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2013年07月エロパロ465: 【パチンパチン】ブラックラグーンVOL.16【バシィッ】 (212) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【パチンパチン】ブラックラグーンVOL.16【バシィッ】


1 :2012/07/25 〜 最終レス :2013/06/28
前スレ容量オーバーにつき新スレたてました。
次スレは>>980さんよろしく。
前スレ
【まだまだ】ブラックラグーンVOL.15【ドライブ中】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1309943025/
その他過去スレ
【未だに】ブラックラグーンVOL.14【ドライブ中】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1291467433/
【現在】ブラックラグーンVOL.13【ドライブ中】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280485621/
【ベーグル】ブラックラグーンVOL.12【チョコパイ】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1265719459/
【人と】ブラックラグーンVOL.11【舞踏を】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1256889990/
【デレデレ】ブラックラグーンVOL.10【子猫ちゃん】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234546149/
【銃と】ブラックラグーンVOL.9【弾丸】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214670131/
【ずるいぜ】ブラックラグーンVOL.8【まったく】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203247517/  
【アミーゴ】ブラックラグーンVOL.7【タコス】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1184475016/
【尻か?】ブラックラグーンVOL.6【尻よ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173400775/
【今晩はが】ブラックラグーンVOL.5【抜けてるぜ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167315026/
【言いたく】ブラックラグーンVOL.4【ねェな】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157639957/
【むしろアニメが】ブラックラグーンVOL.3【ブラクラ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145776198/
【ふたりはブラクラ】ブラックラグーン vol.2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098608817/
ブラックラグーンでハアハア
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067839049/
*保管庫
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/
ttp://red.ribbon.to/~storage/index.html
前スレ終盤分は既に保管庫に格納されてました。管理人の方サンクス!

2 :
一乙

3 :
即防止あげ

4 :


5 :
「レヴィ、起きろよレヴィ。」
いつものようにレヴィを起こしに行った。
パンツと、タンクトップ一枚で無防備に寝てる女に、最初の頃はドギマギしたものの
そこから芽生えたのは欲情とかそういうものじゃなくて
強いて言えばまぁ、お互いこの状況をスルーできるんだという
安心感?信頼感?みたいなものが俺達の間にはある。
もちろん、お互いにいい大人だから、どっちかが求めたなら話は別だが…
少なくとも俺は、拒まないだろう。

「レヴィ、ブラインドあげるよ」
いつものようにレヴィの上を越えて、ブラインドに手を掛ける。
ネクタイがレヴィの頬をなぞる。
「んんっ、」と、らしくもない声が聞こえるが、それもいつもの事だ。
その時だ
コンコン、ガチャリ
「レヴィ?今日の仕事だが…」
ダッチだ。
ダッチから見ると、まるで俺がレヴィに手を出そうとしている体勢なわけで。
けどダッチも俺達のボスだ。俺達の間には何もない事ぐらい、わかってるわけで。
「…おっと、ロックが先に来てたか。レヴィが起きたら一緒に事務所に来てくれ。1時間後に出発だ。」
ほら、顔色一つ変えないんだ…
当のレヴィもまだむにゃむにゃ言ってるし、、、
ガシッ

!?
レヴィの奴、俺の腰に足を回しやがった…!?
なんつー寝相、そして寝起きの悪さ!
いやそれよりダッチが見てる!

「ロック、まだまだだな。そいつを1時間以内に何とかして連れてこないと、今回のペイは半分カットだ。」
「何で俺のペイまで!?」
「お前の起こし方がソフトなんだよ。今度から銃でも持ってくるんだな。レヴィなら腰に下げてる銃の音で目が覚める、そういう女だ。じゃあな。」

6 :
ここ何ヵ月かの俺の苦労は何だったんだ。
寝起きのレヴィに八つ当たりされるのは一度や二度じゃ無かった。

「…ダッチか?」
「ようやく起きたか。もう行っちゃったよ。」
「ロック…あと1時間、どうするよ?」
へ?
グイっ、とネクタイを引っ張られる。
耳元にレヴィがいる…
全身が熱くなるのがわかった。
「いつも目覚まし、サンキューな。」
「へ?」
「得物の音は目は覚めるが、心臓に良くねぇ。
お前に起こされるようになって初めて、まどろみを心地よく味わえてるんだ。」
そんな事を耳元で囁かれたから
ぞくぞくと背中を走る鳥肌と、胸に込み上げる感情と、さらに熱くなる体温。
制御不能の領域に、俺は足を踏み入れてしまった…

右手をレヴィの頬に添える、彼女の目を真っ直ぐ見つめる。
だけど俺の顔は多分、愛情ある眼差しというよりは
怖さ、覚悟が入り混じった決して穏やかじゃない顔だろう。
そりゃそうだ。
自分の人生を変えてくれた女と、これからどうにかなるかもしれない。
俺はそれが怖い。
レヴィという最強のバディが、これによって崩れないか。関係が壊れないか。
求められたら拒まないとか言っといて情けないけど、覚悟があるかないかは微妙なところ…今、こいつを我慢出来るかどうかはギリギリのところなんだ。

「…レヴィ…俺は…」

そんな俺の顔を見て、レヴィもまた、瞳の奥に動揺を見せる。
「…っ、バカか。何そんなに赤くなってんだよ…ティーンエイジャーか。…時間がねぇ、早くシろ。」

「強がりか?」
「何だよ?」
「レヴィは俺に抱かれたくて言ってるのかい?それともどうでもよくて言ってるのかい?」
「どっちだって結果ヤルんだろ、変わらねぇよ。」
レヴィが目線を外して、顔を赤くしてそう言った。


7 :
その耳元を、俺はついばんで囁く
「俺は抱きたい、けど怖いんだ」
「んっ、…はぁ…ンでだよ」
「お前を失うのが怖くなるからさ」
口付けは首筋を辿る。舌で鎖骨のくぼみをなぞる。

「それはアタシも同じだ、ロック。」
レヴィが俺の髪を、撫でながらそう言った
「本当か?」
「…あぁ、…ただ、自分が弱くなるような気がして言えなかっただけだ」
タンクトップの下から、レヴィの柔らかい乳房を手でいただく
「弱くならないよ…そのままでいいんだ。撃ち合いが好きならそれでいい。
そんなレヴィに護られる時、俺は本当に感謝してるし、なないでくれと思う。けどそれを意識したらお前が弱くなるなら…」
「…何言ってんだかわっかんねぇ、けど…」
乳房のその先端を、指で転がす。レヴィの身体がぐっと反る。
「んっ、けどアタシは普通にアンタを護って、ななきゃ良いんだろ?なら簡単だ…ッ、やってみせるさ」
タンクトップを首まで捲ると、舌を乳首に這わせ、そのまま首筋を戻ってレヴィの耳元へ
「じゃあ、この話はお互いおしまいだ…続きはまた…時間があと45分だ。」
そういうとレヴィの唇を奪った、いや奪われたのか。もはやどっちでもよくなった。
俺がネクタイを緩めると、レヴィがそれをすかさずほどき、シャツのボタンは見る間に弾かれた。
レヴィの乳首はもう真っ赤で、首筋と背中をなぞる度に彼女からは息が漏れる。
ベルトに手を掛けるとレヴィの手がトランクス越しに俺を包み込み、スラックスを脱ぎ捨てると俺の太ももに足を絡めてくる
「…ッ、…レヴィ…」
普段の乱暴な仕草からは想像もつかないような優しいタッチで、俺の根元から首まわり、裏から先端をなぞるレヴィ。
トランクスに染みが出ているのは確実だ。
快感で頭がおかしくなりそうだった。
かく言うレヴィも、俺に腰をすりつけ、もう我慢出来ないといった様子だ。
ショーツの上から、脚の付け根付近をさわさわと撫でる。
レヴィの息が少し上がる。
そのままショーツの横から指先を忍ばせ、下の唇から茂みの感触だけを楽しむ。
「っ、ロック…」
肝心な所に触れぬまま、尻の方へ指先を這わせると、割れ目からすぼまりまでの間には、ぬめっとした感触。
もう、そこまで溢れていたのだ。
それを確認してしまったら、もう後には引けない。
そもそも引く気でこんな事出来ないが…
指先は再びショーツの上から、今度は唇から突起までをつつ、っとなぞり、コリッとしたレヴィの芯を優しく擦る。
「っは、ロック、…焦らすな…」
そう言うとレヴィは自ら、下着を脱ぎ去った。脚の動きにあわせてヌチャっといやらしい音がする。
俺はそのままレヴィに愛撫を続ける。レヴィはトランクスの中に忍び込み、俺を直接撫ではじめた…思わず息が漏れた。
布ごしより数段上の快感だ。先端から染みだしたぬめりをレヴィは指先で周りに塗り付け、俺を弄り倒そうとする。

8 :
快感を紛らわすかのように、お互い苦しい顔をしながら身体中にキスをする…
もう手でされるのも限界、というところで、俺は脱ぎ捨てたスラックスを手繰り寄せてゴムを取り出した。
「おいロック、準備が良すぎじゃねぇか?」
レヴィがのぼせた顔で、ちょっと呆れ顔で言った。
「これはたまたま…昨日ローワンのところに納品書を持っていったら、
「よぉーロックちゃん、うちにはまだ遊びに来ないのかい?たっぷりサービスするように言っとくからさぁ!
あぁそうそう、これあげる!これでも一応、そこらのドラッグストアで買うのよりは破れないのよ。是非うちで使ってってチョーダイ!」
と、尻ポケットに3枚ほどねじ込まれたんだ。ついでにケツ穴までネジネジされそうだったけど、そこは寸前で回避した…というわけさ。」
「ふぅん。じゃあローワンに感謝しねぇとな。」
「まぁね。思い出したらちょっと縮んじゃったけど(笑)」
言いながら、ゴムを装着する。本当、ローワンには感謝しなきゃだ。
「すぐにでかくなるさ」
レヴィはそう言うと俺に手を添えて、迎え入れてくれた…
「っ…ふぁあ…んっ」
入れる瞬間、レヴィがぶるるっと身震いをした。なめらかで温かくて、奥を突くたびレヴィが感じて、俺を締め付ける。
その感覚がたまらなくて、もっと締めさせるために後ろを向かせて突きながらクリトリスを弄ると、レヴィは声をあげた。
「ああ゛…ッん、ロックっ、んぁっ、はぁ、ンッ…だめ、止まんない…ッ、ん、ん、ん゛っ」
レヴィの腰の振りが一段と激しくなって、ビクンとけいれんを起こしたようになって、彼女は果てた。
かく言う俺も、これだけの動きで既に限界だ。
息のあがったレヴィを、繋がったまま仰向けにして正常位に持ち込む。
レヴィは俺の肩に足をかけて、
「ロック…来いよ、奥まで…」
「あぁ、のぼりつめるまで…イッてもいいかな…?」
そういうとレヴィは俺を抱き寄せて、天国まで行こうぜ と囁いた。
もう止まらない。できる限りの速さで彼女を貫いて…あとは果てるまで行き来した。
真っ白になりながら、レヴィの達する顔を見た。
多分忘れないであろう、人生を変えてくれた女との初めての関係。

