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2013年06月創作発表86: ロボット物SS総合スレ 72号機 (183)
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ロボット物SS総合スレ 72号機
- 1 :2013/01/29 〜 最終レス :2013/06/03
- ロボット物のアニメ・漫画・小説・ゲームの二次創作から、
オリジナルのロボット物一次創作まで 何 で も どうぞ。
・当機はSSに限らず、イラストや立体物も受け付けています。
・投下の後、しばらく雑談は控えてください。
・ガンダムやマクロス等の有名作は、該当する専用SSスレが立った場合はそちらへ。もしなければ全部ここでやればいいんじゃあないでしょうか。
・支援のご利用は計画的に。詳しくは投下の際の豆知識を参照してください。 →http://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/884.html
・次スレは>>950が立てて下さい。次スレが立つまでは減速を。
・また、容量が470KBを超えた場合は要相談。
・立てられない場合は報告及び相談を。スレ立ての際は必ず宣言を行ってください。でないと、黒歴史が来るぞぉぉぉぉ!!
・とある方が言っておられました。「話題が気に入らないなら、四の五の言わずネタを振れ」雑談のネタが気に入らない時は、新しくネタを振りましょう。
・スルー検定10級実施中です。荒らしは華麗スルーしてください。それが紳士の条件です。
・着実に、一歩ずつ
まとめwiki
http://www13.atwiki.jp/sousakurobo/
ロボット作品投下用アップローダー
http://ux.getuploader.com/sousakurobo/
ロボット作品投下用アップローダー2番艦
http://ux.getuploader.com/sousakurobo2nd/
お絵かき掲示板
http://www2.atpaint.jp/sousakurobo/
ロボット物SS総合スレin避難所29号機
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1354969085/
前スレ
ロボット物SS総合スレ 71号機
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1346767371/l50
関連スレ
だから俺達に新作ガンダムを作らせろよ7(ガンダムSS総合スレ)
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1322491231/
勇者シリーズSS総合スレ Part4
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1282636520/
- 2 :
- スレ発祥連載作品紹介!(※紹介文には多少の誇張表現も含まれています)
【荒野に生きる(仮) ◆8XPVCvJbvQ】
再生暦164年、コンクリートの荒野が広がる未来――。
獣の耳と尻尾を持つ「ヒューマニマル」の少女達はひたすらに戦う。対鋼獣用人型兵器・ヴァドルを駆って――!!
怪獣VS獣耳っ娘!? 話題騒然のデスマッチ!!
【CR ―Code Revegeon― 古時計屋 ◆klsLRI0upQ】
これは、悪夢に立ち向かうちっぽけなひとりの人間と、「怨嗟の魔王」と呼ばれた機神の物語。
アンノウンの襲撃で家族を失った潤也は、漆黒の鋼機・リベジオンの玉座に身を沈める。反逆と復讐を遂げるために……!
人類震撼! 暗黒のレコードオブウォー!
【瞬転のスプリガン ◆46YdzwwxxU】
スーパーカーから伸びる鋼の腕――神速の挙動と極微の制動を可能とする、エーテル圧式打撃マニピュレータがその正体!
異世界の侵略者・魔族により廃墟と化した街角で、幼いことねは機械仕掛けの拳法家を目撃した。
変形ロボットならではの技が炸裂する、極超音速機動武闘伝!
【パラベラム! ◆1m8GVnU0JM】
Si Vis Pacem, Para Bellum――汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ。
遥か昔に文明がリセットされた世界。黒い機械人形(オートマタ)・リヒターと、彼のマスターとなった少女・遥(19)の神子としての生活が始まった!
軽妙な会話と、動きを魅せるアクションに定評あり? なんだかおかしなキャラ達が紡ぐ、ドタバタ日常コメディ!
「……ねぇリヒター、こんな感じでいいかな?」
<イエス・マイマスター>
【最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ ◆46YdzwwxxU】
ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビドゥビドゥビッドゥドゥビドゥビ!
今日も今日とてロボヶ丘市で激突するのは、変な正義と変な悪!
ハイテンション! 歌うスーパーロボットバトルアクション!
【少女機甲録(仮) ◆kNPkZ2h.ro】
80年ほど前に地球上に出現し、地球上全ての生物を滅ぼさんとする謎の生命体群「ワーム」
異形の敵に立ち向かうは、全長4mのパワードスーツ兵器「機士」
陸上自衛軍第28連隊 第4中隊の少女達は、血と硝煙の匂い漂う世界を生きる!
【鋼鐵の特攻兵―Gun Strike Girles― ◆6LGb3BALUde1】
近未来。人類はBUGと呼ばれる巨大生物との戦争を続けていた。
主人公・御前静を始めとした世界各国から集まった個性的な少女達は、鋼鐵の棺に身を沈めてBUGとの熾烈な戦いに身を投じていく。
戦争という極限状態の中で、少女達は傷付きながらも成長し、互いに支え合い日々を懸命に生き抜く。
やがて少女達の間に芽生えるのは、友情かそれとも――
ハードボイルドミリタリーの皮を被った百合ん百合んな物語。
欝展開はないよ!
【武神鋼臨タケミカヅチ ◆YHSi90Gnr2】
其れは鋼の人型。其れは『神』の力を降ろす為の人造の依代。
剣神はその手に太刀を担い、在らざる戦場(いくさば)を駆け抜ける。
その刃は未来を切り開けるか―
【鋼殻牙龍ドラグリヲ ◆Uu8AeR.Xso】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「真継雪兎」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!
- 3 :
- 【守護機兵Xガードナー シクス ◆wuZfOwaq7U】
CC(コスモセンチュリー)115年。独立を宣言する火星と地球の、人類初の惑星間戦争が行われていた。
少年シュート・ダリューグは独立機動防衛部隊"Xガードナー"に参加するも自分の存在価値に惑う。
戦いを止められるのは薙払う剣か、それとも守護する盾か… あなたの護りたいモノはなんですか?
【秘神幻装ソルディアン ◆tEulldVhj8h6】
因果の日は来たり――世界は異形の怪物アバドンに覆われた。
混迷を極める世界に機械仕掛けの神々は覚醒し、かくして今まさに黙示録が再現される。
測り知れざる過去より続く闘いの行方は、如何に。
【廻るセカイ-Die andere Zukunft- ◆qwqSiWgzPU】
「もう少しで世界が滅びる」世界中にそんな噂が飛び交った。
そして噂の通り、国が、都市が、次々と地図から名前を消していく。人類は滅びを待つだけだった
舞台は架空の都市“揺籃” 特別な一人の少女と、普通の少年のRから、それは紡がれていく
「抗う術があるのに、やらないなんて選択肢、オレにはない」
……それは、似通っているようで……違う“セカイ”
【ビューティフル・ワールド the gun with the knight and the rabbit TロG ◆n41r8f8dTs】
未来へと向かっていた隆昭達は、黄金のアストライル・ギアによって次元の狭間へと飲み込まれ、別世界に辿り着く。
隆昭一行、やおよろず、レギアス、そして、神威。様々な人々の思惑がシャッフルされた物語の執着点は、果たして――――
パラべラム×ヴィルティック・シャッフルという二作品による、全く違った世界観が交じ合った物語の行く末を見届けよ。
この物語に、勝者はいない。
【『正義の執行者』 ◆8XPVCvJbvQ】
世間を震撼させたリベンジャーレディの事件から数ヵ月後。
ネットである言葉が頻繁に使用されるようになっていた。
「正義の名の下に」 その言葉と共に、人型兵器による犯罪者を処罰していく所属不明の赤い機体。
奇しくも所有する機体のフォルムが似ていたが為に、姉小路は事件に巻き込まれてしまう。
【eXar-Xen――セカイの果てより来るモノ―― ◆5b.OeHcAI2】
ガラクタに覆われた世界の片隅で、少年と少女は一冊の書によって結ばれた。
そのRは白く、黒く塗り潰された過去を、未来を、それ以外を呼び覚ます。
迫り来るこの世ならざる怪異、有り得ざる可能性、そしてセカイの果てより来るモノ……
――総てを越え、彼らは何を見るのだろう?
- 4 :
- 【Robochemist! ◆a5iBSiEsUFpN】
物語は、新たな世代へ――
第一作の主人公、ユトとメリッサの娘が織り成す、もう一つの『Diver's shell』!!
DS伝統のポニテを受け継ぐ少女、アルメリアと、愉快な仲間達による色鮮やかな青春グラフィティ!
とくと見よ! 激突する鋼の騎士の勇姿を!
三つ編みもあるよ!
【地球防衛戦線ダイガスト 秋水 ◆3C9TspRFnQ】
異星文明、銀河列強諸国による限定戦争と言う名の侵略戦争の篝火が地球を焦がす。
帝政ツルギスタン軍を前に敗退を繰り返す自衛隊。日本が絶望に暮れたその時――
大江戸先進科学研究所のスーパーロボット、ダイガストが此処に立ち上がる!
――この国を好きではいけないのですか?
【Villetick Jumble 硬質 ◆pOWm4b0gBI】
新たなヴィルティックワールドに鈴木隆昭が帰って来た!
今度は、あの草川大輔も大騒動の渦中と、ヴィルティックに乗っかって大暴れ!
あの人や、この人に、その人! 様々な平行世界から次から次に現れるゲスト達!
まぜこぜカオスな新世界の未来を「カード」で切り開け!
【鮮血のTank soldier◆A0fDXEX2Bs 】
荒くれ共達が血とオイルとプライドを垂れ流す世界で――――――――その物語は幕を開ける。
ニヒルでクールな赤毛の少年、ひろしと無邪気な三つ編みロリっ子ロンメル。
彼と彼女と愛機タンクマキナ。二人と一機が先行き粗筋雲行き不明の荒地を駆け抜ける!
小気味の良いギャグと予想の付かない脱線の先に、一体どんな未来が待ちかえるのか……。
何処に着地するか分からない、ハチャメチャロボット活劇から目を離すな!
【ヒトの塔◆luBen/Wqmc】
一体ここは何処なのか――――――――ここではないどこかに招かれてしまった不憫な青年、ビル。
口の悪いウサギ様と掴み所の無い青年、ロビンを始めとした不思議で独特な登場人物達と霧の森。
不思議な人とロボットが織り成す世界の中で、ビルは一体何を見つけ、何を掴むのか。
謎と不思議に満ちた、まるで童話の様なロボットストーリーをご堪能あれ。
【Spartoi◆mqimtco4oQ】
高校全体が静まりかえった試験期間中の放課後、尾崎晴道は謎の少女・来栖貴子にゲーム対戦を挑まれる。
『神速機動ラゲリオン』。この精緻な戦術性が売りのロボット格闘ゲームでネットにその名を轟かせる晴道は、しかし周囲には秘密にしていたはずのそのHNを言い当てられて動揺する。
美しくもどこか異質な雰囲気を備えた貴子に誘われるまま、携帯ゲーム機GPGでの対戦に臨む晴道。
少女の正体、そして目的は何なのか?
ゲーマー少年尾崎晴道の、新たな『ゲーム』が幕を開ける。
【ロボスレ学園】
ロボット物SS総合スレ、10スレ目突破記念作品!
このスレのキャラクター達が織り成すどこまでもフリーダムな青春(?)グラフィティ! 参加者募集中!
【スーパーロボスレ大戦】
自然発生したクロスオーバー企画。
あの世界とあの世界で刺激的にヤろうぜ!
- 5 :
- http://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/265.html
・読者側は、積極的にエールや感想を送ってあげよう! 亀レスでも大感激! 作者はいつまでだって待ってるもんだぞ!
・作者側は、取り敢えずは作品で語れ! 自分のペースでも完結まで誠実に奮励努力せよ!
・半年以上生存報告がないと、作品がテンプレから削られてしまうぞ! 要注意だ!
・テンプレに載る作品は1人1つまで! 上記の他にも作品は沢山あるので、こちらもチェックだ! http://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/12.html
・我らスレ住人は、熱意に溢れた新作をいつも待ち望んでいる!次スレの紹介文には、キミのロボットも追加させてみないか!
※紹介文未定作品一覧※
・【機甲闘神Gドラスター ◆uW6wAi1FeE】 ・【英雄騎兵ミッドナイト】 ・【ブリキの騎士 ◆WTKW7E8Ucg】
・【機動修羅バイラム】 ・【都道府県対抗機動兵器決選】 ・【てのひらをたいように ◆1m8GVnU0JM】 ・【パラベラム!〜開拓者達〜 ◆RS4AXEvHJM】
・【壊れた世界の直し方 ◆H48yyfsLb6】【Diver's shell another 『primal Diver's』◆wHsYL8cZCc】
・【TONTO◆LlCp3gHAjlvd】・【グラインドハウス ◆tH6WzPVkAc】 ・【装甲騎兵ボトムズ 幻聴編】【銀の月が見る夢 ◆CC6hDu/XuQ】
紹介文はまだまだ募集中! 作者さんが、自身で考えちゃってもいいのよ!
「自作に関する絵を描いてもいい」という了承を頂いている作者さん一同はこちら↓
・TロG ◆n41r8f8dTs氏 (tueun、ROST GORL、ヴィルテック・シャッフル 他)
・シクス ◆wuZfOwaq7U氏 (守護機兵Xガードナー 他)
・PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM氏 (パラベラム! 他)
・古時計屋 ◆klsLRI0upQ氏 (CR ―Code Revegeon―、ザ・シスターズ、シャドウミラージュ、電瞬月下)
・◆YHSi90Gnr2氏 (武神鋼臨タケミカヅチ、パラベラム! ―運び屋アルフの何ということもない一日―)
・秘神 ◆tEulldVhj8h6氏 (秘神幻装ソルディアン)
・◆Uu8AeR.Xso氏 (鋼殻牙龍ドラグリヲ)
・DS世界観の人 ◆a5iBSiEsUFpN氏 (Diver's shellシリーズ、Robochemist! 他)
・GEARSの中身 ◆B21/XLSjhE氏 (GEARS、GEARS外伝 Berserker)
・◆46YdzwwxxU氏 (瞬転のスプリガン、最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 他)
・|・) ◆5b.OeHcAI2氏 (eXar-Xen――セカイの果てより来るモノ――)
・◆uW6wAi1FeE氏 (機甲闘神Gドラスター)
・◆wHsYL8cZCc氏 (カインドマシーン 他)
・バイラム氏 (機動修羅バイラム)
・>>882 ◆MVh6W.SAZtbu氏 (あるツッコミ体質の男の受難、でくのぼうと聖人 他)
・硬質 ◆BfO3GzMb/w(ヒューマン・バトロイド)
ここに名前の無い作者さんの作品を絵にしたい場合は、直接ご本人にお伺いを立ててみたらいかがかと。
―以上がテンプレとなります―
- 6 :
- 今までUHに殺された様々な無念な魂をその身をもって、その死の瞬間を体験している。
だからこそ、UHが行なっている事の意味を理解している。
だからこそ、そのあとに続ける言葉は無かった。
黒峰咲を救うまでの時間、お前らはR等ということも出来ない。
黙りこむ潤也を見てアテルラナはくすりと笑う。
「すまない。利己的に動く君からしてみればどうでもいい話だったね。けれど兄弟。そんな中途半端な覚悟で彼女の目の前にたって、彼女と戦って勝てると思っているのかい?
