加減乗除は全て (a,b) |→ c となる2項演算子です。 群環体もこの2項演算子をモデルに作られています。 横に文字を連ねるとどうしても a □ b = c と 2項演算子が考えやすいのか…。 3項演算子を考えればもっと計算の世界が広がるのでは? このスレでは3つの数 (a, b, c) に対して数 d を割り当てる3項演算子 (a,b,c) |→ d を考えます。
2 :
「三角乗法」を次のように書きます。 (a_t, a_l, a_r) |→ b を a_t △ >→ b a_l a_r
基数集合の位数が 2 の場合、 S = {e, 1} を考える。 まず単位元を自然な感じで >>7 と置くと e e △ △ →< e △ e e 1 △ △ e e * であるから * = 1 でなければならない。 よって e △ >→ 1 e 1 である。同様に e △ >→ 1 1 e 1 △ >→ 1 e e が言える。
基数集合 S = {e, 1, 2} の場合を少し考えたが バージョン1の >>2>>4 で定義され >>25 によって決定される 三角乗法では場合分けが多くなり考えにくい。 まあ後々コンプータさんにでも解かせるとして、いまは (T1) 「頂点を保つ縮約」 a △ a * △ * >→ △ △ △ b c b * c を追加してみる。
このスレでの私の目標は 数に対して加減乗除に次ぐ第5の演算で 加減乗除に類する素直な性質を持つものを見つけることです。 そのためにまず有限基数 S = {0, 1, ..., n-1} に対して 三角乗法△を定義し、それを N → Q → R と拡張する方針です。 ひとまず昨晩の探索の結果をまとめます。
58 :
[定義 1: 記法] 整数 n に対して基数集合を S = {0, 1, ..., n-1} ととる。 任意の3つ組 (a, b, c) ∈ S × S × S に対して △(a, b, c) = d ∈ S を割り当てる写像 △ を三角乗法と呼び a △ >→ d b c と書く。 上記のように左辺を右辺に変えることを縮約と呼ぶ。 この逆を展開と呼び a d →< △ b c と書く。 縮約は一意に定まるが、d の展開は一般に 複数通りあっても良いものとする。 上記で定義される三角乗法系を (S, △) と書き (S, △) の元 J ∈ (S, △) は a J = △ >→ d b c と書く。
59 :
[定義 2: 結合法則] 三角乗法系 (S, △) に対し、J, P, B ∈ (S, △) が 互いに1つの頂点を共有するとき、つまり x J = △ >→ t a b a P = △ >→ l y c b B = △ >→ r c z となるとき、結合 △(J, P, B) が定義され x J △ t △ →< a b >→ △ P B △ △ l r y c z とする。
60 :
[公理 1: 頂点を保存する縮約] 任意の x, y, z, a, b, c ∈ S に対して x △ x a b >→ △ △ △ y z y c z とし、頂点を保存する縮約 (T1) と呼ぶ。 上記 >>58>>59 の定義と公理 T1 をもって 三角乗法系のとりあえずの定義とする。
61 :
それではいくつかの定理を証明していきます。 任意に1つの s ∈ S を選んだとき s △ >→ t s s とすると s t △ s △ →< s s >(T1)→ △ >→ t t t △ △ s s s s s よって [定理 1] t △ >→ t t t を満たす t が存在する。
62 :
t ∈ S を >>61 定理1の t とする。 t t △ t △ →< t t >(T1)→ △ >→ i t i △ △ t k_i t t k_i よって [定理 2] 定理1の t と任意の i に対し t △ >→ i t i が成り立つ。
63 :
[定理2 つづき] 同様にして t △ >→ i i t i △ >→ i t t が成立する。
64 :
定理 1の t をとる。 k'_i t △ k'_i i →< △ →< t i >→ △ >→ k'_i t i △ △ t t t t t より k'_i = i であり、2つ目の等式より i t →< △ t i である。よって [定理 3] 定理 1の t と任意の i に対して i △ >→ t t i 同様に i △ >→ t i t t △ >→ t i i が成り立つ。
65 :
定理 1 の t をとる。 t i △ t △ →< t i >→ △ >→ i i i △ △ i t i t t したがって [定理 4] 任意の i ∈ S に対して i △ >→ i i i が成り立つ。
66 :
定理 4 より、定理 1 の t はどの i ∈ S に選んでもよいことが分かる。 以上の 定理 1 >>61 定理 2 >>62>>63 定理 3 >>64 定理 4 >>65 をまとめて書くと [等項定理] 任意の a, b ∈ S に対して a △ >→ b a b a △ >→ b b a b △ >→ b a a が成立する。
[例 6] 等項定理 >>66 を使えば S = {0, 1} の場合が容易に構成できる。 任意の a, b, c ∈ S をとると a, b, c のうち少なくとも2つは 等しい基数となるので、等項定理で場合は尽くされている。 そして容易に a △ >→ d = a + b + c (mod 2) b c が分かる。 結合の定理と頂点を保存する縮約の無矛盾性は次のように示せる。 まず結合による縮約は上記 (mod 2) を使って x △ a b >>→ d' = (x+a+b) + (y+c+a) + (z+b+c) = x + y + z (mod 2) △ △ y c z であるがこれは頂点を保存する縮約 x △ x a b >→ △ >→ x + y + z (mod 2) △ △ y z y c z と一致する。よって S = {0, 1} の基数集合に対して 三角乗法系がただ1つ矛盾なく定義された。
