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2013年07月レズ・百合萌え97: 【ガスト】アトリエシリーズで百合 4 (729)
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【ガスト】アトリエシリーズで百合 4
- 1 :2012/08/10 〜 最終レス :2013/07/04
- アトリエシリーズ全般で百合であればおk
語ってもよし、SS投下どんとこい!
まとめサイト
https://sites.google.com/site/atelieryurisure/home
前スレ
【ガスト】アトリエシリーズで百合 3
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1324896324/
- 2 :
- 前スレおちたっぽいんで建てときました
- 3 :
- 乙
トトミミアンソロ、1日目の分は昼頃に完売したらしいね
- 4 :
- トトミミアンソロ届くの楽しみ
- 5 :
- おつー
- 6 :
- というわけで前スレのアーベルの続き投下します。今回はエロなしです。
- 7 :
- 「ふんふふーん」
ウィルベルはご機嫌な様子で鼻歌を歌い、ソファーに寝転がりながら魔導書を読んでいる。
足は所在なさげにふらふらと動き、頬杖をつきながらぺらぺらとページをめくっている。
そんな様子をアーシャは釜をかき回しながら眺めていた。
―ふふ、ベルちゃんもまだ子供なんだなあ、かわいいっ。
まだあどけなさを残すウィルベルの姿をみて思わず頬がゆるむアーシャであった。
例の一件以来、ウィルベルは今までにましてアトリエに顔を出している。暇さえあればアトリエにいるといってもいい。
見せる姿も変わっている。今までではアーシャの前で魔導書の勉強をすることはなかった。ようするにウィルベルは、
何かの用があるというわけではなくアーシャのいるアトリエにいるそのためにアトリエに来ているのである。
「ふぅ。ベルちゃん、一段落ついたからお昼にしよう」
「うん。手伝うよ。」
時は戻ってアトリエである。アーシャがいつものようにウィルベルをお昼に誘っていた。
ウィルベル自身は料理ができるわけではない。しかしここのところは積極的にできることを手伝っていた。
「よし。ベルちゃん、それとって」
「これね、はい」
そのとき食材をつかんでいたウィルベルの手にアーシャの手が重なった。キッチンに二人でいるとなれば大分狭い。
こういうことはよく起こる。今回もウィルベルが顔を赤らめうつむいてしまうことまで含めて例にもれなかった。
しかしアーシャはその様子には気づかず作業を続行している。
―むう、いい加減気づいてくれてもいいのに。アーシャのばか…
先日の一件の後、ウィルベルはアーシャに好意を持ち始めていた。というより気づかされたという方が正しいかもしれない。
同年代で親しい少女に恋をするというのは当然の帰結であった。
そんな気持ちに気づかれないことがちょっと悔しくて服の裾を握った。
「どうしたの?」
「ん、なんでもないっ」
「ふふ、甘えんぼさんなんだから」
子供扱いされ気持ちは伝わらずますますもどかしい思いをするのであった。
- 8 :
- 二人は料理に舌鼓をうち、話が弾み、片づけを終えて今はソファーで一休みしている。
たわいのない話をしてアーシャのとなりで過ごす時間はウィルベルにとっては好きな時間だった。
しかし今日は様子が違った。
「あのね、ベルちゃん」
深刻そうなアーシャの声にウィルベルは意識を向ける。
「あの時はごめんね。勢いであんなことしちゃって、ってあれ。ベルちゃん、ものすっごく怒ってる?」
ウィルベルとしては別にあの時のことに不満があったわけではない。自分の気持ちに気づかず勝手に嫌なことをしたと謝られ、
自分のなかで何かが切れるのを感じた。ぐいとアーシャと体を密着させる。
「ベルちゃん、あの…ちょっと近いよ…」
後ずさるアーシャの肩を持つ。そのままソファーに押し倒し覆いかぶさる。そして、
「アーシャのばかっ、鈍感!あたしが好きなのも知らないで!」
「え?えええぇぇぇっ」
「あたしは嫌だなんていってないのに!」
「えっと…」
「……責任とってよね、あたしをこんな気持ちにしたんだから」
急に語調を和らげ、まっすぐと見つめながらしおらしげに言うその姿はとどめの一押しであった。
突然押し倒され、告白され、アーシャの理性は限界だった。
「ベルちゃん!」
むぎゅっとウィルベルの身体を抱き留め引き寄せる。
「きゅ、急に何するのよ」
「あーもうベルちゃんかわいい!」
そのまま器用にウィルベルの身体をひっくり返し上下を逆転させる。アーシャの腕の間でウィルベルは恥ずかしそうに顔をそむけた。
「っ…、今度は優しくしてよね…」
「わかったよ、ベルちゃん」
そう言ってウィルベルに体を密着させ口づけをかわした。
「んっ…」
声を漏らすウィルベルがかわいくて、ちょっと意地悪したくなって舌を滑り込ませた。
おどろいた表情をし、目でダメだと語ってきたがアーシャに許すつもりはない。
ウィルベルの舌をノックするとウィルベルの方からも舌を絡ませてきた。
しばらくそうしていただろうか。息が苦しくなりどちらともなく口を離した。
「ふぅ…、ベルちゃん、好きだよ」
「むぅ、順番が違うよ…」
「ごめんね、でもベルちゃんがかわいいからいけないんだよ」
「ばか…」
「ねえ、ベルちゃん。この前みたいなことしたいんだけど…」
「こんどはやさしくしてよね…」
そういってウィルベルはうなずいたのであった。
- 9 :
- 「もう、やさしくしてって言ったのに!」
「ごめん、ベルちゃん。」
ウィルベルは結局行為が激しくなってしまったことに不満をいっていた。それをアーシャはばつが悪そうに聞いていた。
「キスして…」
「えっ?」
「キスしてくれたら許してあげる」
そのまま何も言わずアーシャは口づけをした。ウィルベルもその身をゆだねた。
「ところでベルちゃん。今日泊まっていかない?」
特段断る理由があるわけではない。ウィルベルは快諾しこの日の夜はかしましくふけていった。かくして二人は結ばれることとなったのである。
〜後日談〜
「ふあぁ〜」
ある朝アーシャはウィルベルが寝ている隣で目を覚ました。起こさないようにそっとベッドを抜け出し朝ごはんの準備を始めようとした。
「あれ?手紙が来てる」
ウィルベルと仲良くしていたアーシャのもとには大婆様からたびたび手紙と贈り物が届けられていた。
今度はなんだろうと手紙を見てみてアーシャは固まった。
「末永くお幸せに」という言葉とともに指輪が二つ置いてあったのだ。
「これって、そういうことだよね。うん、頑張らなきゃ」
「ベルちゃん、ちょっと左手出して?」
「ん?なになに」
その薬指に指輪をはめた。ウィルベルは始めぽかんとした後、急に顔を赤くした。
「うん、よく似合ってるよ」
「なななっ」
「ほら、ベルちゃんからもおねがい」
指輪を差し出す。ウィルベルは動揺しながらもアーシャの左手に指輪をはめた。
「ありがと。これでずっと一緒だね」
その発言にまたウィルベルは顔を赤くしたのであった。
- 10 :
- いじょうでおしまいです。お粗末さまでした。
前回から地味に二週間以上開いちゃいましたね、すいません。時間がたつのって早いです…
- 11 :
- GJ!
