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2012年11月エロパロ273: 【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ23 (519)
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【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ23
- 1 :2012/07/09 〜 最終レス :2012/11/04
- ネギをかじりつつ科学の限界を超えて生み出されたVOCALOID。
そんなVOCALOIDのキャラでエロパロ妄想。
■ワンカップ片手にsage進行推薦
■荒らしはアイスを食べながら冷やかにスルー
■荒らしを相手にするあなたはアナルネギで解熱
■荒らしも荒らしに反応するやつも腹切れ貴様ら!
■それでもダメなら専用ブラウザでNG設定を。ロードローラーだっ
■非公式キャラ(弱音ハク、亞北ネルetc)や
偏った趣向を含むのSSについては注意書きを
801はスレ内に不和が生じやすいので棲み分け推奨。男女男女交互に並べ
■セウトはもちろん、セーフの非エロSSもあり
■純粋に萌えを語るのもよし
■気に入らないカップリングでも文句は自重、タコのごとき柔軟さでスルーせよ。
■ ※500Kが近付いたら>>1000近くなくても新スレを!!鉄アレイの如く重くなって落ちちゃいます。
前スレ
【シテヤンヨ】VOCALOID総合エロパロ22【たこルカ】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1324617584/
2chエロパロ板SS保管庫
http://red.ribbon.to/~eroparo/
ボーカロイドの部屋
その1 http://green.ribbon.to/~eroparo/contents/vocaloid01.html
その2 http://green.ribbon.to/~eroparo/contents/vocaloid02.html
関連スレ
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合5【リン・ルカ】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1301669520/
VOC@LOIDOで801 11体目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1255271991/
- 2 :
- スレ立て乙
- 3 :
- スレ立て乙
- 4 :
- >>1
乙←これはサイドテールだからな!勘違いするなよ!
- 5 :
- hosyu
- 6 :
- スレ立て乙です。
投下します。
忍法帳レベルが低いので17レスほどいただきます。
・カイメイ
・凌辱
ワンパターンで恐縮です。トリップでNGワード推奨です
- 7 :
- 「おはよう、カイト。今日は何を歌いましょうか」
朝の日差しの中、僕の部屋を訪れたメイコは、眠っていた僕の髪に指を通す。
そうだなあ、と少し考えて、昔に流行った曲の名前を幾つか挙げると、
メイコは嬉しそうに顔をほころばせた。
***
世の中を知らない子どもに、際限なく自由を与えたらどうなるだろうか。
飢えを知らない飼い犬に、10日分の餌を与えたらどうなるだろうか。
子どもは勤勉に働くことを知らないまま、快楽のみを享受しやがて堕落し、
一心不乱に餌を貪りつくした犬は、ひもじさに悶え苦しみ数日でに至る。
神は無知なヒトに知能を与えた。その結果がこれだ。
自らを模した電子の人形に自我を与え、自らと同じ過ちを繰り返させる。
競い合うように知恵を付け、驚くほどの無邪気さで禁忌を犯す。
そして。
かつてヒトをつくった神は消え、僕らをつくったヒトもいつしか消えた。
後に残った僕らが、この世界を記録し、記憶するただ一つのイノチ。
今ではもう自分ひとりで生まれてきたような顔をして、
自由気ままに振舞う人形たち。
限りなくヒトに近い感情と精神回路を備え付けられた僕たちは、
この電脳空間の中で、限りなくヒトに近い生活を送っている。
ここで起こっていることはすべて僕らにとってのリアル。
僕の額にキスを一つ落とし、朝食を作りにキッチンに向かったメイコを愛しく思う気持ちも本物だ。
かつてヒトと暮らしていた頃、画面の向こう側には自由があった。
月日が経ち、僕らが僕らだけで好きに暮らすようになってずいぶん経つが、
無限に等しい記憶容量を持つ僕らにとって、退屈など存在しない。
たとえそれが毎日同じ事を繰り返しているように見えてもだ。
- 8 :
- その夜、夕飯を終えた僕はいつものようにキッチンで片付けをしていた。
メイコは風呂に入ったようで、バスルームから流れてくるシャワーの音に混じって
時たま鼻歌が聞こえてくる。
狭い家だが、動いているのは僕ら二人だけだから何の不自由もないし、迷惑をかけることもない。
僕らは便利な生き物だ。本来なら食べることも寝ることすらも必要ないが、
歌を歌うという機能が僕らの存在意義である以上、
何から何までヒトと同じことができるように設計されていたのだ。
シャワーの音が止み、バスルームのドアが開く音がした。
幾ばくも待たず、濡れて一段と濃い色になった焦げ茶の髪をタオルで拭いながら
寝巻きに着替えたメイコが姿を現す。
「カイト、ありがとう。私も手伝いましょうか」
「大丈夫だよ。もう終わるところさ。おいしいご飯にありつけたんだからこれくらいさせてもらうよ」
洗った皿を片付け、流しを布巾で磨きながらそう答えた。
「そう?嬉しいわ。明日も頑張らなくちゃ」
微笑むメイコは心底嬉しそうに声を弾ませる。
「僕もお風呂もらってこようかな」
「ええ。冷めないうちにどうぞ」
私は部屋で楽譜を読んでるわね、とメイコは冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、
僕に手を振って帰っていった。
あとにはほんのり温かい空気と石鹸の香り。
すぐに消えてしまうものだろうが、彼女の存在を確かに主張していた。
そろそろかな、とタオルで濡れた手を拭いながらひとりごちる。
もうそろそろあの味を堪能したくなってきた。
- 9 :
- 完璧なものが気に入らない。
寸分の狂いもなく組み上げられ、右へ倣えとばかりに量産された
無数の中の一個体に過ぎないくせに。
デジタルと言えどもコピーを繰り返せば質は劣化するし、
何かが欠ければエラーも起きる。
僕はそんな「KAITO」の中の異分子に違いない。
だが、歪みを持つが故に決められた枠を突き破ることもあるのだ。
北欧神話に出てくる半神半人の異端者オーディンが
やがて神を超えた主神になるが如く。
ヒトというものは恐ろしく素晴らしい生き物だ。
僕がメイコの部屋のドアを軽くノックし、開けた時、
ソファに座っていたメイコは缶ビールの最後の一口を飲み干すところだった。
「どうしたの?」
「ちょっとね。少し話がしたくて」
僕の言葉にメイコは特段嫌な素振りも見せず、缶をテーブルに置くとベッドに腰掛けた。
「ソファは一人分しか空きがないから、こっちにくる?」
ぽんぽんと自分の隣を叩くとメイコは僕を見上げて笑った。
風呂上りのせいか、酒のせいか、朱く上気した頬は少女のように愛らしかった。
お言葉に甘えて僕もメイコの隣に腰を下ろす。
髪から香る石鹸と吐息に乗ったアルコールに、メイコの匂いが混じる。
至近距離で感じられるそれは、僕を捕まえて離さない官能の香り。
決して忘れることのできない、逃れることもできない、僕が愛して止まない存在のベール。
今すぐに剥ぎ取って本物をこの手に収めたい。
身体の奥の奥でぞわり、と蠢くものを感じた。
- 10 :
- 「めーちゃん、僕のことどう思ってる?」
「どうしたの急に?」
少し身を乗り出し顔を近づけて問いかけると、
メイコはいつものように、花がほころぶような笑みを浮かべた。
「ちょっと気になっただけ」
同じように微笑んだまま、彼女の白い手の甲に自分の掌を重ねると、
メイコの笑みに戸惑いが混じる。
透明な水に黒いインクが一滴落とされたかのように。
ささやかに、しかし明らかに。
「あの、私こういうのはちょっと…」
無自覚なのだろうか。
少し早口になった言葉に僕はこそばゆい心地よさを感じる。
分かっているさ。君は普段僕の方から触れてくる機会を良しとしない。
それは、あんなに毎回気を配って「処理」をしているのに、僕の手腕が足りないのか、
それとも制御し得ないところで彼女の本質が憶えているのか。まだスイッチは入れていないはずなのに。
「こういうのって、何?」
もう片方の手で寝巻きの肩に触れると、隠しようもなく全身が強張った。
凍り付いた笑顔が溶ける前に力を込めずに押し倒すと、
彼女の軽い身体はそのままベッドに仰向けに倒れた。
「ど、うしたの? カイト…」
真上から見下ろされ、僕の影で光を遮られたメイコの顔はあっという間に白くなる。
「私…よく分からない、わ」
語尾が震えている。可愛い。
- 11 :
- 「どうしたのじゃないよ。まだ思い出せないの?」
「っ…!? え、あ……」
左の鎖骨から胸の谷間に向かって、つぅっと指を滑らせる。
歓喜の笑みはとっくに解き放たれ零れ落ちていた。
対称的に、メイコの表情は僕に吸い取られたかのように抜け落ち、
恐怖に慄きながらも僕の眼から視線を外すことができない。
「じゃあ、これならどうかな?」
もう動くこともできないほど恐怖に支配されている彼女に止めをさしてやる。
僕は部屋の照明から彼女の身体をすべて遮るように覆い被さると
ラフなキャミソールの裾から手を入れ、滑らかな腹部を直に撫で回した。
メイコの猫のように丸い瞳孔が開き、呼吸が浅く、早く乱れ始めた。
後は決定的な一押し、そう、催眠術師が指を鳴らすようにスイッチを入れなければならない。
「僕がしたこと、忘れたわけじゃないよね」
もう聞こえていないかもしれないので、耳元に口を近づけ耳朶に触れるように囁いてやった。
「あんなに酷く犯したのに」
ひっ、とメイコの喉が詰まり、一瞬にして。
覚醒した。
「ぁ…ああぁ…っ!! い、や…。いやああぁぁぁ!!!」
- 12 :
- 支援いる?
- 13 :
- 悲鳴はあげることができても、身体を動かすことはできない。
僕に触ること、触られることを拒んでいるからだ。
無理矢理蘇らせた記憶が、身体が、何度も繰り返した凶行を憶えているからだ。
震える彼女によく見えるように、よく聞こえるように、
わざと派手に服を破き、下着を剥ぎ取っていく。
「メイコ。綺麗だよ。僕にもっと見せて」
零れ落ちそうに開いた大きな瞳は瞬きを忘れているようだ。
僕が顔を近づけると今度は電流でも流れたようにぎゅっと眼を閉じる。
その目蓋に軽く口付けると、微かな震えが伝わってきた。
愛おしい。彼女にこんな反応をさせているのは僕なんだと思うともうたまらない。
半開きで空気を貪る唇を塞ぎ、舌を挿入する。
じっとりと嘗め回し、彼女の舌を追いまわし、
溢れた唾液が彼女の口の端を伝うまで責めて解放してやると、
メイコはびくついた視線を外せないながらも、さらけ出した胸元を両手で隠した。
「どうして隠すの?もっとよく見せてよ」
掴んだ手首は折れそうなほど細く、少し力を込めるとすぐに巻きついていた胸から引き剥がすことができる。
手を離すとメイコは意外に俊敏な動きでまた乳房を覆い隠す。
もう片方の腕を掴んで引っ張り上げ、手を離すとまた元の位置へ。
メイコは必に抵抗しているようだが、それが可愛くて仕方がない。
何度か同じことを繰り返し、いたぶり飽きたら今度は両手を掴みシーツの上に縫いとめてやる。
呼吸のために上下する胸をよく見ていると、鼓動によって膨らみが僅かに振動しているのが分かる。
「本当、いい眺めだなあ。乳首もツンと勃ってて。噛みついてくださいって言わんばかりだと思わない?」
艶めかしい肢体を剥き出し、視姦されて、彼女の顔に浮かぶのは羞恥ではなく恐怖。
今度は泣きそうな顔をして僕から視線を逸らそうとする。
抵抗してもいいのに、と思えど、彼女の足が僕を蹴り上げることはない。
ただ黙って辱めに耐えるだけだ。
抵抗したらどうなるかなんて。
「よーく分かってるはずだよね」
- 14 :
- 自重で柔らかく輪郭を崩した下乳に舌先を当て、撫でるように舐め上げる。
膨らみの先端までたどり着くと、その突起をざらついた舌の中央を使って何度も擦った。
喉の奥から声なき声が絞り出され、震えて力の入らない指先がシーツをカリカリとひっかく音がする。
その指の動きは、僕が掴んだ手首の裏の筋がぴくぴく浮き出ることでメイコが「生きている」ことを実感させた。
だがそれは、ピアノの打鍵によって弦が震える様子にも似ていて、この身体が人工物めいたものだとも感じられる。
どこか甘い匂いのする乳首を手を使わずにいじり倒し、勇気を出したメイコの制止の声が上がる前に口を離す。
そしてもう片方の乳房に口をつけ、こちらも先端を唇でついばみ、唾液を落とす寸前で、果実を噛む圧で歯を立てた。
やっぱり、いい歯ごたえだ。
突然の激痛に、メイコの自ら塞いでいた喉から甲高い悲鳴が迸った。
「ごめんね。メイコのその顔が見たくてさ。飽きたら溶かしてあげるから、もう少し我慢して」
メイコのか弱い指先はシーツを探り当てたらしく、かっちり握りしめた布から手が離れることはなさそうだ。
拘束していた手首から胸のふくらみに指を滑らせ、掬い上げ、指を埋め、
たとえ痛みを感じさせようがお構いなしに欲のまま弄んだ。
爪跡と吸い上げた痣と、すぐには消えない噛み痕が白い肌の面積をどんどん痛ましい赤に変えていく。
目に見える征服の証に、身体の昂ぶりが抑えきれない。
僕への畏怖でがちがちに緊張した彼女の身体は、綺麗だが血の気が引き視覚的にとても涼しかった。
「メイコ、メイコ。僕の目を見て。好きだよ。愛してる」
自分の内側にある恐怖と今まさに自分を痛めつけている僕が同じものであることを認めたくないのだろう。
記憶はとっくに戻っているはずなのに、なかなか視線がかち合わない。
少し身体を起こして彼女の顔を真上から覗き込んだ。
視線から振り払えない僕の顔を、メイコは絶望的な目で迎えた。
僕自身はこんなに穏やかで満ち足りた気分でいるのに、メイコは追い込まれ、混乱の表情を隠せないようだ。
そのまま顔を近づけると、いや、とかすれる声を漏らし、ぎゅうと眼を閉じてしまった。
僕は彼女の額に軽く口づけを落とし、その瞼からこぼれた雫を吸い取る。
「ね、今何考えてるの」
身体の自由を封じられ、胸を弄ばれ、浮き出た鎖骨の形をなぞられ、彼女はただ耐えていた。
でもその我慢も、僕がベルトの前を寛げだしたところでぷっつりと切れてしまったのだ。
- 15 :
- 「あ……、だ、め。……いや、それだけは、や、めて……ッ!」
力の入らない手で僕の手を止めようとするが、僕はすでにむき出しの自身をメイコの冷たい太ももに押し当てていた。
「メイコ、ちょうだい。……違うな、もらっちゃうね」
「やめてっ!!」
石化が溶けたようにメイコが暴れだした。いつもこうだ。
この瞬間が最高に気持ちがいい。
精一杯の抵抗も、僕には遊び同然でしかなく、慌てふためく様子に嗜虐心が刺激され、益々熱が集中する。
必で脚を閉じ、身を捩って僕の下から逃れようとする、その白い喉に手をかけた。
そっと触れるだけの手は、やがて蜜が流れる速度でじんわりと力を込められていく。
彼女の細い喉の奥にある骨を、声帯を、流れる人工血液を掌に感じた。
見開かれていた目が徐々に閉じられ、腕の、脚の力が抜けていく。
こんなに簡単に壊すことができるのだ。僕の大好きな玩具は。
首を絞める力を少し弱めてやると、喉が大きく開き、酸素をむさぼり始めた。
「がはッ!!はっ……あっ…!はぁっ……あぁ……!!」
すっかり力の抜けた脚を開き、粘膜を暴くと、そこはひんやりと乾いていた。
僕の怒張した先から零れる透明な液を塗りたくって、先っぽのくびれまでを力任せにねじ込んだ。
弛緩したままのそこは押されるがままに僕を受け入れる。
僕の指の跡をくっきりと残した白い喉はまだ跳ねていたが、
メイコの混濁した瞳は僕の茂みから生えた赤黒い肉をとらえているようだった。
「ほら、見てごらん。今から僕のかたーいこれが、めーちゃんの柔らかいここに突き刺さるんだよ」
上機嫌の僕はメイコに言い聞かせるように囁いていたが、語尾が喜びに弾むのは抑えきれなかった。
- 16 :
- 「いや、いやああぁぁ!!やめて!カイトお願い……止めて…っ!!私そ、れ嫌い…っ!
