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2013年01月エロパロ141: 女の子に催眠、洗脳されてしまうスレ4 (190)
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女の子に催眠、洗脳されてしまうスレ4
- 1 :2012/11/25 〜 最終レス :2013/01/05
- 薬や催眠術、魔法等々で 「男が女の子に操られてしまう」 シチュのスレです
精神操作から肉体操作まで、とにかく女の子に操られるシチュならば大歓迎です
前スレ
女の子に催眠、洗脳されてしまうスレ3
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1334150545/
関連スレ
【職人】MC・催眠系総合スレ その12【求む】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1323178789/
- 2 :
- ttp://w.livedoor.jp/mcfromgirlssmatome/lite/d/
保管庫
- 3 :
- >>1おっつん
- 4 :
- PCから保管庫
http://w.livedoor.jp/mcfromgirlssmatome/d/
- 5 :
- >>2
>>4
補足ありがとうです
- 6 :
- 早希ちゃんに言われるままに、ゆっくりと服を脱ぐ。
上着、ズボン、シャツ、パンツ・・・そうだ、上履きと靴下も脱がないと・・・。
「すごい、こまめに催促しないでも自然に全部脱いじゃった。
やっぱ依槻くん才能あるよ」
「・・・さいのう?」
「うん、催眠にかかる才能。
調教される才能」
なにそれ?催眠?調教?
「それじゃあ続きしよっ
あたしの右手覚えてるよね?
あたしの右手はなんだっけ?言ってみて」
「早希ちゃんの右手は・・・魔法の手」
「そう、よくできましたー。
じゃあコレに触れれると依槻くんはどうなっちゃうの?」
「どこを触られても・・・ものすごく・・・気持ちよくなる」
「そうそう、その通りだよ。
だからね、この手をこう・・・依槻くんの胸に当てると・・・」
「ひあっ」
早希ちゃんの手がボクの胸、左の乳首に触れると、ズンって背中から腰まで快感が走り抜けた。
もちろん触られた場所、乳首もジンジン気持ちいい。
「やっぱり感じるんだね」
早希ちゃんはボクの耳元で囁きながら右手の手のひらを広げ、ボクの胸全体を回すように撫で回す。
「あっ・・・あっ・・・」
胸全体を撫でられるのももちろん気持ちいいんだけど、乳首を通過する度にビクッビクッと電流が走るように気持ちよさが弾けちゃう。
「依槻くんすっごいイイ反応するね・・・見てるとあたしまで感じてきちゃうみたい・・・。
どーお?乳首気持ちいい?」
「よく、わかんない・・・」
「ふーん・・・じゃあハッキリ気持ちいいと解るように、虐めてあげるわ」
ボクの顔をのぞき込んだ早希ちゃんの目が、まるで獲物にじゃれつくネコのような・・・。
「ひぎぃぃいー?!」
突然彼女が指で、右手で、気持ちよくなる魔法の手で・・・ボクの乳首をつねり上げた。
途端に腰がバンッと跳ね、悲鳴のような声がボクの口から吹き出した・・・こんなの気持いいかどうかわかんないよぉ。
だらしなく口開け舌を突き出すボクの顔を、早希ちゃんはとても楽しそうに笑を浮かべながら見つめている。
「どおしたのー?気持ちいいのぉ?」
「き、気持ちいいっ・・・いいですっ」
早希ちゃんは嬉しそうに笑いながら、つねった乳首をぎゅ〜っと引っ張った。
「あうぅあぁ〜ぅいぃ・・・」
自分でも全くよくわからない叫びが漏れる。
おちんちんの根本のあたりが何か熱を帯びてズキズキする。
すごい、乳首きもちいい・・・おちんちん撫ぜられた時よりもいいかも。
「あ〜、左側ばっか責めちゃ悪いわよねぇ?
は〜い依槻くんちょと身体ずらして」
乳首から手を離された時、すごい物足りなさと切なさを感じて早希ちゃんの顔を見つめ返すと、彼女はまた瞳を輝かせまるでボクに食いつかんばかりに迫ったんだ。
「スゴイその顔・・・あは、催促なんかするなんて生意気よ・・・ホラ!」
「さ、催促なんか・・・いぎっうわあぁあぁあぁっん」
開きかけたボクの口を塞ぐように、今度は右の乳首をつねり上げられた。
今度は最初から気持ちいいっ・・・おちんちんの根本の奥がズキズキする。
「顔が催促してたわよ・・・いけないわ、依槻くん見てると・・・虐めてると・・・自分が止まらなくなりそう」
- 7 :
- また来週!
- 8 :
- GJっ
- 9 :
- 超GJ!!!
やっぱ催眠物は最高です。
- 10 :
- GJ!
続き楽しみです!
誰かwikiのパート3更新しないと…
- 11 :
- 前スレ落ちて話が飛んじゃったぜ悔しいビクンビクン
- 12 :
- >>10
wiki編集しかたが分かんねえんだよなあ
- 13 :
- いきます
- 14 :
- 彼は少し緊張しながら、その扉をノックした。室内からの返事を受け、開ける。
訪問者が入ってすぐに部屋の主と対面するように、彼女が座っているデスクはあった。彼女はこちらを見据えていた。
来客の正体を、彼女は予め見越していたようで、何一つ予定調和だという態度で彼女は立ち上がった。
彼女の名は、エリノア。若くしてここ――エルガーランド魔術学園において、自らの研究室を与えられている才媛である。
「やあ、来たね。今回も頼むよ」
「はい。で、どんな実験なんですか?」
返事をする少年も、彼女ほどとはいえないものの、非凡な才で頭角を現している若き魔術師であった。名を、サイアンという。
「ああ、それはね。この方陣なんだが、分かるかい」
エリノアがいたデスクの前に、複雑な図形や文字のようなものが円となって書き示されていた。魔方陣である。
- 15 :
- 間違いなく、エリノアが描いた魔方陣だろう。その構成には無駄がなく、完璧だった。
「魔方陣……服従……の術式ですか?」
エルガーランド式魔術は、魔方陣を用いて魔術を行使する。魔術師であれば、その構成から魔術の効果を予想できるのだが――エリノアの魔方陣は、緻密な構成に加え、未発表の彼女の特別な式やアレンジが用いられているため、ひどく難解だった。
それでもサイアンが魔方陣を読み取れたのは、これまでたびたび彼女の実験に付き合わされた――いや、実験台にされたおかげだった。
「そうだ。相手を捕らえ、こちらの都合のいいように動かせるようにする、そんな術だ」
服従術というものは、ある程度の研究はされ尽くされた分野だった。魔術は永らく戦争や暗に利用されてきたため、その分野の発達は必然であった。
そして、そういった術にエリノアは今まであまり興味を抱いていなかったのだが。
「へえ。なんか、いつものとは傾向の違う術ですね」
- 16 :
- 「そうかな」
「はい。いつもは……その、ユニークな術ばかりだったので」
ユニーク……まあ、ユニークといえるだろう。もはや誰もが匙を投げた分野の実験ばかりを、彼女は好んだ。
不や、時間転移、生命の創造等々。おかげで彼女は、影で他の生徒たちから、マッド呼ばわりされているのを、サイアンも聞いたことがあった。
まあ、服従術というのも、アブノーマル的ではあるが。
「校長に頼まれてね。その校長も、どうやら軍に頼まれたようだが」
「軍……?」
本来、一族秘伝というのが魔術師のモットーであり、孤児を集め魔術師として育成するこの学園は特異な存在である。
しかし、エルガーランド一族はこの国の王と結託し、その禁を破った。結果、ただでさえ驚異である魔術師という存在を大量に配下に加えたこの国は、大陸の覇者となった。
魔術師と軍の関係が密接なのは、そのせいである。この学園の卒業生たちはほとんどが軍属魔術師になるか、軍魔術部の魔術研究者になる。
エリノアはそんな中、稀有な存在だった。もうとっくに卒業できるのに学園に残り、
かといってどの教室にも属さず、教師になるわけでもなく、自由に自分の好きな研究をしている。
聞いた話によれば、特権や金を得るためとはいえ、秘奥をここまで盛大に広めたことに
危機感を覚えたエルガーランド一族が、軍に寝首をかかれないための秘密兵器とも言われている。
学園の魔術研究が軍の魔術部よりも進んでいるのは、この先輩に依るところ大きい――なんて噂も、サイアンは耳にしたことがあった。
- 17 :
- 「ああ。まあ、おかげで報酬が良くてな。そろそろ、私の研究資金も心許なくなってきているし、ちょうど良かった」
「はぁ」
自分が、軍と魔術師の。ひいては大陸の平和の要だということを、きっとほとんど理解してないのだろうという当人の軽さに、思わずサイアンは生返事をした。
相変わらず、研究しか頭にないんだろうな、とちょっと呆れて。
「さて、まあ話はこれくらいにしようか」
「はい」
しかし、そんな俗世のことに囚われないところも彼女の魅力の一つでもある、とサイアンは密かに思っていた。
だから、すぐに気持ちを入れ換えると、目の前の実験に集中することにした。
「方陣の上に立ってくれ」
「はい」
「では」
そう言った後、かがみこんだエリノアの手が、魔方陣に触れる。魔力の注入だ。少しして、魔方陣が光を放ち始めた。
魔方陣が発動するには、それに必要なだけの魔力を注入しなければならない。だが、逆に言えば、必要なだけの魔力を注入した魔方陣は、例え術式に失敗があっても発動する。それが暴発である。
もっとも、彼女が魔術に失敗したことなど、サイアンは見たことなかったが。
さて、そしてついにエリノアの魔方陣が発動したわけだが、サイアンは得たいの知れない気色悪さを感じた。まるで、体の奥底に何かが這い寄ってくるような……
吐き気までもしてきたような感覚がして……サイアンは突然ぶっ倒れた。
- 18 :
- 「おや、どうしたんだい、急に倒れて」
息ができない。目の前が白黒する。体が震えているようにも感じるし、全く思い通りに動かない恐怖感もあった。
それなのに、先輩のやたらとのんきそうな声だけは嫌でも耳に入ってきていた。
「ふむ。息をしていない……」
だからこんなに苦しいのか。もう考えるのも辛い。意識を投げ出したいとサイアンは思った。
「あ、そうか。ええと。生命活動、して良し」
恍惚に至りそうな気がしたが、その頂点に到達する前に、エリノアの声によってサイアンの意識は地上へと舞い戻ることができた。しかし、待っていたのは苦痛だった。
かすれた呼吸音が耳障りだ。しかし、それを発しているのは自分だ。
さっきまでの酸欠状態で目がちかちかする。しかし、現状の把握がしたい、と思ってエリノアに声をかけようとしたが、声を出せなかった。
苦しいからとか、酸素が足りないとか、そんな理由じゃなく、喋れない。混乱して、ついには恐慌を起こしそうな自分の心を必でなだめる。すると、
「喋って良し」
という先輩の言葉で、跳ねるように言葉は口から出ていった。
「なッ、なんですか、これは!」
「すごいだろ。相手の体のコントロールを完全に掌握できるんだ」
- 19 :
- 面白がるような、彼女の声。先程言ったエリノアの言葉を思い出す。生命活動を、して良し……?完全に掌握するというのも、あながち大袈裟では無さそうだと、サイアンは背筋は凍った。
「さらに、言葉だけで暗示や条件付けをすることができる」
(た、確かにすごいけど……)
ここまで強力な服従術を、サイアンは知らなかった。一時的に身動きを完全に封じるような術や、相手を一種の催眠状態にするような術はあるが、ここまではっきりと意識はあるのに、命令は絶対遵守され、逆らおうとすることさえできないなんて。
「よし、立ち上がれ」
(か、体が勝手に)
「気をつけ」
サイアンは一切力を込めようとしていないのに、体はてきぱきと命令をこなしている。
「休め」
まるで、自分を俯瞰しているような感覚だ。
「うん、術のかかりはいいようだな」
「じゃあ、そろそろ解いてくださいよ」
エリノアは満足げだったが、術をかけられた当のサイアンとしては、とっととこんな実験は終わりにしたかった。自分の肉体が自分の自由にできないなんて、冗談ではない。
「いや、君にはしばらくそのままでいてもらう」
そのしばらく、というのはいつまでだろうか。エリノアは自分が満足するまで実験を続ける。下手をすれば、一ヶ月近くかかることも……
- 20 :
- 「この術の効果時間や、命令の限界を知りたいのでね。そのためにも、しばらく私と共に生活してもらうよ」
こうなっては、拒否しても無駄だった。彼女が口に出したのは、承諾を求める問いかけではなく、今後の予定なのだから。
「はぁ……わかりました」
今回もあまりいい目には合わなそうだ。ため息を吐きながら、諦めの境地でサイアンはそう言った。
◆◇◆◇◆
学園の敷地の外れにエリノア専用の寮はある。
彼女が使うためだけに建てられたのではなく、もともとはある教師のためのものだったらしいが、今やエリノアの怪しげな魔術の実験場として噂され、近づく生徒はエリノア以外ではサイアンくらいだった。
(先生がしばらく教室にこなくていい。泊まりの準備をして行けって言ってたのはこういうことか……)
- 21 :
- 教師のほとんどが、エリノアに対して甘い。彼女の意向の方が、教師よりも優先されるほどだ。校長と教頭でも、彼女には頼んで何かをしてもらうくらいだし、学園の経営者たるエルガーランド一族たちが占める理事会すら、彼女にはおいそれと命令できないらしい。
「さて、最初のルールだ」
「ルール?」
「そう。これから私は君に色々な命令をしていく」
今サイアンがある程度自由に行動できるのは、エリノアの楽にしていいという命令のおかげだが、これから再びサイアンは枷をはめられていくようだ。
「どういった命令が有効なのか。どういった命令は無効なのか。矛盾する命令はどうなるのか」
指を立てて数えるようにエリノアはこちらに言ってきた。つまり、自分はそれらの命令によっていじくり回されるわけかと、サイアンは陰鬱な気持ちになった。
「そういった実験だ」
「はぁ」
エリノアの言動は常に自信満々だった。こういうのを、カリスマ性というのだろうか。
「では、君に課す最初の制約だが。君は、私の許可無くこの寮を出ることを禁ず」
- 22 :
- 「……」
話の延長のように言われたそれだったが、
(……今のが命令?)