大婆様の贈り物はつまり「責任は確実に取るように」っていう念押しだよねw
- 12 :
- >>7
乙です
それにしてもスレ落ちてたのか…
- 13 :
- おし、トトミミげっと
- 14 :
- トトミミアンソロやばすぎて禿げた
なにより一冊丸々トトミミってもうそれだけでぐへええええ
参加者の皆様には心よりお礼を申し上げたい
- 15 :
- >>14
アンソロゲットおめ
手元に届くのが当分先になりそうだから、感想が聞きたい
- 16 :
- >>15
とりあえず先頭に数ページカラーイラストがあるんだけど、もう俺はその時点で悶えた。
他は、なんというかもっとピュアトリフネタ多いのかと思ってたけど、結構少なかったな。
で、全体的にミミさんが乙女で、トトリ先生が少し押し押し?的な。まあ基本ですな。
時間軸もトトリエだったりメルリエだったり両方あるから、トトリエ時代のうぶなトトミミも見れちゃうぜ
まあつまり、俺は大満足でした
- 17 :
- 虎で買ってもよかったけどせっかくだしコミケに行って買ってきた
>>3見てちょっと不安だったけど
とりあえず今後はアーシャの方も百合本出てくれるの期待
- 18 :
- ベルちゃん、ニオと初対面の時は「ウィルベルさんって呼びなさい」って言って、ニオも素直にそう呼んでる。
だけど女子会エンドでは呼び方が「ベルちゃん」に変化している。
女子会エンドまでの二人に一体何があったのだろう…
- 19 :
- 仲良し姉妹に入れなくてベルちゃんが拗ねたイベントと似たようなやり取りでもあったんじゃない?w
ニオのところに遊びに来たりでベルニオも仲良くて微笑ましいよね(お姉ちゃん視点)
- 20 :
- アーシャがニオと四六時中べったりで、構って貰えなくて拗ねるウィルベル。
そんなある日、ウィルベルは出来心から、嘘をついてニオと約束のあるはずのアーシャを遊びに連れ出してしまう。が、すぐニオ本人にばれる。
本気で怒るニオ。素直に謝ればいいのに、ついウィルベルも逆ギレして大げんかになってしまう。
後になって一人で反省しまくるウィルベル。言い過ぎたことを後悔するニオ。でもお互い気まずくて、なかなか会って謝ることができずにいて……
みたいなことがあって結局仲直りした後、
「これからはわたしもベルちゃんって呼んでいい?」
「……仕方ないわね。特別に許可してあげるわ」
なんてことになったのではないかと予想。
- 21 :
- アーシャをはさんで二オとベルちゃんで微妙に三角関係っぽいといいな
作中だとそんなにシーンは多くないけども
- 22 :
- 姉リンカがアーシャを拉致して、おどおどするアーシャを街中連れ回したり
アーシャにあんなことやこんなことする
みたいな妄想してたら朝だった
あーいい加減pink規制解除されないかな
- 23 :
- ところで保管庫最近更新止まってるみたいだけど暫定的にでもwiki作った方がいいだろうか
ちょっと意見を聞かせて欲しい
- 24 :
- 最低限過去ログが残っていればいいと思うけど
pixiv等に転載されてない作品を保管しておくのはいいかも
- 25 :
- 攻略本出たみたいだしイベント全部見るため2週目行こうかな
- 26 :
- 今週休みだから自分も2週目やってるよ
とりあえずどノーマルエンドがどんな感じか見てみたいので
ちなみに一週目はキースエンドだった…
- 27 :
- どうもアーシャは百合妄想できない
やっぱりトトリちゃん最高や
- 28 :
- トトリとミミは変な男フラグが薄くて良い
ロロクーも好きだけどオッサン騎士がややウザかった
- 29 :
- ロロアトは男をパーティーにまったく誘わなければ良いだけですし・・・
厨二病さんはまだいいとしてG様とか地雷でしかない
- 30 :
- SS投下します。
メルケイ。久しぶりの投下で久しぶりのロロナ先生のパイネタ。
- 31 :
- 今日もよく晴れたある日のこと。メルルのお世話係兼メイドのケイナは、せっせとアトリエの掃除をしていた。それ自体は、ここの日常光景の一つであるのだが――
「じー……」
「……」
「じー……」
「……」
「じー……じろじろ……じー……」
「……あの、ロロナ様?」
「なぁにけいちゃん?」
掃除をしているケイナに向けて、妙に熱い視線を送っているロロナ。何か用事でもあるのだろうかと、ケイナが声を掛ける。
「先ほどから私のことをじっとご覧になっていますけど、何かご用でしょうか?」
「ううん。なんでもないよ。けいちゃんおしごとがんばってるなーっておもって」
「そうですか……」
それならばと、ケイナは掃除を再開する。
が、
「じー……」
「うぅ……」
やはりロロナから、ただごとではない目で見られている。
「あの、メルル……」
「ん? どうしたのケイナ?」
邪魔をするのは悪いと思ったが、ケイナは錬金術の本を読んでいたメルルに小声で声を掛ける。
「その……先ほどからロロナ様が、私のことをじっと見ているのですが……何かあったのでしょうか?」