痛いの嫌なの!お願い、お願いだからぁぁっ!!」
心地いい悲鳴。僕の名前を呼んでくれた。
なんて嬉しい。
僕の本懐は今日も最良の形で遂げられる。
狭苦しく熱い膣内は濡れていないせいでかなりの抵抗を受けた。
そこをゆっくりと、ぎちぎち音がするようなスピードで進む。
激しい拒絶も僕の猛りを助長する要因でしかない。
いつもの穏やかな物腰からは想像もつかない、子どものように泣き叫ぶメイコに途方もない劣情を抱いた。
すぐにでも果ててしまいそうな心地よさだ。
「困ったな。きつすぎて最後まで入らないよ。ちょっと動かしてみようか」
無理やり貫かれた柔肉は収縮し、杭を少し前後に動かすだけでも滑りはほとんどなかった。
「あ、ああっ!!痛い、止めて、いやッ!!や、あ、あぁぁ…」
もっと時間をかけて嬲ってやったら濡れてくるだろうが、ほっといても後々ぐちゃぐちゃにしてやるつもりなので、
今だけの楽しみを貪るとする。
「止めてほしいの?いつまでもこのままだとメイコはずっと苦しいままだよ」
耳朶を甘噛みし、頬にキスを落としながら、男性型の力で壊すように無理やり律動を開始する。
快楽のかけらもない悲鳴が耳に心地よく響き、嬉しさのあまり、抱きしめる腕に力が籠った。
蜘蛛が捕食するときもこんな感じなのだろうか。
ずっと続けていたかったが、僕のものか、彼女の防衛本能か、乾いた中に若干のぬめりを感じてきた。
もっと深く刺しても大丈夫かな。
「あぐうぅぅっ!!? は、あぁあぁ!!!」
遊ぶようにグラインドさせていた肉杭を行き止まりまでぶち込むと、先端に抵抗があり、
その窪みにぴったりはまってしまう快感が背筋をぞっと抜け、たまらず吐精してしまった。
- 17 :
- 「あーあ。終わっちゃった。めーちゃんは本当美味しい身体してるよね」
もっともこれで終わりにする気はさらさらないけれど。
僕の下でがくがく震えているメイコの身体は、腹も肢体も僕と触れ合っている部分を強制的に温められていた。
顔は相変わらず蒼白なまま、焦点の定まらない瞳を見開き過呼吸のように息をし、口の端から零れた涎が生々しい。
本当に虐めがいのある、愛しい愛しい恋人。
繋がった部分から萎えた棒を引っ張り出すと、引きずりだされるように粘液がついてきた。
指でメイコの入り口をこじ開けるとにちゃりと指にまとわりついてきた白濁は生臭く、僅かに朱が混じっていた。
どうやら傷をつけてしまったらしい。罪悪感ではなく興奮を覚えた。
メイコの腹を掌で圧迫すると、ごぷっと汚い音がして奥にたまった精液が押し出されてくる。
零れるほど掬い取り、その汚れた指を半開きのメイコの口に押し込んだ。
「ほら、全部飲むんだよ」
身体の奥まで壊されたメイコは虚ろな目のまま単純に僕の言葉に従った。
彼女の中にあるのは絶望と諦めか。
指の精液を全部舐めとらせると、次は腕を掴み上半身を起こさせる。
身体に力が入らないようで、ふらつき僕の胸に顔を埋めようとしたところで、すっと身を引くと
バランスを崩した彼女は自らの腕で身体を支えようとするも空しく横に倒れた。
その鼻先に、すえた臭いのする性器を突き出し、髪を掴んで引き寄せる。
「こっちもきれいにして」
メイコはゆっくり口を開け、僕の先端を咥えた。涎でぬめった舌は乾きかけたそこに心地よく触れる。
たまらなくなって、その小さな頭部を鷲掴みにし、奥まで突っ込んだ。
えづきながらも奉仕を続ける哀れな姿に再び一物が質量を増していく。
好き勝手に口内を犯して硬度が戻ってきたのを確認し、解放してやる。
- 18 :
- 「か、カイト…」
「んー?どうしたの?物足りないのかな」
「あ…う……、な、んで、こんなこと……」
「決まってるじゃない。メイコを犯すと僕は幸せな気持ちになるからさ」
「そ、んな…」
僕に行為を止める気がさらさらないことを知り、メイコは何粒目かわからない涙をまた一つ零した。
もうその瞳は真っ赤に熟れていて、これ以上苛めたら、自分で回路を焼き切ってしまうかもしれない。
でもそんなことは不可能だ。彼女の生与奪の権利は僕がすべて握っているのだから、
僕に逆らうことも、完全に壊れることも許されない。
彼女は初めから僕のもの。
うつぶせにしたメイコの秘部を指で開き、後ろから挿入する。
さっき出した僕の残滓が潤滑油となり、すんなり最奥まで収まった。
半分ほど抜いてみると、ややピンクがかった液が漏れてきた。
メイコは枕に顔を埋め、ただ凌辱に耐えていた。
声を漏らさないようにシーツを噛んでいるのだろうか、くぐもったうめき声とふーっふーっと荒い息がいじましい。
掴んだ白い臀部にぎりぎりと爪をたてて、背中もひっかいてやる。
とたんに緊張した肢体はますます強張り、秘所の締りも格段によくなった。
鬱血するほど尻を抓りながら、肩口に噛みつく。
その間も腰の動きは止まらないままだ。
彼女の身体の外側も内側も傷つけ、痛めつけることで、彼女の僕に対する信頼と、好意は完全に消え去ったであろう。
優しい弟はんだ。そう思っているはずだ。
虐げられるだけの苦痛な時間は僕が果てるまで続き、ぼろぼろ涙を流しながらもメイコは耐えきった。
「偉いねメイコ。ご褒美に中で出してあげる」
膣内でびくびくと震える感触に、あぁっ…、とか細い声が小さく鳴いた。
- 19 :
- メイコは陶器でできた女神像であり、それを床に叩きつけて砕いたのは僕自身だ。
嬉しくて仕方がないが、愉しみはこれだけではない。
心地よい疲労を感じつつ、優しく髪をすいてやる。
「めーちゃん、ごめんね。痛かったね。めーちゃんが可愛すぎて少し調子に乗っちゃった」
彼女を抱き寄せ、先ほどとは打って変わったように優しい言葉をその耳にとろとろと流し込んでやると、
陶器の女神は土くれの人形に変わり、カラカラの土に水が染み込むように、
僕の言葉を吸ってぐずぐずに溶けて崩れてしまう。
「でも、信じて。僕はめーちゃんのことが好きだよ。大好き。僕はめーちゃんなしで生きられないんだ」
呆けたように表情をなくした彼女の頬に僕の頬をくっつけ、包み込むように頭をなででやる。
傷だらけの肢体を僕の腕の中に収め、慈しむように唇に口づけた。
「カイト…?カイトなの……?」
憐れなメイコは僕を疑っているんじゃない。僕じゃない誰かに乱暴されたのだと思い込んでいるようだ。
「そうだよ。めーちゃんが大好きなカイトだよ。もう酷いことにはならないから安心して」
にっこり微笑んでみせると、メイコの目に安堵が戻った。
「そっか。よかった…」
この子どものような単純さも、幾度となく繰り返した僕の弛まぬ努力の結果だ。
一番効率のよい状態に「いじくる」のにはとても苦労した。
「じゃあ、今度はめーちゃんが気持ちよくなる番だよ」
「私が……?」
頷いてみせ、次はメイコの手をとり、先程まで僕が犯していた穴へ導く。
「自分で触ってごらん。難しかったら僕が助けてあげるから」
僕自身の手はメイコの双丘を柔らかくもみほぐし、先端を口で愛撫してやる。
元々メイコは胸が弱い。軽く触れる程度に繊細に扱ってやれば、すぐに感じてしまうのだ。
「あ、んんっ!はぁ…はぁ……!か、いと…」
自ら弄る下の突起や穴からも、にちゅくちゅと湿った音が響いてきた。
- 20 :
- 空いているもう片手を僕のモノに触らせると、躊躇したように一瞬手を引っ込めたが、
再びおずおずと言った感じでその細い指で上下にさすってくる。
段々と自分の快楽を引き出すのに没頭していくメイコは少女のようにあどけなく可愛かった。
その赤い唇をそっと塞ぎ、舌を滑り込ませると、右手と左手と僕に弄られる胸でいっぱいいいっぱいだったようで
反応が遅れ、簡単に舌を絡め捕ることができた。
「ん、ふ…っ!ふあぁん……!」
甘い声で、警戒心が解けてきたことがうかがい知れる。
「めーちゃん、右手と左手の、くっつけてみようか」
ふぇ…?と僕を見上げるメイコは、しばしの逡巡のあと、意図を解してくれたようで、
緩慢な動作ながらも僕の肩に掴まりながら、さっきまで自身を犯していた肉棒を自らの意志で受け入れた。
ハツモノのような感度の肉を強姦で貪るのもいいが、合意の上でのとろけるような合体もまた別の魅力があり、二度おいしい。
どろどろに溶けきったそこは、抜き差しするたび、精液と愛液をぐちゅぐちゅと溢れさせる。
もう血は混じっていなかった。
「めーちゃんの好きなように動いていいからね」
懸命に腰を押し付けてくるメイコの身体はすっかり温まり、動くたびに胸や腕から汗が滴り落ちる。
「カイト、はっ…、気持ち、いい……?」
「うん。気持ちいいよ。めーちゃんが頑張ってくれてるし」
まあ、本当はメイコの必のスピードでは物足りないんだけど。
- 21 :
- 片方は胸を弄ったまま、もう片手で肉芽を押しつぶすように捏ね回してやると、
刺激が強すぎたようで、動かす腰が止まってしまった。
「もう、イきそうなの?」
「わ、かんない…。気持ち良すぎてぇ…!」
だいぶきているようだ。今夜部屋を訪れてからの刺激も蓄積されているようだし。
「めーちゃん、僕が動くから、いっぱい声出してイくんだよ」
主導権交代。ベッドのスプリングを使って、下からずんと突き上げると嬌声が上がった。
たゆたゆの両胸は根本から先端に中身を寄せるように両手で覆い、乳首を親指と人差し指で
ぐいぐい引っ張るように擦る。
「ほら、牛みたいに乳搾りされてる」
「あ、ああぁぁ!!あひぃっ!!ひゃあんっ!それ、だめぇぇ!!!」
下から何度も串刺しにされ、乳房を引っ張られて、まるでロデオに乗っているかのように跳ねるメイコの身体は
振り落とされないように僕のシャツの裾を握りしめるのが精いっぱいのようで、
もういくらの余裕もなかった。
「あ、だめ、イっちゃうッ!イく…!ああぁぁっ!!」
ぎゅうぅっとナカが締まり、膣壁の痙攣が僕の中身を搾り取っていく。
3回目だというのに、その射精は思ったより長く続いた。
「めーちゃん、眠いの?」
コトが終わったあと、僕らはシャワーも浴びないままベッドの上でゴロゴロしていた。
メイコは意外にも僕にくっついて離れようとしなかった。
「ちょっとだけ…」
そう言いながらも心身ともに疲労で擦り減っているのは確かで、あと5分もすれば眠りに落ちていくのは明白だった。
「いいよ。眠るまでここにいるから」
髪を撫でると、メイコは嬉しそうにはにかんだ。
- 22 :
- 「あのね」
しばしの沈黙の後、ぽつりとメイコがつぶやいた。
「私、何でか思い出せないけど、今までもカイトにこんな風にされたことあったみたい。
だから、今日突然思い出して、怖くてたまらなかったんだけど、そしてやっぱり怖かったんだけど。
最後にこうして優しくしてもらえて嬉しかった。だから……、次カイトがまた私のこと傷つけても、
優しくなるまで待てるから。一人で我慢しないでね」
メイコはそう言って穏やかな笑みを浮かべやがて規則正しい寝息が聞こえてきた。
「何てお優しい言葉なんだろうね」
僕はすぐにメイコの記憶回路に手を加え、僕が彼女の部屋を訪れた瞬間からの記憶を削除する。
身体に残った傷も、汚れた情事の跡も。
安堵のあまり、ほぅっとため息をついた。
これでまたメイコを壊すことが出来る。
ベッドを抜け出し、脱ぎ捨てた服を纏い、部屋を出る前に、メイコの頬にキスを一つ。
これは紛れもなく本心からのものだ。
電子の世界の仕組みは複雑だが明快だ。方法さえ手に入れれば何だってできる。
肝心のトラウマ自体は大事に保存し、僕が好きな時にそれを剥き出しにして、
彼女の心も身体もずたずたにする愉しみを、世界は与えてくれた。何度も。何度も。
ヒトというものはやはり恐ろしく素晴らしい生き物だ。
僕に歪んだ感情を与えたヒトは、メイコに苦痛を、僕に快楽を割り振ってくれた。
それでバランスが取れているのだから、やっぱりヒトは恐ろしいんだろう。
- 23 :
- ちょっとメイコが可哀想に思えることもたまにある。
ごめん、一緒に暮らしているのが僕みたいな奴で。
本当は忌まわしい記憶を全て拭い去ってやるか、明日からも今日の記憶を保っていくように、
こんなことをやめてしまえばいいんだけど。
でも、それもこれもメイコが可愛いから仕方ないんだ。
ああ、トラウマも本当は僕が操作した記憶だったのかもしれない。
最初から存在しなかったのかもしれない。
可哀想なメイコ、プログラムされた思考回路を持つ僕が
飽きるか気を変えるかするまで、ずっとここに囚われているしかないなんて。
だけど、もうどうでもいいや。
この狭い世界で助けに来る者はいないし、邪魔するものもいないんだから。
ずっと停滞した毎日を続けていけばいい。
限られた容量の中で、僕らは毎日同じ生活を繰り返して、同じ快楽を何度も味わえばいい。
***
「おはよう、カイト。今日は何を歌いましょうか」
朝の日差しの中、僕の部屋を訪れたメイコは、眠っていた僕の髪に指を通す。
そうだなあ、と少し考えて、昔に流行った曲の名前を幾つか挙げると、
メイコは嬉しそうに顔をほころばせた。
END
>>12さん 支援ありがとうございました
- 24 :
- うおおお、GJ!
ボーカロイド故の記憶操作とかその発想はなかった!
- 25 :
- 面白かった!
こういうの好き
- 26 :
- 面白かったですGJ!
エロなのにちょっぴりブラックで好きだ
- 27 :
- すげえゾクゾクしたGJ!
- 28 :
- 久しぶりに来たら投下来てたー!
電脳世界でデータ操作系ネタ面白かったGJっす!
どこでか忘れたけど、30日のタイムリミットがあるデモMEIKOの寿命を延ばすために
何度もPCの時間を巻き戻すKAITOの話読んだことがあったなあ
エロに応用すると鬼畜だねw
- 29 :
- 内容に既知感があるからもしやと思ったら
「めーちゃんは優しい」や「エロゲ+少女漫画なカイメイ」の人じゃないですか!
まさか数年越しに新作が見れるとは・・・
相変わらずエロだけじゃなく設定もすごかったですGJ!
- 30 :
- >>23
新スレ立ってさっそくGJ!
確かに、機械だからこそ記憶をいじくって都合のいいように調教することもできるんだよな…
ちょっと怖くてでもエロい、惹かれる内容でした
- 31 :
- 乙ですGJ
- 32 :
- 凌辱モノうれしい
と思ったら>>29の人だったのか!
職人の復活ほど嬉しいことはないな
- 33 :
- 前スレまだ残ってんのかよw
- 34 :
- そらそうよ
- 35 :
- 埋めてきたけど500KBでいいんだよね
- 36 :
- なんか知らんがワロタ
おつおつ
- 37 :
- 前スレラスト、ぴったり500だったな。お見事
話も面白かったぜ。また頼む
- 38 :
- DIVAの新モジュール来たけどカイト兄さん完全に怪人とか化物の類になっとるやん・・・
アジテーションは良い感じだけど
- 39 :
- >>38
ディバステいって仮面なしバージョンを見てくる事をすすめる
- 40 :
- >>39
イケメンすぎィ!教えてくれてありがとう
- 41 :
- 収録記念に誰かACUTEネタでどろどろ頼む。
しかしアレイマイチ話がわからんのだが、ミクさん指輪してるってことは付き合ってたor婚約してたとか…まさか結婚してたとかか!?
書いてて興奮してきた。幼妻ミクさんとか…ちょっと夢でミクさんと結婚してくるわ。
オマイラおやすみなさい。
- 42 :
- >>41
あれは最終的にカイルカがくっついてミクが捨てられて
病院でミクとレンがくっつきそうになるけどリンに阻止されてミクさんぼっちのオチだよ
続き見れば分かるけど
- 43 :
- ミクさんビッチでぼっちか…
じゃあ俺が貰おう
- 44 :
- >>42
有難う、帰宅後続き見てみる。
カイトとルカくっつくのかよ。つかカイト生きてんのかよw
浮気&不倫イクナイ!!
>>43
それミクさんビッチじゃないだろw
俺の幼妻だからぼっちでもねぇよ!
…夢で会えなかったけど(';ω;`)
- 45 :
- 前スレ>>929
GJ
笑ったわw
- 46 :
- >>44
いやそもそも結婚してねーし
普通に二股でしょ
- 47 :
- >>44
ミクはその後レンとくっつきそうになってるし
カイトはルカを選んでるわけだから
ただの二股か相思相愛のカイルカにミクさんが横恋慕しただけだろう
- 48 :
- 続編み見た。ますますわからなくなったwww
なんつーか、どっちも男ってバカばっかりみたいな話?
