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2013年10801576: 耐震強度偽装でその801 その4 (233)
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耐震強度偽装でその801 その4
- 1 :2010/09/12 〜 最終レス :2013/07/23
- 登場人物
姐葉(天然魔性。現在黒羽刑務所)
氏の塚(愛憎ダイエット)
尾島(トゴにツン。最高裁上告中)
富士田(オジーにデレツン?!執行猶予も終わり元気にしている)
ツノケソ(アチャー)
内革(自称特級建築士)
魔淵 (支持じゃないですか!現在、国交省副大臣)
他…
《オジー弁護団》
夜須田(超有名主任弁護士。焼酎が好き。パソヲタ。大学時代はワンゲル部でバイクはダカールに乗ってた)
末井(異議あり連発でリアル逆裁。去年懲戒で自宅謹慎。ヤンデレ)
蔓実(オジー姦悶の補佐人でイチャイチャ。新宿2丁目近くにに事務所移転。趣味バイク、BMWF650GS)
麻比奈(クールにガン飛ばし。趣味イタリア料理。蔓実先生をリアルでは「蔓ちゃん」と呼ぶ)
耶麻下(ではよく寝てます…。ツイッターにはまり中。独身)
深夜(蔓実と仲良しダンディさん。新橋に事務所移転、独立。ERのコバッチュ似。一部ではプレスリーとも)
ナマモノにつきsage推奨。ただし様子見て消えそうならageるということでよろしく。
前スレ http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1198768987/
- 2 :
- 耐震強度偽装で801・その3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1190133429/
耐震強度偽装で801・その2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1153926719/
耐震強度偽装で801
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1133183386/
- 3 :
- 最近出版されたオジー関連の本
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062165171/ref=pd_lpo_k2_dp_sr_1?pf_rd_p=466449256&pf_rd_s=lpo-top-stripe&pf_rd_t=201&pf_rd_i=4594053084&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_r=0ZYAF7Z72KP8XEPY4099
で証拠採用された「も〜だ〜みだ〜」などの録音データの入った豪華CDつきw
- 4 :
- ついでに懐かしのトゴタンの本
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%8C%E5%85%A8%E7%89%88-%E6%9C%88%E3%81%AB%E9%9F%BF%E3%81%8F%E7%AC%9B-%E8%80%90%E9%9C%87%E5%81%BD%E8%A3%85-%E8%97%A4%E7%94%B0-%E6%9D%B1%E5%90%BE/dp/4062140756/ref=pd_sim_sbs_b_4
- 5 :
- 「おい、大丈夫か冨士田……っ?!なっ、んで……ぐっ…!」
冨士田を気遣う声が『信じられない』と戸惑い、驚愕を表し、すぐに悲鳴にとって代わる。
蔓実のつま先が尾島の左手を軽くかすめていた。軽く、しかし確実に。
左手を庇いながら床の上に蹲る尾島。だが、蔓実の行為を誰も気づいてはいなかった。当の尾島以外は。
気を失いそうなほどの激痛に耐える尾島の前で、蔓実は静かに言った。
「何故なんです?どうして僕らの前から消えようとしたの?それが知りたいんだ」
更にもう一歩を踏み出してこようとする気配を察し、尾島は目を剥いて床の上を転げ回った。
その衝撃で尚一層左手が痛んだが、もうそんなことはどうでも良かった。
恐ろしい。蔓実が怖い。その無遠慮に繰り出されるつま先から逃れたい。
原始的な恐怖に突き動かされて尾島は逃げた。恥も外聞も無かった。
「……?」
尾島の様子に疑問を覚えたのか顔を上げた冨士田に、蔓実は膝まづいて肩に手をかけた。
「冨士田さん、ありがとう。こんな酷い目に逢わせて…申し訳ない…」
「いや、僕はいいんです…ちょっと恥ずかしくて顔を上げられなかっただけだから…
シャワーさえ浴びられたら…綺麗になったらそれで帰りますから」
「…どこへ?」
「う……」
未だ無職の身の上を続けているであろう冨士田に、蔓実は鋭い言葉を投げた。
流石に冨士田も返事が出来ずに口籠ってしまった。
「ねえ冨士田さん、この際です、僕の知り合いに何件か求人出してる所があるんですよ。
新人じゃなくて、ある程度経験積んだ人が欲しい職場って、不況でも結構あるもんでね。
あなたさえ良ければ…僕に恩返しさせてもらえませんか」
眼鏡がなくて焦点のぼやけた目で、冨士田は蔓実を見上げた。
「こんな時に就活?蔓実さんて、よくわかんないなぁ。厳しいんだか優しいんだか」
「ふふ、罪滅ぼしですよ…あそこの彼が撒いた種の、ね」
どやどやと忙しなく駆けつけてきた救急隊員に担架に乗せられて括り付けられ、真っ青になっている尾島を
横目で冷ややかに眺めながら、蔓実は立ち上がった。
「さ、僕らも病院に行きましょう。大丈夫ですよ、僕が身元引き受けしますから。あなたも酷い怪我してますよ」
- 6 :
- あは〜ん
- 7 :
- ちょw魔淵さんが国交省大臣になったww
- 8 :
- 魔淵さん会見
http://www.youtube.com/watch?v=4KdiPMPeYEU
マッチョだ
- 9 :
- 喉が渇いた、と思って目を開けた。
…真っ暗な中に白い布団と白い柵が浮かび上がって見える。
どこだ?ここは?
身体が熱くて…重い…動けない。
何か声を出したら、俺のそばに誰かが寄って来た。
「目が覚めましたか。水が欲しい?」
……先生…俺が答えるより先に、俺の口元に水を付けて…でも身体が受け付けない。
気持ち悪くなって吐き戻すと、それを拭き取ってくれた。
俺は…そのまま再び気を失うように眠りに落ちて行った。
次に俺が目覚めたのは、周りのやかましい金属音や人の出入りする気配でだった。
そうだ。ここは病院だ。それも、切った張ったの沙汰が多い、飛び切りけたたましい所だ。
身体中に薬を塗られて妙な検査をされ、あっという間に半日ほど時間が過ぎた。
だが俺は一人きりだった。嫁も娘も…病院には付き物の所謂『付き添い』ってヤツがいない。
それに、先生…昨夜は確かに俺に付いててくれたはずだ…
今更言えた義理じゃねぇが、まだ礼の一つも言ってないじゃないか。
それに冨士田…あの後どうなったんだ?今お前はどこにいる?無事なのか?
俺はこれからどうなっちまうんだ?それを誰に聞けばいい?聞いてもいいのか?
誰か答えてくれるのか?
周囲を賑やかしく行き交う人に囲まれながら、俺は一人で絶望感に苛まれていた。
- 10 :
- 結局、俺はその二日後に、身体中に繋がれていた管とやかましい金属音から解放された。
静かな個室と柔らかい食事、日に一度の処置と検温。
そして長い長い時間が俺に与えられた。
飲んでる薬のせいか、身体の痛みは殆んど感じない。左手の腫れも引いてきた。
熱も下がってきて、少しなら歩いてもいいと許可が下りた。
だが何のために?歩いたからって、どうなるってんだ?
俺はこれから…どうすれば…誰にも言えない不安が一気に俺に押し寄せてくる。
静かな部屋が一層恨めしい。俺を責める声がそこら中に満ち満ちている気がしてくる。
ベッドに腰掛けて俯く俺の目の前に、見慣れた革靴が佇んでいるのに気付いたのは、大分時が経ってからだった。
「…ちっとは反省したんですかね?」
「…あ…」
懐かしいこの声。俺が慣れ親しんだ、待ち望んでいたはずの声。
だが、俺の身体はガチガチに固まってしまい、冷や汗が一気に噴き出してきた。
忘れようとしても身体が覚えちまってる。
あの時、『これで助かった』と思った瞬間に足蹴にされたこと、よりにもよって骨が剥き出しになった指を
痛めつけられたこと、とてつもなく冷たい声で問い詰められたことを。
怖くて恐ろしくて顔が上げられない。
何となくだが、そんな風にされた理由はわかるんだ。そう、俺が悪いんだ、多分。だけど…
「…何も言ってくれないんですね。じゃあ帰ります」
踵を返す素振りを見せた目の前の足に、俺は取り縋って叫んだ。
「ま、待ってくれよ先生!頼む、礼を言わせてくれ!助けてくれて…ありがてぇって思ってんだ、それに…
悪かったよ。俺が悪かった。黙って消えようとしたことを怒ってんだろ?悪かったよ…本当に」
固まってた身体を無理矢理動かして、一気に捲くし立てちまった。
俺を見下ろす先生の顔は相変わらず冷たくて、俺のこと便所のネズミの糞みたいに思ってそうだった。
「本当に?本気で言ってるんですか?」
先生の手が俺の顎を捉える。掌が熱い。
- 11 :
- その熱い掌で俺の首筋をぐりぐりと撫で回してくる。
俺は身動きできずに、なすがままにされてる。撫でられてる所が熱くて燃え上がりそうだ。
じっと俺を見る先生の視線が肌に突き刺さってくる。痛い。
ほ、本気で言ったんだよ先生。悪かったって。黙ってないで何とか言ってくれよ。
熱くて、痛くて、この沈黙に耐えられなくて、俺はにそうなんだ。
喉が強張って声が出せないけど、心底済まないって思ってるよ。
頼む。俺に何か言ってくれ、頼む…。
しばらくして口を開いた先生の声は、怒りのためか少し震えてるように聞こえた。
「…あなたに別れるって言われた後、麻雛くんがどれほど悲しんだかわかりますか?
深夜くんがそのことでどれほど心を痛めたか?二人とも…すっかり胃を荒らして…。
あなたとあの業者界隈の動きに気付いた夜須田さんがどんなに驚いたか、それを調べた末井くんがどれだけ骨を折ったか。
それを後聞きした僕がどれだけ……あなたは、弁護士は仕事だから依頼者に付き合ってる位にしか思ってないでしょ。
冗談じゃない。あなたは夜須田さんが依頼者にとことん感情移入していることを知らないんだ。
僕ら弁護士が、どれだけ依頼者の側に立って物事を考えてるか知らないんだ。
それに冨士田さん…あなたのことを聞いた冨士田さんがどんな思いであなたの家へ向かったのか…
されるかもしれないのに『それでもいい』って言いましたよ、彼は。
『まだにたくはないけど、それであなたが助かるなら』ってね」
一旦言葉を切ると、先生はがっちりと顎を掴んで、俺の頭をぐいっと引き上げた。
「…っ!」
「あなたに僕の気持ちがわかるんですか?!皆があなたのこと思って心配してる時に、僕は何も知らないで…
僕があなたのことを知らされた時には、既に何もかもが動き出してたんだ。
僕がどれほど悲しくて悔しくて情けなくて、辛くてもどかしくて…それを、あなたは…!」
- 12 :
- こんな先生は初めて見た。目を剥いて口角泡を飛ばし、怒りの表情も凄さまじく俺に掴み掛かってくる。
だがその口元は笑っていた。ニヤリと、不敵に。
俺はぞっとした。ぞっとして、『狂っちまった』と思った。
その口が俺の口を捉え、動けずに固まっている俺の身体は抱えられてベッドに押し倒された。
舌で歯列をなぞられ、口の中を思うさま舐め取られ、吐く息を吸い尽くされ、
俺は息も絶え絶えになって喘いだ。
手足に力が入らない。身体を動かせない日々が続いたせいか、筋肉が萎えているのがわかった。
元々ガタイのいい先生に俺が力で勝てるはずもなかったんだが、
今の俺は気力も衰え、罪悪感で打ちひしがれ、先生に抵抗するつもりも失っていた。
それでも、その手が俺の竿を探り当てた時には、俺は必になって先生の口から逃れた。
「な、何やって…止めてくれよっ!」
冗談じゃない。ここは病院だ。
何時誰がやってくるかわからないじゃないか。
口元に凄惨な笑みを浮かべたまま、先生は更に俺の上に圧し掛かってきた。
「家族のことやのことで、込み入った話をしますが大丈夫ですか?って言ってきましたよ。
許可はもらいました。時間はたっぷりあります。たっぷりとね」
逃げられない。助けも呼べない。許してもらえない。
再び口を塞がれて身体中を弄られ、俺は声にならない悲鳴を上げ続けた。
- 13 :
- どうしてこうなっちまった。
俺は先生のこと好きだけど、こんなのは嫌だ。
俺が悪いのはわかってる、だけど、こんなやり方は嫌なんだ。
先生の唇が俺の乳首に吸い付き、きつく緩く噛みついてくる。
片手はもう片方の乳首を揉み、片手は竿の付け根をぐっと締め付けている。
……つらい…けど、漸く喋れるようにはなった。
「っ…せんせっ、悪かった、謝るよっ…だ、から、許して…」
「駄目です。許せませんね。…一体何故なんです?どうして麻雛くんにあんなことを言ったんですか」
俺のことを弄び続けながら、先生は冷たい声で俺のことを問い詰めてくる。
何故?実は、そこんところが俺自身にもわからねぇ。
俺が姿をくらまそうと思ったのは、何時まで続くか先の見えなくなったに嫌気が差したからだ。
世間じゃあ全く騒がれもしなくなった物に、俺はどれだけ縛り付けられなくちゃならねぇんだ。
ただ単純にそう思っただけだ、あの時は。
ここまで事が大きくなるなんて考えもしなかった。
なんざ忘れて田舎で羽根を伸ばしたい、それだけだった。
あいつがそんなに落ち込むなんて思わなかったんだ。
だが…その後は?羽根を伸ばして、その後どうするつもりだったんだ。
あいつらに捕まらなかったとしたら?
山に籠ってあいつらをやり過ごしたとして、その後は?
しばらくのんびりしたとして、それから?そのまま俺は田舎で朽ち果てるつもりだったのか?
それとも元の生活に戻る?
わからねぇ、何度考えてもわからねぇんだ。
「…そんなあやふやな考えに僕らは振り回されていたんですか。益々許せないですね」
俺はいきなり腰を抱え上げられ、大きく息を吐いた。
- 14 :
- >>13 wktk!!
酔っ払ってる夜須田先生画像拾いますた
http://kunyon.com/shucho/img/100726-07.jpg
- 15 :
- 慣らしも無しにいきなり…っ、痛ぇ、止めてくれ!無理だ、入らねえよ!
女じゃあるまいし、弄れば勝手に濡れるもんじゃねえぜ!