今度はもっと、ゆっくり味わいたい。出来ればまどろみの朝までゆっくりと。

9 :
「…あと30分か、シャワー浴びたらちょうど良いな。」
「あ、俺も浴びたい」
「しょうがねぇな、制限時間は5分だ。」
そう言われてシャワーを揃って浴びて、部屋を出た。


事務所に着くとダッチのサングラスの奥が一瞬光った。
…あぁ、失敗した。
レヴィんとこにはドライヤーってモンが無い。
つまり二人揃って髪が濡れてるって事に気付かれたんだ。
「ロック。」
ダッチが人差し指で俺を招いてつぶやいた。
「仲良いお出ましだな」
ニヤリとしたダッチの言葉に俺は「あ、あぁ、まぁね…」と愛想笑いを浮かべるしかできず。

レヴィは「?」を浮かべた顔で、こっちを見てるだけだった。
まぁ、後で話そう。酒でも飲みながら。これからの事を。
恋人なのか、相棒なのかははっきりさせなくていい。
俺たちには、少なくとも俺はそのほうが合ってる。
はっきりしなくたってレヴィ、君は俺の掛け替えの無い相棒なんだ。

Fin.

10 :
1さん乙!保管庫管理人さん乙!
早速のSS乙!
前スレで次でスレに書きたいって言ってた人?
それにしでもレヴィはダッチが起こしに来てもあの格好なんだろうか。
パンツ見られても恥ずかしがったりしないんかねw
まぁ、ロックもヘーゼンとしたしなw
だからこそこのシチュはGJだぜーーー!
髪濡れたまま出社、カワユス。

11 :
>>10
前スレの人でした。感想dクス
今スレも皆の妄想が炸裂しますように(祈)

12 :
岡島先輩、レヴィ姐さんにマイナスイオンドライヤー買ってプレゼントして下さいよ

13 :
画集のゆっきーのりんご飴をレヴィが一口貰ってるイラスト
ゆっきーを先輩に脳内変換すると素晴らしい事になる
だが多分先輩ならりんご飴じゃなくチョコバナナで待ち構えてるだろうな

14 :
新スレ早々投下とは乙
ありがたくいただきました

15 :
>>5乙でした
イチャラブイイヨー

16 :
実際レヴィはドライヤー使ってないよね。
復讐編のシャワーシーン、身支度が恐ろしく早かった。
セックスのあとの身支度も、男並みに早そうだ。
むしろロックに
「いつまでくたばってんだよ、出すもの出してスッキリしたんだろ?出かけるぞ!」
とか、パンツ履きながら言いそう。だがそれがいい。

17 :
身支度は先輩の方がかかりそうだもんな
ドライヤー使って髪分けてリーマンスタイルで着てネクタイ締めてと
「さっさとしろよ、このノロマ」とか言いながらタバコふかして貧乏ゆすりしつつもきちんと待つレヴィ

18 :
身支度から妄想。
「んだよ、お前化粧水とかつけてんの?」
「ほっといてくれ、髭剃った後とか荒れるんだよ...」
「へぇ」
「レヴィにもホラ」ほっぺパシャパシャ
「ひゃ、何しやがる!」
「どう?」
「....ん、あれ、しっとり?」
「な?」ふにふに、つんつん
「レヴィの部屋にも買っておこうな?」
「う、お、おう」
けど、暑い所の女性って全身ココナツオイルの簡単なお手入れで肌スベスベだもんな。
レヴィもその類かねー。

19 :
なんかいくらなんでもキャラ変わりすぎだろ…

20 :
すまん、そんなにキャラ変わりすぎかな。
自分のまわりの野郎はみんな化粧水するし、レヴィは投げやりなオイル系のお手入れしかしないんじゃと思って書いたんだが、あんまりだった?
そこじゃない?

21 :
しつこい奴は嫌われるぜ

22 :
単発IDなんざ気にすんなw

23 :
おいおい荒らし扱いかよ…正直な感想書いただけだろ
>>20
いや、別に周りの野郎が使ってるとか別にどうでもいいが、
レヴィが化粧品使って「しっとり」とかキャラ違うなってなんとなく思っただけだ

24 :
トカレフぅー♪マカロフぅ〜?ケレンコフぅー♪
ヘッケラコックでぇ〜〜しっとりつやつやー!!

こうですか?わかりません。

25 :
お肌のケアにオロナインとギャツビーの汗拭きシートしか使わない俺に角はなかった

26 :
貴様ら何故ローションプレイの暗喩だと気付かない

27 :
「ヘイロック!」ぶんっ!
パシッ「…なんだこれ?」
「ローワンの野郎がボディオイルをよこしやがった。折角だからマッサージしろ!」
(…ボディオイル…?いや、LOVE LOTION?…)

こうですか?

28 :
>>24
悩み事を言ってて!のあの顔はしっとりつやつやしてるなw
みんなそれぞれのキャラ解釈があるもんだ。
パロディなんだから自分の尺度でキャラ変わりすぎとか切り捨てるのは不粋な気がするよ。
前スレの「こういうのが読みたい」って言ってた上から目線と同じ臭い。

29 :
>>28
お前、今いい事言った

30 :
ここって今何人くらいいるんだ?

31 :
実際カキコしてるのは多くて5人くらいじゃない?
VIPあたりから人来ないかなぁ。

32 :
みてはいるけど特に書き込んだりはしない人は多いかもね
おれも普段そうだし

33 :
VIPってよくブラクラのスレ立つよね
処女?とかシューティングゲームのSS面白かった

34 :
いつの間にか神スレ…じゃなくて新スレが勃ってた。
そしてサブタイワロタw
このままでいったら次のサブタイは【指パチ】【犯島先輩】とかになりそうだ。

35 :
いつの間にか気がついたらロクレヴィが人生になりつつあった

36 :
お前が投下なら俺は保守だ。

37 :
ずるいぜ、まったく。
新章が読みたい…既に発表されてる分だけでもいいから!

ドライブからイチャイチャに発展したりしないかな。車の中で。
場所はコンテナ群の近くあたり。
「おいロック、ドライブはもう終わりか?こんなとこで停まっても…んっ」
違うタバコの味。男の味。
朝が近いせいか、ロックの伸びかけたヒゲが肌を擦る。
「んっ…」
そのまま身体まで寄せられて、アタシのタバコは奪われ、窓の外へ。
唇はまだ、ロックに奪われたまま。
優しくはむようなキスから、次第に深く取り込むようなキスに。
痺れてくる頭。キスだけで気持ちよくなるもんなのかと、驚きだった。

長く唇を交わしたあと、ようやく離れたアタシは、ぷはっと酸素を取り戻した。
「っ… 日本人の癖に粘っこいんだよ…」
「ごめん、レヴィの唇がどうしても欲しくなったんだ」

38 :
保管庫に籠ろうと思ったら保管庫が使っているレンタルサーバが会社ごと落ちてるみたいだ...このまま復旧しないなんてことないよな...うううう。

39 :
マジか…保存してないのに
復旧しなかったらぬ

40 :
ログくらいはあるよな?

41 :
2012/08/11
17:00頃よりONUより上位で障害が発生し接続できなくなっています。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
18:45光ファイバーに物理的な障害があり、引き込み直す必要がありますので、復旧は明日午前中となります。
夜間工事ができないため、ご迷惑をおかけしますがご容赦願います。
と障害情報にあるから明日には多分大丈夫

42 :
よかった。かなり焦ったわ
復旧したら全作品保存する作業に入ろう

43 :
うぁぁありがとう、安心して眠れる。
自分も保存しとこう。
どんだけ保管庫に依存してるか気づかされたw

44 :
保管庫復旧age!

実際、ドライブの場所がコンテナ群となると、オチがありそうで怖い。
例1:バラライカが遊撃隊を引きつれて突然登場
例2:ロベルタが車の上に突然着地

45 :
>>37
「へぇ…唇だけ、か?」
な展開マダー?

