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2012年6月アニキャラ総合311: [ギアス]ルルーシュと麦わら海賊団[ワンピース] (373)
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[ギアス]ルルーシュと麦わら海賊団[ワンピース]
- 1 :09/08/30 〜 最終レス :12/06/15
- ワンピースとコードギアスのクロスオーバーSSです。
設定
ウォーターセブン手前くらい
ルフィはギア使用可能
荒らし、禁止。
ペースは週一でまとめて投稿します。
感想があると涙を流して喜びます。
嬉しさのあまり執筆速度が上がるかもしれません。
- 2 :
- コバルトブルーの景色が広がるブリタニア諸島の近くの海域に一隻の船があった。
ウォーターセブンに向かうその羊の頭を持った船に乗るのは、一億の賞金首の大型
ルーキー“麦わら”のルフィと仲間達であった。
ルフィ「サンジ〜腹減って死にそうだ!飯はまだ〜?」
サンジ「うるせい!もう少しまってろ!」
いつも通りのやり取りを横目に航海士のナミは新聞を見つめていた。
新聞を読むのは彼女の日課である。グランドラインではほんの少しの情報不足が命取りとなる。
情報収集という言葉を他のメンバーが知らない以上、ナミの日課は必然の作業となっていた。
そのナミの関心を引いたのは一面に載っていた“黒の騎士団”のニュースだった。
- 3 :
- 捕縛された大海賊艦隊“黒の騎士団”の団長が護送中に逃亡したという。
“黒の騎士団”といえばこの海域を支配する大海賊だ。
この海賊団の規模はウソップのハッタリが本当になるくらいの勢力を誇ると聞いている。
その団長の逃亡劇となれば、追う海軍と奪還に来た部下との間で大規模な抗争になるのは必定だ。
早いうちにこの海域を出た方がいいわね
そう思案しているナミの後ろから、ルフィの声が聞こえる。
「スッゲー!!仮面が釣れたぞ!!」
- 4 :
- 釣りをしていたルフィの針にかかったのは一隻のボートだった。
そこに乗っていたのは栗色の髪をした少年。緑色の髪をした少女。
そして仮面?だった。
ナミ「あわあわわ〜」
新聞を握り締め、ナミは卒倒しそうになる。
握り締めたその新聞の一面の写真。そこに載っているのはまさにその仮面?
黒の騎士団団長“魔王”ゼロ。2億3千万の賞金首だった。
- 5 :
- ナミ「いいから捨ててきなさい!!」
新聞を片手にナミは叫んだ。
ゾロ「捨て犬じゃねぇんだぞ…。」
メリー号に救助した3人を前に尻目にゾロはごく当たり前の突っ込みをいれる。
チョッパーの診断では栗色の髪の少年と緑色の髪をした少女はすでに息絶えていた。
少女の横ではサンジが「運命は残酷」だの「もう少し早く出会ったいれば」だのと
一人嘆いている。
- 6 :
- ナミ「あんた達、事の重大性に気づいてないの?ソイツはあの“ゼロ”なのよ!!」
“ゼロ”の存在を世に知らしたのはブリタニア領エリア11による独立戦争。
俗にいう「ブラックリベリオン」だった。
エリア11(日ノ本)の解放を唱えるゼロは革命軍と結託しブリタニアに決戦を挑んだ。
戦いは黒の騎士団の優勢に進んだ。
しかし劣勢のブリタニアに援軍を頼まれた海軍が出した答えがバスターコールだった。
その虐殺と混乱の中、黒の騎士団とゼロは海に逃れ、海賊となった。
- 7 :
- ロビン「バスターコール…。」
ロビンは肩を震わせた。
ナミ「わかった?“ゼロ”は革命軍と繋がり、
世界政府からも目をつけられるほどのヤバイ奴なのよ!!
その正体はまったくの謎。知った者は例外なく殺されると聞いているわ。
そんな奴と関わったら命がいくつあっても?!」
熱弁を止めナミは固まった。
ルフィ「やったー!やっと取れたよこの仮面!!」
- 8 :
- ルフィ「おもしれー!この仮面」
仮面をひっくり返して遊ぶルフィの前でナミはへなへなと膝をついた。
ナミ「アンタ!!あたしの説明聞いてなかったの?!!」
鬼のような形相で詰め寄るナミを前にルフィはしり込みする。
ルフィ「しょうがないだろ。脱がせなきゃ治療にならないってチョッパーが」
ナミ「チョッパーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
チョッパー「ぎゃー鬼が出たー!!」
ウソップ「ちょw落ち着けナミ」
一同の喧騒の中、ロビンはゼロを見つめる。
まだ少年の面影がのこる黒髪の青年。
海賊でありながら生まれ持った高貴さを感じさせる。
ロビン「この人…どこかで」
自分の記憶を遡ろうと思案に入るロビン。その横で
ここはどこだ?
ゼロは目を覚ました。
- 9 :
- ここはどこだ?
頭がひどく痛い。そうだ。オレはブリタニアに捕まり海軍に引き渡された。
エニエスロビー行きの船に乗り込む最中、突然首から血を流す海兵たち。
一秒たりとも狂いのないその出血は公園の噴水を連想させた。
兄貴は殺させない。栗色の少年はそう言うと再び時を停止させる。
ゼロ「やめてくれロロ!その力はお前の心臓を」
はやくこいルルーシュ!私に笑顔をくれるんだろ?
ゼロ「ああ、そうだともC.C。だが人前で本名をよぶな!」
ゼロ、いやルルーシュはギアスを使い人の意思を捻じ曲げるペテン師だ!
ルルーシュ「扇…キサマ?!」
ルルーシュ。まさか君がゼロだったとはね
ルルーシュ「シュナイゼル!これはあなたのチェックか!!」
お兄さま! お兄さまーーーーーーーーーーーー!!
ルルーシュ「ナナリーーーーーーーーーーーーーー!!」
そうだ!オレは!!
ルフィ「海賊仮面!!参上!!」
ウソップ・チョッパー「ぎゃはははw」
- 10 :
- 目の前でゼロな仮面で遊ぶ男達。何が起こったのかは明白だった。
正体を知られた。
ルルーシュは自分が取べき行動を即理解した。その答えは一つしかない。
ルフィ「ん、気がついたか?」
一同は視線をルルーシュに向ける。
ナミ「あの〜私たちはですね〜」
サンジ「顔色が悪いな。何か暖かいものを持ってきてやろうか?」
サンジの言葉を無視し、ルルーシュはゆっくりと立ち上がる。
ただならぬ雰囲気にゾロは無言で刀に手をかける。
ルルーシュ「お前たちには感謝する。ありがとう。そしてさよならだ。」
サンジ「あん?」
近寄ろうとするサンジの足が止まる。ルルーシュの左目は赤く光っていた。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。お前たちは!!
- 11 :
- 気持ち悪い……ワンピースにすり寄るな、ギアス豚。
- 12 :
- ええ!?もう殺しちゃうの?
- 13 :
- ルフィ「オレは今から死ぬぞーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
チョッパー「オーーー!!!」
船首に飛び乗り麦わらの男と狸はそう高らかに宣言し、海に向かってダイブする。
ゼロの瞳に紋章が浮かび上がりそこから赤色の光が放たれた直後のことだった。
ゾロ「さて、逝くとするか」
サンジ「あの世にはカワイイお姉さまはたくさんいるかな?」
侍もどきとホスト風はそれぞれ海に向かって歩き始めた。
ナミ「…あの世でもお金は必要ね…。」
ロビン「死ぬ前に本を整理しなくては…。」
騒がしい女と長身の女は自分達の部屋に歩を進める。
そうだ。それでいい。ゼロの秘密を知った者は生きてはいられない。
この世界の心理。絶対の事実。
オレはそうやって生き延びてきた。今までも、そしてこれからも。
ルルーシュ「フフフ…フハハハハハハハ!」
そうだ!オレはゼロ!オレが“魔王”。世界を破壊し、世界を創造す…ん?!!
ウソップ「…え?!!」
二人の目が合った。
- 14 :
- ジャンプに巣食うなゴキ腐リめ
お前の性癖で分かる
- 15 :
- 何故ギアスが効かない。
ルルーシュは思考の世界でキーボードを叩き出し、数秒で125通りの回答を導き出した。
何らかの悪魔の実の能力者。生まれつきの特異体質。改造人間。ブリタニアの血族。
しかし、その数秒間の思考の旅は徒労に終わった。正解は一目瞭然だ。
ゴーグル。
ウソップが作業のために付けたそれがギアスの視覚情報を遮ったのだ。
- 16 :
- ウソップは呆然とルルーシュを眺めていた。
この男の目が赤く光り、「」という一言の直後、仲間達は奇怪な行動を取り出した。
ルフィとチョッパーは海に飛び込み、ゾロとサンジはその後を追う。
ナミとロビンは自分達の部屋に向かう。ほんの数秒間の出来事だった。
ナミの話が脳裏をよぎる。“魔王”ゼロ。2億3千万ベリーの賞金首。
黒の騎士団の団長。この男が何かしたのは間違いない。
悪魔の実の能力か?なんでオレだけ無事なんだ?
ウソップは全身から嫌の汗が流れるのを感じた。
仲間の援護はない。戦うのは自分一人。
目を赤く光らせ睨みつける青年はまさに悪魔の化身に見えた。
その時ウソップが連想したのは 絶望・敗北・死亡 だった。
ルルーシュ「長鼻―――――――ーーーーーーッ!!」
ウソップ「ゼ、ゼロ――――――ーーーーーー!!」
ルルーシュが銃を構えるのに呼応し、ウソップ反射的に構えた。
直後、両者が放った弾丸が交錯した。
- 17 :
- 弾丸がウソップの頬を掠めた。その衝撃でウソップはほんの少し体勢を崩した。
絶望的だった。
しかし、それにも増してウソップの集中力は過去に例がないほど高まっていた。
逃げ場のない海の上、頼れる仲間は誰もいない。だからこその“抗い”だった。
崩れた衝撃を利用し、床を回転する。相手は2億の賞金首、“魔王”と呼ばれる男だ。
おそらく「火薬星」はかわされる。いや、喰らっても平然と笑っているに違いない。
楽しい海賊人生だったなぁ。でもまだ足りねえよ…。
胸が熱くなった。
時間にするとほんの一秒ほどであったが、いままでの冒険が頭を過ぎった。
手で回転を止め、体勢を整える。覚悟は…決まった!