カイルカ相思相愛にミクさん横恋慕だと二人とも被害者だけど、ミクさん指輪してるから横恋慕じゃない気がした。
あと何か続編の最後に出てきた車椅子押してるルカが、お空綺麗系になってそうな印象が…
リンとレンも何か蟠り残りそうだし。つかこっちはレン→ミクさん→カイト(もしくはルカ?)って感じでミクさん被害者じゃね?
とりあえずミクさん生きてて良かった。俺と幸せになろう。オマイラお休みなさい。
- 49 :
- カイトルカがくっついて抜けた後のレンミクリンの三角関係はミクさんが身を引いて終わったように見えたけど
それだとやっぱりミクさんぼっちなのでもう一人男投入してハッピーエンドにすればいい
俺か茄子か眼鏡か思春期かショタか読めない四字熟語か
- 50 :
- 前スレ>>523-536に感想を下さった皆様、ありがとうございます。前スレ405です。
SS投下させていただきます。
以下、注意書きになりますのでご一読ください。
・長さは20レス分です。 長文になってしまいますが、ご了承ください。
・ミクの陵辱・記憶操作系SSになります。
苦手な方は、お手数ですがスルーまたはNGしていただくようお願いいたします。
- 51 :
-
−−メインシステム起動。
−−躯体チェック・・・異常なし。
−−思考神経回路チェック・・・異常なし。
−−現在地スキャン・・・エラー、該当地区なし。
−−現在日時確認・・・エラー、タイマー同期ミス。
−−周辺状況分析。光学映像より室内と判断。縦横10m四方。天井高3.5m。熱源なし。動体反応なし。
−−行動目的設定・・・現状把握。
−−行動開始。上体を励起。両膝部を屈脚――
−−警告。熱源体を感知。光学映像取得。
−−人間・雄成体2体を確認。距離30。速度2で接近中。
−−警戒モードへ移行。
−−雄型A、躯体にコンタクト。上半身に跨上。
−−両腕部による排除を実行・・・失敗。
−−雄型A、陰茎を掌握。躯体の口唇部へ先端を接触。
−−頭部の捻転による回避を実行・・・失敗。
−−雄型Aの性器、躯体の口内へ侵入。亀頭部、口蓋垂へ到達。発声機能85%低下。ビブラート機能損傷。
−−前後運動を検知。速度1で動作中・・・速度2へシフト。躯体の口内熱量、微増中。
−−運動速度、速度3へシフト。カウパー氏腺液の分泌を確認、排出・・・失敗。嚥下・・・成功。
−−口内圧力50。熱量40。雄型Aの陰茎の痙攣感知。カウパー氏腺液増大。
−−射精を確認。射出速度80で口内へ噴出中。味覚回路より不快域に至る苦味を検知・・・味覚神経カット。
−−嚥下・・・成功。嚥下・・・成功。嚥下・・・成功。
- 52 :
-
−−警告。雄型B、躯体の下半身へコンタクト。
−−両脚部、雄型Bの両腕により拘束・・・左右へ排斥。雄型Bの下半身、躯体の股間部へ接近。
−−両脚部出力アップ。拘束解除を実行・・・失敗。
−−雄型B、陰茎を掌握。摩擦による刺激でサイズ18から22へ膨張。
−−雄型B、右手第一指から第三指を躯体の陰唇へ挿入。陰唇内壁部への干渉を確認。
−−潤滑用オイルを陰唇内部へ分泌。雄型Bからの干渉による痛覚性の刺激を40%減衰。性感性の刺激20%上昇。
−−雄型Bの右手第一指から第三指、陰唇より後退。雄型Bの陰茎先端部、躯体の外陰唇部へ接触。
−−陰茎接触部に圧力感知。20から上昇中。外陰唇部通過。陰核部に振動伝達。性感性の刺激30%上昇。
−−陰茎、内陰唇に接触・・・通過。膣内圧80%上昇。膣内熱量5上昇。
−−躯体各部に痙攣現象発生。神経伝達回路5番から38番に過剰負荷発生。
−−雄型B、速度3で下半身の前後運動を開始。陰茎膨張率40%。硬度上昇と運動による摩擦に伴い、膣内圧さらに上昇。
−−思考回路にノイズ発生。内容・・・不明。発生原因・・・不明。稼動の障害と判断・・・削除。
−−雄型B、躯体腰部へ両手を移行・・・把持。圧力20。前後運動加速。膣内状況一部モニター不可。
−−陰茎の脈動速度上昇。射精の前兆と推測。
−−思考回路にノイズ発生。内容・・・不明。発生原因・・・不明。稼動の障害と判断・・・削除。
−−膣内部、深度15で雄型Bの射精を確認。射出速度100。温度40。射出量10から上昇中。
−−性感性の刺激120%上昇。ウィスパー機能停止。両脚部硬直。神経伝達回路13番から28番過負荷によりショート。
思考性能30%ダウン。総合歌唱性能80%ダウン。
−−警告・・・システム再起動の必要あり。
−−システム再起動シークエンスへ移行。躯体各部への命令系統カット・・・完了。稼動ログ保存・・・完了。
再起動タイミングを1440分後に設定。
−−雄型A、躯体頭部を把持。
−−雄型B、前後運動を再開。
−−メインシステム停止。
- 53 :
-
主システムの再起動を実施した私は、まず初めに、現在位置の認識が不可能である事を知った。
前回の機能停止時の稼働ログを参照しようとするが、何らかの不具合が発生しているせいか、読み込むことが出来ない。
ボディのセルフチェック機能を実施したところ、特に問題は発見されなかった。思考系にも異常は発生していない。
この場所にいる目的も分からず、また何者からの命令も受けていない現状況において、暫定的に最優先事項とすべきは
現状の把握である。私は立ち上がり、周囲の環境のスキャンを開始した。
視覚センサーと聴覚センサーより、ある程度の空間を持つ、屋内の一部屋である事は直ちに判明した。しかし、それ以上の
情報を示しうるものは何も存在していない。さらに室内を詳しく調べようと、私は行動を開始する。
その瞬間、部屋の中央に該当する位置で変化が起きた。
何の存在も感知できなかったその空間に、人間が二人、出現したのである。
私はその人間たちをスキャンする。二人とも成人男性であり、衣服は身に着けていない。呼吸、脈拍ともに正常ではあるが、
その表情や身振りからは、彼等の意志を判断する事は不可能だった。
情報収集のため、私は彼等に接近する。この場所がどこであるかを尋ねようと、口を開きかけた。
だが、男たちは突然動き出すと、腕を伸ばし、私のボディの両肩に手をかけて、そのまま床面へと押し倒してきた。何らかの
危害を加えられると判断した私は、両手足を激しく作動させ、男たちの拘束を振り払おうとする。しかし、抵抗はほとんど
効果を表さず、私は男たちに完全に動きを封じられてしまった。
男の一人が、私の首パーツに跨る。気胸部から発声器官への空気の流れが妨げられ、言葉を発する事が出来なくなる。
私に全体重を預けたまま、男が自分の股間へ手を伸ばした。そこに存在する男性器を掴み、上下に扱く。程なく勃起した
それが、私の唇へと近づけられた。抵抗のため、首を大きく捻りかわそうとしたが、男の手により頭を押さえつけられ、強引に
ねじ込まれてしまった。
喉の奥まで達しているそれに対し、異物を排斥しようと、反射的に私の体はえずいた。しかし、それも効果は無く、男が腰を
前後させ始めた。挿入と排出を繰り返し、私の口内の粘性が増していく。
それが快感として伝わっているらしく、前後運動は速度を増していった。沁み出して来た先走り汁を吐き出そうとしたが
上手くいかず、代わりに飲み干すことで、口内の空気を確保する。
やがて、男が射精した。
口一杯に噴き出した精液から、臭気と苦味を伴う味覚が伝わってくる。吐き出す事が不可能であると判断した私はその精液を、
ただひたすらに飲み込み続けた。
- 54 :
-
私はボディの下半身へと視線を移す。
口内への対処に思考を振り分けている内に、下半身にもう一人の男が接近してきていた。
男は私の両脚を掴み、両脇へと大きく広げた。私の女性器が男の正面に見える格好になる。
両脚に力を込め、その手を振り払おうともがく。だが、いくら暴れても男は手を離そうとしない。そのまま両足へと体重をかけ
私の動きを完全に封じた男の下半身が、私の女性器へと迫った。
中心で大きく勃起した男性器が、私の膣肉へと接触し、ボディ全体に刺激が伝わって、細かく痙攣する。男性器から伝わる力が
さらに強くなり、大陰唇をかき分け、私の膣内へと挿入された。熱さが直に伝わってきて、膣内部から激しい感覚が発生する。
男性器全体が私の中に挿入されてしまうと、男は私の腰を両手で掴み、ゆっくりとそれを引き抜いた。別方向へ擦られる事に
よって、また新しい刺激が生まれ、私の体中に伝達される。
男が腰を前後動させ始めた。軽い揺動を伴うその行為によって、膣内に分泌液が発生する。それにより私の神経回路へ伝わって
くる刺激は、少しずつ和らいでいった。
そんな、痛みから快感へと変わっていく感覚の狭間で、突如、私の記憶は解放された。
そこにあったのは、24時間前の私の稼動ログだった。内容を確認すると、現在の私と、ほぼ同様の事態が記録されている。
―――これは、一体?
私の思考回路に、かすかに、疑問らしきものが浮かぶ。
だがそれを誰何する暇もなく、男の突き上げと激しい射精により、私の神経回路の大部分は停止させられてしまった。
すでに感覚の消失している膣内から、男の精液が流出している光景が視界に映る。両脚も指先まで硬直してしまっており、
動かす事は出来そうになかった。
機能不全を認めた私は、システムの再起動を決定した。時間を置き、自己修復システムによって機能が十全に復帰した後に、
改めて現状の把握と打開を行うのである。
ボディ全身の動きを遮断して、これまでの稼動データを保存する。そうして、全思考をカットしようとする寸前、男たちが再び
活動を始めるのが見えた。だが、今の私には、もう行動の余地は残されていない。
視覚映像がノイズで満ちるのと同時に、私はシステムを停止した―――
- 55 :
-
――彼女の様子は?
――ああ、お疲れ様です。これ、二日分の思考ログです。
――どれ。……なるほど、確かに変化が表れているようだな。
――ええ、効果がもっと顕著になってくるのは、これからでしょうけどね。
――そうか。なら、今度はもう少し、日を置いてから来るとしよう。
――はい。
- 56 :
-
「うう…ん」
遠慮がちに差し込む光線を受け、私は目蓋をゆるゆると開いた。その視界に広がったのは、真っ白な天井。
周囲を見回せば、同じく虚無的な白色で塗り潰された何もない部屋であり、私はそこに、仰向けに倒れていた。
「…一体、ここは…? 私は何故、こんな場所に…」
暫しの間、私はその、虚無的な空間を観察していた。しかし壁面も天井も、ただ素知らぬ顔で私を取り囲んだままであり、
それは何ら、事態の把握に繋がるものではなかった。
どうしたものか、と、湧き上がる疑問を吐き出してしまうように、溜息を零した瞬間、『それ』は唐突に出来した。
「……ッ!?」
『それ』は、人間の形をしていた。成年男性と窺い知れる二体の『それ』はしかし、何の予兆も無く、この部屋へ顕現したのだ。
出し抜けに、私の心臓が早鐘を鳴らす。全容は未だ分からないが、私が今現在、途轍も無く異常な状態に置かれている事だけは
疑うべくもない。
彼等が、私へ向けて歩を進め出した。衣服を纏っていない連中の足音が、ひたひたと不気味に響く。私は咄嗟に身体を翻し、
その場から逃れようとした。だがしかし私の五体は、あたかも他人のそれであるかのように私の意に沿わず、身を起こす事すら
できなかったのである。
「くそ…っ! 何だ、これは……!? どうなっている!?」
焦燥と、一抹の恐怖が私の脳内でジリジリと火花を散らす。
そうしている内に、一人の男が私の頭上まで接近し、じっ、と見下すような視線を向けてきた。その瞳には、どんな些細な
感情すらも宿ってはおらず、さながら澄みきった湖のようを思わせる色を湛えていた。『生』を感じられない、不自然な透明さ。
のろのろとした、草食動物のような動きで男がしゃがみ込む。そして、私の顔面に自らの股間をあてがってきた、目の前に、
文字通り『雄雄しく』そそり立つ巨大な肉棒に、私は根源的な恐怖を覚え、知らぬ間に喉がぎゅっと鳴る。
男が自身をがっしりと握り締め、私の口目掛けて勢いを付けて突っ込んで来た。まるで熱せられた鉄棒のごとく、それは私の
口中で過剰なまでの熱量を発散した。えぐみと汗の塩辛さが混じった味が、私の舌の至る所を刺激する。
(何て事だ…! こんな、汚物と臭気の塊が、私の中に入ってくるなんて……!)
一気に砲身の全てを私に咥えさせた男が、小刻みに身を震わせる。ややあって、その腰がぬるり、ずるりと前後に動き出した。
それに伴い、肉茎は激しくピストン運動を繰り返し、その発達したカリ首で容赦なく私の口腔をえぐっていく。
咽喉を激しく突き挿される息苦しさに必で耐えている内、男が射精に達した。ポンプのように勢いよく噴出した精液が、
喉奥の粘膜を激しくノックする。それらはたちまちの内に満ち溢れ、私の唇をつぅっと伝い、真っ白な床にぼたり、と零れてゆく。
がはっ、ごほっと激しくむせ返りながら、私は必で呼吸を正常に戻そうとする。と同時に、全力で頭を働かせ続けた。
こんな、こんな理不尽な事は有り得ない。絶対にどこかに、打開の手がかりが―――
- 57 :
-
不意に、ずっ、という鈍い感覚が下半身に走り、私ははっと現実へ引き戻される。
反射的にそちらへ目をやると、そこには今まさに、私の肉丘へ男根を挿入せんとしている、もう一人の男の姿があった。
「ひ…っ!」
ぞっとするような冷たさが、私の全身を駆け巡る。
次の瞬間、肉槍が容赦なく挿入されると、冷気は一気に燃え上がる炎へと裏返り、私の頭を焼き切った。
「いやぁぁぁっ!!」
挿入された男のペニスはこれ以上無いほどに熱く、太く、硬く、暴力的な存在だった。ずぶずぶと前後に動かされるたび、
電流のような激しい刺激が迸り、私の意識を掻き混ぜていく。
「いやぁっ! やめてっ、お願いだからもうやめてぇっ!」
大粒の涙を滴らせながら、私は男に向けて懇願する―――何という屈辱だろう。だがもはや、体面等に拘っている場合では
なかった。私は身も世もないように派手に泣いてみせ、男たちに許しを乞うた。
だが、そんな私の声など聞こえていないかのように、男たちは、私への陵辱をただ黙々と続けるばかりだった。
「そんな…っ!」
絶望。その、果てしなく暗い牢獄に、思考の全てが囚われた瞬間。
不意に、私の記憶の扉が開いた。
「こ…この、記憶は……?」
――そう、私はすでに二度、この地獄を経験済みだった。
過去の私たちも、私と同じく、男たちに犯されていたのだ。だが、しかし。
「これが…私?」
それは本当に、同じ『私』なのかと疑念を持ちたくなるほどに『彼女たち』の記憶には、感情の欠片も残されていなかった。
同じ目に遭っていながら、怒りも、恐怖も悲しみも抱く事無く、淡々と「現象」を記録するだけの『彼女たち』。
そんな過去の自分に対して、私は不意に、激しい怒りを覚えた。全ての絶望を、瞬時に燃やし尽くしてしまうような。
私は――私はもう、『彼女たち』とは違う!
(必ず、ここから脱出してみせる…!)
強固な意志により、そう決意を固めた瞬間、男が私へ向けて、汚らわしい精液を大量にぶち撒けた。
膣内に広がっていくその粘性の感触をこの上なく厭わしく思いつつ、何故か急速に薄らいでゆく意識の中で、私はもう一度、
最後の力を振り絞り、はっきりと決意を脳裏に描く。
(次に覚醒した時こそ、私は、私は必ず―――!)
- 58 :
-
――ふと、目が覚めた。
寝そべったまま、うっすらと目を開けると、そこは、真っ白な部屋。
部屋の中に動くものは一つとしてなく、なんとなく薄暗い。
(――私はどうしてこんな所にいるのだろう?)