君は理解していないんだろうけども、今や至宝を持つメタトロニウスと君のリベジオンじゃ機体性能差は歴然だ。
ミジンコがティラノザウルスに挑むようなものさ、まだミジンコ程の可能性があるだけマシなんだけどね。
けれど君のその覚悟ではそのミジンコ程の可能性だって生まれやしない。いいかい、0だよ0。無は何も産まない。
覚悟も決意もない君があのメタトロニウスに挑んで勝てる可能性なんて皆無だ。」
アテルラナは皮肉めいた物言いを撫でるような声で続ける。
「兄弟、黒峰咲を止めるという事は黒峰咲をRという事と同義だ。それ以外の方法で彼女を止められると思わない方がいい。だって彼女は信じているんだろう?
世界にいる人全てを蘇生する事が出来るって・・・死のない世界を作る事が出来るって、それはもう狂気の沙汰だけど、それを信じきってしまっているんだろう?
そんな人間の思考を変えるというのがそもそもとして無理があるんだよ。黒峰咲と戦いR決意をするか?
もしくは全てを忘れて逃げ出すか?君にはそのふたつの選択肢しかない。そして選択するのは今さ・・・これでも待ってやってたんだぜ?兄弟。
君がこの事実を少しでも受け止められるようになるまでさ。」
潤也は心が張り裂けるような感覚と共に酷い吐き気を催す。
何故、こんな事になっているのだろう?
いきなり家族が全て死んだという事実を突きつけられ、それを行った者への復讐の一念を糧にこれまでの戦いを戦い抜いてきた。
しかし、今、この目の前にいる男から告げられた事実は潤也のこれまでの全てを否定するようなものだ。
両親を殺したのは暴走したメタトロニウスと黒峰咲であり、あれだけの災害を起こした原因を作ったのは自身の両親だという。
そして、黒峰咲は今や妄想に取り憑かれて、世界を恐怖と混乱に陥れるものと化してしまっている。
そして・・・それを止める事が出来るのは潤也とあのリベジオンだけだとこの男は言うのだ。
つまりは黒峰潤也にこの世界を守る為にUHと戦い黒峰咲をR道を取るか、全てを忘れて全てを見捨てて去る道を取るかという選択を迫っている。
「さあ、選び給え・・・兄弟。どちらを選んでも僕は君を祝福しよう。君を讃えよう、全力で支援しよう。
君が戦うのならば、僕は持てる限りの財力と情報を君に捧げよう。君がその戦いを終えるまで君の支援者であり続けよう。
君がもし全てを忘れて逃げ出すというのならば、その逃げ道を用意しよう。核シェルターだって用意するよ。
そこに君は後悔に苛まれながらずっと閉じこもるんだ。ふふ、どっちもイイなぁ・・・兄弟、好きな方を選び給えよ。」
「俺は・・・。」
既にどちらを選ぶかは決まっている。
アテルラナは選択出来ると言っているが潤也からしてみれば選択の余地はない。
けれど、果たして、それが出来るのだろうか?
予感がある。
無理だ、不可能だ。
黒峰潤也は誰かのために黒峰咲をR事は出来ない。
けれど――――――だからといって、虐殺を行うことを見過ごす事は出来るのだろうか?
思い出す。
ほんの少し前に怨念に取り込まれた自分を救い出してくれた少女の優しい怨念を・・・。
このまま全てを捨てて逃げれば、また彼女のような人間を作ってしまう。
それを見過ごす事が出来るだろうか?
ああ、不可能だ。
黒峰潤也という人間はそこまで人間が出来てはいない。
「戦う。」
潤也は静かに、それでいて苦しそうにその言葉を吐き出す。
アテルラナはその言葉に少し驚いたような顔をした後、
「出来るのかい?」
と問い返した。
- 7 :
- 「出来ないさ、俺が誰かの為に戦うなんて事は・・・そんな言葉で上辺を取り繕うだけじゃ、俺はリベジオンの・・・DSGCシステムの怨念に精神を食われてしまう。
そして、そんな理由じゃきっと俺はあいつを・・・黒峰咲をRことなんて出来ない。」
DSGCシステムの怨念の激流の中で自己を保つには並ならぬ覚悟と決意が必要だ。
しかし、それを持つにはそれをするにたる理由が必要だ。
でなければ、すぐにあの怨念の激流は潤也一人の精神など簡単に飲み干してしまうだろう。
誰かの為に戦うなどという信念では、怨念たちの願いすら拾いあげその傀儡になってしまうだろう。
だからこそ、他の理由が必要だ。盲信するにたる信念が必要だ。
「だから――――」
ならば、それを可能にする理由とは何だ?
「俺は、俺の為に戦う・・・そう誰かを助けようとかそういう事じゃない・・・黒峰咲は俺の両親を殺した。
両親の仇だ。それが憎い。その上で両親の死を笑うあの女が憎い。あの女が許せないから、俺はあの女をR。
それを悪びれもなく正当化して殺し続けるあの女が憎い!だから俺は戦う!!!」
「君は・・・本気でそれを言っているのかい?」
アテルラナは少しの考えるようにした後、心底驚いたようにして問いかける。
潤也は一呼吸を置いたあと、
「当然だ。」
と辺りも凍るような冷たい声でそう言った。
少しの静寂が辺りを支配した後、くつくつとアテルラナが笑い出す。
それはこれまでの人を嘲るような笑い声ではなく心底おかしくて笑いを堪えきれなくなってだしたような笑い声だった。
「君、もしかして馬鹿なのか?アホなのか?アヒャヒャヒャヒャ、こ、こんなめちゃくちゃな理由、矛盾だらけにも程がある理由初めて聞いたよ。
あひゃひゃひゃ――――ぶわ!!!!」
潤也がアテルラナを殴り飛ばす。
アテルラナはその身を叩きつけられる。
しかし、アテルラナは笑いを止めない。
潤也は倒れながら笑い続けるアテルラナの胸ぐらをつかみ持ち上げる。
「黙れ、アテルラナ。俺はお前も殺したくて仕方ない。仕方ないんだ?わかるな?」
「あぁ、そうさ、君からしてみれば僕は原因みたいなところもあるからかい?あひゃひゃ!!」
「違うな。お前のせいだ!そうだ俺はお前も許せない、お前も殺してやりたい。そんな衝動をさっきからずっと抑えている。何故だかわかるか?」
アテルラナは少し考えるようにした後、嬉しそうに
「はーい、きっと僕にはまだ兄弟にとって利用価値があるからでーす!!」
潤也はアテルラナのみぞおちに向けて拳を叩き込んだ。
アテルラナは声にならない声をあげて嘔吐する。
その後、潤也は咳き込むアテルラナの胸ぐらを再び掴む。
「アテルラナ、次ふざけた事抜かしたら次は五体満足でいられないと思えよ。」
「はは、ごめん、ごめん。じゃあさ、こんなのはどうだい?」
そういってアテルラナは胸元のポケットから1枚のデータチップを取り出す。
「なんだこれは?」
「ふふ、これにある場所の座標が書いてある。リベジオンで読み取れるから機体に戻ったら見てみるといい。」
「座標?そこに何がある?」
「至宝さ。」
- 8 :
- 「至宝・・・だと?」
咲が潤也の前で見せた超常的な力を持つ道具『至宝』。
「なんで、そんなものの場所のありかをお前が知っている?」
「偶然だよ、偶然見つけたんだ。それで僕は琴峰機関にこれを提供した。ほら君の親父もレポートで言ってただろう?至宝を提供したって・・・。」
「それは咲が今持っているものでは?」
「違うよぉ、君の可愛い妹が持ってるのは、この一帯にあった至宝さ。正確には設計図だけどね。僕も驚きだったんだよ。
ここに設計図があるだなんて。黒峰咲とメタトロニウスがこの惨状を作り上げた結果、至宝が浮かび上がって彼女はそれを手に入れたんだ。」
「じゃあ、これは?」
「さてね、僕もあるものを受け取っただけだから詳しくは知らないさ。だけど言えるのはこれは確かに至宝であるというだけ・・・。
もしこれから君がUHと黒峰咲と戦うのならば必要な力だろう?」
そういって差し出すアテルラナのチップを潤也は乱暴に取り上げた。
「まあ、まずそこにいって、至宝を手に入れてくる事だね。それで兄弟、君はスタートラインに立つことが出来る。
まあ、そこで君がどんな顔をするのか楽しみだけ――――――」
そう言いかけた後、アテルラナの悲鳴じみた声があがる。
その後、アテルラナは涙を流しながら通常曲がらない方向に折れ曲がった自身の右小指を見る。
「アテルラナ、ふざけるなと言っただろう?俺はお前を痛めつける事になんの容赦もないんだ・・・。」
泣き叫ぶアテルラナを心底侮蔑するように潤也は言う。
「く、くは、だ、だ・・・からって普通人の小指を折るか・・・くはは、酷い、酷いなぁ・・・兄弟。」
「それでそこは何で、至宝とはどういうものなんだ?」
「そ、れは教えられないさ、何をしたって口を割らない。ぼ、僕の楽しみだからね、ただ強いていうならば、そこはここと同じ琴峰機関の研究施設だよ。
そこの最下層に君の求めるものがある。」
そういうアテルラナの中指に今度は潤也は手をかける。
「だから言わないって・・・行けばわかるんだから、これ以上聞くだけ野暮だよ・・・あひゃひゃひゃ。」
汗を垂れ流し涙を浮かべ笑いながらそう言うアテルラナを見て、潤也は中指にかけた手を話す。
哀れんだからではない、これ以上この男を傷つけるという良心の呵責に苛まされた訳でもない。
ただ、単純にこれ以上は無駄だと思えたからだ。
「最後に1つ聞きたい。アテルラナ・・・なんでお前は俺に協力する?」
「そりゃ、贖罪に決まってるじゃないか・・・こう見えてもぼ、僕は君たちには悪いことをしたと――――」
潤也はアテルラナの顔面を殴りつけた。
アテルラナは壁に頭をぶつけ気を失う。
「法螺吹きが・・・。」
そう言って、潤也はのびているアテルラナをほおって研究所を後にした。
研究所の外には今まで潤也と共に戦ってきたリベジオンが片膝を立てて座っている。
その紅い瞳は、この世の全てを憎んでいるとでも言わんばかりの禍々しい双眸だった。
潤也はそれを見て思う。
俺もああならなければならないと・・・。
- 9 :
- そう憎まなければならない。
父と母を奪った妹を・・・。
その上で、さらに父と母の命を愚弄しようとする妹を・・・。
お前に必要なのは憎しみだ。
千も万も億も超える怨念の激流に飲み込まれても消えない憎悪の炎だ。
憎まなければならない。
潤也の脳裏をかすめるのは黒峰咲が生まれた時の記憶。
産声をあげる妹を抱きかかえて母は潤也にこう言った。
「これからは潤也がお兄ちゃんなんだから、この子を守ってあげてね。」と・・・。
潤也はそれを振り切るようにして咲への憎悪を思う。
記憶にある黒峰咲を全て憎悪で塗りつぶす。
笑っている咲を、泣いている咲を、自分を頼ってきた咲を、自分を助けてくれた咲を・・・。
そうだ、憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!!!
憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!!!
憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!!!
憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!!!
あれは両親を殺した仇だ。
あれは両親を殺した事を必要な事だと笑う悪魔だ。
もはやあれは肉親などではない憎悪を持って殺害すべき対象なのだ。
憎め!!憎め!!憎め!!憎め!!憎め!!!!!!