こんな簡単な言い方で、自分に一つ枷が増えたということが、サイアンには実感できなかった。
「試しに出ようとしてみたまえ」
「はい」
促され、入ったばかりの寮の入り口の向き直る。ドアノブを掴み――
「え、あ、開けられない」
「扉には触れることはできるようだな。だが、ノブを回せないか」
エリノアの言葉の通りだった。そもそも、このドアというものは、どうやったら開けられるんだったのか……?そんな疑問さえわきそうだった。
「じゃ、じゃあ、窓は……!開けることはできる……でも、出られない!」
続いて、ドアを離れ、一番近くの窓へとサイアンは駆け寄った。言葉の通り、窓は開けることはできた。が、ここは一階だというのに、出ようとすることができなかった。
- 23 :
- 「そろそろ全力で逃げようとしてみたまえ。敵に捕まったと想定して」
言われなくても!サイアンの思考は既にそこに至っていた。
(扉も、窓もダメ……なら、出口を作れば!)
杖を懐から取り出す。棒の先にある魔導水晶へと意識を集中する。
(ドアに、風穴を……!)
先ほどのエリノアの服従の魔方陣のように、必要な時にそのための魔方陣を描く時間や余裕がないということは、当然ある。
魔導水晶は、それらの問題を解消し、エルガーランド式魔術師を最強足らしめた要因だった。
意識の中でイメージした魔方陣を、水晶は魔力によって空間に展開、描画する。
実際に書くのと違い、その所要時間は一瞬。暴発しやすいという欠点はあるものの、それ目を瞑って余りある戦果をあげた。
「魔術を使うことを禁ずる」
サイアンがイメージの魔方陣を完成させ、展開するまで、もはや一瞬もかからないという刹那。先輩の言葉がサイアンの耳を――魔術を縛った。
(魔方陣が、霧散する!?)
先ほどまで、いくらでも強力な魔法を行使できた自分の魔術の蓄積が、魔方陣の術式の知識が、もやがかかったように思い出せない。
- 24 :
- それどころか、魔力を込める感覚さえ忘れてしまったかのようだ。魔力操作は、魔術の基本。これができなければ、魔術は暴発する段階にもいけない。お手上げだ。
「済まんな。一々壊れたものを直すのも面倒だから、魔術そのものを禁じたよ」
驚愕するサイアンに、エリノアはいつもの冷静な声で語った。
「……すごい……ここまで完全に対象を抑えられるなんて」
驚愕は、いつしか感嘆へと変わっていった。これでは、この服従術をかけられたが最後、逆らえるものは存在できない。
「君の魔術は、このまま封じさせてもらおう」
サイアンがエリノアに向ける目に、いつも以上の尊敬の眼差しが含まれていても、彼女は気にしない。それが彼女だ。
「だが、もし使えそうだと思ったら、壁をぶち抜くなり、私を昏倒させるなりして全力で逃げたまえ」
「分かりました」
そうは言ったものの、サイアンはそんなことは絶対無理ではないかと、内心そう思っていた。
そして、それでも打ち破ることができたら……とも。
◆◇◆◇◆
「ところで今日の夕食だが、君が作ってくれ」
- 25 :
- エリノアがサイアンにあてがった部屋で持ってきた荷物をほどいて、一休みしてから談話室に降りたサイアンに、エリノアはこう言った。
「僕がですか?」
この寮で二人きりで過ごすのならば、食事等の家事は二人でやるのは当然か。人混みを嫌い、気むずかしいエリノアは、一般生徒の多い食堂には顔を出さないし、寮母のようなものも住まわせていないようだから。
しかし、一応サイアンは断っておくことにした。
「あの、正直、料理は得意ではないのですが……」
だから不味くても、許してほしいとエリノアが汲み取ってくれるといいのだが。しかし、
「だからだよ」
「は?」
「学園の食堂で出せるレベルの夕食を作りたまえ。これが次の命令だ」
そんな無茶をエリノアは言ってきた。
「そんな、無理ですよ」
「無理かどうかを確かめる実験さ」
- 26 :
- そうして、にやっとエリノアはサイアンに笑いかけた。
「君の知識や実力以上のことをさせることができるのか」
目は好奇心で爛々と輝き、楽しくて仕方ないという様子だった。
「夕食、楽しみにしているよ」
「はあ」
―――
――
―
「……やはりダメだったか」
「すいません……」
あれから一時間半。サイアンはエリノアの期待には答えられなかった。
「あの、先輩は食堂で食べてきたらどうですか?」
サイアンは、つい、こんなことを言ってしまった。
「僕はこの寮を出られないので、自分で作ったこれを処理しますから……」
本当は、情けないから先輩とこの食事を囲みたくなかったわけだが。本心をそのまま言えるわけはない。
申し訳ないという気持ちも、もちろんあったが。
「いや、これでいい」
- 27 :
- 先輩が食堂を使いたがらないのは知っていたので、この答えは別段特別な意味があるわけではないだろう。それに、この人は他人を気遣うような性格ではない。
「……しかし、美味しくないな」
こうやって、ずけずけ言ってくるのが普通だ。
「う」
次の言葉も、特に意味はなかったのだろう。慰めとか、そういうものは。
「そうだ、じゃあこんな命令はどうだろう」
「はい?」
「これから毎日、料理は君がしたまえ。そして必ず上達すること」
「それ、効果あるんですか?」
「なきゃ困る。さすがに毎日これではな」
「……がんばります」
それでも、サイアンは少し気分が良くなった気がした。
◆◇◆◇◆
一週間が経った。
サイアンは毎日色々な命令を受けていたが、まだ基本的な段階といっていいものだ。
もともと彼にできていたことをさせたり。できないことをさせようとしてやっぱりできなかったり。できていたことを禁じたり――だ。
- 28 :
- そんな中で、初日にかけられて以来、ずっと効果を発揮し続けている服従術にますます感心するばかりだったが、
(すごいけど、退屈だな)
と、思い始めていた。
―――
――
―
「さて、今日の実験だが」
「なんですか?」
エリノアは、朝が弱い。
最初の二日こそ頑張って午前八時までに起きるよう心がけていたみたいだが、一週間が経った今や、お昼ぎりぎりまで起きてこないこともざらだった。
そのためサイアンは、自然と午前中のうちに洗濯等の家事を済ませるようにした。
食事を用意するのは初日にサイアンの仕事となったわけだが、それ以外の家事も、今やほとんどサイアンがやっている。
仕方ない。魔術以外に興味を持つことはおろか、魔術以外を行うことがひどく億劫だという先輩は、
自分のことは適当に自分でやるからと言っていたが、見るからに洗濯もの等が溜まっていくのを、サイアンは見過ごせなかった。
さすがに下着や肌着等の洗濯ものはサイアンも手をつけられなかったが。
- 29 :
- そうして家事を済ませ、昼飯を用意する匂いに誘われ起き出てきたエリノアは、食事を済ませて休憩してからやっと実験の開始を宣言した。
「君の五感に制約を課そう」
これは今までに受けた命令から、少し難度があがったようだ。行動ではなく、感覚の操作となると。
「そうだな……まずは、君の視覚を封じて見るか」
エリノアが、こちらの目を指差すように、眼前で人差し指を立てて言った。
「君の視覚は、見えなくなる」
効果はいつもの如くてきめんだった。ふっと、一瞬で視界が暗くなる。
(目が……)
「どうだね。君の目には一切障害はないはずだな」
「あ、はい。でも、ほんとに見えなくなりました」
外的要因は一切なく、目に異常が起きたわけでもなく、彼の目は見えなくなったのだ。
(魔術を封じ、行動を封じ、五感までも封じる……)
改めて、ぞっとする。
(確かに、これならば文句なく最強の服従術だろう)
- 30 :
- しかもそれらは、術にかけてから命令するだけでいいのだ。
これまでの服従の魔術は魔方陣の術式の段階で、相手にさせたいことを書き入れなければならなかった。だから当然、術式は複雑になるし、複雑だと当然ミスによる暴発も多かった。
相手を催眠状態にする術というのも開発されたが、正直施術された相手の命令遵守率は高くなかった。それに比べて、この術なら、命令はまさに絶対である。
「あ、あの、先輩?」
絶対だから故にサイアンは心配になった。
「ん?」
「これ、ちゃんと治ります……よね?」
もしかしたら、このまま視力が回復しないのではないか、と。
「……」
「え」
「そのための実験でもある」
「ちょっと!」
そんな、冗談ではない。
「まあ、なるようになる。魔術で私が治すさ」
割と本気で怒っていたのだが、こうまで言われては、矛を収めるしかなかった。代わりに、思ったことを言う。
- 31 :
- 「そういえば、命令で命令は打ち消せるんでしょうか?」
「そうだな。やってみようか」
おいおい。実験しなければわからないのか、とも突っ込みたくなかったが、ぐっとこらえた。視力回復の方が大事だ。
「君の視力は元に戻る」
「ん……」
また、変化はすぐに起きた。一瞬ぼやけるような感覚のあと、また前と同じように視界が復活した。
「どうだ?」
「見え……ます。大丈夫です」
「おお。良かったじゃないか」
「ええ、ほんとに」
言葉ほどの驚嘆がないエリノアの言い方に、嫌みっぽくサイアンは返したが、彼女にはどこ吹く風。もう次の実験のついて話してくる。
「よし、次は聴力だ。しかし、ここで一つ問題がある」
「なんですか?」
「命令によって、君の耳を聞こえなくしたとしよう」
「はい」
「それを先程のように命令で打ち消そうとした場合」
ちっちっち、とエリノアが指を振る。
「果たして、その命令を聞こえるのかどうか」
「なるほど」
「もともと君の耳は正常に聞こえるのを、命令によって聞こえなくしているわけだから、打ち消す命令をすれば治るかもしれないし」
一旦言葉を区切って目を瞑ると、少しして目を再び開いてから続ける。
「命令をも聞こえなくなっているかもしれない」
そして、いつものにやっとした笑みをこちらに向けた。
「後者だった場合、怖いですね」
「うむ。だから、最初の命令の時にこう条件付けする」
真剣な表情で悩むサイアンの耳に、エリノアは手を添えた。いきなり触られたことで、びくっと体が震える。その後に続いた言葉は、さらにサイアンを困惑させた。
- 32 :
- 「君の耳は、私が君の耳にキスをすると聞こえなくなる」
「え」
「そして、聞こえない状態でキスをすると今度は聞こえるようになる」
「ちょっと、先輩」
なんていう命令をするのか。その、“そういうつもり”は全くないのかどうかは知らないが、変な命令はやめて欲しい。
「ふふ、これも実験だよ。さあ、耳を出して」
本当に、どういうつもりなんだか。エリノアの胸中は、サイアンにはまるでわからない。
さて、一応この実験の結果だが、耳が聞こえなくなると命令された後でも、エリノアが命令したものは通った、とだけお伝えしておこう。
つまり、サイアンが耳にキスをされたのは一回だった。それにほっとしたようであり、少し残念に思った気持ちも少なからずあり……
◆◇◆◇◆
さらに数日が経った。実験開始からは、十日目が過ぎた。
「……飽きてきたな」
エリノアの言葉は、あんまりといえばあんまりだった。もっとも、サイアンも数日前から退屈はしていた。
- 33 :
