなたは彼女に伝えたいことがあると
このスレッドを立てられた訳ですが
それを目にした私には
どうしてもあなたに聞きたいことが出てきてしまいました
恋愛に関する話ではないので
スルーしていただいても結構なのですが
どうして今あなたがそのように
澄んだ心持ちでいらっしゃることができるのか
不思議で仕方がないのです
ご自分の症状が発覚して
余命が幾許も無いということを知らされた時には
それこそ筆舌に尽くしがたいつらさと絶望とで
光をなくされてしまったのではないかと思うのですが
そこからどのようにして今
そのように人のことを思いやれるような心境に至ったのか
物凄く興味があり知りたいと思っています
差し支えなければ簡単でも結構ですから
そのあたりのお話をしていただければ嬉しく思います

45 :
彼女と会えたとしても、その後>>1が死んだら彼女に悲しみを与えるだけじゃないか?

46 :
初恋の人なんだから何より心に残るよな。
逢えるように願ってる。
不謹慎だが、釣り宣言を待ってるオレがいる・・・。

47 :
>>35
3週間延命なんてあるのか?

48 :
飽きたの?

49 :
私はあなたに数えきれない程の嘘をついた…
そしてこれからも本音で向き合う事はない…一生

50 :
みんな、たくさんのレスありがとう。
これから彼女に会いに行ってくる

51 :
>>44
幸せしかない20年だったからな。
俺は死ぬのがものすごく怖いけど、それでも俺が好きな人たちがまだ
生きていてくれてるし。俺の生きた証はきっとのこるはずだから。
だからきっと、大丈夫。
>>45
それも考えて彼女の両親に病気のこととか全部話して相談したんだけど、
ぜひ会ってほしいって言われた。なんか彼女も今いろいろと大変らしいのよ。
だからせめて死ぬ前に彼女の力になれたら、と
>>47
延命と言っても、薬のせいでほとんど意識は無いんだと。
それにいつ何が起きてもおかしくないから、実際のところは
最高にうまくいって3週間、っとことらしい

52 :
生きてる以上は可能性というものが残るもしかしたら三ヶ月の間に根本的治療が
確立される可能性だってある
それにその三ヶ月というのはあくまで、統計に基づいてるから
みんながみんな三ヶ月で氏ぬわけではない
とにかく1日でも生きろよ、諦めるなよ

53 :
そこまで他人を思いやれるなんて本当にすごい
ありがとう、あんたの強さは全く関係ない俺にまで力をくれました。
言葉が変かもしれないけど、頑張らなくていいから頑張れ
あんたが彼女さんと逢える事、願っています

54 :
1、会えたんかな・・・。

55 :
>>50
今頃は会えたんかな?

56 :
ちょっと昔、東野圭吾の『時生』って小説読んだんだけど、そこで『明日だけが未来じゃない。どんなに短い人生であっても好きな人が生きていると思うだけで未来を感じることができるんだ。』
みたいなこといってた。
まさに>>1のことだなぁ〜って思った。
出会えてるといいなぁ

57 :
ただいま。遅くなってゴメン
彼女に会えたから約束通りお礼言いに来たよ

58 :
詳しい報告もしたいけど、体力がもう限界なんだ。
だから伝えたい事だけ書き込ませてもらうよ。

59 :
いろいろ大変だったけどちゃんと彼女に全てを伝えることが出来ました。もう心残りはありません。
励ましてくれたみんな、本当にありがとう。
俺自身の最後のレスがこんな適当なもので本当にごめん。
詳しいことは全部、俺の一番の友達に託しました。
彼にはみんなに、俺と彼女の間に何があったのかを
説明して貰うよう頼んであります。
だから話は彼から聞いて下さい。近々書きこんでくれるだろうから。

60 :
みんな、本当にありがとう。
これでもう思い残す事はないから、安心して俺は行くことができます。
それじゃあ、さようなら
おやすみなさい。

61 :
会えたなら良かった。
今日はゆっくり休んで。
またここ来るよね?

62 :
ごめんなさい
生まれてきてごめんなさい

63 :
ゆっくり休んでね
また気分が良いとき顔出してね

64 :
>>1、お疲れ様。
伝えられて良かったな。会えて良かったじゃん。
オレも頑張れそうだよ。立ち向かうよ。
ありがとう。

65 :
>>1
死ぬなよKマジで
お前のこと知らないけど泣いてるわ
ヒーラーのタカツカヒカルとかにガン消して貰えないかな?