憎まなければ――――――
その日、一人の魔王が嗚咽の中に生まれた。
その魔王はその日から憎悪の思いを抱えて歩み出す。
たとえその思いの何もかもが矛盾だらけだったとしても・・・。
走馬灯は終わる。
そして、物語は過去から現代へと戻る。
始まりはこのように・・・。
―現代― 琴峰藍の自害から8時間後、イーグル本部司令室
「そんな、馬鹿な・・・。」
第七機関直属組織イーグル、その司令室で目を疑いたくなる現状に驚きの声をあげたのは司令である秋常貞夫だった。
モニターに映るのは今、この本部へとゆっくりと接近しつつあるアンノウン。
全長1000km程の巨躯を誇る巨大な機械仕掛けの亀。
そんなものが今、このイーグルへと進路を取り時速300kmで迫ってきている。
予測では40分後にはこのビルを踏み潰すと予測されている。
貞夫は夢でも見ているのかと思い、ポケットからタバコを取り出す。
3日も続けてきた禁煙生活、そろそろ限界だと思っていたのだ・・・夢ならば、吸ってもいいだろう。
そんな淡い思いで取り出したタバコの箱を彼の副官が奪っていく。
「司令、残念ながら現実のようです。本当に残念ながら・・・ですので禁煙は継続中ですよ。」
「こ〜と〜み〜ねく〜ん・・・頼むから私を現実に引き戻さないでくれ。」
「仮にも司令は、このイーグルの司令なんですから・・・もっとしゃきっとしてください。だからあなたは色々な所から侮られるんでしょう?」
副官である琴峰雫にそう言われ、押し黙る貞夫。
- 10 :
- それに呆れたようにため息を吐きながら、雫は貞夫がそう思うのも仕方ないとも思う。
まずなんであれ動いてるんだ?と突っ込みたくなるような巨躯。
そもそも何処に今まで隠れていたんだ?と突っ込みたくなるような巨躯。
そしてなんでこっちに向かってきてるんだ?と突っ込みたくなる絶望。
イーグルは鋼獣の襲撃を受けつつあり、創設以降最大の危機にあった。
「各機関の要人もいる、今すぐに退避してもらう必要があるなぁ・・・。」
とほほと貞夫は現状を目の当たりにして考える。
「雫くん本部にどれぐらい戦力が残っている?」
「はい、通常のアインツヴァインが2機ですね。この間のブラックファントムとの戦いで失った戦力が痛すぎました。」
「そうか・・・迎撃要因として・・・いや、あのでかさじゃ無理だわなぁ・・・。」
「そうですね、水鉄砲程度の戦果しか期待できないかと・・・。あとは時峰副司令のアインツヴァイン雪花があります。
ですが、あれは理論実証機なので、まだ調整不足でとても戦闘に出せるような状態ではありません。
それにあれはシャーリー・時峰への贈り物でしょうし、副司令も乗りたがらないでしょう・・・。」
貞夫はシャーリー・時峰の現状を慮ってため息を吐く。
「はぁ・・・となると戦力として期待できそうなのは・・・。」
「『彼』という事になるのでしょうか?」
「『彼』の容態は?」
「安定の方向に向かっているようです、時期に目を覚ますのではないかと・・・。」
「どうするかね・・・彼が目を覚ましたとたら、口説き文句を考えておかなければならない訳か・・・気が滅入るよ。」
「心中察します。しかし―――――」
雫は再びモニターを見る。
その姿は圧巻だった。
まるで山がそのまま歩いてこちらに向かってきているかのような巨躯。
それが通った後に出来る潰された木々にめり込んだ大地。
この本部のビルなどすぐにそれには押しつぶされてしまうだろう。
「『彼』とあのブラックファントムと言えどもあれに勝てるかどうか・・・。」
- 11 :
- ―イーグル本部医療施設―
黒峰潤也はまどろみの中から目を覚ました。
「ここは・・・。」
潤也はまだピントが合わずぼやける視界を振り切るようにして頭を振った後、辺りを見渡す。
そこは見慣れない景色だった。
白い天井にカーテンのかけられた部屋。
首から下に布のような物を被せられ自分は寝ている体制になっている。
横に見える床に段差があった事から、自分がベットに寝ているのだという事を理解した。
潤也は、起き上がろうと床に手をつく。
その時、じゃらりと金属の音がした。
潤也はその音がした腕の方を見る。
そこには手錠がかけられていた。
誰かが潤也をこのベットに縛り付けておくためにつけていたものだろうか?
誰が・・・何の為に?
記憶を遡る。
思い出すのは犬型の鋼獣との戦い。
限界を超えるDSGCシステムの駆動をさせた後の事は覚えていない。
覚えていないという事はおそらくはあのまま自分は怨念に飲まれてしまったと考えるのが妥当だろうか・・・。
その後、システムの緊急停止装置が起動して気絶し、誰かに捕まってここにいるといった所か?
そう思案にふけっていた時、潤也の左から
「はぁ、やっと悪夢からお目覚めかい?」
と女性の声が聞こえた。
潤也はその声のした方を向く。
そこには老婆が一人、本を片手に折りたたみ椅子に座っていた。
老婆は皺だらけの顔で優しげに微笑んで言う。
「それとも現実(こちら)の方がお前さんにとって悪夢だったかな?」
―続く―
- 12 :
- 以上で今回の投下は終了となります。
連日の投下支援、そして新スレまでありがとうございました。
本当は1月一度ペースで投下したいのだけれど、中々うまくいかないなぁ(´・ω・`)
次回は後半戦となります、いよいよ物語は現代に戻り、やっと・・・やっとロボ戦かけます・・・長い・・・長かった・・・
- 13 :
- スレをまたいで読みづらいかと思うので、先んじてwikiの方にも乗っけておきましたー
http://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/1276.html
あと書き忘れていたので>>1乙ですー
- 14 :
- >>13
改めまして、投下乙!
パパッと読んだだけなので軽めですが……
咲と戦うことを選んだのか? 潤也
一方でアテルラナ……お前と言う奴は…いや、潤也の両親か,元凶は。
そして、出てくる巨大な敵!
次回も楽しみにしています
- 15 :
- 「宇宙の戦士」のパワードスーツみたいなのもこのスレで投下しておk?
- 16 :
- >>14
感想ありです!
潤也は咲と戦う事を選択しました
巨大な敵という発想は実はメタトロニウス戦まで取っておくつもりだったのですが
思いつきでかなりはったり効いた描写を思いついてしまったので書きたいと思ってプロットごと変えちゃいました(苦笑)
楽しみにしていただければ幸いです
次こそあまり時間かけないで提供できれば・・・
- 17 :
- >>15
大丈夫じゃない?
- 18 :
- パワードスーツも、人造人間もロボットみたいなもんだ。
能書きは良いから、とっとと投下しろ。
この手の奴って聞くだけ聞いて投下しないから、本当に苛々する。
- 19 :
- 新規さんは貴重だからそう刺々しく言っちゃいやん
住人も少ないし遠慮なくバッチこーい!
- 20 :
- ここ最近苛ついてる住人が多いな、牛R飲め
- 21 :
- お腹を下したぞどうしてくれる
- 22 :
- トイレいけ
- 23 :
- つ正露丸
ほらよ!
- 24 :
- つアナ○ルR
- 25 :
- おい、そこの〇には何が入るんだw
- 26 :
- ナニ♂が入るんでしょうね(すっとぼけ)
- 27 :
- 前スレからのバイラムさんや好評連載中のグラゼロさん、また久方の古時計屋さん、投下本当に乙です
中々昔の様にガッツリとSSを読んで感想を書けなくなってしまいましたが、暇を見つけてどうにか各々感想書けたら……良いなぁ(儚き希望
久々ですロボスレ。投下は去年以来、多分半年ほど前でしたが、前から温めていたネタがどうにか完成できたので投下します
異常に量が増えてしまった為、今日と明日の二部に分けて投下しようと思います。では
・クロスオーバー(他作品同士を組ませた形式のSSです)物です
・あくまで一発ネタな為、本編投下の予定はありません。あくまでフェイク予告編みたいな感じです
・前作、STRANGEDREAMはロボスレwikiにて全話収録しております。興味の向いた方はwikiへどうぞ
では改めて次レスからです
- 28 :
- 足元に広がっている水溜りを派手に弾きながら、白色のスーツに身を包み闇を駆け抜ける、一人の男。
腐臭が辺り一面に立ち込め、形容し切れぬほどの負の雰囲気に塗れながら、男はどこまでも伸びて行く地下水路を疾走する。
男のスーツはピッタリと体に密着しており、直線的に入り混じっている青いラインと、鳥類の王である、鷹を彷彿とさせる頭部のヘルメットは、どことなくヒロイックに思える。
そんな白く美麗なスーツを撥ねた泥で茶色く汚しながら、男は全力で走る。
疾走する男の数メートル前後で、複数、男と同じく水溜りを弾きながら追ってくる音が反響している。
次第に男を追っている、足音の正体が暗闇の中から露わになる。一見すると人間の様に見えるが、それは違う。
人間の姿を模しているが、その姿は正確に表現するとするなら――――――――骸骨といった所だ。
複雑に折り重なれ接合されている鉄パイプ群は、人間の骨格を忠実に再現しており遠目から見ると、そのまま人骨が走っている様に見える。
そんな人骨の内部には、人間で例えるならば心臓に当たるであろう、妖しく緑色に発光している、水筒の様な形状の小型のタンクが仕込まれている。
そのタンクから各手足の鉄パイプへと接続されているチューブは恐らく血管。骸骨達は暗闇の中で、ぼんやりと緑色の光を纏いながら男を追跡する。
限りなく人間の人体を真似てはいるが、あくまで内部構造を人間に似せているだけで、骸骨達は人間とは全く違う存在と言っていいだろう。
証拠として、骸骨の頭部には円形上の物体が接続されており、ぐるりと覗くバイザーからは、赤色のモノアイが目まぐるしく動いている。
モノアイはやがて標的であろう男を見つけると、ピタリと動きを止めて決して離れない。
いつまでも続くと思われた男と骸骨の追いかけっこだが、ふと骸骨の中の一機が一気に群れの中から飛び出す。
飛び出すと同時に、手首を外側へと曲げる。曲げた瞬間、掌から細身ながらも鋭く研ぎ澄まされた剥き出しの刃が伸縮する。
伸縮させた刃の上で両手を握り拳にすると、骸骨は一旦立ち止まってその場にしゃがむ。間髪入れず、両足を勢い良く伸ばして地面から飛び跳ねた。
飛び跳ねながら骸骨は器用に空中で、ぐるりと身体を反転させた。反転させて、男の目前へと着地しようと落下してくる。
男の行く末を防がんと刃を構えながら骸骨が着地しようとした寸前。
ほぼ一瞬の事だった。
男は骸骨が背後で跳躍したのを察すると、どこからか取り出した真っ白なトランプサイズのカードをヘルメットへと近づける。
近づけて、何か言葉を暗唱した瞬間、カードは瞬く間に粒子化すると、全く別の形へと変化した。それは異様に角ばっており勇ましいデザインの、奇妙な拳銃だ。
スーツとは対照的に、闇に溶け込む様に黒く染まっているその拳銃を、男は即座に骸骨へと向ける。
向けると同時に流れるような動作で引き金を引くと、砲口より放たれた蒼色の銃弾が、真っ直ぐにモノアイへと伸びていく。
銃弾はモノアイごと、骸骨の頭部に大きな風穴を作り出すと、骸骨は成す術もなくその場に叩き落ち、只の骸と化す。
男は骸骨の目前で片足を勢い良く踏み込んで跳躍する。くるりと宙を一回転する間際、動力源である小型タンクに一発、二発と追撃を叩き込む。
銃弾が命中し、激しい破裂音と共にチューブから不気味な液体が噴出し、鉄パイプやチューブを浸していく。その液体は次第に発火し出し、地下水路を炎で照らし出す。
着地すると、男は拳銃の銃身を勢い良く振り下ろす。すると銃身はまっすぐに変形し、拳銃のグリップはまるで刀の柄の様になる。
拳銃が変形した直後、骸骨が爆発し、一瞬水路を覆っている暗闇を眩く散らす。
爆発は持続して闇を散らし続け、ようやく男と骸骨の姿を明瞭に映しだす。
男が一人なのに対し、照らし出されている骸骨の数は前後合わせて十機、いや、二十機、もしかしたらそれ以上いるかもしれない。
しかし、男には何ら怯んだり、恐怖を感じる様子は見えない。どころか、戦う意思を示すが如く、砲口から銃弾と同じく蒼色の光で生成された剣を放出させている。
先程の爆発が宣戦布告とばかりに、男は剣を放出させた拳銃を逆手に持ち替えると、一気に前方へと踏み込んでいく。
急速に骸骨達の懐へと踏み込むが素早く、男は拳銃を振り回し、軽快な動きで骸骨達の手を、足を、頭部を切り裂いていく。
次々と斬りつけながらも、動力源である小型タンクだけを傷つけぬ様、手足だけを切断し、戦闘能力だけを奪って行く。
- 29 :
- いつ終わるかも分からない、圧倒的な物量で迫ってくる骸骨達の屍を、男は黙々と積み上げて行く。
元は純白で美麗であったスーツを茶色の泥と、血の様な鮮烈な緑色で汚しながら、寧ろ更に戦闘意欲を増す様に男の攻勢は収まらない。
戦いのさなかでも、男は脱出する事を忘れていない。背後から聞こえてくるのは、出口である事を示す水流の音。
一体、どれだけの時間が経ったのか。何時間、いや、何十時間かもしれない。
骸骨達を容赦無く斬り裂いてきた、蒼い剣は淡い粒子を力無く放出しており、これ以上出力が上がる様子が無い。
男も同じ様にスタミナが切れたのか、ぶらりと両腕がだらしなくぶら下がっており、やがてボトリと持っている拳銃を落とした。
如何に戦いが激しかったかを身体で証明している様だ。一歩一歩と歩く度、只のガラクタと化した骸骨達の頭部を踏み潰す音がする。
ようやく出口へと辿りつき、男は頭を上げる。と、その時だ。
男の姿を淡い光が照らし出す。どうやら何者かが、男に向かって存在を知らせる様にライトを照らしている様だ。
ライトを照らしている存在を確認して、男は顔を向ける。どうやら、知っている人物の様だ。