ルルーシュ「ぐわぁッ!!」
- 18 :
- ウソップ「…え!?」
火薬星を派手に喰らい、崩れ落ちるゼロをウソップは呆然と眺めた。
ルフィ「ぎゃーーーおぼれるーーー助けてーーー」
チョッパー「ブクブクブクブク…。」
水しぶきを上げながらルフィを助けを求めた。
ゾロ「なんでオレは海に落ちてんだ!?」
サンジ「知るかそんなこと!それより二人を助けるぞッ!!」
状況がつかめないゾロにサンジは檄を飛ばす。
ナミ「あれ…なんでお金なんて数えてるのかしら?」
ロビン「あら…私?」
ナミとロビンは自分達が何故部屋にいるのかさえわからない。
そんな仲間達の喧騒がどこか遠い、自分とは関係ない事のようにウソップは
気絶している青年。2億の賞金首を。“魔王”ゼロを見つめていた。
これがルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと麦わら海賊団とのだった。
- 19 :
- ギアスはあんまり見た事ないからよくわかんないけど、
おもしろいよーvこういうクロスオーバー話は好きだv
続き楽しみにしてる!
- 20 :
- >>19
ありがとう!
アンチしか見てないと思ってたw
投稿は続けるのでまた遊びに来てくださいv
- 21 :
- 人物紹介その@
名前 ゼロ
別名“魔王”ゼロ
能力 ギアス(非悪魔の実)
所属“黒の騎士団” 団長
懸賞金 2億3千万ベリー
ブリタニア商船のみを襲う海賊として脚光を浴びる。
ブリタニア王国植民地“エリア11”(旧日ノ本)を本拠地にその勢力を拡大させる。
エリア11においてテロリストグループ“黒の騎士団”を結成。
ブリタニアからのエリア解放を唱え、“エリア11”において
独立戦争(ブラックリベリオン)を仕掛けるも、海軍の介入により敗北。
再び海に逃れ、大海賊船隊“黒の騎士団”の団長として復活を果たす。
その思想と行動、そしてカリスマ性。“革命軍”との繋がりを怪しんだ世界政府と
海軍は破格の懸賞金をつけるに至った。年齢性別経歴一切不明。
- 22 :
- 支援
- 23 :
- ゾロ「いいから捨ててこいよ。」
ナミ「捨て猫じゃないのよ!」
事件から数十分後、ゼロの処遇について二人は当初の立ち位置を入れ替えていた。
ウソップ「銃を構える奴に向かって俺は言った。
“イーストブルーでは誰もが知っている!俺たちの仲間に
手を出だせばどうなるかってことくらいなッ“ するとゼロは…。」
ルフィ「ウソップすっげえ――――――――――――ーーーーーー!!」
チョッパー「すげーーーカッコイイ――――ーーーー!!」
サンジ「おいおい、本当かよ…。」
樽の上に乗り、大演説を続けるウソップをルフィとチョッパーが囃し立てる。
サンジは事の信憑性を疑っているが、チョッパーに至っては
その眼差しに尊敬の色さえ浮かべている。
ロビンはというと、一人椅子に腰掛け、サンジの入れた紅茶を
飲みながら、気絶しているゼロをただ見つめていた。
- 24 :
- ゾロ「最初に捨てて来いと言ったのはお前じゃねーのか?」
ナミ「状況が変わったのよ。バカ!バカ!この大バカ!!」
ゾロ「なんだと!この女!!」
議論は白熱し、道を外れ、ただの誹謗中傷合戦に突入した。
ナミ「“黒の海賊団”と合流したらどうするのよ?
大海賊船隊と戦うの?冗談じゃないわ!」
ゼロを逃がせば、“黒の騎士団”に追われることになる…それが
ナミの言い分だった。騎士団のトップに手を出してしまった以上
その想像は限りなく現実の答えに近い。
- 25 :
- ゾロ「じゃあ、海に沈めて…。」
ナミ「万が一あたし達が犯人だとばれたらどうするの?
それこそ一生追われるわ!
どうしてわからないの!?このバカ!!」
サンジ「そうだ、ナミさんの言うとおりだ!このマリモ!」
ゾロ「いきなりなんだてめーは!?!この素敵眉毛!!」
議論の場にいつの間にかサンジも加わり、ゾロの怒りに油をそそぐ。
ウソップ「オレは体を回転させ、奴の銃弾を華麗にかわし…。」
ルフィ「ウソップすっげえ――――――――――――ーーーーーー!!」
チョッパー「すげーーーカッコイイ――――ーーーー!!」
ロビン「…。」
怒号と喝采と沈黙。それらが一体となって渦巻く船内。
そのカオスの中で…。
ならば…我に従え!!
ゼロは目覚めた。
- 26 :
- ゾロ「てめーのせいでこうなってんだろ!このバカ仮面!!」
サンジ「なにが“従え”だ!?このマント!!」
ルルーシュ「ぐおわぁッ!?」
二人がかりで踏みつけられてルルーシュは鈍い声をあげた。
傍目からは縄で縛られた貧弱なマスクが
「グラサン」をかけた柄の悪い二人組みに絡まれ暴行を
受けているようにしか見えかった。
事の始まりは「ギアス」が解けた直後、ロビンがウソップの証言と
その顔につけてある「ゴーグル」から、ゼロの能力が
「視覚情報を使った洗脳」であると見抜いたことからだった。
全員がなんらかの装備で目を覆い、ルルーシュに
ゼロのマスクをかぶせることで「ギアス」に対する備えを
万全にし、ルルーシュの目覚めを待っていたのだ。
- 27 :
- サンジ「お前がグラサンかけると893にしか見えねーんだよマリモ!」
ゾロ「ナンパにでも出かけるのか?このエロコック!」
ルルーシュ「キサマら話を聞…ぐぎゃあーー×○△▼◇■!!」
二人で互いは罵倒しながら、ルルーシュにストンピングを連打する。
その華奢な体が激しく上下にバウンドし、ルルーシュは
声にならない叫びを上げる。
もはや交渉不能と悟り、泣きながら「ぎゃーぎゃー」と叫ぶナミ。
死闘を演じたライバルと自己の英雄譚の崩壊を救うため、止めに入るウソップ。
そのシュールな光景をパーティ用の鼻眼鏡をつけたルフィが
愉快そうに笑っている。
もはや権威も恐怖も“ゼロ”のルルーシュが
一瞬の隙をつき、声を張り上げた。
俺と契約し“黒の騎士団”に入れ!“麦わら”のルフィ!!
- 28 :
- 思いもよらない提案に一同は静まる。ゼロはなんと言った?“黒の騎士団”に入れ?
ルルーシュ「“黒の騎士団”に入れば全ての条件はクリアされる。
俺はお前達を追う必要はなくなり、お前達も追われる理由は消える。
悪くない話だろ?“麦わら”のルフィ。“海賊狩り”のゾロ」
ゾロ「ほう…俺達のことを知っているのか?」
ゾロは興味深そうにルルーシュを見つめる。
ルルーシュ「世界中の集金首の情報は俺の頭に入っている。七武海の
“サー”クロコダイルを破ったルーキーとなればなおさらだ。」
政府がひた隠す第一級情報を平然と口にする姿に
大海賊のトップの片鱗を感じさせる。
この男はやはりゼロ。“魔王”と呼ばれる海賊なのだと。
- 29 :
- ナミ「契約し、部下になればアナタは私たちに何をくれるの?」
ナミが口を開いた。交渉の余地ありとなれば、自分の出番とばかり
に前に出る。“他の連中に任せたらどうなるかわかったもんじゃない。
こういうことは自分がやるしかない“ その確固たる意思が
ナミの行動を支えている。
一瞬の沈黙の後、ルルーシュは一同を見つめ、こう答えた。
夢を、お前達の“願い”の全てを
- 30 :
- ナミ「夢…すべての願い?」
ナミは驚きルルーシュを見つめる。こんな大それたことを平然と
言いながらルルーシュは余裕さえ漂わせていた。
縄に縛られてさえいなければものすごくかっこよかったに違いない。
ルルーシュ「女、まずはお前から聞こう。お前の望みはなんだ?」
ルルーシュはナミを見つめる。
ナミ「お金!大金!たくさんの金(きっぱり!)
ついでに世界の海図を書くこと(ぼそっと)」
一瞬、躊躇した後にナミは捲くし立てた。“うわ〜”という
周囲の視線を背にしながら。
ルルーシュ「俺のマントの内ポケットを探れ。とりあえず
それをプレゼントしよう。」
ナミは言われるがままに内ポケットを探る。取り出したのは
小さな宝石だった。
ナミ「なによこの小さい宝石?」
小バカにしたような顔でルルーシュを見下すナミの手から
ロビンが宝石を取る。
ナミ「ちょっと!ロビン…。」
ロビン「ブリタニア王家の秘宝“龍の左目”ね…。
もしオークションに出せば3億ベリーは確実な品よ。」
ナミ「ナミです。お会いできて光栄です!ゼロ」
自己紹介を済ますとロビンから宝石を奪い、ナミは
素早く、そして静かに後方に退いた。
- 31 :
- ルルーシュ「次はお前だ。長身の女。」
ルルーシュは次にロビンを指名した。
ロビン「ロビンよ。私は…そうね。ブリタニアの遺跡や古書を調べたいわ」
ルルーシュ「ブリタニア全土の遺跡と古書を進呈しよう」
ルルーシュの即答にロビンは“くすくす”と笑みを浮かべる。
ロビン「確かにゼロならば…いえ「あなた」ならそれが出来るわね」
ロビンの含みを持たせた言葉にルルーシュは一瞬押し黙る。
仮面を被っていてもその表情はロビンの笑顔とは
対称的であることを感じさせた。
- 32 :
- ルルーシュ「おい長鼻!次はお前だ」
乱暴な口調でウソップを指名し、一瞬崩れた空気を元に戻す。
侮辱的な表現に内心怒りながらも、恐怖でガチガチのウソップが口を開く。
ウソップ「ウソップだ。オ、オレは…勇敢な海の男にッ!!」
ルルーシュ「却下だな。あまりにも抽象的過ぎる…。」
肩を落とすウソップをサンジが慰める。
サンジ「サンジだ。夢は2つあるんだが…。」
ルルーシュ「1つに絞れ欲張りめ」
取り付く島も与えない。サンジは腕を組み考える。
かわいい女の子とオールブルー。どちらか1つに決めるなら…。
サンジ「オレの夢は…“オールブルー”を見つけることだ!」
後悔はない。サンジは晴れやかに笑った。
ルルーシュ「そんなものあるわけないだろ…。バカかお前は?」
- 33 :
- サンジ「うおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
泣きながら襲い掛かろうとするサンジをウソップとチョッパーが必死で止める。
ルルーシュ「地理的、物理的考察から見解を述べた。つまり常識を問題にしている」
そう言って他人事のようにサンジの発狂を眺めている。その流れから
サンジを止めようと頑張るチョッパーと偶然、目があった。
“仮面に見つめられている”自分の願いを考えながらチョッパーは
ルルーシュに熱い視線を注ぐ。
ルルーシュ「次はお前だ。“海賊狩り”のゾロ」
ショックを受けるチョッパーを他所にゾロは答える。
ゾロ「大剣豪だ。だが人の手を借りる気はない。」
ルルーシュ「残念だな…。だがその考え、嫌いではない。」
ゾロの返答を予想していたようにルルーシュはあっけなく引き下がる。
ルルーシュ「最後に“麦わら”のルフィ。お前の夢は…“夢”は何だ?」
そうだ・・・。ここからが本番だ。“麦わら”のルフィ。一億の“ルーキー”
七武界を倒した男。お前の望みを言え!金か?名誉か?何でもくれてやる!