66 :
昨日の夜、>>1の意識が無くなりました。
ご家族の方が言うには、もう時間の問題らしいです。
だからあいつが逝ってしまう前に、あいつが最期に僕にのこした仕事をさせてもらおうと思います。

67 :
今から書くことは、>>1が体調の良かった時に書き残していたことそのままです。
だから、何か質問があっても僕では答えられません。

68 :
では、>>1に代わって書かせていただきます。

こんにちは、みんな。
まずはお礼を言わせて欲しい。
みんなが背中を押してくれたから俺は最後の願いを叶えることができた。
その模様を今から、つらつらと書きつづらせてもらおうと思う。

69 :
昔の友達や幼稚園の園長先生の協力もあって、俺は何とか彼女の行方を知ることが出来た。
俺はすぐに彼女の両親と連絡をとってみた。
前に誰かが言ったように俺も、俺が死ぬのを彼女は知らないままの方がいいんじゃないかと思ってたから。

70 :
だからもし断られたら、俺は彼女に会うのをやめようと思っていたんだ。
俺はドキドキしながら電話をかけてみた。出たのは彼女の親父さん。
親父さんは俺の事を覚えていてくれたらしく、俺が名前を言ったらすぐに気付いてくれた。
懐かしい感傷に浸りつつも、俺は用件を伝えた。
近々死ぬことと、死ぬ前に彼女に会いたいこと、そして、もしも断られたら俺はおとなしくそれを諦めるということ。

71 :
俺がしゃべってる間、親父さんは黙って聞いてくれていた。
そして俺がしゃべり終わると、こう言ったんだ。
「ぜひ娘に会ってやってくれ」って。

72 :
俺は親に彼女に会いに行きたい旨を伝えたけど、当然ながら親は猛反対した。
死にかけの病人に旅をさせること。
もし何かあれば彼女や向こうの親にも迷惑がかかること。
それに何より、自分達の子供の最期を看とることが出来ないかもしれないのは我慢できないこと
(彼女に会いに行くのにあたって、俺は親に付いてきて欲しくないと言った)。
それをこんこんと説いて反対した。
でも俺も折れなかった。
後悔しながら死ぬのだけは絶対に嫌だったから。

73 :
結局、俺の信頼する友達二人に付いてきてもらうことを条件に、親が折れた。
正直すまない気持ちで一杯だったけど、これだけはどうしても譲れなかったんだわ。
父さん母さん、本当にごめん。
そして俺は、高校の時の親友二人を連れて彼女に会いに行くことになった
(ちなみにその二人は即OKしてくれた。ありがたや)。

74 :
彼女の家までは車で半日かかった。朝早くに出てついたのは夜。
途中で俺と親友Aが車酔いして大変だったけど、他には特に問題も無く、順調な旅だったと思う。
(原因は親友Bが車内で食べてたケ○タッキーの匂い。お前マジ自重しろ)

75 :
俺は車イスに乗っけられて彼女の家を訪れた。
緊張しながらインターホンを押すと、彼女の両親が出てきた。
記憶の中の顔はだいぶ薄れていたからあんまり歳をとった実感が沸かなかったせいもあるけど、
それでも二人とも歳のわりにはかなり若く見えた。

76 :
いいからはやくRよ

77 :
彼女の両親に俺を引き渡して、親友ABはホテルに向かった。
「何かあったらいつでも駆けつけるよ」
そう言って俺の肩を叩き、二人は去っていった。
そのあと俺は居間に通されて彼女の親と話をした。そこに彼女の姿は無かったけど、俺にはその方が都合が良かった。
もしも俺の姿を見て、彼女に会わせない方がいいと判断したなら俺は大人しく帰ります。
俺はそう言った。
だがしかし、彼女の両親はそんな俺にこう返したんだ。
「会わない方が幸せなのは君の方かもしれない」

78 :
>>77
お前マジ自重しろ

79 :
「あの子は望まない妊娠をしてしまったんだ。そのせいでかなり荒んでしまっていて…
だからもしかしたら、君の知っているあの子には今は会えないかもしれない。
それでもいいかい?」

80 :
>>79
「これ以上書かない方がみんな幸せかもしれない」

81 :
俺は正直言ってかなり迷った。今本当に彼女に会うべきなのか、会ってよいものか。
で、散々迷って決めたんだ。
「それでも会いたいです」

82 :
俺は彼女の部屋に通された。彼女のお袋さんが部屋のドアをノックしようとしたが、俺はそれを止めて、
「ここでいいです」
と言って、部屋の前に座り込んだ。
そしてそのまま話しかけた。
「やあ、久しぶりだね」

83 :
すがわら
ふじわら
みたいな名前

84 :
返事はなかった。でも部屋からは人の気配がした。だからそのまましゃべり続けた。
「幼稚園以来だね」とか、
「元気だった?」とか、まあとにかく、返事が来るまで話続けたんだ。

85 :
でもどれだけ話しても返事がないから、俺しばらくして疲れて寝ちゃったんだ。
で、ふと目を開けたらこっそりと部屋から出てきて俺に毛布をかけようとしてる彼女と目があって。
一瞬固まったあと、俺は彼女に笑いかけて言った。
「やっと会えたね」って。
そしたら彼女は泣きそうな顔になって、また部屋に引っ込んでしまった。

86 :
あとは部屋から時折、すすり泣きが聞こえてくるだけだった。
俺は、彼女が話しかけてくるのをただただ待っていた。
だいぶ経ってから、部屋の中から彼女の声が聞こえた。

87 :
「死ぬって本当?」
かすれた涙声でそう言った。俺はそれにただ、うん、とだけ答えた。そしたら彼女は、
「あたしも死にたいなあ」
って言った。俺はものすごく悲しかった。それは俺の生きていて欲しい人たちに、絶対に言って欲しくない一言だったから。
だから俺はかろうじて、
「そのうちね」
とだけ返した。出来るだけ気楽そうな声を出して。