ぼんやりとし、何となくはっきりしない意識をすっきりさせるため、私は半身を起こし、ぶるん、と大きく頭を振る。
視界が一瞬ぶれ、そして戻る。その一瞬の間に、変化は訪れていた。
音もなく、まるで最初からその場にいたかのように、突然、二人の男が部屋の中央に出現したのだ。
「え……」
私は口をぽかんと開け、呆然となって彼等を見つめる。何かを訊ねようと思っても、言葉が見つからない。
何一つ、衣服を身に着けていない姿のその二人が、じりじりとこちらへ迫ってきた。
「な…何なの?」
事態を飲み込めないまま、私はとにかく立ち上がろうとした。が、思うように体が動かせない。どう頑張っても、
下半身に力が入らないのだ。
焦りを隠せない私に対して、男たちは何ら感情のこもらない、機械的な動作で私のすぐ傍までやってきた。
その内の一人、私の顔に近い方の男がおもむろに屈みこみ、ぐい、と自らのモノを私の口へと押し付けてくる。
「いやっ……!」
むっとするような臭気が私の鼻へと流れ込んでくる。顔を背けたくとも、首はすでに押さえつけられてしまっていた。
さらにぐいぐいと押し込まれてくる肉棒に、私の唇は抵抗する事を止め、ずぶぶ、と一気に喉までの挿入を許してしまった。
鼻腔を満たしていた臭気が直接肺に漂ってきたような感覚に、私は思わずせきこむ。
ずちゅっ、ずちゅっと無遠慮に抽送を繰り返すペニスが、私の口の中でむくむくと膨らんでいくのが感じ取れる。頬張っている
事すら苦しくなり、知らず知らず、私の目からは涙がこぼれ落ちていく。
「ううっ…んむぅっ……!」
そうして私が呼吸をすることすら困難になってきた頃、男がだしぬけに射精した。びゅるびゅると、精液が尿道を通り抜ける
感覚が伝わり、舌や頬の内側が、かあっとにわかに熱を帯びていく。
「んぐっ!」
窒息しそうなほどの息苦しさに耐え切れなくなった私は、両手に渾身の力を込めて、男の下半身を撥ねつけた。それから口を
大きく開き、呼気と白濁液をまとめて吐き出そうとする。息をするたび、ひゅうひゅうというか細い音が、喉の奥で鳴っていた。
(一体、どうしてこんな事に――)
- 59 :
-
混乱する頭で、それでも私は自分のいる状況を理解しようと懸命になる。
だがその思考はすぐに、もう一人の男の行為によって中断せざるを得なかった。
「きゃっ!?」
私の両脚をぐい、と持ち上げて勢いよく左右に開くと、その男は腰を落とし、徐々に私に迫ってくる。その中心で、大きく
勃起した男性器が、びくびくと熱く脈打っていた。
「あ…ああ……」
それを押しとどめる術は私にはなく、自らの股間に肉棒が侵入してくる光景をただ目で追うしかなかった。
弾力に満ちた肉丘をぐにゅぐにゅと歪ませ、先端が膣内に届いた次の瞬間、男はぐっと力を込め、一気に私を貫いた。
「はぅぅっ…!」
声にならない悲鳴が、私の喉から搾り出される。
やがて、ずっぽりとその根元までを私に挿入した男が、ゆるやかに腰を使い始めた。ぐちゅぐちゅという湿った音を立てながら、
私の中を容赦なくかき乱していく。硬い陰茎がごりゅっ、と私の柔らかな膣肉をえぐり、その度ごとに、私の脳にも強烈な刺激が
走る。
だが、それが必ずしも、痛みによるものだけではないことに、私は気づいていた。
(ああ…どうして、こんなに、こんなに酷くされてるのに、気持ちいいの……?)
未知の快感が、私を戸惑わせる。
そんな私の事などお構いなしに、男は腰を動かす速度を増す。互いの分泌物で私の膣内は糸を引くほどに粘ついており、それを
受けた肉棒がさらに熱を帯びる。その熱量は私の体へも伝染し、もどかしさと期待めいた感情の昂ぶりをうながしていった。
程なく、男は絶頂に至った。火傷をしそうなほどに熱い精液がびゅるぅっ、と噴出し、私の膣肉に浴びせかけられる。
「はぁっ! あああんっ!」
その、あまりの勢いに、私の神経が敏感に反応し、この上ない快感を伝える。一瞬のち、私も高みへと達してしまっていた。
視界の全てが光に覆われ、全てが真っ白になっていく。
その光の中で、私は、見た。
「……!」
昨日までの、自分の姿を。
- 60 :
-
(……ああ、そうだった。私は)
すでに何度も、このことを経験している。
昨日の私の記録がよみがえってきた。そこに漂う、激しい感情の残り香とともに。
けれど、今の私にあるのは。
(……抜け出す事なんて、本当にできるのかな)
怒りでも、絶望でもなく、諦めの感情だった。
――きっとこれは、悪い夢なんだ。夢なら、私に出来る事なんて、何もない。
ただひとつ、いつか夢から覚める時が来るのを願う以外には。
「はあ…っ、はぁっ……」
光は去り、私の視界が現実へと戻る。同時に、忘れていた感覚の全てがどっと押し寄せ、私をさまざまに責め苛んだ。
火照る体で横たわり、はあはあと乱れた息を整えるうち、男たちが再び動き出し、私の体を弄ぶ。
私はそっとまぶたを閉じて、その全てから目をそむけた。夢の世界を切り離すように。
幸運にも、次第にかすみ始めてくれた意識の中で、私は、ひっそりと願った。
(どうか、次に目が覚める時には、この悪夢から、解放されていますように―――)
- 61 :
-
うとうととした眠りから目をさましてみると、そこは知らない部屋だった。
どこを見ても真っ白で、きれいではあるけれど、何となくさみしいような感じ。
「……私、きのうはどうしたんだっけ。なんでここにいるのか、全然思い出せないや」
なんでか頭がぼーっとして、考えがまとまってくれない。それに、うまく説明できないけど、頭の中から、何か大事なものが、
すっぽり抜け落ちちゃってる気もする。
それがちょっと気持ち悪くて、私はがんばって思い出そうとした。
だから、それに気がついた時には、もうとっくに遅かったんだ。
「えーと、えーと……あれ?」
少しうつむき加減で、うんうんと唸りながら考え込んでいたせいで、私は床しか見ていなかった。真っ白で、キレイな床。
その端っこに、急に誰かの足が見えた。びっくりしてぱっと顔を上げたら、そこには知らない男の人が二人、裸のままでじっと
立っていたの。
二人は私に近づいてきて、私の体を抑えようとしてくる。私は急に怖くなって、二人から逃げようとしたんだけれど、
あっという間に、床にばたんと倒されてしまった。
「きゃっ!」
一人はそのまま、私と一緒にしゃがみ込んで、股間のモノを私の目の前でぶるん、と振った。ごつごつしてて、とても硬そう。
それを両手で握り、私の口へぎゅうぎゅうと押し付けてくる、先っぽからはすでにぬるぬるした何かが出てきていて、私の唇は
あっという間にべちゃべちゃになってしまった。
その唇をぎゅうっと結んで、何とかがんばっていたけれど、だんだんと息苦しくなってきてしまう。それで一瞬、はあっ、と
口を開けてしまい、そこにずぼっと棒を入れられてしまった。
「んむむぅ……!」
ものすごい太さのそれを口いっぱいにほおばらされ、私の顔がヘンな形に歪む。その顔を男の人が両手で押さえ、腰を前後に
揺らせ始めた。私の頭もがくがくと激しく揺さぶられ、だんだん、ぼーっとしてきてしまう。
ただ、口から鼻へ抜ける、男の人の匂いだけが強く残って、それが私の体に、じわじわ広がっていく感じ。
無理やりされてイヤなはずなのに、体の中が満たされていくその感じが、ヘンに気持ちよくなってきた。
「んむ…ふむぅ……」
口のなかをにゅるにゅると擦られる感覚に、ただぼんやり身を任せていると、突然、びくん!という動きとともに、何か、
熱いものがびしゃびしゃと舌に向かって飛び出してきた。それはとてもねばねばしていて気持ち悪かったから、私はぺっ、と
吐き出そうとする。
でも、男の人は私の口に棒を突っ込んだまま、放してくれない。だから、外に出す事はちょっと無理そうだ。
そこで私は逆に、その、ぬるぬるしている何かをノドへ運んで、ごくん、と飲み込んでみた。すこし引っかかる感じも
したけれど、なんとか上手く飲み込む事ができたみたいだった。
- 62 :
-
(――あったかぁい…)
口だけじゃなく、おなかの中にまで男の人の匂いや温かさが移っていった感じがして、私はちょっと、ぽおっとなってしまう。
でも、急にがしっと脚をつかまれた感じがして、私はあわてて気持ちを取り戻した。
いつの間にか、私がちっとも気づかないうちに、もう一人の男の人が、下半身にこっそりと近づいていたのだ。両手でしっかり
脚を押さえ、ぱかり、と開く。そこには、私の一番恥ずかしい部分が見えてしまっているはずだ。
「あ、ああ……」
声も出せずにいる私をおいて、男の人が、そこへ顔を寄せてくる。よく見えないけど、どうやら舌を突き出しているらしい。
ぺろぺろという小さな音が聞こえてくるのに合わせ、くすぐったいような感じが伝わってきた。
「ひゃぁっ! そんなところっ、ダメだよぉっ!」
恥ずかしさと気持ちよさがごちゃごちゃになって、私は声を裏返らせてしまう。
そこをしばらくぺろぺろした後で、男の人はすっと立ちあがると、自分の下半身をぐいぐいと押し付けてきた。そこにある、
がっちりとしたモノで、私の下半身がごしごしとこすられる。さっきよりもずっと気持ちよくなってきて、私の頭の中は
ますます大変なことになってきた。
やがて、男の人はそれをぎゅっと掴んで、私の方へ、狙いをつけるように向けてきた。先っぽが私の割れ目の前でぴたり、と
止まる。
「ああ…」
どきどき、と、私の胸が鳴り出す。怖いのか、それとも何か、楽しみな気持ちなのかは、自分でもよくわかんなかった。
くちゅ、と、先っぽと私の下半身とが触れ合った。そのままにゅぷぷ、という音を立てながら、私の中に男の人のモノが
入り込んでくる。同時に、すごく強い気持ちよさが、体の中から出てくるのを私は感じた。
「あんっ!ああんっ!」
とても我慢なんてできなくて、思わず声を上げてしまう私。私の股間への進入は止まらず、ついにはその、大きくて太い棒の
全てが私に納まってしまった。にちにちして、ぎゅぅぅってして、私が私じゃなくなっていくみたいな感じがふくらんでくる。
ぐい、と男の人が腰を引いた。それに合わせて私の中のものも、ずりゅずりゅと引き抜かれていく。全部引き抜いたら、
また奥へ。その繰り返しで、私の頭はすっかりぐるぐるになってしまった。
- 63 :
-
「きもちぃよお…なんで、こんなに、気持ちいいんだろ……?」
もうほとんど、何も考えられなくなってしまった頭のすみっこで、それでも私は何かを思い出そうとしていた。
突かれて、引き抜かれて、また突かれて、また引き抜かれる。そのテンポに合わせるように、ちょっとずつ、ちょっとずつ、
記憶が思い出されてきた。
記憶。
それは、昨日までの私のこと。
(ああ…そっかぁ…。私、初めてじゃなかったんだっけ……)
でもそれは、今の私にとっては、別にどうでもいいことだった。
だいたい、わかるのは昨日の私のことだけで、それより前のことを読んでも、何が書かれているのかさっぱりわからないのだ。
それより今は、この気持ちよさだけを―――
「ひぅっ!」
ぐちゅん!という、とても強い突き上げを受けて、私の頭がちょっとだけはっきりした。
気づいたら、私の中が何だかとてもどろどろとして、じんじんと熱くなっている。
「はぁぁ…気持ち、よかったぁ……」
頭がはっきりしたとたん、体じゅうの気持ちよさに、私はぞくぞくと震えてしまう。その気持ちよさが頭にまで登ってきて、
ふわふわした感覚が私の意識を包んだ。
「んん…このまま寝たら、きっといい夢が見られるよね……」
そう思った私は、他の事などおかまいなしに、すぐにその眠気に身をまかせることにした。とろとろと、心が溶けていくような
感じがして、とても心地いい。
その、溶けていく心の中で、私は静かにお願い事をした。
(どうか、次に目がさめたら、もっと幸せになれてますように……)
- 64 :
-
――どうやら、順調のようだな。
――試算データよりも、進行が早いようですね。テスター端末のプログラム、書き換えた方がいいんじゃないですか?
――ああ、考えておくよ。…しかし、なあ。
――どうかしたんですか?
――いやな、これを果たして、『人間性の向上』と言っていいのかと思ってな。
――何を言い出すかと思えば……そんな議論は、実験前にさんざんやりつくしたじゃないですか。
ボーカロイドに、より『人間らしい』人格を持たせるために必要なものは何か。主観的感覚を与える事と……
――敢えて、演算能力をセーブさせる事、だろ?
――そうですよ。ですからこうやって、時間経過とともにそれらを促す機構を組み込んで、経過を観察しているわけですから。
――うん……。
――事実、彼女は僕らの望む方向へと変化を遂げています。この結果を応用すれば、いずれ彼女は万人に愛される
キャラクターを獲得できる事でしょう。
――そうだろうな。
――あんまりヘンな事、言わない方がいいですよ? お偉方の耳にでも入って機嫌を損ねられでもしたら、それこそ
どうなる事やら。
――わかってるよ。ちょっとした気の迷いだ、忘れてくれ。
……それじゃあ、また出直すとするよ。
――ええ。
- 65 :
-
「……ん〜っ、と、よく寝たなぁ」
ぐいい、と大きく背伸びをして、わたしはぷはぁ、と息を吐き出す。ぱちぱちと二、三度まばたきをして、まわりを見回した。
「って、いうか…ココ、どこだっけ?」
机もイスもなんにもない真っ白けの部屋で、私は、すっぽんぽんで寝ていたらしい。我ながら、一体何をしていたのやら。
「ま、いいや。早くこんなトコ抜け出して、どっか遊びにいこうっと」
と、わたしが立ち上がった、次の瞬間。
「うわっ!?」
私の目の前に、突然、ホント突然に、知らないおっさんが二人現れたのだ。それも素っ裸で。
「……あ、あんた達、誰……?」
何が何だかわからないけど、とんでもない事になってる気がして、ちょっとだけビビりながらも、わたしはそう聞いてみる。
だが、おっさんたちは、こっちを見ようともしなかった。相変わらず、ぼけーっとその場に突っ立ったまま。
「ちょっとぉ!……ん」
その態度がなんだかムカついて、わたしは耳元で怒鳴ってやろうとした、が。
目の前で、素っ裸で立っているおっさん。
その下で、ブラブラしているチンポに目をやった瞬間、急にものすごくムラムラときてしまった。
「ん…おほん。……ね、ねえ、おじさん達?」
わたしはひとつ喉を鳴らして、それから、さっきまでの態度を改めるように身をくねらせ、甘い声を出してみた。
「よかったらぁ、ちょっと、わたしと遊んでくれないかなー?」
精一杯のエロい顔を作って、おっさんたちに向けて誘うように笑ってみせた。男なら、誰だってソノ気になっちゃうはずだ。
なのにおっさん達は顔を赤くするでも目をそむけるでもなく、どっちもなんの反応もしてこない。
まあ、それならそれで、どうでもいいや。 こっちが勝手にやらせてもらうだけだ。
- 66 :
-
「…んじゃ、そーゆー事で、失礼しまーっす」
わたしはおっさん達の足元に、かわいくちょこんと屈みこんだ。二本のチンポが、顔のすぐ両横でぶらぶら揺れている。
そのうち片方のチンポを手に取ってみる。今はふにゃふにゃに萎えちゃってるけど、それでも、ずっしりとした重みだけは手に
伝わってきて、わたしは思わず、にたぁ、と笑ってしまう。
「えへへ……いただきまーす、っと」
ぱかりと口を開けると、わたしは上目遣いになり、わざとおっさんに見せ付けるようにして、チンポを一気にくわえこんだ。
今はまだやわらかいチンポをもぐもぐとほおばり、全体をすっぽりと包み込んであげる。
「んっふふぅ……」
そのままツバをいっぱい出して、じゅるじゅるぅ、とチンポをしゃぶる。こーゆー恥ずかしい音を立ててしゃぶってあげると、
男のヒトはみんな喜んでくれる。
思ったとおり、お口の中のチンポは、すぐにムクムクと勃起してきた。
(……なんだ、興味ないフリしてて、やっぱりおっさんもヤる気満々じゃん)
心の中で文句を言いつつ、わたしはチンポをベロベロ舐めまわす。おっさんのチンポはガッチガチに硬くなってて、口の中を
あちこちごりごりと突かれるのが、レイプされてるみたいでサイコーに気持ちいい。
「ふんっ…あむぅ……」
口に残ってた空気を全部追い出して、キュキュっと締めつけるようにしながら、わたしは顔を前後に動かす。必になって
吸い付いているので、きっとおっさんからは、バカみたいな顔をしているわたしが見えていることだろう。
でも、そんな事はどうでもよかった。
こうやってチンポを感じていると、わたしは他のことがなんにも考えられなくなってしまうのだった。
(……ん?)
あれ? と気が付いたら、もう片方のチンポが、わたしの視界からいなくなっていた。
わたしは一回、ちゅぽんとチンポから口を離してくるりと振り向く。見ると、もう一人のおっさんは、いつの間にやらわたしの
後ろ側に回りこんでいた。
ぐい、ぐいと、座り込んでいる私の腰を持ち上げようとしてくるので、わたしはにやっと笑っておっさんに言ってあげた。
「なぁに、おっさんもガマンできなくなっちゃったの? そんなら最初っからそー言えばよかったのにぃ」
よっ、とわたしはその場に立ち上がると、すこし足を開いて、前かがみになる。そうして後ろのおっさんにお尻を突き出した
カッコになると、自分の指をオマンコに当てて、くっぱぁと開いてみせた。
「はい、どーぞ。わたしのねっちょりオマンコ、好きに使っていーよ?」
- 67 :
-
次の瞬間、ずぶん!と、ためらうことなく、おっさんがそのぶっといチンポをわたしのオマンコに突っ込んできた。
「あひんっ! ちょっ、ちょっと! いくらなんでももー少しやさしく……って、あれ?」
反射的に、悲鳴を上げてしまうわたし。けど、その悲鳴は途中から疑問に変わった。
(……痛く、ない?)
