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2013年01月レズ・百合萌え211: みつどもえで百合 【2卵性】 (362) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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みつどもえで百合 【2卵性】


1 :2011/05/17 〜 最終レス :2012/12/03

@ここはみつどもえの百合カップリングについてあれこれ語るスレです
ASSや画像大歓迎します
B煽り、罵倒は禁止です
楽しくいきましょう


2 :
前スレ
みつどもえで百合
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1242653978/

3 :
>>1
もしかしてvipのスレ立て代行の人?

4 :
>>3
代行の人
毎日23:00〜01:00に受け付けてます

5 :
>>1

6 :
>>1
だが、まとめサイトをテンプレに入れる話どこ言ったんだよ
SSまとめ
http://www43.atwiki.jp/mitudomoe_eroparo/

7 :
IDが0TZだぜ!
誤字ったのはそのせいか0TZ

8 :
>>1
乙です
このスレでも松ひとに幸あれ

9 :
>>6
そういやそうだったな

10 :
スレ立て乙

11 :
揉めば揉むほど
感じちゃうのね
おっぱいよ
いやんばか〜んうふ〜ん、そこーはおチチなのぉあは〜ん♪
いやんばか〜んうふ〜ん、乳首舐めちゃダメぇあふ〜ん♪
あっあダメダメダメぇ〜そこーはダメなのよんんふ〜ん
いやんばか〜んうふ〜ん…

12 :
>>1
書き溜めできたらVIP以来するわ

13 :
おがみつブームが来ますようになむなむ

14 :
冬場は姉にぴったりくっついてるのこのシスコン
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1647830.jpg

15 :
ふふふ

16 :
>>14
どんだけみっちゃん好きなんだよ三女さんは

17 :
みっちゃんモテるなぁ、ひとはもだが。

18 :
へへへ

19 :
ほほほ

20 :
ははは

21 :
そうですか

22 :
そしてのけものにされるふたばであった…
ふたばって誰と妄想すりゃ良いんだ?

23 :
まじきち

24 :
>>16
みっちゃんのキャラ弁作るくらい……どう考えてもみっちゃんの嫁だわ
>>22
ふたばはみっちゃんかひとはが王道
敢えて伊藤さんとのカップルなんてのも面白いんじゃない?
まぁ、夫がいるふたばじゃ妄想し難いよね

25 :
pixivとかだと姉→と一緒の絵を時々見かける

26 :
ふm

27 :
それもそうだ

28 :
         v――.、
      /  !     \
       /   ,イ      ヽ
     /  _,,,ノ !)ノリハ    i
    i  jr三ミ__r;三ミ_   ヽ
    l  ,iヾ二ノ ヽ二 ハ   ノ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ヽ、.l  ,.r、_,っ、  !_,    <  >>1 糞スレ立てんな、蛆虫氏ね。
       !  rrrrrrrァi! L.     \__________________
       ゝ、^'ー=~''"' ;,∧入
   ,r‐‐'"/ >、__,r‐ツ./   ヽ_
  /  /  i" i, ..:  /  /  ヽ-、
 ./  ヽ> l    /   i     \

29 :
vipでもここでもどっちでもいいから誰か書いてくれよ
>>4
あんたって代行毎日受け付けてるの?

30 :
ニコニコでネタ見つけてきた
魔法少女 ほむ☆どもえ!
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm14517633

31 :
松岡さんと三女さんがイチャコラしてる妄想で1週間乗り切れるな

32 :
虎から届いた杉みつ同人がすばらしすぎてほんほんしちまう

33 :
>>32
タイトルおせーて

34 :
vipになんか前と全く同じものが投下されてるな
百合安価の人を待とうか

35 :
>>33
まるすぎ

36 :
だれかなんかかいてよう

37 :
松ひとで書いてるんだけど進まない…

38 :
>>37
頑張れ
マジで頑張れ

39 :
>>36
前スレでひとみつ書くって予告してたけど
鈍筆なのでもうしばらくお待ち下さい。
今月中に投下を目標にしてますが……怪しいです(今8割くらい?)

40 :
中学生になった設定です
みつば「今日はあそこ行きましょうよ、駅前の喫茶店」
杉崎「先週行ったでしょうが」
みつば「あら、そうだったかしら…じゃああそこの寿司屋は?」
杉崎「そこも先々週に行ったわよ」
みつば「ふーむ…じゃああそこでいいわ。あのナポリタンの店」
杉崎「まあ、あんたが良いならいいけど。今度は少しくらい出しなさいよ」
みつば「さあ、どうかしら」
杉崎「何でいつも私が奢らなきゃいけないのよ」
みつば「わ、私だって奢ったことあるじゃないほら、あそこのクレープとか」
杉崎「何ヶ月前の話よ!はあ、まあいいわ。じゃあいつもの場所で待ち合わせね」
みつば「ええ、遅れんじゃないわよ」
杉崎「あんたもね」

宮下「お前ら仲良いな

41 :
学校では…
体育
先生「じゃあ二人一組になって柔軟してくださーい」
みつば「今日は私からやるわ」
杉崎「はいはい」
みつば「ちょっと痛い痛い」
杉崎「先週の仕返しよ」
みつば「くっ…」
美術
先生「二人ペアになって互いの顔を描きましょう」
みつば「綺麗に書きなさいよ」
杉崎「あんたこそね」
みつば「…豚なんて描いたらただじゃおかn」
杉崎「駄目だった?」
みつば「杉崎いいいいいいい」

宮下「やっぱ仲良いなお前ら」

42 :
以上、俺の妄想でしたー
読みづらかったらスイマセン

43 :
ほのぼのでとてもいい

44 :
続き書いて

45 :
松岡さんが丸井家に泊まった時にあっただろう妄想
松岡「おはようー三女さん」
三女「おはよう…って何してるの?」
松岡「朝ごはん作ってるの、泊めてもらってるんだしこれくらいしないとね」
三女(結構気が利くんだな…)
松岡「味見てくれるかな?」
三女「ズズッ…うん、おいしい」
松岡「良かった〜三女さんのお口にあって」
三女「ただもう少し具は細かく刻んだ方がいいかな、それから…」
松岡「さすが三女さん、勉強になるな〜」
三女「あ、ありがと」

ふたば「仲良いっすね!二人とも」

46 :
お風呂では
三女(松岡さんが泊まり続けてはや10日…一体いつになったら出t)
松岡「入るよー三女さん」ガララッ
三女「べ、別々じゃなかったの?」
松岡「毎日霊と戦ってる三女さんの為に背中を流そうと思って」
三女「それは…ありがと」

松岡「どう三女さん気持良い?」ゴシゴシ
三女「うん、丁度いいよ」
松岡「じゃあ流すよー」ザバーッ
三女「ありがとう、松岡さん。じゃあ次は私が」
松岡「わあ、ありがとう三女さん」