「ケイナが可愛いからじゃないの?」
「メルル……私は真面目に聞いてるんですよ」
「失礼な。わたしは真面目にケイナを可愛いと思ってるよ!」
「だからそうじゃなくて……」
真面目にボケ倒すメルルをどうしたものかと、ケイナは頭を抱える。
と、その時。
「ひらめいた!」
ロロナが急にポンと手を叩いて、調合釜に駆け寄った。
「メルルちゃん、ロロナ、ちょうごうするからねー」
「うん、いいけど。また新作のパイ?」
「うん。けいちゃんをみてたらねー、すっごいパイをおもいついたのー」
「私を見て……ですか?」
ロロナが先ほどからケイナを見つめていたのは、それによって新作のパイの構想を練っていたらしい。
「へえー。ケイナを見てて思いついたパイか。楽しみだね」
「できたらメルルちゃんたべてみてねー」
「いいの?」
「うん! まっててねー」
「あの、メルル……食べるとまた不思議なことが起こったりするのでは……」
「その可能性はあるけど、ケイナを見てて思いついたパイなんだから、きっと素敵な効果だよ」
「はぁ……本当に大丈夫でしょうか」
一人心配そうなケイナをよそに、ロロナはいつものように歌いながら釜をかきまぜている。
「れんきんれんきんってなんだ〜♪ ふりむかないことさ〜♪ パイってなんだ〜♪ ためらわないことさ〜♪」
- 32 :
- そうしてしばらく経って――
「できたー!」
ロロナの新作パイが完成した。
「メルルちゃん、たべてー」
「待ってました!」
ワクワクしながら待機していたメルルは、出来たてのパイを早速一人分切り分ける。
「それじゃあ、いただきまーす♪」
警戒心ゼロで、メルルはパイにかじり付いた。
「ん……モグモグ……」
「……どうですか? メルル」
「特に何にも。普通にすごく美味しいパイだよ」
「ねえねえメルルちゃん」
「なぁにご主人様?」
「……えっ?」
唐突にメルルの口から出てきた聞き慣れぬ呼称に、ケイナの目が点になる。
「えっ? 今、わたし、ご主人様のことご主人様って――あれ? 何これ!?」
「め、メルル……ひょっとしてその『ご主人様』というのはロロナ様のことですか?」
「うん、そのつもりなんだけど、何でかご主人様って呼ぼうとしてもご主人様って……ああ、やっぱりダメだぁ!」
「えっへっへー。メイドさんパイだいせいこー!」
「め、メイドさんパイ!? まさか、食べたらメイドになっちゃうの!?」
「あたり! たべると、パイをつくったひと、つまりロロナのメイドさんになっちゃうんだよ」
「そ、そんなぁ……わたし、お姫様で錬金術士で、その上さらにご主人様のメイドまでしなくちゃいけないの?」
「えっと……メルルがロロナ様のメイドになると、私の立場はどうなるのでしょう?」
「メルルちゃんがメイドさんだから、けいちゃんはメイドさんのメイドさんだね」
「はあ……何だか、直臣からいきなり陪臣にされたお武家さんみたいですね」
「さあメルルちゃん。さっそくメイドふくにきがえてね」
ロロナはにこにこ笑顔で自分の秘密バッグから、フリフリのメイド服を取り出す。ケイナが来ているものより若干露出度が高めで、作業効率よりも見た目を重視したタイプだ。
「はいご主人様。……って、何か逆らえないし! ちょっとご主人様! メイドさんになっちゃうとか可愛く言ってるけど、これって人の心を支配する系のアイテムだよね!?」
ロロナの不思議なパイが使いようによって危ないのはままあることだが、これはちょっと洒落にならない。完全に『つくっちゃだめリスト』入り確定だ。
だがしかし、今現在のメルルはロロナの忠実なメイドでしかない。言われるがまま、メルルはメイド服に着替える。着替えを手伝うケイナはどうにも複雑な表情だった。
「あの、ご主人様。このパイの効果って、いつ切れるの?」
「さー?」
メイド姿になったメルルの質問に、ロロナは首を傾げる。とぼけている風ではなく、本当に分からないらしい。
「ロロナ、いっしょうけんめいつくったから、きっとながもちするとおもう」
「そんなに気合い入れちゃったんだ……」
下手をすればこれから数日、ロロナのメイドということかもしれない、と。げんなりするメルルだが、まだ希望はある。
「ただいまー」
タイミングよく、用事で出かけていたトトリが帰ってきた。
「ああ、トトリ先生いいところに! 何とかして下さい!」
「あれ? メルルちゃん、いつメイドさんに転職したの?」
「いえそうじゃなくて、パイですよパイ! ご主人様の!」
「ご主人様?」
「えーっと、そうじゃなくて……」
一旦気持ちを落ち着けてから、メルルはかいつまんで事情を説明する。
- 33 :
- 「なるほど……食べたら作った人のメイドさんになっちゃうパイ、か」
「わたしはご主人様に逆らえないし、いつ効果が切れるかも分からなくて……トトリ先生、何とかなりませんか?」
「うん……」
トトリは一つ頷くと、いつになく真剣な目でロロナに向き合った。
「ロロナ先生」
そして鋭い声音で呼びかける。
(おお、さすがトトリ先生……!)