46 :
万が一の時に備えて保管庫の保存作業に入ろうとしたが、
思わず一作目から読み耽って全く作業が進まない件
とりあえず数日かけて読み尽くす

47 :
>>46
ホムペごと一括で保存できるツール使えば良いんじゃね?
自分もツール使ってたった今全部保管庫保存してチェックを兼ねて熟読中...。
正直、レベル高いよな...ここのSS...。

48 :
もうこのスレの分が保管されてる!
保管庫管理人仕事はやいな!
いつもありがとうございます。

49 :
>>46
> 思わず一作目から読み耽って全く作業が進まない件
あるあるw
年末の大掃除現象だ
保管庫大兄愛してる

50 :
保管庫全部読んできたw
ちょっと書いてみたくなった

51 :
俺レヴィがいればそれでいいや

52 :
1/6
夜のロアナプラ、イエローフラッグ。
ネクタイを少し緩めながらいつものカウンター席につこうとした男に、店の主人が話しかける。
「よォ、二挺拳銃ならさっきエダとつるんでどっかに行っちまったぜ?」
「あ、そうなの...あー、まぁ、待ち合わせてた訳じゃないしな...」
とラグーン商会の丸腰水夫。
今日の仕事は別行動だったし、明日は休日だ。約束はしていないが、なんとなくいまや常連である酒場で落ち合い、どちらかの部屋へなだれ込む、そんないつもと同じ週末を期待していたのだが、仕方がない。
たまには独りでラムをちびちび舐めるのも良いかと腰を据える。
そういえばこの所レヴィは暴力教会によく行ってるみたいだと頭の隅で考えつつ2杯目を口に運んだ時、手元に影が落ち、ふわりとフローラルな香りが漂った。
「あの...ミスター?」
ロックが声の方向に目をむければ、そこにはおよそロアナプラに似つかわしくない、一言で表すなら美人OLの姿。
艶やかに肩口で切りそろえられたまっすぐな黒髪、縁なしの眼鏡、控え目なアイメイク、その奥の瞳は深いグリーン。
開襟で七分袖の白いブラウスは黒いブラがうっすら透けていおり、かっちりした膝丈のタイトスカート、オープントゥのサンダル、小さめのボストンバッグ。
「君は...?」
「あの、その服装からわたしと同じビジネスマンだとお見受けして...お隣いいですか?」
「あ、ああ、どうぞ」
多少面食らいながら椅子を促し、この辺りでは聞かないクイーンイングリッシュに耳を傾ける。
曰く、ビジネスでタイに来たが、仕事後に観光気分で歩いていたら治安の悪そうなこの街に迷いこんでしまった。今夜の宿も決まっておらず途方に暮れ、道を聞こうと入ったこの酒場で貴方を見つけた、と。
「おひとりでしたら一緒に飲みませんか?」
用意された台本のように状況を語る彼女をじっと見据える。
顔色を見られているのに気づいたのか居心地悪そうに髪を耳にかけながら彼女は続けた。
「ダメかしら?」
ロックは失礼にならない程度にその女性、名はアンブローシアと名乗った――を暫く眺めやって口を開いた。
「うーん、正直な所、君を信用しするにはその要素じゃ足りないな。でもただ単に酒に付き合うんなら、俺は今日ご覧の通りひとりなんだ。喜んで」
と破顔する。
目を見開いてありがとうと答えた女は、眼鏡を触りながら顔を一瞬背け、小さく舌打ちした。

53 :
2/6
遡ること1週間前、暴力教会礼拝堂。
大量の酒瓶を前に昼間から飲んだくれる女がふたり。
「あーっ、ったく、うっせえなぁ、しつけぇんだよ!」
「だぁぁぁぁー、ヤったかヤってないか答えりゃ済むってのにやけに引っ張るから気になるじゃないのさ〜」
「なんでテメーが気にすンだよッ!」
暴力教会のシスターはサングラスの奥で目をキラリと輝かせ、しかしながら口調を低めに答える。
「あー、この際だから言うけどよ、アタシあのロメオは結構好みなんだよ」
「......はァァ?」
「てめえは一応ダチだからサ、もしヤってんならアタシとしても気ィ使うけどな。そーじゃねぇってんなら一度お相手してもらいたいってな〜...ってどうよ?」
と上目遣い。
「ど、どうって、な、なんだよ...く、クソビッチ、あ〜、何だ、テメーはその、アイツの好みじゃねぇからよ、あっちから願い下げなんじゃねーの?」
しどろもどろになりつつ、エダの視線を避けてグラスをあおるレヴィ。
「ヘェ、ふぅん、言うじゃないのよ、ロメオの好みの女って、どんなんだよ?」
「どんなって...」
言い淀んだレヴィを促すように顎でしゃくってみせるエダ。
「あー、なんつーかお上品でニコニコしてってか...あー、ヤツが世話やきたくなる感じのたよりねぇ線の細い...だな、その...」
日本でロックがズルズル面をゆるませたハイスクールの女学生をぼんやり思い浮かべながら言う。
「...ってか、はぁーん?レヴィ、残念のがらお前はロメオの好みじゃねぇってことだなァっ」
苦々しく眉間にシワをよせるレヴィを無視して、ケケケと笑い飛ばして続ける。
「でもよー、まぁ、女には穴はある、色気で迫れば使わねぇオトコはいねぇだろ?好みのタイプじゃなくたって結構カンタンに食っちまえそうだけどな...?」
「...そうかもな...」
「だな、オトコなんざみんなそんなもんだしな?」
「あ、ああ、そうだな...うん」
「いや待てよ、ロメオがマジでインポかホモって線も考えられるな。女の影皆無だし、怪しいぜ?」
「...んなわけねぇよ」
「.........何でだよ」
「.........何ででもだよ」
「いーや、ぜってえホモかインポだろ?隠すなよレヴィ?ホントは知ってんじゃねぇのかァ?」
「......ちげーっつってんだろ?」
「......」
「......」
微妙な沈黙の後、エダは口元につい浮かびそうな笑いを押し隠して提案した。
「よぉしゃぁぁぁ、賭けようぜレヴィ!」
「な、何をだよ、いきなりなんだってんだ」
「アタシがお前の言う『ヤツ好みの女』に変装してロックを口説く。ヤツが乗ってきてファックできればインポでもホモでもねぇ、で、レヴィ、お前さんの勝ちだ。アタシの誘いに乗って来ないようならアイツは玉ナシ、アタシの勝ち、ってな?ん?どうだい?何を賭ける?」
「ハァ?ちょっと待てよ、何でテメエがロックとファックしてあたしが勝ちなんだよ?あ、あ、あたしがやる」
「何を」
「変装だよ」
「誰が」
「あたしがだよッ、何度も言わせんなドアホ」
「ほほぅ、殊勝じゃねぇか、手ェ抜くなよ、賭けが成立しねえからな」
「お、おぅ...」
「変装とシナリオはアタシに任せな、言うとおりにしてもらうぜ?」
「あぁ...オーライ...」

54 :
3/6
イエローフラッグ、店内奥テーブル。
「クックック、エテ公にしちゃァ上出来の演技じゃないのさ」
いつもと違う黒めの私服を着て他の客に紛れたシスターエダはニヤニヤしながらビールを飲んでいた。今はアンブローシアと名乗るレヴィの腕時計に仕込んだ盗聴器が拾うふたりの会話がイヤホンから聞こえる。ちなみに当然だが盗聴器の存在はレヴィには知らせていない。
それにしてもまったくレヴィときたら分かりやす過ぎて面白い。ロックの話を振れば論点がズレようが何だろうが揚げ足取られまいと躍起になったり、お得意の汚れた人生観を今更否定すまいと目も言葉も泳ぎっぱなしだ。
結局ヤったかヤってないかの判断基準を決めるのに揉め『キスできたらレヴィの勝ち、イエローフラッグの飲み代向こう10回エダ持ち』と相成った。
「分かってんだろうな?デコやホッペにする挨拶のキスじゃねーぜ?マウストゥマウスだぜ?」
「アホが、朝飯前だ、キ、キスくれぇ屁でもねぇ、あたしを誰だと思ってんだ」
心持ち顔を赤くしながら勝利宣言をするレヴィに、まったく吹き出したいのを堪えるのが大変だった。
近頃ハデなドンパチも事件もなく、退屈していたところだ。悪友の引くに引けなくなってコロコロ変わる表情を見れるこの小さなイベントを心から楽しんでいるのであった。

55 :
4/6
そんなわけでイエローフラッグ、いつものカウンター。
「この街では詮索屋は嫌われるんだ。だから君のプライベートは聞かないよ。君の好きな話をしよう、アン?」
ロックはやさしい笑みを浮かべながら隣の美女に語りかけ、彼女のために次のグラスを注文する。
「そう...そうね...」
会話が続かない。レヴィは焦った。エダに仕込まれた会話パターンから既にズレてきている。周到にキャラクター設定をしていたのにコレだ。まったく計算外だ。
おまけに今までレヴィとしての自分には見せたことのないロックの気遣いと「女」に対するエスコートぶりにお得意の短気を起こして叫んでしまいそうだった。だが、隠れて見ているはずのエダの手前、引くわけにはいかない。
覚悟を決めて視線を外さずに用意されたセリフを言ってのけた。
「わたし、本当のことを言うと...。ねぇ、一目惚れって信じる?...さっき会ったばかりなのに笑わないで...あなたが、しゅ………好きなの...」
最悪だ。何度も練習させられたセリフなのに噛んでしまった。
慣れないカラーコンタクトで瞳は潤みっぱなしだ。おまけにこれまた慣れない服とメイクが暑い。顔が上気して少し赤くなっていることだろう。
ロックが息を飲んだ気配がした。そしてこれ以上ない程の極上の笑みがこぼれ
「信じるよ、俺も今、初めて経験している...」
そう言いながら呆気にとられたアンブローシアのウエストと顎を捉え、深く、口付けた。
エダの視線を背中に感じつつ、慌てて瞳を閉じる。脳が溶けそうだ。いつものロックの唇なのに、胸が苦しい。賭けにはあっさり勝った。まだだ、まだ短気をおこして正体をバラすわけにはいかない。
そう、だたの同僚が一夜のアバンチュールを楽しんでいるのだ。こいつのプライドのためにも、自分のためにも短気をおこすわけには...。
様々な感情が押し寄せているのに思考がまとまらない、コイツのキスを受ける時はいつもそうだが、今回ばかりはちょっと様相が違う...。
長いキスから唇を解放し、ロックは彼女の耳元で囁いた。
「レヴィ、これは何のゲームだい?」
「...なっ!」
「小声で、落ち着いて?エダ絡みなんだろ?どうせ何か賭けてんだろうけど」
クツクツと笑いながらロックは耳たぶや首筋をいつもの調子でついばみながら言葉を続ける。
体から力が抜け、癖で両腕がロックの背中にまわっていたがレヴィの返した言葉は態度と反対であった。
「...ああ、もう賭けには勝ってる...エダが見てっからそれ以上ヘンなことすんな…」
「えー」
「えー、じゃねぇよ、クソ、覚えてろ、ぶっしてやる…このまま店の外にエスコートしろエセ女タラシ…」
「俺の部屋直行でいいかな?」
「...ノープロブレム、だ...」