男は今まで強固に頭部を守り続けたヘルメットに両手を触れて、ヘルメットを取る。そして助けに来たであろう、その人物へと声をかけた。
「リヒトさ―――――――」
次に聞こえたのは、銃声。
男はそのまま、水流の中へと落下し、姿を消した。
2
「貴方は、誰?」
ぼんやりとして、曖昧な輪郭の影が、少女の前に立つ。
影の姿は今にも掻き消されそうな程にもやがかかっているが、不思議な事に少女にはその影がなんなのかが分かる。
それは、人の姿をしている。それでいて、自分と同じ位の背丈で尚且つ、自分と同じ髪型をしている。
少女の問いに、影は無言のまま、その場に佇んでいる。
と、影の顔らしき部分に少しづつ、ぽっかりとした穴が空き始める。数秒経つとその穴は非常に簡素な特徴ではあるが、目と鼻、それに口に見えてくる。
開いた口の穴は、左右に広がっていくとやがてニタリと笑って少女に、答える。
「私は」「貴方」「貴方になりたい」貴方」
そう言いながら、影は突如として膨張し始める。驚き、少女は逃げようとするが身体が金縛りにあった様に動けない。
「いや……やめて……」
得体の知れない恐怖感に苛まれて、少女の身体はその場に立ち竦み、一歩も踏み出す事すら出来ない。
やがて膨張していく影は、少女へと纏わりつく。身体を、自由を、自分の存在そのものが、影に侵されていく。
息が、出来ない。窒息しそうになりながらも、少女は必死に手を伸ばして抗おうと試みる。
「無駄だよ」「もう戻れない」「私は私に」「なる」
頭の中に影の声がハウリングして何度も何度も聞こえてくる。
- 30 :
- 最早声すらも奪われ、少女は――――――――。
「止めて!」
思いっきり上半身が起き上がる。腰に一瞬軽い痛みを感じて、遥は掌でその部分を擦る。
掌が汗で滲んでいる。寝巻きの中の下着に触れてみると、背中にべっとりと冷や汗を掻いている。
――――――――奇妙な、夢を見た。
脈拍を測ると、全速力で走ったかのように異常に鼓動が速い。額を拭うと、背中や掌に負けない位、汗を掻いている。
額だけでなく、身体その物が汗ばんでいる様だ。荒いでいる息を深呼吸する事で落ち着かせながら少女――――――――神守遥は、先程見た悪夢の内容を思い返す。
夢にしては、あまりにもリアルな夢だった。本当に影に殺されるかと思った。
自分とそっくりな姿をしている影に、全てを奪われる、そんな夢だった。
どうしてこんな馬鹿げた夢を見たのか、遥自身分からない。しかし夢なんて大概支離滅裂だし、理屈を求める方がおかしい。
にしても夢と片付けるには不気味なほど現実感のある夢であった。このまま呼吸も出来ずに死んでしまうのではないかと遥は恐怖した。
その証拠に腕を捲ると、ビッシリと鳥肌が沸き出ている。そこらのホラー映画よりもずっと怖かった。
何でこんな夢を見たんだろう……ストレスを感じる様な事も、勉強もそれほど厄介な局面になっている訳でもないのに。
深く深呼吸すると、次第に気持ちが落ち着いてきた。多分自分では分からないがストレスが溜まり過ぎているんだろうと、遥はそう思う事にする。
考えをスッパリと切り替え、もうこれ以上悪夢の事は思い出さない様にする。
にしても喉が偉く乾いている。あんなのを見たせいだと思うが、今すぐにでも水分を取らないと干乾びそうだ。
遥は安眠している妹と両親を起こさない様に、出来る限り音を出さずにドアを開けると忍び足で素早く、階段を下りる。
廊下を経て、台所へと着いたが素早く電気を付け、食器棚からコップを出して、蛇口の前に置く。
蛇口を捻ると、あまり冷たくも無い水道水がコップに注がれていく。只の喉を潤すだけだからこれで良い。
コップ一杯に入った水を飲み干す為に、遥はコップを持ち口元に運ぼうとした。
その時だった。
ゾクリと、冷たいモノが遥の背筋を凍らせた。収まっていた鳥肌が再び沸き立ち、身体が強張る。
気のせい、疲れからの錯覚だと思ったが、すぐにそれは違うと遥は否定する。居るのだ。
何かが、家族以外の全く別の何かが家に潜んでいる。多分、近くに潜んでいる事に遥は頭では無く本能で感じ取る。
ど……どうしよう。すぐに警察に知らせた方が、いや、その前にお父さんお母さんを起こさなきゃ……。
極度の緊張状態から、遥はふらつきそうになる足元を掌で叩いて叱咤する。落ちつけ、落ち着け私と、続けて軽く両頬をビンタして正気を保つ。
考えられる侵入者の正体は三つ。まず泥棒か、それか強盗。しかし遥の記憶では、この家にそういった不届きな輩が入ってきた事は一度も無い。
しっかりと警備システムは働いているだろうし、何よりそういう輩が入ってきたなら物音がする筈。
だが、今の今までそういう騒音は聞こえてきてない。否、逆に考えればわざわざ音を鳴らす泥棒なんていないとは思うが、何かしら気付ける筈だ。
だが、遥は思う。今感じている気配は、そういった類の物では無い。何と言えば良いのか、奇妙なのだ。
物音どころか存在感すらも希薄なのに、しっかりとここにいるという。遥自身上手く例えられないが、本当にそんな雰囲気を覚える。
幽霊だとかそういう物かといえば、遥は自分自身霊感がある方だとは思えず、もし幽霊だとしても多分それほど怖がる性格でもない。
じゃあ、この気持ちの悪い気配は何? 遥自身説明出来ないし、誰かに教えてほしい位だ。
と、とにかくここから逃げ出さなきゃ。妹も心配だしと、遥は決意を決めて後ろを振り向いた。
いた。目の前に、立っていた。
遥の目の前には、鏡を立て掛けたかと錯覚する様な、自分と全く同じ背丈で同じ髪型の、同じ顔の少女が、いた。
――――――――
時刻は丑三つ時の午前一時頃。住宅街はしんとして静まり返っており、人も街も寝静まる、そんな時間帯。
- 31 :
- 紫煙
- 32 :
- 時間帯が時間帯な為、歩いている人間はほとんどいない。たまに酔いつぶれているサラリーマンや、素行の悪そうな若者を見掛ける程度だ。
そんな夜を走る、一台の外国車。優雅で高級感溢れるフォルムが目を引く。かなりの速度で走っているのだが、最新鋭の技術によりエンジン音が殆ど聞こえてこない。
その外国車の後部座席で、慣れていないのか落ち着かない様子でそわそわと、一人の青年が過ぎ去っていく周りの景色を眺めている。
青年は、前の運転席と助手席に座っている、二人の女性に視線を向ける。向けて、言葉を切り出していいのか、一寸迷う表情を浮かべる。
浮かべつつも、黙っている訳にもいかないので、恐る恐る切りだす。
「……変な事聞いてすみません」
年齢よりも大人びて見える、落ち着いた風貌が特徴的な青年――――――――安田俊明は、それぞれ対照的なスタイルの二人の女性へと、質問を投げかける。
「やっぱり信じられないんですけど、お二人は本当に……別の世界から来たんですか?」
俊明が投げかけた疑問を、助手席に座っている、胸が豊かな方の女性がふふっと、含みのありそうな微笑を浮かべる。
対して、運転席でハンドルを握っている、胸がするりとしていてスレンダーと呼ぶに相応しい身体つきの女性はきょとんとした表情を浮かべる。
俊明から投げ掛けられた疑問に対しての返答を、二人の女性はほぼ同時に俊明へと投げ返す。
「私が嘘を付く様な顔に見えるか?」
「私は嘘を付く趣味は無いわよ〜」
ほぼ予想通りとはいえ、ストレートに返ってきた答えに、俊明はどうリアクションを取れば良いのか、困る。
ポリポリと軽く困惑気味に頭を掻いて、一先ず状況を頭の中で整理する。整理して、無理矢理にでも状況を飲み込んだ上でもう一度、尋ねる。
「分かりました、すみません。で……これからどこに向かうんでしたっけ」
ハッキリ言って混乱状態だ。何が何やら理解が追いつかない。
「その前に煙草吸っていいかな? ちょっと一服したいんだ」
俊明の質問をするりとかわして、スレンダーな女性は煙草を吸っていいかの許可を求める。
別に自分に構わず吸えば良いと俊明は思うが、ちゃんと了承を取る辺り、マナーを弁えている様に思える。
あ、はいと俊明が気の無い返事をすると、スレンダー女性はありがとうと答えて運転席の窓を開け、片手でフィルムが張られている比較的新しい煙草の箱を取り出した。
「安田君」
一服し始めるスレンダーな女性の隣で、助手席の豊胸な女性が身体を振り向かせて、真面目な表情で、俊明を呼び掛ける。
「貴方が凄く混乱してるのは理解できるし、私達もこんな強引な手段を選んじゃったのは謝るわ。でも」
一旦、言葉を留める。留めて、豊胸な女性はじっと俊明の目を見据えて、言う。
「でも、今はこの方法しか取れないの。貴方と、貴方の大切な人達を守る為には」
神妙な面持になる俊明。そして、俊明と会話を交わしているこの二人の女性は何者なのか。
事の発端はおよそ三十分ほど前に遡る。
ベッドから俊明は勢い良く起き上がった。呼吸が荒い。呼吸も荒いし、全身から冷や汗という冷や汗が噴き出ている。
普段ならば、一度目を閉じて眠ると何か騒音だとか異変でも無い限り、俊明はぐっすりと朝まで眠れる。
眠れるのだが、今日は不思議な事に寝心地が異様に悪く感じ、何度も起きてしまう。金縛りにあっている訳でもないのに。
というのも、深い眠りに落ちる度に俊明は不気味な程現実感に満ちた、奇妙な夢を見てしまうからだ。
その夢の内容というと、とある事情により、数奇で苛烈な運命を共に送る事になってしまった少女――――――――名をシュタムファータァという。
そんなシュタムファータァと一緒に、どこかの建物の屋上で、熾烈な死闘を繰り広げている夢だ。相手は明確には思い出せない。
思い出せないが、とにかく尋常じゃなく強く、残忍な相手である事は分かる。それとの戦いで、俊明もシュタムファータァも凄まじい傷を負い、消耗している。
何か傷を負う度に俊明は起き上がる。夢な筈なのに、それから受ける痛みや苦しみ、切迫感にあまりにも現実味がありすぎて、眠る事が出来ない。
夢である筈なのに、まるで実際に経験したかのような、リアル過ぎる夢。否、悪夢だ。
- 33 :
- しかし、俊明は自らが辿ってきた激戦の記憶を辿ってみる。辿ってみるが、幾度か危機的状況に見舞われてきたものの、建物の屋上で戦うという記憶は浮かんでこない。
もしかしたら本当は戦っているのに何らかの理由でド忘れているのかもしれないと思い、今一度辿ってみる。
俊明は一度たりとも、シュタムファータァと共に乗り越えてきた戦いの記憶を忘れた覚えは無い。どんな場所でどんな相手と戦ったかを全て鮮烈に頭に刻んでいる。
しかし、しかした。どれだけ脳味噌の記憶の引き出しという引き出しを引きだしてみても、そんな記憶は全く出てこない。
本当に只の夢なのか? しかし……と、俊明の思考が堂々巡りのループ回転をしている、その時だ。
玄関のインターホンが、なった。一瞬ビクッとしつつも、俊明は怪訝な顔付きになる。
こんな真夜中に誰が尋ねてくるんだ? と、当然に疑問に感じ、俊明は警戒する。もしかしたら近くを歩いている酔っ払いが、自分の家を間違えているのだろうか。
それか泥棒か強盗……いや、そんな連中が、わざわざこれから犯罪を犯す前に、ご丁寧に玄関のインターホンを鳴らす訳が無いか。ならば酔っ払いだろうか。
そんな風に思慮を巡らせていると、再びインターホン。両親はぐっすりと寝ている為か、音に気付いている様子は無い。
多分、俊明も普段ならば深い眠りの底に落ちている為気付かないだろうが、今日は偶然にも眠りから醒めている。
何にせよ、こんな時間帯に人の家のインターホンを押す人間は迷惑極まりない。間違えている酔っ払いであるならば、間違えているでしっかりと教えてやらないと。
俊明は寝巻の上にジャケットを羽織り、何かあった時の為に携帯電話をポケットに忍ばせると、音も出さずに階段を下りて行く。
どこのどいつかは分からないが、全く非常識な奴だなと内心眠れない事のイラつきもありつつ、俊明は玄関口へとそそくさと小走りで向かう。
ドアの前に立ち、恐る恐る、魚眼レンズを開いて外の様子を確かめる。予想では、帰る家を間違えた阿呆なおっさんの姿が――――――じゃない?
魚眼レンズの先に見える光景に、俊明は戸惑いと驚きから、ポカンと口を開ける。
そこに立っていたのは、オッサンでもなければ泥棒でも強盗でもない。そこにいたのは、二人の女性の姿だ。
一人は、ジャケットの上からでも分かる豊満な胸と、落ち着いた色調の服装に身を包んだ、薄く青色が混じった、ふんわりとしたの長い黒髪が特徴的な整った顔立ちの女性。
そしてもう一人は、スポーティなジーンズとジャンパーに身を包んだ、隣とは対照的に膨らみの少ない胸、すらりとしてスレンダー。
それでいて、活発な印象を受けるショートカットの黒髪に、中性的な美しさを感じる、切れ長の赤い瞳孔の目が印象的な女性だ。
タイプは対照的なものの、確実に美女というカテゴリに入るであろう、そんな二人が何の目的か俊明の家の玄関前に立っている。
二人はインターホンを押しても出てこない俊明に業を煮やしているのか、顔を向けあい何か熱心に話している。だがドア越しでは会話の内容までは聞こえない。
俊明はレンズからしばらく二人を眺めていたが、出てくる感想は一つだ。
……誰? 俊明は仕舞い掛けていた記憶の引き出しを再び豪快に引き出しまくるが、こんな二人と親交関係を持った覚えはない。
それどころか初対面だ。どちらの美女も、一度見たら多分忘れなさそうな顔付きなだけに、尚更誰なのか分からない。さっぱりだ。
一瞬、新手の強盗か漫画に出てくる様な美人の怪盗かと思ったが、どちらにも属している様には見えない。
なら、あるいは厄介な宗教団体の勧誘かとも思ったが、強盗はともかくこんな真夜中に宗教の勧誘なんて聞いた事が無い。
ならば道を間違えたから教えてほしいのかもしれない……それは一番無い。どうしてわざわざピンポイントに俊明の自宅を訪ねてくるか分からないし、何よりは交番ならすぐ近くにある。
じゃあ、この二人は一体?