たとえ自分の師が相手であっても、締めるところはキチンと締める。メルルは改めてトトリへの尊敬の念を深めた。
「なぁに? トトリちゃん」
「そのパイのレシピ、教えて下さい」
「何を言ってるんですか何を言ってるんですかトトリ先生ーっ!?」
深めた尊敬の念が一瞬にして子供用プール並の浅さに浮上した。
「誤解しないでメルルちゃん。わたしはあくまで錬金術士として、学術的意義のため教えを乞おうとしているの。それにレシピが分かれば、効果を解く薬なんかも作れるかもしれないでしょ」
一点の曇りも無い目で、トトリはメルルに語りかける。
「は、はあ」
「ミミちゃんにパイを食べさせてメイドさんにしちゃおうなんてことは、これっぽっちも考えていないからね」
「わざわざ念を押す時点で語るに落ちてます先生」
「ロロナ先生。お願いします」
トトリはメルルの突っ込みを華麗にスルーして、もう一度ロロナに頼んだ。
「うん、いいよ。でも、ロロナのおねがいきいてくれたらね」
「はい! わたしに出来ることなら」
「えっとねー、まずおめめをとじて」
「はい」
「おくちをあーんして」
「あーん」
「えいっ」
「んぐっ!?」
言われるがまま「あーん」をしたトトリの口に、一口大に切ったメイドさんパイが放り込まれた。
「だいせいこー!」
「だ、騙しましたねご主人様!」
「いや、今のはトトリ先生がちょろすぎます」
「さあ、トトリちゃんもメイドさんになったんだから、きがえてきがえて」
トトリもパイを食べたということで、ロロナは早速もう一着メイド服を取り出して着替えを命じる。
「ああ、アトリエ内のメイド率が凄いことに……」
「本職はケイナちゃんだけだけどね……」
「えっへへー。もっとたくさんロロナのメイドさんこないかなー」
「ちょっ……ご主人様、まだメイドさんを増やす気なの!?」
パイを切り分けてワクワク笑顔なロロナ。どうやらアトリエに来た人間を片っ端からメイドにしていくつもりらしい。
「このままじゃアトリエが、来る者全てをメイドに変えていく魔のメイド地帯に……でもわたしもトトリ先生もご主人様には逆らえないし……こんな時に、もしもルーフェスとかが来ちゃったら……」
監督不行届として小言を食らうのはもちろん嫌だが、ルーフェスまでメイドにされてしまう恐れもなきにしもあらずだ。そんなことになれば、下手すればアールズ王国そのものが傾きかねない。
- 34 :
- 「ロロナ様。お待ち下さい」
メルルが頭を抱えていたその時。楽しそうにメイド服を並べているロロナに向き合ったのは、ケイナだった。
(そうか! ケイナはパイを食べていないから……)
あくまでメルルのメイドであるケイナは、自由意思を奪われてはいない。今アトリエにいる中では、唯一ロロナに対抗できる存在だ。
「なぁに? けいちゃん」
無邪気な表情で応えるロロナだが、呼びかけたケイナはいつにも増して真剣な顔つきだ。
「ロロナ様は、何故メイドが欲しいのですか?」
「かわいいから!」
ロロナは何の迷いもなく、元気よく答える。
「確かに。メルルやトトリ様のように見目麗しい方を、メイドとして傍に置きたいという気持ちは分かります」
「けいちゃんだってかわいいよ」
「恐れ入ります。しかしロロナ様。それは本当にロロナ様が望んでいることなのでしょうか?」
「どーいういみ?」
ロロナは首を傾げる。
「私はメルルのことを心から慕い、お仕えしています。メルルのメイドであることは、私の誇りです」
「け、ケイナってば……」
あまりに真っ直ぐなケイナの言葉に、横で聞かされるメルルはつい赤面してしまう。
「真のメイドとは、真心から主人に仕えるもの……しかしロロナ様。今のメルルとトトリ様は、ただパイの力による、仮初めのメイドでしかありません。それに一体、どれだけの価値があるのでしょう?
ロロナ様。あなたが欲しいメイドとは、本当にその程度のものなのでしょうか? 真心からロロナ様を慕ってくれる……真に求めるべきは、そんな存在ではないのですか?」
「……」
ケイナの話を聞き終えたロロナは、しばらく黙考し、大きく頷いた。
「そっか……うん。けいちゃんのいうとおりだね。ロロナ、まちがってた」
「おお、さすがケイナ……」
どうやらケイナの説得コマンドが成功したらしい。ロロナは、用意していたメイド服を秘密バッグに仕舞い、お皿に切り分けたパイも一つの箱に詰める。
しかし、ロロナがこれ以上メイドを増やす意思をなくしたところで、メルルとトトリは現在進行形でメイドとして立場を縛られているわけだが。
「えーっと……結局わたしとトトリ先生は、パイの効果が自然に切れるのを待つしかないのかな?」
「あ、ごめんねメルルちゃん、トトリちゃん。きょうかぎりでおいとまをだすね」
「お暇を出すって、解雇ってこと? ロロナちゃんがそれ言うだけで効果が切れるなんて――あ、切れてる」
「わたしも大丈夫みたい。さすがロロナ先生のパイだね。融通が利くね」
「融通が利くってレベルですかこれ。こんな手軽に相手の意思を支配出来るとか恐ろし過ぎますよ」
何はともあれ、ロロナのメイドさんを解雇されたメルルとトトリは、誰かに見られたりしないうちに、元の服装に着替える。
「ふぅー、ようやく落ち着いた……あれ? ロロナちゃんは?」
「ロロナ先生なら、残りのメイドさんパイとトラベルゲートを持って『くーちゃんとりおちゃんさがしてくるー』って出て行ったよ」
「ああっ、ケイナの言葉をそういう風に解釈しちゃった!?」
「パイの力に頼るのはよくない、という点をもっと強調するべきでしたね……」
反省するケイナだが、時既に遅しだ。まあ、ロロナお目当ての二人なら、数日メイドさんをやるぐらいなら、喜んで付き合ってくれそうだが(クーデリアは仕事のしわ寄せが凄いことになるだろうが)。
「わたしもちょっと用事があるから、出かけてくるね」
「はーい」
いそいそと出かけるトトリの手には何やらパイのレシピっぽいものが握られているような気がしたが、メルルはもう疲れていたのでスルーしておいた。
- 35 :
- 「やれやれ……ロロナちゃんのパイは油断大敵だね。ごめんねケイナ。注意してくれてたのに」
「いえ、お気になさらずに。それより、お茶を入れましょうか?」
「うん、お願い」
ケイナはいつものように慣れた手つきでお茶の支度を始める。どこからどう見ても本職のメイドらしく、板に付いた挙動だ。
「ねえ、ケイナ」
「はい?」
暖めたポットに茶葉を入れたケイナは、呼びかけられて振り返る。
「ケイナはさ、小さい頃からずっとわたし付のメイドだよね」
「そうですね」
今さら確認するまでもないことだ。それが何か? とケイナは小首を傾げる。
「その……ケイナは、メイド以外でなりたいものって、なかったの?」
「……」
短い沈黙。ケイナが答えるよりも早く、メルルは言葉を継ぐ。
「わたしは生まれた時からアールズのお姫様だけど、子供の頃から魔法使いとか冒険家だとか、色んなものに憧れたりして、今はこうして一人前の錬金術士を目指してるわけじゃない?