56 :
5/6
アンブローシアの姿のまま、社用車であるオープンカーで無言のドライブを終え、ロックの部屋に着いたふたり。途中でレヴィの正体をさらすわけにもいかず、そのままの姿でロックの部屋へ急いだのだった。
「てんめぇ、いつから気付いてたんだよ!?」
戸を締め、灯りとエアコンをつけると早速ウィッグと眼鏡、カラーコンタクトを乱暴に床に投げつけ、レヴィはロックに詰め寄った。
「んー、結構最初っから、かなー。」
「あぁ?」
「キレイだよ、レヴィ。俺って人前でイチャつくタイプじゃないんだけどなぁ。あんな顔してあんなセリフをレヴィに言われたらなんか箍が外れちゃったよ。普段のレヴィも十分魅力的だけど、ね。あー、今日は得した気分だな」
「話をはぐらかすな!」
耳まで真っ赤になったレヴィを見やりながら勝ち誇った顔でロックは言った。
「耳も鎖骨も、よく知ってる形だったからね。一目で分からないわけないだろ?声も高めにしてたけど、かすれ具合がベッドの中の時と似てたしね」
「―――――――なっ、こ、このヘンタイ野郎っ」
「なんとでも。普段からあれだけ触って舐めまわしてるんだからな、わからないはずがないだろ?逆に褒めて欲しいくらいだよ。」
「.............くっ」
「ねぇ、さっきのもう1回言ってよ、ちゃんとアンじゃなくてレヴィの口から聞きたいな」
「何の話だ、調子にのんなクソボケ」
「うん、期待してない…」
と、ロックは前置きもなくレヴィを引き寄せ、ブラウスのボタンをはずしにかかる。
「ちょ、ちょっと待てコラ!!!」
「やだよ、どれだけ我慢したと思ってるのさ...」

57 :
6/6
後日、再びイエローフラッグ。エダとバオ。
「ハァイ、バオ、こないだの賭け、覚えてるだろうな?アタシとレヴィが飲む時の酒代、向こう10回フリーだぜ?」
「ああ分かってるよ、ったくあのラグーンの水夫はもっとお堅い男だと思ってたんだがなぁ」
「人はみかけによらねーなァ?この街の鉄則に加えてもいいくらいだぜ?」
ニヤリ、と。全てが計算通りに運んだエダの悠然たる笑み。
レヴィは賭の日の事を「調子にのったあの同僚をボッコボコにしてやった」と鼻息荒くわざわざ報告にやってきたが、すでに内情はイヤホンから筒抜けだ。予想通りな悪友の恋愛事情。この先も何も知らないふりをしてからかってやろう。
そしてあの二挺拳銃の目を盗んで美女をお持ち帰りするラグーンの水夫への称賛がロアナプラの街を騒がせていることを知らないのは当人たちばかり。

58 :
取り繕うレヴィ萌え
策士のエダ萌え
GJでした
アンブローシアって銃姫?

59 :
GJ!
肝心なとこでカミカミなレヴィ萌え

60 :
52-57です。
GJありがとう。
投下してみたら誤字があるな、すみません。
ラフスケッチのお化粧レヴィを見て書いてみたくなった話でした。
>>58
アンブローシアってのはなんとなく聡明そう且つ略して呼ぶと可愛らしいのが良いな、って感じで意味はなかったんだ。
昔の少女漫画にいた名前で略しかたは違ってたけど。
銃姫って作品知らなかった。
ちょっと興味わいた、ありがとう。

61 :
ルカいわく「不誠実な金を使ってでも保守するべし」だ。

62 :
投下します
※長いです
※NTR有
※本日の投下にはエロなし

☆☆☆
Roxanne
「あたしのせいじゃねぇよ。あの変態があんな目立つところでやらかしたのが悪ぃんだ」
 レヴィにしてみれば全く巻き込まれた形である。
昨日ホテル・モスクワ依頼の野暮仕事から引き揚げる途中、サータナムストリートの近くを通っていたところ、
それなりに流行っているらしい娼館の前で騒ぎに出会った。
道を通っていただけなのに――そこはレヴィがこのロアナプラではちょっとした顔であるから――騒ぎを収める
よう野次馬やら他の娼婦やら店主やらに泣きつかれ、事態を「穏便に」収めることとなった。
バラライカのシマで銃を抜くのは気が進まなかったが、隣にいたロックにも「助けてやれよ」という視線を送られ
仕方なく現場に駆けつけてみると東欧系の中年男が女を乗馬鞭でめちゃめちゃに殴っていたのだ。
プレイというには激しすぎる暴挙に及んだらしく、女が顔のあちこちから血を流して泣き叫んでいる中、げんなり
しながら、カトラスで脅しぶん殴って、なおも興奮状態の男をふん縛った。
「で、何でバラライカが今から直々に来るような事態になってるんだ?」
ダッチがコーヒーのカップを置いてやや緊張した口調で聞いてくる。
「野郎は商売とリアルの区別のつかねぇイカレた変態だったのさ。プレイってことを無視して娼婦を本気で殴って
 おっ勃てるようなな。よくある話だが、それで奴ぁ…」
レヴィは頭をかきむしった。結わえている髪がぐしゃぐしゃに乱れる。これ以上イラついているのは最近あまりない
くらい激しく、である。
「あー!あー!腹立つ!!眉間に風穴空けてやりゃよかったぜ!くそ!あの豚野郎はな、ふん縛られてんのにいけしゃあ
 しゃあと…あたしにその娼婦の代わりをしろとのたまったのさ!」
憤懣やるかたないという様子である。言われた内容もさることながら、周りのギャラリーやロックの前で辱められたの
がさらに怒りのポイントであるようだ。
もうこれ以上は喋りたくないという様子のレヴィにロックが言葉をつないだ。
「そんな無茶なことを言う変態だけど、その男はどうやらホテル・モスクワの客人らしくてね。護衛もつれてないし
 身なりもそれほど良くないし、最初は嘘を言ってると思ったけど一応連絡を入れたら残念なことに本当だったという
 ことさ」
「…そりゃ、ほんとに残念だな」
「ああ…マリアナ海溝にでもはまったような気分だよ」
はあーっとダッチとベニーはため息をついた。レヴィが関わっている時点でラグーン商会が無視するわけにもいかない。
ロックもいらないことに首を突っ込まずに、レヴィと一緒にそこを離れればよかったのだが…いやしかしロックがいなけ
ればレヴィは男の額に新しい尻の穴を開けて済ませていたところだったろうから、どっちもどっちか。
何にしろ男が天国に行っていないことだけが救いである。まだ、バラライカとの交渉で穏便に済ませることも可能だろう。

63 :
バラライカはほどなくやってきた。ただし、事務所の中には入らず、表通りの車の中からベンツの窓のみを開けての会談だ。
腹心のボリスだけを後部座席に伴っている。バラライカもまた、多少の苛立ちを覗かせていた。
「災難だったわね、二挺拳銃。本来なら私もあなたに同情したいところだけど、そうもいかないの」
 葉巻に火をつけて一服する。四人の顔をじっくりと眺めながら噛んで含めるように言う。
「…あの変態はホテル・モスクワの大切なお客様でね。『大事なお話』をしにわざわざ本国から来てくれたんだけど、遠方から来たのにはもう一つ理由があったようね。
本国の『お花畑』には『好み』の女がいないのか、彼はこの街で『多少』無茶して性癖を満足すことをご所望よ。昨日の夜は護衛もつけずに場末の店で適当に発散しようとしたところで『女神』に
一目ぼれしたんですって。レヴィ!」
イライラをもてあまし、そっぽを向いてラッキーストライクをふかしつつ立っていたレヴィが仕方なく向き直る。
「彼はあなたでなければ『嫌』なんだそうよ。ホテル・モスクワとしては、お客様に滞りなく会談してお帰り願いたいの。…正式の依頼として報酬も出すわ。悪いんだけど、今日の夜十時から
ローワンの店を押さえてあるから、彼に『謝罪』してくれない?」
あの変態、シチュエーションまで指定してきたのよ、やってらんないわ、とバラライカが軽蔑を隠さずに溢した。
誰もYESともNOとも返事ができない。
「……不満そうね。無理もないわ。ちょっとレヴィ、車に乗りなさい」
否を言わせぬ雰囲気である。ラグーン商会としてはレヴィが今夜、変態野郎を『接待』するだけで手打ちが終了するのだ。レヴィのことを考えないのならば、こんなにありがたいことはない。
ただしそれは都合の上であって感情を含んだ話ではない。
もちろんレヴィは冗談を言うなとばかりに舌打ちをしたまま返事もせずにベンツに乗り込んだ。ボリスが代わりに車の外に出て、待機する。レヴィのいた足元にはすでにタバコの吸い殻が無数に落ちていた。
「…やらねえとは言わねえよ、姉御」
「甘い女々しい心根が顔から出てるわよ。この街で生き残ろうとすれば、持ちうるカードはすべて切らねばならないことを忘れないで、二挺拳銃。さっきロックも怖い眼をしていたけど…言い含めておきなさい」
「分かってる!言うまでもねぇよ、姉御」
「親切で言ってやるが、一人の男に操を立てて、二人で破滅するな。誰の涙も絞れん笑い話だ。この街で『女々しい』というのはな、強いものに媚びることではなく、自己憐憫や感傷で判断を誤ることだ。
よく考えて割り切るんだな」