強盗にも勧誘にも、ましてや酔っぱらいにも道迷いにも見えない。しかし、目的が不明だ。
ゴクリと、俊明は唾を飲み込んだ。飲み込んで、ポケットの中の携帯電話に手を伸ばす。
ここは意を決して行動する他ない。我ながら無謀な考えだとは思うが、もしもこの二人が少しでも危害を加えようとしてきたら即座に通報できる自信はある。
両親を守るためにも、何より眠りを妨げようとしている要因を排する為にも、俊明は行動する。
まずは上部に付いているチェーンを外し、次に下部のロックを外す。そしてドアノブを横から縦に回す。
- 34 :
- し
- 35 :
- そしてゆっくりと、ポケットの中の携帯電話に指を付けながら俊明はドアを半開きにした。すぐに家の中へと入れる様に。
落ちつけ、落ち着いて冷静でクールな態度で、尋ねるんだ。そう自分に言い聞かせながら、俊明は二人の美女へと、話しかける。
「あの……家に何か御用ですか?」
ドアを半開きにして、徐々に身体を外に出し始める俊明に、長髪の美女はやっと出てきた、と言いたげな笑みを浮かべ、短髪の美女は空になっている煙草の箱をくしゃりと潰す。
潰した煙草の箱を、ジーンズのポケットにしまうと、短髪の美女はもう片方のポケットから、何かを取り出した。
取り出したそれは、トランプのカードの様に薄い……液晶板? の様な物だ。それの表面を人差し指でつーっとなぞる。
なぞった瞬間、それから瞬時に立体的な映像が浮かび上がる。俗にいうホログラム、という物か。
目を丸くする俊明は、そのホログラムが映しだしたある人物の顔を見、軽く驚く。
その人物とは、俊明である。俊明の顔が、ホログラムとなって宙に表示されている。
「こんな非常識な時間帯に尋ねてきて本当に申し訳ない。謝って早々済まないんだが、確認しておきたい事がある」
ホログラムと、驚嘆している俊明を並べながら短髪の女性は、言った。
「君が、安田俊明君で間違いないかい?」
――――――――
天へと届きそうなほどに巨大な、立ち並んでいる高層ビルの間を物ともせず、それ所か怪獣の如く破壊しながら、巨大な鉄の塊が跋扈する。
本来ならば、様々な人種が入り混じり、昼夜問わず活気に溢れている筈のこの場所は、今や阿鼻叫喚の地獄絵図と化している。
上海。天空を煌びやかに彩る星にも負けぬ、地上の高層ビル群が織りなす人工的な光の星々は、鉄の塊によって見るも無残な星屑へと帰られていく。
突如として現れたそれは、行方を遮る建物を物ともせず薙ぎ倒し、半壊させ、その周囲を逃げ惑う人々などお構い無しに歩き続ける。
そんな鉄の塊は、圧倒的な重量その物が武器となり、道路を歪な形に歪ませていく。闊歩した後には、破壊しか残らない。
凄まじい重量感に満ちた、どっしりと地面に根付く下半身に、右腕に掴むは、強力無比な遠距離攻撃を行う為の大型ライフル。左腕には、邪魔する物を寸断する、凶暴に反り立っている大剣。
何重もの重厚な装甲に守られた、工業的ながらも芸術性を感じさせる上半身に、刺々しく突き出ている頭部のアンテナと、赤く輝く二つのカメラアイ。
大剣を無慈悲に振り回して、前方にそびえるビルというビルを切り落としながら、鉄の塊は突き進んでいく。
鉄の―――――――否、突如香港に現れた、巨大なそのロボットは、一体何を目的としているのか、人々の平和を粉々にしていく。
『待てィ!』
その時だ。何者かの声が、破壊活動をし続けるロボットへと制止を駆ける。声がした方へと、ロボットは鈍い動きで振り向く。
夜の闇の中から、恐るべき悪鬼を退治せんと現わし、もう一体のクロガネの――――――――ロボット。
戦場を駆け抜けし、勇敢なる鎧武者を彷彿とさせる、武骨ながらも心震える様な男らしい立ち姿と、頭部でギラリと光る鋭い二つ目。
月の光が照らし出す、美しき黒い光沢。怒りに震える両手拳を力強く握り、正義の巨人、蹂躙されし香港の大地に立つ。
その巨人、名はネクソンクロガネ。世界に蔓延る悪を、自慢の鉄腕と、確固たる正義で打ち砕く、機械仕掛けの正義の巨人だ。
『これ以上好きにはさせんぞ! シロガネ四天王!』
そんなネクソンクロガネの操縦席で、操者であるヒーロー、田所カッコマンは啖呵を決めながら、モニター一面に映しだされている倒すべき敵を見、妙な感覚に囚われていた。
ネクソンクロガネと今、対峙している鉄の塊の正体。忘れもしない、忘れる筈が無い、熱き苦汁を飲まされた宿敵にして強敵―――――――合体ロボット、ネクソン、シロガネだ。
だが、大まかな形状や所有している武装は間違いなくネクソンシロガネに変わりないのだが、ネクソンシロガネとは全く異なる点がある。
それは、色だ。単純に、ネクソンシロガネとは色が違うのだ。
ネクソンシロガネの機体色は自らが絶対の正義と証明する様な、禍々しい神聖さに満ちた白色であった。
それに加えて、ゾッとする様な胸に迫ってくる威圧感、圧迫感があった。だが、今目の前に立っている、これはなんだ。
- 36 :
- 姿形、そして武器は間違いなく、シロガネだ。だが、機体色は大雑把な程に黒く、尚且つ何の迫力も感じる事が出来ない。
一体こいつは……こいつは一体、何なんだ? これではまるで、精巧に作られた張りぼての偽物と対峙している様だと、カッコマンは思う。
<カッコマン! 何してんだ! あの野郎、すっかりやる気だぞ!>
思わず思慮に耽っていたカッコマンは、ヘルメットから聞こえてきた通信にハッと我に変える。
気付けば距離を近づけてきたシロガネ、の偽物が、天高く大剣を力一杯に振り上げて、クロガネに振り下ろさんとしている。
「ちぃ!」
カッコマンは生じていた迷いをすぐさまに振り切り、クロガネの胴体、腰部をゆっくりと捻らせる。
そうして捻りを戻しながら、右足を一歩前に踏み込んで、力一杯に握った鉄拳を振り下ろされてくる大剣へと殴り込む。
瞬間、鉄拳と大剣が真正面から衝突しあう。超重量級同士の衝突に疑似的な地震が香港を揺らし、空気を震わせる。
<悪い、カッコマン! 奴の正体を探るからもう少し粘ってくれ!>
カッコマンにそう通信を入れ、クロガネの極太な右腕を高速で駆け昇っていく、一人の男。
男の全身は隙間なく眩い、若干透明に近い白色のプロテクターが装着されており、直線と曲線が巧みに入り混じった、ヒロイズム溢れる格好の良いデザインが施されている。
頭に被っているヘルメットには近未来的なバイザーと、仄かなユーモラスさを潜ませる、二本の直線的なアンテナがそそり立っている。その姿は、正にヒーロー然としている。
バイザーの中の男の目には、シロガネの恐らくコクピットらしき部位が映っている。クロガネが力比べしている間に、パイロットを――――――――。
が、次の瞬間、男の足元スレスレに、鋭利なナイフが深く突き刺さった。瞬時に、男は後方へと跳躍して距離を取る。
ナイフに括りつけられた、ピアノ線の様なワイヤーを数秒で巻き取りながら、何者かが男の前に立ちふさがる。
その何者かは、男と同じく白色の戦闘スーツに身をやつしている。違う部分と言えば、腰部の蒼く輝く宝石、らしき部分からグロテスクに全身に這っている、血管の様な青いライン。
ヒーローの二本アンテナとは対照的に、一本角の白いアンテナと、見る者が本能的に危険さを感じ取る、黄色い両目がヘルメットから覗く。
言葉を交わす事無く、何者かは無言で両足を地面に叩き付けるようにして走り出す。男へと、真正面から。
男は脳で考えるよりも咄嗟に体が動いたのだろう、何者かに向けて全力疾走する。
両者の距離がほぼお互いの攻撃が届く範囲に達した瞬間。
ヒーローは渾身の力を込めて右腕をストレートに貫き、何者かは空中で回転しながら左足を鞭の様に伸ばした。
激突する、拳と脚。ネクソンとシロガネが拳と剣をぶつけ合うのと同じ様に、敵対する者同士が己の力をぶつけ合う。
散る火花。その中で、男は何者かに、問う。叫び、問う。
「お前が……お前がどうして、こんな所にいる?」
「機械人形……殺し!」
だが、男は薄々感じている。今、戦っているのは機械人形殺しでは無い。
恐らく、機械人形殺しを騙る――――――――偽物だと、いう事に。
――――――――
掌に液晶板を置き、俊明の顔を表示させたまま、短髪の美人は俊明にそう聞いてきた。
真剣な表情で名前を効かれ、俊明は唖然とする。ただでさえ見知らぬ他人が家を訪ねてきた事に驚いているのに。
その他人が得体の知れぬ道具を使い、自分の名前を呼ぶだなんて。悪い夢でも見てるんじゃないかと、俊明は頬をつねってみる。
「夢じゃないわよ〜。何ならお姉さんが引っ張ってあげようか」
「クラウディア。今は真面目に聞いてるんだから茶化すな」
- 37 :
- 短髪の美人に諫められ、隣の長髪の美人―――――――クラウディア、という名前の女性は謝る代わりに短くペロッと舌を出した。
やれやれといった調子で軽く溜息を吐き、改めて短髪の美人は俊明に目を向ける。俊明は思わず視線を見返す。
一体この人達は何なんだ。本当に何なんだと、俊明は思う。藪から棒に現れて、名前を聞いてくるなんて無茶苦茶だ。
普通なら、不審者として即座に警察を呼ぶべきだと思う。思うのだが、不思議な事に。
俊明の指は、ポケットの中の携帯電話から少しづつ離れて行く。無論、この二人に警戒心を解いている訳ではない。
しかし、自分でもよく分からないのだが、俊明は直感でこの二人は悪人ではないとぼんやりと認識している。
こんな真夜中で来訪してくる時点で普通の、一般的な人種にも見えないが、少なくとも悪人特有の負のオーラは感じない。
しばらく、短髪の女性と俊明は見つめ合い、隣でクラウディアはにこにことしている。
睨めっこをしていても埒が明かない。俊明は根負けした様に、半開きのドアから身体を外へと出す。
ドアを閉めて、怪訝な顔つきで短髪の女性へと、言う。
「……俺が安田俊明ですが、何か?」
俊明の言葉に、短髪の女性はホッとした様に一息吐くと、液晶板からホラグラムを消してジーンズのポケットにしまう。
しまって、さっきまでのシリアスな雰囲気から一転、明るい口調で自己紹介し始めた。
「良かった。本当にこんな時間に呼びだして済まないな。私の名前はジュリア。ジュリア=ブルーストリート。
で、横にいるのはクラウディア。クラウディア=リィナ=イレールア。私のパートナーだ」
「宜しくね〜。私の事はクラウディアさんでも、クラ姉さんでも素敵なお姉さんでもどんな呼び方でも良いわよ」
そう言ってクラウディアは朗らかに笑う、ちらりと笑う時に見える八重歯が可愛らしい。
外見は外国の女優……具体的には浮かんでこないが、そんな雰囲気を感じる綺麗な女性なのだが表情や話し方に漂う無垢さのギャップに俊明は惚ける。
いや、惚けている場合じゃない。俊明は改めて、自らを尋ねてきたジュリアとクラウディアを見据える。
見据えて、敢えて直球に尋ねる事にする。
「ジュリアさんにクラウディアさんですね。分かりました。それで」
一旦間を作り、俊明は、言い放つ。
「それで俺に何の御用ですか?」
俊明の質問に、ジュリアは軽く頷くと、間髪入れずに答える。
「変に誤魔化したり遠回りな言い方は好きじゃないから、ハッキリと言わせて貰うよ」
無意識に、俊明の喉はごくりと唾を飲む。
「君と……君とシュタムファータァの力を借りたい。セカイの、身近に言えば揺籃島の危機なんだ」
しんと、空気が急に冷たくなる。真夜中という事もあるが、妙な間が三人の中に漂う。
気まずいというと言葉が悪いが、どうも胸の中がモヤモヤする様な、何とも言えない雰囲気がぷかぷかと宙を漂う。
「……だから私にこういう役目は向かないってあれほど言っただろ? クラウディア」
気恥ずかしそうに顔を俯かせて、ジュリアはどことなく悪戯っぽい微笑を浮かべているクラウディアに顔を向ける。
クラウディアはしょうがないわね〜とジュリアが困っているのを楽しむ様な軽妙な口調でそういうと、バトンタッチする様に、俊明の前に立つ。
間近で見ると、尚更胸が大きく見える。つい不埒な方向に目が向きそうになるのを堪えて、俊明は頭をしっかりと前方、クラウディアへと向ける。
「いきなりこんな大仰な事を言われてもちんぷんかんぷんよね。私達の気が変じゃないかって思っててもあながち間違いでもないわ」
そう言いつつ、クラウディアは俊明の顔をしっかりと見据える。見据え、真面目な声で俊明に届く様に凛とした声で、語る。
「そう思ってくれてても構わない。だけどこれだけは覚えておいて。私達は、貴方と、貴方の大切な人達を守りたくて、ここにいる。
ただ、それだけ。私達が貴方の元を訪ねたのは、貴方の意思を聞きたかったから。その為に来たの」
クラウディアの言葉に、俊明の顔付きが一寸、変化する。何か思う部分があったのか、それとも。
「戦いを強制させる権利も権限も私達には無いわ。もし、協力を断るのならそれはそれで構わない。
私達の仕事はこのセカイを脅かす存在が、貴方を含めて何の罪も無い人達に危害を及ばさない様に守る事だから。それで……」
- 38 :
- 紫煙
- 39 :
- 俊明は静かに、クラウディアの話している内容に耳を傾けている。考え事をしているのか、深く俯いており言葉を発さない。
その様子を見、ジュリアは軽く首を横に振ると無言でクラウディアの肩を叩く。が、クラウディアはジュリアが肩に乗せた手にそっと触れる。
触れて、少しだけ顔だけを振り向かせて目を配る。どうやら、俊明の返答を待っている様だ。
数十秒経っても、俊明は何も言わず俯いたままだ。ジュリアは軽く溜息を付くと、踵を返そうとした。
「……一つだけ、聞かせて下さい」
俊明の声が、二人の耳に確かに響く。
ジュリアは振り返り、クラウディアは何も言わずに、俊明の二言を待つ。
「俺は多分、俺自身の大切な人を守る事くらいしか出来ません。それに……それに、シュタムファータァがいないと、満足に戦う事も出来ない」
真っ直ぐな視線で、真っ直ぐな声で、俊明は言い切る。
「そんな俺でも、力になれますか?」
俊明の返答に、ジュリアとクラウディアは顔を見合う。
見合い、次の瞬間、クラウディアは弾けるような笑顔で俊明に応える。
「勿論! 宜しくね、安田君」
ふぅ、と一息吐いて、ジュリアも内心安堵している様な笑みでいう。
「良かった。内心断られたらどうしようかとハラハラしてたよ。まぁその時はその時だけど」
「ジュリちゃんそんな事言っちゃだーめ。折角やる気になってくれたんだから」