でもケイナは昔からずーっとメイドだけだし、それ以外で何か、夢とか目標とか、ないのかなって」
「ありませんよ」
きっぱり答えたケイナは、そのまま作業を続ける。ポットの中に熱湯を注ぐ。愛用の砂時計の天地を逆にする。
「ありませんって……夢も目標も何も無いの? それって、何て言うか……寂しいような」
「メルル」
ぎくり、とメルルの体がこわばる。ケイナの声音には、怒っている――というほどではないが、些かの非難の感情が込められていた。
「メルル本人が質問の答えを『それ以外で』と限定されたはずですが」
「あ……」
「さっき私がロロナ様に言ったことを、聞いていなかったのですか?」
「えっと……」
もちろん聞いていた。気まずげにメルルは視線をそらす。
砂時計の沈黙が、程良い具合に紅茶が蒸らされたことを知らせてくれる。ケイナにとっては体感時間で十分そのことを把握できるので、この砂時計はあくまで確認のための道具に過ぎない。
「もう一度言います。私はメルルのことを心から慕い、お仕えしています。メルルのメイドであることは、私の誇りです。……付け加えるのなら、一生涯メルルにお仕えして生きることが、私の夢であり、目標です」
白いティーカップに、綺麗な紅い液体を注ぐ。ほのかな湯気とともに、芳醇な香りが広がる。
「……この答えでは、ご満足頂けませんか?」
「いえもう大満足です」
ケイナから入れ立てのお茶を受け取りながら、メルルは深々とお辞儀した。
「どうして今さらそんな質問をされたんですか?」
そうメルルに訊ねるケイナの声は、いつもと同じように優しく、柔らかいものに戻っていた。
「いやぁ、その……さっき自分が一時的にでもメイドになってみてさ、わたしがメイドになるように、ケイナがメイド以外のものになる可能性もあるんじゃないかなー、なんて考えちゃって」
「確かに、そんな可能性もあったかもしれません。でも……」
「でも……?」
「私は私が何であったとしても、メルルの傍にいたいです」
ケイナは真っ直ぐメルルの目を見つめて、言った。
「……いけませんか?」
問うケイナに、メルルは音が鳴りそうな勢いで首を横に振る。
「いけないわけないでしょ。むしろわたしの方がケイナを手放さないからね、絶対」
真っ直ぐにケイナを見つめ返して、メルルは答える。
「では私も……メルルを絶対に手放したりはしませんので」
「うん!……って、これって何だかプロポーズみたいだね。いっそ籍入れちゃおうか? 法改正して」
「ルーフェスさんの頭痛の種を増やすようなことはやめて下さいね。ただでさえ激務でお疲れなんですから」
「ちぇー」
その提案が本気か冗談かは定かではないが、残念そうに唇をとがらせるメルルだった。
おわり
- 36 :
- 以上。読んでくれた人、ありがとう。
トトリのアトリエがVitaで出るかもしれないということで期待大。
どうせならアーランド三作全部出してくれないかな。
- 37 :
- ハイパー乙。えがったで〜
Vitaの画質でどこでもアトリエは結構いいな
- 38 :
- >>35
おっつー!やっぱりメルケイいいなw
せっかくトトアトvitaで出すならロロナのアトリエをバグ取り除いてロロクーロロリオイベント増やして出して欲しいなぁ
- 39 :
- 乙!!!!
メルケイいいわーさいこうだわー
で、続きはどこだい?
- 40 :
- 久々すぎて誰も覚えてなさげなトトミミ長編の続き投下します
前スレに1〜3話あるので…!!すいやせん!!一応ぴくしぶにもあります!
- 41 :
- 『ガラスの花』 4話
ちく。たく。ちく。たく。
部屋に置いてある時計の音がやけに大きく響く。
目の前に座るメルルちゃんは目を伏せて、何も言おうとしない。
今までの事を、ぶちまけるように話してしまった。
師匠としてこんな事話すべきじゃない、秘密にしておかなくちゃなんて意識ははじけ飛んだ。
もう、自分一人じゃ抱えきれない所まで来ていたんだと思う。誰かに聞いてもらって初めて分かった。
そっと息をつく。
ほっとした感情と、情けなさと、恥ずかしさが入り混じって頭が働かない。
でも、心の負担は確実に軽くなった。年下の女の子に甘えてしまうなんてどうしようもないけど、自分が弱い事なんてミミちゃんの件で自覚させられすぎた。今さらだ。
夕日の色が足元を照らす。
もう、こんな時間になっちゃったか。
「ごめんね。こんな話聞いてもらって。もう遅くなっちゃったから、そろそろメルルちゃんはお城に……」
「――――先生は」
口をつぐむ。気押されるようにして。
私の話を聞いてる途中、終始無言だったメルルちゃんが口を開いた。
見据えるようなその強い眼差しは、目線を逸らす事を許さない。
「先生はミミさんの事、どう思ってるんですか?」
どう? どう思ってる? そんなの決まってる。
「とも、だち……だよ」
「本当に?」
言い淀んだ私へ追い打ちのように疑問を投げかける。
急な質問にすぐ返す事が出来なかった。ここ最近悩んでいた事が、邪魔をした。
私は友達で居たくてもミミちゃんは分からない。だから、一瞬ためらった。
「本当に……友達だよ。仲直りして、私はミミちゃんと友達で居たいの。ミミちゃんとまた前みたいに笑ったり冒険したりしたいんだ」
「そうじゃなくて!――……いえ、すみません、私の質問の仕方が悪かったです」
一瞬語気を荒げたメルルちゃんだが、すぐに頭を振り目線を私から外した。
そして一端目を閉じ、私の方にゆっくりと目線を戻す。
その時にはいつもの優しい瞳のメルルちゃんだった。
- 42 :
-
「差し出がましい口を聞いてしまいそうなので……今は、何も言いません。ただ、先生はもっとミミさんに対する自分の気持ちを見つめ直してもいいと思います」
ぽかんとする。
見つめ直す…?ミミちゃんへの自分の気持ちを?それは毎日否が応でも考えてるんだけど、それとは違うのかな。
どう捉えていいのか分からなくて、困ってしまう。
情けなく眉が下がり途方に暮れる。
そんな私を見てメルルちゃんはふぅと小さく息を吐く。
「結局余計な事を言ってしまいました。すみません。……今日はこれで失礼します」
立ち上がって、ぺこりとお辞儀を一つ。丁寧なその仕草をぼんやりとした頭で見送る。
パタンという扉が閉まる音が響いた時に、ようやく挨拶を返し忘れていた事に気付いた。
はぁ、と息を吐く。相談に乗ってもらっておいてお礼どころか、挨拶すらしない年上ってどうなんだろう。ぼんやりしてたと言えばそれまでだけど。
それ以上に、衝撃を受けたのかもしれない。
――――ミミさんの事、どう思ってるんですか?
