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2012年6月創作発表153: kskアニメキャラバトルロワイアル Part32 (474)
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kskアニメキャラバトルロワイアル Part32
- 1 :10/08/08 〜 最終レス :12/05/15
- _,-ー'´ `'´<._
> \ l \
_∠´ >Nレ' ヽ_ __________________________
/ 1‐- /
/.::: ..: ', .| ここは、安価で決定されたアニメ作品のキャラクターによる
/::::.: .:/ ...:: ..:/ l: l:. ヘ、 | バトルロワイアルパロディの企画スレさ。
/イ:::: .::/ ..::::/ /l / ノ \ヽ::..:. :. :. l:. l` |
l.::イ .:::::::/:/ レi /:: /_.. -ー\‐、l:: l:. ∧! .| この企画はその性質上、版権キャラの残酷描写や死亡描写が
j:::::l .:: .::://ナこニ;ミl:: /:/l::/7Z=サナ‐ャ.〉l:: |:リ ' | 登場する可能性がある。苦手な人は注意してくれ。
ノ:::::|.::リ l.::/<'ヘ::リ..`,l:/l´ l/ " ヾ-' " /f`|! |' .|
/-イl::i:l´リl/X  ̄ / /)ソ:l::リ.. .| なお、本企画は他板に存在する同様の企画とは一切関係ない。
l:/::|::::|、Kヘ 〈L /-'/|/ < 混同しないように気をつけて欲しいところだね。
/´l/ヽ:l::::::::::\ ー- - -一' , '::/ |
ノノl/V|::::`-、,. /l |/′ | それから、僕と目が合ったそこのキミ。
l´ |:::`' -、_,/ .| | 好意に値するよ……『好き』ってことさ♪
|:: | \__________________________
_-ー」:::.. ト、__
/i7:::ノ:::::.. ',l l、
../::: `ー、_::::::.. ..::r'´ ト、
_/´レ:::: /`ー`):::-、:. -‐十⌒〉 \ `ー、
/∠´-ー┘::::「{...____.. -‐|! く.___\ `ヽ、
_,.-''´ .了 / |::三=ー ̄:|:\ ` ̄、 `ヽ、
_,.-'´ _,-'´ `ヽ、l、::::::::::::::::::::/:/ ``-、 `ヽ
前スレ
kskアニメキャラバトルロワイアル Part31
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1268121087/
避難所したらば
http://jbbs.livedoor.jp/anime/7056/
まとめwiki
http://www39.atwiki.jp/kskani/
過去スレや参加者は>>2以降に
- 2 :
- 過去スレ
kskアニメキャラバトルロワイアル Part30
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1258043447/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part29
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1253119691/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part28
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1250006407/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part27
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1245766157/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part26
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1243065623/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part25
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241620804/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part24
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1240388302/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part23
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1237377384/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part22
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235397738/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part21
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1233661828/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part20
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1231683608/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part19
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230679406/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part18
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1229845601/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part17
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1229267673/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part16
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1228743088/
- 3 :
- kskアニメキャラバトルロワイアル Part15
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227535172/
kskアニメキャラバトルロワイアル(実質14)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1226591287/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part13
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1225463936/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part12
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1224586241/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part11
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1223734166/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part10
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1223212911/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part9
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222568380/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part8
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222005228/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part7
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221486079/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part6
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220958994/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part5
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220615940/
kskアニメキャラバトルロワイアル Part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220359994/
kskアニメキャラバトルロワイアル part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220120311/
アニメキャラバトルロワイアルin創作発表part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220104445/
アニメキャラ・バトルロワイアルin創作発表
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220012845/
- 4 :
- よろしいならば参加者だ
3/6【涼宮ハルヒの憂鬱】
○キョン/●涼宮ハルヒ/○朝倉涼子/●キョンの妹/○古泉一樹/●朝比奈みくる
4/6【キン肉マンシリーズ】
○キン肉スグル/○キン肉万太郎/○悪魔将軍/●ウォーズマン/●アシュラマン/○ジ・オメガマン
1/6【モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
●佐倉ゲンキ/●モッチー/●スエゾー/●ホリィ/●ハム/●ナーガ
4/6【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○高町なのは/○スバル・ナカジマ/●フェイト・T・ハラオウン/●セイン/○ノーヴェ/○ヴィヴィオ
2/5【ケロロ軍曹】
○ケロロ軍曹/●日向冬樹/●タママ二等兵/○ドロロ兵長/●ガルル中尉
2/4【スレイヤーズREVOLUTION】
○リナ=インバース/●ゼルガディス=グレイワーズ/○ゼロス/●ラドック=ランザード
1/4【新世紀エヴァンゲリオン】
●碇シンジ/●加持リョウジ/●惣流・アスカ・ラングレー/○冬月コウゾウ
2/4【強殖装甲ガイバー】
○深町晶/●アプトム/●ネオ・ゼクトール/○リヒャルト・ギュオー
3/4【砂ぼうず】
○水野灌太(砂ぼうず)/●小泉太湖(小砂)/○川口夏子/○雨蜘蛛
1/3【となりのトトロ】
○トトロ/●草壁サツキ/●草壁メイ
22/48
地図はこれだよ!