お前さえ手中に収めればこの船を制圧するのはさほど難しいミッションではない。
さあ、言え、お前の欲望(ゆめ)を!
ルフィ「俺は…海賊王になる!!」
- 34 :
- ルルーシュ「…な!?」
ルルーシュは絶句した。それは当然のことだった。この海で…。
それもこのグランドラインで…。「海賊王になる」と口にする男に
初めて会ったからだ。
ルルーシュ「その言葉の意味がわかっているのか?
それは“この大航海時代の頂点に立つ“
そう言っているとのと同じことだぞ…。」
ルルーシュの計算機が弾き出した1250通りのルフィの回答予想が音をたてて崩れる。
当たり前だ!こんな馬鹿げた回答が予想できるか!
ルフィ「なれるとか、なれないとかじゃない。俺がなるって決めたんだ。
そのために死ぬんなら別に構いやしない!」
ルフィは平然と笑って答えた。この海のレベルは知っているはずなのに…。
何度も死にかけているはずのに…。
- 35 :
- ルルーシュ「…。」
テロではブリタニアは倒せない!やるなら戦争だ!覚悟を決めろ!正義を行え!
赤髪のレジスタンスは目を見開き、ただ驚くばかりだった。
撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ!
ブラックリベリオンの直前、銃を向け、俺を止めようとする緑髪の少女に言い放った。
僕は…。俺は…ブリタニアをぶっ壊すッ!!
東京が陥落したあの夏の日、泣きながら親友に立てた誓い。俺たちは海に出た…。
ルフィ「ワンピースは…俺が見つける!」
- 36 :
- 完敗だった…。自分を超える“バカ”に出会った。
ルルーシュ「交渉は決裂だな…。“海賊王”では部下にはできない」
覚悟は決まった。自分の敗北を。死を。だが、気分はそう悪くはなかった。
ルフィ「俺は部下になる気はねーよ。お前が俺の仲間になれよ。よし決まりだ!」
ルルーシュ「フ、好きにしろ………え!?」
一同「え、ええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?」
- 37 :
- ウソップ「ちょっと待って!何言ってんだ!?ルフィ!!」
ゾロ「ふざけんな!こんな怪しい奴を船に乗せられるか!」
サンジ「反対だ!アイツだけは絶対反対だからな!!」
三人が一斉にルフィに詰め寄る。常識さえ持っていれば
ごく当たり前の反応だった。
ルフィ「いいじゃん。面白そうな奴だし。それに
カッコイイじゃん!あの仮面」
ウソップ「仮面のデザインで仲間にすんな!!」
船長の言葉に嘘偽りはないが、こんな理由を承諾できるクルーもいない。
“ぎゃーぎゃー”とルフィを問い詰める三人の後ろにナミが立つ。
ガン! ガシ! ゴリ!!
ウソップ「痛てーーーー!!」
サンジ「何するんだ!?ナミさん」
ゾロ「てめー明らかに俺を強く殴ったな!?」
振り返った3人に対してナミは敢然とした態度で言い放つ。
ナミ「アンタ達こそ何?船長であるルフィが決めたのよ!
文句を言わず従いなさい!!」
- 38 :
- ナミの正論と迫力に押される3人。
ウソップ「(何考えてんだよナミの奴…。)」
サンジ「ナミさ〜ん…。」
ゾロ「(何企んでやがるあの女…。)」
各自、言いたいことを抱えながらもナミの正論は“海賊の掟”
である以上逆らえない。渋々ながら場を解散させる。
ナミ「(…一時は絶対絶命だったけど、これぞ逆転さよなら満塁打ってやつね!
これで“黒の騎士団”に追われることなく次の目的地にいけるわ。
いや、それどころか“黒の騎士団”から何かいろいろ引き出せるかも?
たとえば、お金とか、黄金とか、ダイヤとか、etc…。)」
ルルーシュ「フフフ…フハハハハハハハ」
ナミが妄想の世界を旅する後ろで、縄を解かれたルルーシュが笑い出す。
- 39 :
- ルルーシュ「気に入ったぞ!“麦わら”のルフィ!
いいだろう…結ぶぞ!その契約!!」
ルルーシュはルフィに向かって手を差し伸べる。
ルフィ「ハハハ、いちいち大げさな奴だな」
差し出された手を前に、ルフィは麦わら帽子を
被り直した後、しっかりと応えた。
ルフィ「俺はモンキー・D・ルフィ。よろしくな!」
ルルーシュ「ゼロと呼ばれている。本名はルルーシュ。
ルルーシュ…“ランペルージ”だ。」
“ばんざーい”棒読みで祝福するナミ。納得がいかないウソップ達。
ロビン「…。」
その後ろでルルーシュを見つめるロビンがいた。
チョッパー「ぎゃーーー!!死人が生き返った!?」
悲鳴を聞き、一斉にチョッパーの方を向く一同。
その視線の先にいったのは、死亡と診断された緑髪の少女。
ルルーシュ「C.C.!?」
ルルーシュは少女に向かってそう叫んだ。
C.C.「ここは…。ご主人さま?ご主人様ーーー!」
ゼロと遭遇し、2時間後。
ルルーシュ・ランペルージとC.C.?が麦わら海賊団に加わった。
- 40 :
- 同時刻、大海賊船隊“黒の騎士団”本船「斑鳩」館内・司令室。
かつて“魔王”ゼロが使用していたこの部屋は今では
1組のカップルの愛の巣と化していた。
男は机に座り、新聞を手に取る。男の後ろのカーテンの向こう側
では、女が気を失ったように眠り込んでいる。
その周囲には夥しいほどの“大人のお○ちゃが散乱していた。
男が手に取った新聞の一面には“魔王”ゼロの逃亡の詳細が書かれている。
元団長の写真を見つめ男は呟いた。
- 41 :
- 他人の意思も命も平気で踏みにじって自己憐憫に浸る糞外道を麦わら海賊団に加えるとかw
ワンピースを侮辱するなギアス厨
- 42 :
- 扇「全てはゼロが、ルルーシュが悪い!!(ドーン)」
扇要。大海賊船隊“黒の騎士団”の現団長である。
ゼロ追放後、空位になった団長の椅子は副団長であった扇の手に
自動的に転がりこんできた。今や扇は“黒の騎士団”のトップであり
ブリタニア海の支配者として君臨していた。
一般団員「副団長!失礼します。」
一般団員のその言葉に扇は一瞬怒鳴りそうになるも押しとどまる。
ゼロ追放後、まだ間もないことから、扇“団長”という認識が浸透
していない。だから、このような不届き者が出るのだ。
懲罰は後回しにすると決めた扇は答える。
扇「何かな?俺は”激務“を終えて疲れているんだ。」
扇の返答に一般団員はうろたえる。
一般団員「い、いえ…。副団長の指示に従い、
シュタットフェルト隊長をお呼びしたのですが…。」
- 43 :
- 扇「(…はあ?シュタットフェルト?誰よソイツ?外人!?)」
扇は数秒間本気で考え込み、そして思い出す。
自分が呼び出したことと“親友”の妹の名字を。
シュタットフェルト「扇さん、話というのは何かしら?」
隊長と呼ばれる赤髪の女は扇に話かけた。
扇「え…ああ、これを見てくれ。」
自分が持っていた新聞を女に渡す。
シュタットフェルト「ゼロ!?そんな!?」
扇は女が新聞に注意を注いでいることを確認すると、頃合を計り
机を力いっぱい叩き出す。
- 44 :
- 扇「くそーー!!親友を売ってまで取り戻した日ノ本がまた
エリア11に戻ってしまう!ゼロさえ、ルルーシュさえ
渡せば、シュナイゼルは約束を守るはずなのにィ!!(バン!バン!)」
机を叩くのを止め、扇は顔を押さえる。
- 45 :
- その指の間から流れる液体を見て女は肩を震わせる。
女の角度からは手の中に仕込まれた目薬が見えない・・・。
出口に戻り扉に手をかける女は去り際に紅言い放つ!
ゼロは、ルルーシュは私が捕まえる!!