ミミちゃんが私の事をどう思ってるのかじゃなくて、私がミミちゃんをどう思ってるのか。
当たり前すぎて今まで深く考えていなかった。
「私は……ミミちゃんと、また友達に……戻れれば、それで……」
本当にそうなの? 他人問われて初めて感じた微かな違和感。
ミミちゃんに会えないのは何故?
怖いから。
何故怖いの?
もう友達だと思ってくれないかもしれないから。
友達じゃなくなるのがそんなに怖いの?
怖い。たまらなく怖い。
何故そんなに怖いの?
だって友達じゃなくなったら、ミミちゃんはきっともう会ってくれなくなるから。
会えなくなるのがそんなに怖いの?
だってミミちゃんは―――大切な、友達だから。
私はどこかで間違っているのかな。
◆
紅茶をソーサーの上に戻し、メルルちゃんが口を開く。
- 43 :
- 「先生、ミミさんとは会ったんですか?」
メルルちゃんはここ毎日、工房に顔を出す。
日常のやり取りと化し始めている、この質問。
「……ううん、まだ」
そして私の返事も決まっている。
「会いに行かないんですか?」
当たり前のように飛んでくるやりとり。私の踏ん切りがつかないのをメルルちゃんも分かっているせいだ。
ただ、心配して聞いてくれてるのは分かるんだけどこの質問を毎日されると憂鬱にもなる。
ミミちゃんに一番会いたいのは私。けれど私が弱虫だからとてもじゃないけど会いに行く勇気がない。
「ミミさんも会いに来てないんですよね?」
目をそらしながら小さくうなずく。
そう、そうだ……ミミちゃんが帰って来てから1週間。まだ、会いに来てくれていない。
やっぱり、もう――。
「きっとミミちゃんは、私の事嫌いになったんだよ……」
握りしめたこぶしに力が入る。事実を事実として言葉に出すだけで、どうしてこうも心が軋むのか。
分かっていた事なのに。自分の事しか考えてない私なんか、ミミちゃんはきっと幻滅したろうから。
「そんな事、ないと思いますよ。ミミさんに限って先生を嫌いになんて……」
その言葉にカッと血が上る。
ミミちゃんが私を嫌いにならない保証なんて、最初からどこにも存在しないのに。
「っ!! どうしてそんな事言えるの!? 何にも…分からないのに!!!」
噛みつくような言葉づかい。
はっとしてメルルちゃんの方を見ると、まん丸な目をして私の方を見ていた。
なんて事を。勇気がない私が悪いと言うのに、その苛立ちをメルルちゃんにぶつけるなんて何をしているのだろう。
「あ、ご、ごめん、ごめんなさい、メルルちゃん! あ、あんな事言うつもりじゃなかったんだけど」
「トトリ先生」
言い訳を遮るように、メルルちゃんが強く私の名を呼ぶ。
「以前もお聞きしましたが、先生はミミさんの事、どう思っているんですか?」
「どうって……どうしたの?突然」
「いいから。答えて下さい、先生」
有無を言わさぬ口調。なんとなく背筋が伸びる。
ここ一週間考えてても結論が出なかった。いや、結論は出ている。出ているがどうしても違和感を覚えてしまうだけだ。
- 44 :
-
「だから、ミミちゃんは私の友達で……」
必然回答も弱弱しいものになる。自分自身の立ち位置すら曖昧だ。
「本当にそうなんですか?」
「…………」
私の揺らぎを見通しているかのようにメルルちゃんは追撃してくる。
何も言葉を返せなくて私はメルルちゃんから足元へ視線を移す。足場が揺れる錯覚すら覚えそうなくらい、もはや自分自身の言葉に自信をもてない。
私もメルルちゃんも無言のまま。重苦しい沈黙。
ふっと空気が抜けるような音が聞こえた。
「すみません、先生。困らせるつもりはないんですけど……」
「……ううん、私が、悪いの。自分の事すらよく分かってないから……ごめんね」
小さく笑んだメルルちゃんが気づかうようにこちらを見ている。
そんな顔をしてこちらを見られると、どっちが師匠で弟子なのか分からなくなってくる。
「自分の事って案外分からないと思います」
「そう、かな」
「はい、他の人に聞く方が解決しやすい事だってありますよ」
にこやかな笑顔に元気を分けてもらう。あぁ、私もこんな風に晴れやかにまっすぐ自分自身を保てたらいいのに。
「そっか。そうかもね。メルルちゃんは私がミミちゃんの事どう思ってるように見える?」
何気なく自分の気持ちの整理のきっかけになればいいと思って投げかけた質問。
メルルちゃんはちょっと動きを止めた後、まじまじと私の顔をみた。
そして、少し目をつぶった後大きく頷いた。
「私はトトリ先生はミミさんの事、愛してると思いますよ、もちろん恋人として」
―――――――――――え?
突然の爆弾に私は何も反応が返せなくなる。
私が、ミミちゃんを、愛してる?
「そ、そんな事!ないよ!ミミちゃんと私は、友達なんだもん!」
「傍から見てると、先生、ミミさんの事すごい大好きだと思いますが……」
「ち、違う!……違うよ」
思い出すのは仮の恋人期間の事。
あの時私はただ慌てふためき、関係が変わる事を恐れ、自分を守るにはどうしたらいいのかしか考えられなかった。
きっと好きな人に告白されたなら、もっと素敵な関係になれたはずだ。嬉しかったはずだ。
好きって言う気持ちがどういうものなのかよく分からないけれど、あんなふうに自分自身の事しか考えられない気持ちとは違うんだろうと思う。
- 45 :
- 「ミミちゃんの事は大好きだけど、きっとそういう想いとは……違うと思うの」
「どうしてそう思うんですか?」
「それは……上手くは、言えないけど……」
「けど?」
「…………ごめんね、やっぱりなんて言っていいかわかんないや」
笑顔を繕う。メルルちゃんは無理矢理笑っている事なんて分かっているかもしれないが、こうでもしないと私が崩れてしまいそうだった。
メルルちゃんは難しそうな顔をして私を見ている。
ごめんね、迷惑ばっかりかけて。こんな情けない先生で、ごめんね。弱虫で、ごめんね。
ごめんね。
――――全く、あんたはいっつもそうなんだから。迷惑とか、今さらよ。
――――もう謝らなくていいわよ、そういう時に言う言葉は他にあるでしょう?