「ジュリちゃん言うな。……でも、今更こういう事聞くのもアレだけど、本当に良いんだな? 安田君」
ジュリアからそう聞かれたが、俊明の心は変わらない。力強く頷き、苦笑交じりに俊明は言葉を返す。
「えぇ。多分一分一秒も無駄に出来ない大事な気がするし、それに」
「こういう、非現実的な事にはもうずいぶん慣れちゃってますしね……」
後篇に続く
- 40 :
-
- 41 :
- 前篇の投下、終了です。支援をしてくれた方、こんな夜中なのに本当に有難うございます
後篇はもっとボルテージ高く、尚且つ一気に男坂エンドへと突き進む為身構える準備をお願いします
まぁそれは冗談として……
ラストに今回取り上げた作品の一覧を書きますが先んず
パラべラムの◆1m8GVnU0JMさん、廻るセカイの◆qwqSiWgzPUさん、Diver's shellUの◆a5iBSiEsUFpNさん
そして最強無敵ロボ・ネクソンクロガネの◆46YdzwwxxUさん、無断借用を心より謝罪しつつ、深い敬意を表して
後篇は月曜日、今日中に適当な時間に。スレ汚し失礼しました
- 42 :
- おつんつん
- 43 :
- お疲れさん。やっぱり、クロスは良いねぇ。
今となっちゃ懐かしい作品ばかりになってしまったが…
やっぱり、興奮するものは興奮するから仕方がねぇw
後篇も期待してんよ
- 44 :
- >>42-43
ありがとうございます。久々の投下でも温かく迎えてくれるロボスレには感謝感激です
では前置きもそこそこに後篇を投下したいと思います。>>40からの続きとなります
時間跨ぎなので恐らくモンキーには勝てる気がしますが、不安なので宜しければ支援お願いします。では
- 45 :
- 『遥ちゃん、聞こえてる?』
「聞こえてます」
『良かった。早速だけど緊急事態よ。対象が動き出したわ』
「やっぱり神……特異点に接触してきましたか」
『そう、貴方の予想通り。これからマップデータを転送しておくわ。キツいとは思うけど迅速な対応、お願い出来る?』
「……スネイルさん」
『ん?』
「……対象との決着、付けても構いませんか?」
『私は構わないけど、周りに被害を及ぼさない、犠牲を出さないって約束できる? 貴方の無茶の後始末はこっちが付ける事、忘れないでね』
「必ず特異点を保護し、対象を倒します。任務に戻ります」
「無事でいて……神守さん」
「……ハーディアス、あんたは、私が終わらせる」
――――――――
それから、俊明はジュリアとクラウディアが乗ってきたという、如何にも高級感に満ちている、流線型のフォルムが洒落ている外国車へと乗り込む。
座高が低い以外は驚くほど座り心地が良いシートと、上手く表現できないがあぁ、コレが高級車の匂いなんだなと思える匂いを俊明は堪能する。
俊明の頭の中には数えきれないほどの疑問質問が沸き出てしまって止まらない。全てを口に出すと、とてもじゃないが朝になってしまいそうだ。
そんな俊明を困らせぬ様にか、こちらから何か聞く前にジュリアとクラウディアは事細やかに、それでいて流れる様にありとあらゆる事を説明してくれる
自分達は別の世界、全く違う世界からやってきた事、本業は海底調査(をやる様な学者とかには見えないが。というか学者かも分からないが)で、半ば傭兵的な感じで今の仕事を行っている事。
様々な世界から異なるタイプの悪党が存在しており、その悪党に対処する為の組織が設立されている事。あくまで、自分達はその組織の末端である事。
その話のどれもが、俊明には俄かに信じがたい。信じがたいし、ある種信じる事を拒んでいる様な自分がいる。
ただでさえ、普段から非日常で非現実的な事に向き合っているのに、頭がどうにかなってしまいそうだ。
「一気に話しちゃってごめんね。ついて……これてないかな?」
口を若干開いて、脳味噌の処理が追い付いていないのか、頭から煙を出している俊明をクラウディアは心配そうに見つめる。
ハッとして口を閉じ、俊明は一旦考えを整理する。いや、正直簡潔に整理できるような量でも、質でもないのだが。
しばらく黙して、俊明の口からぼそりと、言葉が吐露する。
「……変な事聞いてすみません
- 46 :
- 「……変な事聞いてすみません」
そう言う俊明に、クラウディアは軽い口調で答える。
「何でも聞いてくれていいわよ」
「やっぱり信じられないんですけど、お二人は本当に……別の世界から来たんですか?」
俊明が投げかけた疑問を、クラウディアはふふっと楽しそうに笑い、運転席でハンドルを握っているジュリアは、きょとんとした表情を浮かべる。
俊明から投げ掛けられた疑問に対しての返答を、二人はほぼ同時に。俊明へと投げ返す。
「私が嘘を付く様な顔に見えるか?」
「私は嘘を付く趣味は無いわよ〜」
いや、顔見れないっすよお二方。と俊明は言い掛けて留める。
ほぼ予想通りとはいえ、ストレートに返ってきた答えに、俊明はどうリアクションを取れば良いのか戸惑う。
ポリポリと軽く困惑気味に頭を掻き、一先ず状況を頭の中で整理する。整理して、無理矢理にでも状況を飲み込んだ上でもう一度、尋ねる。
「分かりました、すみません。で……これからどこに向かうんでしたっけ」
ハッキリ言って混乱状態だ。何が何やら理解が追いつかない。多分本当の事を言ってしまえば、十分の二か三程度しか理解できていない。いや、二も理解できてるか怪しい。
「その前に煙草吸っていいかな? ちょっと一服したいんだ」
俊明の質問をするりとかわして、ジュリアは煙草を吸っていいかの許可を求める。
別に自分に構わず吸えば良いと俊明は思うが、キチンと了承を取る辺り、ジュリアは喫煙者としてのマナーを弁えている様だ。
あ、はいと俊明が気の無い返事をすると、ジュリアはありがとうと答えて運転席の窓を開け、フィルムが張られている比較的新しい煙草の箱を揺らして一本、口に咥える。
「安田君」
ライターで火を点け、一服し始めるジュリアを横目に、クラウディアは身体を振り向かせて後ろを向くと、真面目な表情で、俊明に話しかける。
「貴方が凄く凄く混乱してるのは理解できるし、私達もこんな強引な手段を選んじゃったのは謝るわ。でも」
一旦、言葉を留める。留めて、豊胸な女性はじっと俊明の目を見据えて、言う。
「でも、今はこの方法しか取れないの。貴方と、貴方の大切な人達を守る為には」
俊明はクラウディアの目を見る。嘘も誤魔化しも無い、綺麗な目だ。
事態はまるで飲み込めていないが、少なくとも俊明にとってジュリアとクラウディアは信頼まではいかずとも信用は出来る人物となった。
最も、だからと言って頭から爪の先まで信用しているかといえばまた別の話で。あ、そうだと俊明は思い出したように質問する。
「その……俺の両親や友人の安全とかは」
「それなら心配ない。組織は数日前から、君の周辺に異変や異常が及ばぬ様に手を回している。それに……」
ジュリアの声が若干、力んでいる様に聞こえる。
「それに、今日がほぼ執念場になるからな。協力してくれるからには期待してるよ、安田君」
「執念場? 執念場って……」
ジュリアが言った言葉の意味が良く分からず、俊明は詳しく質問しようとした。
だが、恐らく執念場という言葉の意味はきっと大きな戦いになるとかそういう意味だろうと思い直し、止める。
「おかしいわね……ハクタカ君、どうしたんだろう」
耳元にジュリアがさっき、俊明に見せた液晶板を、携帯電話の様に当てているクラウディアが困った様子でそう呟く。
ハクタカ……どこかで聞いた気がすると俊明は思ったが、もう頭がパンクしかけているのに何か思い出そうとする気力も沸かない。
クラウディアは根気良く指先で液晶板のパネルを押し、再び耳元に当てるが、ハクタカなる相手が応答する様は無い。
- 47 :
- 「出ないのか?」
「うん。彼の事だから道草なんて食べてる訳ないし。どうしたのかしら」
「面倒だな……ヘンヨに連絡は?」
「もう付いてる。シュタムファータァちゃんに何も無ければいいけど」
ピクリと、俊明の耳が動く。無論シュタムファータァの事を忘れていた訳ではないのだが、実際クラウディアの口からその名を聞くとは。
どこまで自分達の事が掌握されているかは分からないが、あながちこの二人が属している組織の情報力は伊達では無さそうだ。
にしても……シュタムファータァは戦いに賛同してくれるのだろうか。恐らく……。
「そろそろ着くから準備してくれ、安田君」
「着く……って、ジュリアさん」
俊明がキョトンとした様子でそう聞くと、ジュリアはにやりと口角を上げて、言った。
「組織の本拠地にして―――――――秘密基地だよ」
――――――――
どうにも寝付けない。何度も寝返りを打って目を瞑るが、どうも寝よう寝ようと思っても目が醒めてしまう。
のっそりと毛布から起き上がって、少女は乾いている喉を潤す為に、台所で牛Rでも暖めて飲もうと考える。
まだ肌寒い季節だからか、ソファーから立ち上がると急に寒気を感じて、適当に床に放り投げてある上着を着直す。
不思議と目が醒めている、というか冴えている為、電気を付けなくても冷蔵庫まで歩ける。
適当にテレビを付けると、面白くも無い深夜番組が流れだして無音状態である少女の部屋をほんの少しだけ賑やかにする。
普段は特に気にする事も無いのだが、今日はやけに一人だと部屋が広く寒々しく思える。電気を付けても多分変わらない。
冷蔵庫を開けて牛Rを取り出す。持ってみると結構軽くなっており、恐らくコップ一杯分程度で空になってしまうだろう。
思った通り、牛Rはコップの半分にも満たずに空になった。後でキチンと中身を洗って畳んでおこう。
それよりも新しく牛Rを買わないとなぁ……とレンジの中でクルクルと回っているコップを眺めながら、少女はぼんやりと物思いに耽る。
健やかな空の色の様な、綺麗な水色の髪を撫でながら少女――――――――シュタムファータァはソファーに座ってテレビを見ながらホットミルクを嗜む。
こうして見ると髪の毛の色以外はどこにでもいる、いや、そこら辺を歩いていてもあまり出会えない気がする整った容姿以外は普通の少女に見える。
しかし今の彼女の姿はあくまで人間社会に適応する為のいわば仮の姿だ。本来の彼女の姿は――――――――セカイを守る為に、あるいは壊す為に生み出された存在。
リーゼンゲシュレヒト。この世界に存在する既存の兵器とは次元も姿形も、何もかもが違う、単純に言えば戦闘を主としたロボット。
シュタムフータァを含めリーゼンゲシュレヒトは人知れず、世界の命運を掛けて死闘を繰り広げているのだが、それはまた別の話。
何故、俊明とシュタムファータァがR、そしてセカイを巡る熾烈な争いに巻き込まれたのかも、また別の話。
すっかり目が醒めてしまい、シュタムファータァは些か困ってしまう。
いつもならば一度目を瞑ってしまうとそのまま朝までぐっすり眠れるのに。何だか今日はどうにも眠りが浅い。
さっきから妙に、胸のあたりがドキドキとして収まらない。胸騒ぎという奴かもしれないが、何故胸騒ぎがするのかシュタムファータァには心当たりが無い。
最近は特に強敵や難敵が襲ってくる気配も無いし、イレギュラーな事態にも見舞われていないのに。
コップの中のホットミルクを最後まで飲んで、もう一度目を、ギュッと目を閉じて寝てみよう。
そう思い、シュタムファータァは横になろうとした。
その時だった。
誰かが、インターホンを鳴らした。こんな夜中に来客だなんて。
若干不審に思いながらも、シュタムファータァはコップをテーブルに置いて部屋の電気を付ける。
と、もしかしたらあまり顔を合わせた事はないが隣の人が部屋を間違えているのかもしれないと、ぼんやり思う。
しかしこんな真夜中に、というかここには割と長く住んではいるが、そういう勘違いでインターホンを鳴らされた事は一度も無い。
- 48 :
- 何だか、妙だ。どうもシュタムファータァの中でモヤモヤとした気持ちの悪い感覚が疼く。
胸騒ぎとこれに何か関係が在るのかは分からないが、もしかしたら虫の知らせ、なる物が働いているのかもしれない。
けれどもし部屋を間違えている人ならば、見て見ぬというか知らんぷりをするのは気分が悪い。
眠れないからか、やけに頭の中も冴えている。というより、寧ろ難しい事を考えれば眠りに付けるかもしれない。
一先ず様子を見てみない事には。シュタムファータァはドアへと近づこうとする。
「シュタムファータァ、俺だ。俊明だ。開けてくれ」
ドア越しから聞こえてきたのは、いつも聞いている馴染み深い声。
誰でもない、俊明、安田俊明の声だ。何だ、ヤスッちさんかと今まで疑っていた自分が阿呆らしくなる。
しかしそれならそうと早く声を掛けてくれれば良かったのにと、安堵した気分でシュタムファータァはドアへと近づく。
でも、こんな時間に何の用で……と思った矢先。
「ドアに近づくな!」
俊明とは違う、別の男の声が、それも怒声が響く。
その声にビクッと、シュタムファータァは身体を強張らせる。強張らせながら、一瞬で状況を判断する。
即座にドアから数歩後ずさると、男の怒声から間もなく。
音も無く静かに、鈍い光を宿した細長く鋭利な刃が、ドアを貫通して、シュタムファータァの目と鼻の先にまで迫ってきた。
次に聞こえてきたのは鈍く腹に響く様な銃撃音と、何か……人が倒れる音と、電化製品が落下した様な音? が聞こえてきた。
と、とにかく……何か武器を持たねば。少し引けている腰を無理矢理にでも立ち上げて、台所に向かう。
適当に包丁を取り出して、背中に潜めつつ、シュタムファータァは再びドアへと歩いていく。
インターホンではなく、ドアを二回叩く音。恐る恐る、近づいていくシュタムファータァ。
「開けてくれ、お穣ちゃん。怪しい者じゃない」
怪しい者どころか、恐らく命を助けてくれた恩人ではあるのだが、正直ドアを開ける勇気が出ない。
だが冷静に考えて刃を向けてきた輩が再び襲ってこない可能性は無いと言えない。寧ろ、経験上高確率である。
ならば一人でじっとしているより、信用出来るかどうかはともかく、協力した方が賢明だ。
「……ちょっと待ってて下さい」
そう答えて、シュタムファータァはドアに近づき、ドアノブのカギを回す。
そしてドアを開けて、命の恩人、らしき人物の姿を両目でしっかりと、見定める。
そこには、長身で一目見て異国人と分かる、彫りの深い端正な顔付きの男性がゴツゴツとしたやけにサイズの大きい拳銃を持って立っていた。
何よりシュタムファータァを驚かせたのは、男の髪の毛が紅い事だ。その髪の毛を見、シュタムファータァは小さく首を傾げて、呟く。