ふたば「二人は仲良しっすね!」

47 :
IN ベッド
松岡「三女さって寝る時は髪ほどくんだー」
三女「当然だよ」
松岡「なんか新鮮だなー」
三女「そうかな?」
松岡「うん、とっても可愛いよ」
三女「…っ…あ、ありがとぅ…」
松岡(三女さんもこんな表情するんだ)

みつば「電気消して良い?」

48 :
少しでもこのスレが活性化しますように
このカプが一番好きです^^

49 :
乙です!素晴らしい自然で微笑ましい絵だ・・・

50 :
乙!
いい百合だった

51 :
素晴らしい
こんな短編でいいから皆でもっと松ひと妄想垂れ流そうぜ

52 :
松ひとの流れで申し分けないが今更ながら、ひとみつ・バレンタイン書けました。
いつもの如く非常に長い(テキスト34KBほど)ので事前告知。
確実に規制に引っかかるのでまとめて投下出来ない恐れ有り。
また、いつものようにひとみつ以外にもいろんな成分含まれてます。
今日のリアル夕飯終わり次第投下予定です。

53 :
期待age

54 :
>>53
ちょ、上げるとか公開処刑じゃないか!
と言うわけで投下という名の処刑。
〜〜〜以下本編〜〜〜
タイトル:バレンタインに如何して嫉妬?
〜 約束(ひとは視点) 〜
“ひとは! あんた私にバレンタインチョコ寄越しなさいよ!”
<トントントン>
2月13日。今はみんなが寝静まった夜。
<トントントン>
板チョコを細かく包丁で切り、湯煎で溶け易いようにする。
ひとは「はぁー」
大きく嘆息する私。
みっちゃんに言われてチョコレートを作るなんて馬鹿みたいだ。

55 :
どうして私が……それに私にチョコレートを作らせる理由が酷いのだ。
女が男にチョコレートを上げるイベントって言うことが気に食わないらしい。
用は自分が食べたいのにもらえないって言うのが嫌ってことだ。
そんなの知ったことじゃない。
…………。
ひとは「はぁー」
もう一度、大きく嘆息する。
知ったことじゃない……はずなのに、今作ってるのは紛れもないみっちゃん用のチョコレート……。
実際のところ、言われたときに断ったのだから作る必要なんて無いし、作らないつもりだった。
でも、断ったときに文句を言いながらも一瞬見せた悲しそうな表情が目に焼きついてしまって……。

56 :
私にチョコレートをもらえない事じゃなく、食べられないことに悲しんだ可能性もあるけど。
って言うか後者に決まってる! 何を期待……い、いや、期待なんて最初からしてない!
そんなことに期待するなんて無意味だし不必要だ!
頭を横に振り、意味不明な考えを否定している時、湯煎用のお湯が沸いた。
それと同時に思考が中断されチョコレートを作っている現実に戻る。
細かく刻んだチョコレートをボウルに入れ湯煎を始める。
ひとは「はぁー」
……さっきから何度目になるだろうか?
そんな自分に呆れて心の中でまた嘆息していた。
私は解けていくチョコレートを見ながら、また、なんとなしに考え事をする。

57 :
こんなことしてるからみっちゃんは太るんだ。……間食が多いのも原因だと思うけど。
甘やかしすぎなのだろう。いつも口では憎まれ口をたたいてはいるが、実際夕飯抜きとか滅多なことじゃしないし。
もっと厳しくしないといけないのかも知れない。このチョコレートだって――
――いや、そんなことよりも考えなければいけない事があるんだ。
明日、絶対悩む。確実に悩む。今考えたところで結局は悩むだろうけど。
作っているチョコレート菓子を見ながら呟く。
ひとは「コレ、どうやって渡せばいいんだろう……」
そう言ってまた嘆息する私だった。

58 :
〜〜〜以上本編〜〜〜
ちょ、ちょっと待ってくれ……忍法帳…いつ完全適応されたの?
最近色々あって忍法帳今日作ったばかりなのに……
800文字ずつ程度しか投下出来ないって……最悪じゃないか。
ここまで書いてアレだけど、このまま細々続けるか、Lv上げ直すべきか……迷ってます。
どうしたらいいでしょう? orz

59 :
質問しておいてなんですが、とりあえず、次のキリのいいところまで続けようかと思います。
〜〜〜以下本編〜〜〜
〜 学校(みつば視点) 〜
みつば「ふー…何とか…間に合った…わね! ふたばが…いなかったら…危なかったわ」
私は息を切らしながら、授業開始の5分前に昇降口にたどりついたことに安堵し呟く。
ひとは「ふたばがいると…事故率は…上がるけどね」
同じく息を切らしているひとは。文句を言いつつ、自分の腕に出来た擦り傷から出た血をポケットティッシュで拭き取っている。
さっきのひとはの意見には正直、同意できる。でも、今回は遅刻しそうになった原因がわかっている。
呼吸も整ってきたので、唾を飲み込んでから言葉を出す。

60 :
みつば「っていうか、あんたが寝坊したからこんな事になってるのよ! あんたもちょっとは反省しなさいよ!」
言ったとおり、珍しくひとはが寝坊して……結果、皆起きれずに急いで学校に走ってきたと言うわけ。
もちろん朝御飯も食べれずに出てきたから私の機嫌は最悪――――腹の虫の機嫌も悪いのは言うまでもないわね――――なのだ。
だからと言って、ひとはだって好きで寝坊したわけじゃないし、怪我している相手に言うことでもないのだけど……。
ひとははそんな私に一瞬怒ったような表情と悲しんだような表情が混ざったような微妙な顔を向けた。
その表情を見て、先ほど言った台詞が言い過ぎた様な気がして後悔していると、ひとはは呆れた表情に変えて嘆息した後言葉を続けた。
ひとは「……みっちゃんも足から血が出てるよ」
そう言われ足を見ると確かに少し膝から血が出ていた。

61 :
ふたば「二人ともごめんッス! 小生が近道のために生垣を突き抜けたからいけなかったんッス!」
そう、ふたばがいることで間に合った代償として、どこの家か分からないが生垣を貫通してきたのだ。
私とひとはは手を繋がれ引っ張られていたので共に擦り傷を負ったというわけだ。
漫画みたいな話だが事実。正直フィクションであってほしかったんだけど。
ひとは「うん、擦り傷で済んで奇跡だよ」
私とひとはは擦り傷だが、ふたばが無傷なのは納得いかない。まったく不公平な世の中よ!