懐かしいやりとりがふと思い浮かぶ。私が何かに失敗して、ミミちゃんに迷惑をかけた時にごめんねって何度も謝った時にミミちゃんが言ってくれた言葉だ。
続きはなんて言ってたっけ。他に言う言葉、か。
それにしてもこんな時ですらミミちゃんが思い浮かぶなんて、本当にミミちゃんの事が今の私の頭の大部分しめているんだなぁ。
「トトリ先生?」
「―――え? あ、何? メルルちゃん」
思考が飛びかけていて、反応が少し遅れてしまった。
「いえ、ちょっと先生の視線が明後日に向いてたので……ってそうじゃなくて!」
「うん?」
「先生はミミさんの事、そういう意味で好きじゃないんですよね?」
「…………うん」
「それは、先生は―――このままミミさんが誰かに取られちゃっても平気って事ですよね?」
「え……?」
ミミちゃんが、他の誰かに?
ぽかんとする。同時に波打つ心臓の音がやけに大きく聞こえ始めた。
そう、そうだ。当然のことだった。ミミちゃんが私の事を嫌いになれば、他に好きな人が出来てもおかしくない。
そして私にしたように告白して、その人と付き合ったりするかもしれない。
いや、ミミちゃんのことだから誰かに告白されたって―――。
一気に色んな考えが頭になだれ込んでくる。
でも、私は、ミミちゃんの友達で……だから、答えは決まっている。
「平気、だよ。ミミちゃんがそれを望むなら」
「…………トトリ先生」
- 46 :
- 私の『心から』の笑顔をみたメルルちゃんは眉を寄せ、ぐっと口を真一文字に結んだ。
メルルちゃんらしからぬ、怖い顔かもしれない。
「分かりました……。先生、今まで伝えていなかった事があります」
「何? メルルちゃん」
目線を逸らしながらメルルちゃんが告げる。
「ケイナは……ミミさんの事が好きなんです」
どくん。体の中心から大きく音がした。
「今まで先生に遠慮して言いだせませんでした。先生が気にしないと言うのなら、ケイナに告白するよう伝えます。――いいですか?」
いいも、悪いも。
「……何で、私の許可がいるのかな」
私に選択権なんて。
「良いに決まってるよ。選ぶのは、ミミちゃんだから」
ない。
わかりました、そう答えたメルルちゃんの声は耳鳴りにまぎれて霞んだように聞こえづらかった。
- 47 :
- トトミミアンソロが萌えすぎて毛根滅しそうな作者です。
続きが遅すぎてすいません、ほんとすいません!!
話もようやく動いたのでちょっとほっ。続き頑張ります。
ここまで読んで下さってありがとうございました!!!
- 48 :
- 待ってたよ〜
もどかしいですが続きも期待してます
- 49 :
- 乙
メルルが言ってるのはブラフ…だよね?
でもそれだと自分じゃなくてケイナを出したというのがひっかかるし…
- 50 :
- 乙!
なんという先の気になる終わり方なんだ
続き期待して待ってます
- 51 :
- 久々に帰省先から帰ってきてのぞいてみたらss連投じゃないですか
両作者さまGJです
- 52 :
- 上でもちょっと話題になってるけど
トトミミアンソロはどうだった?
- 53 :
- 悶える
- 54 :
- 全てを投げ捨ててでも買うべき。
- 55 :
- いやもう持ってて何度も読み返してるんだけど、百合スレのみんなはどんな感想だったのか気になったんだ。
俺は色んなトトミミ模様が楽しめて、質・量ともに大満足でした。
何気にというか必然というか、フィリーさんの登場率が高めなのも嬉しかった。
- 56 :
- 周りのキャラもでるのはいいよね
- 57 :
- やっとPS3買ったんだけど、このスレ的にはどれを買うのがベストなの?アーシャはアカンということはわかった
- 58 :
- 時間と予算に余裕があるならロロナ、トトリ、メルルに順番でやることをオススメする。
どれか一本というなら人にもよるだろうけどトトリかな。
ただトトリはVitaでプラス版がでるかもしれない(中国サイトの情報)ので、その辺も踏まえて判断してくれ。
アーシャもそれほど悪くはないよ。トトミミみたいなガチのカップリングがないというだけで。
- 59 :
- やっとトトミミアンソロ読めた
自分の書いた文書が紙媒体になってるのを見ると、やっぱり感慨あるね
前スレで、ここの住人に「寄稿するか悩んでる」って相談したら、「せっかくなんだから頑張れ」って激励貰ったお陰だわ
しんどかったけど、やってよかった
ありがとうな!!
願わくは、みんなも楽しんでくれますように
- 60 :
- >>58
わかった、ロロナからやってみるわ。ありがとー
まだゲーム自体はよくわからんがパルフェで100時間やったし錬金系なら大丈夫なはず・・・
- 61 :
- 百合的にはメルル一択なだけで別にアーシャがつまらんわけじゃないよ
最近変なのが粘着してたたいてるけど
- 62 :
- 百合的にはメルルよりトトリの方が美味いと思う
メルルはなんか情緒がやや欠ける
- 63 :
- >>59
乙でした!
- 64 :
- メルルは百合的に悪くないんだけどちょっとね・・・w百合度自体はアーランドシリーズトップだと思う
百合度そのものはメルル>ロロナ>トトリって感じ、トトリはミミちゃんと百合ん百合んになるまでの物語だからって部分が大きいけど
- 65 :
- メルルは面白いし百合的にもいいんだけどエンディングがなぁ・・・
ゲームとしてはトトリが一番面白いと思う
- 66 :
- トトミミも好きだけどメルケイ大好きの自分はもうメルルが一番プレイ時間長いな
- 67 :
- >>59
アンソロお疲れ様です
楽しませてもらいました♪
- 68 :
- メルケイはもっと流行るべき
- 69 :
- >>57
アーシャはニオもベルちゃんとの絡みもそんなに悪くないと思う…
ゲームも新しい分やりやすくて初心者向きって感じ
正史がキースエンドらしいのがアレだけど、恋愛的な関係でもないし
二オも一緒に来るから、個人的には許容範囲かなあ
個人的な一番のマイナスポイントは立ち絵による会話がなくなったこと
- 70 :
- えwキースエンド正史なん?