- 実験は命令を淡々とこなしていくだけなので、地味としか言えないし、その実験もだいたいやり尽くした感もあったからだ。
「予定だとどのくらい実験するつもりなんですか?」
この時、サイアンはせいぜい一ヶ月くらいと予想していた。しかし、
「……半年」
エリノアから聞かされた言葉は予想を遥かに越えていた。
「はぁ!?長すぎですよ。まだ十日ですよ」
なら、それだけで退屈したとか、言える立場ではないだろうにと、サイアンは思った。
「ていうか、もういいんじゃないんですか?この術は文句なく強力ですよ。それでいいじゃないですか」
実際、実験をする意味さえないのではないかというほど強力だ。
「だって、永続効果がどのくらいで自然消滅するかも実験しないと……」
「それで半年ですか……」
- 34 :
- まあ、軍が運用したいという服従術ならば、それは重要ではある。ある日、いつの間にか切れていましたでは話にならない。
「半年もこの寮で缶詰ですか、僕は」
先が長すぎて、ため息しか出ない。こんなことなら、最初に期間聞いておけば良かった。寮の出掛けに、友達と約束したことがあったのに。
「……」
と。考え事に集中していて気づかなかったが、エリノアがかつてないような難しい表情でこちらを見つめていた。
そして、普段はしないような、おずおずとした態度で言ってきた。
「……なあ」
――この時、もっとよく先輩の様子を確認しておけばと、サイアンは後々後悔することになる。
「なんです?」
「君が本気で嫌がりそうな命令、してもいいかい?」
――してもいいか?などと、普段のエリノアなら、実験をするのにそんな風に断ったりしないという不自然さに。
「……どういう命令ですか」
「そうだね」
――この時なら、まだ。
- 35 :
- 「……君の目は、私と手を繋がないと見えなくなる」
「え」
視界がまた、一瞬で暗転する。
「あ、ちょ」
思わず一歩踏み出して、どこかにつまずいた。
「ぎゃ」
目が見えないため、あっさり転倒した。見えないのに、頭はきょろきょろと、さ迷うように動いた。
「せ、先輩?あの見えないです。本当に」
どうしたのだろうか。エリノアの沈黙が長い。それがますます不安を煽った。
「ちょっと、助けてくださいよ、先輩?」
「それは、私と手を繋ぎたいということかな?」
やっとエリノアが応えたと思ったら、それはやたらと近くで、そして、普段とは違う雰囲気をまとっていた。
- 36 :
- 「え、だってあなたがそういう命令をしたんでしょうが」
「……そうだな」
わけもわからず、呆然とサイアンは言葉を返した。エリノアは、普段以上に落ち着いた――ともすれば、暗い声とも取れるような声を発した。彼女の表情の変化は、目が見えないサイアンにはわからない。
「よいしょっと」
「あ、見える」
手を引っ張りあげられる。同時に、視力が回復した。再び目が見えなくならないようにだろう。エリノアはサイアンと手を繋いだままだ。
「……」
気恥ずかしい。それに、気まずい。なんとなく、二人とも沈黙した。その空気に、先に耐えられなかったのは、サイアンだった。
「これが僕が本気で嫌がりそうな命令ですか?」
「……ああ」
エリノアはそっぽを向いた。またも、普段とは違う態度だ。
「なぜなら、この命令は、外出禁止のように、そのままにしようと思うからだ」
- 37 :
- 「この状態を?」
「いけない、かな?」
少し考える。確かに不便だ。それに、先輩の様子のおかしい。どうしよう。
――そう、この時だ。これが岐路だった。
しかし結局、サイアンはよく考えずに答えてしまった。
「まあ、寮から出れないですし、この中だけならいいですけど……」
「では、半年よろしく頼むよ」
エリノアが、いつものように、にやっと笑った。
――サイアンは、彼女のこの笑みの意味に、気づくべきだった。
―――
――
―
「……」
サイアンとエリノアは、手を繋いだまま談話室にいた。エリノアは片手で本を読み、サイアンはぼーっとしていた。
二人の話題は出尽くしていた。もう十日も一緒にいるし、サイアンはこの寮から出られないので、仕方がない。
- 38 :
- さらに、エリノアから離れられないとなっては、エリノアと同じように本を読むくらいしかないが、いまいちそういう気にはなれなかった。
今日の実験はもう終わった。というより、これからは日常生活の中で実験していくらしい。こうなると、家事をしたいのだが、エリノアから離れると、目が見えなくなるのが問題だった。
(この命令はやめておけば良かったかな……)
はぁ、とため息を吐いたところでサイアンは自らの異変に気がついた。
(や、やば)
焦る。まずい。これは、大いにまずい。
「……」
エリノアは、と思わずそちらに視線をやると、読書に没頭している。
気づかれていないと安堵する反面、焦燥感は増していく。
- 39 :
- (と、トイレに……)
そう、尿意だった。これが普通なら、そっと一人で便所に行くのだが……
(でも、手を離すと目が……うう、どうすれば)
これは本当にやばい。そうか、一人じゃ目が見えなくなるというのは、こういう問題があったか、と、今さら自分の迂闊さを後悔し、体は自然と尿意を我慢するために震えていた。
「……さっきからどうしたんだい?」
気づかれた。いくら本に集中してたとはいえ、手を繋いだままで、身もだえしてれば仕方のないことか。
「い、いや、その」
さあ、どう言うか。いっそ、正直にいって、トイレまで連れていって貰ってから、外で待っていて貰うのが一番――と、彼女の視線に気づいた。
「……」
無言で、笑っている?これは。
「……分かってるでしょ、あんた」
「トイレだろう?」
さらっと彼女は言った。あまりにも自然だったので、素直にサイアンも認めた?
「……はい」
- 40 :
- 「どれ、じゃあついて」
お願いします、とは言えなかった。先ほどの、彼女の笑みが脳裏に張り付いて、引くに引けなくなってしまった。
どういうつもりか知らないが、彼女は、この状況を楽しんでいるようだ。冗談ではない。
「大丈夫です、一人で行けます」
「この手を離すと目が見えなくなるぞ」
「仕方ないでしょうが!」
分かっているさ、そのくらい。それでも嫌だった。
「辺りに飛び散らされると困るのだが」
はっとする。もしかしてこの人……
「中まで一緒に来る気ですか」
「嫌か」
またしれっと言った。もはや、この人に着いてきてもらうのは論外だ。
「ええ。だいたい。もうトイレの場所は把握してますし、ちょっと目が見えないくらい」
言葉にすると、なんとかなるような気がした。談話室から、一番近いトイレの方を見る。いけそうだ。しかし、エリノアはその希望を完膚なきまでに叩き壊した。
「そうか……よし、ならば命令しよう」
「え」
「まず、私の許可無く排泄をするのを禁ず」
「ちょ」
「それだけじゃないぞ」
「え?」
「さらに、小用をする際は君の性器を、大便の場合は君の肛門を、許可として私が舐めたら排泄をしても良しとする」
- 41 :
- 意味がわからなかった。命令の内容も、命令をした真意も。これも実験?なんて的はずれな考えも浮かんだが、どう考えてもおかしかった。常軌を逸している。
「へ、変態だったんですかあんた」
エリノアの実験台になるようになって、どのくらいになるか。エリノアとサイアンの年の差は五歳。最初に会ったのは、たしか三年前だったと思う。
しかしこの三年間、彼女がこんな異常な人物だったとは、思いもしなかった。
「さて、どうするかな?」
こちらが呆然としているのに、エリノアは何故か自信満々といった風に、挑発するかの如くこちらを見返していた。
「……ひ、一人で行きます。決まってるでしょ」
彼女の調子に乗ってはいけない。なんとしても。しかし……
―――
――
―
ふらふらとはしたが――
「な、なんとかトイレにはついたな……」
個室の中に入り、十日間使ったトイレの内装をなんとか思い出そうとする。
「えっと」
- 42 :
- 壁伝いに進み、便座の位置を確認し、腰かける。そして、なんとか平常心を浮かべようと努力するが……
(で、でない……)
どうしても出ない。力を抜いても、逆に力を入れても出ない。
(本当に?本当にあれされないと出ないの?)
『許可として私が舐めたら排泄をしても良しとする』
「くっ」
ぶるぶると、顔を振って思い出したエリノアの言葉を頭から吹き飛ばそうとした。
ふざけてる。そんなこと。あってはならない。しかし。
「……で、でない」
と。コンコン、とトイレの扉が叩かれた。この寮には、自分を含めて二人しかいないのだから、当然――
「……はい」
「諦めはついたかな?」
先輩がドア越しに語りかけてきた。即答する。
「嫌です」
「そのまま膀胱炎になってもしらんぞ」
「そのほうがマシです」
本気でそう思う。
―――
――
―
- 43 :
- 三十分後。
「いっつ……」
手で痛みの出所を押さえる。
(腹が痛い……)
エリノアの言った通りになりそうだった。
(我慢は限界のはずなのに……くそ)
普段なら、もう我慢しても意味がない限界を越えているはずなのに。
(出ないのか?本当に?舐めてもらうしか?)
この十日間、サイアンにかけられた服従術の絶対性については、嫌というほど教えられた。命令されたのなら、サイアンにできることは、必ずそうなるのだ。そう、排泄すらも。
(なんなんだよ、これぇ……)
脂汗とともに、若干涙が滲んできた。真っ暗な視界が、いっそう不安を煽る。心が弱くなる。
(いっそ、今回だけでも頼もうか……?)
果たして、今回だけになるかどうかは怪しかったが、それしか手がないような気がする。でも、
(いや、ダメだダメだ。こんなこと……)
理性は絶対にダメだと主張している。ありえない、と。まあ、ありえないだろう。
こんな理由で、そんなことを女性にしてもらうなど。でも、
(でも、これも実験なんだから……)
言い訳を模索している自分がいる。どうしようもないと、諦めている自分がいる。
(先輩なら誰かに話すなんて……)
でも、
- 44 :
- 『また先輩の手伝い?』
『そうなんだ。今度はどんなひどい目に合うかと思うと、気が重いよ……』
『それにしては、いつも断らないよね』
『そうかな』
『うん。まあ、先輩美人だもんね』
『ちょっと待って。それはまったく関係ないよ』
『だいたい、いくら美人でも、あの人はその、なんていうか、変人すぎて僕には……』
『そもそも僕が彼女の手伝いをするのは、僕自身の勉強になるからさ』
『たしかに、ひどい目にも合うけど、間近で先輩の魔術を見れるんだ』
『学園一、いや、学園始まって以来の天才と呼ばれる、先輩のね』
『それだけでも、少々ひどい目に合うだけの価値はある』
『ふうん、さすが我らが学年の年
間首席様。研究熱心ね』
『もうやめてよ。そろそろ行かないと、僕は先輩になにされるかわからないし』
『まあ、いいわ。終わったら私の提出用の研究も手伝ってよね』
『ああ、もちろん』
- 45 :
- 「……」
つい、十日前のことだった。十日前は、こんなことになるなんて思っていなかった。いや、半日前の時点でも思っていなかったのに。
(くそ、どうしたら出るんだ……?)