62 :
とりあえず教室に行かないと遅刻になってしまう。それだと“生垣を貫通”損なので、私は血を拭かず校舎に足を踏み入れたのだが――
栗山「っ! 怪我人! 『ヒーリング・ローリング』!」
――その選択は間違いであること知らせる、後ろからの栗山っちの声。
時既に遅し……授業間に合わないだろう。
そう諦めていたのだけど――
宮下「お、三女じゃな、っ!」
――突然の鬱陶しい介入により救われた。
私めがけて飛んできていた包帯は宮下の顔、腕、足――全身に巻きつき一瞬にして身動きを封じた。
宮下「むぅ! ううぅ〜〜!」
包帯で身動きを取れなくなった宮下が芋虫の如く暴れている。
口にも巻きついているため、うまく声も出せないようだ。
それが、少し前の私の未来だった状況だ……鳥肌ものだ。

63 :
栗山「外した!?」
っ!
安心してたけどよく考えたら、まだ私は怪我人だった。
追撃が私に来るかと思ったが、いつの間にかひとはが音も無く栗山先生に近づいていた。
そして廊下に放置されていた箒の柄を使いメガネを頭の上にずらした。
ひとは「大丈夫ですよ先生。命中してます。早く保健室へ」
栗山「え? あ、そうね急いで保健室で治療しないと!」
そういうと、宮下を引きずり保健室があるほうに走っていった。
流石はひとは……。
助けて貰えたことへの感謝と同時に、さっきひとはに酷い言葉を掛けてしまったことに罪悪感を感じる。
ひとは「……宮ローリングさん。たまには鬱陶しさが役に立つね」
みつば「せめて人間らしい苗字で呼んであげなさいよ」
前言撤回。
一応感謝はしておくが罪悪感を感じるほどこいつはいい奴じゃない!

64 :
教室に入ると微かだが美味しそうな香りがすることに気が付いた。
嗅覚に全身系を集中させる。……これは、甘い……香り……!
チョコレートの香りだ!
でもなんでチョコレート?
ひとは「みっちゃん、どうかした?」
教室を入ったところで立ち止まっている私を気にしたのかひとはが話しかけてくる。
みつば「何だかチョコレートの香りがするのよ」
私の感じた事実を言ってやると、ひとははスンスンと鼻で空気を吸い込む。
ひとは「……全然そんな香りしないんだけど……」
みつば「するわよ! 私をなめないでね!」
胸を張って言ってやる。
ひとは「舐めると塩キャラメルの味がするらしいね」
そういうと“すぃ〜”と音も無く自分の席へ向かっていく。
悔しいが、否定できないので反論できない。とりあえず、適当な悪態をつくことにした。

65 :
みつば「ぱっとお手軽にね!」<キーンコーンカーン……>
私の台詞とチャイムが重なり、同時に背後の教室の扉が開く。
矢部っち「はい、皆席についてー。今日はバレンタインだけどチョコ貰った男子は廊下に立たせるからそのつもりでね」
あ!
なるほど、今日は2月14日。バレンタインデーだった。通りでチョコレートの香りがするわけだ。
…………。
結局ひとはは私にチョコを作ってくれなかった見たいね。
ま、まぁ別にいいんだけど。
もともと期待薄で頼んだことだし、断られたし作ってくれるわけ無いんだけど。
朝御飯が食べれなかったことに加え、この香りでお腹が空いて仕方が無い。
次の休み時間にでも杉崎が持ってきているであろう高級チョコでも奪おう。
ホワイトデー何か返さないといけないのは少し面倒だが背に腹はかえれない。


66 :
〜〜〜以上本編〜〜〜
とりあえず、もう1LV上げないと厳しいので今日はここまで。許してください。
あと、作品途中だからってレス、SS投下を自重しないでくださいね。過疎だし……

67 :
長編投下乙です
面白かった

68 :
乙!
忍法帖とかマジでいらない

69 :
>>66
いつもながら素晴らしい乙&期待

70 :
>>67-69
感想とか色々ありがとう御座います。
お礼のついでにLv確認……したかったんだけどなぜかさっき忍法帖作成って言われた……
Cookie消してないのにorz
そういうことなので沢山レス使うことになると思うけどLv1で頑張ってみるよ!

71 :
あれ? Lvあがってる???
意味がわからないが……結果オーライってことで
〜〜〜以下本編〜〜〜
〜 悪戯(杉崎視点) 〜
一限目と二限目の間の休み時間。
朝はみつばが来るのが遅かったし、宮下もいなかったので用意してきた友チョコ――――1個千円する高級チョコよ!――――
を皆に食べてもらうことができなかったが、今は全員いるみたいだ。
声を掛けて皆を集めようかと思っていると――
みつば「杉崎ー、あんたチョコ持ってきてるわよね! 私に献上しなさい!」
――みつばのほうから催促しに来た。
なんて図々しい奴だろう。
……まぁ、対みつば悪戯用チョコレートがあるし今回は目をつぶっておこう。
吉岡「杉ちゃん、今年もチョコ持ってきたの?」
私がみつばに言葉を返す前に吉岡がやつれた宮下をつれて私のところまで来た。
なぜ宮下がやつれているのか……敢えて聞かないことにする。
杉崎「ええ、もちろん持ってきたわよ。皆で食べましょう」
そういってチョコレートの入った箱を取り出し、蓋を開け机の上に置いた。
みつば「さすがね、変体金持ち女!」
早速手を伸ばす雌豚。だけどコレはみつばのためのものじゃない。
さっきも言ったように対みつば用チョコレートを用意したのだ。
それを食べてもらわないと話にならない。

72 :
杉崎「コレは、あんたのじゃないわ!」<バシッ>
みつばの手を叩きチョコの強奪を阻止する。
みつば「さ、さっきのは、嘘。変体“お”金持ち女」
宮下「たいして変わってないぞ……」
みつばの発言に徐々にイライラしつつも、作戦実行のため今は我慢しておく。
杉崎「そうじゃなくて、あんたにはこっちを食べてもらうわ」
そう言って私は、バックの中から大き目の箱を取り出しみつばに渡す。
みつば「な、なによこれ?」
怪訝な顔をこちらに向け聞いてくる。あからさまに怪しまれているわね。
うまい誤魔化し方が浮かばないのでとりあえず大事な部分だけ隠して事実を言っておく。
杉崎「なにって、あんた用のチョコレートよ!」
みつば「……え?」
宮下「お、おい杉崎それって……」
あれ? 何だか空気が変わった。
杉崎「え? なに? 私へんなこと言った?」
私の問いには答えず皆別々の反応を見せる。
吉岡は悶え、宮下はありえないものを見るような目で私を見る。
そして、みつばは真っ赤な顔で箱を眺めている。
私は言った内容を思い出そうと思っているとみつばが口を開いた。
みつば「と、と、とりあえず、あけるわよ!」
そう言いながら箱に手を伸ばして――
<パーン!>
みつば「――っ!」
渇いた破裂音と共にみつばが後ろにこけて尻餅をつく。
対みつばびっくり箱作戦は見事成功!
何だか混乱していた様だったけど……まぁ作戦は成功したし結果オーライって事で。