「……イェーガー……?」
シュタムファータァの呟きに、赤毛の男は返す様に首を傾げつつ、言う。
「……誰だそいつは? まぁそれはともかくお穣ちゃん、怪我はないか?」
「えぇ、まぁ」
「そうか。それなら良かった」
呆然としているシュタムファータァに、赤毛の男はロングコートの懐から、カードの様な何かを取り出した。
その何かはどうやら非常に薄い液晶板の様だ。液晶板に映っているのは―――――――シュタムファータァの、顔。
「私……? 何で私の顔が……?」
液晶板を仕舞い、赤毛の男はようやく、シュタムファータァに自己紹介をする。
- 49 :
- 「俺の名はヘンヨ。ヘンヨ・シュレ―。ちょっとばかしあんたを迎えに来たんだ」
「セカイを救って貰う為にな」
――――――――
目の前に、自分と全く同じ姿をした人間が立っている。私はいつ、鏡を立てたんだろうと神守遥はトボケてみる。
しかしこんな大きな鏡を立てた覚えはないし、なにより目の前の鑑の中の私は瞬きをしているではないか。
あれ、最近の鏡って映した人間に瞬きをさせる機能とか付いてるんだっけ? 凄いなー技術の進歩って凄いなー。
あまりにもぶっ飛んだ事態に遭遇すると、一周して人間は極めて冷静になってしまうらしい。遥は今日、覚えた。
いや、ぶっちゃけ何が何だか何だか何が起きているか分からず、脳味噌がショートしているだけかもしれないが。
何にせよ、遥の前には遥と同じ髪の色をして、同じ背丈の長さ、そして同じ顔をした少女が立っている事だけは真実だ。
遥の意識はすっかり覚醒してしまった。試しに頬をつねる。全力でつねる。痛い。現実だ。もうやだ。
多分これは夢だ。私はいつの間にか眠ってしまっていて、あまりにも眠りが深いから夢が夢だと認識出来ないんだ。
それなら思いきって話しかけてみようと、遥は思う。もしこれが夢の中ならば、きっと現実に帰る事が出来る筈だ。
掌で両頬を強く叩いて、遥は冷静さを取り戻す。取り戻して、もう一人の自分をじっくりと観察してみる。
最初はあまりの驚きで頭の中が真っ白になっていたが、冷静に観察してみると目の前の自分は要所要所大分違う事に遥は気付く。
まず、肌の色が違う。何と呼べばいいのか……鏡を見てるみたいにそっくりだから鏡遥とでも呼ぼうか。
「鏡遥」の肌の色は割と白みがかっている遥に比べて浅黒く、言うなれば褐色に近い。それでいて髪の毛に隠れているがその……。
その、胸が大きい。胸……あっ、と遥は鏡遥が今どんな姿をしているか、気付く。
はいてない。どころか、鏡遥は何も着ていない。生まれたままの姿だ。
そうか、だから胸の部分が髪の毛に隠れてるんだ……って、何言っているんだ私は。
全裸の女の子をこんな所に立たせたら風邪を引いてしまうではないか。そう思い、遥は鏡遥へと、謝る。
「ご、ごめんなさい! 私ついボーっとしちゃって……今服持ってきますね!」
そう言って遥は振り向こうとした、瞬間。
右腕を逆らえない程の強い力で抑えられ、思わず体が前のめりになる。
一体何が起きたか分からず、遥は軽く混乱する。いや、もうどこら辺から混乱してるかすらわからないのだが。
抑えられた末、遥の身体は力づくで振り向かされる。振り返った先には鏡遥が―――――――遥を、抱き寄せる。
「えっ、ちょっ、へぇ!?」
鏡遥は遥をぎゅっと抱きしめて、体を密着させる。遥の身体に、何とも言い難い感触が走る。
混乱と緊張と恐怖と大きな胸が当たっていることへの気恥ずかしさが入り混じり、遥の視界はグルグルと回転している。
気絶するのは時間の問題である。そのまま視界が真っ白に―――――――。
- 50 :
- 「……優しいんだな。この世界の私は」
耳元で、「鏡遥」の声が聞こえた。その声は遥と同じ声ながらも――――――――どこか、悲しげに聞こえる。
「えっ……」
反応する間もなく、「鏡遥」は手刀を遥の首元へと正確に当てる。途端、かくんと遥の身体は糸が切れた様にぐったりとなる。
恐らく失神ないしは気絶している遥を、「鏡遥」は細い肉体に反して軽々と肩に担ぐ。
担いで、開いている遥の両目を優しく掌で閉じると、虚空に向かって呼びかける。
「リヒティ。特異点は回収しました。出て来てください」
鏡遥の呼び掛けに、何処からともなく一つの影が、音も出さずに忍び寄ってきた。
その影の正体が蛍光灯の光に照らされてうっすらと、露わになってくる。身長は鏡遥よりもずっと大きい。
髪の色は毒々しいまでの青。目付きは鋭く、程度の差はあれどどんな人間にもある筈の瞳孔の光が、無い。
死んだ目をしている、という言い回しは良くあるが、正に男の目は死んでおり、雰囲気も合わせて生気をまるで感じられない。
「ハクタカとかいう害虫がいましたね。ちゃんと殺しましたか?」
鏡遥の質問に、リヒティと呼ばれたその男は、軽く頷き答える。
「頭部と心臓部に二発。もし外れていても、あれだけ激しい水流の中では恐らく」
「自分の目で死体を確かめていないのですか?」
鏡遥はリヒティを睨みつける。一寸、空気が凄まじく重くなる、錯覚を覚える。
何も言わず、リヒティは鏡遥の顔を見つめ続ける。数秒すると、鏡遥は軽く溜息を吐いた。
「まぁ良いでしょう。貴方の事は信頼していますよ、リヒティ。ただし彼が生きていたらその時は」
リヒティは力強く、答える。
「承知しております」
「なら良いです。後は彼らの本拠地を見つけ出し、根こそぎ叩き潰すだけですね……案外簡単そうです」
リヒティは全身をくまなく覆っている灰色のトレンチコートから、直線的なデザインが如何にも兵器である事を誇示している、物々しい……恐らくライフルであろう武器を取り出した。
取り出し、下部のスイッチを回すと目標を捉える為の補助であろう、レーザーポイントがまっすぐ射出される。そうしてリヒティは鏡遥に尋ねる。
「特異点以外は如何なさいますか?」
「どうとでも。貴方が殺したければ私は止めません。私は計画を進められればそれで良いので」
「承知しました」
「お姉ちゃん……? どう……したの?」
ふと、幼い声がして鏡遥とリヒティはそちらの方向を同時に振り向く。
そこには状況が分からず、呆然とした表情で遥の妹――――――――寝巻姿の彼方が立っている。
彼方の視線は鏡遥が担いでいる姉、遥の方を向いており、リヒティの武器にまでは気付いていない様だ。
「あの……何なんですか……?」
リヒティは彼方の額へとレーザーポイントを合わせる。合わせ、引き金を―――――――。
瞬間。
- 51 :
- リビング近くの窓ガラスを派手にぶち破りながら、何者かが遥の自宅へと飛び込んできた。
当然けたたましくなる警報装置にも、周囲に散らばっているガラスの破片にも気にも留めず、真夜中の侵入者は疾走する。
疾走しながら、リヒティが構えている武器のレーザーポイントと、彼方の間へと手に持っている黒色の杖を向けて、叫ぶ。
「リヒター!」
侵入者の叫びに答える様に、杖は急速に伸縮するとリヒティのライフルから放たれた弾丸を、彼方の額寸前で叩き落とす。
叩き落とされた弾丸は螺旋の如く回転しながら床へとめり込んでいく。侵入者は伸縮させた杖を元のサイズへと即座に戻す。この間、およそ0.05秒。
ソファーを飛び越え、侵入者は受け身をしながら、彼方の前へと滑り込む様に移動する。そしてリヒターと呼ぶ杖を、ビシッと鏡遥とリヒティへと突き付ける。
「やけに登場が遅かったじゃないか。それともタイミングを見計らっていたのか?」
先程までは落ち着き払っていた鏡遥の口調が急に刺々しく、尚且つドスの効いた声へと変わる。
「一条……遥」
被っているローブのフードが下がる。侵入者の髪型は偶然にも普段の神守遥と同じ―――――――三つ編みである。
名を呼ばれた侵入者―――――――否、一条遥は、鏡遥を見据え、叫ぶ。
「クイーン・ハーディアス……!」
「神守さんを……返せ!」
――――――――
何で……どうして……。
落ちていく。掌を広げて、答えを問おうとしても、届かない。
何も出来ず、何も言えず、抗う事すら出来ず、落ちて行く。
どうして……どうして俺を裏切ったんです……。
リヒト……さん! リヒト……エンフィールド!
「うわぁ!」
両目を見開き、鈴木隆昭はベッドから叫んで起き上がる。
頭が割れる様に痛い。一体、自分に何が起こったのかが理解できない。確か……そう、確か。
確か、任務の途中だった。スネイルから授かった任務を達成する為に、巨大な地下水路へと潜入していたのだ。
するとまるで自分を待ちかねていたかのように、闇に潜んでいた大量の戦闘用アンドロイド達が襲いかかってきた。
ここまでは良い。隆昭は自らの能力をフルに使い、襲い掛かってきたそれらを残す事無く駆逐した。
それから水路の出口に差し掛かった時、通信が入ったのだ。仲間である、リヒト・エンフィールドからの。
通信を受けて、出口に着いた時リヒトらしき影を見掛けた瞬間―――――――隆昭は、撃たれた。
その際瞬時に、頭部と心臓の部分にそれぞれ両手を伸ばして防御態勢を発動していたので、弾丸は掌に間一髪突き刺さっただけで済んだ。
だが、そのまま疲労と傷の深さから成す術く水流へと落下した。それでこのざまだ。
次第に頭の中が冴えてくると、己が置かれている状況が把握出来る様になってくる。
- 52 :
-
- 53 :
- ks
- 54 :
- 紫煙
- 55 :
- まず、傷を受けた両手には何重にも包帯が巻かれている。掌まで巻かれている為、しばらく動かす事は出来なそうだ。
鼻につく、あまり気分の良いものじゃない麻酔や薬独特の匂い。周囲は汚れ一つ無い白い壁で覆われており、多分この部屋には自分が寝かされているベッド以外物が無い。
そうか……病院か、と隆昭は思う。多分、水流に飲まれて流された末に誰かに助けられたのだろう。
頭を触ってみると、額の部分にも厚く包帯が巻かれている。動く度に、歯を食い縛りたくなる様な頭痛がする。
しかしこんな所で眠っている訳にはいかない。早く……本部に戻り事態を知らせ……ないと……。
異様に体がだるく、今にも意識が落ちそうな、中。
「お、おい……看護師さん! 看護師さん、来て下さい!」
誰かの、若々しい青年の声が仄かに聞こえてきた。次に聞こえてくるのは、慌ただしく看護師が部屋に入ってくる音。
意識が朦朧としている隆昭の近くに看護師が寄り添い、水を飲ませてくれる。程良く冷やしてある水は非常に旨く、隆昭は生きている実感を覚える。
「す……すまない」
「動いちゃ駄目ですよ。まだ傷、治って無いんですから」
まだ経験が浅そうな、女学生の様に見える看護師は心から心配そうに隆昭の容態を気遣う。
「たくっ……心配させないでくれよ」
看護師の後ろで、ホッと安堵したように溜息を吐く学生服の青年。
不思議そうに青年を見つめている隆昭に、看護師は微笑みながら説明する。
「彼が用水路で倒れてた貴方を見つけて、救急車を呼んでくれたんです」
「そうか……君が俺を助けてくれたのか……」
隆昭の言葉に、青年は軽く顔を背けてぶっきらぼうに言う。
「別に助けたつもりはない。只、倒れてる人間をそのまま見過ごせるほど薄情じゃないだけだ」
そう言い、青年は踵を返す。返して、後ろを振り向かずに言う。
「じゃあ俺帰ります。後はお願いします、看護師さん」
「待ってくれ」
隆昭はどうにか身体を起き上がらせると、青年へと呼び掛ける。
「君の名前を聞いておきたい。いつか、この礼を返せるかもしれない」
「良いさそんなの。別に見返りが欲しくて助けたんじゃないし」
そう言って部屋を出ようとする青年に、隆昭はせめてものと、自分の名前を教える。
「俺の名前は鈴木。鈴木隆昭。この礼は……いつかじゃなく、必ず返す。覚えておく」
隆昭の自己紹介に、青年は振り返らない。振り返らないがぼそりと、言い放つ。
- 56 :
- 「……マコト。俺の名前は、マコト・アマギだ」
――――――――
揺籃島を舞台に暗躍する謎の勢力、フェイカー。
「彼らは私達の姿を限りなく模倣して活動しているわ。ともすれば、私達自身に化ける事も出来る」
「どうしてそんな事を……?」
「単純に考えれば、私達の組織を内側から崩す為……でも、それなら神守さんを拉致した理由が分からないわ」
「あの時と同じく、神守遥が何らかのキーになってるんじゃないか?」
「その答え、私が教えてあげよう」
「貴方、いつの間に……」
―――――――
予期せぬ裏切りと、望まぬ暴力の火花。
「お前、誰に銃を向けているのか分かってるのか?」
「分かっているつもりです。分かっていなければこんな物騒な物を向けませんよ」
「隆昭! お前、本気でリヒトに」
「落ちつけ、ヘンヨ。隆昭、なら俺は銃をヘンヨに向ける」
「なっ……!?」
「もしお前が本当に俺を偽物だと思うなら引き金を引け。もしお前が言う通り俺が偽者なら、俺はヘンヨに向かって銃を撃つ」
「……そういう事らしいぞ、隆昭。どうする? 俺は乗るぞ」
- 57 :
- 「……俺は、俺は……」
――――――
セカイの明日を巡り、三人の遥が交錯する。
「気分はどうですか? 神守遥さん」
「貴方は……どうしてこんなひどい事をするの……?」
「ハーディアスは……私自身です。だから、私が彼女を倒さなきゃならない」
―――
玉座を中心に、ハーディアスはパノラマのように広がる、己の中心をぐるりと囲んでいる巨大なモニターを見、恍惚とした表情を浮かべる。
そこに映しだされるは、正に火の海と化した都市の姿。至る所から人々を焼き尽くす業火が沸き立ち、異常にドス黒い煙が道路を覆う。
人の声は聞こえてこないが、想像するに地獄、としか言いようの無い状況である事は容易に理解出来る。
「もう……もう止めて! ハーディアス!」
- 58 :
- え
- 59 :
- 玉座へと続く、長い長い階段で遥は打ちひしがれ、悲痛な声を上げる。
「こんな事したって……貴方は誰にもなれない! 私にも、一条さんにも!」
そう叫ぶ遥を、ハーディアスは冷たい目で見降ろす。見下ろしながらすくっと立ち上がり、階段を降りてくる。
そして遥の前でピタリと立ち止まると、ゆっくりとしゃがみ、遥の顔を指で持ち上げる。
「良い表情だ。お前のそういう表情が見たかった」
「ハァァァディアアアアアアス!」
凄まじい勢いで、一条遥は階段を駆け上る。そして、うな垂れている遥を弄んでいるハーディアスへと、リヒターを構える。