http://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0376.png
こちらは現在位置だよ!
http://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0367.png
- 5 :
- 【――カヲル君からのお願い――】
___,,,.................,,___ \ / キャラクターの状態を把握しやすくするために、
´ >'"¨'''ー- ...,,__¨`\ ヽ\ | SSの最後に以下のテンプレを挿入してくれ。
_/_,,.... -─-- ..,,_\ \ i ヽ |
/ `> \ \ i\ i | 【場所/時間帯】
/-‐ァ / ___ \ヽ i / | 【名前】
/ /// / _,,..二ニ= ',i // | 【状態】
//,.7'" _,,.. -‐'''"、‐-..__.... -──- 、 レ 、 ̄`\ | 【持ち物】
/,..イ/ 「¨,ゝ、=ニ二 \¨、`\ | 【思考】
//// Z ヽマラ''" -‐‐- 、 \ \ __ |
// _=ニ二__.... _二ニ= , il ', ',/ ̄ | 時間帯の区分は以下の通りだ。
___,イ,' 、_ノ _,.-‐ニ二、-‐ニイ ll \. i ',. ', / | 0〜3時:未明
/ フ , 、 '"、 -.、、\. /i ∧ /l ∨ ',_', ,.イ | 3〜6時:明け方
"\'-─- //!,' 丶 ヽ,仏、 / レ' ', /| l __,,... -‐ム''" < 6〜9時:朝
\‐-、 ,' \ Z ヾ-イ .// /',/ /レ'''"/ / | 9〜12時:昼前
//ヽ ` Z `>ソ / /_/ ,.イ / | 12〜15時:昼過ぎ
、 ,. ‐‐--‐'''"_,.! \ _,,.. -‐- ..,,__,,.. -‐'''" / . | 15〜18時:夕方
/ / ̄  ̄>'''" / / . | 18〜21時:夜
__/__........___/ -‐==- イ / . | 21〜24時:夜中
/ / ,.-‐''" |
\ 三時間区切りだから、割とアバウトでいいと思うよ。
【放送】
6時間に一度ゲームマスターからの放送があり、死亡者と禁止エリアを発表します。
禁止エリアは>>101>>102>>103……という形で書いてもらい、安価で決定されます。
キャラクターの時間を進めるのは自由です。
しかし、放送時間までたどり着いたら一度ストップ、他のキャラ達が追い付くのを待ってください。
ほとんどのキャラが放送時間にたどり着き、放送がされたら再び時間を進められます。
次の放送は24時です。
- 6 :
- 【予約】
予約はこのスレ内で行います。
トリップをつけて「○○(キャラ名)と××を予約します」と宣言して下さい。
予約期限は原則として5日ですが、「ちょっと待って」で2日ほど延長が可能です。
さらに事情があったりするときは追加の延長もできます。
ただし連発は出来る限り避けましょう。
延長したい場合は、再び予約時と同じトリップをつけて延長を申請して下さい。
何らかの理由で破棄する場合も同様です。キャラ追加予約も可能です。
予約期限を過ぎても投下されなかった場合、その予約は一旦破棄されます。
その時点で他の人がそのキャラを予約する事が出来るようになります。
また、前予約者も投下は可能ですが、新たな予約が入った場合はそちらが優先されます。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| あーーーーーっと!!!ここでお願いが入ったぁぁぁぁ!!! |
| 次スレは>>950を踏んだ人が立てて下さい! |
| そしてテンプレもhttp://www39.atwiki.jp/kskani/pages/290.htmlに置かれております!! |
|_______________________________________|
∧ | ∧
,i |_,! i、
i .。 |_ 。, `i
i -ー、―-、 |
i ,/"^ヘ^i i
i i' | |
i ヽ_,._,/ ,'
゙ー---―'
- 7 :
- /| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
く K 」 m ) (
? _r'" `ヽ ノ ) >>1乙だよトトロ〜!