73 :
<ピロリロリン♪ ピロリロリン♪ ピロリロリン♪>
すぐさま携帯を取り出し、捲れあがったスカートの中を映すために連続でシャッターを切る。
ここで注意しなければいけないのは、子供パンツのズーム写真を撮ることはもちろん、
みつばの驚いている顔を撮ること、またその全体像を撮るこ――
みつば「な、何なのよ……っ! ちょっと何撮ってんのよ!」
<ピロリロリン♪>
もちろん、今の子供パンツを隠すためにスカートを押さえて、真っ赤な顔をしているところも逃してはいけない。
吉岡「ああ! 杉ちゃんが千葉くんとの三角関係を有利に進めるためにみっちゃんの弱みを――」><
宮下「いや、どう考えても違うだろ……」
さらにもう一枚写真を撮ろうとした時、みつばが立ち上がった。
みつば「いいかげんに……って、チョコ入ってるじゃない!」
怒りを爆発させるのかと思ったが、びっくり箱の中のチョコに気がついたようだ。
杉崎「せっかくだし入れておいてあげたわ。高級チョコを溶かして雌豚の型を取ったチョコよ、有難く頂きなさい」
私は満面の笑みで、かつ威圧的な態度で言う。みつばのことだ、チョコが食べたくて食べたくてどうしようもないだろう。
こんな嫌がらせをしても食べてくれるだろうと言う算段だ。どんな顔をして食べてくれるのか楽しみで仕方が無い。
まぁ、食べないなら食べないでも構わない……少し残念ではあるけど……作戦自体は成功したわけだし。
それに、うまくみつばの注意がチョコに向いたおかげで携帯を奪われることもないのだ。
みつば「くっ……わざわざ雌豚型にするなんて……」
文句を出しているが、涎も出している。さぁ、何て言って食べるの?

74 :
〜 嫉妬(ひとは視点) 〜
杉崎「なにって、あんた用のチョコレートよ!」
!?
ちょ、え? なに???
何がどうなっていきなりそんな展開に?
急な出来事で状況がうまく理解できない。
さっきまで遠目で見ていたが、杉ちゃんが友チョコを皆に上げようとしていただけのはずだった。
それが一転してこの状況。意味不明だ。
みつば「と、と、とりあえず、あけるわよ!」
動揺しすぎ……って言うか、受け取っちゃうの?
受け取るって事は……あれだよね、両思――
<パーン!>
――……混乱してるところにこの破裂音は心臓に悪い。
だけど、何とか状況が理解できた。
<ピロリロリン♪ ピロリロリン♪ ピロリロリン♪>
杉ちゃんが尻餅をついたみっちゃんを激写……つまり、悪戯ってこと。
ひとは「はぁー」
安心した。……何に?
そんなことより、朝、寝坊したおかげで忘れていたがみっちゃんに上げるチョコを持ってきていない。
渡すとしたら帰ってからってことになる。
結局どうやって渡すか決まらなかったし、今のうちにシミュレーションしておくのもいいだろう。
えっと――
みつば「いいかげんに……って、チョコ入ってるじゃない!」
杉崎「せっかくだし入れておいてあげたわ。高級チョコを溶かして雌豚の型を取ったチョコよ、有難く頂きなさい」
みつば「くっ……わざわざ雌豚型にするなんて……」
――とりあえずシミュレーションは後回しだね。
……杉ちゃんそれって一応手作りチョコって事だけど気がついてる?
みっちゃんも馬鹿だから理解出来てないみたいだけど……。

75 :
みつば「し、仕方が無いわね、貰ってあげるわ!」
杉崎「え? 何その上からの態度。上げないわよ?」
杉ちゃん随分楽しそうだ。手作りって自覚がないとあそこまで自然に振舞えてしまうのか。
みっちゃんもみっちゃんだ。何普通に貰おうとしてるの? こういう時こそプライドってものをもう少しもって欲しい。
……そこまで考えてから気がついた。今日遅刻しそうだったから朝御飯食べてないんだ。
だとすると、プライドを捨ててまで腹を満たしたいと……。
朝抜くだけで倒れるくらいなのに朝から走ってきたのだ。昼間で何も食べないのはみっちゃんには無理な話だろう。
みつば「っ……その…チョコレート私に…下…さい」
杉崎「ふふふ、いいわよ、この躾のなってない雌豚にくれてあげるわ」
と言うわけで杉ちゃんの完全勝利。そしてみっちゃんは悔しそうな顔をしてチョコを食べる。
そして、二口目からは満面の笑みでおいしそうに食べ始めた。……とんでもない雌豚だよ。
何だか見るのが辛くて……私は視線をみっちゃん達から外す。
あー、色々と失敗したな……チョコなんて作ってたから寝坊して迷惑掛けて、それに……杉ちゃんのチョコだって……。
松岡「三女さん? どうしたの元気なさそうだけど」
ひとは「……別に普通だよ」
そういうと、納得してなさそうな顔をしならが「そう?」と呟く。
何もリアクションなしに返事したけどもう少し存在感を出してから登場して欲しい。
しばらく沈黙が続いてしまう。これ以上沈黙が続くとあちらから詮索される気がしたので私から話しかけることにした。
ひとは「松岡さんは杉ちゃんにチョコ貰いに行かないの?」
松岡「んー、まだお腹空いてないしね。食べないのに貰いに行くのって失礼かなって」

76 :
視線をみっちゃんたちのほうに向けながらさらに続ける。
松岡「まぁ、お昼のデザートとして貰いに行くよ」
松岡さんなりにちゃんと考えてるんだ。失礼な言い方になるけど意外にまともだった。
でもチョコレートはお菓子でありデザートにはならないと思うんだけど……まぁ、気にしないでおこう。
そして松岡さんの視線の先を私も辿ると、みっちゃんと杉ちゃんが馬鹿やってる姿が写る。
それを見たまま、松岡さんがなんでもないように呟く。
松岡「それにしても、あの二人仲いいよね」
ひとは「だね……」
私も正直にそう思う。だけど……松岡さんの言葉がなぜか心を重くした。
松岡「…………もしかして、みっちゃんと杉ちゃんが仲良くしてるのが面白くない?」
ひとは「ゴッ、ゴホゴホッ!」
完全に不意打ちだ。予想外の台詞に、咳き込んだ。
そうやって咳き込んでいると、松岡さんが「大丈夫?」と心配そうに覗き込んでくる。
ひとは「ど、どうしてそう思ったの?」
否定すればいいものを、何でこんな答え方……。
どうやら私は、動揺しすぎてうまく頭が回ってないらしい。
松岡「えっとね……私も三女さんが他の人と仲良くしてたら…少しくらい嫉妬しちゃうしね」
照れ隠しをするように頬をかいて、私が何も喋れないでいると続けて喋る。
松岡「何となく気持ちは分かるって言うか……」
…………。
まぁ、いいや。否定しようと思ったが止めた。
別に茶化したりするつもりもなさそうだし。