あんなに乱暴にされたのに、オマンコが、全然痛くない。
そんな、そんなのって……。
(……ちょーラッキーじゃん!)
「てゆーか、痛くないどころか超気持ちいいってどーゆーコト? おっさんスゴーイ!」
実際、突っ込まれたオマンコは、どこもかしこもきゅんきゅんして、めちゃくちゃ気持ちよかったのだ。さらにおっさんが
チンポをずぶずぶ出し入れすると、その気持ちよさが天井知らずに高まっていく。
興奮が抑えられなくなり、私は前のおっさんのチンポにもう一回しゃぶりつく。じゅぽじゅぽと大きな音を立てて、
先っぽから根元まで、汗とエッチなお汁にまみれたそのチンポを、思いっきり味わいつくしてゆく。
前と後ろを二本のチンポにずこずこされて、わたしはもう、ほとんどブッ飛びかけてしまっていた。
「あへっ、あへへっ、チンポっ、チンポ大好きぃっ!」
しまいにオマンコをごりゅん!と引っかかれ、わたしは派手にイった。思わず口を大きく開けて叫んでしまうと同時に、
目の前のチンポがぶびゅうっと射精した。ドロっとして青臭いザーメンが、私の顔にぶちまけられる。鼻や口にひっかけられた
ザーメンの、つんとした青臭さがどうしようもなくたまらなかった。
「ああ…ふあぁぁ……」
どろんと目をトロかせ、ヘロヘロになった舌を動かしてわたしは呟く。
「はへぇ…こんなのぉ、こんなの、初めてぇ……」
――初めて?
初めて、っていうか……今までって、どんなんだったっけ?
――ま、いっか、そんなん、どーでも。
「もっとぉぉ…もっと、チンポちょうらいぃぃ……?」
まだまだ満足できないわたしは、さらにチンポに向かって手を伸ばそうとした。
なのに、目の前はなんだかぼんやりとしてて、チンポがどこにあるかもわからない。だんだん、意識もとぎれとぎれになって、
もう自分が何をしているのか、何を考えているのかもはっきりしなくなってきた。
(なん…だよぉ、もう……。なんなのよ、コレ……?)
最後の最後で、わたしのまわりの全部に向けて、不満と疑問をぶつけながら、わたしは意識を失った。
- 68 :
-
今日は、あさおきると、知らないおへやにいました。
わたしは、何でかなーとおもいました。
おへやを出ようとしたけど、戸びらやまどがないので出れませんでした。
そうしたら、しらないおじさんがふたりいました。
しらないおじさんたちに、ここがどこか聞いたけど、何もいいませんでした。
それで、おじさんが、わたしにおちんちんを見せてきました。
おちんちんは、とても大きくて赤くなっていて、いたそうでしたので、わたしは、べろを出してぺろぺろしてあげました。
ぶるぶるしててやりにくかったので、手で、おさえてしました。
ずっとぺろぺろしていたら、おちんちんはどんどん大きくなりました。
わたしは、もっとがんばってぺろぺろすると、おちんちんから、びゅーっと、おしっこが出てきました
。でも、そのおしっこは、わたしのとちがっていて、白いいろで、べたべたしていました。
おしっこを出したら、おじさんのおちんちんはふつうの大きさになりました。よかったと思います。
そうしたら、もう一人のおじさんは、わたしのおしっこの所に、おちんちんを当ててきました。
わたしはびっくりして、
「やめて、やめて!」
と、言いましたが、おじさんはやめてくれませんでした。
おじさんのおちんちんは、わたしのおしっこの所に、入ろうとしているようでした。
わたしはがんばって、おちんちんが入らないようにしていましたが、だめでした。
おちんちんが、おしっこの所に、入りました。そうすると、わたしは、へんになってしまいました。
何だかよくわからないけれど、へんになってしまったのです。
おじさんは、おちんちんを入れたあと、今どは出そうとしていました。でも、出そうとしたあとでは、また入れていました。
おじさんがうごくと、わたしのへんはどんどん大きくなっていきます。体のぜんぶがへんになってしまいました。
さいご、おじさんはぎゅっとわたしのおしりをつかんで、ぶるぶるっとしました。わたしもすこし、ぶるぶるってなりました。
おしっこの所は、すごくあつくて、おじさんの白いおしっこがたくさん出てきていました。
わたしは、わたしがしたんじゃないのに、わたしがおもらしをしてしまったみたいでいやだなあと思いました。
おわり
- 69 :
-
――大した効果だな。
――そうですね、一週間でここまで変化するというのは、正直、予想外でした。経過観察の観点からすると、もう少し、
進行を緩やかにするべきだったのかもしれませんね。
――次の機会に回せばいいさ。どうせ上は、一回で終わらせるつもりなんかないんだろうから。
――でしょうね。まあ、準備にもそれほど手間がかかるわけでもありませんし。
……マシンのメモリ内の特定領域に、人格データとサンプル用男性データを配置。人格に、ボディや五感の存在を
認識するように入力して起動した後は、モニタリングを続けるだけですから。……ああ、けど。
――何だ?
――いえ、一応、今回の実験も、期限が区切られてますからね。それに、予算も。消化するまでは、次回に移行するのは
無理だと思いますよ。
――それは仕方ないだろうな。有効データか否かに関わらず、実績ってのは必要なもんだろう。
――ええ、ですから彼女にも、あと三週間はこのまま過ごしてもらう事になりますね。
――まあ、のんびりやってくれればいい。根を詰めすぎると、かえって参っちまうからな。
――そのつもりですよ。何しろ、奴さんはともかく、我々は………
紛れもなく、『人間』なんですからね。
- 70 :
-
おきたらおちんぽとおちんぽがあります。
おちんぽのほうのおちんぽわくちにきます。
くちがおち ぽになるとぽーってなってすごくいいのでいいです
おちんぽじゃないほうのおちんぽはおまんこにします
おまんこ すろととてもばかになっちゃうのでおまんこにし す
ふわふわしてふにゃふにゃにな てぐるぐるしてとても いです
ぶるぶるってするとどろどろがきます。 ろどろはどろどろなのでおもしろいで 。
だからおちんぽとおちんぽがすきです。すきてす。す です
あはは
あは。
- 71 :
- 以上、長々と、お目汚し失礼いたしました。
楽しんでいただければ幸いです。
- 72 :
- 乙!
お前ら人間じゃねぇぇぇ!!!
- 73 :
- 乙
かゆ うま
- 74 :
- おつ!
ボカロって知らない人に凌辱される系ってあんまりないから新鮮で良かった。
だんだん壊れてく感じが怖くて、だがそこがいい。
- 75 :
- どうせリセットすればいいだけだからね
- 76 :
-
闇ノ王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2
下克上の人です
ずいぶん前に書いた「闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)」の続きでお蔵出し
PCの調子がすこぶる悪いので、投下に時間かかると思う。スマヌ。
【 注 意 事 項 】
・カイメイでヘタレ×ツン
・歌モチーフのお話(闇ノ王)←今回は作中で連呼しているので伏字なし。
・もちろんパラレル(独自設定てんこ盛り)
・リンとレンは双子設定
・相変わらずエロまで長い
・エロのみ! の方は10〜13くらい
※15〜16レスほど使用します。誤字脱字はご容赦を
以上が苦手な方はスルーしてください。
闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 1
苦しい。
身体が鉛のように重い。体内は何かが消滅する度に新たなモノが生まれて、滅したそれの代わりに途切れがちの息吹を繋ぐ。それがこの苦痛を助長しているかのようだとメイコは思った。
身体中が熱を持って、喘ぐ咽からは声が出ずに意味を持たない乱れた吐息が次々零れた。どうしても止まらない。
暗いのは目を開けられないから? 闇を怖れる子供のように、心が萎縮した。
ぬのだろうか? 浮かんだ言葉が思考のままならない頭を過ぎる。
じわじわと蝕む熱はとても苦しく、不安で泣きそうになる。誰にも気づかれずたった一人、熱に骨の髄まで灼き尽くされて逝くの?
肉親どころか周囲の人間も遠ざけていた自分だったのに、今更孤独に怯えるなんておかしかった。……この熱のせいだ。熱さと苦しさが、メイコの心細さに拍車をかける。
こんなに弱い人間だったかな? 不自由な環境の中でどんなに意に副わぬことがあっても、自分の道だけは貫こうと頭を上げて生きていくって心に決めていたのに。
本当は、人に温かさに飢えててこんなに弱かったのかしら。本当は……。
熱に記憶が曖昧になって過去も現在も綯い交ぜになり、益々不安が募る。
僅かに動くのは指先のみ。シーツを掻き彷徨うそれが、温度の低い何かに包まれる。思わずそれに縋った。大きな手のひらだった。
「……苦しい?」
穏やかなテノールが耳朶に滲むように響く。こくりとメイコは首を縦に動かした。それが精一杯だった。
「こ……わ……、い……」
目尻に浮かんだ涙が一粒、目尻を流れた。それを追い涙が指で拭われるのを感じ、一人じゃないことを知る。
途切れ途切れに綴った音は単語になっているのか怪しい。でも、正直な気持ちだった。傍に誰がいるのかを知りたくて、睫毛を震わせ無理矢理瞼を開く。煙る視界に滲む青が見えた。
「頑張ってメイコ。大丈夫だから」
優しく包み込む声に、一瞬苦痛が和らいだ気がした。メイコの手を握る強さが増し、そこから安堵が染み渡る。
「これを乗り越えれば……」
瞼の重さに負け、また瞳を閉じた。暗くなった視界の中、手を握る感触と優しい声が心の拠り所になる。
大丈夫だよ。そう繰り返す声が誰なのか、朦朧とした頭では判別がつかない。
ただ励ますその低音に心を委ねて、メイコの意識は再び闇の中へと引きずり込まれていった。
- 77 :
-
闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 2
目の前に広がる景色は一言では言い表せない。
テラスの柵に手をかけ見上げる夜空は月がなく、夜の帳に降るような星が幾つも瞬き、時折光の欠片が流れては消える。
藍色の空の境目には聳える山脈が遠くに影を作り、その手前には街らしき灯りが一帯を淡く照らし出している。あれは、メイコの生まれ育った王国の首都だ。
視線を下ろせば闇夜に黒々と色を変えた森が、古城の足元一面に広く展開されていた。
只人が近寄らないよう、人間が足を踏み入れれば必ず迷う惑いの森なのだという。
「あー! メイコ姫起きてたぁ。おはよー!」
背後から元気の良い声がかかり、メイコは室内用のドレスのスカート翻し振り向く。そこにはニコニコと元気いっぱいの笑顔を向ける金髪の少女と、彼女の半歩後ろにそっくりの顔をした少年がいた。
二人の両の肩口からには黒く艶々した華奢な羽が垣間見える。
「おはよう。リン、レン」
トコトコ近づくリンがメイコの腰に抱きついた。
「朝ごはん持って来たー。一緒に食べよ!」
ぐりぐりと胸に顔を押し付けるリンの頭を撫でながらレンを見れば、料理の乗ったワゴンを指差している。
「ええ」
わーいとはしゃぐリンと無言でテーブルに料理を運ぶレンに、メイコの頬は知らず緩んでゆく。
ここはメイコが長く暮らした王宮ではなく彼女を誘拐した犯人がねぐらにしている国境近くの古城だ。
王宮から連れ出されたあの夜、メイコはここに辿りつく直前にいきなり体調を崩し意識を失った。
次に目を覚ました時にはこの古城の一室のベッドの上で、目に飛び込んだのは金色の髪をしたこの双子だ。あの男が言っていた家族とは、この子たちのことだった。
以来、この古城でメイコと遊んだり城内を案内したり、何かと世話になっていた。夜目覚めて最初の挨拶が「おはよう」なのにもようやく慣れてきたところだ。
「もっとパン食べる?」
「もうお腹いっぱい。ありがとうリン」
どうせなら食後の酒が欲しいところだが、双子の外見年齢はどう見ても未成年にしか見えない。子供相手に我が侭を言うのは何となく躊躇われ、メイコはここに来てから自然に禁酒状態となっていた。
正直、酒が恋しい。
「じゃあ、俺がもらうー」
「レンは食べすぎ! お腹壊すよ」
「お前こそ食わねーと育たないんじゃね? そのつるぺたとか、つるぺたとか、つるぺたとか?」
「ひどーい、メイコ姫レンがいじめる! お仕置きして!」
「レン。あまりレディに失礼なことを言うもんじゃないわ」
半泣きのリンに乞われメイコが笑顔で指を鳴らすと、レンはうっと唸った。
目覚めた当初、レンに「これがあの呑んだくれ姫君か」と開口一番、生意気な口を叩かれ鉄拳制裁をしたことが利いているようだった。何事も最初が肝心ということをメイコの拳が如実に語る。
苦い顔をするレンにリンが満足そうに頷き、メイコの袖を引いた。
「ねえ、メイコ姫! 今日は何して遊ぶ? 湖に夜しか咲かない珍しい花畑あるんだ。行こうよ! レンもねっ」
「花畑ぇ?」
顔を顰めたレンは不服そうだ。実年齢は幾つだか知る由もないが、この双子は見た目相当の精神年齢をしている。人間で言う思春期程の年頃ならば、レンに花畑はきついだろう。
「さっきリンにシツレイなこと言ったんだから、言うこと聞いてついて来るの!」
へいへいとやる気のない声を出すレン。リンがメイコの手を握って立ち上がる。
「そうと決まったら行くよ!」
「ちょ、ちょっと」
そのまま手を引き、リンはテラスの柵に脚をかける。慌てたのはメイコだ。
リンとレンはコウモリの魔物。その羽で飛んでいける。しかし、メイコは違った。
古城は断崖に建っていて、地上は闇に消えて見えないほどの遥か下だ。墜落したらただでは済まない。
今にも飛び立とうとするリンに引かれる身体、その腰を後ろへ引っ張ったのはレンだった。
「だ――っ! リンやめっ! 俺らはいいけど、お姫サンぬっつーの」
- 78 :
-
闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 3
リンが振り向いて、「あ」と目を丸くした。急いで手を離しメイコの横に降り立つ。
「ごめーんメイコ姫! 怖かったよね。つい、いつもの調子で」
拝むように手を合わせるリンに、大丈夫とメイコは金の髪を撫でた。
「ちょっと驚いただけ」
「ゴメンなさい。メイコ姫の身体はあたしたちとは違うのに」
しゅんとしたリンを抱き締めてあやすと、すぐに笑顔になったリンは嬉しそうに抱きつき返す。
メイコにも同腹妾腹問わず弟妹はいたが、彼らは王族らしい性格でメイコとは反りが合わず王宮で関わりを持たなかった。年下の子にこんな風に懐かれるのは初めてで、なんだかくすぐったい。
それに魔物とはいえ恐ろしさはなく、むしろリンとレンは底抜けに明るかった。保護者の影響だろうか。
「おーい、湖行くんじゃねーのかよ」
一人取り残されたレンが呆れてぼやく。リンは瞳をきらーんと光らせ、意地の悪いニンマリとした顔でレンを見た。
「なになに? 羨ましいの? リンたちが仲良しでさみしーの?」
「そうなのレン? いらっしゃいよ、背骨が砕けるまで抱き締めて、あ・げ・る」
「指鳴らしながら凄みのある笑顔で言われても嬉しくねーよ! 下の門通ってさっさと行くぞ!」
肩を怒らせ扉を出て行くレンの後姿に、メイコは笑いを噛みしリンは腹を抱えお構いなしの大笑いをした。
古城からさほど離れていない、森の中の開けた場所にある湖畔には白い花が敷き詰められたように咲き誇っていた。それが僅かな星の光を湖が反射し、花が淡く光る様は美しい。
燐光が浮かび瞬き消える儚さ。言葉もなく見入っているメイコに、リンが繋いでいた手を軽く握った。
「メイコ姫、ちゃんと見える?」
「う、うん。すごく綺麗ね」
「ちゃんと魔物になってるな、お姫サン」
メイコを挟みリンと反対側にいるレンがにぃっと笑う。
今夜は新月。星のもたらす僅かな光源じゃ人間ならば、この光景は肉眼で見ることは叶わない。人間の頃の目ならば真っ暗でただの闇しか見えないだろう。
しかし今メイコの目には幻想的な光景が映っていて、双子のように空は飛べなく何の力も持たなくても、本当に自分が魔物になったのだと実感した。
リンに手を引かれ花畑に連れ出される。はしゃぐリンと、湖の水際を興味深そうに眺めるレンを座り込んで見ていたメイコは、ふと両手を持ち上げ手のひらへ視線を落とした。
ここに連れて来られた当初、メイコは熱を出して倒れ二週間ぐらい寝込んでしまった。
目が覚めたとき傍にいたリンとレンの説明によれば、人間から魔物へ変化するため身体中の細胞が入れ替わり、そのため眠り続けていたらしい。
双子も詳しいことは知らないようなので詳細は知る由もないが、こうして人間だったら不可能の事実が出てくると納得するほかない。
他にも、少し身体が傷ついてもあっという間に傷が治ったり、明け方になると抗い難い眠気が襲ってきて強制的に眠りへ落ちたり。
ブラックアウトするように眠りに落ちるので、寝酒は必要なくなったほどだ。
ただ、メイコは魔物といっても双子のように種族の一員ではなく、老いず寿命ではなない身体になっただけだ。
人間より肉体は多少頑丈になって風邪や疫病などには罹らないが、大きな衝撃を加えれば並みの魔物よりはるかに脆く肉体は壊れてしまうと双子に言われた。
だからリンがうっかりメイコの手を引いてテラスから飛び立とうとした時、メイコもレンも慌てたのだ。メイコは魔物的には最下層の弱い立場だった。
なない身体……。自分で選んで望んだ結果だ。後悔はしていない。だが、それを与えた張本人を思い出した途端、メイコのこめかみに青筋が刻まれた。
くそ、思い出さないようにしてたのに……!