「君」
その声は、急に聞こえた。足音も何もせず、声だけが急に。
エリノアは、ずっとトイレの前にいたのかもしれない、とぞっとする。得体の知れない恐怖を感じる。
「……なんですか」
「君に次の命令を与える」
エリノアは、淡々と告げてきた。それも怖かった。どういうつもりなんだろう。
彼女が何を考えているのか、全くわからない。こんな素振り、今まで見せたこともなかったのに。
「君は、私の問いかけには、一切の嘘偽りなく、必ず答えを言わなければならない。」
「……」
とにかく、その命令の意味を考える。今、彼女が、その命令をしてきた意味を。考えて。
(や、やばい……)
ああ、きっと、彼女はこう問いかけるのだろう。予想は当たった。
「では、問おう。君は今、何がしたい」
- 46 :
- 「う……あ……お、おしっこを……したい……です」
答えない、という答は当然できなかった。命令は絶対である。
(くそっくそっ)
「そうか。では、それはこのままでもできるのかな」
「できま……せん……」
「どうしたらできるんだったかな」
平時のように、エリノアの言葉には淀みがなかった。次々と問答が進み、そして追い詰められていく。
「……せ、先輩に」
やめてくれ。心の中で叫ぶ。目頭が熱くなってきた。
「先輩に……ち、ちん、ちんを……舐めて……もらわないと……できません」
「そうか。では、最後の質問だ」
(き、聞いちゃダメだ。そうだ、耳を塞げば――)
そういえば、まだ、実際に物理的な障害で耳が聞こえない場合の実験はしていなかった。もしかしたら、と思った矢先。
「そのまえに、命令の追加だ」
耳を塞ぐ間もなかった。
「私が、君に向かって言葉を発している時に、君は耳を背けてはならない」
- 47 :
- 「うわ」
ああ。ああ。
(この人は……)
「君は」
わざとだろう。
「小用をしたいかい?」
ゆっくりと。区切りながら、言ってくる。
「私に、君の性器を舐めさせてでも」
最後の質問を。
「し……た……い……です」
言ってしまった。
(くうううう……)
答えてしまった。
「そうか。いいだろう。私も構わない」
構わない、じゃない。自分が構う。でも、逆らえない。
「ならば、ここの扉を開けてくれ」
ぷるぷると、震えながら、ドアノブを掴もうとする手を、なんとか押し止めた。
(まだ……まだ間に合う)
言い聞かす。ほとんど、心が折れそうな自分に。
(今のは、質問に答えさせられただけだ……)
もう一度、奮い立つように。
(ここを開けなければ……)
でも、
- 48 :
- 『いつまで?』
体が震えた。
『いつまで開けない?いつまで出ない?』
疑問が心の奥底からどんどん湧いてくる。
『小便が出るまで?それはいつだ?』
悪魔のような、ほの暗い声で。
『魔術が解けるまで?それはいつだ?』
悪魔の問いかけに、答えてはならない。前に、町に遊びに出掛けた時のことを思い出す。行き交う人に向かって、こう叫んでいた人がいた。
神の子の教えだと言っていた。聞いた当時は気にもとめなかった。魔術師は神を信じていない。しかし、今なら分かる。悪魔の問いかけに耳を貸してはならない。
それは、人がもっとも気づきたくない核心をつくのだ。
(は、半年……後?)
最初から、心のどこかで、分かっていたことだった。命令が絶対遵守なら、魔術が尽きるまで待つしかない。しかし、それが、いつになるかなんて全くわからない。明日かもしれないし、半年後かもしれない。もしかしたら、もっと――
(……無理だ。絶対……そんなの……)
- 49 :
- もう、涙は、流れるほど出てきていた。それでもまだ、諦めきれずに、サイアンは言った。
「せ、ぜんぱい……ううっ」
「どうした?早く開けてくれ」
「ず、ずいまぜん……や、やめたい、です」
最後の手段である。
「お、お願いします……実験、の中止……を……魔術を、魔術を解いてください……」
心からの懇願。手はこれで最後。これがダメなら、
「嫌だ」
「うううう」
「答えたまえ」
「君には二択しかない」
「そこに閉じ籠り続けるか、この扉を開けるか」
「小用をしたいのか、したくないのか」
「さあ」
「うううう」
『無理。無理。無理。無理、無理、無理、無理、無理無理無理無理無理無理ムリムリムリムリムリむりむりむりむ』
サイアンは扉を開けた。
- 50 :
- 「何か、言うことはないのかな?」
「あ……あ……お、おねがい……します。お、おしっこが……し、したい……です」
「それで?」
「したい……ので、ち、ちんちんを……なめ……て、くだ……さい」
「よかろう」
「おや、まだ脱いでなかったのか」
一応、扉を開ける前に、ズボンは履き直した。しかし、
「脱がせてやろうか?」
「だ、大丈夫です、自分で脱ぎます」
脱がなければ当然これからすることはできない。
(うう、おなかいたい……)
ここまで小便を我慢したことはなかった。本当に膀胱炎になるかもしれない。早く出したい。
「……」
そんなサイアンを、じっと見つめるエリノアの視線が、目の見えないサイアンを突き刺した。
(うう、み、見られてる……?)
手が止まる。恥ずかしい。
「どうした。手が止まっているぞ?あと一枚あるだろ」
「は、はい」
もはや心は完全に屈服していた。急かされるまま。文句の一つも今は言えそうにない。
- 51 :
- (ええい、もう)
覚悟を決めて、下着も下ろして、便座に座った。
「……お、おねがい、します」
「ふーん」
再び、視線が肌を這い回るのを感じる。
(なんなんだこれ、ほんと……)
こんな体験、初めてだ。男として生まれ、性器を注視されたことなど、数えるほどしかない。しかも、相手が女性というのは、正真正銘初めてだった。
ただただ、今の状況のおかしさが際立っていた。
「よし、なめるか」
少し、ほっとする。舐めてもらえば、後は出して終わりだ。
これから半年も、こんなことが何度も繰り返されるのかもしれないが、兎に角今という時は終わるのだ。
「あ、その前に」
「な、なんですか?」
思い出すようにエリノアが発した言葉が、サイアンを再び緊張させた。嫌な予感がする。
「私が先程、排泄に関して君に命じた内容を覚えているかな?」
「え、えーっと……その」
「私は、君が小用をしたい場合、許可として私が君の性器を舐めたら排泄をしても良しとする、と言ったわけだが」
「……はい」
何度聞いても狂っている内容だ。エリノアはよく何度もそんなことを口に出せると思う。
「しても良し、つまり、しなくてもいい。すぐにしなくてもいいということだ」
「はあ」
- 52 :
- 腹の鈍痛が、頭の回転を鈍らせていた。つまるところ、彼女が何を言いたいのか、よく分からない。生返事をする。
「……もし、私が君の性器を舐め、顔をどけるまでに小便を出して場合」
声の調子から、先輩のあの、にやっとした笑みが脳裏を過った。きっと今、あの顔をしている。
「君に罰を与えるよ」
「そ、そんな!む、無理ですよ!」
「ほう。じゃあ君は私の
顔に君の小水をかけたいと?」
「そ、う、いうわけじゃあ……」
「じゃあ我慢しろよ。よし、舐めるぞ」
「ちょ、そんないきな――」
次の瞬間、体が固まった。
「あ」
舐められている。生暖かい舌が、サイアンの陰茎をくすぐった。
「あ、あっ」
その奥底から、むくむくと、湧いてこようとするものがあった。
「んん、ふふっ、皮を剥くぞ」
「うぁ……」
- 53 :
- サイアンは仮性包茎であった。皮を剥かれ、敏感な粘膜部分を舐められたことで、ペニスは完全に屹立した。そして、
「ふぁ、あ……」
尿意も限界だった。
(ああ……で――)
我慢して。我慢して我慢して我慢して、やっときた瞬間。もうすぐ出せる。だが、
「……」
ペニスを舐める感覚はまだ続いていた。
「せ、せんぱっ!で、で、でま、から!」
先輩がどかなければ。それまで我慢しなければ。出してしまったら。出したい。先輩にかかる。罰。
「そうか?じゃあ――」
サイアンの脳裏には、色々なものが駆け巡っていたが、先輩の声はのんきだった。
ペニスを舐める感触はなくなったものの、すぐ退くといった感じではない。そうこうしてるうちに。
(は、はや、あ――)
ついに出た。
(ああああ)
あんなに我慢していたのに、最初はちょろっとだけ。しかし、次第に勢いは強くなり……
(はぁあああ)
- 54 :
- サイアンは勃起させながら小便をしてしまった。ペニスを手で抑える暇なんて出なかった。ならば、当然――
「あ……あ……で、でちゃ……」
「出したな」
エリノアの声を聞いて、サイアンは大きく震えた。恐らく、結果は最悪だろう。
「よくも見事にかけたな。びしょ濡れだ」
怒気は感じない。それがまた怖かった。人に小便をかけられて、この人は怒っていない。むしろ、そうなるように仕向けたような……
「ち、ちがっ、だって、せ、先輩がっ」
「私は言ったはずだ。罰を与えると」
「で、でも!」
「いいわけ無用」
「そんな理不尽な!」
すっきりして、情けない姿を見られた記憶はあるが、言い返せるほどには心は回復していた。むしろ、こんなことになったのは、エリノアのせいだと、はっきりそう言えると思った矢先、
「そんなことより、君への罰だが」
「ひっ」
その一言で、意気地はすぐ折れた。
「や、やめ」
「そうだな。君の行動を制限しよう」
またも、声の調子から、彼女はまた笑っているのだろうと感じた。それは最早、彼に恐怖を感じさせていた。
「君は、私に手を引いてもらわねば、二足歩行ができなくなる」
- 55 :
- 背筋が凍った。なんだって?
「さらに、立つことも掴まり立ちをしなければできない」
さらに、今は寒い季節でもないというのに、体が震えだした。
(先輩と手を繋がなければ、目も見えず、歩くことも立つこともできない……?)
カチカチと、恐怖によって震えたため、歯の根が合わずに音が鳴る。
(排泄は、先輩に舐めてもらって……そんな状況が、半年も……?)
「ふふ、どうかな」
(僕は、どうなっちゃうんだ……?)
震えるほどそれが恐ろしいのに、先ほどの小用で感じた我慢することの昂りと、解放の快感を自分がまた期待していることに、サイアンはまだ気づいていなかった。
つづく
- 56 :
- 今回はここまでです
もし、この作品でやって欲しいネタがあったら言ってくださると助かります
えっと、あと、強制臭いフェチのほうを待っている方も
いらっしゃるみたいですが、申し訳無いですが、
そちらはもう少し待ってください
- 57 :
- 圧倒的GJ
- 58 :
- GJ
やはり休日は2chにかぎる
- 59 :
- >>56
滅茶苦茶GJ!!
自慰はご主人様にお世話させるのが当たり前と命令して誤認させる
終わったら解いて辱め
が希望
- 60 :
- それなりの量は書けておりますが、非常に(2レス分ぐらい)脱線しております
この脱線部分どうしようかな、カットすべきかと思案中
また設定変更・・・視聴覚準備室には窓がなくなりました(防音のため)
あと前回のラストのセリフ修正したところから再開します
- 61 :
- 「その顔が催促してるって・・・だ、ダメ、依槻くん見てると、虐めてると・・・自分が止まらなくなっちゃいそう」
突然ボクの視界が塞がれた。
それが早希ちゃんの右手だと解ったのは一瞬置いてだった。
「ほら、頭の中が気持ちよくなって、また深く・・・深く・・・眠る、眠って」
気持ちよさに頭の中を溶かされながら、またけだるい気持ちの良い世界に入っていった。
早希ちゃんの声が遠ざかっていく・・・遠くから聞こえる・・・気持ちいい・・・。
「ふう、いけないいけない・・・。
ほら、依槻くん、この頭ぐるぐる回されるの気持ちいいでしょう?頭の中もぐるぐるしちゃうでしょ?
ぐるぐるぐるぐる・・・もっと深く気持ちよくなっちゃうでしょう?