77 :
ひとは「嫉妬…なのかな……」
頬杖を付いて考える。確かにあの二人見てて面白くない。
それじゃ、宮下さんと吉岡さんを見てると……違う意味で面白く無いか。何というか鬱陶しそうだ。
他の人に例えるのは難しいので止めよう。
二人を見てて面白くないって、いつもそんな風に思ってるわけじゃない。
今日が顕著にそう感じるだけで……それは今日がバレンタインデーだから?
私もみっちゃんにチョコを作った。なのに杉ちゃんに先に渡された。
そして、みっちゃんは貰ったチョコをすごくおいしそうに食べていて……何だか杉ちゃんに負けた気がして。
だから、面白くない。コレが嫉妬と言うものなのだろうか。
私は嫉妬するほどみっちゃんを好いているのだろうか?
隣から「ねぇ?」と松岡さんが言葉を挟み、私は思考を中断することにした。
松岡「さ、三女さん……その腕の怪我!」
頬杖していたので朝出来た腕の傷が見えたらしい。
ひとは「あ、コレは朝ふたばが――」
松岡「霊との激戦があったのね!」
…………。
今までまともに会話できてただけあっていきなりの変貌にイラっと来た。
ひとは「そうだよ、怪我をした状態で保健室に行くとその霊に会えるよ! さぁ松岡さんも早く怪我をして保健室へ!」
松岡「やだなー三女さん。怪我をした状態で保健室だなんて、会えるのは暴走した栗山っちだけだよ〜」
…………。
もうやだこの人……。


78 :
〜 下校(みつば視点) 〜
みつば「はぁ、……今年もまた杉崎に何か返さないといけないわけね……」
下校時間、校門前でお手洗いに行っている杉崎を待ってるときに一緒にいるふたば、宮下、吉岡に言う。
宮下「まぁ、いいんじゃないか? それなりに旨かったし。またみんなでクッキー作ってやろうぜ?」
吉岡「そうだね、それがいいよー」
ふたばは……一人で走り回っていたためか聞いていなかったようだ。
まぁ、クッキー作りのときに役に立つのはふたばじゃなくひとはだし問題ないけど。
――そこまで考えて気がつく。宮下の奴、ひとはと料理したいだけじゃない?
いつも何かとひとはに粘着してるし……。
あれ? そういえば……ひとはは?
杉崎「お待たせ。……あれ? 三女っていなかったんだっけ?」
杉崎が戻ってきて、丁度私が疑問に思ったことを言ってくれた。
ふたば「何か用事があるから先に帰るって言ってたっスよ」
用事ね……買い物でもしにいったのだろうか?
特にそんな話聞いてないし、わからないものはわからない。考えるのを止めようと思ったが――
ふたば「今日のひと、元気なかったっスけどだいじょうぶっスかねー」
――ふたばの言葉に少しだけ考えることにした。
確かに元気なかったかも……朝はそんなに引っ掛かっていなかったのだが、午後あたりは無口になったというか、不機嫌というか。
何度か憎まれ口を叩かれたのだが、とにかく少し違和感を感じていた。

79 :
宮下「そんなことなかったろ? 私にはいつもと一緒に見えたぞ」
まぁ、ひとはも気が付かれないように取り繕ってたみたいだし、正直私も言われるまで気に留めてなかった。
みつば「まぁ、空気読めない宮下じゃわからなくて当然ね」
宮下「なんだと! だったら何が原因で元気なかったんだよ!」
みつば「しっ…知らないわよそんなこと! あんたに何かされたんじゃないの! 前科もあるし!」
宮下「何もしてねーって! ていうか、朝迷惑掛けられたの私のほうだし! あと前科とか言うな、完全に誤解だ!」
吉岡「だ、大丈夫だよ宮ちゃん! 私達、前科があっても友達だよ!」><
宮下「だぁー、吉岡おまえもフォローになってないんだよ!」
ふたば「突如理由無くキレる若者……かっこいいっスね!」
宮下「理由、ありすぎて困るくらいだ!」
杉崎「……」プイ
宮下「ちょ! なんで視線逸らしたんだよ!」
あ、宮下のやつ、泣きそうになってるし。皆、流石に言いすぎ……って私から言ったんだっけ?
まぁ、杉崎はフォローしてあげようと思ったがフォローする言葉が見当たらなかったってところだろう。
……ある意味一番ひどいかもしれないけど。
杉崎「そういえば、三女に友チョコ渡して無かったわね……」
話題を逸らすように杉崎が言い、カバンの中から残っていた高級チョコを取り出す。
杉崎「みつばあんたに渡して置くから……いや、ふたばのほうが――」
みつば「べ、別に食べないわよ! 私が渡すわ!」バシッ
そういってふたばに渡そうとしたチョコを奪ってやった。

80 :
…………。
杉崎のチョコを眺めていて思いついた。
みつば「ちょっと、用事思い出したわ。ふたば、先に帰ってなさい」
杉崎「え、ちょ、どこ行くのよ?」
みつば「別に何処だっていいでしょ!」
ふたば「みっちゃん! 小生もいくっスよ!」
みつば「あんた、ばかなの? ひとは元気なかったと思うんだったらさっさと帰ってあげなさいよ!」
ふたば「あ、そっか〜、了解したっス!」
そういって私は皆から別れ、デパートに向かった。

〜〜〜以上本編〜〜〜
そろそろ何かしらの規制くるかと思うので、夕飯の後に後編投下します。
あと後編は長いです。今が丁度折り返しくらいです。

81 :
再開します。
〜〜〜以下本編〜〜〜
〜 買物(松岡視点) 〜
松岡「んー、姉妹でも嫉妬ってしちゃうものなんだ……」
学校で三女さんが嫉妬してたのを見て思った。
いつも一緒に居る事の出来る家族であってもそういう感情ってあるんだと。
松岡「みっちゃんって意外に慕われてるいい姉なのかな……」
そう考えてみたが――
松岡「いや、あんな性格なのにいい姉って事はないよね」
???「ちょっと! なに私の陰口言ってるのよ!」
突然後ろから声を掛けられる。驚いて振り向くと――
松岡「あっ! みっ…みっちゃん! き、聞いてた?」
――みっちゃんだ。しまった三女さんが嫉妬してるって事、一番知られたくない相手だったんじゃないかな……。
みつば「聞こえたわよ! 『あんな性格でいい姉なんて事はない』ですって、悪かったわね!」
松岡「そ、そこだけ?」
みつば「へ……あ、あんた、それ以外も陰口言ってたわけ!?」
松岡「そ、そういう意味じゃなくて……」
どうやら途中から聞いてたみたいだ。危うく三女さんを辱めてしまうところだった。
とりあえず、話題を逸らそう。
松岡「そ、それでみっちゃん何しにデパートまで来たの?」
たしか杉ちゃんたちと一緒に帰ってたような気がしたんだけど。
みつば「えっと…、ちょっと買い物を……ってあんたに関係ないし!」
何このあからさまな動揺。何か隠してるみたい。だったら……。
松岡「そうなんだ。私はもう買い物終わったから先に帰るね」
みつば「そ、そう? それじゃ、また明日」