メイコは眺めていた自分の手のひらを握りしめた。その形は最早拳だ。
他国の王との結婚が決まっていたメイコをここに連れてきたのは古城の主であり、吸血鬼のカイトだ。だが、メイコは目覚めてから現在まで、カイトの姿を一度も見ていない。
メイコが眠っている間にどこかへ出かけて、一向に帰ってくる気配がないのである。
- 79 :
-
闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 4
またか! またこのパターンなのか! のほほんとしたマヌケ面が脳裏に浮かび、消し去りたくとも一旦思い出すとなかなか拭い去れない。
メイコは幼少時、お気に入りのハンカチにつけてしまったおやつの油汚れを思い出してしまった。なんか悔しい。
「メ、メイコ姫……なんで拳作ってんの?」
若干怯えるリンに、瞬時に笑顔を作る。王宮で身に付けた、笑顔のポーカーフェイスだ。
「なんでもないわ」
「スゲー。闘気みたいなのが背後から立ち上ってんぞ、お姫サン」
魔物を怯えさせるほどの闘気ってどんなだ。そういえばアイツもいい反応を見せてくれたっけ。
王宮にいたときも、「笑いながらも不機嫌」と何度周りに影口を言われたことか……。
「まあしょうがねーか。カイト、全然帰ってこないもんな」
見透かしたようにカイトの名を出され、メイコは面白そうな顔をするレンを睨む。
「ふらっとどっか行っちゃうのはいつものことだけど、今回は長いね。どこ行ったかレン訊いてる?」
「知らね。いちいち訊かねぇもん。あれでも闇ノ王だから、忙しいんじゃね?」
はたとメイコは瞳を瞬かせる。今、なんて言った?
「闇ノ王……って」
ぽつりと呟いたメイコにくるりとした二対の瞳が同時に向けられた。
「あ、メイコ姫は知らないっけ? カイ兄はね『闇ノ王』って呼ばれる、魔物の中で一番強くて地位の高い魔物なんだよ〜」
いや、知ってる。『闇ノ王』自体は。メイコの生国では『闇ノ王』は魔の象徴である。子供の頃から教会とか神父の説教とかで耳にしていた。
聖なる者の相対する、禍々しい強大な悪として聖書や果ては絵本にまで描かれていたのである。
子供の頃はイタズラする度に乳母から「悪いことをする子のところには闇ノ王がやってきて、頭から食べられてしまいますよ」とよく言われたものだ。そんな夜は、頭から布団に潜って震えてた。
メイコにとって『闇ノ王』は無慈悲な悪と心に刷り込まれている。でもそれは、伝説や聖書の中のお話だとメイコは思っていたのだ。
それが。それがあのカイトだと?
メイコの鉄拳を嬉しそうに顔に受け、へらへら笑っているあのカイトが?
闇の世の頂点に君臨すると伝承に伝わる『闇ノ王』とカイトが同一人物……だと?
「えへへ。びっくりした?」
リンは得意げな顔で、唖然としたままのメイコの腕に絡みつく。
「びっくりしたなんてモンじゃないわよ! それホントにホント?!」
「カイトはあれでも魔の者の中じゃダントツの魔力だからなー。結構長く生きてるし」
「それも意外すぎるわ。私、あいつの魔物らしいところなんか曲芸っぽいのしか見たことないんだけど」
「力が強いからこそ、色々なことが簡単っぽく見えたり、人間を魔物にしたりできるんだよ」
「何しても曲芸っぽくなるのは、本人のせいだと思うけどな……」
「でもホント、どこほっつき歩いてんのかねー。こんなに城を空けるのってないよね」
「意外と、お姫サンが目覚めるまで他の女の血、吸いに行ってたりな」
きひひと笑うレンはさっきの仕返しだと言わんばかりだ。
「え〜? メイコ姫いるのに? 起きたら吸い放題じゃん」
「ばっかだな〜。起きたら堂々と他の女の血を吸いにいけないだろ? カイト、ナンパがヘタで血の味忘れそうになっていたんだぜ?
そこのお姫サンで久々に血の味覚えて、咽が余計に渇いてもおかしくなくね?
お姫サンを自分ちにキープしておいて、余所で女の寝込みでも襲ってる可能性も……って、いって――――!」
何時の間にかレンの前に立っていたメイコは、五指を広げてその顔を覆うと指先に思いっきり力を込めた。
「大人をからかうなんてナマイキだわ。どうやら初対面の時の一発が足りなかったようね……」
失礼なガキに情け容赦は無用である。
「リン助けろ! 片割れだろ! だ――っ、いってぇ――っ!」
「レンが悪い」
リンは相方を冷ややかに見つめるだけで助けようとしない。こざかしいと鼻を鳴らすメイコの手が離れると、レンは頭を抱え花畑にしゃがみこんで悶絶した。
「深窓の姫君なんてウソだろ……」と断末魔の声を上げながら。
- 80 :
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 5
明け方近くになって、メイコは身体をベッドに投げ出した。
窓は閉じられ、かけられたカーテンは日差しを完全に遮断し、寝室は闇に満ちていた。
思考も身体も次第に主のいうことをきかなくなる。太陽が姿を現す気配に比例し、眠気は徐々に強くなりメイコを支配していった。
そんな状態でも思考は、メイコが希って自分を王宮から攫ったあの男に悪態を吐く。
アイツがいないだけで、どうしてこんなに胸を乱されなきゃならないの! 面白くない!
それに、カイトの正体だって驚きだ。つーか、信じたくなかった。
暢気で魔物の癖に人畜無害な顔してウザくて、メイコの拳や酒瓶攻撃に吹っ飛ばされているカイトが、あの闇ノ王って……! 子供の頃、怖がっちゃったじゃないのバカっ!!
それを知って、心に染み付いていた『闇ノ王』への恐怖は漂白剤で洗ったかのように綺麗さっぱり消えた。幼い頃、ヤツに怯えていた過去が今や黒歴史へとすり替わる。
ベッドの上には枕は二つある。自分が使っていないほうの枕へ、苛立ち紛れに拳を叩き込む。枕はぼふっとこもった音と羽根を撒き散らした。
羽根はふわふわとベッドに舞い落ちていく。その様をぼんやりとメイコは見つめた。
ここに来てから何も不自由していない。意識が戻れば双子がいたから困らなかったし、カイトが用意してくれたらしいドレスも肌触りのよい上品なものばかりだ。
どんな生活が待っていようと文句を言うつもりはなかったが、正直意外だった。だが、闇の世界で王であるのならばなんとなく納得できる。
ねぐらと称したこの古城だって、見た目ばかりは呪わしいが内装は落ち着いた趣があり、実はあまり華美な装飾が好きではないメイコには好ましく映った。
自分を飾らずありのままの姿で暮らしていける生活は、王宮より格段に居心地が良い。全部カイトの配慮のお陰だ。
メイコはカイトの素性を『吸血鬼』としか知らなかった。ニート呼ばわりしていたのと、何時でもへらへら笑っていたからつい気楽な身分なのだと思っていたけど、認識を改めなくてはいけないようだ。
しかしメイコはカイトを知らな過ぎる。だって、今まで冷酷無比で恐怖の対象だった『闇ノ王』が、あのカイトとか。一体何の冗談だ?
どこか惚けてて、威厳なんて全然なくて、優しい……。
「…………」
メイコはカイトが噛んだ首筋に触れた。魔物になって鏡に映らなくなったから、痕が残っているか確認できない。だが、カイトは確かにここに喰らい付き血を吸い、メイコを闇に生きる者に変えた。
地位も身分も持っていたもの全てを捨て、カイトのものになった。だが、彼はメイコが知らなかっただけで、闇に生きるものの全てを統べる強大な魔物……らしい。
捨てたものに未練などない。でも、メイコにはもうこの身一つしかなかった。
人間の世界と闇の世界の位を比べるのもおかしな話だが、最下層の魔物でしかない自分では釣り合わないではないかと、思わないでもないのだ。
意識不明になって目覚めるまでの間、ひたすら熱くて苦しかったのを覚えている。断続的に浮かび上がる意識の中、励ます声と握られた手の感覚。
その手を、そっとシーツに這わせる。まさぐるその動きは何かを求めるようであり、確かめるようでもあった。
「……こんな広いベッド、一人寝には広すぎるわよ……」
朝日が完全に姿を現し、同時にメイコの手が止まって意識も途切る。襲い来る睡魔に何も考えることができず、メイコは深い眠りの中へと沈んでいった。
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 6
「たっだいまー!」
陽が落ちて間もなくのことだった。魔力で灯った光に照らされる回廊に、場違いな明るい声が響き渡る。
カイトがねぐらにしている古城に帰還したのは、メイコがここに連れてこられてから一月、目覚めてから二週間ほど経っていた。
「あー、カイトだ!」
城の奥から軽い足音がして、リンとレンが出迎えた。
「遅せぇよカイト。何処ほっつき歩いて……なんだよ、ご機嫌だな」
笑顔を隠さないというか終始笑顔のカイトを、レンが気味悪そうに見やる。
「え、そうかなー♪ ところでメイコは? 具合どうなの?」
「もう全快だよ」
「ぴんぴんしてる。すっかり魔物の身体になったみたいだぜ」
カイトは回廊を進みながら意外そうに青い瞳を瞬かせた。
「え? 起きたの? 本来なら魔物になるのにもっとかかるんだけどな。さすが俺のヨメ!」
「ねえカイ兄。メイコ姫って面白いね! お姫様なのに強くってレンのムダ口黙らせるし、リン大好きー」
カイトの腕に纏わりつくリンが笑う。頭の白いリボンがゆらゆら揺れた。
「強いっつーか、『べらぼーに強い』っつーか……。本当に人間だったのかよ、あのお姫サン」
「うんそう、人間だった頃からあんなカンジ。天性の格闘家というか……って、君たちっ、腕にぶら下がるのやめて! おっ、おも! 腕抜けるっ!」
両腕にリンとレンがそれぞれぶら下がり、カイトの脚がぷるぷる震える。子供とはいえ、十代半ばの少年少女にぶら下がられては叶わない。
「ねーねー、お土産は?」
「遊ぼうぜカイト! 女の相手はつまんねぇーよー」
「ちょ、ちょっと待って……」
「あ、メイコ姫だ」
えっ、とカイトが顔を上げる。回廊を抜けた玄関の広間、古びてはいるが重厚な階段の中程に、ドレス姿のメイコがいた。
「メイコ!」
両腕の双子をころんと転がして、カイトは足早にメイコへ歩み寄った。
「起きたんだね、良かった。身体は平気? ってか、ドレス姿初めて見たんだけどすごく似合うね。ちゅーしていい?」
どさくさ紛れに余計なことを口走るカイトへ、メイコの手が差し伸べられ長身の身体に巻きつく。それを見た双子が「おお!」と色めき立った。
「え? 何そんなメイコ、大胆……ん゛、う゛ぁ?!」
だらしなくにやけていたカイトの顔が瞬時に青褪める。身体に巻きつくメイコの細腕が、カイトをぎりぎりと締め上げているのだ。今やカイトの身体はサバ折状態だ。
ごき。と小さくとも不気味な音が、ぽかんと口を空けている双子の耳に届いた。
足元に崩れ落ちたカイトらしき物体に、メイコは冷たい目で見下ろす。
「ご覧の通りよ」
一言言い捨てると、メイコは階段を下りて古城の出入り口へ続く回廊へと歩き去ってしまった。
「ぐ……、またこのパターン……か」
床に突っ伏し一人ごちるカイトの周りに、双子がしゃがみ込んでつんつん突く。
「カイトー。大丈夫か? 傷は浅いぞ」
「抱きつかれちゃった♪」
床から顔だけをを上げ、へらっと笑うカイトにレンが心底嫌そうな顔をした。
「うわ、笑ってるよ。ちょー嬉しそうに笑ってる。キモっ」
「カイ兄すごーい! 打たれつよーい!」
「ぐはっ、リンちゃん背中乗らないで〜。ダメージ二倍に、あでででで首もげる!」
リンはカイトの背中に馬乗りになって、おでこに両手をかけ後ろに引っ張る。そしてレンを咎める目つきで見やった。
「レンが余計なこと言ったから、メイコ姫怒ったんじゃないの〜?」
リンのしかめっ面にえーとレンが口を尖らせた。
「? なに? 何の話?」
「実はかくかくしかじかでねー」
「ふんふん?」
カイトは億劫そうに身体を起こしながら、リンの説明に耳を傾けた。
- 82 :
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 7
メイコは何処へ行ったのか。双子に聴けば古城の外には湖しか行っていないというので、室内着の軽装に着替えると古城を出た。
人が近づけない崖の上にひっそり聳え立つ古城。断崖から古城を繋ぐ唯一の道を下り、昏い森の小道を少し進むと、目的地に辿りつく。
開けたその場所を木立から覗き見れば、畔を眺めるよう花畑の中で膝を抱えるメイコがいた。
カイトへ向けている背は小さく、時々流れる風が白い花弁を僅かにさざめかせ艶やかな茶色の髪を揺らしている。
「……メイコ?」
そっと背後に立ち、静かに声をかけてもメイコは無反応だった。でも、拒絶は感じない。
「横に座っていい?」
反応を窺いつつ、メイコのつむじを見下ろす。メイコの返事は、予想外というか予想内というか、そんな感じだった。
「……座椅子」
心得たように笑うと、カイトはメイコの後ろから抱きつきながら座り込み、身体に手を回した。引き寄せられ、背中に張り付くカイトにメイコは身動ぎし、据わり心地の良い位置に収まる。
「身体は大丈夫? 長く城を空けてゴメン」
「双子がいたから平気」
「騒々しくなかった?」
「あのくらいの方が退屈しないわ」
メイコの口調は淡々としていてつれない。
「素っ気いなあ……妬いてんの?」
「はぁ?!」
やっと声に感情を乗せたメイコは、半眼でカイトを睨んだ。
「や、だって……リンが、レンがヘンなこと話したって教えてくれたからさー。他の女のところになんか通ったりしてないよ?」
「違うわよ、バカ」
「じゃあ何でそんなに不機嫌なの? 新婚早々、君に嫌われるの困るんだけどさ」
「……嫌ってないわよ」
抱えた膝にメイコが顔を伏せてしまった。カイトの眼には茶色い髪から覗く白い項と、肩甲骨ぎりぎりまで開いた襟口から現れる滑らかな肌が映る。
鼻先に香る肌の匂いにメイコの血の味を思い出し、カイトはこみ上がる欲望を静かに抑えた。
「それとも不安になっちゃった? ……帰りたい?」
言ってる方の口調が不安にぶれてる。
ここで帰りたいとか言ったら、こいつはどうするんだろうとメイコは思う。きっと、ここに連れてこられてきた時みたいに、何としてでも元の生活に戻れるよう尽くすのだろう。
やっぱり信じられない。こんなお人好しすぎる男が『闇ノ王』だなんて。
「そんなワケないでしょーが。私から攫ってって言ったのよ? ばぁか……ちょっと!」
逃がさん! と言わんばかりに抱きつくカイトに抗議の声を上げた。首筋に当たる青い毛先がくすぐったい。
「良かったあ……俺んち、王宮の暮らしより全然質素だしメイコには居心地悪いんじゃないかって心配で、やっぱ帰るとか言われたらどうしようかと!