もう私の声しか聞こえなくなっちゃうね」
前後からボクの頭を両手で挟んで、ぐるぐる回しながら早希ちゃんが何か言ってるんだけど、もう何言われてるかよくわからなくなっちゃったよ。
気持ちいいな、気持ちいいだけだよ・・・。
「あーあ、ヨダレ垂らしちゃって・・・もう何にも解んないね。
じゃあ依槻くん、よくきいてね・・・これから依槻くんは時間を飛び越えて自分の部屋に帰ります。
自分の部屋に帰ってベッドに腰をかけています。
そうするとあたしに色んな気持ちのいい事をされた記憶がよみがえり、ムラムラしてオナニーをしたくなります。
オナニーをしてしまいます」
頭をぐるぐるされ続けて、すごく気持ちいい・・・早希ちゃん声が頭を素通りして心に入ってくる感じ。
すごい幸せぇ。
「あたしの事は気になりません、先生も真守くんも気になりません。
だってここは依槻くんの部屋、ココにみんなが居るはずないから・・・だから気になりません。
でもね・・・」
ぐるぐる・・・ぐるぐる・・・。
「あたしが『依槻くん何してるの?』って言うと、ココが視聴覚準備しt・・・学校だって気が付いちゃうよ。
でもね、一旦始めたオナニーは止めることができないから・・・射精するまで依槻くんはオナニーを続けてしまいます。
頭をぐるぐるされるのが止まったら、あたしが今言った通りになるよ。
ほら、いくよ」
ぐるぐるが収まって不意に気がついたんだっけ、ココは・・・ボクの部屋だよね。
んー、何をしてたんだっけ?
そんな事考えようとしたら、不意に早希ちゃんの顔が浮かんできた。
すごかったぁ、気持よかったなぁ・・・なんでボクはあんな事・・・違う、そうじゃない。
あんな、気持ちのいい事初めてだった。
うわっ、思い出してきちゃったよ・・・すごいドキドキしてきた。
「あっ・・・」
うわ、何おちんちん触ってるんだボクは?・・・あれなんで裸なんだろ。
「うっ・・・なに、これ」
なんだろうそんな事どうでもいい。
気持ちいい、自分で触ってこんなに気持ちいいの初めて!
だめだ、手が止まらない・・・気持ちいい。
「はぁ・・・はぁ・・・」
気持ちいい、気持ちいいけど足りない。
あんな気持ちのいいことされた後じゃ、こんなの全然足りないよぉ・・・。
でも止められない・・・もっと、もっと欲しい。
もっと気持ちよくなりたい
「うっうっうっ・・・」
「依槻くん何してるの?」
- 62 :
- 「うわっ!早希ちゃん!
えっここは?あれ?学校?!」
「えへへへへぇ・・・どーしたの依槻くん。
気持ちよさそうにオナニーなんてしちゃってぇ」
「そんな!これは・・・その・・・あれ?止まらない?!」
慌てて止めようとしたのに手が止まらない?!しかも学校で裸になってるし・・・早希ちゃんに見られてるよぉ
「依槻くん・・・見られてそんなに気持ちいいんだ?
そう、見られてどんどん気持ちよくなっていくよ・・・あたしに見られれば、見られるほど、恥ずかしければ恥ずかしいほど、気持ちよくなっちゃう」
早希ちゃん何を言って・・・。
「ひっ、ひぎっ!・・・なに?」
気持ちいい!何これ?!
早希ちゃんに見られるほどに、早希ちゃんの視線を感じるほどに気持ちよくなっていく。
「どお?気持ちいい?気持ちいいよね?
あたしに見られて気持ちいいよね?
見られながらオナニー気持ちいいよね?」
「い、言わないでぇ」
「あーあ、おちんちん。
ものすごいビンビンだね」
早希ちゃんがボクのおちんちんに顔を近づける。
「あうぁ・・・いっいっいっ・・・」
「あはぁ、気持ちよさそう。
ものすごいおちんちんビクビクしてるね、手もスゴイ激しく動いてるし・・・でもね」
ボクのおちんちんに顔を近づけた早希ちゃんは、まるでソレに向かって話しかけるように・・・あ、息が、かかるよぉ。
「アナタはあたしの許可が無いと射精はできませーん。
どんなに激しく擦っても、どんなにあたしに見つめられても、どんどん気持ちよくなっていくけど、射精することはできないのです。
あたしがいいと言うまでね、依槻くんのおちんちんは射精することできないの」
今度は顔のそばに!
こっちにも息がかかっちゃいそう。
「ほら、言ってみて・・・あたしがいいって言うまで、依槻くんはどうなっちゃの?」
「い、逝けません!?」
「よくできました。
そう、射精はできません。
でもね、あたしに見られるたびに、おちんちん擦るたびに、どんどん気持ちよくはなっていくよ。
嬉しいでしょう?」
「うっはうっはうっあっあっあっあっあっあーっ」
「もう聞こえてないかな?
でもね、依槻くんはどんな時でもあたしの言うこと受け入れられるから、頭で聞いていなくても、ちゃーんと心には届いてるよ」
気持ちいい・・・どんどん気持ちよくなる、それが切なくて狂おしくて、声を出さずには居られない。
どんどん上り詰めていくけど、どうしてもその先に辿り着くことができないし、止めることもできない。
身体は勝手に動いて気持ちよくなっていくよ。
頭の中がチカチカして、身体はガクガクして、だんだん気持ちいいのか苦しいのか解らなくなってきちゃった。
体と心が離れていくような感じ?
身体はものすごく感じて苦しいほどなのに、心は静かに落ち着いて早希ちゃんの声を聞いているような・・・。
「依槻くんがね、この気持ちいい事を受け入れたら、いまの気持ちのいい事を受け入れたら。
自然に行く事ができるようになるよ」
ヨダレを飛ばしながら、叫び続ける状態のボクの首に手を回すと、早希ちゃんはボクの頭を抱きしめ、耳元に口を近づけ優しく言った。
「あたしと一緒に気持ちよくなろうよぉ」
- 63 :
- それはボクを誘導するというよりは、自分自身が快感に耐えようとボクの頭にしがみ付いてるみたいだった。
ボク自身余裕がない筈なのに、なぜだかそう感じたんだ。
早希ちゃんがボクの頭にしがみ付く力が強くなる。
「はあぁ・・・」
吐息が耳に当たる。
脳裏に目を潤ませ快感に耐える早希ちゃんの顔が浮かぶ・・・もちろん早希ちゃんのそんな姿は見たことはないけど、ボクの脳裏にはハッキリとその姿が浮かんだ。
そんな早希ちゃんがボクにしがみついている。
ボクの快感を煽って一緒に上り詰めようとしてる。
そんな思い込みが勝手にボクの中にできて行って、ボクの中で膨らんで行って、ボクの快感を押し上げていく。
押し上げた。
「うわっ、うわあぁぁぁぁあぁぁ」
とびっきり情け無い矯正を上げながら、ボクは盛大に射精した。
「あは、あははあは・・・いっぱい出たね」
早希ちゃんの声、震えてるみたい?
「もうちょっと遅かったら、あたしも危なかったかも・・・すーっ、はーっ・・・よし。
オナニー気持ちよかったね?でも疲れちゃったよね?疲れて眠くなっちゃったかな?
いいよ、眠ってしまおうね。
ほら、すーっと深く入っていく」
頭に感じる圧迫感が気持ちよくて、また言われるままに世界が遠くなっていく・・・。
早希ちゃんはボクの頭を抱きかかえたまま、ボクの耳元へささやき続ける。
耳をくすぐる早希ちゃんの息がとっても心地よくて、またボクは彼女の言われるままに深い世界へ帰っていく。
ああ・・・気持ちいいな、身体が、頭が、心が、気持ちいい。
もう何もわからないけど、早希ちゃんの言う事なら何でも聞いてあげたい。
早希ちゃんの言う事ならなんでも聞いてしまう・
そんな気持ち。
そんな、幸せな気持ち。
「落ち着いた?落ち着いてるよね?
あたしはもうちょっと・・・だからもうちょっと、もうちょっとだけこのままでいさせて。
その間はお預けって事で、こうやってあたしに頭を抑えられてると、依槻くんはやっぱりどんどん深いところへ入っていくよ。
きっともう何も解らなくなるぐらい、深いところへ」
あれからどのくらい時間たったかな?
時間の感覚がまったくわからないや。
早希ちゃんの言葉が聞こえてこないと、時間が動いてる気がしないし。
たぶんその間はボクの時間は止まってるんだと思う。
だって早希ちゃんの声が聞こえないんじゃ動いてる意味ないしね。
今ボクの耳元ではスースーとかわいい寝息が聞こえている。
今のボクには早希ちゃんのそんな寝息すら子守唄のように、どんどん気持ちのいい世界へ沈んでいく。
違う時間、違う世界、違う自分。
そんなイメージがぐるぐる回って、自分が前と違う、今と違うナニカに変わっていくような。
変えて行かれるような感覚。
そんな感覚を、幸せな感覚を楽しんでいる時、ガラガラと部屋の扉が開いた音が聞こえた。
- 64 :
- ちょっと間を開けます
- 65 :
- とりあえずズボンおろした
- 66 :
- 今日は寒いぞ風邪ひくぞ
- 67 :
- >>60
ヒャッハーGJだぜえ!!
その脱線部分は大まかな内容書いてテキストをうpしたらどうですか?
- 68 :
- 再開しま
早希ちゃんのめんどくささと、依槻くんのへたれっぷりが物凄くなってる
>>67
2レス分ぐらいなんで読み飛ばしてください
申し訳ない
- 69 :
- 「あら、早希ちゃん?」
あ、なんだ先生か・・・部屋から出て行ったの気づかなかった。
真守くんもいっしょかな?
気持ちよさで全部溶けちゃったと思ってたボクの心の一部がまだ起きていて、そんな事を考えてた。
さっき先生に気持ちよくされた時もそうだったけど、心の一部は起きていて、回りの状況見たり聞いたりしてるんだね。
それって不思議だよね。
「クスッ・・・眠っちゃったのね。
よっぽど緊張したのかなー?
それとも依槻くん苛めてるうちに自分も気持ちよくなっちゃった?」
先生はボクらに近づいてくると、優しく早希ちゃんの両腕をボクの頭から外した。
「いい、依槻くん、先生がこれから1から10まで数を数えるわ。
そうすると依槻くんはカウントに合わせてゆっくりと浮かび上がってきて、普段の依槻くんへ・・・普段の夜崎依槻くんに戻ります。
でも目が覚めてしばらくはとっても気だるくて、動いたり大きな声を出したりする気は起きません。
そう、この気持ちよさの余韻を吹き飛ばすような事は絶対にしたくない。
必ずそうなります。
だって依槻くん、気持ちいいの好きでしょ?
だったら絶対、そう思います。
そうします。
・・・では数を数えていきますね。
ひとつ、ふたつ、みっつ、四つ、五つ、六、七、8、9、10!
はい!目が開く・・・スッキリと目が覚める」
その瞬間、先生の声が強い風になって、頭の中の真っ白い霧を吹き飛ばしたんだ。
あれ?これもこれで気持ちいい?
「おはよう、依槻くん」
「せ、先生?」
「体験入部はどうだったかしら?」
「体験入部・・・です?」
「そう、体験入部・・・先生ね依槻くんをこの部にスカウトしたかったの、だからね、ちょっと強引にだけど体験入部してもらっちゃった。
もちろんこれは体験だから・・・依槻くんがこの活動が嫌なら無理意地はしないわ。
どう?入部してみない?」
「入部って・・・何をする部活なんです?」
「うふふ・・・それはね、今まで依槻くんがされた気持ちいい事をしたりされたりする部活よ。
早希ちゃんに気持ちのいいことされたでしょ?」
「う・・・はい」
「そんな事をお互いしあう部活よ。
・・・うん、返事は直ぐじゃなくていいわ。
部活は必ず放課後、やってるときはこの視聴覚準備室でやってるから、入部したくなったら尋ねていらっしゃい。
きょうはもう遅いから、早く支度して帰りなさい。
替えのパンツここに用意したから急いでね。
先生は後片付けして早希ちゃん送って帰るから」
顔を上げると先生の後ろで三杉くんが掃除をしていた。
「あ、ボクも手伝うよ」
「いいから、先生の言うとおり早く支度して帰れよ
後片付けも部活のうちだけど、依槻はまだ体験入部だからな、体験入部に掃除手伝わせるわけに行かない。
だいたい今日部活で遅くなるって家に言ってきてないだろ?