あんたも痛いはずだ、止めてくれって……ぁあ、い、入れやがった…
何も潤滑剤を塗ってないそこからは、皮膚の擦れ合いから起こる痛みと熱さしか感じない。
俺は精一杯の力で先生から逃れようとした。
好きとか嫌いとか、良いとか悪いとかそういう問題じゃない。
とにかく痛かった。
そりゃあ俺だって処女ってわけじゃ無いけど、こんなことされて笑ってられるような趣味を持ち合わせてもいない。
今、ようやっと水気のある音がし始めたのは、尻が裂けた所から流れた血のせいだ。
それで少しは抜き差しが楽になったみたいだが、俺は身体を切り刻まれる痛みに身悶えていた。
眉を顰めて口をへの字に曲げ、それでも先生は抜き差しを止めなかった。
違う。こんなんじゃない。
にたくなかった、助かりたかった。けど、こうなりたかったわけじゃない。
声をして叫ぶ俺を無視して、先生は俺の中に全てをぶちまけた。
「ぅ…っ、はぁ……、あなたは、僕のものだから…放さない…から」
何時の間にか涙を流してた俺の顔を両手で挟み、先生はその雫を舌で舐め取った。
「あなたは僕のものだ。あなたを取り戻せるなら、僕はどんなものでも喜んで利用した…
夜須田さんだって誰だって。冨士田さんもね。
冨士田さんに事情を話した時に『俺が行きます』って言ってくれた時にはうれしかったですよ。
あなたの物を使ってあなたを取り戻せるなんて、最高じゃないですか。
『あなたのこと、信じて待つ』って思ってましたけど、ただじっと待ってるつもりはなかった。
どんなことをしてでも、あなたを手放しはしませんよ。
あなたと繋がっていられるなら、力ずくのセックスでも何でもする。
……軽蔑しますか?それとも、感謝してくれます?」
気の違ったような表情で、あんたは俺のことじっと見詰めてくる。
くそっ。だからってこんな……わかんねぇよ!俺には、何にもわかんねぇよ!畜生!
- 16 :
- あんた、言ってることがわけわかんねえよ…
俺のことを心配してたって、俺のこと欲しいって言っといて、何で俺にこんな酷ぇことするんだよ。
わかんねえよ本当に。
俺だって人のことは言えたもんじゃないんだろうが…だからってあんたにこんなヤられかたをする理由は無えだろ。
何でなんだよ。どうしてだよ畜生。
ぶつぶつと泣きごとを呟く俺に構わず、先生は、また俺の腰を抱え直した。
俺は再び貫かれる衝撃に耐えようと身体を固くした。
ところが。
先生の腕の力がだらりと抜け、俺の身体はベッドマットに沈み込んでいた。
「………尾島さん」
その声の調子がさっきと打って変わって暗い。
「自分を止められないんだ。あなたに嫌われるってわかってるのに。
僕も…自分で自分のことが理解出来ないんだ。止められない…どうしても…」
泣いちゃあいなかったけど、泣いてるんじゃないかって位に声が湿ってる。
先生…あんた一体…いつも冷静なあんたらしくないぜ。
俺一人のことでそんなにおかしくなっちまったってぇのか?嘘だろ。
どんな時でも落ち着いて自信たっぷりだったあんたが?
先生のそんな姿は見たくなかったぜ。
つうか、俺があんたをそんな風にしちまってたのか。
やっぱり俺が…俺が悪かったのか。
先生よ、止められないんなら止めなくて結構だ。俺のこと好きにしてくれよ。
こんな俺でも良いってんならよ。
そう言って先生を見上げた俺は、先生の目の中の狂ったような光がまだ消えていないことに気づいて
少しばかり震えていた。
- 17 :
- やべぇ、早まっちまったか。
びびって腰が引けそうになった俺の肩ががっしりと押さえられた。
先生はそのまま俺の股間に顔を埋めた。
時折水音を立てて俺自身を頬張り、丁寧に扱くように口を上下させてくる。
今までと違った優しげな扱いに、俺は感じ入って溜め息を漏らした。
熱い舌が俺自身に何度も纏わりつき、吸い上げてくる。
与えられる刺激が全て心地よい。最高だ。
竿の先から汁が流れ出してるのがわかる。頭の中が蕩けそうだ。
そして俺の身体はうつ伏せに反され、四つん這いになっている所を、後ろから貫かれた。
くっ…さっきよりかは痛くねえけど、それでも…きついぜ。
先生がずい、と腰を進める度に、みりみりと裂けた穴が切り裂かれていくように感じる。
流石に声は上げなかったが、俺はシーツを握りしめて頭を左右に振り、それに耐えた。
「尾島さん、ごめん。我慢出来なかったんだ」
先生の動きが止まり、俺の背をすっと撫でた。
…いいんだよ。あんたが我慢出来ないようになるほどのことを、俺は仕出かしてたんだろう。
仕方ない。自業自得だ。構やしねぇよ。
「…ごめん。本当に」
先生の指に力が入り、掴まれた腰が砕けそうになる位にモノが奥まで突き入れられ続けた。
何度も意識が飛びかけたが、俺はギリギリのところで踏み止まった。
ここで気を失ったら、その後でどんな大声を上げちまうかわからねぇ。
その思いだけで何とか頑張ったんだが、先生が俺からモノを抜き去って果てた後は
俺もベッドの上に崩れ落ちちまった。
- 18 :
- …あ、俺、目を開けたまま寝てた…意識があるようで無かった…
身体を前に反されてから気付いた。油断してたぜ。
ぼやけた視界の中で、先生の姿が前後に動いていた。身体が何か熱い物でごしごしと擦られてる。気持ちいい。
先生…俺の身体を拭いてくれてるのか。
「看護師さんに着替えを貰って来たんですよ。
あなたが着替えたいって言ってるって話したら、じゃあ熱いタオルもどうぞって言われたんでね。
シャワーを使えるのは、後二日経ってかららしいですよ」
有り難ぇ。何やかやあって汗臭かったから、すごく気持ちいいぜ。
少々だるくて身体中痛むけど、今はすっきりした気分だ。
「…尾島さん、そのまま聞いて下さい。冨士田さんはあの後、この病院で点滴打って、
しばらく休んでから帰って行きましたよ。彼は大丈夫ですから。
あなたのこと気にしてたから、その内面会に来るんじゃないですかね?
それと、奥さんですが…実は娘さんの所へ行ってて、しばらくこちらには来れないとのことです。
娘さんの所に出入りがあって…あ、目出度いことですから誤解しないで下さいね。
これ、プリペイド買っておきましたから使って下さい。奥さんにだけこの番号を教えてあります。
奥さん、電話口で泣いてらっしゃいましたよ…病院に行けなくて申し訳ないって。
後で電話してあげて下さいね」
- 19 :
- 俺の身体を拭き終えてゆっくりと袖を通してくれながら、先生はいつもの声で話していた。
済まねえ。何から何まで恩に着るぜ。
俺…人生投げそうになってたけど、まだ頑張らなきゃいけないのかな。先生どう思う?
「当たり前でしょう。あなたが…」
先生が俺に話しかけてきた所で、俺担当の看護師が部屋に入ってきた。
「あ、着替え終わりましたか!ちょっとお熱測っていいですかね?」
俺は身体のだるさと、ぶり返してきた火照り、殴打箇所の痛みを訴えた。
「ああ、ちょっと微熱ですねー。冷やしますか?それとも痛み止めと熱冷ましを一緒に飲んどきます?」
それから、薬の処方やら、外来診察を終えた主治医の診察やらが始まり、
ちょっと部屋に居づらくなった先生は俺に暇を告げた。
「じゃあ尾島さん。また来るから」
じっと俺を見詰める先生。俺も先生を黙って見詰め直した。
何も言わなかったけど、もうそれでわかったよ。
ありがとう先生。俺、本当に迷惑かけた。また、来てくれよ。
- 20 :
- 久しぶりに姐たん関係ニュース
破産してるし姐たんにもう払うお金も何もないんだけどなぁ…
http://orz.2ch.io/p/-/kamome.2ch.net/newsplus/1285762832/
http://orz.2ch.io/p/-/toki.2ch.net/bizplus/1285766796/
では息子さんにも払えとかとんでもないことを長までが言ってたのを思い出した
それはあんまりだろうと…
スレでは同情的なのもちらほら
- 21 :
- 電車の中で携帯のメルアドを探し、じっと見つめてリセットする。
また開いてアドレス帳を繰り、じっと見つめてリセットする。
そんなことを何度か繰り返してから、蔓実は大きく溜め息を吐いて携帯をポケットにしまった。
(ここで言える話じゃないしなあ。メールで送るにしても…何て書けばいいんだか…
アポ無しで、このまま直接行っちゃおうか)
尾島に面会したことを麻雛に伝えようとしているのだが、そもそも電車からは無理だということに気づいたようだ。
今ならまだ彼は事務所にいるだろう、と踏んで、蔓実は最寄りの駅に降り立った。
夏の名残りの日差しがまだ残る町並みに、悲しげな蝉の声が消え入りそうに響いていた。
「あ、蔓実さん!久し振り」
「どうも、お邪魔します…元気かい?」
最初は帰り支度をしている秘書に、次は麻雛に声をかけ、蔓実は開いている椅子に勝手に腰を下ろした。
同業者同士の気楽さか、取りようによっては無礼な振る舞いだが、
蔓実の自分を気遣わし気に見やる様子を麻雛は咎めるつもりはなかった。
苦笑しながら出された茶を自分も飲み、麻雛は『御苦労さま、もう上がって下さい』と秘書を帰した。
「…で?やっぱり尾島さんのこと、ですか」
「………うん」
口が重い。喉が塞がる。
電車に乗っている時には考えもしなかったが、今になって蔓実はあのことをどうやって伝えたものかと
悩み始めていた。
結局、麻雛手ずから淹れた茶を4杯飲み干してから、漸く蔓実は尾島が言った通りのことを…
別れを告げたのは単なる気紛れで深い意味などなかった、と告げた。
言い終えてしまえば、何をそんなに悩んでいたんだろうと思える中身だが、
短くさらっと言えるものではなかったのだ。
蔓実自身がまだこのことを突き離して考えられる状態にはなっていなかった。
- 22 :
- あは〜ん
- 23 :
- 「ごめん。本当に邪魔しちゃったね。
僕が言いたかったのは、尾島さんは君のことを嫌ってなんかいないってことだよ。
行き当たりばったりで適当なこと言ってさあ、僕らのこととかそれからどうするのかなんて
何にも考えて無かったんだよ。それって迷惑な話だよねえ。
おかげでこっちは大変だったのにさ。やれやれだよ」
口籠っていた時間を取り戻そうとするかのように、蔓実は早口に捲くし立てた。
こうして言葉にすることで、尾島に対して抱いていた疑問や不満を自身の中で噛み砕き、咀嚼しようとしていたのかもしれない。
「ねえ、最近どうなの?ごはん食べられるのかい?調子は?」
黙ったまま笑みを浮かべてそれを聞いている麻雛に、蔓実が水を向けると
「…いいんです、蔓実さん。僕、結局全然わかってなかったんですよ、あの人のこと」
寂しげに頷いて答えた。ハッとするほど蒼白い顔で。
「僕、あの時、ただもうわけがわからなくて混乱して、深夜くんに八つ当たりしそうになったり自棄になりかけたりして。
でもその後、同じように尾島さんのことが理解出来ないって深夜くんに泣かれて、ふと思ったんです。
人の心の中なんて絶対にわかるわけないじゃんって。当たり前なんだけど。
自分が人のことを思うほど、人は自分のことなんか思いもしないじゃないですか。
だから、もう自分のことだけ考えようって思ったんです。しばらくして、それでも尾島さんのことを好きだったら
また追いかけよう。でもそうじゃなかったら、僕は…
- 24 :
- あの人の方から会おうとしてくれるんなら良いんです。拒否しません。
でも僕、もう疲れたんです、こんな苦しい気持ちでいることに…あの人を追い続けることに」
背後の大きな窓から差し込んでいた陽の光は、今はすっかり勢いを失い
室内には俄かに闇が拡がってきていた。
デスクライトのスイッチに手を伸ばそうとして、はたとその手を止め指を組み直している麻雛に
蔓実は憂わしげに声をかけた。
「君はそれでいいの?本当に?」
「……」
組んだままの指を口元に当て、麻雛は小さく笑って見せた。
「蔓実さん、あの人を抱いてきたんですね」
「ん、……うぇっ」
いきなりの指摘にむせ込む蔓実。
「図星ですね。あの人のにおいがするもの」
げほげほと咳き込み続ける蔓実を楽しそうに眺めながら、麻雛は立ち上がって伸びをした。
「大丈夫ですって。踏ん切りはつけましたから。頑張って働かないと…仕事も溜まってきちゃったし」
まだ顔色は冴えないが、口調に力が戻って来たように感じられて
蔓実は涙目をしながらも麻雛を頼もしく見直した。
「…ふぅ…そうか、なら僕も安心して仕事を頼めるよ」
「え…?」
「実はさ、僕、尾島さんの拉致犯を殴っちゃってね…ついつい。
民事起こされたら担当しようと思ってたんだけど、ちょっとマズイだろ?
だから、彼に話を聞きに行って欲しいんだよ。
…僕の頼みなら会ってくれるんだろ?君の方から追いかける訳じゃないんだから、さ」
戸惑っていた顔が、ぱっと赤らんで、次には泣きそうに歪んでいた。
窓の外には、無数のネオンの灯りがきら星のごとく輝いていた。
- 25 :
- なんか長々と引きずっててすいません。でも楽しいです
- 26 :
- >>25
姐さんいつもありがとう
萌えさせて貰ってますよ!