82 :
なんてね。
そういって別れて、私は気が付かれないようにみっちゃんの後をつけることにした。
別れた後、みっちゃんは周囲を気にしながら、食品店売り場に向かった。
松岡「なーんだ、お菓子か何かかな……」
言ってるそばからチョコレート菓子を……ってあれ、バレンタイン用に包装されたチョコじゃない!
え、何? 誰かに上げるの? ま、まさか自分で食べるように綺麗に包装されたものなんて買わないわよね?
でももう夕方だし、上げるとしても親しい友達か家族とかしか――もしかして三女さんに?
あ、二つ持った。財布見ながら迷ってたみたいだけど、どうやらふたばちゃんの分だと思われるチョコも買うようだ。
なんだかんだ言って易しい良い姉なのかもしれない。
……うん。面白そうだし声掛けよう!
松岡「みっちゃん!」
みつば「!! まっ…松岡! あんた帰ったんじゃ……」
松岡「みっちゃんが何買うのか知りたくて……で、そのチョコは三女さんとふたばちゃんに?」
みつば「ち、違うわよ! 私のよ! 私用のチョコよ!」
松岡「包装してあるチョコなんて自分用に買わないと思うけど」
ニヤニヤしながらみっちゃんを攻める。
コレ意外に楽しい。三女さんや杉ちゃんがみっちゃんを虐めてる理由、ちょっとわかる気がする。
みっちゃんは「ぐぬぬ……」といいながら観念したのか嘆息した後続けた。
みつば「そうよ……ひとはの奴が元気なかった気がしたから相談にのってやろうかと思って」
松岡「相談? チョコいらなくない?」
みつば「……チョコは布石。コレがないと相談持ちかけたとき、はぐらかされると思うから」

83 :
えっとどういう意味だろう? チョコがあるとはぐらかされない?
私が理解できていないのがわかったのかみっちゃんが面倒臭そうに説明を始めた。
みつば「もし仮に、私がひとはに『悩みでもあるなら相談してみなさい』って言うとするわよ?
ひとはが返す言葉はむかつくけどたぶん『た、大変! 頭まで脂肪にやられ始めてる!』ってな具合になるのよ。
それを防ぐには、あらかじめ嫌味を言いにくい空気を作る必要があって……」
松岡「あ、なるほど。感謝させてからその台詞を言えば、嫌味を言われないって事ね」
みつば「そういうこと」
意外に頭使ってるんだ。杉ちゃんのチョコのおかげで頭に糖分が回ってるんだろうか?
ちょっと単純に考えすぎだとも思う――――チョコ渡した時点で嫌味を言われることを想定していない点とか――――けど、何とかなるだろう。
私は三女さんが元気の無い理由を知っている。だからその作戦がきっと成功することもわかる。
でも、頭を使って考えてる割にみっちゃんの顔は若干不安な顔をしていて……きっと成功する自信は余り無いのだろう。
だから、私は――
松岡「うん、みっちゃんその作戦絶対成功すると思うよ」
――励ました。三女さんに元気になってもらうため、もちろんみっちゃんにも……。
みつば「何であんたにわかるのよ? また霊の仕――」
松岡「違うわよ、私がそう思うの!」
みっちゃんが言い切る前に言ってやった。これは紛れもない私の意志だったから。

84 :
みつば「へ? そ、そう…一応、その……ありが…と」
松岡「う、うそ! みっちゃんがお礼だなんて……これは霊――」
みつば「ちょ! 私がお礼しちゃいけないわけ! っていうかあんた――……」
みっちゃんがベラベラ喋りだした。ああ、コレいつものみっちゃんだ。幽霊の仕業だと思ったのに残念。

デパートの出口に向かっているとき、買ったチョコを片手にブラブラさせながら、みっちゃんが話しかけてきた。
みつば「そーいや、あんたと二人で買い物なんて、ブラ買ったとき以来ね」
そういえばそうかも。というより私基本ひとりで行動してるから、みっちゃんに限らず複数人で買い物なんてことが珍しい。
っていうかチョコを“ブラブラ”させてたから“ブラ”の件思い出したとか? そんなわけないか。
松岡「あ、あの時のブラ、結局私が貰っちゃったんだっけ? ……今から買いに行く?」
みつば「いいわね! ――と思ったけど、お金がもう無いから今回は諦めるわ。バレンタインデーのチョコってあんなに高いだなんて驚きよ」
たしかに、綺麗に包装されたチョコだったのでそこそこ値が張ってたようだ。改めて思うとやっぱり良い姉だ。
みつば「じゃ、私帰るけどあんたは?」
松岡「んー、……もうちょっとデパートにいるかな」
みつば「ふーん、じゃ先に帰るわね」
松岡「うん、また明日ー」
そういって別れた後、私はみっちゃんが買っていたバレンタインチョコ売り場に来ていた。
松岡「う〜ん。今年はもう無理だけど……来年は友チョコとか学校に持っていこうかな……」

85 :
〜 本命?(ひとは視点) 〜
……遅い。
いったいどこほっつき歩いてるんだか……。
ふたば「ひと! 悩みごとっスか! 小生が相談に乗ってあげるっスよ!」
ふたばは、さっきからこの調子だ。
悩みがあるって知られた以上は話したほうがいいかと思ったんだけど……。
ふたばは口が軽い……って訳じゃないけど、なんと言うか純粋すぎると言うべきか。
学校の皆には、みっちゃんにチョコを用意したなんてこと知られたくない。
だから、知られてしまうリスクは出来る限り減らしたい。
ひとは「なんでも無いから。勘違いだよ」
何度目になるかわからない誤魔化し。酷く良心が痛む。
みっちゃん、早く帰ってきて…………帰ってきたところで解決するかどうかわからないし、チョコだってどう渡すか決まってない。
いっその事もう渡さないで置こうか?
……うん。だったら悩まなくて……済むしね。
もともと作らないつもりだったんだし……。
ふたば「ひと! 勘違いじゃないっス! 元気ないっス! 今だって辛そうな顔してたっス!」
ふたばが炬燵から乗り出して、対面にいる私に言う。
辛そうな顔? 私が?
その時、玄関から物音がした。