64 :
☆☆☆
「まー、レヴィ災難だったな!俺としてはギャラリーは一人でも、お前が舞台に立ってくれるのはうれしいぜ!」
ローワン・“ジャックポット”ピジョンズのやけに明るい言い方に、ラグーン商会の面々はヘドを吐きそうな気分になった。
レヴィはふてくされて誰とも目を合わせないし、ロックはむっつりと黙り込んでいる。
ベニーも眉をひそめた。ダッチだけがサングラスの奥に感情を封じたまま、能天気なローワンと対応する。
「で、ホテル・モスクワもとい変態野郎との契約内容は?」
「えー、契約書では、『女性は抵抗しても良いが客に怪我をさせてはならない。客のいかなる侮辱・暴力にも耐えること。
客は嬢を亡させる、または重篤な後遺症を残すことを禁止。』SM仕立ての演出を考えてる。得意だろ、レヴィ?イカす
ショーにしてやるからな!」
とりあえずはレヴィが変態に撲されることだけはなさそうだ。ダッチ達は内心ほっとした。しかしローワンがダッチに
契約書のコピーが渡そうとするのを、レヴィが制した。横から書類を奪い取って口をはさむ。
「なあ、ダッチ、ローワン」
しばらくぶりに口を開いたと思ったら感情の消え失せた声。
「どうした?レヴェッカ、しけた顔してんじゃねえよ。どうせだから楽しもうぜ」
「この仕事は、あたし一人でやる。このショーを見ていいのは店のスタッフと客だけにしようぜ。あたしの蒔いた種だ…
なんとかする」
レヴィの陰鬱な気迫に押されて嫌だと言える人間はいなかった。ロックはダッチとベニーに促されて、振り返り振り
返り出て行ったが、やはり何も言えることはないのだ。
化粧水、クリーム、ファンデーション、粉おしろい、アイシャドウ、アイライン、つけまつげ、頬紅、口紅、グロス、
最後にジャスミンの香水。レヴィはされるがままにメイクを施された。するとただでさえ目を引く彼女の容貌は更に
人目に映えるようになる。しかも無表情とんだような目線のおかげでアンニュイな美しさが宿っている。
「災難ね」
メイク係の女がレヴィに衣装を着せつけながら言う。今日の衣装は黒のエナメルではなく臙脂の柔らかい革製である。
ボディースーツの背中を編み上げながらの小馬鹿にしたような言い方に、レヴィは不機嫌さを露わにした。
「何がそんなに嬉しいんだ。このビッチ!」
「あんたの嫌がり方が可愛くてね」
「ああ?『可愛い』だ?体、穴だらけにしてやろうか?」
女が高笑いをした。笑いながら、グローブをはめさせる。肘より上まである長い手袋とブーツも同色の臙脂だ。
ただし、尻や股間はぎりぎりまで露出しており、裸よりなお卑猥な雰囲気を醸している。堅牢なつくりではあるが、
ブラジャー部分やショーツ、ガーターベルト、ストッキングは黒の精密なレースである。
「脅しても駄目よ。もうみんな知ってるわ。二挺拳銃は丸腰の日本人に骨抜きで、この仕事だって彼に気を使って、
売られてきたばかりの生娘みたいに嫌がってる。」
「されてえのか!?いい加減そのおしゃべりな口を閉じるんだな。あたしを怒らせるんじゃねえ!命は大事にしろよ」
「でも、彼、怒ったら怖そうね。ラグーンの日本人はヤバいって評判よ。銃なんか持ってなくても口先ひとつで人をす。
女には金じゃなく命を貢がせる。あんた、健気に尽くしてるじゃないの」
「ファック!!どこのどいつだ、そんな噂流したの!?この街にゃ、にてえ奴が多いようだ!」
鏡台の前の化粧品をすべて薙ぎ払ってレヴィが立ち上がった。愛銃は手元にはなかった。そういえばさっき不安そうに
していたロックにガンホルダーごと渡してしまった。
「言ったでしょ?みんな言ってる。この街じゃ『本気になったら馬鹿を見る』常識よ。あんたは道を踏み外してる」
女はレヴィの両手両足にベルトをはめた。こればかりは黒のエナメルである。鎖に繋ぐためのフックがついている。
「割り切りなよ、レヴィ。売女だってプロ意識持ってりゃ、馬鹿にされるようないわれはないよ。今のあんたは、
ダサい。あの日本人、そんなにイイの?」
「うるせえよ」
「そう、じゃされないうちに退散するわ。お幸せに」
女はくすくす笑いながら最後にレヴィの髪に幅の広い黒レースのリボンを結んで出て行った。
扉が閉まるのを見届けて、レヴィは鏡台の前に突っ伏した。

65 :
本当はレヴィだって自分が愚かだということを理解している。今まで口では言えないようなことも散々やって
きている。どれだけ否定しようと、自分は淫売以外の何物でもない。
実の父親、ペドフィリアの変態おやじ、金がなくて仕方なく抱かれた行きずりの男…数えきれない男達の精液と、
血の跡に溺れながらここまで来た。今更自分の体を惜しむものではないはずだ。
だが、もう自覚した以上、駄目だ。はっきりと認めよう、さっきの女の言うとおり、自分はロックに狂っている
とレヴィは思う。
ロックは二人の間柄を「銃と弾丸」と言った。彼の言葉のチョイスは二人の関係上、絶妙で正しい.
その言葉だけでレヴィは一銭の得にもならない鉄火場に身を晒して負傷した。銃だからだ。
これからもきっとそうするだろう。
嗅ぎ慣れない香水や脂粉の香りに、レヴィの精神は滅入った。どんどん『女々しい』思考になってゆく。
レヴィの心はロックに『縛られている』。カトラスを持っていればどこへでも行けるはずだったのに。
『自由の女神』(ミス・リバティ)はどこかに行ってしまった。
「ホント…道を踏み外してるな」
あと、少しでショーが始まる。
俺がどうにかしなければいけなかったのに、とロックは後悔する。むしろレヴィをピンチに追い込む手伝いを
した。最初の娼館でレヴィと一緒に素通りしていれば、ホテルモスクワの使者にも絡まれず、自分たちは平和
だったろうに。また余計な首を突っ込んで痛い目を見ている。
周りに人がいるけれど、彼は壁でも殴ってしまいたい気分だった。しかし、ダッチやベニーに気を使わせる
わけにいかない。心地よい個人主義を保ち、自分達のプライベートに踏み込ませないためのマナーだ。
自分とレヴィはただの同僚として振る舞わなければ――そう言い聞かせる。
「いよぅ!ロックの兄ちゃん!暗い顔してんなよ。なぁに、一晩我慢すりゃ大したことねえって。レヴィは
慣れてるもんよ。犬にかまれたとでも思っとけ」
ハイテンションなローワンの声。ロックは理性を失いそうになった。頭の中だけで、手の中のカトラスで
ローワンの頭を打ちぬいて、留飲を下げる。
「はは」
苦笑いで誤魔化す。何かを取り繕ったり、今更自分とレヴィの間を言い訳する元気もなかった。
「なあ、一杯飲っていい夢見ろよ。ラグーンにゃ世話になってるからな」
そう言って、ローワンはポリカップを三人に渡す。中は琥珀色の酒で満たされている。
ロックは無性に一人になりたくなった。ダッチやベニーに内心同情されるのも勘弁してほしい
し、ローワンのイラつく声をこれ以上聞きたくない。ぐっとカップを煽って中身を飲み干した。
酒であるのは確かだが、味わう余裕もなく流し込んだので種類は分からなかった。
「あ、おい!」
「何?」
ダッチが慌てた様子だが、もうどうでもいい気分になって、ロックは宣言した。
「悪いけど、帰る」
「明日起きれるように、飲みすぎるなー。うちには有給なんて無いよ。休んだ分はペイ無しだよ」
ベニーに手を振って、振り向かず家路についた。今夜はしこたま飲んで寝てしまおう。
明日どれだけ二日酔いになってもいい。何も考えたくなかった。
「あらま、荒れてるねー。じゃ、俺は準備があるんで、またご贔屓に!」
ローワンも奥へ引っ込んでいった。


66 :
彼らが去った後、取り残されたダッチとベニーは片手のポリカップを持て余していた。二人とも口をつけていない。
「ロック大丈夫かな?」
「…この店に運んでる酒の『噂』を教えとくべきだったか…」
「あれ、そっち?僕はまた……レヴィ…いや、何でもない…この店の酒は薄いだけじゃなく何があるんだい?」
ダッチは呆れたような顔をした。ベニーやロックすら知らないとは、ローワンの店が流行るはずだ。
二人はエントランスを出て、派手な電飾がチカチカする看板を振り返った。ダッチがポリカップを酒ごと捨てると、
ベニーもそれに倣う。
「ローワンの店の酒にはな…夢が見られる魔法の薬がちびっと入ってるのさ。何、大したもんじゃない。米軍だって『平和利用』
してた由緒正しいシロモノさ」
「何だって?!」
「恐ろしくて堪んねえな。あの状態のロックがそんなもん飲んじまうとは、明日にはロアナプラが壊滅してるかもしれねぇ」
神妙にダッチが背中を丸めた。もちろん二人に出来ることは既にないから、もう一度ピンクの電飾を振り返り、プリムス・ロード
ランナーに乗り込んだ。
アメリカンスピリットを肺の奥まで吸い込んで、ダッチは眉間を押さえた。
今日はとても疲れた。そして明日を思うと憂鬱になってくる。ラグーンの事務所がやけに遠く感じた。
世界がぐるぐると揺れ、視点を定めることができない。だんだんと真っ直ぐ歩くことすらできなくなり、
近くに立っていた看板に寄り掛かった。
何かがおかしいと、ロックは感じた。貧血に似ているがそうではない。気分が悪く吐き気がする。
「おい、兄ちゃん邪魔なんだけど」
「ああ、すまない」
「何だこいつ。ラリッてんのか?」
酒場から出てきた二人組に笑われる。ふと顔を見ると、一人は口が耳まで裂けたエイリアンと、もう一人は体が全身ゴムで
できた緑色の人形だった。びっくりしてロックは息を詰めた。ここはどこだ?リドリー・スコットかスピルバーグが
ロアナプラでロケをしているのか?ロックはきょろきょろと落ち着きなくあたりを見回した。怖い。
「どうしたんだ、こいつ。おい、財布でも掏って行く?」
「でもラグーンの日本人だろ?二挺拳銃のお礼参りが怖ええよ」
(二挺拳銃―レヴィ!)
レヴィは一体どこにいるのだろうと思った。早く合流しないと、あいつも俺を心配して、不安だろう。もちろん自分も
心配だ。自分達は一緒に居ないといけないのに。
二人連れのチンピラが不審そうにロックを見送った。あちこちにぶつかりながら、ふらふらと道を進み、ロックはレヴィ
を探した。街の情景はますます異様なものに変わっていた。スクリーンの中でしかお目にかかれないようなゾンビ達が
客引きをしている。その口からは鼻水みたいな色の臭い粘液を吐き出している。
「気持ち悪ぃ」
心底吐きそうになったが、負けずにレヴィを探した。トランポリンのように弾む壁に手を付きながら、大通りの方に出て、
ロックは光を見た。
それはとても幸せな風景だった。
「来いよベイビー。可愛がってやるぜ」
レヴィが古代の女神みたいな恰好をして、背中に羽根を生やしている。無性に嬉しくてレヴィを抱きしめた。彼女は
しっかりとした骨格を持っていて、それでいて柔らかく弾力があった。酒と煙草と汗のにおい。
――ああ、レヴィ、俺を迎えに来たのか。羽根なんて無くても、お前は俺を天国に連れて行ってくれるのに。
お前になら撃ちされても構わない。
とても気持ちがよくなってきた。彼女の胎内に全身包まれているような安心感。ずっとこうしていたい。
「ロックか?ごみ箱抱いて何やってんだ?」
はっとすると、腕の中にあったのはレヴィではなく空のごみ箱だった。虹色のサングラスをかけたミスタ張が
こっちを観察している。
「あ…」
「とりあえず乗れよ。表通りだからってロアナプラは安全じゃない。俺が通りかかって、お前は運がいい」
伊達な声に促されて、車に乗り込むが、座席が猫の背中で出来ていて座りにくかった。
「大丈夫か?これは何か盛られたな。散瞳が起こり始めてる。俺が分かるか?」
「分かります。張さんが、紫のペイズリー柄のスーツ着てる」
「OK。お前は正常だ」
ロックは夢から醒めたような惜しい気持がして、それでもまだ、ぼうっとしている。今度は頭痛が起こっていた。何か忘れている。