- 27 :
- 「はあ、これで一応一区切りついたちゅうことか?なあ末井、蔓実さんは何て言うてる?」
「…あ、ああはいはい、わかりました、伝えておきます…夜須田さん、蔓実さんから、今ビル内に突入したって…」
「うーん、突入か…誰も怪我人が出んかったらええんやが…待つしかないんかな」
事務所内の自室の中、パソコン画面上で電波発信機の位置を確かめ続けていた夜須田と、
その足元で蔓実からの電話にコンタクトし続けていた末井と。
お互いが離れた場所で同じ事件を追い続けている。かれこれ数十時間も。
下手をすると人や手負いも出かねない状況だけに、ずっと緊張を強いられ続けており
室内の二人ともに極端に口数が減っていた。
まだか。突入の結果が出るのはまだか。囚われた人間の確保は。一体どうなっている。
十数分の沈黙の後に、蔓実で登録していたのとは違う爽やかなメロディーの着メロが流れ、末井は思わず噴き出していた。
張り詰めていた緊張の糸が、ふっと切れてしまったようだ。
「……あ、深夜くん?どう…終わったって?尾島さんは…無事?え、怪我してるって…冨士田さんは…うん、そう。
わかった…夜須田さんには伝えておくから。お疲れさん。蔓実さんにもよろしく」
通信を切って顔を上げると、自分を食い入る様に見詰める夜須田の顔があった。
「…何やて?誰が怪我したんや?」
「あ…すいません」
へらへらと笑ってしまっていた末井は、流石に不謹慎と思ったか表情を改めた。
「終わりました。尾島さんは手に酷い怪我をしてるけど無事です。冨士田さんも、その、彼らにいろいろと、
されたようですけど…主に後ろに。でも大丈夫ですって。蔓実さんはそのまま二人の付き添いで病院へ行くって」
前のめりになっていた身体が徐々に緊張を解かれ、座っている椅子にぐったりともたれ掛かった。
眉間の皺が消えるとともに、溜めていた息がふーっと吐き出される。
「…そうか…良かった…」
無意識に動いた指が画面を右クリックし、発信機の存在を削除する。
そしてもう片方の手が、小首を傾げる末井の頬を撫で、愛しげに摘んだ。
「末井、いつも済まんな。ありがとう」
- 28 :
- 「………別に…ただ仕事の合間に電話受けてただけだから」
顔を赤らめた末井が視線を逸らして呟くと、夜須田も机の上の書類の山に目をやった。
「そうやな。確かに『仕事の合間』やった。…二日ほど寝てないような気もするが、気のせいやな」
うーんと背伸びをして身体を解そうとする夜須田に、末井は遊び盛りの子猫のようにじゃれ付いた。
「こら!まだ蔓実さんから電話受け取ってないやろ!まだ二人の怪我の様子も分からんのに…」
「夜須田さん、さっき、ありがとうって言った…言ったもん…だから、ちょっとだけ」
夜須田の背後から腕を回し、椅子の背もたれごと抱き締めてその肩に頬を埋めてくる。
耳元で甘えた声を出す50過ぎのおっさんに溜め息を吐きながら、夜須田は
(まあこの位なら許してやらんこともない…俺も疲れたしな)
末井のするがままにしばらく身を任せた。
ところが、最初は心地よく思えた互いの体温が、徐々に暑苦しくなってくる。
「おい末井、お前汗かいとるやないか?熱いんやろ。離れぇや」
「やだ」
半ば意地のように首っ玉に齧りつき続ける末井に腕を伸ばした所で、さっきのとは違う
ここ数日聞き慣れてきていた着メロが鳴り響いた。
渋々、といった風に末井は携帯を手に取る。
「はい、末井…え?手術?そんなに酷いの?!……うわ…うん、わかった。
うん、そっちもお疲れさん、ちゃんと休みなよ。じゃあ」
またも心配そうに身を乗り出してくる夜須田を手で制し、末井はその足下に再び蹲った。
ある意味、末井の定位置とも言える場所だ。
そこから犬のように吠えまくり、猫のように甘えてしな垂れかかってくる。
図体のでかいペットを飼っているようなものだ。
「で…どうなんや、末井」
「尾島さんの左手の小指、潰されて爪が取れちゃってるんですって。
骨が剥き出しになってるから、皮を被せるのに手術するそうです。
身体中殴られてるから色々調べなくちゃいけないし、一週間は入院必要だって。
あ、冨士田さんは大したこと無さそうだって言ってました」
- 29 :
- 夜須田はゆっくりと天井を仰いだ。
そのままじっと目を閉じ、尾島や富士田の境遇に思いを致す。
それを末井は悲しげな目で見守っていた。
世人は知らずとも末井だけは知っている。
夜須田が依頼者のために泣き、怒り、とことんまで憂い嘆く人間であることを。
何もそこまで、といつも思いながら、逆にそれを誇らしくも感じる。
誰も知らない、だが、自分だけが知っていればいい。
末井はそっと夜須田の足に腕を回し、熱い頬を脛に押し付けていた。
「………何や、襲って来んのか」
「え?」
不意に降って来た言葉に居を突かれた末井が顔を上げると、そこには暖かな夜須田の笑みがあった。
「流石にお前も疲れたんか。ええわ、ちょっと休もか」
床に敷きっ放しのマットに、夜須田はどっかりと腰を落としてきた。
身体を固まらせたままの末井を抱き寄せ、頭をぐりぐりと撫で回す。
「ほんまにどうした?お前らしゅうないやないか。やっぱり無理させ過ぎたか?」
「…違います…びっくりしただけだから。夜須田さんこそ、いつもなら仕事場じゃ嫌がるのに」
「阿保、疲れ過ぎるとな、頭が冴えてよう眠られへんのや。どっかでストレス解消せな、な。
まあ、たまにはええやろ、声さえ出さんけりゃ…
おい末井、せやからって激しいのは無しやぞ!絶対!頼むから!」
破顔一笑した末井が力一杯抱きついてくるのを、夜須田は抑えるのに苦労せざるを得なかった。
- 30 :
- 屋上にでも出たら、少しは涼しい夜風が味わえるかもしれないってさっきまで思ってたんだ。
けど、甘かったぜ。
昼間の間に熱せられたコンクリートからは、湯気が立ちそうな熱風が巻き起こっていて、
俺は真っ暗やみの中で一人悪態を吐くしかなかった。
その病院の屋上は、低い柵に囲まれただだっ広い、何もない空間だった。
萎えた足を引きずって柵の方へ歩いていくと、
取り立てて綺麗なわけでもない街灯やら家の灯りやらがぽつぽつとそこかしこに見えた。
柵に手をかけ、はあ、と溜め息を吐く。
ごく普通のありふれた風景。
俺がのうが生きようが、何を仕出かそうが、世間様には何の関わりもないんだ。
この風景が変わることはないんだ。
当たり前のことなんだが、考えてみればそれは恐ろしいことで、またとてつもなく悲しいことだ。
世の中に打って出よう、勝負してやろうと様々に動いた、足掻き続けた己の過去が
全く無駄なことだったと思い知らされるようだ。
虚しさに胸が詰まる。
くそっ。ロクでも無えことしか頭に浮かばねえ。
舌打ちしながら振り返ろうとした俺の首根っこに、その時、後ろから誰かがいきなり飛び掛かって来た。
な…あ…止めろ、誰…
徐々に締め上げられ、息が続かなくなってきた俺は、そいつの腕を引き剥がそうともがいた。
するとそいつは柵の方へにじり寄り、自分の体重を柵の外の方へと傾け始めた。
ヤバい、落とされる、道連れにされる…俺が必になってその腕を振りほどいてみると、
そいつは尻餅をつきながら俺の方を睨みつけてきやがった。
「……冨士田!どういうつもりだ!」
- 31 :
- 闇の中でも、きらっと光る眼鏡とその下の丸っこい目玉は俺にもわかった。
「俺のこと、付けてきたのか」
そう言う俺の言葉に頷くような素振りを見せたかと思うと、奴は起き上って俺の腰に喰らい付いてきた。
そのままコンクリートの床に転がった俺の上に馬乗りになり、滅多やたらと拳をぶつけてくる。
畜生、こないだから痛い目に遭わねえ日が無え。
「尾島さんの馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿っ!」
散々罵声を浴びて叩かれ続ける。
正直な所、奴の力なんざたかが知れてる。腰の引けた、ケンカなどやったことのない人間の手打ちだ。
だけど今の俺には、それすらもキツい。
気力も体力も衰えまくっている上に、俺には奴に対して大きな借りがある。
借り、なんて言葉じゃ足りないな。俺が生きているのは奴のおかげだ。
あの時、命懸けで俺の所へ来てくれた。奴がいたおかげで時間稼ぎになった。助けまで呼んでくれた。
どれだけ感謝してもし足りない。
そんな男に罵られながら拳を受け続けるのは本当にキツい。
「尾島さん、俺のこと、俺のこと放っておいてどこへ行くつもりだったのさ?…
俺びっくりして、飛んでったらいきなり捕まって、ヤられちゃって…」
上の方から、拳の代わりに水が降って来た。塩ょっぺえぜ。
「…あ、あのまま、んじゃうんじゃないかと思った、尾島さん血だらけだし、俺は、ちょっとだけ殴られたけど
あいつらに突っ込まれて、痛いし、次から次と、その時は思わなかったけど、あ、あとから恥ずかしくなって、
恥ずかしくてにそうに、にそうになって」
しゃくり上げながらどもりながら、奴は今まで吐き出そうにも吐き出せなかった思いをぶちまけてくる。
済まねえ。俺が悪かった。お前ぇは何も悪く無え。
もういい。いいんだ。一人で辛い思いをさせたな。どんどん吐き出せ。俺が受け止めてやる。
俺が手を差し出すと、奴は寝転がったままの俺の胸にむしゃぶりついてきた。
罪作りな男になっちまったな、全く。
- 32 :
- わぁわぁと子供のように泣き声を上げる冨士田を、つい可愛い奴、と思っちまった。
両腕でしっかり抱き締めてやると、奴の声は更に大きくなる。
おかしいな。女相手だと、こういう愁嘆場は面倒臭え以外の何者でも無えってのによ。
ついつい、こいつが泣き止むまであやし続けちまったじゃねえか。
俺も焼きが回ったもんだ。
「……して」
俺の耳元に口を寄せて、奴が何事かを囁いた。
漸くしゃくり上げるのは収まっていたが、掠れた鼻声だから上手く聞き取れない。
え?何だと?俺が聞き返すと、奴は顔を上げて真顔で言った。
「消毒して」
おいおい、俺は看護師じゃねえぞ。消毒って、一体何のことだよ。
「…俺の中、あいつらの出したもので汚れたまんまなんだ。尾島さんので綺麗にして」
にこりともせずに奴は言う。
お前ぇ…マジかよ。こないだの先生といいお前ぇといい、皆おかしくなってんじゃねえのか。
この調子で皆が狂っちまってるとすると、俺の身体が持たねえんじゃねえか。
そう思った俺は、ぞっとして背筋を凍らせていた。
そんなことはお構いなしに、奴は俺のズボンに手をかけてずるりと下げた。
ひっ、と柄にもない声が俺の喉の奥から漏れる。
だらしなく萎んだ俺のそれを、奴は躊躇なく咥えこんだ。
- 33 :
- 生温かい粘膜に包みこまれて扱かれ、俺の欲望が暴き出されていく。
こ…んな所で…止めさせようと足で冨士田の肩を蹴りつけようとしたが…それは出来ない。
今しがた自分を救ってくれたことに感謝したばかりの相手を足蹴に出来るか?
俺はそれほど人でなしじゃ無い。
だがこのままじゃ…口だけ達者なこいつに口では勝てないだろうし、今のこいつに聞く耳もなさそうだし。
しばらく扱かれ続けていれば、俺は情けない喘ぎ声を上げて達してしまうだろう。
誰もいないとはいえ、ここは屋外だ。
すぐ下の階のヤツが窓を開けでもしたら、何もかも丸聞こえじゃねえか。
冨士田の泣き声ならまだしも、俺はそんな声を他人に聞かれたかねえぞ。
力ずくで冨士田を止める…?無理だ、そんな体力は残ってない。
ならば声を出さないまでだ。
声を堪えるために、何か掴むものは無いかと両手を精一杯動かしてみたが、
硬いコンクリートの表面で指先を傷付けただけだった。
…っ、いきなり、裏筋を……っ!思わず右手が冨士田の頭に伸びる。
もう片方で自分の上着の裾を引っ張り上げ、それを口の端に運んでいた。
すると奴が動きを止め、俺の方を見上げた。
「尾島さん、ごめん」
馬鹿野郎。ごめんと思ってるんなら、やるな。
というより俺を見るな。
途中で手を止めるんじゃねえ。素に戻っちまうだろが…ぁあっ!
後ろに指……そ、それは、反則…っ!
勃たすために後ろを使うなんざ、今時吉原でも流行らねえ…!
野郎、『ごめん』ってのはこのことかっ!
歯と歯の間で上着がぎりっと音を立て、俺は吐き出さないままに昇りつめてしまった。
- 34 :
- ………はあ、畜生、今、俺、声出さなかっただろうな…自信無えけど。
後ろだけでイっちまったってか…俺、どんだけ好色なんだよ…くそっ、情けねえ。
何時の間にか力任せに奴の髪の毛を引っ掴んでた俺の指を、冨士田はゆっくりと握ってきた。
い、痛かったのか…?
一瞬でも奴のことを心配しちまった俺は、まだ甘ちゃんだった。
冨士田は俺の右手を俺の竿に添えさせて、そのまま足を開いて跨ってきた。
おい、何時ズボン脱いだんだよ。
つうかお前ぇ、濡らしてねえのにいきなり、痛くねえのか…ば、馬鹿、腰下ろすな…っ!
入っちまったぞ!うぅ、くそ、それだけでイっちまう…背筋が痙攣してるのを止められねえ。
コンクリートに小刻みに打ちつけてる所がひりひりと痛む。
きっと擦り傷だらけになってるはずだ。
でもそんなことに構ってられねえ。
冨士田は未だ俺の後ろで指を蠢かせてる。
それだけで、時折頭が飛びそうなほどの快感に襲われ、
俺は上着を噛み締めることでやっと己を保っている。ぎりぎりだ。
なのに奴がちょっと尻を締め付けるだけで、今度は竿を伝って爆発しそうな快感が沸き起こる。
その上、奴は腰を激しく上下させて……
敏感にされちまった俺の身体は、もう耐えるだとかなんだとかいう代物からは別の次元に飛んじまった。
ただただ欲望に振り回され、それに酔い痴れる生き物。
何度イったか、何度意識を飛ばしたか、それすらもどうでも良くなった。
結局声も上げ放題だ。ざまあみやがれ。畜生。
冨士田、手前ぇには負けたよ。最後の最後まで俺に吐き出させず、手前ぇがイった後にきっちり中に飲み込みやがった。
願わくば、手前ぇが次に目覚めた時に、今のことを覚えて無えことを…抱いててやるから少し寝やがれ。この馬鹿野郎が。
- 35 :
-
「……あ…」
ん。起きやがったか。
冨士田は、伏せていた顔を上げてまだ赤いままの目を瞬かせた。
「尾島さん、俺…どの位…?」
あ?そうだな、5分か10分ってとこだな。
それを聞いて、慌てて身体を持ち上げようとする冨士田を、俺はもう一度抱き寄せた。
おい、まだ礼を言ってなかったな。
冨士田よ、済まねえ。お前ぇは命の恩人だ。ありがとよ。
本当はもっと沢山の礼を言ってやってしかるべきなんだろうが、これ以上はこっ恥ずかしくて無理だ。
それでもこいつは、俺に圧し掛かったまま無言で肩を震わせ始めた。
いつもなら『豚』だの『デブ』だの言ってやる位重てえんだが、まあ今日は特別だ。抱いててやるぜ。
しかし…んー、参ったな…おい冨士田、言いたかねえんだが、もうすぐ消灯時間ってやつなんだ。
このままの恰好でここにいるのはマズいんだが、どう思う?