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
- 8 :
- /| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
く K 」 m ) (
? _r'" `ヽ ノ ) >>1乙だよトトロ〜!
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
- 9 :
- /| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
く K 」 m ) (
? _r'" `ヽ ノ ) >>1乙だよトトロ〜!
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
- 10 :
- /| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
く K 」 m ) (
! _r'" `ヽ ノ ) >>1もつだよトトロ〜!
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
- 11 :
- 予約はもう来ない…のか?
- 12 :
- >>1乙です!
/| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
く K 」 m ) (
? _r'" `ヽ ノ ) やっと規制解除されたよトトロ〜!
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
- 13 :
- てす
- 14 :
- /| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
く K 」 m ) (
? _r'" `ヽ ノ ) >>1乙だよトトロ〜! (
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) それから>>12おめでとう! (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
- 15 :
- >>11
書き手です。
リアルが忙しくてSSを書けるくらいのまとまった時間がなく、迂闊に予約できない状態です。
ネタはあるのに時間がないという感じです。
また時間ができたら予約を取りたいと思います。
それから
/| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
く K 」 m ) (
? _r'" `ヽ ノ ) >>1乙だよトトロ〜!
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
- 16 :
- おお、書き手からの連絡キターw
- 17 :
- 盆とコミケでこの時期はなぁ
- 18 :
- それに暑いから書く意欲が落ちる落ちる
- 19 :
- しかし本当に暑いな…
- 20 :
- 知ってるかい?
kskロワって明日で開始から二周年なんだぜ
- 21 :
- それはめでたい
しかしもう二年経つのか…
- 22 :
- はやいもんだな…
某ロワも静寂を経て作品投下されてるっぽいし
ウチも頑張りたいもんだ
- 23 :
- 祝!二周年!
という事で、キョンとノーヴェで予約させて貰いますです
- 24 :
- 予約来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!
- 25 :
- あれ?鳥がおかしい…
改めてキョンとノーヴェで予約させて貰います!!!
- 26 :
- 二周年記念の今日、予約が来た!
楽しみです。
- 27 :
- kskロワが二周年になるかならないかって時なんだ!予約してみる価値はありますぜ!
朝倉涼子、ヴィヴィオ、ドロロ兵長、リナ=インバース 予約します
- 28 :
- /| ,/| ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ_人_人_人_人_
く K 」 m ) (
! _r'" `ヽ ノ ) 地球圏に落ちるトロロズを押し上げるんだ!(
ミ(~ ゜-‐ ミ ズボォ ) (
,i'" ''ヾ`ヽ ミ __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
i'^ ヘ `l ミ⌒`⊃ ==--- ̄ ̄
| ^ "ミ
_ヽ
"'"'゛''""''''゛""´
自分も雨蜘蛛、深町晶、ジ・オメガマンで予約します
- 29 :
- ウェーブキター!!!
久し振りのwkskwksk!
- 30 :
- 2周年おめ!
そしてウェーブにwksk!!!
- 31 :
- やっぱこのスレ最高だ、なにこのkskウェーブwww
wkskwksk
- 32 :
- ひさびさのkskキター
- 33 :
- ああ…時が見えるw
- 34 :
- ウェーブktkr!
wksk!!!
- 35 :
- 投下wkskwksk!
どれも楽しみすぎるw
- 36 :
- えー、作品自体は完成し後は推敲のみですので
本日20時40分ごろより投下予定です
お手すきの方いらっしゃいましたらkskお願いします!
- 37 :
- wksk
- 38 :
- wksk
- 39 :
- wktsk
- 40 :
- wksk!