まだ一周目でキースエンドで放置してた
- 71 :
- >>66,68
メルケイは自然体で夫婦やってる感じがいいよね
何の躊躇いもなく好き合ってる雰囲気がロロクートトミミにない魅力というか…
もちろんツンデレはそれはそれですごく美味しいけどね
>>70
必ずしも真エンド=正史ってわけじゃない
ザールブルグなんかはそのへん各エンディングのいいとこ取りみたいになってるし(仮にエリーがマイスターランクに進んでその後ふたりのアトリエ・アニスのアトリエを全部正史に含めたらマリーさんの年齢が…)
まあ続編が出るまで何とも言えないけどね
- 72 :
- エリーなんかチーズケーキ屋開いてるっぽいしなw
- 73 :
- >>71
キースエンドは割と好きなんだよねw
他を見てない俺が言うのもなんだけどw
まぁニオちゃんがついてこない展開なら感想は変わってたがw
- 74 :
- >>71
なんか攻略本に書いてあるらしい
まあマルチEDのゲームだから深く考える必要はないけど
続編が出る場合はエリーみたいに旅の途中で病気を
治してあげた女の子がアーシャの弟子入りしたがるとかそんな始まりになるかも
- 75 :
- >>74
攻略本には「真エンディング」としか書いてないけど…
どこかにこれが正史になるって記載あった?
- 76 :
- そうなんか
自分は本スレで前にそういう書き込み見たんで
攻略本に何か解説があるのかと思ってたけど違ったならスマン
- 77 :
- ベルちゃんのイベント、ED見ると
アーシャとベルちゃんはガチ百合にしか見えない
- 78 :
- えーと確か、大婆様に結婚のお許しを貰いに行くんだっけか(曲解)
- 79 :
- (擬似も実も)姉妹ネタで攻めてくるパターンはアトリエだと初めてだよね?
ニオとのほのぼのもいいんだけど、そこに嫉妬するベルちゃんがかわいすぎて
もうアーシャのお姉ちゃん魂が破裂寸前やばい
- 80 :
- vitaでトトリちゃんきたよ!
- 81 :
- VITA持ってない
- 82 :
- 評判良かったらトトリのためにヴィータちゃん買っちゃいそうな勢い
- 83 :
- 新展開の序章ってことはまだ何かやるんだろうけど
さすがにアーランド4を出すとも思えないしアニメ化でもするんかね
- 84 :
- 理想は携帯機で新作(ピアニャのアトリエとか没になったアーランド過去話とか)。
アニメ化は内容によるかな。
新しいコミカライズとかノベライズとかドラマCDでも十分嬉しいけどね。
でもソーシャルはやめてほしい。
- 85 :
- ミミちゃんミミちゃん、ソーシャルってなんだい?
- 86 :
- >>85
ミミ「ソーシャルゲームって言って、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で提供されるオンラインゲームよ。ここで>>84がやめてほしいって言ってるのは、携帯電話やスマートフォンをプラットフォームにしたゲームのことかしらね」
トト「ふーん。でもミミちゃん。それって何かよくないの?」
ミミ「それ自体が悪いわけじゃないわよ。ちょっと前に課金だのガチャだので色々と問題になってて印象が良くないのと、せっかくの新作ならちゃんとゲーム機で遊びたいってとこじゃない?」
トト「そうなんだ。わたしはまたミミちゃんと一緒に冒険できるならどんなゲームでも嬉しいけど」
ミミ「なっ……ば、馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ! どんなゲームでもなんて言って、いかがわしい内容のものだったりしたらどうするのよ!?」
トト「えっと、それってつまりわたしとミミちゃんがいかがわしいことをするゲーム……?」
ミミ「違う! 何でちょっと嬉しそうな顔してんのよあんたは!?」
- 87 :
- >>86
2重の意味でGJ、確かに携帯ゲーは嫌だなぁ・・・嫌って言うか携帯自体持ってない・・・
トトミミのいかがわしいゲームはよ
- 88 :
- マリオンや水着がきたのに、なんでここは過疎ってるんですかね
マリオンとリンカ入れてEDパーティでもう一周したいです
- 89 :
- 肝心のイベント追加が無しだからなぁ…
オディーリアがナナカやベルちゃんと絡むイベントが見たかったんだぜ
- 90 :
- 正直水着とかどうでもいいですし・・・
百合的なイベントとかあればなぁ
- 91 :
- 水着「イベント」ならまだ食いつくんですがねえ…
ダンジョンとか使用キャラじゃなくてイベントとか追加シナリオだったらいいのに
- 92 :
- トトミミアンソロついに買えたー!
1話1話が短い分話の種類多いしページ数も多いおかげで満足のボリュームですた
トトミミはいいものだ・・・
- 93 :
- おめ
とらの委託ページ見たらまだ在庫に余裕あるっぽいね
トトアトプラスが出た頃には完売するかな
- 94 :
- とりあえず俺は二冊買ったw
- 95 :
- メルルも出してくれええええええええええええええええええ
- 96 :
- >>95
メルルのアトリエプラスかメルケイアンソロかどっちのこと?
前者はトトアトプラスが売れたらそのうち出るかも
後者は…人気がないわけじゃないけどトトミミほどには人集まらないかなぁ
俺も好きだけどねメルケイ
- 97 :
- >>96
どっちも出してくれえええええええええええええええ
- 98 :
- 欲望に正直なヤツがいるなw
個人的にはまずはプラスで、発売後盛り上がった頃にアンソロ…
という形が理想なんだが、ほぼ単なる再発のプラスで果して盛り上がるのかどうか。
まずはトトリエ+の売れ行きに注視したい
- 99 :
- 何故殆ど欠片もないライメルより少ないのかメルケイ・・・pixiv的な意味で
いや、トトミミが強すぎただけだと思うのだけれども、メルルは根本的に旧作キャラが目立ちすぎなところあったからなぁ
メルケイアンソロはよ、はよ
ついでにロロアト+とメルアト+来たらねる
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