奴ははっとして起き上り、自分のズボンを探し当ててあたふたと履き始めた。
おーい、ちょっと待て。その前にお前ぇの中のもの、出しといた方がいいんじゃねえのか?
すると奴は真っ赤な顔になり、その場にしゃがみ込んだ。
少し力を入れると、湿った音を立てながら、俺の放った粘液が奴の後ろから垂れ下がってきた。
それがあの日の…冨士田を犯したやつ等のことと重なり、何か熱い物が腹の底から湧き上がってくるのを
俺は止められなかった。
冨士田、済まねえ、本当に悪かった。怖い思いをさせたな。
今まで色々あったが、お前ぇのこと……そう、今だけは愛してやるぜ。
俺は膝立ちになって冨士田を抱き締めてやった。
そうだな、こうすりゃ取り敢えず、つい流しちまった涙をお前ぇに見られなくて済むからな。
- 36 :
- 「お、尾島さん、俺…こんなだけど、いいの?」
まだ少し湿り気の残った声で奴が囁く。
この野郎、ここまでやっといて『いいの?』も何もねえもんだ。
あのな、嫌いな相手にここまでする程俺は人間出来ちゃいねえんだ。
言わせんなよ、馬鹿。
俺は上着の袖で目を拭ってから奴の身体を離した。
さてと。冨士田、もういいか。立てるか?
頷く奴を先に立たせ、俺は奴に肩を借りながら何とか歩き出した。
もう身体もぼろぼろだ。早く部屋に帰って休みたい。
でもその前に、このナリを綺麗にしなくちゃな。
既に夜勤体制に入っている病棟内では、数の少なくなった看護師が点滴やら何やらのために走り回っていた。
その中の見知った看護師を捉まえて、俺は
『屋上を散歩していたら転んじまった。着替えとシャワーが欲しい』と頼み込んだ。
俺自身の傷口や打撲跡の具合から、まだシャワーを使える時期じゃないのは承知の上だ。
だが、たった今身体中に出来ちまった擦り傷と小汚いナリを見せると、
そいつは顔を顰めながら『しょうがない、内緒ですよ』と特別室に入れてくれた。
今日は住人がいないらしいその部屋には、シャワー室が備えられていて
こっそりと使わせてもらえることになったんだ。
小指の傷のせいで左手が使えない俺は、こいつに身体を洗ってもらうから、と
冨士田を指差した。
「ああ、じゃあ着替えとタオルを置いときますから…終わったら綺麗にしといて下さいね!」
忙しそうに去っていく看護師に礼を言いながら、俺は戸惑う冨士田をシャワー室に押し込んだ。
- 37 :
- 「尾島さん、い、いいの?俺こんなとこまで…」
俺を手籠めにしてくれた時の勢いはどこへやら、
冨士田は借りてきた猫のように、狭い室内を見回しては身体を縮こまらせていた。
いいんだよ。ほら、この指見ろよ。
皮被せてホッチキスで止めて、ラップで巻いてあるんだぞ。
今時は傷口を糸で縫ったりしねえんだな、知らなかったぜ。この方が治りが早えんだとよ。
でもまだ周りが腫れてて左手が上手く動かせねえんだ。
だからよ、お前ぇに来てもらったんだ。早く洗ってくれよ。
促す俺に、冨士田はおずおずと湯の雨を降らせてくる。
「…すごい…傷だらけだし、痣がそこら中に…さっきは暗くてわからなかったけど」
また泣きそうな目になってきた奴を、俺は軽く笑っていなした。
ああ、何日も殴られ続けたからな。実は外身だけじゃなくて、内臓まで腫れてるんだとよ。
だから熱っ気が全然取れねえんだ。身体もだるいしな。
正直なところ、こうやって立ってるのもしんどいんだ…早く横になりてえ。
俺の繰りごとを聞きながら、冨士田は必な形相になって、俺の身体を黙々と洗い続けている。
泣き虫野郎のお前ぇのことだから、きっと泣くのを堪えてるんだろう。
ま、そんな姿を眺めるのもまた一興ってやつかな。
ああ、それにしても、湯を浴びれるってのは何とも気持ちいいもんだな。
俺は壁に手をついて身体を支え、久し振りに味わう暖かい湯の有難さに浸っていた。
「…終わったよ、尾島さん」
絶え間なく続いていた湯の落ちる音が途切れた。
俺はもう我慢しなかった。
目の前の冨士田の唇に噛みつき、そのまま抱きついてその後ろに指を滑り込ませた。
奴は一瞬ピクリと身を震わせたが抵抗してこなかった。
ただ、目でこう言ってきただけだ、『俺でいいのか』と。
いいって言ってんだろ。俺の気力が残っている内に、ケリつけてやるぜ。
- 38 :
- あげ
- 39 :
- あは〜ん
- 40 :
- だるいだ何だ言いながら、俺の一物は既に勃ち上がってる。
それを奴の股に擦りつけてやると、その口からは甘ったるい声が漏れた。
……駄目だな。
開いてる方の手で奴の竿の根元を引っ掴み、俺は唇を奴の耳元にぴたりと付けた。
おいおい、ここは病院の中だぞ。眠れねえ患者やら看護師がそこら中に一杯いるんだ。
妙な声を出すんじゃねえ、聞こえちまうぞ。
「そ…んな、勝手な…!尾島さん、疲れて…休む…って、いっ…あぁ…」
うるせえ。さっきみたいなことされたままで終われるかよ。
それに、『消毒』だぁ?俺の××はハイターか何かかってんだ。
俺のやり方でやり返してやらなきゃ気が済まねえぜ。
まだうだうだと文句を垂れそうな奴の口を、また塞いでやる。
掴んだ竿を俺の物と添わせ、扱き上げる。
後ろに入れた指を2本、3本と増やして捏ねくり回す。
すると奴は目をとろんとさせて、俺の舌に吸い付いてきた。
息を荒げて俺の背にしがみ付き、軽く爪を立ててくる。
後ろの指を出し入れしてやると、背筋を痙攣させて奴は簡単にイっちまった。
…おい。早過ぎるぞ。
まあいい。今度は俺自身で楽しんでやるさ。
俺は奴の身体を裏返して壁に手をつかせ、その中にどっぷりと突っ込んでやった。
「く……っ、うぅ…」
よし、良く我慢した。もうちょっと踏ん張れよ。
竿を奥に進めると、熱く絡み付いてくる肉襞の感触が心地よく沁み渡ってくる。
ああ、お前ぇの中だ。懐かしいな。
それから引いては押し、抜いては叩きつけ、俺は奴の尻を思う存分味わい尽くした。
生きてるってえのは、こういうことだな。すっかり忘れてたぜ。
- 41 :
- 奴は健気にも俺の言うことを守って、声を上げるのを堪えていた。
ふん、さっきと違ってしおらしくなったな。
じゃあどこまで我慢できるのか見せてもらおうか。
腰を抱えていた手を放し、左手を奴の乳首に、右手を唇の間に滑り込ませる。
きゅっきゅと突起を弄り、そのまま爪先で乳首周りに円を描くように引っ掻く。
必で声を堪えて閉じている歯の表面を指でなぞり、無理矢理にこじ開けてやる。
無論後ろでは、俺自身を奴の中へと打ちつけ続けている。
ついでに奴の耳朶を甘噛みして、首筋に噛みついてやる。
奴は喘息みたいに口を開いてひーひーと呼吸し、腰をがくがくと揺らめかせて
その場に崩れ落ちそうになっていた。
駄目だ。まだ早いぜ。
俺は片手で奴の腰を引っ張り上げ、また同じように責め始めた。
「…あぅっ、あ、おじ、ま、さんっ…も、ゆるし、て、あ、ああぁ、」
嫌だね。許すとか許さないの問題じゃねえ。
お前ぇは俺の生の証だ。
お前ぇが俺をこの世に呼び戻してくれた。
自棄になった俺に生きる価値を感じさせてくれた。
お前ぇが『消毒』だって思ってんなら、それでもいいや。
俺がお前ぇん中に吐き出すことでお前ぇの罪悪感が消えるなら、いくらでも付き合ってやる。
さっきと言ってることが違う?馬鹿野郎、どっちも本気で言ってらあ。
今にもぶっ倒れそうな身体でお前ぇのこと犯してるのは、
俺のためでもお前ぇのためでもある。
要は、お前ぇのこと、愛してやってるんだ。つべこべ抜かすな。
奴が自分の竿を扱きそうになるのを手で押さえ、俺は一層激しく自信を奴に突き立て続けた。
- 42 :
- 「んぐ…あ…が、ぁあ…」
最早、奴の口からは意味不明の喘ぎしか漏れてこない。
俺に握られた右手首を必になって自分の物に伸ばそうとしているが、
既にその先端からは透明な蜜が滴り落ちていた。
痙攣していた背筋を尚一層びくびくと跳ね上げ、頭を仰け反らせた奴は呼吸を急に止めた。
「か…………はっ」
溜めていた息を吐き出すと同時に、奴の内部はきゅうっと俺を締め付けてきた。
ん…きついぜ、奴の身体の揺れまでがダイレクトにそこに伝わってくる…
流石に俺も限界だ。
つーか、今日だけで俺、何回搾り取られたんだ?
数え上げただけでも目眩が…元気な時でも、こんだけヤリまくったこたぁねえぞ。
やっとのことで奴の中を『消毒』し終えた俺は、その腰を抱えたまま床に膝を落とした。
あ、やばい、目の前が真っ暗に(
ん。何だ。俺、もう服着てるぞ。右前になってるけどな。んでんのかよ、俺。
しかも俺の部屋に戻ってるし。ベッドに寝てるし。何だってんだ。
ズキンと痛む頭を無理に起して壁の方を見ると、暗い中で、3連椅子の上に縮こまって寝ている奴の姿があった。
ったく。しょうがねえな。
結局俺達は腐れ縁なのか。お互いに迷惑掛けまくって、我儘言いまくって、甘えまくって、それで一生過ごすのか。
でもまあ、今日だけはお前ぇに感謝してやる。俺が折角そんな気になった時に寝てやがるのはお前ぇの勝手ってもんだ。
だから、せめて毛布の一つも着せてやるよ。済まなかったな、この馬鹿野郎め。…愛してるぜ。
- 43 :
-
あー。頭が痛え。寒気がする。
俺が寝てる間に、何時の間にか枕が氷嚢に替わってたから、多分熱が出てんだろう。
あれだけ無茶すりゃ、そりゃあ熱も出るだろうさ、とは思うが。
こういう時、病院は便利だよな。自分が動かなくても誰かが手当てしてくれる。
一人暮らしじゃこうは行かねえ。
でも……侘びしいぜ。
結局丸一日を寝て過ごす羽目になった俺の部屋を訪れてくれたのは、
ここの病院の人間だけだもんな。
まあ、当たり前っちゃあ当たり前の話だ。
朝、俺が気づいた時には富士田はもう帰っちまってた。
先生は今日も来ねえ。
家族は…嫁は携帯に電話を寄越したがそれっきりだ。
俺の昔の部下達は、今ではほとんどが余所で働き口を見つけてる。
友人、知人、そんなあやふやな言葉は、俺の前では意味を持たねえ。
後ろ盾の無い人間に寄ってくる物好きは、そうは居ねえってこった。
俺の世界は、詰まる所この程度なんだ。
……何だよ、またこんな暗いこと考えなきゃならねえのかよ。
あれだけ富士田相手に派手にやらかしといて。
熱が出るほどぶっ放しといて、また堂々巡りか。
けどよ、こんな真っ白けな部屋の中で一人で寝てりゃあ、鬱になっても仕方ねえだろ。
窓の外にあんなに綺麗なお月さんが出てんのに、一緒に眺める相手がいないんだぜ。
やっぱり…一人ってのは辛ぇな…仕事やら何やらが忙しかった頃には考えもしなかったけどよ。
お月さん、今まであんたをちっとも拝んでこなかった罰が当たったのかもな、
そう呟くと、俺は柄にもなく窓の方へ向かって手を合わせていた。
- 44 :
- 尾島さん。最後にあなたに会ってから、一体どれくらいの月日が流れただろう。
あの時、僕は驚きのあまりんでしまうかと思った。
何故、僕はあなたに別れを告げられたのか。
いや、例えその理由がわかったとしても、あの驚きを止めることは出来なかっただろう。
あなたにはあなたの世界がある。勿論、僕にだって。
他人のことを100%理解するのなんて、どだい無理な話だ。
でも…頭ではそう思っていても、たった今まで睦み合っていた相手にいきなり『別れよう』と言われるとは…。
僕は随分と女々しい人間だ、と思う。
何時までも過去のことに連綿と拘り続けている。
自分でも嫌になるけど、こればかりは性格の問題だ。
自分自身が納得出来る答えを見つけるまでは、すっきりとした気持ちにはなれないだろう。
尾島さん。
今あなたは、椅子に腰掛けている僕の目の前で、苦しげにうなされている。
熱が出てるんですね。呼吸が早くて浅い。
しかめられた眉が時々小刻みに動く。
額にじわりと脂汗が滲んでいる。
時折首を左右に振り、何事かをぶつぶつと口にする。
僕は、ただそれをじっと見ている。
苦しいですか。辛いですか。
僕が手を伸ばせば届く場所に、空気を求めてぜーぜーと喘ぐ喉がある。
別の生き物のようにぴくぴくと蠢く太い血管がある。
周りには誰もいない。
僕と、あなたと。二人っきりだ。
僕はさっきから、ある衝動と懸命に戦っている。
あなたを抱き締めたい。『好きです』と耳元で叫びたい。
そして、あなたをしてしまいたい。
あなたを、僕のこの手で……馬鹿な、そんなこと、出来るわけが…。
目の前に広がる靄のような幻の中で、僕はそれを何度もやり遂げ、
すぐに自分でそれを打ち消し、現実に立ち返る。
このままでいたら僕は狂ってしまう。でも、席を起つことが出来ない。
僕は何時しか笑っていた。弱い自分を、ズルい尾島さんを、この辛い現実を。
助けて、と叫ぶ自分の声を掻き消すために。
- 45 :
- …確か、俺が最後に目を開けてたのってまだ宵の口の頃だったよな…
今何時なんだ?6時?それって朝なのか夜なのか…もう時間の感覚がなくなってきてやがる。
入院病、みたいなもんだな。我ながらヤバいぜ。
ちったあ熱も下がったか?まだ身体の節々が痛えけど、ちょっと起きて歩いてみるか。
うん。まあまあ歩けるか。多少ふらつくけど、この位は仕方ねえ。
この雰囲気は…朝の6時だな。まだ辺りは静かだ。
流石に腹が減ってきたぞ。昨日は何も食ってねえからな。
食欲が出てきたってことは、体調も良くなってきたってことだよな。
じゃあ、茶でも飲んで食事を待つか…。
サイドテーブルに置いたポットに手を伸ばした俺は、そこに置かれたメモ紙に気づいた。
『 また来ます 麻雛 』
あいつ、来てやがったのか。
俺のこと恨んでるだろうに。
でも、あいつって…俺の前でそんなに感情出したことないんだよな。
いつも淡々としてるし。だから今まで楽な相手だと思ってた。
あいつも俺のこと、そう割り切って付き合ってるんだろうと思ってたのによ。
だから俺、あいつには何でもぽろっと喋っちまってた。
泣くほど好きだったってのか?俺のこと?だったら悪いことしたな。
ま、今回はそのおかげで先生達に助けてもらえたんだ。感謝しねえとな。
茶で喉を潤した俺は、伸び放題の髭でもあたろうか、と洗面台の前に立った。
そしてその時気づいたんだ、俺の首の周りに、くっきりと両掌の跡が付いていることに。
- 46 :
-
その日の午後になった。
午前中に俺のPHS(というか、蔓実先生がプリペイドしてくれた)に着信があり、
今、俺はその電話相手を待ってる。
麻雛先生、だ。
…こないだから俺、こんな目に遭ってばかりじゃねえか?