女の右手が赤く光ると扉は「沸騰」し、次の瞬間爆発した。
その姿が消えるのを確認すると、扇は椅子に深く腰掛け
新聞を手に取る。日課のポルノ小説を読むためだ。
扇「クックック、扉くらい普通に出て行け…。零番隊隊長“紅月”カレン」
- 46 :
- かもめ達が舞い、メリー号を陸地に誘う。
ゼロを加えた麦わらの一味が向かうのはエリア11の東京ゲットーだった。
何の計算もなくただ純粋にゼロを仲間に加えた船長“麦わら”のルフィを
除いて、ゼロを「仲間」として迎えいれた者はだれもいない。
表向きはルフィとゼロの握手を歓迎したナミも“黒の騎士団”との
衝突を避けられるプラス@という下心満載であった。
そんな彼らの思惑を察して、その提案を出したのはゼロだった。
- 47 :
- 1つは船の針路であった。
ゼロの捜索のために海軍は警戒を強めていて次の目的地である
ウォーターセブンへ向かうのは困難である。そこでいまだ
“黒の騎士団”勢力圏であるエリア11に警戒網が解けるまで
滞在するというものであった。
“燃料・食料・ウォーターセブンへのルート確保。これらは全て
ゼロと“黒の騎士団”が責任を持つ“と。
- 48 :
- 二つめは船の中での生活のことであった。
まず、ゼロは自分の力は「ギアス」という視覚情報による洗脳であることを明かした。
条件は相手の目を見ること。効果は一人につき一度きりというものだった。
ルルーシュ「つまりは俺の目を見なければいい。」
そしてこれからもゼロの仮面を被り続けると宣言した。このマスクの構造が
脱ぎにくいのはルフィが証明している。また、少しでもマスクを脱ごうとした
場合に攻撃も許可した。「仲間」たちとの「信頼」のために…。
その提案にナミが付け加える。「ゼロが近くにいる場合にサングラス等を装着する」と。
万が一のことを考えて…。「仲間」たちとの「信頼」ために…。
つまりは彼らの共通認識はあくまで「仲間」でなく「旅の道連れ」であった。
船長“麦わら”のルフィただ一人を除いて。
- 49 :
- 船内に与えられた部屋でルルーシュはやっと息をついた。
一時は本当にダメだと思った。
海軍から逃げ出した先が“一億”のルーキーとは…。
二度目に目覚めた直後、蹴りまくられた時には走馬灯が見えた。
母を殺され、父に捨てられた。
親友と別れ、海に逃れ、海賊となった。
そんな甘酸っぱい少年時代の記憶が、胃液と共に流れ出た。
しかし…今俺は生きている!重要なのはそれだ。
東京ゲットーにたどり着けば「オレンジ」と連絡が取れる。
また戦える!救い出せる…ナナリーを!!
C.C.「ご主人さまぁ…。」
狭い部屋のベッドの片隅に体を隠しながらC.C.がこちらを見ている。
“奴隷時代の少女”に戻るのは自分の知る限りでは2度目。
死ぬほどのダメージを負うと現れる症状らしい。
側により、軽く頭を撫でてやると少し落ち着いたらしく目を瞑る。
あの高慢で高飛車な女が自分を助けるために命を懸けた…。
ルルーシュ「ありがとうC.C.。ありがとう…ロロ。」
口から出たのはC.C.への感謝と「弟」の名前。
「ランペルージ」の姓を持つ死んだ護衛の名前だった。
ルルーシュ「“麦わら”のルフィ…甘い男だ。フフフ、”仲間“か…。
いいだろう!なってやろうじゃないか。エリア11までの
短い旅の間だけな!そしてもし…再び敵対するようならば…
駒として…散々こき使った挙句、ボロ雑巾のように捨ててやる。」
ルルーシュの「両目」が赤い光りが宿る。
仮面に隠されたその光をC.C.は気づかない。
- 50 :
- 読んでるから、まあ気長にな
- 51 :
- >>50
ありがとう!
ギアス好きは大満足!ワンピース好きにはまあまあ。
そんな少年誌の王道のど真ん中を歩むことを約束する!
だから気長に待っていてくれv
- 52 :
- 目的地に向かうメリー号を上空から覗いてみるとなにやら黒い物体が動いている。
船上を行き来するそれは上空から見ると巨大なボロ雑巾に見えなくもない。
ゼロであった…。
ルルーシュ「掃除くらい毎日しろ!バカどもが…。」
舌打ちしながらも、黙々と床をモップで拭き続ける。
完璧主義の災い。部屋に塵1つ残さない(特に妹の部屋だが)その性格は
ルフィたちの適当な掃除を許せるはずもなく、旅を始めて三日目には
誰に呼びかけることもなく一人黙々とメリー号の掃除を始めていた。
船長である“麦わら”のルフィは船首の部分で昼寝をしている。
“海賊狩り”のゾロは自慢の刀の点検をしている。
共にその目の部分を無防備にさらしていた。
“ウソップに一撃で敗れた男”それが2億の首・ゼロのこの船に
おける別名であった。
その圧倒的な弱さが高く評価され、この船でサングラスなどのギアス対策
をしているのは、ナミ、ウソップ、チョッパーのおなじみの3人だけとなった。
その“ゼロを倒した男”は、ゼロから距離を置き、ゴーグル越しにチラチラ盗み見
ながら掃除を手伝っていた。特に会話はないが、共に奇妙な親近感を感じながら。
- 53 :
- 一週間が過ぎた頃、ゼロの苛立ちはピークに達していた。
それは、不衛生な環境を自分で変える努力に疲れたためではない。
掃除はむしろ気分転換として効力を発揮していた。
では、彼を苛立たせたのは何か?
サンジ「C.C.ちゃ〜ん。デザートができたよぉ!」
…奴であった。
- 54 :
- サンジ「C.C.ちゃん!味はどうかな?」
C.C.「は、はい!す、すごく美味しいです!」
サンジ「それはよかった!C.C.ちゃんのために特別に作ったんだ!」
そう言って、サンジはC.C.の肩に手をまわした。
ルルーシュ「…ピク。」
遠くからゾロがサンジに向かって厳しい視線を投げかけている。
他のクルーからみてもサンジのスキンシップならぬセクハラは
目に余るものに変貌を遂げていた。
サンジのC.C.に対する露骨なアプローチはその料理にダイレクトに表れた。
毎日がフルコース。
それを美味しそうに食べるC.C.。喜ぶサンジ。悪循環は止まらない。
他のクルーの食事の質は低下した。ルフィは不満そうにサンジに文句をいう。
しかし彼はまだマシである。もっとも被害を受けていたのは
C.C.の“ご主人様”であるはずのゼロであったからだ。
- 55 :
- 最初の三日間はまだマシだった。賄い飯と思われるものだったが味は上質であった。
しかし、その後食事として出されたのはカップ麺だった。それも3日連続…。
ルルーシュ「アイツ、人間が一日に必要な野菜の量をしているのか?」
明らかに栄養不足のゼロ。そしてその前で行われるセクハラ。
明らかな挑発。宣戦布告に他ならなかった。
サンジ「本当にかわいいな〜C.C.ちゃん!」
サンジがC.C.の腰に手をまわした時
ルルーシュ「ブチッ!!」
ルルーシュは切れた。
- 56 :
- サンジがクルーを栄養不足にするわけないだろ。。
- 57 :
- 他のクルーの食事の質は低下した。←「質」を「量」に
脳内変換して置いてください。差別されてるのはゼロだけです。
俺の文章力の低さのせいもあると思います。
素人なので生暖かい目でまったり見守ってくださいv
- 58 :
- ルルーシュ「ご機嫌だな!コックの男よ!」
ゼロはマントを広げ、サンジを指差した。
サンジはギョッとしてC.C.から離れる。いきなりこんな怪しい
仮面男から指名されれば当たり前だ。
サンジ「な、なんだ?何か用かよ?」
ルルーシュ「ずいぶん時間を持て余しているようだな?せっかくだから
掃除を手伝ってくれないか。“仲間”だろ…?」
ゼロの挑発めいた言い回しにサンジは少しムッとしながらも、黙ってモップを
手にもつ。確かに正論であり、今まで掃除をこなしてきた
ゼロの言葉に説得力があった。
サンジ「で、どこを掃除すればいいんだ?」
あらかたというか、船内は完璧に掃除されていて塵1つ見当たらない。
ルルーシュ「ここだよ。ここ。」
ゼロは椅子に座り、靴の裏を指さした。
ルルーシュ「拭け。舐めるように…丹念にな」
- 59 :
- 瞬間湯沸かし器とはこの時のサンジであった。
サンジ「てめー!喧嘩売ってんのかよ!!」
ゼロの袖に手をかけ、絞りあげる。
ルルーシュ「喧嘩を売るとは連日のカップ麺のことか?」
ゼロも引かない。
サンジ「そもそも、お前みたいな怪しい野郎を仲間として
認められるか!!俺が歓迎したのはC.C.ちゃんだけだ!
何が“ご主人さま”だ!この仮面が!」
サンジは大声で罵る。―――めちゃくちゃ私怨を込めながら。
ルルーシュ「それは困ったな。”仲間“として認めてもらわなければならない。
せめてこの旅の間だけな…。
だから提案したい。決着をつけようと!」
サンジ「望むところだ!」
こうしてゼロとサンジは決着をつけるために対戦することになった。
その種目とは?
C.C.「二つの洗い場に洗い物を二等分しました!」
…お皿洗い勝負だった。
- 60 :
- サンジ「(バカかコイツはッ!!)」
サンジは心の中で罵倒した。コックである彼のプライドが刺激された。
日々の業務。もはや彼にとっては生活習慣ともいえる作業で勝負を
挑まれるとはサンジは想像すらできなかったからだ。
サンジ「(こんなバカがトップに立つなんてあり得ねえ!
まだルフィがマシに見えるぜ!
きっと“黒の騎士団”ってのはアホの集まりに違いない!)」
批判はゼロから彼の部下に飛び火した。ついでに自分の船長にも…。
そうして一通り心の中で罵倒を終えたサンジは少しずつ余裕を取り戻す。
すでに結果が見えている勝負より、いかにこの状況を利用するかという打算が
動き始めたのだった。サンジはC.C.を見る。C.C.はそれに気づくを恥ずかしそうに俯く。
サンジ「かわいい…マジかわいい!」
サンジの鼻の下が自然と伸びる。それを見てゼロは呟く。
ルルーシュ「…なんだその顔芸は?勝負はもう始まるぞ。」
サンジ「…ッ!!」
ある意味最悪のタイミングを見られ。それを興味のない“突っ込み”ですらない
“呟き”で返されたサンジは現実に戻り、ゼロを睨み付ける。
サンジ「(すべてこの野郎がいけないんだ!
きっとC.C.ちゃんはコイツに攫われて無理やり
“ご主人さま”なんて呼ばされているに決まってる!