86 :
みつば「ただいまー……ってふたば何やってんのよ?」
……良いタイミングだ。正直、ふたばへの返答に困っていたから。
ふたば「みっちゃん! ひとが悩みを相談してくれないんっスよ」
ひとは「べ、別に、悩みなんて無いよ」
そっけなく言ったつもりだが、悩みの元凶であるみっちゃんがいる前ではうまくいかない。
コレじゃ、二人から攻めたれるかも……。
みっちゃんとは目を合わせず視界の隅だけで反応を確認する。
みっちゃんは私を一瞥した後、少し考えるような素振りをしてから口を開いた。
みつば「……あ、そういえばパパがまた職質で交番に連れてかれたらしいのよ、ふたば悪いけど迎えにいってくれる?」
……あからさまに嘘だ。職質されたなんて電話着てないし、携帯持ってないみっちゃんがそれを知るには家で電話を取る必要がある。
でも、どうして?
ふたば「ホントっスか! あ、でもひとが……」
みつば「ひとはは私に任しておきなさい! それに悩みなんて後でも聞けるでしょ?」
ふたば「! みっちゃん……かたじけないっス!」
みっちゃんの嘘を信じたふたばが家から出て行く。みっちゃんはそれを見て軽く嘆息した。
ひとは「…………みっちゃん、どういうつもり?」
みつば「何がよ?」
しらばくれるつもりだろうか?
なんだか、みっちゃんを見てると腹が立ってきた。
……惚けたのも理由のひとつだろうけど、今日の休み時間のアレと同じ……。
ひとは「あんな嘘ついて……みっちゃんも私に何か言いたいの?」

87 :
動揺を隠すため可能な限り冷たく言い放つ。
ついでにこれ以上追求されなければ言うことないんだけど――
みつば「……え、ええ、ふたばがいるよりやり易いしね」
――そううまくはいかない。若干怯みはしたものの、引き下がる気は無いらしい。
みつば「……はい」
みっちゃんがポケットから何かを取り出して炬燵の上に置いた。
ひとは「え、チョコレート?」
……まさかバレンタインだから?
みつば「杉崎からの友チョコよ、ちゃんと貰いなさいよね」
き、期待なんてしてなかったけどね!
みつば「……こ、これも、受け取りなさい」
そういって手に持っていた袋から綺麗に包装されたチョコレートを取り出し炬燵の上に置いた。
……これは誰からのチョコレートだろう?
考えても答えは出てこない。みっちゃんもなぜか黙ってしまったので仕方なく聞き返すことにした。
ひとは「こっちは、誰からの?」
みつば「……私…からのよ」
ひとは「ふーん……みっちゃんから………………え゛?」
みっちゃんから?
みつば「な、何よその反応……」
ひとは「いやいや、なんでさ!? むしろ自分が欲しいって言ってなかった?」
言った。確かに言ってた。だから、私はチョコレート作ったんだし……。

88 :
みつば「い、言ってたけど……べ、別にそれであんたにチョコ上げない理由はならないじゃない」
それはそうなんだけど……。
ひとは「だ、だけど――」
みつば「いいから、受け取んなさいよ!」
私は納得できず言葉を続けようとしたが、チョコを胸元押し付けられた。
みつば「か、勘違いしないでよね! べ、別に深い意味なんて無いわよ!」
よく見るとみっちゃんの顔は真っ赤で……視線を胸元に移すと、チョコを貰ったって実感が沸いてきて……。
ひとは「……あ…ありがと……」
結果、私も恥ずかしくなって……きっと私の顔も真っ赤なのだろう。
みつば「そ、それで、ふたばも言ってたけど悩みって何よ?」
仕切り直すように、しかし視線は私から外したまま話しかけてくる。
ひとは「あ……えっと……」
チョコ買って来たのは私が元気なさそうに見えたからだろうか?
どういうつもりでチョコをくれたのかと思ったがそういうことか。
……冷静に考えてみれば、みっちゃんがチョコを渡すなんて発想しないだろう。
私の態度に違和感を感じ、みっちゃんなりに気を使ってくれたのかも知れない。

89 :
…………。
ひとは「……ちょっと待って」
私は立ち上がって、冷蔵庫を開ける。
渡さないでおこうと思っていたが、ふたばに心配掛けて、みっちゃんに心配掛けて、そしてチョコまで渡され……。
このまま、白を切り通すなんて選択肢、ありえない。
みっちゃんもチョコを渡してきたんだし、この勢いで渡してしまおう。
冷蔵庫の奥に隠すようにおかれた目当てのものを取り出す。
ひとは「こ、これ……」
みつば「へ? なによコレ?」
炬燵の上に置いたのは白い箱。昨日の夜私が作ったチョコが入った箱。
ひとは「……チョコレート…トリュフ…何だけど……」
みつば「えっと……いつ買ってきたの?」
ひとは「買ったんじゃなくて……作ったん…だけど」
みつば「……私に?」
ひとは「っ! ……う、うん」
みつば「……なんで私に?」
……キレていいかな?
ひとは「な、なんでって……チョコ寄越しなさいって言ってたよ!」
みつば「そういう意味じゃなくて! ……って言うか、あんたそんとき、すぐ断ったじゃない!」
ひとは「そ、そうだけど……」
みつば「それにコレが悩みと何の関係があるのよ?」
ひとは「だ、だから……断ったのに作ったから……なんて言って渡せばいいのか…わからなくて」
みつば「……」
ひとは「……」
ああ、なにこれ……気不味い。
やっぱり渡すのやめた方が良かったのかな……。

90 :
みつば「ああぁあ! もういいや!」
何だか知らないが、頭を掻き毟って炬燵に突っ伏した。
意味がわからない。
みつば「……ねぇ、コレ、今から食べていい?」
炬燵に突っ伏したまま問いかけるみっちゃん。何その上目遣い……。
ひとは「あ……うん」
みつば「そっ、それじゃ、いただ……貰ってあげる!」
いや、言い直さなくても……それにしてもみっちゃん、一気に機嫌が良くなった……さすが雌豚ってところだろうか。
そんなことより、みっちゃんがチョコ食べてくれた。
ひとは「ど、どう? す、杉崎さんのより美味しい?」
つい、感想が聞きたくなり、しかも杉ちゃんと比べて聞いた。
どんだけ嫉妬してるんだろ……私。
みつば「え? 杉崎? ……」
みっちゃんがなにやら考え込んでいる。……やはり市販のチョコじゃ高級チョコに勝てなかったのだろうか……。
みつば「……あんたのが…美味しい…………と思う」
……えっと?
ひとは「今、気を使った?」
みつば「使ってないわよ!」
ひとは「目、逸らしていったよ?」
みつば「そ、それは……」
ひとは「杉崎さんのチョコのが美味しかったんでしょ?」
みつば「ち、違うわよ! 杉崎のも美味しかったけど高級過ぎて口に合わなかったのよ!」