蔓実先生には散々絡まれ、富士田には突っかかられ、今またあいつだ。
全く口は災いの元だ。
こんなおっさんのどこが良いんだよお前ら。
下手すりゃ野郎の方が女より嫉妬深いんじゃねえか?
女は簡単に吠えついてきやがるが、憂ささえ晴らしてやりゃあ案外あっさりと引き下がる。
ところが男はそうはいかねえようだ。
元々添い遂げるようには出来てねえ同士だからか、やたらと互いの繋がりを気にしてくる。
これは、俺にもそういう所があったからわかるんだ。
離れていると、つい不安になるんだよな。
そりゃ少しはあいつにも同情はするけど…でもこれはやり過ぎだろ。
まだ赤い跡の残る首筋を撫で回しながら、俺は沸き起こってくる鳥肌の感覚を何とか受け流そうとしていた。
- 47 :
-
約束の時間のきっちり5分前。
部屋のドアから穏やかなノックの音が響いた。
「……失礼します。お久しぶりです、尾島さん」
足を踏み入れてきた先生に軽く挨拶し、俺はそこの椅子に座るように勧めた。
相変わらずだな、お前ぇは。
やたらと落ち着いててつまんなさそうな顔で、表情があまり変わらねえ。
本当に泣いてたってのか?俺のせいで?
しげしげと無遠慮に見つめてしまう俺を無視するように、先生は手にした鞄から書類を取り出した。
「えー、蔓実先生から依頼を受けて来たんですが…先日あなたが受けた暴行事件について、
相手側の関係者から『訴えてやる』との発言があったらしく…」
奴は淡々と話を進めていく。
俺は適当に相槌を打ち、聞かれたことに答えていく。
そんなこんなで2時間近くがあっという間に過ぎた。
「…はい、大体わかりました…お疲れ様でした。この件でまたお尋ねすることがあるかもしれません。
今日はこの辺りで失礼します」
奴は書類の束を手早く鞄に纏め、愛想笑いしながら立ち上がった。
おい。ちょっと待てよ。
お前ぇ、俺に何か言いたいことがあるんじゃねえのかよ。
「いえ、病み上がりの方にこれ以上のお時間は」
何他人行儀なこと言ってやがる。ふざけんな。
- 48 :
- あは〜ん
- 49 :
- 俺は首筋に巻き付けていたタオルをさっと外した。
おい、これやったの、跡付けたのってお前ぇなんだろ。どういうつもりだ。
黙ってねえで、言いたいことがあるんならはっきり言いやがれ。
それとも何か、お前ぇは大したこともないのに人の首を締めて歩くってのか。
…仮にもここは病院なんだから、俺だって多少は遠慮して精一杯声の量は抑えたつもりだ。
他人に聞かせたい話でもないしな。
奴は一瞬だけ身を竦ませて、だが直ぐに居住まいを正して、俺を真っ直ぐに見返してきた。
相変わらずのほほんとした表情のままだ。俺は正直、段々腹が立ってきた。何で黙ったままでいやがるんだ?
それに…俺、お前ぇにそんなに酷いことしたかあ?
お前ぇとの仲だってよ、何となく声を掛けてみたらそれにお前ぇが乗ってきたってだけのことだろ?
ちょっと忙しくて会えない時もあったが、その後の埋め合わせはちゃんとしたじゃねえか。
『もう最後にする』って言ったのも、あての無い俺のことを何時までも待たなくて良いようにしてやりたかった俺の親切心からだぜ。
その後でお前ぇがそんなに落ち込んでたなんて知らなかったんだ。
大体よ、お前ぇが俺と一緒にいる時って、甘えて来たことなんて一度もないだろ。
ヤった後に俺が『帰る』って言っても『…そうですか』位しか言わないし。
逆に俺の方が拍子抜けしてたぜ。別に俺になんざ興味ねえのかな〜ってな。
…おーい、本当に何か言えよ。
「………僕に喋らすんですか…今まで言わずに我慢して…やっとあなたに…会えた…それ、を、あなた…残酷だ」
- 50 :
- 鞄を握りしめた手がぶるぶると震え、白い頬にほんのり朱が差してきた。
ふん。怒りやがったか。いいぞ、もっと怒れ。
俺は、一発位なら殴らせてやるつもりで奴に近付いて行った。
本音で喋ってきやがれ。俺の首を絞めなきゃならねえどんな訳がお前ぇにあるんだ。
俺がずい、と一歩前に出ると、奴は震わせていた手指から鞄を取り落とし、
へなへなとその場に崩れ落ちた。
何なんだ。てっきり殴ってくるかと…おーい、ただのヘタレかよ。
拍子抜けした俺だったが、奴の妙な態度にすぐに気づいてしまった。
こいつ…喘いでやがるのか。前を手で押さえて…勃っちまってるのを隠して?
感じてんのか?この俺に?
試しに耳元に息を吹きかけてやると、途端に頬を緩ませて片方の指を布越しの自分の竿を扱き出す。
こいつ、こんなにエロい男だったのか。
- 51 :
- 見ただけで濡れるってか?ショボい作りの18禁だぜ、全く。
思わずにやついて来ちまった。
こんな面白えモンが見られるんなら、さっきまで気にしていた俺の首筋のことなんざどうでも良くなったぞ。
それに…まあ、こんなくたびれたおっさんを相手にしてくれる人間がこれだけいてくれるってのが分かっただけでも
この身体をぼろぼろにした甲斐があったってことだな。
皮肉なもんだ。
そんなことを考えている間にも、奴の動きはより怪しくなっていた。
足の付け根に伸びた手をもう片方の手で押さえつけ、必で扱くのをやめようとしている。
そえなのに、股間自体は床に擦りつけて腰を小刻みに揺らしている。
笑ったような怒ったような顔を無茶苦茶に振り回し、時折天を振り仰ぐ。
「いや、ちが…違う、こんな…ぅあ、い、いや、っ…」
瞑っていた目をいきなりひん剥いて涙をこぼし、直ぐにケタケタと高笑いする。
ねじを巻き過ぎて壊れた人形、だな。
最初はエロさを観察してて楽しかったが、終いには動きが憐れっぽくなってきた。
なあ、そんなになるほど俺のことを思ってたのか?
俺が近付いただけでタガが外れる位に?
「…た、すけて…」
潤んだ目で救いを求めてきた奴を、俺はベッドに引っ張り上げてやった。
いいさ、後で本当の所、喋れよな。
- 52 :
- だがこれだけは聞いとかないと。
おい、俺のこと、まだっちまいてえって思ってんのか?どうなんだ。
俺の言葉に、奴は首をぶんぶん振って見せた。
「すき、です…あなたが好きです、愛してます、愛して…やっと、言えた…」
両目から流れ出る滝のような涙。綺麗だな。
俺はその答えに満足して、ベッドの脇に垂れ下がっているカーテンをさっとひいた。
取り敢えずの目隠しだ。今日は午後の回診は終わってるから、まず誰も来ねえだろうがな。
さて…もう一つだけ、念押しに言っとくぞ。
事の最中、ずっと黙っていられるか?
顔を歪めた奴が、こくんと頷いて手で顔を覆った。
わかった。やってやるぜ。
俺の指を、さしたる苦も無く呑み込んでいく奴の尻穴。
初めて誘った頃とは大違いだな。
指を中で暴れさせ、数を増やし、抜き差しを速め、
それに反応して奴は身体を震わせ、喘ぎ、背筋をしならせ、
そして尻肉は俺の指をぐいぐいと中へ引き込んでいく。
堪らねえ。
びんびんに張り詰めた奴の竿が先っちょから汁を溢れさせてるのもイヤらしいぜ。
思わずしゃぶりついちまうほどにな。
「…ふ…っあ?」
それまで健気に声を堪えていた奴の口から小さく悲鳴が漏れた。
まあ、この位なら勘弁してやるか。
この次も我慢し通せるなら、な。
口一杯に頬張って扱いてやると、奴は両手で口を塞ぎ、弓なりに反らせた身体を痙攣させ始めた。
- 53 :
- 4日は夜須田先生の誕生日でしたね
オメ!
トゴタンは地道に元気にやってます
「そのうち尾島さんに会いたい」とかで…(*´д`)
年末にむけてまた頑張るとかなんとか
ムネヲが収監されましたが、黒羽に行くとして
中で姐たんに会ったら、何か書いてくれるかなと期待してみたり
- 54 :
- ほしゅ
- 55 :
-
…僕は未だに信じられないでいた。尾島さんが僕の目の前にいて、僕の身体を愛してくれていることを。
それも、自分の口で僕を…それだけで泣きたくなるほどうれしい。
口でやってもらえるくらいに、あなたは僕のことを嫌わないでいてくれた。
僕にはそれだけで充分だった。
愛情など、端から期待してなかった。ただただ、嫌わないでいてさえくれれば。
…さっきのあなたの言葉からすると、僕があまり感情を出さないことに不満だったみたいだけど、
僕はそれを口にすることが、逆にあなたの負担になるんじゃないかと恐れてた。
あなたの後ろには、常に蔓実さんの姿が見える。
意識するなと言ってもそれは無理だ。
蔓実さんとあなたは真に惹かれあってる。それは傍に居ればわかる。
二人の間で交わし切れなかった欲情を、僕が処理させてもらってるだけなんだ。
僕は、それでいいと思ってた。
そのおかげで、あなたを愛することが出来た。せつないし、とても辛いけど、でもいいんだ。
でもあなたに『もう会えない』って言われた時に、僕のささやかな望みは打ち砕かれた。
これ以上ない位希薄な感情の吐け口が失われてしまった。
家族、仕事、友人、そのどれもが僕の人生には大事なものだけど、
それ以外の物があの日からすっぽりと抜け落ちてしまった。
埋められない喪失感の存在に、僕の心はのた打ち回って苦しんだ。
それが、今…僕の目の前にあって、僕の身体を愛しんでくれてる。
声を上げられないことは確かに辛いけど、僕はそれでも、泣きたくなるほどうれしいんだ。
- 56 :
- …そんな悠長なことを考えていられなくなるほどの快感が突然僕を襲った。
あっ、く…ぅ、出る、…おじまさん、口外して!僕の、あなたに出しちゃう…そんなの嫌だ、あなたを汚したくないから、ぁあ、早く!
「構やしねえ。出しちまえよ」
堪らずに大声で叫んでしまった僕への罰なのか、尾島さんの動きは更に速くなり僕を絶頂へと追い上げていく。
僕のモノを口で扱き上げ、後ろの指は、僕の頭が飛びそうなほど感じる場所を探り当て、緩急をつけて突いてくる。
僕には、シーツを握りしめて首を左右に振り、声を堪えることしか出来ない。
でも嫌なんだ、あなたの中に出すなんて…お願い、だから、外して…!
尾島さんは、そんな僕を『しょうがねえな』という目で眺めてて、
じゅぶじゅぶと水音を立てて扱いていた僕のモノを漸く解放してくれた。
はぁっ、と僕が息を吐いたのと、あなたが叫びながら尻餅をついたのはほぼ同時だった。
「あ、ああぅっ…!」
え…どうしたんですか?
あなたは自分の左手を抑えて蹲ってる。
さっきから、あなたの左手の小指が異様に腫れ上がってるのが気にはなっていたんだけど
何かの拍子にベッド柵にでも当ててしまって痛めたのかもしれない。
僕は…あなたのことが心配だったけど…今までの興奮の余韻を引き摺り、中々立ち上がれずにいた。
声を堪え過ぎて頭がぼーっとしてる。
あなたの指が抜け落ちた後ろは熱く疼き続け、身体の芯がまだどくどくと脈打っている。
言うことを聞かない身体を無理矢理に動かしてベッドに置き上がってみると、
小さく呻きながら蹲っているあなたが、あらためて満身創痍であることに気付かされた。
至る所に青痣や傷が刻まれた肌、赤く色づいて熱が上がっていることを知らせる頬、
こんな…こんな状態のあなたに僕は『抱いて』なんて…
- 57 :
- 今年も魔淵サンタと緊縛姐たんで保守
http://n.pic.to/19adri
- 58 :
- ごめんなさい、ごめんなさい僕はやっぱり自分勝手な人間です、
あなたを傷付けて、そうとして、あ、あなたのこと好きなのに。
僕………どうすればいいんですか。
わからない。わからない。
「…やかましい、お前ぇが泣いてどうする…」
あなたは真っ青な顔に油汗を浮かべて、なのにニヤリと笑って僕を見上げた。
「おい、そこの引き出しから薬、取ってくれよ」
あなたが視線を動かした先に、備え付けの収納棚がカーテンの隙間から見えた。
僕は跳ね起きると、カーテンをかき分けて棚に走り寄った。
一番上の引き出しを開けると、あなたの名前が書かれた白い袋があった。
振り返ってみると、あなたはゆっくりと起き上ってベッドに腰掛けていた。
少し息が荒い。苦しそうにまた俯いてしまった。
僕は黙って尾島さんに袋を渡し、コップに水を注いでそばに置いた。
あなたは袋の中身をベッドにぶちまけ、不自由そうに右手で中身を確かめている。
僕は…もう帰ろうと思った。
用事は済んだ。
これ以上ここにいたら、またあなたを傷付けてしまう。
僕が次々と仕出かす危ういことを、僕自身で止めることが出来そうにない。
それに、あなたに少しの間僕を愛してもらえた。それだけで充分だ。
僕は脱がされていた服を着て、黙ったままドアへと向かった。
「待てよ」
……何を言われても立ち止まらないでおこうと思っていたのに。
「どうすんだよお前ぇ。まだ出してねえだろ。我慢できるのか」
尾島さん。僕の心配なんてしなくていいんですよ。でも…また会ってくれますか?