階段の段差を蹴り飛ばして、天高く一条は飛び上がり―――――――両手持ちしたリヒターを、ハーディアスへと振り上げる。
攻撃を仕掛けてきた一条に対して、ハーディアスは表情を変える事無く、何故か片手を天高く掲げる。
掲げて人差し指と親指を付け合うと、空間に響かせる様に派手に指を鳴らした。
瞬間、玉座から一条目掛けて何かが跳びかかってきた。異様に巨大な図体からは想像出来ない、身軽な跳躍。
咄嗟に遥はリヒターを構えて防御の構えを取るが、跳びかかってきたそれは一条へと強く握った拳を真っ直ぐに、ぶつける。
一瞬意識がトぶかと思うほどの衝撃。直撃はどうにか避けたが、思わず体勢を崩し、一条は階段を転げ落ちる。激痛により意識が軽く混濁し始めるが―――――――決して、負けた訳じゃない。
「くっ!」
どれだけ転げ落ちただろうか、無理矢理にでも意識を保つ為に歯を食いしばる。
食い縛りながら、一条は階段にしがみ付き、体勢を取り直す。その時、遥の両目に映ったのは―――――――。
- 60 :
- 「白い……リヒター……?」
遥とハーディアスを護る様に立ちふさがる―――――――リヒターに似た白く巨大な、何か。
ハーディアスは一条を見下す様に、尚且つ憎悪をこめた目線を向けながら、言い放つ。
廻るセカイ×パラべラム
「さぁ、リヴァー。お前の力を一条遥とリヒタ―・ペネトレイタ―に見せてやれ。そして……殺せ」
HARU×haru
「細胞の一片も、残すなよ」
STRANGE DREAM 2
The one Knight carnival
「ぬぅぅぅぅぅぅおおお!」
お世辞にも快適とも言えないコクピットの中で、青年は汗だくになりながらも必死に操縦桿を握り迫りくる敵という敵をなぎ倒していく。
青年が操縦しているのは誰もが憧れる、というか男ならば一度は乗ってみたい、言わずもがなスーパーロボットだ。
パネルラインが幾層にも成形されている重厚な胴体部は鎧を連想させ、また頭部で勇ましくそそり立つ二本角は、まるで兜を被ったサムライの様だ。
- 61 :
- 「鷹介! あと敵はどれくらいいる!?」
名前を呼ばれて、鷹介という名前の青年は若干怒気をはらんだ口調で言い返す。
「数え切れる程度なら苦戦して無いだろ!」
その時、空から今、戦っている敵とは全く違う何かが、雲の隙間を縫って徐々に降下してくる。
「何だ、あの黒いの……あれもフェイカ―とやらか?」
鷹介は操縦桿を操り手を止め、空から舞い降りてくるそれに目を向ける。
「何……何だ、アレ……」
パラべラム!
ヴィルティック・シャッフル
最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ
Diver's shellU
漆黒の魔神の中で、男は閉じている目を開く。
廻るセカイ-Die andere Zukunft-
目を開き、ぼそりと、呟いた。
カインドオブマシーン
グラインドハウス
地球防衛戦線ダイガスト
CR ―Code Revegeon―
「……また来る場所を間違えた様だな、藍」
2014年、始動予定。嘘です。
今回参戦した作品の作者さん、並びに全てのロボスレ作品に尊敬と敬意を表して。
- 62 :
- 投下終了しました。
支援して下さり、本当に有難うございます。猿った事により投下が一時的に滞った事を心からお詫びいたします。
今回の企画で無断借用してしまいました各作品、並びに各作者さんには改めて謝罪いたします。すみません。
謝罪しつつ、いつでも連載作品の続きや再開、並びに新たな作者さんによる作品の投下で、ロボスレが盛り上がるのを一住人として楽しみにしています。
また、今回のクロスで面白そうな作品があるなと思ってくれた方、>>1のウィキには参戦作品を含め素晴らしい作品が沢山収録されております。
是非それらの作品に触れ、また気軽に作品の投下を待っているので、貴方が住人として参加するのを楽しみにしてます。雑談とかでもおKですよ
最後に今回の参戦作品のウィキ収録ページのリンクを張っておきます。
こちらから跳べますので是非是非
PBM:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/47.html
廻るセカイ:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/349.html
DSU:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/322.html
ネクソンクロガネ:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/85.html
カインドオブマシーン:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/669.html
グラインドハウス:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/1058.html
ダイガスト:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/590.html
CR:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/99.html
ヴィルシャ:ttp://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/191.html
それではスレ汚し、大変失礼いたしました。
また半年後くらいに
と書くつもりが連続投稿で引っかかるとは……orz
- 63 :
- >>62
改めまして投下乙!
……うん、まあ、しかたないよね
まだマイナーなんだからさ、うん
- 64 :
- 感動した。こんなに嬉しいことはない。
ありがとう、ありがとう。
- 65 :
- 投下乙です。
弊作の見慣れた名前があって盛大に吹きました。
やはりタロさんの作品カバー率は凄いですね。
- 66 :
- ロボットとかメカ系の萌SS書きたいからラノベ読んでみたいが
ISって文章的にどうなの?
UCガンダムやフルメタよりとりあえずISが今書きたい主題に近いからさ
中二書きたいからラノベ探してたときは禁書は文章変だからやめとけ言われた
- 67 :
- ハーレムはハーレム、メカアクションはメカアクション、必ずしも一作品に絞る必要はないのでは?
むしろいろいろ読んで、自分に合うのを探したほうがいい。
変なのに当たっても、まあ損にはならない……はず。
古本屋に行ってパラめくってみては。
ISは読んだことないけど、話に限ってはあまり評判はよくなかったような気がする。
文章力は知らん。
- 68 :
- あ、ラノベ板にこんなスレもあるな。
・戦闘描写が上手いライトノベル
・【総合】パワードスーツ、メカ少女作品
このへんでオススメないか聞いてみるのも手かもよ。
- 69 :
- ISは商業作品としては稀に見る反面教師
キャラクターやストーリーに世界観、メカニック設定まで隙なくツッコミどころだらけ
文章にしてもSSでもないのに「げえっ、関羽」とかやっちゃうレベル
- 70 :
- このスレで手本になりそうな作品ってあるかね
- 71 :
- スレ内なら素晴らしい中二にあふれているぞ。
- 72 :
- いや文章とかそういう意味で聞いたんだw
あとサゲわすれすまん
- 73 :
-
__|__ __|__ __|__ _/_ | |
/ヽ / __|__ /
/ ヽ `ヽ/ /ヽ /  ̄ ̄
/ \ _/ \_ _/ \_ / ヽ__
/::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ`ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::',
|:::::/ 7¨¨ `ー''l | ̄`ヽ:::!:::::|
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|::::i!.rriiiiii.`i i i!riiiiiii, i:::|:::::|
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| i! r! !ヽ l/ |:::::',
l .i! ` ´ i /::::::::、 /!
l:::i! `==≠´ ノ/;;;:::::::::ヽ、 ./ /_//
i::::j ヽ、 `¨¨´ / |;;;:::::::::::::::::`-'"::::::::::::::/
|./ノ >、__ イ .l;;;::::::::::::::::::::::::::::_,.-''"´
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_,.-''" ', ; ヽ、
,.__,.-‐一''"´ '., , ' `ヽ
┌:┐┌┐ ┌:┐┬‐ _/__
|二l l二| l二l |二コ / ヽ | \
| ┌‐┐.| ‐;┬.ヒ二| / __| | |
| └‐┘」 ノ`ト、ノ ヽ (_ )\ \/
- 74 :
- 中二な文章ってのも難しいな
- 75 :
- >>70
文章力すげーって言われるのはDS世界観のシリーズ
同じく描写の情報密度すげーって言われるのはワイルドアイズ
- 76 :
- 最近、何がどうなら中二なのか分からなくなってきた
- 77 :
- 厨二というとドラグリヲかな
重苦しい世界観と表現、いかにもな要素で単体だと「うへえ」となる所を、
勢いとキャラクタの強さで中和しつつ、より厨二成分を高めているといった印象
- 78 :
- ドラグリ男は読もう読もうと思いながらなかなか決心がつかなくて読めない
- 79 :
- お前等、最近何か楽しい事とかあった?
- 80 :
- あった
ガンダムXディバイダーが白くて美しかった
- 81 :
- おこんばんわです。久々にロボスレが賑わっていて何より
一先ずクロスを読んでくださった皆様に多大なる感謝を
短めですが返答でも
>>63
す、すみませぬ……じ、次回、次回こそ……
今後の投下を楽しみにしています(頭を下げつつ
>>64
そう言って頂けると本当に書いた甲斐があります
こちらこそありがとう、ありがとう
>>65
そう言って頂けると書き手冥利に尽きます
いえいえ、師匠の方がずっとカバー率高いですよ
ね、師匠(ニヤリ
- 82 :
- では師匠と話題が出た所で
遅ればせながらPBM4周年という事で
プロローグをサウンドノベルらしき動画にしてみました
少しでも原作の恰好良さ、面白さが再現出来てたら幸いです
ttp://www.youtube.com/watch?v=_w49Huk7-K4&feature=youtu.be
では、師匠の今後、ロボスレの今後を楽しみにしつつ半年後くらいに
- 83 :
- >>82
ニコニコにもうpするべき
- 84 :
- >>83
ご要望に答えました
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm20141013
こちらもよろしくです
- 85 :
- >>84
かっけぇw
- 86 :
- 皆、規制の波に飲まれたか……
- 87 :
- いや、別に
- 88 :
- 亀の歩みで投下準備中です〜
- 89 :
- いたのか。安心したぞ
皆もっと雑談とか書いて良いんじゃないかな
- 90 :
- 語ることも語り合いたいことも無いしなあ
- 91 :
- 自分から振れるネタもないですし、
感想を書くにはまだ準備不足……
- 92 :
- バトルロボット魂でビランビーが猛威を振るっているとの噂
- 93 :
- 公式PVがネガティブキャンペーンにしか見えなかったアレね…
もう出たの?
- 94 :
- まあ、ダンバインが空飛ばない時点で俺的には選外だけどな
本気出せばかなりの時間ブーストで滞空できるらしいが、ダンバインの飛行ってそういうことじゃないだろ
- 95 :
- てす
- 96 :
- >>85
あざっす!ちょっとだけ自信沸いたよ!
てな訳で数週間ぶりです図鑑スレ。
今回、また懲りずに動画を作ったのでこうしてスレに参上いたしました。
それぞれ趣向が違う動画ですが、暇つぶしの間際、楽しんで頂けると幸いです。
まず、自作のロスガの新作をサウンドノベルもどきで作ってみました
ttp://www.youtube.com/watch?v=DR5Y6bvv95A&feature=youtu.be
最後に続きはSSとは書いてありますが、やる気になればまた動画にしたりしなかったり
次は現在も誠意的に活動されている古時計屋さんの作品、CRをプロモ風に宣伝してみました。シャレオツと少しでも思って頂けたら嬉しいです
ttp://www.youtube.com/watch?v=DR5Y6bvv95A&feature=youtu.be
最後にごめんなさい、上の二つは前作のアオモリーションみたいなネタ要素が無いんだ(´・ω・`)
だからせめてのお詫びでパラべラムを某アニメの次回予告風にしてみたよ。これで許して欲しい
ttp://www.youtube.com/watch?v=DR5Y6bvv95A&feature=youtu.be
何か続けてURLを張り続けるという業者みたいな事をしてすみません。
では半年後辺りに
- 97 :
- ってURL思いっきりミスってるし……こちらがリベジオンのCM
ttp://www.youtube.com/watch?v=7XHmJIk0TnA
こちらがパラべラム次回予告です
ttp://www.youtube.com/watch?v=TD2uB_7Xgu4
ホントごめんなさい。半年位身を潜めます
- 98 :
- なんかすげーもんキターw
- 99 :
- まじで最後の誰www
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- 1read 100read
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