自分は今日は投下出来そうにないのでちょっと待ってお願いします
- 41 :
- 310 名前: ◆MZbbkj1l7. 投稿日:2010/09/07(火) 16:32:54 [ m.cZaVZk ]
申し訳ない、ちょっと待ってお願いしやす
以上転載
お二人ともゆっくり書いていってね!
- 42 :
- 投下開始しますですー
- 43 :
-
友達。戦友。仲間。友人。親友。
各々表現は違えど、どれも“友”を示す言葉だ。
とある娯楽番組で司会者が語っていたが、人――特に多感な中高生の時期は必要以上に自分と仲間とそれ以外の区別をつけたがる傾向があるらしい。
区別と言われてみれば聞こえが悪いが、幸いにして多感らしい時期の高校生活を送っている自分に当て嵌めて考えてみよう。
登校の最中に谷口や国木田と遭遇し、一緒に学校へ向かう。
そしてそのまま教室へ向かい邪魔な荷物を机に置いて雑談タイム。
昼休みもまた、あいつらと馬鹿な会話をしながら昼食。
面倒な授業を終え放課後になれば――ハルヒと、SOS団のメンバーといつもの馬鹿騒ぎ。
平日だけでなく休日も、結局はいつものメンバーで集まっている。
軽く思い返してみるだけでも、こうして一つの“グループ”が出来上がっている。
勿論、自分だけで無く他の友人たちもきっとこんなモノなのだろう。
毎日変わらない学校生活でいつもの友人と談笑しそれぞれがそれぞれで固まっている。
特に示し合わせたわけでもないし、違う友人と話さないわけでもないが、基本的には同じメンバーだ。
これらも一種のグループ分け、区別と呼ばれる行為になるのだろう。
よくよく考えても見ればそうだ。
大衆向けのドラマや漫画などで表現される普通の学校の教室に蔓延する所謂虐めと呼ばれる行為も、自分と違う存在を拒絶しようとする動きがエスカレートしていくものが多い。
こんなのは誰が教えたわけでもない。
幼少から成長する度本能的に刻み込まれてきた人間として当然の感情なのだろう。
……その行為の善悪は置いておくとして、だが。
- 44 :
- ksk!
- 45 :
-
友を信頼し、素直な意味で好意を抱く。
それは、多少の例外は有れどもどんな人間にも標準的に備わっている資質であり、今更語るべくも無いことだろう。
友人と遊べば楽しいし、喧嘩をすれば悲しい。
だから、だから。
――反吐が、出そうなんですよ。"彼"を……一時でも、仲間と呼んでいたと思うとね……
こんなにも胸が痛くなるんだろう。
+ + +
あぁ……痛い。頭が割れるように痛いんだ。
酔いから醒めたであろう頭の中は妙にクリアだってのに、一体全体何なんだよこの痛みは。
ズキン、ズキン、ズキン、ズキンと。
俺の罪を責め立てるように、罪を数えるように、さっきから一歩進む度に酷く頭が痛む。
ははっ……これがハルヒやあの子供の、ナーガのおっさんの怨嗟の声なのだろうか。
嘔吐や鼻水、体液を吐き出しただけじゃ物足りないってか?
……当たり前だ、“死”の苦しみはきっとこんなもんじゃない。
死んだ人間には何も残らない。
想いも、言葉も、何も残らず、命の重さまでも加害者へと降り注ぎ零へ還る。
そんな、そんな忌まわしいことをしちまった俺に、あまつさえその重さを背負うことすら出来ずに体液として吐き出した俺に、甘ったれるなとでも言っているのだろう。
疲労から、ともすれば動きを止めたがる両足に対し懸命に命令を送り、怨嗟の声になって鳴り響く頭痛に耐えながらふらふらと、幽鬼の如く歩みを進める。
……悪かったさ。悪かったと思ってるさ。
人をのは悪いことだし、俺がしたことは許されることじゃあない。
でも仕方が無かったんだよ!ハルヒを――仲間を救いたかった!死にたくなかった!!
本当に、たったそれだけだったんだよ。
- 46 :
- 俺が生きていたところで意味なんかなくたって、生きる理由すらなくたって。
死にたくない、救われたい。平和な世界から来た極々普通の一般人がそんなことを考えて何が悪い!?