ああ、なんてかわいそうなC.C.ちゃん…。
俺が勝ったあかつきには君を自由にしてあげるからね!)」
怒りをモチベーションに変えるサンジ。C.C.は片手を挙げる。
C.C.「位置について…よ、よーい、スタート!」
- 61 :
- スタートと同時にコップとスポンジを手に取るサンジ。
その二つが蛇口に流れる水の前で交差するとコップは
鮮やかな光りを取り戻していた。
必要以上の力はいらない。スナップとスピード。そして
何万回ともいえる反復の経験がそれを可能にする。
サンジはコップを乾杯の仕草でC.C.に向け
ウインクをし、余裕を演出する。
サンジ「どうだ!お前にこれができ…ッ!?」
勝利を確信し、ゼロを見たサンジの動きが止まる。
ルルーシュ「水温摂氏11度、蛇口直径16ミリ、皿全体のワインゾース
の面積2パーセント以下。この条件に最適な構えはこの角度!」
“ゴ、ゴ、ゴ”と効果音が聞こえそうな異様なオーラが立ち上る。
ルルーシュ「抉りこむように…擦るべし!擦るべし!擦るべし!擦るべし!」
サンジ「え?うおぉ!?うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!?」
ルルーシュ「擦るべし!擦るべし!擦るべし!擦るべし!擦るべし!擦るべし!」
- 62 :
- 船が進み波がざわめく。その音を楽しみながらゼロは船上の真ん中で
優雅に読書を楽しんでいた。その足元で何かがゴソゴソと動いている。
ルルーシュ「手を休めるな、しっかり拭け。舐めるように…丹念にな」
屈辱に耐え、黙々と作業を続けるサンジ。わざわざ船の真ん中に
椅子を移動し、読書など行うのは、この状況を周囲に晒すために他ならない。
ルフィとウソップは指を指して笑い。ナミは哀れそうに眺めている。
遠くからはゾロがあいかわらず厳しい視線を投げかけている。
敗戦の結果とはいえ、この状況…耐え難い。
ルルーシュ「喉が乾いたな…紅茶をくれないか?ボーイ君」
“飲まないよね?というか飲めないよね?”そんな抗議を瞳に託しながら
サンジはゼロを睨む。―――このままでは終われない。
サンジ「第二ラウンドだ!さっきはお前の得意分野で戦った!
だから、今度は俺が種目を決める!」
過去の自分の言葉をかなぐり捨て、サンジは挑戦状を叩きつける。
ルルーシュ「よかろう…その種目とは?」
承諾するゼロ。完全決着をつける気だ。
サンジ「料理勝負だ…C.C.ちゃんを賭けてな!」
- 63 :
- サンジ「(バカかコイツはッ!!)」
サンジは心の中で罵倒した。コックである彼のプライドが刺激された。
日々の業務。もはや彼にとっては生活習慣ともいえる作業をゼロが承諾
するとは、本当のところ思えなかった。
サンジ「(こんなバカがトップに立つなんてあり得ねえ!
きっと“黒の騎士団”ってのは痴呆症の馬鹿軍団に違いない。)」
批判はゼロから彼の部下に飛び火した。ゼロを批判できる材料があれば
なんでもいい。それほど奴が憎かった。
そうして一通り心の中で罵倒を終えたサンジは少しずつ余裕を取り戻す。
周りにはクルーが集まり出していた。ルフィに至ってはすでに席につき
食べる準備を完了させている。
サンジはC.C.を見る。C.C.はそれに気づくを恥ずかしそうに俯く。
サンジ「かわいい…超かわいい!」
鼻の下が伸びそうになるのを堪える。このままでは前回と同じだ。
ゼロを見ると、明らかに怪しいマント男は無言で食材や調理器具を
準備していた。今回の勝負の素材は「海王類」。
サンジ「馬鹿マント!仮面ッ!!」
もはや脊髄反射で罵倒が飛び出す。
怒りをモチベーションに変えるサンジ。C.C.は片手を挙げる。
C.C.「位置について…よ、よーい、スタート!」
- 64 :
- スタートと同時に包丁を手に取るサンジ。
空中に投げた肉と包丁が交差すると、肉は見事に分断され
それをボウルでキャッチする。
必要以上の力はいらない。スナップとスピード。そして
何万回ともいえる反復の経験がそれを可能にする。
――この勝負だけは負けられない。前回は余裕を出しすぎたのが
仇になった。サンジは懐からビンを取り出す。ラベルには
「秘伝の調味料」と書かれている。この材料は一部の海王類の肝で
しか作れない。修行時代からコツコツ集め、特別な催し以外には
決して使うことのない品であった。
サンジ「潰してやる…絶望を見せつけてやる…。」
ブツブツと呟きながら、調味料を贅沢に使用する。彼は本気だった。
その背後で黙々と料理を作るゼロ。残り時間10分前…その出来事は起こった。
ルルーシュ「お前…まさか“C.C.”が本当の名前だと思っているのか?」
- 65 :
- サンジ「え…!?」
後ろ向きで相対するゼロの言葉にフライパンの動きが止まる。
コイツ…いま何と言った?
ルルーシュ「俺は知っているぞ…本当の名前を」
確かにおかしな話だった。「C.C.」この文字を見て名前だと思う人間が
世界で一体何人いるだろうか。何かの「記号」と思うのが普通だろう。
――サンジは妄想の海に落ちていく。そこからは牢屋に囚われた美女達がいる。
ドアが開き、マントを翻しながら仮面が現れた。階段を降り
牢屋に近づき、緑髪の少女を指差さす。
仮面「今日はお前にしよう…“C.C.”」
緑髪の少女「私は“C.C.”なんかじゃない。私の名前は――」
泣きながら拒絶の意思を示す少女。仮面の悪魔は冷笑する。
仮面「奴隷に名前などいらない…。お仕置きが必要だな」
その言葉に反応して肩を震わす少女。
緑髪の少女「うう、申し訳ありません…“ご主人さま”」
それから浮かび上がる痴態の数々、サンジは妄想の海に落ち続けた。
ルルーシュ「鍋…。」
妄想の海からサンジを釣り上げたのは、ゼロの言葉だった。
泡を吹き上げる鍋。炎を天井まで吐き出すフライパン。
終了時間、五分前の出来事であった。
- 66 :
- ルフィ「すげぇーーーうめぇな!これ!!」
ルルーシュ「海王類のフェイバレット焼きブリタニア風だ。
こちらの料理は…。」
食卓に並ぶ数々の料理。日ノ本食をベースにブリタニア風の味付けがされて
いる。ブリタニアで生まれ、日ノ本で生活してきたゼロならではの料理であった。
日ノ本に人質に取られたときから、その料理人のキャリアをスタートさせたゼロ。
毒殺を警戒して、自分と身内の料理はずっと彼が担当していた。その結果、その
料理の腕前は高級店のコックが裸足で逃げ出すほどに成長していた。
一方食卓の端の方。ゼロの料理に紛れながら、たった一品だけサンジの料理があった。
5分で出来る料理…「海王類の刺身」だった。
サンジ「…。」
結果は明白だった。いや、もはや勝負以前の問題である。あまりにも気の毒すぎて
「料理勝負」であったことに触れないクルー達。ゾロですら視線を合わせない。
- 67 :
- ルフィ「うめぇ!超うめぇ!!」
ルフィの食いっぷりを見て苦笑するゼロ。
ルルーシュ「フハハハ、そんなに気に入ったなら、食べさせてやろう。
エリア11に着いたら好きなだけな」
ルフィ「本当か!?絶対だぞ!約束だからな!!」
あまりの食いつきぶりに、いささか引く…この男の食い物に対する執念は
ちょっとだけ怖かった。
席を立ち、落ち込むサンジに近づく。ジロリと睨み付けるサンジ。
その瞳は“敗者を笑いにきたのか”と物語っている。
ルルーシュ「…C.C.の本当の名前は俺も知らない。
俺達はただの契約関係だ…恋人でも、まして愛人でもない」
サンジの瞳に希望の光が宿る。言葉にするなら“よっしゃーー”といった具合だ。
ルルーシュ「夢をバカにして悪かった…。
“オールブルー”それを全否定できる根拠を俺は持っていない」
その口から出たのは謝罪の言葉。サンジは少し驚いた後、右手を差し出す。
サンジ「無謀は承知の上だ。
笑われるのには慣れっこだ」
握手で答えるゼロ。…こうしてこの対決は一応の決着を見せた。
- 68 :
- それから数日後…。
ウソップ「これは“ダイヤル”といって衝撃や音を吸収するんだ」
ルルーシュ「ほう、それは興味深いな…。」
あの対決の後、ゼロとクルー達の関係は少しの変化を見せた。
ウソップとは、メリー号の掃除を通して、少しずつ会話ができるよう
になり、今ではお互いの冒険談を話せる間柄になった。
チョッパー「褒めたってなにもでないぞ!このヤロー」
ルルーシュ「チョッパーよ…お前は卓越している。
優秀な人…いや、トナカイだ!」
喋る狸…もといトナカイで医者であるチョッパーとも
医学の知識を通じて交流し始めた。
サンジ「C.C.ちゃ〜ん。デザートができたよぉ!」
…奴は相変わらずだが、食事が改善されたことには感謝をしていた。
船長である“麦わら”のルフィは船首の部分で昼寝をしている。
“海賊狩り”のゾロは自慢の刀の点検をしている。
今日もいつもと変わらない一日が過ぎていく。
- 69 :
- 月が海面を照らす。今日は満月だった。
ルルーシュは一人、外に出て暗い海を眺めていた。
こんな夜にアイツと出会った…。
ロロ・ランペルージ…我が「弟」に。
ゼロ…あなたを殺しに来ました。
一瞬で惨殺される団員達。月明かりの下でその手に持つ
ナイフが鈍く光る。ブリタニアの暗殺者、ロロ・ランペルージ。
もしも、「ギアス」の能力が知られていたら、間違いなく殺されていた。
ロロは体感時間を止めることができる「トキトキの実」を食べた「時間人間」だった。
お前は俺の弟になれ!!