「ったり前だろ。でもそろそろ、俺も退院だからな。今度は家で、だ」
堪らず振り返って頭を下げてしまった。今日も泣いてばっかりだな、僕は。
- 59 :
- ……僕は尾島さんの病室から走り出ると、その階のエレベーターに乗り込んだ。
尾島さんは今から痛み止めの薬を飲んで、横になって休むはずだ。
僕がそばにいちゃ駄目だ。そしたら尾島さん、ゆっくり休めないじゃないか。
もういいんだ、最初に僕が言われたこととか…もういい、あなたにまた愛してもらえたんだもの、それで帳消しだよ。
僕は少し疲れた身体を壁に寄り掛からせたまま一階のスイッチを押した。
軽いモーター音と部屋ごとガクンと下がる揺れが…背中を伝って…あ、ああああぁぅっ!
い、いやっ、どうして…感じてしまう、あの機械的な音と、ふわふわとした揺れが…くううぅっ…
一階についたと同時に僕は床にへたり込んでしまった。
認めたくないけど、後ろとモノに揺れと振動を感じただけでイってしまった。逆に屈辱だ。
周りに誰もいなかったのが不幸中の幸い…だけど、これを吐き出してしまわないと…
今のようなことを帰りのバスや電車の中で再現したくない。
僕は面会者用出入り口近くにあったトイレに入って行った。
あ、僕ってまだ泣き顔のまま顔を洗っても無いや、先にトイレの中に入ってた人を見て思ったけど、
病院って喜怒哀楽の園だから、その手のことは特に気にしなくてもいいみたいだ。
泣き叫びながら病院を飛び出してくる人も、数人見かけたしね。
ただ、この手の欲情を吐き出すには少し注意しないと、ね。
さっきは使うことの無かったタオルを口に噛み締め、僕はズボンを脱いで便器に跨った。
おかずなら沢山ある。
僕を咥えて扱いてくれた尾島さんの唇の感触、時折僕を見上げてきた悩ましげな目、
僕の後ろを我が物顔に跳ね回ったあなたの指…僕がそれをどれだけ脳内で再現できるか。
そう、この下劣な欲情を吐き出さずには、僕はここから一歩も踏み出すことは出来ない。
- 60 :
- オジ弁護団の耶麻下先生が出てますた
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101224-00000049-jijp-soci.view-000
- 61 :
- そろそろ僕の頭もネジが外れてきちゃった。何を考えてるか分からなくなってきたぞ。
僕のモノを扱いているのは尾島さんの指、今僕の後ろに押し入ってきたのは尾島さんの指、
僕の舌を絡め取って息を塞ぐばかりにあなたの唇が僕の口で暴れ回る。
声を、出しちゃ、駄目なんだよ、なのに…息苦しさのあまり咥えていたタオルを落としちゃった。
そのタオルで臍の辺りをざらっと撫でられてるみたい…ああぁっ、くすぐったいっ、
思わず身を捩ると、指の先が前立腺の辺りにぐっと食い込んで…
前に出さずに達してしまった。
それから連続で休みなしにイってしまい、流石に僕も疲れて一息ついてたんだ。
座ってる便器を大分汚してしまったなあ、振り返って水を流そうとした僕の目に、排水レバーが留まった。
その太さ、冷たそうな金属の感触…こんなの入れたら壊れちゃうんじゃないか?
でも僕はそれから目を外すことが出来ない。欲しい。
立ち上がって恐る恐る尻を差し出す。
手を添えてそっと…と思ったんだけど、先端を入れたら我慢出来なくなって、
ずずっと突っ込んじゃった。
な、何か手術で切り開かれてるみたいな妙な感触と、そして真っ直ぐで太い金属棒の迫力が
僕の柔らかい内臓をずぶずぶと侵していく。
内襞がそれに引き摺られるように纏わりつき、次第に分泌される水気がいやらしい音を響かせる。
こんな…い、いや、恐ろしいのに止められない、足が震えるのに身体がその動きを求め続けてる。
最終的に息が続かなくなってその場に座り込んでしまうまで、僕はその快感を貪った。
脳が爛れるような淫靡さ…それが去ってしまうと、今の情けない姿と、
さっき尾島さんの部屋でしでかしてしまった行為のことごとくが僕を責め苛んでくる。
でも…でも、逢わないでいるより逢って話した方が良かった。
僕は無理矢理にそう言い聞かせながら、トイレの中を片づけ出した。
- 62 :
- そうさ、一人でいつまでもウジウジと悩んで周りに心配掛けまくって、
自分で自分にうんざりしながら生きてるよりは、今の方がマシだ。
半裸でトイレの中で自分の精液を始末して…好きな相手を追い詰めて傷付けて、
その上まだ『愛してくれ』って迫るような駄目な人間だけど。
今更変えられないよ、この性格は。
ごめんなさい尾島さん。蔓実さん、深夜くんごめん。
今度から、もうちょっと上手に立ち回れるようにしたい。
感情を上手く表現出来るように…って、それが出来たら苦労してないんだよね。
でも、こんなに辛い思いはもう沢山だ。
ただあなたのことが好きなだけなのに。
…そうか。最初からそう言えば良かったんだ。
あなたに何を言われても、あなたの後ろに誰が見えようと。
僕はあなたが好きですとただそれだけを。
馬鹿だな。漸くそれに気付いたけど、もう遅いのかな。
でもさっきあなたは言った、『今度は俺の家で』って。
恥を捨てて、突け上がれるだけ突け上がってみるか。この際だから。
これ以上失うものはない。怖じ気づき過ぎて逆に傲慢になってしまった心以外には。
何とか掃除し終えたトイレを出て、僕は白い建物を後にした。
- 63 :
- 月刊ボディ/ビルディングに魔渕さんが出てたのでドゾー
小さいけれどマッチョボディが出てますw
http://pita.st/control/show/?m=iyvvbc8l
- 64 :
- 今日も今日とて定時より一時間ほど残って事務処理をし終えた蔓実は、
室内の電気を消すとドアを開けて外に出た。
まだまだ連日うだる様な残暑が続いていた。
額に浮き出る汗を拭いながら歩いていると、蔓実は携帯に着信があることに気付いた。
「……?」
開いた画面に『尾島』の文字を認め、躊躇わずに掛け直す。
「…はい、蔓実です…どうしたの尾島さん?何かあった?」
「…いや…大したことじゃねえんだけどよ」
電話口の、明らかに眠そうな尾島の声。
こんな時間から、何故そんなに眠そうなのか?まだ宵の口にもなっていないのに。
「尾島さん、調子悪いの?声変だよ」
「いや、違うんだ、さっき痛み止め飲んだら眠くなっちまって…起きてみたらこんな時間に…」
生あくびを堪えているような話し方に、蔓実は眉を顰める。
「痛み止めって?また熱でも出したんですか!…僕がこの前無理させちゃった…から?
それとも、怪我した所がまだ良くなってない?ああ心配だな、いまからそっちに…」
尾島は、蔓実の心配そうな声に慌てて割って入った。
「ち、違うんだよ先生!こっちじゃなくて、俺は、先生に麻雛先生のとこに行ってもらいてえんだよ!」
「……?」
「あー。一から説明するよ。…ったく、こんなはめになるなんてよ…」
諦め口調の尾島は、ここ二日ほどの経過を掻い摘んで話した。
朝起きてみたら麻雛の手紙があったことから…麻雛が逃げるように自分の部屋から走り去ったことまで。
「…それでよ、あいつのことが気にはなったんだけど、俺も手は痛えし熱はぶり返すしで、
取り敢えず痛み止めの薬飲んだらそのまま眠っちまってて…あいつ今どうしてるんだろう。
なあ、俺あいつに電話した方がいいのかな?それとも…俺どうしたらいいんだ?」
- 65 :
- 「……全く、あなたって人は…」
全然懲りて無いんですね、とは、流石に蔓実も言えなかった。
それにしてもあの麻雛が、尾島の首に絞め跡を残して行ったとは。
その上、疼かせた身体を見せつけて尾島を誘うなんて、中々やるじゃないか。
(僕が話した時には『もういいんです』なんて言ってたのに、やっぱり未練たっぷりだったんじゃん)
あっさりしているように見えて、実は一番情が深いタイプだったのか。
まあ、なんにしても、そのまま麻雛が部屋を去ってしまったのは多少気になる所だ。
「…で、尾島さんは一体どうしたいんです?気になるんなら電話してみたらいいじゃないですか。
それとも僕に様子を見て来いって?いいんですか、僕が麻雛くんのとこに行っても?」
「え、それってどういう意味なんだよ先生。まさか」
「そんな状態の彼を見たら、頂いちゃいますね、多分」
それを聞いた電話口の尾島のがっかりとした溜め息。
「マジか…」
「ここまで来たら、3Pってのをやっちゃえばいいんですよ、いっそのこと」
ニヤニヤと楽しげにしている蔓実の声に、尾島は
『最後までやれなくて済まなかったって謝っといてくれよ』
と最後に言い添えた。
この助平が、と茶化すつもりだった蔓実は、尾島の声が案外真面目だったことに拍子抜けしたが
(何だかんだ言って、結局あなたは彼のことに本気になってしまったってことですか)
本人の自覚なく、周囲の男を自分の方へ次々と引き込んでいっている麻雛は
大した魔性の男かもしれない、この意外な結論に蔓実は
(これから彼に会うのが楽しみだな)と、目を輝かせる余裕を見せた。
- 66 :
-
蔓実が電話をかけてみると、麻雛はやはりまだ事務所に居るという。
今は彼は尾島に聞いた話を一人で書き起こしている、ということだが。
(…じゃあ、先にその話を済ませちゃおうかな)
お気楽な気分のままに、蔓実は麻雛の事務所へと向かっていた。
(自宅へは、今日も残業ということにしてある、はずだ…蔓実も麻雛も)
呼び鈴を鳴らすと、『開いてますからどうぞー』と奥からの声が聞こえてきた。
これ、どこの事務所でもやってるんだなー、と蔓実は妙な所で感心してしまった。
じゃあ入るよ、と一歩踏み込んでみて、パソコンを前にした麻雛のブラインドタッチの速さに蔓実は少し圧倒されていた。
「やあ、これが尾島さんとの対談の分?で、何分位話したの?」
プリンターがジージーと吐き出してくる書類の束が、ごっそりと手前の机の上に落とされていく。
キーを叩くその手を休めずに麻雛はちらっと蔓実を見上げた。
「…ええ、二時間位でしたね。それと、僕のぱっと見の印象と分析も入れながらですけど」
今日、ついさっき終わった所の聞き書きを…ざっと流し読みしただけでそれが「起こしが早い、読みやすい」とわかる。
「流石麻ちゃん、使えるなあ。この件、多分には行かないと思うけど、何か言い掛かりをつけてきた時には
これを見せつけてやれば向こうは黙っちゃうね。絶対だよ」
「…まだ尾島さん側からの分析も途中なんですけど…もう少し練らないと」
少し疲れた顔に戸惑いを浮かべる麻雛の肩を、蔓実は優しく撫でる。
「うん、大丈夫だって。の正式書類みたいにまとめる必要はないよ、今の所は。
あいつら自体が『訴えられたら困る』って言って涙目だったからね。
『…でもやっぱり』って考えを変えてこっちへ突っかかってこられた時の保険のために、この文章が欲しかったんだよ。ありがとう」
色々…色んな意味で様々なことがあったろうに、この短時間で仕上げて見せた麻雛の知力、胆力、自制力を
蔓実は素直に褒め称えた。
「ほんとにありがたいよ。あ、それと、尾島さんから伝言。最後までやれなくて済まなかった…だってさ」
- 67 :
- その瞬間。
キーを叩く手を止めて、麻雛は蔓実を見上げた。
彼の表情を見逃すまい、と目を凝らしていた蔓実でなければ気付けなかったような微細な変化が
麻雛の顔面に表れていた。
それはほんの僅かな目の曇り。それだけだった。
(…大したもんだね)
麻雛の自制能力の強さを知ると、だからこそそれを壊してやりたい、と蔓実は思ってしまう。
(本当に性格悪いよな、僕は)
ふっと自嘲の笑みを漏らした蔓実を見て、麻雛はパソコンの画面へと視線を戻した。
「尾島さんに会ったんですか…他に何か言ってましたか?」
他人事のように言い再びキーを叩こうとする麻雛の手を、蔓実はがっしりと捉えた。
「二時間位…か。その間ずっと疼きっ放しだったのかい?
尾島さんに怒鳴られて近付いてこられただけで感じちゃってたんだろ?
何時の間にそんなイヤらしい身体になってたんだい…?ねえ、麻ちゃん?」
握った手首をぐいっと捻り上げ、無理矢理立たせると、蔓実は麻雛を自分の方へ引き寄せた。
「な……ぁあっ」
「…尾島さんの前でオナニーしてみせたんだって?すごいな…僕も見てみたいな」
「そ、んな…こと…うそ…」
顔を歪ませて頭を振る麻雛は、必で蔓実から逃れようとしていた。
その彼の股間に蔓実は手を伸ばす。
「ここを、こんな風にしたの?こうやって…扱いて?」
「……っ!…ちが…ぅ…!」
布の上からゆるゆると揉みほぐすようにすると、途端に麻雛は膝を折って床に崩れ落ちた。
- 68 :
- 「…は…ぁ…くぅ……」
腰を落として尚も股間を弄ろうとする蔓実の手を、麻雛は全力で引き剥がした。
この細い身体のどこからそんな力が、と蔓実は内心舌を巻く。
「…いや、だ…やめ、て…」
息を荒げながら蔓実の太い腕を握りしめている麻雛の耳元に、にやにやとして囁く声。
「ふーん、ここで止めてもいいんだ。いいの?本当に?」
はっとして顔を上げた麻雛の手を振り解き、蔓実はその場を離れて机の上に軽く腰を下ろした。
口の端を上げ腕組みをして麻雛を上から下まで眺め回す。
「…尾島さんの前で、自分で扱いたりヨガったりしてたんだよねえ。
そして?尾島さんの口に君のを突っ込んでやれば良かったのに」
そして、それきりだった。
蔓実は口を噤むと無表情になり、跪いたままの麻雛を見詰めていた。
何も言わない。ましてや手も動かさない。
ただ、黙って麻雛から視線を逸らさずにいた。
「…………っ」
大して動いていないはずなのに、麻雛の息は何時の間にか上がっていた。
膝立ちの身体を小刻みに震わせ、それを時折左右に揺らし、両手を所在無げに前方へさまよわせる。
「…ふぅ…ん…は…ぁ…」
両手の動きが、やがて振り子のようになり、指が太腿を掠めて微かな音を立てる。
「…んっ…ん…んっ……!」
微かだった音が次第に大きくなり、そしてそれは急に止んだ。
麻雛の右手は股間に達しており、それを自覚してしまった彼の目はぎゅっと閉じられた。
- 69 :
- ツルオジの喚問から今日で5年ですね
月日が過ぎるのは早いです
…あの時の二人は何度見てもエロいです(*´Д`)ハァハァ
守/谷氏の喚問とか全然だったのにw
- 70 :
- あは〜ん
- 71 :
- 見る間に赤く染まっていく頬。
筋が浮き出るほど力が込められた右手は、動くことを拒否するように股間に固定されていたが、
腰の方がゆら、ゆら、と振られ始めた。
しかめられた顔が泣き出しそうに歪み、溜めていた息がほうっと吐き出される。
「…う…あ…たす、けて…」
尾島を想い続けて火照った身体を持て余し、麻雛は助けを求めて蔓実を見やった。
蔓実の目が薄く細められる。
「……やっちまえよ。自分でイってみせろ」
え…尾島の声…が聞こえる?