67 :
「レヴィは?一緒じゃないのか」
「そうだ!レヴィ!俺、俺…下宿には送らないでください。ローワンの店に行ってくれ!」
非常に焦った気持ちになって、唾を飛ばしながら、レヴィが大変なことになっていると説明した。彼女が男に
自由にされるなんて耐えがたかった。彼女が裸で男に媚態を見せるところを想像するだけで寒気がするほど頭が痛い。
話を聞いて、張はふむと、腕を組んで考え込む。自分の焦りが伝わらず、ロックはじれったい思いをした。
「…女のことは男の俺達は何も言えねえが、一つ言えるのはこれがレヴィのビジネスってことだ。男が接待ゴルフをするのと同じ
ように、この世界じゃ、女は体で接待するのさ。ロック、お前はどういう立場でレヴィのビジネスに口を出そうとしてるんだ?」
「俺は…俺は…」
張が試すように、ロックの眼を覗き込んだ。張に脳みそを掴まれてシェイクされる幻視を見て、吐き気もぶり返した。
息が詰まって返答することもできない。
「…マイナス1点だ。ロック、お前には期待してるんだ。あまり失望させるな。とはいえ、お前達もまだ若い」
張はジタンに火をつけた。独特の癖のある芳香が車内に満ちた。
「豹、ロックをローワンの店に送ってやれ。痛い目を見るのも若いうちには必要だ。ロックは、しっかり修羅場を見てこい。
それから薬には気をつけろ。そんなもんでつぶれてる場合じゃねぇぞ」
車は方向を変え、ローワンの店“ジャックポット”に向かった。ロックはふらふらする足に鞭打って店の中に入ってゆく。
「『びっくり箱』の中をじっくり見て勉強してくるんだな。健闘を祈るぜ、ロック」
背後で面白そうに張が笑った。

☆☆☆
すみませんageてしまいました。改行もおかしいし
また続き投下しに来ます

68 :
GJ
続き期待してる

69 :
期待

70 :
続き投下します

☆☆☆
 
パティ・ラベルのソウルフルな歌声の元、ショーは始まった。一応はS嬢の設定らしいレヴィは長い鞭を振り回して変態野郎を
威嚇する。男は首に金のごついネックレスをかけ、エナメルの悪趣味な半ズボンをはいている。
頭には、レプリカの軍帽、目つきは異様である。知っているものと勝手の違う雰囲気にレヴィは戸惑った。
では何だ?自分はS嬢ではなく、この舞台には筋書きもない。カトラスも持っていない今、「二挺拳銃のレヴィ」も居ない気がしていた。
男が鞭の先端を掴んで自分を引き寄せた。瞬間、レヴィは自分がニューヨークで父親に殴られていたころの無力な子供に
戻ったような、心許ない気持になった。舌なめずりせんばかりに肩を掴む男を殴ろうとして、自分の役目を思い出す。
とっさに鞭を手放して体制を整える。
――やりずれぇ。相手に怪我させられねえ、ってのは…
レヴィは理性を保とうとした。そうしなければ、過去に心を囚われてしまう気がした。目の前の男を本気で怖いと感じてしまいかねない。
「ヘイヘイ! 何をすればあんたは喜ぶんだい?この豚野郎!」
鞭を打ち鳴らせないので指を鳴らした。虚勢を張らなければいけないような気がしていた。
男は英語を話す気がないらしく、ロシア語で何か捲し立てた。どうやら卑猥なことを言われているらしい雰囲気である。
「学がなくてね。ロシア語は分かんねえよ」
手元にカトラスさえあれば、たとえ撃てなくても安心するのにとレヴィは思った。
相手に反撃せず、楽しませて帰す。つまり殴られ、刻まれ、突っ込まれて、あらゆる汚辱をぶっかけられ、それでも耐えなければならないということだ。子供の頃我慢したことを一晩やればいいということだ。これは『SMプレイ』ではない。自分は『淫売でしかない』。
レヴィはたった今それを再確認し、しかし絶望はぜず、諦念を覚えた。
「…いくつになっても変わんねえな…」
どうせ自分は公衆便所がお似合いだ。強くなった気でいてもそれは自分ではなく銃の力だった。丸腰では何もできない。
せめてカトラスがあれば強くいられるはずだが、それはロックが持っている。
男に腕を掴まれた。自分の立場を理解した以上、これ以上S嬢のふりを続けても仕方ない。また、M嬢のように虐待に感じるふりをしなくても良い。
貝のように身も心も殻に閉じこもって耐えればいいだけだ。
男に無理やり口づけられても、もう不快とも感じない。
ロックに無性に会いたいと思った。これがロック相手だったら、痛みも痛みとして感じられるに違いない。百年も会っていない気がした。
今彼女が欲しいものは、カトラス。これがあったら安心だ。ロックがいたら幸福。両方そろえば最高だ。明日の朝にはきっと両方戻ってくるだろう。
それだけが頼りだった。
暴力的な手は、乳房を掴み、握りつぶそうとする。唇は噛まれて血が出た。強烈なボディーブローを食らってレヴィはたまらず、その場に崩れ落ちた。
――でも、こんなアバズレ、ロックはもう嫌かもしれない。ああ見えて、すごく嫉妬心が強い奴だ。他の男に抱かれた女なんて捨ててしまうだろう。
何度も腹を蹴られて、咳込み、レヴィは胃液を吐き戻した。男は前髪を掴み顔を上げさせた。男のこれまたエナメルの靴に掛かった飛沫を舐めさせられる。
それでも、痛みも屈辱も意識から切り離して、レヴィは何も感じなかった。男の性器を咥えさせられても、素直に喉の奥まで受け入れた。
彼女にとって怖いのはただ一つロックがどう思うかだけだった。
「あいつが怖い……あいつのためなら、あたし、多分何でもするよ」
声にならない口の中でそうつぶやいた。しかし、もちろん何を言っても目の前の変態には届くはずもなかった。
男は勝手に腰を使い、あまりに喉奥まで突っ込まれ、レヴィが何の技巧も使っていないにもかかわらず、勝手に果てた。
窒息しそうになりながら、レヴィも男も目の前の相手などどうでも良かったのだ。


71 :
「なあ、ローワン」
「ろ、ろ、ろっく…?いや、悪かったな、今日はちょっと魔法のお薬いつもより奮発しちゃって。大丈夫か?俺はお前の味方だぞ!」
舞台上を、ホールの外からそっと窺っていたローワンは、幽霊のようにロックが現れたので心底ビビった。
「レヴィは?」
「舞台上だが、見ちゃならねえって、レヴィが…あ、おい!」
ローワンごと暗幕を押しのけて、ロックはホールに押し入った。ローワンには黒服を呼ぶ暇すらなかった。
「おい!あいつ、止めろよ!ショーが台無しになっちまう!」
そういいながらローワンは近づいてくるもう一つの脅威に無頓着だった。
 
男の息は荒い。ハアハアと背後から息を吹きかけてくるが、それを不快だともレヴィは思わなかった。
もういっそ、夜が明けなければいい。ロックに会いたい、嫌、会いたくない。どんな顔をして会えばいいのか分からないから、慣れ親しんだ痛みや屈辱など、彼女には忘却の彼方だった。
男はレヴィの尻を真っ赤になるまで打擲し、更に鞭を手綱のように首に掛け背後から尻の間に性器をねじ込んでいる。
膣に入れる前の準備運動とでもいうように、襞にこすり付けている。くちゅくちゅと濡れた音がするのは、もちろんレヴィから分泌されたものである。
女は何も感じていないというのに、防衛本能とでもいうべきか、女の体は、生理現象として愛液を溢す。思う存分擦り付けて、男の性器は更に固く反り返った。
ぐっと、手綱を引いたものだから、レヴィの首は締まり、喉から声にならない声が漏れる。
もうすでに、紅色に染まった、彼女の襞を開き、徐々に男根を埋め込もうとする。もうどうにでもすればいい、とレヴィは諦めきっていた。
「レヴィ!」
その時、レヴィは最も会いたくて最も会いたくない人間の声を聴いて振り返った。
「見るな!!」
体を屈めて、背後の変態野郎を振り切ろうとすると、余計喉が絞まった。
「レヴィ!レヴィ!」
ロックの眼は異常だった。瞳孔が開いている。実はもうローワンの言う『魔法の薬』のせいで、眩しくて、目が見えにくい。
ただ、ロックの眼裏には気持ち悪い悪鬼のような男に犯される女の姿がはっきり映った。
「ロック!見んじゃねえよ、見たらぶっすぞ!!帰れ!」
男に身を任せた時には感じなかった絶望をレヴィは今はっきりと感じていた。
全身の力が抜け、自然と、足が床についた。畜生のように四つん這いで、男に挿入されそうな自分の姿はさぞ、ロックを落胆させただろう。
体が冷たくなり、鼻の奥につんと痛みが走った。首はどんどん締まってくる。そして、絶望はレヴィに別の感情を爆発させた。
怒りだ。
「これはあたしの問題で、あんたに出来ることなんて何もない!帰れよ!!」
つぶれそうな喉で、絶叫した。あるいはそれは懇願であった。
「…何だてめえは?出てけよ」
変態男がロックに英語で言った。
「プレイの途中なんだ。朝まで待ってろ」
そしてレヴィの髪を掴み、ロックによく見えるように上げさせた。レヴィはすべてに怒りを感じていた。こんな屈辱を味わせるこのホテルモスクワの変態にも、こんなことを強要するバラライカにも、そして自分の最後の意地すらも奪い去ろうとするロックにも。
こんなよだれとヘドと鼻水で汚れた悲惨な顔を見せたくなかった。彼の前では強い二挺拳銃でいたい。あたしがあんたを守るんだ。