それがロロにかけたギアスだった。より優秀な「駒」として側に置くために…。
- 70 :
- ――海軍から俺を救出に来たのはロロとC.C.だった。
その顔色はひどく青ざめていた。ここに至るまでに能力を
使い続けたのが一目でわかった。ロロの能力の欠点。それは
能力の使用中は心臓が止まるというものであった。
高すぎる能力の代償。連続使用の帰結は確実な“死”だった。
ルルーシュ「もうやめてくれロロ!俺はお前を利」
…停止!!(キュイーン)
ルルーシュ「用して、お前は俺の弟なんかじゃ」
…停止!!(キュイーン)
気がついた時にはボートの上だった。ロロの顔色はその運命を告げていた。
ルルーシュ「すまない…ロロ。俺はお前を…。」
ロロ「知ってたよ…兄さんは…嘘つきだから…。」
俺の言葉を遮り、ロロは命の炎を燃やした。
ロロ「兄さんの…ことなら…なんでもわかる…僕は兄さんの…弟だ・か・・ら」
BGM
http://www.youtube.com/watch?v=l0V_ES0MJ0Q
- 71 :
- 暗い海面にロロの最後の顔を映る…笑顔だった。
麦わら達に助けられた後、ロロの遺体をC.C.と二人で海に返した。
ほぼ面識がなかったロロとC.C.が救出チームを組んだ過程は
C.C.の記憶が戻らない限り永遠にわからないだろう。
でも、こんな夜にはロロ…自分の「弟」を思い出さずにはいられなかった。
ルルーシュ「そうだよな…お前はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアではなく
ルルーシュ・ランペルージの弟だもんな…。」
少し強い風が吹き抜けた。船内に戻ろうとした直後、足が止まる。
「あなたも月を見に来たの?“ランペルージ”君」
- 72 :
- ルルーシュ「…ニコ・ロビンか。」
そこに立っていたのは長身の女、ニコ・ロビンだった。
別名“オハラの悪魔”多くの海賊を裏切り、生き延びてきた女だ。
ルルーシュ「…。」
悟られないように距離を取る。この一味でコイツだけが知っている。
コイツだけが気づいていた…自分が何者であるかを。
ロビン「警戒するのは無理もないわね…。」
その場に立ち止まり、月を眺める。
ロビン「でも、あなたが何者であれ…彼らはきっとあなたを
迎え入れてくれる。きっと…。」
ルルーシュ「では、お前にはそれができたのか?“オハラの悪魔”よ」
“オハラの悪魔”その言葉を聞いて沈黙するロビン。
そうとも!出来るはずがない…。ほんの少し甘さを見せた結果、俺は
騎士団を追われた。弟を失い、妹を危機に晒しているッ!
ロビン「今はまだ…でも、いつかきっと…。」
騙されるな!甘さを捨てろ!そうしなければ取り返せない!ナナリーを
ロビンは目に何も付けていなかった。
「ギアス」は一度しか効かないという言葉を信じたのだろうか?
だが、それは“以前”までの話だ。それとも、信頼の証だろうか?
ルルーシュ「(それは“甘さ”だよ…。)」
仮面の下でルルーシュの「両目」が赤く光る。
後は仮面の細工を作動させるだけだ…。
ロビン「…!?」
ロビンの表情が変わる。“気づかれた!?”一瞬そう考えた。
しかし、それは間違いだった。ロビンの視線は月を捉えていた。
振り返り、月を見る。その中から人影が浮かび上がる。
カレン「やっと…見つけたッ!!ルルーーーーシューーーーーーーッ!!」
―――刹那、月が赤く映えた。
- 73 :
- 赤い人影が降り立った瞬間、床が爆炎をあげた。
受身によって距離を取ったルルーシュは煙の中を見つめた。そこから人影が浮かび上がる。
ルルーシュ「こんな時間に訪問とは…些か無礼ではないか?
零番隊隊長…カレン・シュタットフェルト!」
いつも愛用しているモップを手に取り構える。それに意味がないことを知りながらも。
カレンは足を止め、船内を見渡す。上空には麦わら帽子をした髑髏が揺らいでいる。
カレン「…驚いたわ。“麦わらの一味”といるなんてね。
一体何を企んでいるの?ゼロ…いえ、ルルーシュ!」
ルルーシュ「…。」
返答はない。ただ、構えをやや上段に移動させた。
それを“合図”と受け取ったカレンは小さく笑う。
カレン「…ルルーシュ、あなたは私が捕まえる!でもその前に…」
足が再び動きだす。素早く、力強く、獲物を狩るかのように。
ルルーシュ「チッ!!」
上段に構えたモップをカレンに向けて投げつけた。槍のように、直線的に、
それはカレンの額を目がけて飛んでいく。
対するカレンの反応は単純なものだった。――ただ”右手”を出すだけ。
しかし、モップは激突することなく消えた。いや、消えたというよりも
“蒸発”という表現が正しいだろう。右手に触れた瞬間、沸騰し、消滅したのだ。
ルルーシュ「ウぐぉッ!!」
モップを消した右手がそのまま仮面を襲い、体が宙を浮いた。
仮面を掴み上げながら、カレンは先ほどの言葉を続ける。
「…その前に、この嘘で固めた仮面をぶち壊して真実(すがお)を
曝け出してあげるわ!ルルーシューーーッ!!」
- 74 :
- カレン「きゃあッ!?」
悲鳴を上げたのはカレンの方だった。手が仮面から離れたために、そのまま
床に叩きつけられる形になったルルーシュは頭を抑えながら立ち上がり
直後、驚愕した。
カレンの両肘から腕が生え、それが首を締め付けている。
ルルーシュ「…悪魔の実の能力者かッ!!」
振り返るその視線の先にはロビンがいた。
ロビン「二輪咲き(ドスフルール)」
胸の前で交差させた腕をに少し力を入れるとカレンは苦しそうに息を漏らす。
ロビンは一連の流れを回想する。突然の来訪者はゼロの知り合いではあるが
仲間ではないようだ。物体を沸騰させて消滅させる力がある能力者であり、
攻撃する意思を持っている。つまりは“敵”だ。
ロビン「(“ロギア”ではないようね…ならば!)」
―――敵は排除する。ゼロだけではなく、仲間たちのために。
カレンの体から複数の腕が生え、その体を固める。
ロビン「六輪咲きクラッチ!!」
- 75 :
- ロビン「…ッ!」
予想外の状況だった。六本の腕によるサブミッションである「六輪咲きクラッチ」
屈強な大男でさら、簡単にその背骨を粉砕する。だからこそ、今目の前で起こって
いる状況は驚愕に値するものだった。一見、どこにでもいる町娘と変わらぬ背丈
の赤髪の女は、ただ“筋力”のみでクラッチに耐えている。
交差させた腕に更なる力を注ぐ…極めきれない。赤髪の女は血管を浮き立たせ
ながら右手を少しずつ上げていく。根競べが始まる。
ロビンは後悔していた。一瞬で決めていれば、今のような状況に陥ることはなかった
はずだ。少女の姿は“擬態”であり、目の前の女は強敵だった。その認識さえあれば…。
根競べは終わった。赤髪の女の右手がロビンの腕の一本を捕らえる。
赤い光りが放たれた瞬間、ロビンの腕は“沸騰”した。
- 76 :
- 1です。
このスレを作成して1ヶ月ほど経ちます。
物語の方も四分の一ほど進ませることができました。
しかし・・・流石に自分一人で延々と投稿するのもむなしいので
感想など気軽に頂けたらうれしいな〜と思う今日この頃。
質問でもかまいません!ネタバレにならない程度に答えたいと思います。
たとえ妄想SSといえども、書き始めたらなんとか最後までやり遂げたいと
考えています。読んでくれている方がいましたら、感想などを宜しくお願いします!
- 77 :
- カレンのバトルかっこいいすね!ギアスもワンピも好きなので更新楽しみにしてます!頑張ってください!
- 78 :
- 支援。
ガンガレ!!
- 79 :
- ルルーシュをよいしょする為にワンピキャラを利用してるように見える
相変わらずだな、ギアス厨は
- 80 :
- >>77 >>78
本当にありがとう!
見てくれてる人がいるとわかったので、何とかペースを守って頑張りますv
少しですが、投稿します↓
- 81 :
- ロビンは腕を押さえ、膝をついた。腕が“沸騰”した瞬間に技を解いた…
しかし、ダメージは「火傷」という形をもってはっきりとロビンの腕に
刻まれていた。咳き込みながら、先に立ち上がったのはカレン。
首を押さえながら、無言で右手をロビンに向ける。
右手の周りには赤色の波動が渦巻いている。
カレン「…弾けろ!」
赤い波動がロビンに向かって襲い掛かる。
―――痛みに耐えるロビンはそれに気づかない。
- 82 :
- 赤い波動が獲物に襲い掛かるように一直線にロビンに向かう。
そしてまさに捕らえようとする寸前、爆発した。
ロビンの横を通り抜けた「斬撃」と衝突し、四方に飛び散り煙を吐く。
その爆発により、ロビンは後方に飛ばされた。
赤い波動は煙となり、主人をも捕食する。
煙の中でカレンは身構え、目を細めた。自分の攻撃が失敗に終わったのは
明らかであった。“一体何があった?”その答えは煙の中から現れた。
鋭い刀の切っ先がカレンの頬を掠める。自分の胴に向かってくる二の太刀を
バク転をしてかわす。その後を追って煙の中からその刀の「本体」が登場する。
ゾロ「ゼイヤァッ!!」
口に刀を咥えた奇妙な剣士…ロロノア・ゾロ。別名“海賊狩り”のゾロだ。
腰のナイフを抜き、逆手に持ったカレンはゾロの斬撃を受け止める。
一本のナイフと二本の刀の鍔迫り合い。どちらも引かない。
ゾロ「てめー何者だッ!海兵か!?」
カレン「邪魔を…するなーーーー!!」
力は拮抗している。凶器を境界線として二人は睨み合う―――
カレン「きゃあ!!」
均衡を破ったのはゾロだった。鍔迫り合いに集中し、無防備となったその腹に
強烈な蹴りを見舞う。吹っ飛ばされたカレンは後ろに構えていた壁に
叩きつけられ、その衝撃でナイフを落とした。後ろ手に壁を触り、逃げられない
ことを悟るカレン。対して、ゾロはこのチャンスを逃すはずはない。加速し、
距離を詰め、三本の刀を一気に振り下ろす!