69 :
S = {0, 1, 2} 上には上記の三角乗法△は存在しません。 それを示すにはもう少し定理の充実が必要なので進めます。
70 :
任意の 0 <= i < j < k <= n-1 に対して i △ >→ l j k とする。そのとき i i △ i △ →< i i >→ △ >→ s j k △ △ i s i j s より s = l で i △ >→ k j l が成り立つ。つまり、左辺左項と右辺の入れ替えができる。 同様の証明で、左辺の三角形の任意の頂点と、右辺の入れ替えができる。 よって互換の積により、4つの数 (i, j, k, l) の任意の置換ができる。 これらの4つの数 i, j, k, l について、2つが等しいなら 等項定理 >>66 により残りの2つも等しくなるので、 i < j < k に対しては l は {i, j, k} に含まれない数である。
71 :
関係 i △ >→ l j k ⇒ i △ >→ k j l は i, j, k, l の数字が異ならない場合にも同様に成り立つことが 等項定理 >>66 より確かめられる。 よって [移項定理] 任意の (i, j, k) に対して i △ >→ l j k が成り立つことを □(i, j, k, l) と書くとすると (i, j, k, l) の任意の置換 (σ(i), σ(j), σ(k), σ(l)) に対して □(σ(i), σ(j), σ(k), σ(l)) が成り立つ。 i, j, k, l は 1) 全て異なる、 2) 異なる2数が2つづつ、3) 全て同じ のいずれかである。
72 :
[Remark 7] >>71 で定義された4項関係 □(a, b, c, d) により プリミティブの縮約 a △ >→ d b c は a, b, c の並びに依存しないことが分かります。 よって三角形を △(abc) のように書いても混乱はないと思います。 そこで今後はスペースを節約する場合は△(abc)と書き、 ビジュアル的にイケてる場合は平面図形の記法を使います。
さて △(abc) >→ d という式から始めます。 ある a、b について c に d を対応させる写像 f_{ab} : c → d を考えます。この写像は単射であることが分かります。 なぜなら f_{ab} : c' → d も成り立つとすると c →< △(abd) >→ c' より c = c' となり、d に対して一意な c が対応しているからです。 よって f_{ab} は1対1対応であり 基数集合に作用する置換であることが分かります。
84 :
f_{ab} は |S| = n 文字の置換なので、巡回置換を使って f_{ab} = (x_1 ... x_k) (x_{k+1} ... x_l) ... (x_m ... x_n) と書けます。 いま a, b を異なる S の元とし、任意の c_i ∈ S に対して △(ab c_i) = d_i とします。 a と b が異なるので、c_i と d_i も S の異なる元です。 また △(ab d_i) = c_i も成り立つので f_{ab} は c_i と d_i を入れ替えます。 よって、f_{ab} は文字の被らない n'個の互換の積 f_{ab} = (c_1 d_1) (c_2 d_2) ... (c_n', d_n') であることが分かります。 とくに基数 n は偶数で n = 2n' です。 一方、a = b の場合を考えます。 すると等項定理より △(aa c_i) = c_i であるので、f_{aa} は恒等置換です。
i と j ってパソコンで見分けにくいね。私はジェイに似ています。 把握。 b = (c_1 d_1) ... (c_n' d_n') と表示したとき b と異なる b' に対して2つの数 s, t が選べて b' = b_1 = (c_s c_t) (d_s d_t) ... または b' = b_2 = (c_s d_t) (c_t d_s) ... となる。このとき表示されていない ... の部分は {c_s, c_t, d_s, d_t} を含まない。 積を X = bb' と置くと、>>91 の証明より b' = b_1 のとき X = b_2 で、b' = b_2 のとき X = b_1 である。 前者を考えると □(a b' c_s c_t)、□(a b' d_s d_t) を仮定して □(a b'' c_s d_t) かつ □(a b'' c_t d_s) を満たす b'' が存在することを証明すれば X = b'' となり G_a が群演算で閉じていることが示せる。 ところが △(a c_s d_t) >→ y および △(a c_t d_s) >→ z を満たす y と z は常に存在するので、あとは y = z が言えればよい。 a a △ a y →< △ →< a a >→ △ >→ z c_s d_t △ △ c_t d_s c_t b' d_s より示せた。
95 :
最初クソスレかと思ったけど、段々おもしろくなってきた ガンバレ
96 :
以上より |S| = n の基数集合 S 上に三角乗法 △ : S × S × S → S を定めたとき、 任意の a ∈ S に対して G_a ∋ b を b(c) = d ⇔ △(a, b, c) → d なるものとおけば、G_a は位数 n の群となる ことが示せました。とくに、単位元と異なる b ∈ G_a は位数2をもち b = Π (c_i d_i) と表示できます。