オレは家に言ってきてるからな」
1人だけ部外者で居心地悪い・・・そんな空気の中ボクは急いで下着を服を着込むと、準備室のドアに手をかけた。
そっと振り返るとソファーの上で久我山さんが身体を丸めて眠ってる。
彼女の姿がものすごく後ろ髪を引っ張ったけど、とりあえず今日は帰宅するしかなかった。
準備室を出た後も、校舎を出た後も、何度も何度も振り返りながら家に帰った。
母さんには素直に「部活の体験入部してて遅くなった」って言ったよ。
何の部活かと追求されそうだったけど、天海先生が顧問だと言ってごまかした。
うん、嘘じゃないけど、それでごまかされる母さんも母さんだと思ったよ。
- 70 :
- 翌日はすごく学校行きたくなかった。
なんというか、答えを言うのが嫌だったんだ。
入部が嫌だとかそういうのは無いんだけど、決断するのが、覚悟を決める勇気が出てこなかった。
母さんは部活の話とかあんなに鈍かったのに、ボクの仮病はあっという間に見抜いて、蹴り出すように送り出された。
ああ、うん、久我山さんに会ったときどうしよう・・・。
「おはよう依槻くん・・・」
うわっ・・・こんな時ばかりいきなり。
「お、おはよう」
久我山さんはなにかうれしそうな、機嫌よさそうなそんなアトモスフィア。
「そんなにビクビクしないで・・・何もしないわよ。
ああいうのは部活のときだけ、そういうルールだから」
ボクはこんなに緊張してビクビクしてるのに、彼女はなんでこんなに嬉しそうなんだろう?
「それより、決まった?」
「決まったって・・・部活のこと」
「当たり前じゃない、他に何があるの?」
こんなににこやかな久我山さんは見たことない。
女子って何考えてるか解らなくてちょっと不気味かも。
「もうちょっと考えさせてよ・・・まだ混乱してて・・・
久我山さんが体験入部したときは迷わなかったの?」
「!・・・そう、それが答えなのね・・・」
「え?」
彼女は突然不機嫌になると、ボクに顔を背けて行ってしまった。
ボク何かまずいこと言ったのかな?
日中は久我山さんも三杉くんも先生も、まるで普段通りで、僕一人なにか居心地の悪い気分を味わった。
もちろん平然を装ってはいいたけど、たぶん三人からはモロバレだったんじゃないかな?
結局居たたまれなさも手伝って、ボクは放課後になったらそそくさと帰宅してしまったんだ。
決して嫌ではない、むしろあの気持ちよさをもう一度と思ってはいたけど、自分から進んで一歩を踏み出す勇気は無かった。
我ながらヘタレだとは思うけど、昨日の体験は衝撃的すぎたんだよ。
家に帰っても何もやる気が起きず宿題のプリントも放置したまま、ベットにひっくり返っていた。
母さんには「昨日の体験入部とかどうなったの?」とか聞かれたけど、生返事。
昨日のことを思い返しちゃうと、まだ身体が熱くなるきがする。
久我山さんの顔を、声を思い出すとなんか切なくてもじもじして、ベッドを転げまわるハメになっちゃったよ。
明日どうしようかな・・・勇気を出して視聴覚準備室にいってみようか?
・・・勇気、出せるかな?
あー、ダメだ・・・思えば思うほど身体が熱くなって、ムラムラしてくるや。
昨日、乳首つねられた時はムチャムチャ気持ち良かったな・・・。
(ここで男のオナニー入れても顰蹙買うんでカットします)
次の日もボクは結局勇気を出せないでいた。
先生も、三杉くんも、久我山さんも、ボクが自ら動かなければ相手する気無いのか、ボクを勧誘してくるようなことはしなかったし。
正直誘って欲しかったけど、たぶん自分で選ばなければ入部資格がないとかなんだろうな。
このまま時間が過ぎたら、きっと強烈なあの体験も薄らいで・・・日常生活に戻っちゃうのかな?
寂しいような、ほっとするような・・・。
今日は・・・放課後家に帰る勇気まで無くしちゃった・・・。
自分からあそこに行くことも出来ないけど、このまま思い出に埋もれさせるのも怖いよ。
家に帰っちゃったら、きっと・・・もう、終わっちゃうんだ。
嫌だけど・・・嫌なんだけど・・・。
日が暮れた真っ暗な教室で一人いじけていると、いじけることしかできないでいるとね、教室の戸がガラガラと開いたんだ。
- 71 :
- 「バカじゃないの・・・?」
久我山さん・・・。
「なんであなた一人でこんな時間まで残ってるの?」
「だって・・・」
「だってじゃないわよ!」
久我山さん、なんでこんなに怒ってるんだろう?
「あなた入る気ないんでしょう?だからあたしをまた苗字で呼ぶようになったし、部室にもこないんでしょ?
なのになんでこんな時間に教室で、捨てられた子犬みたいな顔しているわけ?」
逆光で見えない久我山さんの顔、彼女の方からはボクの顔が見えるんだね。
きっと今の気持ちとおんなじの、情けない顔してるんだろうなぁ・・・。
「なのになんであたしが泣きそうなの?!」
え?!
久我山さんはつかつかと教室内のボクに詰め寄ってきて、ボクの頭を両側から掴んだんだ。
「え?ええっ?」
「放課後クラブの時間」
あれ?この言葉って・・・。
すーっと現実が遠ざかるような感覚が、あの気持のいい感覚が足元から頭まで登ってきて、身体から力が抜けてきちゃう・・・。
目の前の早希ちゃんの顔が遠いような、近いような・・・気持ちのいい感覚。
気持ちのいい状態。
「夜崎くん・・・依槻くんはいったいどうしたいの?
部活に入りたいの?入りたくないの?
あたしと距離置きたいの?どうしたいの?!」
ボクの頭を掴んで、顔が向き合ってる早希ちゃんは確かに泣きそうな顔をしていた。
「ほら・・・依槻くんはまたこの前みたいに深いところへ落ちていくよ」
早希ちゃんの手がゆっくりボクの頭を回し出す。
ぐるぐるぐるぐる・・・。
「頭が回れば回るほど、揺れれば揺れるほど気持ちよくなっちゃって、ふわふわ入っていく。
どんどん深くなっていく・・・」
ああ・・・気持ちいい・・・こんな時だけど、いやこんな時だからこそ、気持ちの良い世界に逃げこんじゃう。
何も考えなくていい世界、何も悩まなくて良い世界に行きたい、行かせて。
「ほらァ、依槻くんは気持ちいいだけの世界に入って行っちゃうよ・・・。
本当はね、今日の部活はもう終わってるから、コレはルール違反なんだけどね。
ちょっとだけ」
なんだろう?女子のこんな顔初めて見る。
「依槻くんはね、あたしの言うことに何でも正直に答えちゃうよ。
嘘は付けない、つきたくない、答えを黙っていることもできない。
でもね、答えをちゃんと言うたびにすごい嬉しくなって、気持ちよくなっちゃいます。
必ずそうなるからね」
早希ちゃんは一呼吸おいて続けた。
「依槻くん、部活に入りたくないの?」
「・・・そんな事無い・・・」
あ、胸の奥がちょっとあったかくなった感じ。
「じゃあなんで部室に来ないの?」
「なんとなく・・・自分から、入っていく勇気持てなくて・・・」
「あきれた・・・。
じゃあ、なんであたしを苗字で呼ぶのに戻したの?」
「だって・・・部活以外では普通にって・・・」
あ、なんだろな早希ちゃんの顔がすごい穏やかに・・・綺麗だ・・・。
「ホント、あきれて物が言えないわ!」
- 72 :
- 「思ってた以上のヘタレね。
これは気合入れて調教してあげないといけないわね」
何か嬉しそうだけど?
「いい、依槻くん、思い出して・・・あたしの右手はなんだったっけ?」
「・・・魔法の?手?」
「そう、その魔法の手に触られるとどうなるんだっけ?」
「すごく気持ちよくなる?・・・あっ」
自分で言ったそばから、右手が触れてる左耳とほっぺたからゾクゾクと気持ちよさが広がってきたんだ。
「そう、でも今日は特別で、あたしの左手も魔法の手になるの、依槻くんは右でも左でも気持ちよくなっていいよ」
そう言われた途端、左右から響きあうみたいにゾクゾクした快感が広がってきた。
これすごい、きもちいい・・・一昨日のこと思い出しちゃうよぉ。
「じゃあ依槻くん、明日はちゃんと部室に来るわよね?」
「わかんないよ・・・ひっ」
早希ちゃんの両手が両耳をつねりあげる。
でもこれ気持ちいい・・・痛みよりも気持ちよさが圧倒的に勝ってるよ。
「明日の放課後、ちゃんと部室に来る・わ・よ・ね?」
「そ、そんな事言われても・・・あっはぁぁ・・・」
両耳が親指で愛撫される・・・。
こすったり、中に入れたり出したり・・・なにこれ凄い。
「すごい表情しちゃって・・・女の子よりも感じちゃってるんじゃない?
ホント依槻くんは変態ね・・・こんな変態はちゃんと誰かが調教してあげなくちゃいけないと思わない?」
その言葉と同時に、彼女の細い親指がぎゅ〜っと耳の奥に押し込まれた。
だめ、これ感じちゃうよ!
「お、思いまぁっすううぅぅぅ」
「じゃあ明日部室に来ないとね?」
「こ、これずるいよぉ!」
「大声出さないの」
早希ちゃんはそう言いながら両手でボクの耳をガシっと掴んで、手全体で愛撫し始めた。
ああ、もう溶けそう、気持ちいい。
気持よくて溶けちゃいそう・・・理性も意地もそんな事全部。
「い、行きます・・・必ずいきますぅ」
「よろしい」
早希ちゃんの手が離れ、ボクは、ボクの身体は、未練がましくしばらくそこにとどまった後、床に崩れ落ちた。
「明日は部活でもっと気持ちのいいことしてあげる。
もっと気持ちよく調教してあげるわ・・・。
だから今日は、二人とも早く帰りましょう。
玄関閉められちゃうわよ」
早希ちゃんはへたり込んだボクに手を差し伸べようとして・・・。
「そうだ、依槻くん、あなたはこれからあたしが手を叩くと催眠からとけます。
もうあたしの両手は気持ちよくないけど、気持ちいいことは明日たっぷりしてあげるから、催眠から醒めましょう。
手を叩いた後も、一歩あるくごとに頭もすっきりしていって、身体にも力が戻っていきます。
いくわよ」
パァンッ
その手を叩く音と同時にボクは跳ね起きた。
なんとなくそうしなきゃいけない気がしたし、急いで帰らないといけないって理解していたしね。
- 73 :
- 書き溜め分終わりました
やべぇ・・・依槻書いててイライラするぐらいのヘタレだ
これはリアルなら虐められるだろう
また来週?
- 74 :
- 新作キタコレ
ヤンデレものですかぁ…
>>73
以外とこういう奴って人との距離間知らないだけって場合が多い印象。
高校の時にヘタレな同級生に声をかけて友達になったらしばらくして番長に取り入って裏切りやがったw
- 75 :
- >>73
GJGJ
ヘタレな主人公がどんどん堕とされていくのが楽しみです!!
- 76 :
- たぶん、先生のターンになれば溜飲下がると思うけど・・・もうちょっと早希ちゃんのターン続きます
意識して微妙に誘導下手にしてるのがまた書いててストレス
- 77 :
- 鼻血出るほど超GJ!!!
次回も楽しみにしています。
- 78 :
- ちょっと今週末用事でPC向かえなそうなんで、ストック分吐き出して寝ますん
今週末は来れませんのであしからず
- 79 :
- 早希ちゃんと二人、急いでクツを履き替え、校門を出る。
すでに外は真っ暗だ。
帰り途中で別れる時、早希ちゃんの目は優しかった。
澄んだ星空を見上げ、考える。
早希ちゃんに背中を押され、命令してもらったらすっごく気持ちが楽になったよ。
我ながら自主性とか決断力とかなさ過ぎるけど、救われたなって思った。
人間としてはきっとボクはダメな部類に入るんだろう。
それは運動ができるとか、勉強ができるとか、ケンカが強いとはまた別のベクトル。
運動も勉強も普通、ケンカはからっきしな上にこんなに心が弱いボクの才能ってなんだろう?