ゾロ「三刀流…虎狩り!!」
- 83 :
- ゾロ「…ッ!?」
三刀流「虎狩り」は目前の敵を吹き飛ばす。まるで虎に襲われたように宙を舞う
敵には三本の傷跡がはっきりを刻まれる。ゾロの得意とする技の1つだ。
だが、吹き飛ばされ、宙を舞う…はずの女は目前に敢然と立っていた。
右手で三刀を防ぎながら。その女の右手から出た赤い波動は
まるで「盾」のように形状を変化させ、その使用者を守った。
カレン「これが“輻射波動”この間合いに入った時に私の勝ちは決まっていた」
ゾロ「何ッ!?」
カレンの“勝利宣言”に反感を覚えるゾロ。その思いとは裏腹に「虎狩り」を
解き、後方に飛ぶ。カレンの言葉の意味を感じていた…自分の口が、手のひらが。
「輻射波動」によって3本の刀は一瞬で高温と化した。その熱はたとえ鞘で
守られている手のひらにも伝わってくる。もしも、意地になり、技を解くのに
躊躇していたら、この程度の火傷ではすまなかった。
カレン「逃がすものかッーーー!!」
右手をそのまま前方に出し、体ごと前に飛び出すカレン。凶器と化した右手が
ゾロの顔面に向かって牙を剥く。
- 84 :
- ゾロの顔に向けて伸びた右腕は止まり、直後、カレンは体を反転させる。
盾と化した「輻射波動」が何かを飲み込み、ボウッ、と小爆発を起こす。
右手を向けた先には長鼻の男がパR台を構えていた。
ウソップ「ゾローーー!!大丈夫かあーーーー!?」
“麦わら”の一味の狙撃手であるウソップが騒ぎに目を覚まし、
救援に駆けつけたのだ。
ゾロ「ウソップ!?バカ!早く逃げろッ!!」
赤髪の女の実力は十分思い知った。だからこその反応だ。
とても、ウソップが出る幕ではない。だが、当の本人はそのことを
知らない。
ウソップ「そこの君!降伏するなら今だ!俺には八千人の部下が…」
ウソップの話はまえふりのみで終わった。女の右手の波動が形状変化
していく様を見たからだ。それにははっきりと攻撃の意思を感じる。
ウソップ「火薬星!火炎星!鉛星!卵星!ウソップ輪ゴムッ!!」
ありったけの技を出す。その全てが波動に飲まれ、小爆発を起こす。
カレン「…しつこい!!」
「輻射波動」の光線がウソップを襲う。寸前でかわすウソップ
カレン「しまったッ!!」
悲鳴を上げたのはカレン。ウソップがよけたその先にいたのは…。
ルルーシュ「…ッ!!」
- 85 :
- 爆発と共に煙が周囲を覆う、“肉が焼けた”ような焦げ臭い嫌な匂いを
風が運んでくる。戦いを中断して、一同は煙の中心を見つめていた。
その場所には先ほど、“魔王ゼロ”ことルルーシュ・ランペルージが立っていた。
不意を付かれたために、体を硬直させていたルルーシュは、おそらく「輻射波動」
をまともに喰らってしまったに違いなかった。この嫌な匂いこそ、一同の推理
を裏付ける有力な根拠であり、唯一の証拠であった。
カレン「…ッ!!」
煙が上がり、数秒間の推理劇の解答が示された。
煙の中心で倒れていたのは…緑髪の少女。
その背中は赤く染まり、まるで華が咲き開いたかのようだった。
そして、その横に呆然と彼女を見つめるゼロ…ルルーシュ・ランペルージの姿があった。
- 86 :
- 赤い波動に身が包まれる瞬間、背中に衝撃を受け、床に向かって倒れた。
爆発音が鳴り、何かが倒れる音が聞こえた。
――誰かに助けられた。すぐそれに気づいた。そして、誰に助けられたのかも…
ルルーシュ「…C.C.」
視線の先には、C.C.が倒れたいた。その背中には赤く染まり、真紅の血が床を
濡らしている。だれの目から見ても致命傷なのは明らかであった。
だが――笑っていた。顔は酷く青ざめていた。しかし、瞳はしっかりと
ルルーシュを見つめ、C.C.は――笑っていた。
C.C.「ご主人・さ・・ま…」
手をルルーシュに向けて伸ばす。それは、あの時の光景とよく似ていた。
日ノ本がエリア11なったあの日、俺は海で出た。
そして…あっさり人買に捕まった。人買は俺がブリタニアの王子であることを
知り、売り込もうと目論んでいたらしい。
そしてブリタニアに連行される俺を助けてくれたのは
緑髪の少女…C.C.だった。
C.C.「私と一緒にくるか?ブリタニアの王子よ」
そういって手を差し伸べるC.C.。優しい…笑顔だった。
そして俺は「革命軍」のもとで力をつけ、再び海に出た。
今の俺があるのは全てC.C.のおかげだ。
時代が変わろうとも、記憶を失おうとも…C.C.お前は俺を――
手を握ろうとするルルーシュ。しかし、C.C.の腕はその直前で崩れ落ちた…。
- 87 :
- カレン「C.C.なんで…なんであなたがここに!?」
そう言って頭を抑えるカレン。酷い頭痛がする。頭が割れそうだった。
瞳を閉じる。真っ暗な闇の世界。そこには“黒い霧”がたちこめていた。
カレン「(ハァ、ハァ)」
その“黒い霧”の先に明かりが見えた。小さな、本当に小さな光り。
手を伸ばす。小さな光りに、暖かい光に、
それが、自分が本当に欲しかったもののように感じたから。
“黒い霧”が叫ぶ。“ルルーシュを殺せ”と。そして、光りを押し潰した…。
ナミ「ちょっと!何の騒ぎ!?海軍の襲撃!?」
サンジ「何があった…ってC.C.ちゃん!?」
ルフィ「ふわぁ〜、うるせーぞお前ら」
チョッパー「な・何が起きてんだ?」
騒ぎを聞いて、他のクルーがデッキに集まる。
“麦わらの一味”全員集合だ。
カレン「…ッ!」
時間切れだった。さすがのカレンでも“麦わらの一味”全員を
相手にできるとは考えていない。奇襲による“ゼロ捕獲作戦”
は一味の全員集合によって「失敗」という結果に終わった。
その結果を悟り、船端に飛び乗るカレン。
カレン「ルルーシュ…これだけは覚えておきなさい。
何を企もうとも、この海のどこに逃げようとも、
ルルーシュ!あなたは、私が捕まえるッ!!」
そう言い残し、海に身を投げる、直後、爆炎が上がり一隻のボート
が火を吐きながら波を切り裂き、メリー号から離れていく。
- 88 :
- ルフィ「かっけー!“エース”の船みたいだな!アイツの」
離れていくボートを眺め、ルフェがうれしそうに声を上げる。
チョッパー「ダメだ…死んでるッ!」
サンジ「C.C.ちゃん…せっかく出会えたのにッ!うう」
C.C.を仰向けにして、治療を試みようとしたチョッパーを呻くように
呟いた。その傍らではサンジが声を上げて泣いている。
チョッパー「心臓も止まってる。顔色も…!?」
死亡確認のため、顔を眺めたチョッパーは驚きのあまり言葉を止めた。
死んだはずの…死んだはずのC.C.がじっとこちらを見ているのだ。
C.C.「どけ…狸よ」
チョッパー「ぎゃーーーーー!死人が喋ったッ?!」
驚きのあまり尻餅をつく。“ガタガタ”と震えるチョッパーを尻目に立ち上がる。
C.C.「うむむ、腹が減った。回復のために体力を使い切ってしまったぞ。
そこのコック!サンジと言ったな。“ピザ”を…最高の“ピザ”を
直ちにもってこい!」
サンジ「え?!あ、え、えーと…C.C.ちゃん?」
復活するや理不尽な要求を突きつけるC.C.。あまりのことにサンジは
返答すら満足にできない。性格…変わってないか、とそんな顔をしながら。
C.C.「服も酷い状態だ…女!ナミといったな。お前の服を貸せ」
新たなる要求を突きつける。その被害者はナミ。
ナミ「いいけど…レンタル料、高いわよ」
気圧されながらも、何とか返答するナミ。C.C.の背中にはすでに傷跡がなかった。
C.C.「ケチな女だな…ここ百年いなかったぞ、私にそんな口を聞いた輩は」
ナミ「ムキー!何この女!性格変わりすぎ!!」
肩を竦めるC.C.。その態度に激昂するナミ。
ついさっきまでは生まれたての子鹿のような目をして、オドオド、していたのに。
その様子を少し離れて、見ていたのはルルーシュだった。
ルルーシュ「(…記憶が戻ったのかC.C.)」
- 89 :
- ゾロ「…何者だあの赤髪の女は?相当な手錬だぞ」
少し火傷を負った手を風にあてながらゾロは尋ねた。
服装や言動から考察すれば、明らかに海軍の者ではない。
ルルーシュ「…カレン・シュタットフェルト。
“黒の騎士団”零番隊・隊長だ」
ゾロの質問に答える。その視線は暗い海の方を眺めていた。
ナミ「ちょっと待ってッ!今何て言ったの!?」
C.C.と口論していたナミがルルーシュの返答に驚きの声を上げた。
ナミ「零番隊ってアンタの親衛隊のことよね?!