72 :
「……」
ロックはステージのライトでかすんだ眼から、涙があふれるのを感じた。こんなに自分に対して怒ることは、今までそうなかった。己の無力に腹が立つ。
彼の眼に映る変態野郎は、赤黒い触手をいっぱい出して、彼女の首を絞め、唇を犯し、膣と尻に出し入れを繰り返していた。赤カーテンの舞台で、屈辱のうちに、それを受け入れるレヴィは、哀れでとても美しかった。
そして、ロックにとっては許すべからざる光景であった。彼の手からガタンと音がして、ガンホルダーが落ちた。代わりに右手には一挺のカトラス。ガチっと撃鉄を起こし、腕を水平に上げる。
「ロック、やめろ!!」
狙いを男に定める。
「あんたは撃っちゃダメなんだ!!一発も撃つんじゃねえ!!全部あたしがやってやるから!!」
「…」
誰が、レヴィを泣かせているのだろうと、ロックは思った。眩しくてよくは見えないが、彼は初めてレヴィが泣くところを目撃した。撃鉄に掛かる指に力を込める。
「駄目だ!銃をおろせぇぇぇ!!!」
喉を締め付ける鞭と涙のせいで、それは本当に金切り声で、聞き取れないくらいの悲鳴だった。
「そうだ、ロック『持ち慣れないものは持たない』方がいい。怪我をしても知らんぞ」
ぱん、と乾いた音が一回だけした。男は悲鳴も上げずのけぞって、倒れた。レヴィから男根がずるりと抜ける。
「ちょっと遅かったみたいだけど。レヴィ、あなたの屈辱は晴らしたわよ。時間はかかったけど、大頭目にやっと連絡が取れたわ。『セックスも紳士的にできないような下種は同志として相応しくない』」
ま、それは冗談として、元々始末するつもりでこっちに寄越したそうよ、丁度良かったわね、とバラライカはスチェッキンを懐にしまいながらウインクした。後ろからおびえた様子でローワンが顔を出した。
「レヴィ、もういいってよ。着替えて、帰ってもいいぜ」
「……」
レヴィはその場に座り込んで嗚咽を収めている。
「ロック?あなたもレヴィを連れて帰りなさいな」
「……」
ロックは呆然としてその場に跪いていた。カトラスはすでに手の中に無く、地面に冷たいまま転がっている。
「もう、面倒くさいわね。さっさと来なさい」
心底呆れた様子で、バラライカはロックを起き上がらせ、レヴィに着替えをさせるようローワンに命令をした。
帰り道、後部座席で、二人は一言も喋らず、ただ子供のように寄り添っていた。
「まったく、『貞操』や『名誉』なんぞ犬に食わせろ。『女々し』さに眩暈がする」
「大尉、女性の気持ちは分かりかねます」
「男も女も同じだ。変わるものか」
イライラとこめかみを押さえるバラライカの隣で、ボリスが苦笑した。
この街で生きる上で、ロックやレヴィの持つ感傷が彼らを破滅させるだろうことを、本人達も今夜の出来事で本人達も十分に実感したのだった。
普段分かっているつもりでも理性が剥がれた時に、覚悟ができていないことは露呈するものだ。
不夜城ロアナプラの明るすぎるネオンサインが流れ星のように車窓を滑ってはすり抜けて行った。


73 :
ロックは足をもつれさせながら下宿に入り、レヴィを風呂に入らせるため、洗面所に向かおうとした。
後ろから人肌が密着してくる。ロックは彼女の肌にまとわりつく甘いジャスミンの香りに吐き気を催した。
彼のレヴィはタバコと酒と硝煙の匂いこそふさわしい女だ。腹の底から怒りや嫉妬が押し寄せてきて堪らない気持になった。
「あたしは怒り狂ってンだ。帰れと言ったのに戻って来るし、撃つなというのに撃とうとしやがって」
ギュッと腰を抱き締める力が増した。レヴィの声音は冷たかったが、それは緊張のためである。
ロックの肩口に顔を摺り寄せて安心すると同時に、彼女は自分の身の置き所を決めていた。
「あんたは戻るべきじゃなかった。この街の歩く人らしく、朝になってあたしに言うべきだった『昨日はいい思いしたんだろ?』って」
 レヴィの言い様にロックが息をのむのが背中越しに伝わってきた。
「『女々しい』情も嫉妬も捨てちまいな。『プリティウーマン』や『ボディガード』の世界じゃねぇんだ。役割はきちんと自覚しておくもんだ。あたしは『銃』であんたは『弾丸』…そうあるべきだ」
決して女と男ではない。
互いに離れられず、一心同体であったとしても。
引き金を引く瞬間までは互いに冷たい鉄の塊でいなければならない。
「スクールガールとサムライ、くそメイドと坊ちゃん、そんな風に、あたし等はならねぇ」
自分に言い聞かせるようにロックに沁み込ませるように言った。ロックは怒りを収め、とても悲しく、愛おしくそのつぶやきを聞いていた。
また、彼女の気持ちに応えなければならないとも感じた。「銃と弾丸」と言ったとき、自分達は本物の体になることも、二人で破滅する道も選ばない覚悟を決めていた。
ただ、今夜惑った。ジャスミンの香水のせいなのか、ローワンの魔法の薬のせいかは分からないが、随分少年のようなことをしてしまった。
だがもう二度とない。体を重ねても、自分達は『ただの』相棒だ。それだけが、歩く人である二人の命を救うだろう。
「ああ、俺達はそうはならない」
体をもぎ離して、レヴィに向き直ると、彼女は泣いた後のひどい顔をしていた。化粧も落ちてつけまつげが頬に張り付いている。
ロックはそれをそっとつまんで捨てた。レヴィは常になく穏やかに笑い、ロックもそれに釣られた。

74 :
「今夜はあんたにすげえ傷つけられたよ」
「俺だって。お前のせいで傷ついたし、変なもの盛られるし、散々だ」
今度は正面から抱きしめあってしばらく黙っていた。体を穏やかに揺らし、ギュッと抱き合っていたらまた涙がにじんできた。
レヴィは今度はうずうずとした、堪らない気持ちで叫んだ。
「あたしを痛めつけろよ…あたしもあんたを傷つけるから。あの変態にやられたあたしを抱けよ!」
レヴィの声と同時にロックは彼女の体をベッドに引き倒した。必で互いの服を毟りながら口づけ合い、舌を絡めあった。
レヴィの口内は苦い胃液と男の精の味がした。気持ち悪くて、唾液が分泌されて止まらなかった。舌の裏も奥歯も隅々まで舐め合って、最後にはお互いの味しかしなくなって満足した。
息を乱しながら唇を離すと、二人とも口の周りまで唾液にまみれていて笑えた。
「あたしは、数えきれない男と寝てきた」
ロックは傷ついて眉をしかめ、女の髪を力いっぱい引っ張った。着替える時に忘れていたレースのリボンが抜けた数本の髪の毛と一緒にほどけて手の中に残った。
「ガキの頃からの、根っからの淫売だ」
「…黙れ…口を閉じろ。」
ぐっと髪の根元を掴んでロックは自分を傷つける口を塞いだ。あのロシア人に噛まれたのだろう傷に舌を突っ込むと、また唇から血が滲み始めた。
強引に乳房を掴むと、レヴィは痛そうに身をよじった。右足首を掴んで股を開かせると、レヴィの女はもうすでに濡れそぼっている。
「誰が相手でも濡れるのさ」
「いい加減にしろ、黙れよ!」
ロックは言うと同時に膣の中に一気に侵入した。潤んだ見た目とは違い、酷く狭く、彼は苦痛すら感じた。
レヴィが圧迫感から小さくうめき声を上げたが、そのまま抜き差しを始めた。
「…っあ…でも、今はお前としか、寝たくない。理由を、知ってるか?」
ぐいっと上半身を引き上げられて、対面座位になった。視線は近い。相手がよく見えないくらいに。
ロックは理由を知っていた。しかしそれは言ってはならない言葉だ。先ほども確認したように。もちろんレヴィだって弁えている。そのことが余計にロックに傷をつけた。
レヴィの胎内は心地よく締め付けてきて、先ほどのきつさは程よくなり、肉壁はロックの男根に絡みついた。
溶けてしまいそうな気持ちになって、真っ赤に腫れている乳首に吸い付くと、レヴィの背中がすらりと反った。お互いどうすれば相手が気持ちよくなるのかを知っているのだ。
レヴィも気が遠くなるくらいの充足感を感じていた。彼の頭をぐしゃぐしゃに掻き乱すと、普段より幼い感じの顔が現れた。
レヴィは前髪を下ろした彼の顔が密かに好きだった。からかうと不服そうな顔でしつこく文句を言ってくるので、面倒くさくて本人には言わないが。
ロックに隅々まで触れられていることに満たされた。乳房は手のひらに包まれ、膣の奥の奥までも、自分自身も触れることのできない場所も彼のものだ。
ゆっくりと体を押し付けられてもまだ足りず、更に体を寄せた。
「…んん…あんたに銃は撃たせない。生涯に、一発も、だ」
「レヴィ、未来のことは、言うもんじゃ、ない。…っ約束は、守られない、ものだ」
あとはお互いの名を呼ぶことしかできないくらいの熱に溺れた。子宮口に押し付けられて、レヴィは軽く気を飛ばした。
こうやって押し当てて、軽く擦られると、どうしても協力するように女の腰も蠢いてしまう。ひくひくと自分の体が痙攣し、目の前が白く曇った。
相手の唇をねだって、汗が粘り、香水も薬も敵わない酩酊感が二人を包む。体の中で爆発が起こり、眩暈がするような恍惚を二人は同時に感じた。
それでも腰を止めることはできず、お互いが体液を混ぜ合わせるようにしばらく体を押し付け合っていた。