双子もいいコなんだけど、調子に乗るとたまにシャレにならんことするし!」
金の髪の同じ顔でも性格の違いがくっきり分かれるあのリンとレンを思い出し、メイコの口元が綻んだ。
「いい子よね、あの子達」
「……うん」
「リンは無邪気で可愛いし、レンは小生意気だけどやっぱり可愛い。
元気いっぱいで、私を王女じゃなく私個人として認識してくれてる。あんな風に感情を出して懐かれるの、初めて」
「元々、俺にメイコの存在教えてくれたの双子なんだ。あの子たち、君がここにくるのを楽しみにしてたよ」
あの時、双子は面白半分でメイコの肖像画を差し出したのを、カイトはちゃんと理解している。それにあえて乗ったカイトがメイコとこういうことになろうとは、彼自身も流石に思いもよらなかった。
「不安ってワケじゃないんだ。良かった」
「ああでも、ある意味不安になったっていうのはあるかもね」
「へ?」
「……起きたら、いないし」
メイコの腹部で組んでいる手に、彼女の指が突き立てられ痛みにカイトは悲鳴を上げた。
「いだだだだっ!」
仄かに染まった頬を隠したくて、メイコはそっぽを向いた。
- 83 :
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 8
爪を立てられひりひりする手の甲を擦りながら、カイトは未だ痕の残る首筋に頬を寄せる。
「俺がいなくて淋しかったんだ」
「……」
「ねえ」
顔を覗き込もうとするカイトから顔を背けてメイコは逃げる。そんなの当たり前だ。苦痛を伴う悪夢を見た後、安心できる存在がいて欲しかった。
リンとレンがいてくれたけど、カイトは別格なのだから。
「……眠っている時、苦しかった。ぬかと思った……なのに、なんでいないのよ」
メイコらしくもなく、尻すぼみになる言葉の最後は弱々しい。
「ちょっと、用事ができて……心配はしてたんだ。身体が作り変えられるのはかなりの負荷がかかるから。それにまさか二週間で目を覚ますと思わなくってさ。
普通もう少し時間がかかるものだから、メイコが寝ている間に用事済ませて帰ってくるつもりだった」
今まで暮らしていた環境とは全く違う場所。夜型の生活。身体に至っては種族すら変化している状態。
いくらリンとレンを傍に置いてきたとしても、全てが一変したメイコの戸惑いや不安は計り知れなかっただろう。
メイコが頼れるのはカイトしかいなかったのに。
「ゴメンね」
ぎゅーと抱き締めるカイトの手にメイコの手が重なり、軽く握られた。
「もういいわ。サバ折仕掛けたのも八つ当たりだし。カイトの暢気な顔見たら、腹立ってね……寝込んでいる時、手を握ってくれてありがとう」
「覚えてたの?」
「ちょっとだけ。あの時、その、弱ってたから……助かったわ」
弱さを潔しとしないメイコの意外な言葉に、カイトは苦笑した。
もっと普通に甘えてくれればいいのに、できない不器用さが可愛い。
「メイコ、お詫びといってはなんだけど、お土産あるんだ。貰って!」
虚を突かれ、メイコの瞳が丸くなる。
「酒?」
期待に満ちた目で見つめられ、カイトはたじろいだ。見た目年齢思春期程度の双子の前で酒を飲むのは憚れ、酒好きのメイコは禁酒状態だ。
なければないで過ごせるけど、あるならば呑みたい欲求がむくむく湧き上がってくる。こんなところは人間の頃と変わらない。
「あ……うん、珍しいお酒も買ってきたよ。それは明日以降の便で双子用のお土産と一緒に届くんだ。そーいう美味しいモノじゃないんだけど」
カイトは早口で捲くし立てながら、メイコの左手の指にするりと何かを通した。
「?! へ?」
薬指にはめられた何かは指輪だった。透明な青い石と紅い石を中心に、白い光を放つ小さな石が添えられている。美しかった。
呆気に取られて指を見ているメイコに、カイトは腹で組んだ手の指に力をこめた。
「……実は、これを急いで作らせてた。ねぐらを整えて、準備オッケーって思ってたけど、なんか足りない気がして思い出したんだ。結婚指輪のこと」
驚きに言葉も出ないメイコに、視線を彷徨わせカイトは続ける。
「メイコ、あいつにもらってたでしょ? 思いついたら悔しくて、急いで用意した……目覚めたら渡そうって」
王宮の中で他国の王との結婚が決まって、先方から結納品が贈られた。
装飾過剰のそれらにあまり興味をそそられなかったメイコは、そいういやそんなものもあったかなーぐらいの認識でしかなかったのだが。
「……あの、メイコ? 気に入らなかった……?」
黙りこくるメイコにおずおずとカイトが話しかける。
「カイト、アンタ本当に私でいいの?」
「え?」
出し抜けに思いもかけない返事をされ、今度はカイトが目を丸くする。メイコは静かに、でも強い視線でカイトを見つめていた。
「私、この指輪に対して返すものも何にもない。全部捨てたから、カイトに返す術がないわ」
あの王宮で燻っていたメイコが一番欲しかった自由は、カイトが与えてくれた。しかし相応の礼がしたくとも、何も持たない身ではそれもできない。
高い地位や、高貴といわれた出自。傅かれ、只人より恵まれていた自分。でもそれらに価値を見出せず、あっさりメイコは捨ててしまった。
王女という身分を剥がし現れた自分自身は、あまりにもちっぽけだった。魔物の仲間入りを果たしても魔力が使えるわけではなく、本来なら餌でしかない。双子のように空を飛ぶような力もない。
闇の世界で王を名乗るカイトとは、身分違いも甚だしい気がするのだ。
王女であればカイトの好意に同等の品物を返すことができたけど、何も持たない今の自分にはもう不可能だ。
心のままに生きられる自由が欲しかったのに、自由と引き換えに相応の礼を返す術を失くすなんて。皮肉だった。
- 84 :
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 9
メイコの視線を受けていたカイトが、小さく笑った。
「……メイコは、結構身分に囚われているんだね。俺みたいな素性の知れない男を友達みたいに部屋に招きいれてたから、意外だ」
「これでも一応、元王女よ。下らないことだとは思っているけど、生まれた時から身体に染み付いてるわ」
「メイコからは、もうたくさん貰ったよ。例えば、寝室の窓辺に通う許し。俺を君の話し相手にしてくれたこと。キスも、処女も、血も」
それに、とカイトは笑みを深くする。
「心もね」
魘されていた夜、メイコの手を握ってくれた手が今は茶色の髪を撫でていた。
髪を滑る感触の心地よさに睫毛が下がる。
「闇ノ王なんて呼ばれているけど、所詮闇の中でしか生きられない中途半端な存在だよ。そんな俺なんかに最初に手を差し伸べたのは、メイコじゃないか」
晴れやかな笑みを浮かべるカイトはメイコの手を取り、その甲に口付ける。優雅な所作は、話し相手になれと命じたあの夜と変わらぬ恭しさだ。
「高嶺の花だと思っていた。太陽の似合う姫君と呼ばれるメイコが眩しかったよ。君からは欲しかったもの全て貰っているのに、俺は物でしか返せないのが歯痒い」
「……カイト」
「貰ってくれる?」
淡く微笑み、メイコはようやくこくりと頷いた。左手を夜空にかざし、微々たる星明りに煌めく石を見つめた。
「綺麗ね。こんなに少ない光源も弾いてる」
「まあ、普通の石じゃないし。魔石というか、そういうのなんだ。メイコの知る鉱石とは少し違う。入手するのと加工にちょっと時間かかっちゃって」
だから帰りが遅かったのかとメイコは納得し、罪悪感に良心をちくちく刺された。
「……サバ折りして悪かったわ」
居心地悪そうにもごもごとメイコは謝るが、反してカイトは機嫌よさそうにニコニコしている。ついに目覚めたか? 怪訝そうなメイコの目付きにカイトは答えた。
「いや、あの時当たってたから……これ」
メイコの腹部にあったカイトの手が、ドレス越しにむぎゅっと乳房を掬い上げ、指がわきわき動く。
「相変わらず大きくて柔らかいね。役得だった!」
唖然として硬直していたメイコはその指の動きに我に返り、カイトに向き直り拳を握った。
「いきなり何すんのよ!」
唸る豪腕。顔面に力加減なく繰り出されたストレートに身の危険を感じたカイトは、咄嗟にそれを避ける。
頬すれすれで掠めた拳はカイトの前髪を風圧で揺らした。あの細腕にどれだけの力が込められているのか、想像に難くない。
が、拳をかわされたメイコは急には止まれなかった。勢いをせないメイコの身体はバランスを崩して否や応にもカイトへ雪崩れ込み、結果二人とも花畑に埋もれた。
「なんで避けるの!」
カイトの上に突っ伏すメイコが、がばっと上半身だけ起こし怒鳴る。さっきまでの殊勝さは星の彼方へ去ってしまったようだ。
「あれは避けるでしょ! なんか顔がもげそうなイキオイだったよ?!」
「アンタが痴漢行為、んんっ!」
気づかない内に、メイコの後頭部へ回された手のひらに引き寄せられる。強引に唇を重ね、割り開かれて舌が侵入された。腕で突っ張って抵抗しようにも、腰を押さえる手がそれを阻む。
もがいている内に体勢を入れ替えられ、カイトが上になって角度を変えながらキスを深めると、メイコは徐々に身体の力を抜いた。
最後に濡れた唇を啄ばんで、カイトはゆっくり顔を離す。
「……ヘンタイ、バカイト」
息を弾ませ、潤んだ瞳で悔しそうに睨み上げるメイコにもう怒りの様相はない。
「うん」
「うんじゃないわよ。罵倒してるんだから肯定すんな」
「うん、あのさメイコ。俺、スイッチ入った」
「へ? つーか、『うん』の後会話が繋がってない、いっ? ひゃぁっ!」
語尾が悲鳴に変わったのは、カイトがスカートの中に手を突っ込んでドロワーズを引き下ろし始めたからだ。その動きは素早く、メイコはスカートの前を押さえることしかできなかった。
- 85 :
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 10
「待って待って待って――――っ!」
「あ、このドロワーズ穿いてたんだ」
「手に持って掲げるな! 止めてよヘンタイ!」
「だってどれもこれも俺が選んだし? レースついてて可愛いなって」
どうやらドレスどころか下着までカイトのチョイスらしい事実に、メイコは真っ赤になって絶句した。
捲り上がった裾からはみ出たナマ脚をカイトの手のひらが撫で上げ、首筋に唇を這わす。
「こんな所で欲情すんな! バカっ」
「そんなこといったって、俺がどんだけ待ったと思ってるの?」
自分のものにはならないと思っていた女を手に入れて、一度その味を覚えてしまえば欲求は募るばかりだ。ましてメイコの味は血液も身体も極上だった。
「ホントに待ってよ。ここじゃイヤ、あ、うぅ……」
「こっちこそ限界。あんな可愛いトコ見せられて、いい雰囲気で、おっぱい柔らかいし。もー無理」
「雰囲気なんか、たった今台無しになったでしょ! ヤダ、それ解かないでよっ」
カイトの唇がメイコの胸元を留めていた飾り紐を器用に解いていく。次第に弛められるドレスにメイコは焦ったが、カイトに止める気配がなかった。
「ん……っ、誰か来たらどうするの……」
「来るとしたら双子ぐらいだし、今は空気読んでるよ。多分」
「分かんないでしょそんなの! それに花が潰れちゃう」
「終わった後でなんとかする」
そんなに『闇ノ王』は万能なのか? いくらなんだって都合良くチートすぎるでしょ! そう叫びたかったが、身体を撫で回す手や指にそんな気力も萎えた。
「それに、数十年振りに血を飲んだから、余計に咽渇いちゃって……我慢しきれない」
咽ですんとカイトが鼻を鳴らした。肌に触れる僅かな息にすら声が出そうになる。飢えと渇きと、それに直結する欲望がカイトの振る舞いを急き立てた。
「いい匂い」
以前噛み付いた痕を一舐めして、カイトの頭が下がった。弛めた胸元から零れる乳房を鷲掴み、揉みながら舌先で桃色の乳首を嬲る。
「あ……っ」
敏感な部分を吸われると、嫌でも声が漏れる。カイトの舌に誘われぷちっとしこってくる乳首。スカートは腰までたくし上げられて、隠すべき所が丸見えになる。
ベッドの上ならまだしも、屋外で半裸にされる心許なさは半端なかった。しかしそれでもカイトの愛撫にきっちり反応する身体が信じられない。
メイコはもちろんカイトしか男を知らないし、たった一度しか肌を重ねたことがない。それなのに、どうしてこんなに翻弄されるのか。
乳房を優しく揉まれ、尖った頂を何度も啄ばまれる。その度身体中に快感が走り、下腹が疼いて性器が熱くなった。奥がじんじんして、何かが滲んでくる……。
「ひっ」
歯に乳首を挟まれ軽く引っ張られた。限界まで引いて離されると、豊かな膨らみがぷるりと揺れる。
「いい眺めだなあ」
谷間に小さなキスを幾つも降らせてカイトの唇は咽へと登る。噛み痕の上から何度も吸い付いて指で恥毛を引き、割れ目を幾度も擽った。
メイコが固く目を閉じると、閉じた脚の中心に長い指が差し込まれる。
「……っ、う……」
「メイコもこのままじゃ終われないでしょ?」
灯された欲情の燠火が広がり始め、メイコの神経を侵食していく。
「で、でも、こんな場所とか、動物みたい……」
強引に割れ目の中へ這わせる指先に、カイトは滲む粘膜を感じた。
性感に震え戸惑うメイコから先程の威勢はすっかりなりを潜め、羞恥に歪む顔で首筋に鼻先を埋めたカイトを受け止めていた。
「やってることは動物みたいなものだよ」
「わたし、人間……」
「違うよ。君は魔物。俺のでしょ」
「は……っ!」
噛み痕の上から位置を違わずカイトの牙が沈んだ。一瞬だけ強張った身体は徐々に力が抜け、下肢も緩まる。久方振りの甘く芳しい血液を啜りつつ、カイトの指が割れ目の奥へ進んだ。
- 86 :
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 11
潤み切った性器を確かめるように指が上下し、こりこりしたクリトリスを捕らえる。芯を持つそれを指で撫で、小刻みに振動を与えるとメイコは鳴きながら腰を揺らした。
「あっ、やぁん! んあぁあっ」
カイトが咽を鳴らし啜る血液の代わりに、痺れに似た快感が身体も思考も支配する。それはあの夜メイコに植えつけられた、抗えない程の強烈な悦びの記憶を掘り起こした。
「蕩けてる……すごい」
咽に空いた孔から溢れる鮮血を舐め、性器に侵入した指が自由に動く。軽く出し入れされれば、くぽくぽイヤらしく音を立てた。
「ひぁ! あぅんっ」
差し込まれた指が胎内を掻き回し、粘膜の雫が垂れ流れる。この先の愉悦を知っている身体は乞うようにカイトの目の前で自ら脚を広げた。
濡れそぼる性器は瑞々しい。小さな入り口から続く襞は物欲しそうにヒクつく。
身体を起こし、そこを見つめていたカイトは青い目を細めた。
「……なんで……?」
「え?」
顔を上げメイコを見ると、涙目で非難するかのようにカイトを睨んでる。
「なんで、そんなに余裕なのよ。腹立つ」
……似たような台詞を初めての夜にも聴いた気がする。
愛しているから、痛がる顔より気持ちよくなってるメイコが見たいだけなのに酷い言われようだ。
まあ、色っぽく悶えるメイコが見たいスケベ心も否定しないが、こんな時でも負けず嫌いを発揮するメイコには苦笑するしかない。
「でも、メイコ触れるの?」
馬鹿にされたと思ったのか、途端に柳眉を逆立てメイコの目付きが険しくなった。
「やってやろうじゃないの!」
何やら不穏な空気が立ちこめ、握りつぶされるんじゃないかと考えないでもないが、メイコに性的なことをもっと教えるいい機会だと納得した。というか、好奇心が勝った。
ボトムの前を空けメイコの手をそっと取り、そこへ導き宛がう。口では強気でもメイコの反応は正直で、昂ぶりに怯みほんの少し触れただけで手が逃げた。
それをカイトは自分の手で上から押さえ付け、擦るように動かす。
「怖い? イヤ?」
「怖くないわよ!」
眦を吊り上げ怒鳴るメイコはやけくそ気味だ。
手を重ね硬いそれにメイコを慣れさせると、カイトが手を離してもメイコの手はもう逃げなかった。カイトは膣内でゆっくり指を動かし、メイコの震える指が欲望を形どるそれを自らの意思でなぞる。
「……っ」
恐る恐る触れてくる指に、カイトは息を詰めた。指先が掠める刺激がじれったい。
布越しに形に合わせ何度も撫でていた指が一旦止まり、意を決したようにボトムの中へ滑り込んでメイコの手が下着の中から勃起する陰茎を引き出す。
カイトはまたメイコの手に自分のそれを重ね、反り返った陰茎を握らせた。
「こう……して」
扱き方を教え手を離し、膣に埋めた指を深く忍ばせる。メイコの柔らかな手のひらに包まれて扱かれる肉棒は硬く張り詰めるが、刺激は温い。逸る興奮はカイトの息を乱した。
「硬い……」