その“隊長”が…“黒の騎士団”がなんで私たちを
襲うのよ!?説明しなさいよッ!ゼローーーーーーーーーー!!」
ナミの悲鳴が暗い夜の空いっぱいに響き渡った…。
- 90 :
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人物紹介そのA
名前 ロロ・ランペルージ 別名“暗殺者”ロロ
能力 時間停止(トキトキの実)
所属“黒の騎士団”側近
懸賞金 4千万ベリー
ブリタニアの暗殺者としてゼロを襲撃する。その後、“黒の騎士団”に入団し
ゼロの側近として暗躍。海軍大佐とその部下20名を一瞬で惨殺したことから
その存在は騎士団内部でも恐れられていた。
本人はゼロの弟を自称していたが、その真相は不明。“ゼロ救出作戦”において死亡。
- 91 :
- 〈\:::: /.:.:. ..:.:.:/‐==-xヘ.:.:.:.:/三\ :.:ヽ
f⌒ヽ _>'´:.:.: ..:.:.:.:./=====z≦三:::=ミハ :.:.:.:}
, - 、{: : : :' ー= :.:.:ニ二>'´:.:. -‐‥'´:.:∠-‐=ニ _ ___ : : :`<ミ| .:.:. ト、
{: : :.ヾ: : : l _>':"´.:.:.:.:.: __ -= イ ,ィ==-ミ ヽ `丶、:.:ヾ| :.:.:.:.j:::ヽ
ヽ: : :.:';. : :| '´.:.: -=ニ二二 /::::::::::: /:::l {{ ,__汽ヾ '´ ̄ ヽ\:.:j :.:.:.:,'.:.__;ゝ
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 ̄ ̄ ̄`丶、|:::::::/二ニニ==ー‐</: : : : : : : : \: ::::/:::/'´::: : : / /\
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人物紹介そのB
名前 カレン・シュタットフェルト 別名“紅月”カレン
能力 輻射波動(パラメシア系モデル“紅蓮”)
所属“黒の騎士団”零番隊・隊長
懸賞金 7千500万ベリー
旧日ノ本のテロリストグループ「ナオトグループ」に所属。“黒の騎士団”に
入団後、悪魔の実を食べ、“輻射波動人間”となり、戦場を駆ける。
月を背景に映えるその赤髪はブリタニアにとって恐怖の象徴となる。
零番隊・隊長としてゼロを守る騎士団の“エース”
- 92 :
- パラメシア系→パラミシア系
すいません、間違えました。
- 93 :
- ――同じ暗い海の夜の下、扇要。大海賊船隊“黒の騎士団”の現団長が
本船・斑鳩の甲板の上に立ち、ある人物を待っていた。
扇「(…ッチ、クソ眠いな…よりによってこんな時間に帰ってきやがって)
あくびをかみ殺し、目を擦る。その目は少しだけ充血していた。
扇がいる斑鳩に一隻のボートが近づいてくる。それには一人の男が乗っていた。
男は現在“黒の騎士団”において五番隊・隊長の地位を預かっていた。
元“日ノ本解放戦線”の幹部であり、「四聖剣」の異名を持つ剣豪だった。
男は各エリアのレジスタンスから情報収集するという任務をゼロから受けて
いたが、その任務を途中で中止し、急遽、斑鳩に戻ってきたのだった。
甲板に男が上がる。扇は手を広げ、いつもの作り笑いをする。
扇「お疲れ様!任務ご苦労だったな、とべ」
卜部「…卜部{うらべ}だ(ドーン)」
卜部巧雪。“黒の騎士団”五番隊・隊長であった。
- 94 :
- 扇「(…クソがッ!難しいんだよその漢字!振り仮名ふっとけやッ!)」
内心で毒吐きながらも、ハハハ、と笑って誤魔化す。
この男はいつもそうして生きてきたのだ。それを黙って見つめる卜部。
卜部が斑鳩に戻ることを決めたのは、部下からの密告だった。
扇たち幹部が突然、ゼロをブルタニアに売った、というのだ。
その理由はゼロがギアスという超能力で敵や仲間を
操っていた、というものだった。
ゼロ引渡しの報酬は日ノ本のエリアからの解放。
そして、ゼロ更迭に意義を唱える団員達を新たに団長となった
扇が、次々と牢に捕らえ、今や“黒の騎士団”は扇の独裁体制
にあるという。“幹部たちの様子がおかしい”そう報告した部下とは
連絡がつかなくなった。もはや、事態を自分の目で判断するしかない。
そう決意し、卜部は斑鳩に帰還したのだった。
卜部「扇、率直に聞く。なぜ、ゼロをブリタニアに売った!?」
卜部の質問を予想していたように、キリッ、とした顔で扇は答える。
扇「ゼロはブリタニアの王子、ルルーシュ!
ギアスという力を使い、人を操る…ペテン師だ!!」
- 95 :
-
卜部「…。」
返答を聞いて黙る卜部。扇はそれを見て、なぜか誇らしげな顔をしている。
しばらく沈黙した後、卜部は口を開いた。
卜部「その情報…誰から聞いた?」
扇「シュナイゼル宰相だ」
扇は、ニヤリ、と笑い、懐からカセットテープを取り出す。
スイッチを押すとテープは、ジジ、と音をたて回り出し、その記憶を呼び覚ます。
?「ルルーシュ!君はブリタニアの王子でみんなにギアスをかけたのか?」
?「そうさジョン!僕は王子でみんなにギアスをかけたのさ!」
上記は、ゼロが王子でギアスをつかった、という証拠のテープの要約だった。
謎の二人の会話。一人が質問し、もう一人が回答する。もちろん、回答した
人間がゼロ、ルルーシュ本人であるという証拠はどこにもない、というか
「ジョン」って誰?中学英語の教科書の人!?
卜部「これを誰に貰った?」
扇「シュナイゼルさんだ!他にも証拠はある」
懐から取り出した複数の書類を卜部の足元に投げる。
そこには、日ノ本解放戦線の草壁中佐、片瀬大将。ブリタニアの学生、
エリア11総督のクロヴィスの写真が載せられていた。
扇が言うには彼らは“ギアスによって操られていた”らしい。
もちろん、操られていた証拠など何もない。
- 96 :
-
卜部「これを誰に貰った?」
扇「シュナイゼル様です。わざわざ時間指定便で送ってくださった。料金高いのに」
にこやかに笑う扇を見て、卜部は血管が切れそうになるのを堪えた。
卜部「つまり、エリアの半分を陥落させた敵の宰相・シュナイゼルの
言い分をそのまま受け入れて、ゼロを、こちらのリーダーを売った…と?」
卜部の質問を、フッと鼻で笑い、指を鳴らす。斑鳩の内部に繋がる入り口から
一人の女が、オドオド、と歩いてくる。その肩を抱き、扇は答える。
扇「確かに、今までのものは証拠としては弱い。しかし、ギアスが俺たちの“仲間”
にかけられていたならどうだ?そう、この千草こそ、ギアスにかけられていた
被害者であり、ギアスの存在を立証する生きた証人だあーーーーーー!」
卜部「そいつは…ブリタニア人で、“ブラックリベリオン”時にお前を撃った
海軍のスパイじゃねーかーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」
寡黙な男の血管がついにぶち切れた。
- 97 :
-
卜部「“仲間”じゃねー!そいつは断じて“仲間”じゃねーッ!!」
その女・千草は、扇の地下工作員として働いていた。
しかし、彼女の正体は海軍少佐・ヴィレッタ・ヌゥ。海軍のスパイだった。
“ブラックリベリオン”の時、扇はヴィレッタに撃たれ、無様に泡を吹いて
倒れた。そのため指揮系統は崩壊し、ブリタニア軍に態勢を整える時間を与えた。
それが“ブラックリベリオン”における敗戦の大きな理由の1つとなった。
扇「ゼロは卑劣にも、千草にギアスをかけ、海軍の逆スパイとして利用したんだ!」
逆切れ気味に扇はゼロの非道ぶりを糾弾する。
卜部「(…え、何が悪いの?それって結構名案じゃね?)」
確かに一人の人間としてみれば、極悪非道なのは間違いない。
しかし、今、行われているのは戦争だ。
国際法という最低限のルールを表面上、守りながら行う殺し合いゲーム。
自身も人には言えない汚いことをした…生き延びるために。
奇麗事だけでやっていけない現実がある。例え、ゼロが自分たちを
“駒”として見ていたとしても、それはどうでもいいことだ。
自分たちもゼロを有能な“道具”として期待しているから…。
組織には必ずそういう側面が付き纏う。
扇「ゼロは悪党だ!奴の行ったこと、築きあげたもの全ては“悪”だ」
卜部「(…ッ!)」
扇要…いつも後方の安全な場所にいたこの男はその現実を知らない!
文句があるならてめーが出てけ!、と言いたいのを堪える卜部。
論争も終盤に差し掛かっていた。
- 98 :
-
卜部「はっきり言ってやる!
俺は…俺たちは“ギアス”などにはかかっていない!!」
その宣言を、ニヤニヤ、と笑いながら扇は聞く。
扇「なぜそう言い切れる。“証拠”はあるのかなぁ〜?」
してやったり、勝った、とそんな顔をしている。ああ、殴りたい…。
卜部「簡単なことだ。もし、俺たちが“ギアス”にかかっていたのなら
ゼロを裏切ることは絶対にできない!
この追放劇の成功こそ、ゼロが俺たちに“ギアス”を
かけていなかった…証明だーーーーーーーーーーーーー!」
卜部の咆哮に、扇は後ずさりする。あまりにもシンプルな答えだった。
扇「〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
余裕だった形相が一変する。ほんのりと汗をかき、泡を飛ばして反論する。
扇「ゼ、ゼロはそういう“ギアス”をかけ忘れたんだ!」
卜部「便利なものだな“ギアス”とやらは…。
ゼロは、あの男は一種の天才だった。そんなヘマはしない。
扇…お前のような無能とは違ってな!」
鼻で笑い、即答する卜部。ついに扇に対する罵倒を解禁する。
卜部「百歩譲ってゼロがブリタニアの王子で、俺達に“ギアス”をかけ操っていた
としても、まずはその身柄を拘束して、徹底的に取り調べを行うのが
当然の処置だ!それを即、敵に引渡して交渉するなんて…このバカ!
クズ!卑怯者!レイ○魔!キモパーマ!モジャ公!一人だけ変なコート!」
正論の後、ありったけの悪口を言う卜部。
扇が“黒の騎士団”の制服を一人だけ着ていなかったことにやはり不満があったようだ。
卜部「“王子”だろうが、“ギアス”だろうが、どうでもいい!
問題はゼロが俺達やエリアの民を裏切っていたかどうかだ!
否…絶対にない!ゼロは本気でブリタニアを倒そうとしていた!
エリアを解放しようと命を懸けて戦っていた。
それは、側で一緒に戦った俺が知っているッ!!
扇…なぜだ?お前も言ったはずだ“ゼロのブリタニアに対する怒りは
本物だ“と、”ゼロは全エリアの希望“だと」
全てを吐き出し、返答を待つ卜部。耳をかきながら聞いていた扇は答える――
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