早希ちゃんはボクに才能があるって言ったけど、それはどんな才能なのかな?
・・・まあウジウジ悩んでも仕方ないね、吹っ切れよう。
次の日の放課後、ボクはなんとか勇気を振り絞って視聴覚準備室に向かった。
下校や部活に向かう生徒の流れから外れて、特殊教室棟に向かう。
科学部さえかわしていけば、見つからないように視聴覚準備室に辿り着くことはカンタンだった。
30分ほど時間置いてから来ればカンタンだったって気がついたのは、たどり着いてからだったけどね。
もう誰か来てるかな?
幸いカギはかかっていなくて、ガラガラと扉は開いた。
中は真っ暗、窓がないからね。
まだ誰も来ていないんだなって思いながら電気のスイッチを探すんだけど、この部屋ってどこにスイッチあったっけ?
そんな事をやっていると、突然手を捕まれ暗がりに引きずり込まれたんだ。
「はい、すーっと堕ちる」
それが早希ちゃんの声だと判断する間もなく、耳元で囁かれた言葉は、驚いて空白になったボクの頭に滑りこんできた。
何回か味わった力の抜ける気持ちのいい感覚、立ちくらみの時みたいな意識が遠くに離れていく気持ちのいい感覚。
それがこんな瞬間に来ると・・・こんなに気持ちいいなんて!
「やっぱり依槻くんは才能あるよ」
遠くの耳元から早希ちゃんの声が聞こえる。
「こんな簡単に瞬間催眠が成功するなんて依槻くんぐらいだよね」
崩れ落ちたボクの上半身を抱きとめるような体勢で、早希ちゃんはボクの耳元に囁いた。
「こうやってあたしに抱かれながら囁かれていると、依槻くんはドンドン深いところに入っていくよ。
気持よくて気持よくて、もう何も考えられないほど深いところへ・・・」
早希ちゃんはゆっくりとボクを床に寝せると、頭を抱えるように膝枕に置いて、ボクを覗き込みながら言葉を続けたんだ。
「ほら、こうやってあたしに頭を預けてるとね、どんどん気持ちよくなるよ。
気持よくて気持よくて、何も考えられなくなっていって、あたしの言いなりになっちゃうよ?
ほぅら、右手、右手の力がドンドン抜けて気持ちよくなる。
気持ちよくなったらあたしの言いなりになっちゃうから、右手はもうあたしのいいなり。
次は左腕、左腕からもドンドン力が抜けていって気持ちよくなってくる。
そう、左腕気持ちいいね〜気持ちいいままあたしにの言いなりになります。
右脚からも、左足からも力が抜ける。
両足が気持ちよくなってあたしの言いなりになっていく。
気持ちいい言いなり。
お尻からも、腰からも、お腹からも力が抜ける・・・気持ちいい。
下半身まで完全にあたしの言いなりになっちゃった。
そして胸、胸と背中合わせて抜けるよ・・・力が抜けて気持ちいい。
気持ちのいい言いなり、胸の中にはね、依槻くんの心があるの。
胸が言いなりになったって事は、依槻くんの心があたしの言いなりになったって事だよ?
首から頭にかけても力が抜けちゃうよ?
気持ちよくなっちゃうよ?
いい?いいよね?
はい、依槻くんの頭は気持ちよくなって、あたしの言いなりになりまして。
頭の中まであたしの言いなりになることができました。
言いなりになれてうれしいねぇ?」
- 80 :
- 早希ちゃんと二人、急いでクツを履き替え、校門を出る。
すでに外は真っ暗だ。
帰り途中で別れる時、早希ちゃんの目は優しかった。
澄んだ星空を見上げ、考える。
早希ちゃんに背中を押され、命令してもらったらすっごく気持ちが楽になったよ。
我ながら自主性とか決断力とかなさ過ぎるけど、救われたなって思った。
人間としてはきっとボクはダメな部類に入るんだろう。
それは運動ができるとか、勉強ができるとか、ケンカが強いとはまた別のベクトル。
運動も勉強も普通、ケンカはからっきしな上にこんなに心が弱いボクの才能ってなんだろう?
早希ちゃんはボクに才能があるって言ったけど、それはどんな才能なのかな?
・・・まあウジウジ悩んでも仕方ないね、吹っ切れよう。
次の日の放課後、ボクはなんとか勇気を振り絞って視聴覚準備室に向かった。
下校や部活に向かう生徒の流れから外れて、特殊教室棟に向かう。
科学部さえかわしていけば、見つからないように視聴覚準備室に辿り着くことはカンタンだった。
30分ほど時間置いてから来ればカンタンだったって気がついたのは、たどり着いてからだったけどね。
もう誰か来てるかな?
幸いカギはかかっていなくて、ガラガラと扉は開いた。
中は真っ暗、窓がないからね。
まだ誰も来ていないんだなって思いながら電気のスイッチを探すんだけど、この部屋ってどこにスイッチあったっけ?
そんな事をやっていると、突然手を捕まれ暗がりに引きずり込まれたんだ。
「はい、すーっと堕ちる」
それが早希ちゃんの声だと判断する間もなく、耳元で囁かれた言葉は、驚いて空白になったボクの頭に滑りこんできた。
何回か味わった力の抜ける気持ちのいい感覚、立ちくらみの時みたいな意識が遠くに離れていく気持ちのいい感覚。
それがこんな瞬間に来ると・・・こんなに気持ちいいなんて!
「やっぱり依槻くんは才能あるよ」
遠くの耳元から早希ちゃんの声が聞こえる。
「こんな簡単に瞬間催眠が成功するなんて依槻くんぐらいだよね」
崩れ落ちたボクの上半身を抱きとめるような体勢で、早希ちゃんはボクの耳元に囁いた。
「こうやってあたしに抱かれながら囁かれていると、依槻くんはドンドン深いところに入っていくよ。
気持よくて気持よくて、もう何も考えられないほど深いところへ・・・」
早希ちゃんはゆっくりとボクを床に寝せると、頭を抱えるように膝枕に置いて、ボクを覗き込みながら言葉を続けたんだ。
「ほら、こうやってあたしに頭を預けてるとね、どんどん気持ちよくなるよ。
気持よくて気持よくて、何も考えられなくなっていって、あたしの言いなりになっちゃうよ?
ほぅら、右手、右手の力がドンドン抜けて気持ちよくなる。
気持ちよくなったらあたしの言いなりになっちゃうから、右手はもうあたしのいいなり。
次は左腕、左腕からもドンドン力が抜けていって気持ちよくなってくる。
そう、左腕気持ちいいね〜気持ちいいままあたしにの言いなりになります。
右脚からも、左足からも力が抜ける。
両足が気持ちよくなってあたしの言いなりになっていく。
気持ちいい言いなり。
お尻からも、腰からも、お腹からも力が抜ける・・・気持ちいい。
下半身まで完全にあたしの言いなりになっちゃった。
そして胸、胸と背中合わせて抜けるよ・・・力が抜けて気持ちいい。
気持ちのいい言いなり、胸の中にはね、依槻くんの心があるの。
胸が言いなりになったって事は、依槻くんの心があたしの言いなりになったって事だよ?
首から頭にかけても力が抜けちゃうよ?
気持ちよくなっちゃうよ?
いい?いいよね?
はい、依槻くんの頭は気持ちよくなって、あたしの言いなりになりまして。
頭の中まであたしの言いなりになることができました。
言いなりになれてうれしいねぇ?」
- 81 :
- 流れるようにほとんど途切れない囁きが、ボクから完全に自由意志を奪っていったよ。
もうボクに出来ることは、息をすることと、早希ちゃんの言葉を待つことだけになっていたんだ。
でもそれが気絶しそうなほど気持ちよくて・・・ボクは何か考えるたびに弱気になって不安になるから、何も考えない事がものすごい幸せで、早希ちゃんのいうがままに言いなりになっていった。
だって気持ちいいんだもん、心が安らぐんだもん。
仕方ないね。
「依槻くんはあたしの言いなりに慣れてうれしいねぇ?幸せだねぇ?」
うん、すごい嬉しい、幸せ。
「もっと幸せになりたい?もっと気持ちよくなりたい?」
うん、なりたい。
「じゃあ口に出してみよう・・・『もっと気持ちよくなりたいです』・・・って」
「もっと・・・気持よく、なりたいで・・・す・・・」
「次は『ご主人様もっと幸せにしてください』って」
「ご主人さ、ま・・・もっと・・・しあわせにして、くださ・・・い・・・」
「よく言えたね〜いい子いい子、じゃあご主人様がもっと幸せにしてあげるよ〜。
いい?これから依槻くんはもっと幸せになるために・・・犬になります。
犬になるのは幸せ、犬になって何も考えずにご主人様に甘えたり、命令を聞いたりするのはとてもとても幸せなことなの」
犬は・・・幸せ?
ああ、たしかに犬って幸せそうだもんね。
「だから依槻くんはこれから犬になるの。
幸せな犬になるの・・・ほら、思い浮かべて、犬ってどんなだったっけ?
思い浮かべた犬のカタチ、そしてココロがズ〜ンと依槻くんの中に染みこんでいくよ」
犬・・・カタチ・・・ココロ・・・。
「犬って四つん這いだよね?
ほら体を起こして四つん這いになってみて・・・依槻くんの身体はあたしの言いなりだから、あたしがいえば自然に身体を動かすことができるから」
そうだね、犬は四つん這いだよね・・・こう、かな?
「はぁい、そうそう、そんな感じ。
次は・・・普通犬って裸だよね?
犬が服を着ているのはおかしいよね?
解ったら服を全部脱ぎましょう!」
そうだね、犬は裸だよね・・・こんな服着てるのは変だよね。
「はぁい、そうそう、依槻くんは偉いね、素直だね。
そしてね、犬はワンッて鳴くんだよ、鳴いてみて」
「ワンッ」
「イイコイイコ・・・依槻くんはね、ワンって鳴くたびにドンドン犬になっていくんだよ。
幸せだよね?うれしいよね?
そしてねぇ、犬になった依槻くんの御主人様はあたし。
依槻くんはあたしの飼い犬・・・わかったらまた鳴いて」
「ワンッ」
「もう一回」
「ワンッ」
「鳴けば鳴くほど犬になるよ・・・もう一回」
「ワンッ」
「もう一回♪」
「ワンッ」
「どんどん鳴いていいよ、犬になっていくのは幸せだよね?」
「ワンッ、ワンッ、ワンッワンッ、ワンッワンッワンッ」
「ほ〜ら、よしよし、イイコイイコ」
「ハッハッハッ」
「依槻くんは偉いね〜賢いね〜」
嬉しい、御主人様に褒められてとても嬉しい・・・幸せ・・・。
- 82 :
- 何故か2重投稿に・・・申し訳ない
- 83 :
- 「ほ〜ら、ヨシヨシ・・・可愛いな。
依槻くん子犬みたい」
「ワンッ」
「うふふ・・・ねぇ依槻くん、犬ってさ人間よりず〜っと鼻が効くよね?
そんな鼻の効く犬はね人間の僅かな匂い、フェロモンを嗅ぎとって、発情しちゃうんだよ?
ほら、あたしの匂いを嗅いでみて・・・いいにおいするでしょう?」
御主人様の匂い、いい匂い、頭がぼーっとしてくるいい匂い・・・。
「うふふ・・・目がトローンとしてきたね、素直でかわいいわぁ。
ほら、もっと匂いをかいでごらん。
依槻くんはね、あたしの匂いで発情して気持ちよくなっちゃうんだよ。
犬だからね、匂い嗅ぐだけで気持ちよくなっちゃうんだよ。
うれしいね?」
「ワンッ」
「うふふ・・・」
頭がぼーっとする・・・気持ちいい。
胸がドキドキする・・・気持ちいい。
股間が熱くなる・・・気持ちいい。
息が荒くなっちゃう・・・気持ちいい。
おちんちんが硬くなってくる・・・気持ちいい。
「あは、発情しておちんちん勃っちゃったね、切ないね、でも依槻くんは犬だから、人間のあたしとはセックスできないの。
辛いね、切ないね、もどかしいね」
「くぅ〜ん」
「よしよし、依槻くんは可哀想だねー
でも大丈夫だよ、御主人様がね、責任をもって依槻くんを気持よくしてあげる。
ただし、気持よくしてあげるのはちゃーんとしつけの出来てる犬だけ・・・依槻くんはちゃんと躾できるかな?」
躾?躾ってどういう意味?