88 :
それに彼女は小さく笑って、
「相変わらず嘘つきだね」って言った。
俺も笑って、そうだねって返した。
どこか懐かしいやりとり。確かにあの頃とは少し違うかもしれないけど、きっとその中の大事な部分は変わっていない。
俺はそう思った。

89 :
俺たちはいろいろな話をした。
彼女に貰ったたくさんの思い出のことを。
引っ越した先で出来た友達のことを。
ずっと俺のことを覚えていてくれたことを。
ずっと彼女のことを忘れていたことを。
ずっとずっと、俺たちは話していて、
そしてそのうち、彼女の彼氏の話になった。
「この子の父親なの」
「今は?」
「逃げられちゃった」
そう言って彼女は乾いた声で笑った。

90 :
「だからね、もう、どうでもいいの」
「でもその子はどうなる?」
「さあ。でも父親がいないよりは死んだ方がマシじゃないかしら」
死んだ方がマシ。彼女の口からそんな言葉が出たことが寂しくて、俺は黙ってしまった。
「ごめんね、こんな話して。あたしのこと嫌いになったでしょ?」
「だからもう帰って」
「今聞いた事は忘れて、残された時間を頑張って生きて」
俺はもう、限界だった。
これ以上彼女の口からこんな悲しい言葉を聞きたく無かった。
だから俺は、最後のとんでもない嘘を吐くことに決めた。

91 :
「父親だったら、ここにいるよ」
俺は言った。
「俺がその子の父親になる」
「だからそんな悲しいこと言わないでくれ」
そう言って俺は彼女の部屋を離れた。
彼女が何か言ってたけど、俺は無視した。
もうやることは決まっていたから。

92 :
俺はホテルにいる親友AB に電話をかけた。
時刻は夜の3時を回っていたけど、二回コール音が鳴る前に電話に出てくれた。
心配そうな声を寄越してくる二人。そんな彼らに俺は、あるものを持ってきてくれるように頼んだ。

93 :
親友たちはすぐに来てくれた。
「ビデオカメラなんか何に使うんだ?」
怪訝な顔をする二人をよそに、俺は一人、しゃべり始めた。
「初めまして、俺が君のお父さんです…」
俺は生まれて、決して許されないであろう最低の嘘をついた。

94 :
>>93
生まれて×
生まれて初めて○

95 :
俺はまた彼女の部屋に戻って、
「見て欲しいものがあるんだ」
そう言ってドアを少し開けてビデオカメラを差し入れた。
しばらくして、ビデオカメラが再生される音が聞こえてきた。きっとドアの向こうでは、俺が笑顔で彼女との思い出をいろいろとしゃべってるはずだった。
俺はそれが終わるのを、ただただ待っていた。
しばらくして、再生が止まった。
「確かに俺と血は繋がってないけど」
「誰がなんと言おうがその子は俺と君の子供だ」
「君がたとえ俺を嫌いになっても憎んでもいい」
「それでも俺にはこうすることしか出来ないから」

96 :
そして俺はそのまま立ち去ろうとして、
「待って!」
部屋から飛び出してきた彼女に車いすのグリップを捕まれた。でもって、泣きながら怒られた。
「バカじゃないの?どれだけ人がいいのよ!どうせもうあたしの事なんか関係ないんだから、余計なことしないでとっとと忘れなさいよ!!」
それはものすごい剣幕だったけど、俺も負けずに怒鳴り返した。
「関係ないわけないだろうが!!」
彼女が怯んだ。その隙にさらに畳み掛けた。
「お人好し?ふざけるなよ!お前以外にこんなことするわけねえだろうが!!どれだけ俺がお前に惚れてると思ってんだ!!」

97 :
言いながら俺も泣いてた。
自分が好きな女の子にこれ以上悲しいことを言わせたくなくて必死だった。
彼女が抱きついてきた。
俺も精一杯抱き返した。
あの日のように、俺たちは声をあげて泣いた。
彼女の両親が驚いて飛んできたけど、空気を読んだのかすぐに部屋に下がってくれた。
夜中に怒鳴ってすいません。本当にありがとうございました(汗)

98 :
それで、俺たちは二人とも、互いが泣き止むまで抱き合っていた。
そして俺は、彼女が泣き止んだのを見計らって口を開いた。
「ずっと伝えたかったことがあるんだ」
俺は彼女に抱きしめられながら、そう言った。
「覚えてるかな、俺って昔は笑うのがすごく下手くそでさ、誰ともろくにコミュニケーションもとれなかったんだ」
「でも、君はそんな俺といつも一緒にいてくれたんだ。絵本読んでくれって言ってさ」
「それで、笑い方を知らない俺に笑い方を教えてくれて」
「君よりもずっと弱かった俺のために泣いてくれて」
「楽しい思い出をたくさんくれた」
「だから、本当にありがとう。俺は君に会えてよかった」

99 :
3年前から知ってたけどね

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