いや、蔓実が尾島を真似て喋っているのだ。
しかし、麻雛の身体はそれに忠実に反応してしまう。
今まで手足を縛っていた鎖が解かれたように激しく腕を動かし、自分のモノを扱き出す。
左手は器用にパンツを脱がし、その指は自らの後ろに滑り込ませた。
待ち望んでいた直接的な刺激に、麻雛は身体を仰け反らせて歓喜の声を上げた。
- 72 :
- 「あ、ああ、ぅああっ…んっ、んっ、………」
耐えていた時間が長いほど、その間に溜め込まれた欲望はより大きく膨らんでいた。
最早声を抑えるつもりのない麻雛は、自身の一番感じる部分を弄くり、喘ぎに喘いでいた。
過換気気味となり真っ白になった頭は、今、目の前に腕組みをしているのは尾島だと誤認識している。
尾島に見られ、尾島に命令されている、そのことに麻雛は涙した。
なんて幸せなんだ。
あれほど恋い焦がれた瞳にもっと見てもらいたい、待ち望んだ声に無碍に扱われたい。
想いが高じて倒錯的になっている、との自覚はまだ麻雛にはない。
そんな余裕もなく自分の性感帯をただひたすら責め立て、昇り詰めていく。
「…イったのか」
暫くしてから蔓実は呟いた。
既に口真似はしていない。
なのに麻雛の耳はそばだてられ、その方角を荒い息のまま見詰めていた。
「お、ねがい…僕に、ヤって…」
震える声で、それでも振り絞るように蔓実…尾島に対して懇願する麻雛。それには冷たく返してみせる蔓実。
「…何で?どうしてさ。もっと自分でイって見せてよ…まだ物足りないなぁ」
- 73 :
- 「姐葉さん、これ…約束だからね」
呼び出されたホテルに着くなり、氏の塚は姐葉に剃刀を手渡した。
硬直した表情でそれを受け取る。
「どうしても…ですか?」
「どうしてもですよ。裏切るあなたが悪いんだ」
分厚い眼鏡の奥でぎろりと姐葉を睨む。
しかし口角はつり上がっている。
楽しんでいるのか、怒りが溢れているのか量りかねつつ、そこから逃れるように俯き、姐葉は手渡された剃刀をじっと見詰める。
「さあ、早くシャワーを浴びて“見せて”くださいよ。俺に誓うって姿を!!」
肩をグイっと捕まれて風呂に促される。
「それとも俺にやって欲しいんですか?」
それを聞いて姐葉の耳がカっと赤くなり手が少し震えだした。
「じ…自分でやります。やりますから…」
「分かりました。ベッドで待ってますよ」
10日前、姐葉は木邑建設とは別の会社に取引を持ちかけられていた。
木邑よりもいい給料だった。これはもう、氏の塚を裏切ってでもそちらに行くしかないと思った。
しかし、相手との携帯での会話を姐葉の家に来た氏の塚に聞かれてしまったのだった。
だが氏の塚は激昂するでもなく…
そして今日に至った。
姐葉はボディソープを掌でゆっくりと泡立てた。
かふくぶへ泡を伸ばしていく。
これから自分がしようとしていることに対し、羞恥の心が湧き、手が止まる。
「まだなんですかー?行っちゃいますよー」
磨りガラスの向こうから氏の塚の声が聞こえた。
…やるしかないんだ。意を決して、姐葉は剃刀を下腹部に這わせた。
「…っ。は…っ」
- 74 :
- 今まで1度も刈られた事のない茂みが消えていく。
この姿を氏の塚に見られると思うと…。
ドクドクと血液が集中し、そこが隆起を始める。
そのとき、ガチャッとドアが開いた。
「いつまでかかってんですか」
「あ…ぁ!」
両手で股間を覆う姿に、氏の塚はニヤリと笑いながら言った。
「剃ってたら興奮しちゃったんですか。変態だなあ。どれ、見せてくださいよ」
「や、だ…氏の塚さん!!」
あらん限りの力で両手を捩じ上げられ、そこが露わになる。
「まだ途中ですね…」
恥ずかしさの余り顔を横に向けた姐葉の頬をグイとこちらに向けさせる。
「続きは俺がしましょう。ほら、見てて姐葉さん」
じょり、じょり、と音を立てながら刃が下へ降りていく。
隆起した部分に時折冷たくぶつかり、恐怖を与えた。
「もうやめてください…もう…」
「こんなにして。もっとして欲しいくせに…。終わりましたよ。綺麗になった」
そう言って姐葉の指をそこに持っていかせる。
つるりとした感触に姐葉の羞恥は極限に達しようとしていた。
「あなたはね、俺のもんなんだよ。俺から逃げることなんて出来ないんだ」
後孔に一気に2本指を突き立てると激しく出し入れをする。
「うっ、あっあっ…痛…っ!ぬ…抜いてくださ…」
そうして、脚を抱えあげると一気にいきり立った物で貫いた。
肉と肉がぶつかる音が風呂に響く。
「あっ…ひィっ!き…もちい…い」
「乱暴にされるのが大好きなんですね。他の奴がしてくれますか?俺しかいないでしょう?」
腰をぐっと数回押し付けると、氏の塚は姐葉の中で果てた。
引き抜くと、どろりと精液が内股をつたって行った。
「これでも…離れられるんですか?」
姐葉は虚ろな目をしたまま、首を横に振った。
- 75 :
- …ふと、冷たい隙間風に目が覚めた。
(ああ、あれは…いつかの…夢だったのか)
そこには氏の塚の姿はなく、窓には鉄格子がはめられていた。
股間がぬるつく。
もう何年も前の交合を思い出し、夢精していたのだ。
こんな山近い刑務所に来るなんてあの頃は思うはずもなく過ごしていた。
そして、今。
氏の塚にどんなに無碍に扱われようとも、どこかで愛していたのかと思うと、鼻の奥がつんと痛んだ。
おわり
SS姐さん、豚切り済みませんでした。
- 76 :
- 自分で…?もっと?
その言葉に、麻雛は反らしていた背中をぺったりと床に付け、足はM字に開脚してみせた。
右手は再び竿を掴んで扱き始め、左手は戸惑うように辺りをさ迷った挙句に、シャツの上から乳首を弄った。
「んんんっ…ぅ…は…ぁ…」
身を捩じらせ喘ぎながらも、視線は蔓実から片時も離さない。
誘われている。
強烈な目力を感じ、だからこそ蔓実は何のリアクションも取らずにそこに立ち尽くしていた。
まだ、まだだ。
その意のままに、麻雛の欲望に取り込まれてしまうのにはまだ早過ぎる。
結果として麻雛の魅力に負けて…そのほろりと流れる涙に落とされていいものか。
癪だなあ。
もう少し焦らして楽しみたい、との欲もあるし。
表情には出さずに、蔓実は勝手に頭の中で麻雛を何度も泣かし、
そしてここにきて、蔓実は尾島に対する遠慮の想いを抱き始めた。
これまでに散々麻雛に手を出しておいて何を今更、という気がしないでもないが、
今回は今までとは訳が違う。
尾島は、蔓実が麻雛と会うことを知っている。
蔓実が麻雛を憎からず思っていることも知っている。
それを承知した上で、麻雛の身を案じた尾島は、蔓実に麻雛の世話を頼んだのだ。
その尾島の気持ちを裏切ってもいいのか?
だが…目の前で切なく喘ぎ続ける麻雛を放っておいてもいいのか?
- 77 :
- 尾島と麻雛。そのどちらの想いの方を汲み取るか。
さて…どうするべきか。
蔓実は腕を組み直して、改めて麻雛のことを見やる。
果たして麻雛は、本当に今この場で自分に犯されることを願っているのか。
勿論、彼の想い人は尾島であるし、その当の尾島は現在この場に来ることは出来ない。
そして彼は、たとえ蔓実が焚きつけずともずっと身体を疼かせ続けていただろうし、
彼の性格からして、自分から誰かに助けを求めたり泣きついたりはしなかっただろう。
自分一人で悩んで色々と溜め込んで、そして身体を損なうまでに自身を追い込んでしまう。
仕事上ではそんなことはないのに、こと色恋沙汰になると…
(ま、彼の場合は、傍から見ててとてもわかりやすいんだけど)
せめて蔓実の手でイかせてやるべきか。
だが、尾島はどう考えているのか。
『俺の代わりにあいつの所へ行ってやって欲しい』
『最後までやれなくて済まなかった』
これは…事実上、蔓実への執行権の許可、なのでは?
(…でもさ、本当の所なんて、誰にもわかるわけないじゃん)
誰もが何時でも本音で語るわけではない。
自分ではない誰かの気持ちは、当て推量をしていくしかない。
蔓実は尾島の言葉を伝えたし、それを聞いたうえで麻雛は蔓実(尾島と誤認しているようだが)に
『抱いてくれ』と頼んできたのだ。
もういい。結論を出そう。
ここまで麻雛の欲望を溜め込ませたのは尾島自身だ。
だから、自分は尾島の代わりに麻雛を犯してやる。
でも…もしかしたら尾島をそうさせたのは、結局は麻雛自らの『無自覚な魔性の力』かも知れない。
(僕もそれに惹きこまれちゃったよ…君を甘く見過ぎてたね)
- 78 :
- 昨日の節分は末井先生の誕生日でもあり…オメ!
夜須田先生とイチャイチャな日だったらな〜(´・ω・)
- 79 :
- そして、蔓実はゆっくりと足を一歩踏み出した。
「…っ!…あああああああああっ!」
それを見ただけで容易に達してしまう麻雛。
床の上で身体を痙攣させ、最早汁も出なくなった陰茎をひたすらに握りしめている。
「あーあ、どれだけ溜め込んでたんだい…?触られてもいないのに…近付かれただけでイっちゃうのか」
蔓実はそのまま足を進めて麻雛の前に腰をかがめると、優しく語りかけた。
まだ手は出さない。触れようともしない。
何かを必に訴えようとしている麻雛の目を無視してにっこりと笑った。
「全く…めっきりイヤらしくなっちゃったんだね…僕の知らない間に」
「お、ねが、い」
荒い息の中から、麻雛は小さく言葉を発する。
痙攣の収まらない身体を無理矢理に起こして蔓実を見上げた。
「お願い、入れて、つるちゃんの、僕の、後ろに…も、我慢、出来ない、もう…お願いっ!」
自分自身の生み出す刺激では決定的な快感は得られないのか、
お預けを喰らった上に中途半端な刺激を長時間受け続けたせいで
麻雛はかなり追いつめられた状態にあった。
狂いだす一歩手前のような怪しい目の光を感じ、
それでも蔓実は、麻雛の食い入るような視線を外して自分の股間に目を落とした。
「僕のを、欲しいのかい?じゃあ、君が取り出して勃たせてよ」
おもむろにベルトを外し、ジッパーを下ろすと、足を投げ出してぺたりと床に座り込んだ。
「さ、どうぞ」
- 80 :
- (そうか、尾島さんはここにはいないって気付いたんだね。それでも…僕でもいいってことか。
ヤってくれるなら、誰でもいいのかい?麻雛くん?)