75 :
力が抜ける。でも、レヴィはあと一言言わねばならない。眠りそうな幸福の中で気力を振り絞ってつぶやく。
「あたし、いつか、あんたのために、ぬよ。」
まるで予言だった。
ものすごい力でレヴィは突き飛ばされ、ベッドから転がり落ちた。落ちた拍子に打った肩がジンジンと痛んだ。
床からベッドの上を見上げると、ロックが腕で顔を覆っている。
「そんなこと言うな!」
「望もうとそうでなかろうと、今のままじゃホントのことさ。ノストラダムスの予言より確かだぜ」
「させない!そんなことさせない」
「別にいいんだ」
ロックは自分の趣味のために体を張らされる愚かな女を哀しく、愛おしく見た。自分の我儘でレヴィは傷ついて、ぬだろう。
それを避けるために自分はもっと狡く、賢くならなければならない、とロックは考えた。
時が経ち、いつかロアナプラに染まり切って――あるいはそれが自分の本質か――
レヴィが慕う甘やかさや、青さは消えてしまって、嫉妬も不安もなくなり、自分達は本当の『銃と弾丸』になるかもしれない。
「…生きようなんて思っちゃいない」
「あたしもさ」
血の混じった泥に浸かって、ただ二人で踠いていたいだけだ。
レヴィはベッドの下から、彼の脚を引っ張って、萎えかけた性器を口に含んだ。男と女と二人分の体液が付着したそれを、美味しくすら感じた。
先をくるくると舌でなぞり、手のひらに包み込んだ。すぐにさっきの剛直が戻って来る。見上げると、ロックが優しい眼で髪を撫でてきた。
痛めつけてくれと言ったのに、これでは慈しまれているだけだ。レヴィが文句を言うと、さっきほどけたリボンで手首を括られた。
痛くも痒くもない。もはや暴力的な雰囲気は吹き飛んでしまった。
ロックはレヴィをもう一度膝に座らせた。あとは穏やかな交わりが続いた。

76 :
「あら、ミスタ張。こんな深夜に何の御用?私もう今日は、これ以上『油もの』は食べられないの」
「夜食のお誘いじゃなくて悪いな。ミス・バラライカ。ロックのことなんだが」
いろいろな雑務に追われて、やっと一息ついたバラライカは幾分迷惑そうに携帯電話を開いていた。
「ああ、ロックとレヴィならハイスクールのガキみたいに泣きながら手をつないで帰ったわよ」
「おいおい、お前だけのおもちゃじゃないんだぜ。大事に扱ってくれよ」
バラライカは戸棚からウォッカを取り出してグラスに注いだ。飲まなければやっていられない。
面倒くさい相手のお守りから永遠におさらばしたと思ったら、子供のお守りだ。
借りがあるので放っておいたが、走行中の車から突き落としてやりたいくらい鬱陶しかった。
「はー、私達のおもちゃは存外面白くない道を歩くかもよ」
「今夜、痛い目を見ただろうから大丈夫だろう。それに、どちらでもいいさ。長い苦しみの生を続けるのも、幸福の内に短い人生を終えるのも。どっちを見るのも面白い」
バラライカはグラスのウォッカを飲み下した。軽妙な張の英語を聞いていると、そういうものかと思えてきた。
どちらでもいい、彼らがのうが生きようが、どちらでも楽しめるだろう。
酒が熱い塊となって喉を過ぎていく。彼らもこんな灼けるような熱を胃の中に抱えているのだろうか。
ホテル・モスクワの女幹部はなんだか微笑ましい気分になってきた。
「二人に乾杯」
「ああ、乾杯」
柄にもなく、酔ったのだろうと、バラライカは思った。
☆☆☆
目覚めると、レヴィの顔が近くにあった。随分穏やかに眠っている。ロックが起き上がると、起こされたのか、レヴィは寝苦しそうにモゾモゾと動いた。
「…朝か?」
「すごい声だな」
喉を見てみると、絞められた跡が赤紫に残っている。その他いろいろな原因が考えられるが、しばらく掠れてまともな声は出ないだろう。
体のあちこちに痣やら傷が残っている。レヴィの普段着で外出したら、何事かと思われるだろう。
「…風邪引いた、っぽい」
「どのみち、今日は外に出ない方がいい。電話しとくよ」
額に手を当てると確かに熱っぽい。汗で張り付いた前髪を掻きやって、今日の彼女は休んだっていいだろうと、ロックは思う。
とりあえず用を足すためにベッドがら起き上がると、ちょうど携帯電話が鳴った。
「はい、もしもし」
「ハイ、ロック。ご機嫌はいかが?」
アロハシャツの同僚のいつもと変わらぬ声がする。ロックは千年ぶりに聞いたような懐かしい気持ちになった。
「ベニーかい?ご機嫌は良いよ。ついでにレヴィも生きてる。」
「そいつぁ、良かった」
昨日の君はロアナプラをゴジラみたいに滅亡させかねなかったからね、とベニーは言う。
声の調子は軽いジョークを言っているように聞こえるが、こんな朝早くから事務所にいるとは、もしかしたら昨夜は帰宅しなかったのかもしれないと、ロックは気づいた。
「ゴジラ知ってるんだ?レヴィが風邪をひいて休むそうだよ」
「了解。ゴジラ来年あたり、ハリウッドで映画化されるらしいよ。えー?ダッチ、何だって?…“ロックも危険だから今日は来させるな!あいつは今日も放射線を吐くかもしれねぇ”って。」
「怪獣扱いかよ」
さりげないダッチの気遣いに、ロックは心の中で感謝した。
「休んだから、ペイ無しだよ」
今日は仕事入ってないけどね、と言ってベニーは電話を切った。
新しい朝が明けた気がした。
この街も捨てたものではない。汚くて、臭くて、陰謀と裏切りと暴力の入り混じった最低の街だが、そこに住む人々はなかなか悪くない。
ベニーの遠くから見守る目線は冷たく温かい。ダッチの知的な包容力は厳しく、好ましい。
犯罪者、この世のはみ出し者、そういうどうしようもない人間達がここには集う。
このロアナプラは他に行き所のない人間を受け止める。恐ろしく優しい
――まるでレヴィのように。
ロックは無性に可笑しくなって、レヴィの肩にタオルケットを掛け直してやった。
用を足したら、彼女のために粥でも買ってこよう。
今日からは更にイカレて血と泥に塗れた、素敵な日々が待っている。 
終わり

コメントありがとうございます
引き続き神々の降臨と原作の再開を待っております

77 :
GJ!
ゴミ箱に抱きつくロックに萌えた!

78 :
切なかった。
最近ほんのりイチャラブ投下が続いてたから余計に。
でもレヴィの泣き叫ぶ姿とかぐっときたよ。
それぞれの幸せがあってよかった。
GJでした!

79 :
台詞回しいいね
GJ

80 :
保守

81 :
PJ-1もなかなかよいものですな
表紙でちょっと食わず嫌いしたんだが

82 :
ブラクラの薄い本集めに集めて気が付いたらダン箱一箱分くらいになってた
勿論現在も探してるけど

83 :
薄い本の話題に便乗して聞いても良いだろうか
スレチだが、スマン
アザさんの本に描かれてるクリアファイルと同じSのレヴィは広江本人によるもの?
中の人、って書いてあるが

84 :
>>83
中の人、つってるからそうだよ
でもクリアファイルとは同じ絵柄ではなかったような気がする?あれ、どうだったっけ

85 :
>>84
やっぱりそうか〜ありがとう
初出はどっちが先なんだろう
クリアファイルはイスに座ってるが薄い本では小説版のSMレヴィの時の豚オヤジに座ってる

86 :
アザさんに寄稿してる中の人=本人だね。初出は薄い本が先だった
薄い本の豚親父に乗ってるバージョンはさすがにGX的にはNGだったから
クリアファイル化で椅子に変更したんじゃないかな
だがまさかあの開脚ボンテージ姿が公式のふろくになるとは思わんかった
去年出たアザさんの新刊にもレヴィロべが下着で寝そべってるイラストが寄稿されてるわけだが、
あれも乳を隠す加工して付録にしてくれりゃいいのに。あのレヴィ可愛い

87 :
>>86
うおー、スレ違いなのにみんなありがとう、画像もみつけた!
あの下着姿は反則だろ...
アザ氏のはハードなので少し苦手なんだが、作者本人が降臨されるだけで買ってしまうから困るw
それにしてもこのスレや保管庫にも漫画化してほしい話がいっぱいあるよな

88 :
ぶったぎりですまんが、OVA五巻の若ロベのスリーブ好きだわ
中身については敢えて何も言わない

89 :
来月GXにヘタレの地平線収録
やっと再開が見えてきた
ようやく新しいレヴィに会えるのかもしれん

90 :
えっもう何度地平線で誤魔化されたと思っているのさ
さすがに本編が載るまでは期待しないわ

91 :
長期休載してからの地平線は初めてじゃねーの?

92 :
そだっけ

93 :
保守ってのは大事なことだぜ、ロック。

94 :
レヴィたんのタイツがどうしたって?

95 :
あああ再放送楽しみだなあぁぁ

96 :
>>94
アニメ板誤爆か?w
タイツなんてさ、レヴィあれが初めて履いたんじゃないかね。
萌えるな。

97 :
>>96
規制でここにしか書けないんだよクソックソッ

98 :
初タイツが日本だとして
ホテル室内
レ「あ゛ーーこんなの履いてられっか!むずむずするちくしょー!」ヌギヌギポイッ
ロ「……(レヴィが履いてたタイツ)」

ただの変態になってしまった。

99 :
銀さんとの闘の後、破れたタイツを処理するフリして真顔で懐にしまう

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