ああ、ご主人様があたま撫でてくれる・・・これ気持ちいい。
もっとやってご主人様!
「そうねえ、とりあえずコッチにきなさい」
ご主人様はボクの顎を軽く持ち上げると、カーペットのある方にひっぱっていった。
なにをするのかな?
「依槻くん」
「ワンッ」
「うふふ・・・いいお返事ね。
依槻くんはいい子ね、じゃあ・・・まずはお座り、やってみなさい」
おすわり、おすわり・・・あ、そうか!
「ワンッ」
「はーい、よくできました。
いいこいいこ」
ご主人さまのナデナデ・・・いい気持ち〜。
「そのままホラ、お手・・・そうそういい子ね。
お替り・・・あは、依槻くんは賢い犬だね」
うれしそうなご主人様見てると、ボクまで嬉しくなっちゃう!
ああ、また頭をもみくちゃにされちゃう。
これ大好き!
「じゃあ次はね、チンチン・・・。
あはっおちんちん丸出しにして、そんなポーズ恥ずかしくないの?
依槻くんは凄い変態だね」
へんたい?なんだろう?ご主人様はなにをいってるのかな?
「あ〜っ、もう、首かしげちゃって可愛いなぁ・・・依槻くん、そのまま動いちゃだめだよ」
- 84 :
- 「そう、膝をついた姿勢のまま、手・・・じゃない前足はそのまま。
うふふ・・・まだおちんちん勃ってるね、気持ちよさそうだね」
ご主人様がお腹撫でてくれる・・・ほわんとして気持ちいい。
「これが最後よ依槻くん、最後までこのまま動かないでいたら・・・ちゃんと躾が出来ているって事で、ご褒美に気持よくしてあげる。
いい?依槻くん、動いちゃダメだからね?わかった?」
「わ、ワンッ」
ガクガクと頭が上下に動いちゃうよ!
ご主人様にお腹を撫でられて、ほわんと気持よくて動いちゃいそう・・・。
「動いちゃダメよ〜、いいわね、動いちゃダメだからね・・・」
パワァッン・・・と小気味の良い音が響いた直後、ボクのお尻に熱さを伴うような痛みが走ったんだ。
「きゃ、キャンッ!」
「あは、依槻くん、すっかり犬になっちゃってるね、偉いね。
でも動いちゃだめだよ?
これも躾なんだから・・・声は出していいけど、動いちゃダメだからね」
痛い!ご主人様お尻を叩いてるの?ボクのお尻を叩いてるの?なんで?
パアッン!パアッン!パアッン!!と何度もボクのお尻を叩くご主人様、ひどいよぉ、痛いよぉ。
パアッン!
「キャンッ!」
「ダメよ動いちゃ」
パアッン!
「く、クゥ〜ン」
「これも躾なんだから」
パアッン!
「クフゥ〜ン・・・」
「我慢して・・・」
パアッン!
「フゥゥン・・・」
「はぁはぁ、あたしの手のほうが痛くなっちゃったよ。
あれれ〜?どうしちゃったの?依槻くん。
さっきよりもおちんちん硬くなってるんじゃない?
なにより・・・おちんちんの先から垂れてるコレな〜んだ?」
「はっ、ハァン」
ご主人の指先がボクのおちんちんの先をつっついて、ヌルヌルを広げてくるよ
ダメだよぉ・・・そんな事気持ちいいよぉ。
「ほんっと、依槻くんはだらしのないマゾ犬ねぇ、あたしもまさかおしり叩いて喜ばれるなんて予想してなかったわ・・・。
お尻真っ赤にして、ウットリした目をしちゃってぇ、結局痛かったのはあたしの手だけだったのね」
ご主人様は真っ赤になった右の手のひらをボクの目の前に付き出した。
ああ、痛そう・・・ご主人様ごめんなさい。
「ほら、コレが依槻くんのお尻を叩いて気持よくしてくれた手よ・・・って、依槻くん?」
ペロペロ・・・ご主人様の手をボクの舌で癒してあげたい・・・おいしい・・・。
「ああ、もうっ、依槻くんはどこまで変態なの?
舐めろと言う前から舐め始めるなんて・・・信じられない。
これじゃあ・・・あたしの方が我慢できなくなるじゃない・・・」
おいしい・・・ごしゅじんさまの手、おいしい・・・。
おい・・・ごしゅじんさま?
「いい?依槻くん、これからあたしがあなたのお尻を10回叩きます。
依槻くんはお尻を叩かれながら気持よくなっていいから、10回叩かれたところで逝っちゃうのよ。
お尻を叩かれて、痛くて、気持よくて、逝っちゃうのよ。
そしてその間も動いちゃダメだからね?
わかった?」
「わ、ワンッ」
「いいお返事ね・・・1回」
- 85 :
- 「1回」
パアッン!
「キャンッ」
「2回」
パアッン!
「く、くぅ〜ん」
「3回」
パアッン!
「はうっ・・・ん・・・」
「4回」
パアッン!
「あっ・・・あっ・・・」
「もう半分だね・・・5回」
パアッン!
「はひ・・・はぁん・・・」
「あたしの手のが痛くなっちゃったわよ・・・6回」
パアッン!
「あんっ・・・ふぅん・・・」
「7回」
パアッン!
「はぁん・・・いい・・・」
「あれ?気持よくて素に戻っちゃってる?・・・8回」
パアッン!
「うっ・・・気持ちいい・・・」
「ほんっと、依槻くんはド変態のマゾ犬だねぇ?・・・9回」
パアッン!
「いい・・・いいよう・・・早希ちゃんすごい」
「あと1回、あと1回で逝っちゃうよ?お尻叩かれて気持よくて逝っちゃうよ?
ほら、逝く、もう逝く、逝っちゃえ!・・・10回!」
パアッン!
「ひっ・・・いぐぅっ・・・あぁあぁんっ!」
ガチガチに硬くなったボクのおちんちんから、早希ちゃんの手で押し出されるように熱い・・・今までで一番熱い精液が吹き出したんだ。
「す、すごぉい・・・逝けって言っちゃったったけど、本当に射精しちゃうなんて・・・あは、まだぴゅーぴゅー出してる。
ああ、チンチンのポーズもそのままで、偉いね依槻くん・・・依槻くん?」
早希ちゃんの声がすーっと遠くなっていく。
いつもの、気持ちのいい世界に落ちていくのとはまた別の感覚がボクを包むよ。
「どうしたの?依槻くん?!」
まるで・・・まるで・・・ブレーカーが落ちるみたいに、気持よすぎてボクのブレーカーが落ちちゃうみたいに。
「ねぇ、返事してよ!大丈夫?ねぇ?!」
目の前が真っ暗になっていく・・・ガチガチに硬直した身体から一気に力が抜ける感覚と、まだ精液を吐き出し続けてるボクのおちんちんの感覚が、気を失う直前に感じた最後の感覚だった・・・。
気持ちいい・・・まだ・・・ビュルビュル出て・・・・・・・。
「いつk・・・!!?!・・・」
- 86 :
- ここまでで
ちょうど限がいいので、ここで切ります
また再来週?
- 87 :
- 先生でやろうと思ってたノーハンドを、まさか早希ちゃんがやってしまうとはね・・・
- 88 :
- なんとうらやましい
- 89 :
- >>86
GJ!!最高ですわ
俺にもかけて欲しいわ
- 90 :
- ここでまさかのテクノブレイク
- 91 :
- 氏んだぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁあぁぁっ!?
- 92 :
- これぞ催眠。
これぞ女性支配。
実に素晴らしい。
次も楽しみにしています。
- 93 :
- あぁ、いいなぁ・・・
なんか求めてるものにかなり近い
依槻くんとは(催眠マゾ的な意味で)仲良くなれそう
最初出てきたヘッドホン・・・・・・やばい、せすじがぞくぞく
- 94 :
- もう饅頭でいいよ
- 95 :
- 誤爆
- 96 :
- 放課後の人はリアル術師か?
描写が濃すぎて読んでるこっちがぐーるぐーるしてくる
- 97 :
- 文章読んでるだけで落ちそうになるよな
落とされる主人公がすげー気持ち良さそうで嫉妬するわ
- 98 :
- このSSのタイトルは「放課後電磁波クラブ」をもじってつけたんですが、誰しも考えることはいっしょらしく
類似したタイトルのエロゲが先にあることに気づきました・・・
幸い中身はかぶっていないんで、タイトルだけ変えてお茶を濁そうかと目論んでるんよ
とりあえず仮題でいきます
- 99 :
- 目が覚めたのはボクの部屋だった。
最初は、また自分の部屋にいると錯覚させられてるのかと思ったよ。
でも、前と違って部屋は暗かったし・・・なによりしばらく待ってても何も起こらなかったから。
意を決して台所に降りてみると、母さんが洗い物をしていた。
「あら、依槻目が覚めたんね」
エプロンで手を拭きながらボクを振り返る。
時計の針はまだ八時半、たぶん早希ちゃんに逝かされたのは五時頃だったから三時間ちょっとか・・・。
「天海先生が送ってきてくれたんよ、なんでも部活中に貧血おこしたと」
あ、貧血か・・・そういう事にしてくれたんだ。
「大したこと無いと思うけん、念のため明日は休んで病院行ってってさ。
休みって手続きしておくから」
「うん、わかった」
そうか、結局ボクはどうなっちゃったんだろ?
先生の言うとおり本当に貧血なのかも?
とりあえず明日は病院行ってこなきゃ・・・。
「軽い貧血だと思うよ、今はもう特に痕跡のようなものは無いね」
病院の先生にそう言われてちょっとホッとした・・・多分大丈夫だとは思ってたけどね、やっぱりちゃんと診察してもらうって安心するよね。
安心したついでに今日はこのまま学校休もうかな、平日に休む理由があるのに学校行くなんて手はないよね?
先生も休んでいいって言ってたみたいだしね・・・じゃあまず本屋に行って、それからコンビニよってからDVD借りて帰ろう!
次の日登校したボクを真っ先に迎えてくれたのは早希ちゃん・・・じゃなくて先生だった。
「おはよう夜崎クン、身体はどうだった?」
「たぶん軽い貧血だろうって、病院の先生が・・・」
「そう、良かった・・・そうだとは思っていたのだけど、やっぱり身体の事はちゃんとしたお医者さんに見てもらわないとね。
じゃあとりあえず一安心ね」
早希ちゃんが見当たらない。
「あの・・・」
ボクの声を遮るようにHRのチャイムが鳴った。
「どうしたの?」
「あ、後でいいです・・・」
急いで教室に駆け込むクラスのみんなが目に入って、ボクは言葉を飲み込んだ。
早希ちゃんは休みのようだった。
机が一つ開いてるだけの教室の一角が、何故だかとても気になった。
そうだ、放課後・・・放課後に部室で聞いてみなきゃ。
放課後に顔を出した部室には真守くん1人だけがいた。
「えっと、今日は?」
「早希は休みだし、先生は会議で遅くなるってさ。
オレは依槻が部活に来たらそれ教えてって頼まれたから」
「じゃあ今日は休みなの?」
「うん、オレは帰るよ・・・仕方ないから。
依槻はどうするんだ?」
どうしよう・・・
「じゃあボクも帰ろうかな・・・」
「そうしとけ、病み上がりなんだし。
先生は健康とか勉強に障るほどの活動はダメだって言ってるからサ」
そう言うと真守くんはカバンを肩に担いで出て行ったけど。
「あ、そうそう・・・鍵はそのままでいいってさ、先生が後で閉めるって・・・じゃあなまた明日」
扉の向こうから最後にそんなすうに声をかけてくれた。
「うん、さよなら」
結局そのあとボクは暗くなるまで部室で待っていたんだ。
先生に話したいこととかいっぱいあったし、まだ部活の事とかしっかり聞いていなかったし。
家には部活で遅くなるって言ってあったし。
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