91 :
ひとは「……」
私が納得のいかない顔で見つめてやると、しょうがなくといった具合に続ける。
みつば「きょ、去年食べたのと、違う種類みたいで香りが強いというか何というか――」
ひとは「庶民であるみっちゃんには美味しさがわからない味って事?」
みつば「くっ、悔しいけど、そういうことよ! ……まぁそれなりには美味しかったけど」
ひとは「その台詞、杉崎さんに言って上げればとてつもなく喜んだと思うよ」
みつば「だから、杉崎に言わないでおいたって……あれ? ひとはって杉崎のこと杉ちゃんって呼んでなかったっけ?」
! 本当だ。杉崎さんって呼んでた。
えっと、やっぱりコレって嫉妬……が原因だよね。
とりあえず誤魔化さないと……。
ひとは「……杉崎さんの“崎”が丁度思い出せたんだよ」
コレはひどい。
杉ちゃんって呼んでる所を宮下さんに指摘されたときと同じ様な返しをしてしまった。
みつば「……よくわかんないけど、喧嘩してるんなら仲直りしておきなさいよ」
えー……みっちゃんにそんなこと言われる日が来るなんて……。
でも、まぁ、杉ちゃんには何だか悪い気がするし、恐らくホワイトデーのお返しを皆ですることになるだろう。
その時は嫉妬とか置いといて、しっかりしないと。
みつば「……そういや、コレふたばの分は? まだ冷蔵庫の中?」
ひとは「え? みっちゃんの分だけ…だけど……」
……途中まで言って気がついたが、そっか。ふたばの分も一緒に作っておくべきだった。
そうしたら、こんな悩まずに済んだだろうし……それにこれじゃ、ふたばがかわいそうな気もしてきた。
みつば「……知らぬが仏ね。さっさと食べて証拠隠滅。まぁ、私がふたばのチョコ買ってきてあるし……」

92 :
あ……そうなんだ。
いや、まぁ、それが普通……だよね。
…………。
不意に嫌な汗が流れる。
みっちゃんにだけに……チョコを作ったんだ……私。
杉ちゃんは友チョコとしてたくさんの人に上げたのに。
みっちゃんだって姉として妹二人にチョコ用意してるのに。
だったら、私のチョコは?
たった一人のために作った……たった一人に渡すチョコ。
……本命?
いやいやいや! 違う、断じて違う!
みっちゃんにチョコを寄こせって言われたからで……。
確かにその通りなのだけど……でも……断ったし、作る必要なんて……無かったのに。
みっちゃんの台詞は、ただの切っ掛けに過ぎないってことで……。
結局は私の意志で……みっちゃんにだけチョコを作った……。
顔が熱い。しかも思考がうまく纏まらない。
みつば「……――ひと…? ……ひとは!」
ひとは「え! あ、な、なに?」
みっちゃんの言葉が聞こえ現実に戻される。
みつば「何じゃないわよ! いきなり呆けちゃって……熱でもあるの?」
ひとは「だ、大丈夫だよ。気にしないで」
みつば「本当でしょうね? ……まぁいいわ。とりあえず、えっと…チョコ……ありがと」
ひとは「あ…わ、私夕飯の準備しないと……」
……動揺しすぎ私……照れ隠しの下手さにも程がある。

93 :
まぁ、でもとりあえず夕飯の準備だ。時間的にも間違ってないし、顔を隠すのには丁度いい。
……視線を感じる……。いや、気のせいかもしれないけど。
えっと、結局私は何でみっちゃんにだけチョコを作ったのか……。
さっきも考えたが、切っ掛けはみっちゃんの一言だった……だけど。
……認めたくないけど私は、私の作ったチョコをみっちゃんに食べて貰いたかった。
私のチョコを貰って美味しいって……笑顔で答え、満足してもらいたかった。
……。
だけど……本命チョコじゃない。絶対に。そんなつもりで作ったんじゃない。
自分の中で出した答えは、“本命じゃないチョコ”。
だけど、その答えを何故だがひどく空しく感じた。
私がみっちゃんのために一生懸命に作ったチョコが、ありもしない本命チョコに劣っている気がして……。
自分の考えてることがわからなくなる。
私はみっちゃんが嫌いだ。わがままで、ドSで、雌豚だし、ガチレン馬鹿にする……。
でも、違う。……この想いは矛盾しているのだろうか?
嫌いなはずなのに……私はみっちゃんが好きなのだと思う。
……意味がわからない。
しかもその“好き”が姉としてなのか、家族愛なのか、それとも――
――そこまで考えて、考えるのをやめた。
きっと答えなんて出ない……出さない方がいいのかも知れない。
答えが出ていない方が……みっちゃんとの関係を自然に感じることが出来る気がして。

94 :
気持ちの整理は完全ではないが、頭は回るようになってきた気がする。
ふっと沈黙が続いていたのが今更気になり、夕飯の準備をしながらみっちゃんに声を掛けた。
ひとは「ねぇ……みっちゃん?」
みつば「な、なによ?」
ひとは「ホワイトデーのお返しは……くれるの?」
普通、見返りは求めないものだとは思う。でも私達のよくわからない関係性だからこそいえる言葉。
みつば「……いいわよ、上げるわ。その代わりあんたも私に寄こしなさいよね」
断るかと思ったが、自分もお返しがもらえるチャンスだとでも思ったのか、条件付で了承してくれた。
そっちがそのつもりなら、こっちも条件をさらにつけ加えてやる。
ひとは「私が作り方教えるから……今度は手作りね」
みつば「はぁ? 何よそれ! あんたに教わってあんたに渡すって変じゃない?」
ひとは「……気にしすぎだよ」
<バタン>
玄関が開いた音。ふたばか、お父さんか……
ふたば「ただいまっス!」
草次郎「ただいま……なぁ、連絡してないのにどうしてパパが交番に居るってわかったんだ?」
……へー、本当に職質されてたんだ。そんなオチだと思ったよ。

さて、ホワイトデーは何作って、何作らそうか考えておこう。
おわり

95 :
〜〜〜以上本編〜〜〜
此処まで読んでくれた人居ますか?
毎度長くてすいません。
ちなみにホワイトデー編ですが……今のところ予定しておりません。
要望があれば時間は掛かるかとは思いますが、作れるかと思います(読みたい人いるか怪しいですが)。
その時は、もう少し松岡さんを輝かせたいなーとか思ってます。
感想とか書いていただけると助かります。

96 :
乙!

97 :
>>95
毎度良いSSだな〜
ホワイトデー編も楽しみにしとりますよ

98 :
マジ長すぎて見る気が起きない
もっとコンパクトに纏めろよ

99 :
>>98
だまれよ能無し

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