蔓実の手が麻雛に決して触れようとしないのは、このことを確かめたいからだった。
麻雛が求めているのは尾島なのか、自分なのか、はたまた誰でもいいのか。
尾島の、麻雛への想いは既に割り切ることとした。
後は、自分と麻雛との問題だ。
ふらふらと力なく自分に這い寄り、震える手でパンツをずり下げようとする麻雛に
蔓実は意地の悪い質問をする。
「本当に欲しいのはなんなんだい、麻ちゃん?尾島さんのじゃないの?」
「ほ、しい、のは、これ、だよ…つるちゃん、これ」
ブリーフの隙間からモノを取り出し、一心に舐め、口で扱く。
瘧の発作のように身体はがたがたと震え、力の入らない腕は何度もガクッと崩れ落ちる。
その度にモノを咥え直し、必に扱き続ける。
だが、それが突然止んだ。
どうした、と見る間に麻雛の顔が歪み子供のような泣き声を上げた。
「あー…我慢させ過ぎたな」
麻雛は一時的な幼児退行を起こしたらしかった。
幼い仕草を見せ、ぺたんと座りこんで手放しで泣きじゃくる。
流石に、蔓実もマズイと思い始めた。
(そうだな…僕のせいで狂っちゃっても困るしね。わかったよ)
太い指で麻雛の身体を掴み、ぐいと抱え上げ、隆々と勃ち上がった自身をその菊座に捻じ込んだ。
- 81 :
- 「……っ!あっ!ああああぁっ、いい、いい!もっと、もっと!」
普段の麻雛からは絶対に想像がつかないような大声を出し、泣き、よがる。
蔓実のモノがより深くその身を刺し貫くにつれ、それは悲鳴に近い物となって行った。
あまりにも焦らされ過ぎた上に与えられた肉の快楽に、
麻雛の精神は耐え切れず崩壊しつつあった。
突かれるままに叫び、その声を抑えることもせず、望まれるままに体位を変え、
自身が幾度果てても蔓実を受け入れることを止めなかった。
蔓実もまた、容赦しなかった。
日頃から何かにつけて歯痒く思っていた麻雛の態度を、
これで少しははっきりさせることが出来るかもしれないと思ったから。
尾島のことが好きなら、はっきりそう言えばいい。
なのに、いつもいつも周りを気にして、自分の気持ちを伝えてこない。
本当は抱かれたいくせに。泣くほど好きなくせに。
(大体君はいつも遠慮し過ぎなんだよ。深夜くんのことも好きなくせに、ね)
深夜を抱きたいなら、はっきりそう言えばいい。
なのに、いつも何かのついでのように深夜に手を出し、
結局、深夜を酷く泣かせてしまう。
(優し過ぎるのも罪なんだよ、麻雛くん。廻り回って皆が不幸になっちゃうんだから)
そんな小賢しいことを考えられないようになる位、追い詰めてやりたい。
そうしないと、彼の心の中の悪循環は断ち切れないと思ったから。
(…勝手に僕がそう思ってるだけだけどね)
今夜はちょっと、いや相当に長いよ、と蔓実は麻雛の耳元に囁いていた。
- 82 :
- あは〜ん
- 83 :
-
自分の叫び声で目が覚めた。
一人寝をしている時でも恥ずかしく思うのに、目の前に蔓実の寝顔があったものだから
麻雛は耳まで真っ赤になり、手で口を覆った。
「………っ!」
「ん…?起きたの?麻ちゃん」
蔓実はすぐに目を開け、腕枕していた麻雛の頭を抱きかかえた。
自然と、唇が重なる。
今までそんなことはしたことが無いくらいに、互いに舌を絡め合い、音を立てて唇を啜った。
暫くして顔を離し向き合うと、麻雛の目から涙が溢れ出した。
どうした?と蔓実が首を傾げると、やがてしゃくり上げ始めた麻雛は涙の中から言葉を発した。
「僕…恥ずかしい…恥ずかしくて…あんな声出して、あんな…恥ずかしい…イヤらしいことして、僕、は…」
おいおい、何を今更、と蔓実は思ったが、声には出さずにまた麻雛の肩を抱いた。
泣き止むのに十数分。
麻雛が話せるようになるまで蔓実は根気よく待った。
「…………」
やがて、ゆっくりと自分の手を外して床に起き上がった麻雛に倣い、蔓実もその場に胡坐をかいた。
「…取り敢えず礼を言います。ありがとう、蔓実さん。僕、あのまま一人きりでいたら気が狂ってたかもしれない」
「何、それはどういう意味?僕が君にエロいことを仕掛けて良かったってこと?」
「……あのまま一人で溜め込んでたら、僕は精神的に壊れちゃってたかもしれないってことだよ。
僕が意地張って我慢してたことを、蔓実さんが色々風穴開けて解放してくれたんだ。…とても恥ずかしかったけど」
律義に答えながらも増々顔を赤く染める麻雛に、蔓実はもう一つの疑問をぶつける。
「じゃあ尾島さんのことはどうするんだい?君はきちんと付き合っていけるの?自分の気持ちをはっきり言えるのか?」
それを聞いて、赤らんでいた麻雛の頬は、一瞬のうちに蒼ざめた。
「…言えなかったら、また元に逆戻りするだけだ…しないよ。絶対に、しない。
あんなに辛いのは、もう嫌だ。嫌だから…」
また泣きそうになるのを、無理矢理に微笑んでみせると、まだ薄暗い部屋の中に麻雛はぎこちなく立ち上がった。
- 84 :
- 「…もう二時になっちゃった…今日は本当にありがとう。僕、もう大丈夫だから」
若干腰をかがめ気味に歩き出したのは、身体が軋むように痛むためか。
壁側に設置された洗面所の前に辿り着くと、麻雛は台に手をついて溜めていた息を吐き出した。
「遅くまでごめん。明日…いや、今日も仕事でしょ?もう帰って」
その言葉に、蔓実は露骨に怪訝な顔をする。
「………何だよそれ。つれないなぁ。僕のこと邪魔なのかい?もう用済みってこと?」
「え…ち、違うよ…!」
ぱっと頭を上げて振り返ると、蔓実は既に麻雛の真後ろに近付いていた。
「やめ…来ないで…!」
恐怖に顔を歪め、身を翻して逃げようとする麻雛、それを逃がさじと羽交い締めする蔓実。
薄暗い部屋の中で二人の攻防はしばらく続いた。
「ちょっとっ!待ちなよ!少し落ち着けって…!」
腕の中で暴れる麻雛に業を煮やし、蔓実は思わずその力を強めて叫んだ。
「何だって急に…!訳がわからないよ、ちょっと、頼むから落ち着いて!」
「い、嫌だ、放してっ!触らないでっ!嫌だ、もうこれ以上…!」
激しい口調で自分のことを拒む麻雛に、蔓実は当惑の色を隠せなかった。
承諾を得ずに無理矢理、が駄目だったんだろうか。
しかし、ついさっきの感謝の言葉は何だったのか。
自分の行動に非があることは認めるが、瞬くような短い間に態度を180度変えられても
正直戸惑うばかりだ。
酷使した身体の痛みに耐えかねたのか、息を切らした麻雛は抵抗するのを止めてその場に座り込もうとした。
それに逆らわず、蔓実はその身体をそっと床に下ろした。
「…ったく、もう。一体どういうことなんだい?訳ぐらい話してくれてもいいだろ?」
肩を掴んで少し身体を揺さぶりながら問うてくる蔓実に、麻雛は今度は逆にひしとしがみ付いた。
「嫌なんだ…もう、これ以上、優しくされたら、好きになっちゃうじゃないか…君のこと」
- 85 :
- それを聞いて、蔓実は唖然として身体を固まらせていた。
なん…だと?
ぷっ。
軽く吹き出し、それから弾けるように笑いだしてしまった。
「あっははははははははははっ!麻ちゃん、君って奴は…!」
何なんだこの可愛らしい生き物は。
どんな顔をしてそういうことを言うのか、と顔を摘んで引き揚げようとすると、
麻雛は蔓実の分厚い胸にむしゃぶりついてきた。
「嫌、だよ、見ないで、恥ずかしい…」
おいおい、そう追い打ちをかけるようなことをするなよ。
また手を出してしまうじゃないか。
流石に今日はもう自重しようと蔓実は思っていたのに、麻雛の方から仕掛けてくるとは。
(怖いのは、彼が多分無自覚に振舞ってることなんだよなあ)
自覚の無い、自然な行為から湧き起こってくる色香。
全く、尾島はとんでもない人材を作り上げてくれたものだ。
(罪だよ……本当に目の毒だ)
微かに震える身体を抱くと、麻雛はそっと顔を上げて不安げな目で見詰めてきた。
背筋にぞくりとしたものを感じたが、蔓実は努めてそれを無視した。
(ヤバい。手に入れたくなる、だけど…)
うだるような残暑の熱も、この時間になると少しやわらいでおり、どうかすると肌寒ささえ覚える。
「…今夜はもう寝よう、麻ちゃん。このまま朝まで抱いててあげるから」
今日はとても疲れた。休もう、今は取り敢えず。
互いの身体の温もりを感じながら。
様々なしがらみの数々も、今だけは忘れてしまえ。
蔓実が目を閉じると、つられる様に麻雛も眠りの中へと落ちて行った。
- 86 :
-
それから数日後。
特に何ということも無い、変わり映えのしない日が暮れようとしていた。
土曜日は、大体が依頼者との面談で終始することが多い。
依頼者が都合をつけやすい曜日、というのが一番の理由だろう。
今日は事務所で4件、出先で1件の面談をし、必要な書類を纏めることに終始していた。
(…うん、5件なら、少ない方だね)
夏の暑い盛りには感情的な喧嘩沙汰が多かったが、こうして虫の音を聞くような季節になると
世の中の人間も漸く冷静さを取り戻してくるのだろうか。
(…でも今日の依頼も大概、感情的だったけどね…)
世に弁護士の飯のタネは尽きまじ、と麻雛は溜め息をついた。
判っていたこととはいえ、何とも不可思議な職業に就いてしまったものだ。
毎日毎日、そう思わぬ日はない。
感情のもつれやら、やっかみ合いやらの中へわざわざ乗り込んでいくなんて。
そんなことが必要の無い世の中になれば良いのだろうが…
ああ、それでは僕らの存在意義はどうなる。
(…仕事、仕事。そうだよ、これが仕事なんだから)
負の感情が湧き起こりそうになる度に呟く魔法の言葉を繰り返し、
麻雛は簡単に事務所内を片付け終えた。
辺りは急に薄暗くなっていて、未だ残る蒸し暑さとは裏腹に秋の訪れを告げていた。
灯りを落とし、ドアに鍵をかけると、廊下一体に薄く漂う焦げ臭いにおいに麻雛ははっとして振り返った。
「あ……っ!ま、さか…」
- 87 :
- ビル内の狭い廊下には、突きあたりにエレベーターが、もう一方には階段が設置されている。
辺りに漂うタバコの煙を嗅ぎ、麻雛は必になって周りを見回していた。
(これって、いつもの…いや、まさか)
かつて嗅ぎ慣れていたこの銘柄は。
どこだ、どこから流れてきているのか。
廊下には人影は見えない。
では他の部屋か。階段からか。
その時、下手に伸びる階段の影からじゃりっと音がし、頭が一つ突き出て見えた。
「……よぉ」
待ち望んでいたはずの声。なのに、それに答えられない。
会えたら言おうと思っていたこと、しようと思っていたこと、様々なことが一度に頭の中にひしめき
却ってその舌を凍りつかせる。身体をがんじがらめに縛り上げる。
唯一動かせた目をかっと見開き呪縛を解こうとしたが、言うことを聞かない膝が力なく崩れ落ちただけだった。
「お、おい!どうしたんだよ!」
階段から一散に駆け寄ってくる尾島の姿に、麻雛はとてつもない喜びと同時に
慙愧の念を覚えていた。
「ごめんなさい、こんな…どうしようもない人間なのに、僕なんか…あなたを、傷付けてばかりで」
その身体を抱え上げた尾島は、じっとその目を覗き込んだ。
「…あ……」
「おい、俺はあんたに謝りに来たんだ。色々あっただろ。あんたのこと、どうしようもねえなんて思っちゃいねえぜ」
そしてそのまま唇を奪った。
その味を楽しむように、懐かしむようにひとしきり啄ばみ続けた。
「…なぁ、おい。あんた、明日の朝まで俺のこと、欲しかぁねえか?どうだ?」
ぽろり。大粒の涙が零れ落ち、それはもう止まらなくなってしまった。
麻雛は声をして泣いた。泣きながら、嬉し涙は中々枯れないものなんだな、と、そう思っていた。
- 88 :
- トゴタンの会社に過失なしと言う判決が出ました
トゴタン…(つд`)
廃業って書かれると切ないです
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20110223/261110/?ST=architecture
- 89 :
-
「………そうですか。それで目出度し目出度し、ですね。で?今、麻雛くんは?」
携帯越しの問いかけに、それまで惚気口調だった尾島の声が俄かに慌てだした。
「ん?あ、ああ、さっきまで寝てたんだけどさ、今は…俺に背中向けたままくっついてきたよ。
おい、そんなにくっつくなよ、暑いじゃねえか…あ痛っ!」
「…それって…今の話、思いっきり聞こえてんじゃないですか、彼に…しょうがないな。
まぁいいや。色々とご馳走様でした…あんまり無理しちゃ駄目ですよ」
くくっと笑って携帯を切ると、ベッドランプの下で目を光らせている深夜と目が合った。
どうしたの、と蔓実は顎をしゃくって見せる。
「僕にも思いっきり聞こえてましたよ、今の話。どういうことですか」
口を尖らせる深夜に、蔓実は余裕の姿勢を崩そうとしない。
「どうって、聞いた通りだよ。麻雛くんは尾島さんと仲直りして、今はよろしくやってる真っ最中さ。
良かっただろ?君も彼のこと心配してたんだから。色々と」
「そりゃあ!心配してたけど!良かったって思うけど…だけど」
いきなり声を荒げ、シーツを握りしめる深夜の様子に、蔓実は首を傾げた。
耳まで紅く染まり、思い詰めたように俯いて首をイヤイヤと左右に振り続けている。
「どうしたのさ。何か気に障った?」
そう問いながら、蔓実は深夜の様子を注視していた。
首を振ってはいるが、こちらのことを完全に拒んではいない。
いやむしろ、構って欲しそうな態度がありありとわかる。ならば。
ガバリと抱きしめてうなじに噛みつくように歯を突き立てると、どこか甘ったるい声が深夜の口を突いて出た。
「あ…!ぼ、くと、二人でいる時に…他の男の話をするなんて…しかも、尾島さんの話…!」
なんだ。呆れた。とんだ情夫だ。嫉妬心丸出しか。
(でもまあ、そういうことを言う君も可愛い、かな)
- 90 :
- そのまま口付けようとする唇を振り払い、深夜は溺れた人間が水面に出ようとするように喘いだ。
「やぁ……っ!やだ…!」
「え…?」
乱れた呼吸とともに零れ出た、自分を拒絶する言葉。
それを聞いた蔓実の眉は自然と吊り上げられる。
「何だって?今何て言ったの、深夜くん」
「あ、あなたなんか、僕だけじゃ満足できないくせに!僕だけじゃない、2弁に次々と手を出して!
○さんにも×さんにも、あの人にだって、この前会った先輩とだって…依頼者とかも怪しいもんだ…!
よくも、よくもそんな手で僕を…っ!僕のことなんてどうでもいいくせにっ!」
呆気にとられる蔓実を前にして喋り続け、その自分の言葉で興奮してしまい、益々息が上がってしまう。
よく判らない精神の昂りを抑えられず、感情のままに口を開き、気が付いたら涙まで流していた。
「あ、あなたには僕の気持ちなんか判らないんだ!いつもふらふらと出歩いて、色んな所で誰かに手を出して!
事務所であなたのことを待ってる僕のことなんか知らないで…!
僕の前で他の人のこと喋るなんて、わざとでしょ?僕の反応見て楽しんでる?
僕のこと弄って、あなたは…あなたは…」
- 91 :
- トゴタンブログ復活
ttp://ameblo.jp/eboshi-hime/
オジーは元気だそうで、近く週刊プレイBOYに記事がでるそうです
トゴタンも取材させてほしいと打診りましたが断ったそうです
せっかくのオジトゴが…
- 92 :
- 連投すまそ
ブログの名前に「とんちゃん」とあって鼻血ふきますたw
これってオジーがトゴタンのこと呼んだ時のじゃまいか(´д`;)
- 93 :
- あは〜ん
- 94 :
- ツイッターにトゴタンがいます('A`)
- 95 :
- あは〜ん
- 96 :
- イーホ復活
ttp://ehomes.co.jp/
- 97 :
- >>96
がんがってほしいっす(`・ω・´)
オジーは離婚後、若い人と暮らして相変わらずのエロオヤジっぷりを発揮してるとか。
まだ事件を引きずってトゴタンを恨んでるそうです。
トゴタンはオジーに「まだ若いんだから頑張ってほしい」と。
愛だなー…
- 98 :
- 揺れた
- 99 :
- そういえば、オジーも姐タンも被災地の仙台出身でしたね、、、
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