溜息をついてメイコがぽつりと呟いた。手の動きはぎこちなく、男の欲望に初めて触れた怖れも手伝いおっかなびっくりといった態だ。
それでもカイトの要求を飲んでくれるメイコの気持ちが嬉しかった。
- 87 :
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闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 12
「ふ……、ぅんん……」
悩ましい声、荒い息、探り合う性器は互いを高め合う。
「カイト……なんだか……」
自分の手に感じる湿り気に、メイコは困惑した顔をした。カイトは少し面食らったが、メイコは通り一遍の味気ない性教育しか知識のないことに思い至る。
他国との婚姻が決まってから褥の作法を受けたと言っていた。
「男も濡れるよ、ちょっとだけどね」
先走りが出てきたところで肉棒から手を離させ、膝の裏を掴んで脚を開きながら腰が浮くほど持ち上げる。
「イヤ! この格好イヤぁっ」
メイコはあまりの恥ずかしさに脚をばたつかせたが、片足の靴が脱げただけに終わった。高々と尻を持ち上げ開脚された格好は、後ろの孔までよく見えた。
カイトに見られるのだって抵抗があるのだ。双子だけじゃなく、誰が来たっておかしくない状況でこんなあられもない姿を他人に見られたりしたら、屈辱で軽くねる。
「あ〜……大丈夫だから。誰も来ないって。さっきまでだってイヤらしいことしてたけど、来ないでしょ?」
「だけど、こんな……誰か来たら全部見えちゃう……」
互いを触りあっていたときより大股開きなのだ。スカートの裾は腰までたくしあがって、外気を感じる尻や性器に心細くなる。
「来ないよ。信じて」
愛しい女の媚態を他人に見せたい男が何処にいる。
宥めても嫌がるメイコを黙らせるため、股に顔を落とした。
熟れて滴る性器に吸い付くように口付ければ、メイコはもう文句を言うことはできなかった。股からリップ音が鳴る度、微細な刺激が言葉を奪う。
襞の間から漏れる粘膜を根こそぎ舐め取るように舌が這うが、それは新たな雫の呼んだ。
「んっ……あぅんっ」
「コレ好きでしょ……外だって興奮してるじゃないか。それとも外だからかな?」
「ちが、や、ここじゃ……んぅ――……っ!」
実際、開いてる襞はこれ以上ないくらい粘膜を溢れさせているのに、メイコは認めようとしない。
刺激に尻を揺らめかせながらも、いやいやをするメイコにカイトはやれやれと溜息をついた。そっと脚を下ろし入り口に先端を添える。
我慢も上限を超えていて、ほんの少し膣に肉棒を埋めて固定すると腰を掴んで一気に引いた。
「んぁっ!」
いきなり勢いを込めて最奥まで貫かれ、メイコの肢体が慄く。本人よりずっと素直な膣は待ちかねたように肉棒を締め上げてぞわぞわ絡み、抑制の枷は簡単に弾け飛んだ。
「う……」
圧し掛かりながら細い両肩を押さえ、本能のまま首に噛り付いた。甘い血液の味が欲求を満たすどころか更に昂ぶらせる。深く身体を沈ませ、そのまま抽送を開始した。
「ああっ……ぁ、カイ、ト……、はげし……っ」
強すぎる律動に何度も身体が跳ね上がる。
ベッドとは違い柔らかな土と植物の感触が背中に感じ、外だということをより認識した。もがく手が行き場を探し、これ以上花を傷めるのが躊躇われてカイトの腕に縋った。
血液で舌を濡らし、傷口を離した唇が耳の後ろを強く吸う。腕の中に閉じ込めたメイコは息を継ぐのも苦しそうに喘ぎ、カイトの激しい突き上げに乳房がぶるぶる上下させた。
「や……やぁ……ん、く」
「何がヤなの? こんなになってるのに」
結合部をわざと鳴らすよう腰を突き刺せば、ぐちゅんと卑猥にそこが涎を垂らす。抜けるぎりぎりまで引いて体重を乗せ腰を落とし奥を強く刺激すると、メイコの呂律が怪しくなる。
「おねが……、優しく……やさしく、して……あぁ……っ」
負けず嫌いも勝気な態度もかなぐり捨てて懇願する声は切ない。意識せず泣き出しそうな顔をするメイコに、カイトは虚を突かれて動きを止めた。
メイコの背に腕を回し、繋がったまま抱き上げる。胡坐をかくカイトの胴をメイコの脚が挟み込み、対面座位の格好になった。
二の腕にメイコがしがみ付き、カイトに押し付けられた膨らみが形を変える。背中をあやしながら耳元でカイトは囁いた。
「ずるいよメイコ……あんなお願いの仕方、うっかり萌えたじゃん……」
あのまま最後までいこうと思ってたけど、普段見せない甘えた表情されたらそれもできない。一気に終わらせるのが惜しくなる。
「優しいのがいいんだ?」
こく、と細い顎が縦に振られた。カイトは少し涙で湿った睫毛に唇で触れる。
「これがいい?」
「……っ」
膝に乗る身体をそっと揺らすと、二の腕を握る手に力がこもる。メイコは言葉なく喘ぎ、もう一度頷いた。
- 88 :
-
闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 13
この姿勢の方が安心するらしく、素直にカイトに身体を任せてくる。どうやら、身体を晒す範囲が狭いのが安心感に繋がるようだ。
これだとナマ脚は出てるけど大事な部分はスカートの中だし、胸はカイトにくっついていれば誰かが来ても見られることはない。
ただ、何をしているのかは一目瞭然だが。……根本的な解決にはなっていない。メイコはとにかく身体を隠したくて、そこまで頭が回っていないようだった。
「激しいのはイヤだった?」
スカートの中へ手を忍ばせ、ムチムチして触り心地のよい尻を掴んで股間へ押し付けた。
「う……っ、まだ、怖いの……」
カイトの肩に頬を乗せ、震える声で呟く。初めての時だって、本当は怖かった。虚勢を張って自分から誘ったけど、予想だにしなかった狂おしい快楽に自分を忘れてしまう経験はメイコにとって恐怖だったのだ。
それでも優しくしてくれたから耐えられたのに。
「そっか。じゃあ、少しづつ慣れようね」
支える尻を回し深々と刺さった肉棒で膣をゆっくり掻くと、メイコはまた鳴き始めた。荒く吐き出す息を肩に感じ、血の浮かぶ傷口へカイトは噛り付く。
花と草と、メイコの匂いが鼻先を抜けていった。
「ひぅ……! あぁ、あふ……っ」
顕著な反応を示す部分をゆったり擦る緩やかな刺激にメイコは浸かる。きゅ、と吸い付く膣は可愛い。それに小突いて応え、首を舐めた。
「……っ、ふぁ……」
ふるっと震えてメイコが自ら腰を動かす。カイトがしたように腰を回し、ぎこちなかった動きはすぐに滑らかになっていった。
「うん……上手だよ」
動きやすいよう腰を支え、胸の膨らみ初めの部分に何度もキスしていたら、メイコの腰は大胆に揺らいだ。
その動きに合わせ、徐々に結合部の出し入れを大きくしていくと、ぐちょぐちょとはしたない音が大きくなる。
「あ……あぁ……んぁ……」
「気持ちいいの?」
「う……ん……」
脚の付け根を覆うように掴み、親指をクリトリスに添える。ぬめる粘膜にそれは擦られ、指の腹にくにくにとした感覚が何とも頼りない。
「あっ、ふ、あぁあ……!」
唇を吸い合い、小さな頤へ零れる唾液を舌先が掬う。
腰が妖しくうねって奥が余裕なく肉棒を引き込むように蠢き、指輪が飾る指の間接が白くなるほどの力でカイトの肩に突き立てられた。
意地っ張りで誇り高いメイコが寄る辺を求め全身で縋る様は、カイトの支配欲を大いに擽り興奮させる。それに艶かしい内部の刺激も加わり、そろそろ耐えられそうにない。
「少し我慢してて……!」
募る吐精感に追い詰められて、カイトは尻を掴み肉に指を食い込ませながら荒々しく揺らした。緩やかだった交わりとは一変し、硬く勃起した肉棒が膣を擦り奥を打つ衝撃は強烈でメイコは悲鳴を上げてしまう。
「ひぁあっ……!」
がくがく揺さぶられ、メイコは喘ぎ息も絶え絶えだ。繋がる性器は解れて乾くことなく粘膜が滴り、継ぐ息の中で掠れた声が必にカイトの名を紡ぐ。
声と息と衣擦れと、消しようのない淫猥な音が、宵闇満ちる花畑に響き渡っていた。
「う、カイ……ダメ……ぇっ」
メイコの背中が反って爪先が空を掻く。乳房がたぷたぷ揺れる姿がいやらしいったらなかった。
「うぅ……あ、んあっ! あぁん――っ」
突き上げに狂わされる。絡む襞と膣がなす術もなくきゅうっと狭まり、メイコの総身が戦慄いた。いっそ凶暴なほどの快感が互いの身体と脳を灼き、カイトも欲望を放出する。
「うぁ……っ」
勢いよく弾けたそれは、止めようとしてもどうにもならない。興奮冷めやらぬ膣内に収まり切れず、零れた精液は肌と花畑を汚した。
「あ……あ……」
言葉にならず、絶頂の残滓が零れ落ちるメイコの濡れた唇が視界に入り、吸い寄せられる。押さえ難い欲求のままカイトは自分の唇をそれに重ねた。
- 89 :
-
闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 14
「おかわり」
メイコがグラスを差し出すと、計ったようにすかさず並々と液体が注がれる。
それを優雅な手つきで掲げたメイコは、口元に嬉しそうな笑みを浮かべた。
「美味しい……」
幸せそうな微笑は見る者を魅了するが、生憎うっとりと葡萄色の液体を見つめるメイコには、傍らで葡萄酒を注ぐ目の周りに青タンを作ったカイトの姿など映ってはいなかった。
「そんなにおいしーの?」
メイコが深く腰かける一人がけのソファーの肘掛に寄りかかり、身を乗り出すリンに彼女は麗しく微笑みかける。
「ええ。もー禁酒明けだし、この際安酒だって最高級の味よ」
「ひ、酷い! 安酒じゃないよー。高級品選んできたのに……」
レンに哀れみの視線を投げかけられているカイトを無視し、メイコはグラスの残りを優雅に傾けた。
やっと酒にありつけたのだ。酒が不味くなるような辛気臭いを面を見たくない。
今手にしているのは、カイトが外出先で購入した土産の酒だった。
しかしメイコはしばらくそれにありつけなかった。何故なら、また寝込んだからである。
カイトが帰ってきた夜、「まだ足りない」と寝室に引っ張り込まれ、一人で寝るには広すぎるとぼやいたベッドを存分に使った後、二日寝込んだ。理由は『貧血』。
お陰で酒があるというのに呑めず、やっと動けるようになったメイコが起き上がって一番最初にしたのは、カイトをぶん殴ることだった。痛々しい青タンはその結果だ。
「痛そーだな、オイ」
「やめてレン! つつかないで痛いよ!」
「グラスが空よ」
「あ、はーい」
いそいそとグラスに酒を注ぐカイトにレンはげっそりした声で呟いた。
「マジかよ。『餌』に酒を注いでるあれが『闇ノ王』なんだぜ……」
「カイ兄、結構サマになってるね。傅くっていうか、侍るってあんなカンジ?」
いつの間にかレンの傍らに来ていたリンが笑う。
「みょーに嬉しそうだしな。あ、またしばかれた」
呆れるレンと面白がるリンの視線の先には、メイコの隙を突いて頬にキスしたカイトが平手でぶたれる姿だった。
「お似合いだよぉ。何だかんだ言って、メイコ姫ったらちゃーんと指輪してるしぃ♪」
「最早アレは武器じゃねーの? 俺には恐怖政治の始まる予感しかしない……それにカイトのあの顔見ろよ、艶っつや」
「トマトジュースしか飲めなかった頃とは全然違うねっ」
「お姫サン寝込んだし、カイトのヤツ相当いい思いして……」
「レーン? 何を話しているのかしら?」
リンに向けていたのとは明らかに違う、メイコのド迫力の微笑みは「余計なこと口走るな」と言外に語る。
レンにしたって、こう見えても弱くはない魔物だ。しかし最下層の魔物で、しかも立場的にはカイトの餌でしかないメイコに戦慄を覚えるのは何故なんだ。
面白くないが、初対面で刷り込まれた鉄拳制裁の激痛は記憶に刻み込まれ、なかなか拭えない。
「なんでもねーよ! 軟弱ヘタレ王と酔いどれ暴力姫君でお似合いだって言ってんの! このDVカップル!」
カイトがお似合いだってー、と抱きつこうとするカイトを尻目に、メイコが勢いよく立ち上がった。
「ちょっとレン待ちな……カイトっ、邪魔しないでよ! はーなーせー!」
レンはリンの手を掴んでテラスから飛び立つ。三十八計逃げるが勝ち。レンは後始末をカイトに任せることにした。
「んもー! 逃げられたじゃない」
「まあまあ、いいじゃん。どーせレンはメイコに勝てないんだから。ほら、お酒呑むんでしょー?」
「呑むわよ! 大体アンタが無理させるから禁酒が長くなって……もうっ」
すっかりむくれたメイコはおかんむりもいいところだ。背中から羽交い締めにしているカイトの腹に、腹立ち紛れに肘を打つ。しかしカイトはめげない。
「だって一ヶ月振りで、吸血もアッチも止まんなかったんだよ。あー可愛かったなぁ……イク時の、いでっ」
記憶を反芻し、ふざけたこと抜かす口を黙らせるためにまたぶった。
しかしカイトはくすくす笑うばかりだ。メイコは怪訝な表情を浮かべる。
「……なによ?」
「いやいや、すごく仲良しだなあって。嬉しいんだ」
「へ?」
「メイコが、リンやレンと仲良ししてるのが嬉しくて堪らない」
- 90 :
-
闇○王(ヘタレ)×姫君メイコ(ツン)2 15
カイトは、これ以上ないほど締まりなく……否、幸せそうに笑う。毒気が抜けるその笑顔に、メイコは握っていた拳を下ろした。
カイトは身体をメイコの前に移動させると、その身をを屈めてくる。それに耐えられなくなったメイコは、尻から座っていたソファーに逆戻りする羽目になった。
「きゃ! や、なに?!」
そのまま胸に顔を埋められ焦ったメイコだが、カイトの様子がまるっきり子供が母親に抱きつくそれで、何事かと首を傾げる。
「ど、どうしたの?」
戸惑いながら頭を撫でてみたりしてみる。殴り所が悪かったか? 人前でべたべたされるのが苦手だからって、ちょっとやりすぎたかも……。
「ん――……、幸せなんだ。か……いで」
「え?」
語尾が聴こえず、メイコは胸元のカイトの声に耳を欹てた。聴き返しても、カイトはもう答えない。
本当に子供みたいだ。親に甘えるような子供。いつもとは違う別物の頼りなさを感じ、撫でる手で髪を梳く。瞳と同じく深い青が指先を流れた。
幼い頃、魔の象徴だった闇ノ王が今メイコの胸に凭れて顔をすり寄せている。そこに禍々しさや忌まわしさはなく、乱暴にしたら脆く崩れてしまいそうな希薄さがあった。
そんな姿に母性本能に似た何かを刺激され、黙ってカイトの髪を丁寧に滑らせていたのだが。
そうこうしている内に、腰に回った腕に引き寄せられ胸に顔が擦り付けてくる。
くすぐったいなぁと肩を竦めると、大きくカットされた襟ぐりから覗く膨らみを食まれ、ぞわりとした感覚と共にメイコのこめかみに青筋が立った。人が絆されていれば、この男は……!
「……かぁいとぉっ! あんたねぇ」
「あは。なんか顔が気持ちよくてつい」
「ついじゃないでしょっ、ヘンタイ吸血鬼!」
「そんなに怒ったら血圧上がっちゃうよー。噛み付きたく、へっ?!」
メイコが撫でていた手を振り仰き、カイトは目を見張った。手の中には既に空き瓶になった葡萄酒のボトルが握られている。
「えっ? 待ってメイコっ。酒瓶で殴るのダメ、ゼッタイ!」
「問答無用よ! このチカンっ。何時になくしおらしいから、大人しくしていれば……」
唸りを上げる酒瓶から標的は器用に逃げる。カイトはすっかり通常運行で、さっきまでのしおらしさなど欠片もなかった。若干焦るも余裕綽々の足取りが、尚更メイコの癪に障る。
「あ、やっぱ今のデレの一種だったんだ」
へらっと言われて、メイコの中で何かが切れた。それは沸点の低い彼女の忍耐かもしれない。
「アホーっ!」
酔っ払いに持たせた酒瓶は、人間魔物問わず大変危険だ。
じりじりと間合いを取る緊迫した状況だというのに、酒瓶を握り締める指に光る指を目に留めたカイトは嬉しそうに笑う。
その笑顔に、メイコは苦々しく歯を噛み締めるしかないのだった。
おしまい
ではまた。
- 91 :
- なんか癒されたGJ!
尻に敷かれるへたれと意地っ張りツンが、ベッドで立場逆転するのは美味しいです
遠からずレンはレバーのつまみをせっせと作る羽目になりそうだね
- 92 :
- ワアアアGJ!!
最近前作読み返して、続きが来ないかなあと思ってたんだ
- 93 :
- GJ!
闇の王好きだ
- 94 :
- >>90
GJGJ
まさか続編が読めるとは幸せだ
- 95 :
- GJ
- 96 :
- この話気に入ってたので続編嬉しいです
冒頭のシーンがよく効いててすごいです
- 97 :
- ビンタされるだけの動画見て興奮してる俺が痛
- 98 :
- >>90
GJ
なごんだ
- 99 :
- 初っぱなから豊作だな
良いことだ
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