何も残らないなんて、誰だって嫌に決まってる。
ましてこんな場所で、誰かに殺されて自分が終わるなんて死んでも……いや、みっともなく生にしがみついたって嫌だ。
だから俺は、俺は――
意味もなく、誰へともなく稚拙な言い訳を繰り返す。
……いや、自分でもわかってるさ。
これは全部、俺が殺した奴らに対しての言い訳だ。
反論もない、自分を責めることで自分を正当化しようとしてる只の言い訳だよ。
責めながらも、自分は悪くないって辺りが殺人者らしくて見事な屑っぷりだよなぁ。
俺に相応しくて、相応しすぎる言い訳だよ……まったく。
「うげ……うげぇぇぇぇぇぇ……」
自虐的に感情がぶり返すと同時、どうしようもなく“死”を意識してしまい胸の奥底から熱いものが込み上げてくるのを感じる。
またか。
今更歩みを止めることすらしようとせず、勢いのままに吐瀉物を吐き出す。
当然、服からズボンにかけて更なる吐き気を催す悪臭を放つ体液が降り注ぐのだが、もうどうだって構わないさ。
既に服中嘔吐まみれでぐしゃぐしゃなんだ。何を気にする必要がある。
この体液があいつらの重みだろうが、何だろうがもう知ったことじゃない。
俺には重過ぎるんだよ……人の命の重さなんか、背負えないんだよ。
許してくれなんざ言わないさ。だから、そっとしておいてくれ。
意味もなく、意思もなく、俺は生きていくんだからな……。
ぶり返した感情がまた醒めきっていくのがわかる。
- 47 :
- ksk
- 48 :
- もしかしたら、これが所謂二日酔いってヤツなのだろうか?
だとしたら、缶ビールたったの一本でこの威力とはそら恐ろしいこった。
「痛ぇ……痛ぇよぉぉ……っ」
痛い。嫌だ。もう歩きたくない。
鼻を突く臭いに、頭痛が更に酷くなっていく気がする。
感情が、またぶり返す。
支離滅裂な思考は、纏まる気配すら見えない。
靄が掛かったように、視界が狭まる。
だが、歩みを止めることはない。
まるで鮪のように、歩くのを止めてしまったら死んでしまうかと思っているかのように。
己の思考に不安を煽られ、恐怖と疲労に全身を震わせながら。
それでもズリズリと足を引き摺り、歩みを進めていく。
「う…うぅぅ……」
足元に伝う吐瀉物が不快だ。
嘔吐感がみるみる増していく。いっそまた嘔吐してやろうか。
などと不明瞭な思考を掻き消すように、頭の中に言葉が鳴り響く。
――反吐が、出そうなんですよ。"彼"を……一時でも、仲間と呼んでいたと思うとね……
あぁ……まただ。またあの時の言葉が頭の中を反響し、残響する。
――"彼"が!? ハッ、まさか。あの"彼"が、そんな感情を抱くはずがないでしょう!
わかってるさ。古泉が俺を裏切ったんじゃない。
- 49 :
- ksk
- 50 :
- 俺が、古泉を裏切ったんだ。
それより今はこの不快感を何とかしてくれ。
――"彼"はノーヴェさん以上に唾棄すべき存在なんですよ!
あぁ……そうさ、俺が醜く足掻いてることくらい自覚している。
それでも、生きていたいんだ。死にたくないんだ。
お前だってこの気持ちがわからないわけじゃないだろ?
――ノーヴェさんとは違い、自分から魔道に堕ちた!
そうだよ。全部、全部俺自身の意思であいつらを殺したんだ。
生きたから、死にたくないから。
今更お前に言われなくともわかってるんだ。わかってるから……。
――俺も"彼"を……あの悪魔をためなら、阿修羅になると覚悟させるほどに、見苦しく!あざとく!狡く!
もう止めてくれ!
古泉にも、朝比奈さんにも、お前たちには関わらないから……俺にはハルヒだけだから。
――反吐が、出そうなんですよ。"彼"を……一時でも、仲間と呼んでいたと思うとね……
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
SOS団に、もう俺の居場所はない。
古泉の悪評を広め、雨蜘蛛のおっさんに朝比奈さんの殺害を依頼した俺が、どんな顔をしてあいつらの仲間だと言える?
そんなもん無理に決まってる。そんな当たり前なことは重々承知しているさ。
だから、俺にはもうハルヒしかいないんだ。
俺を救ってくれるのはハルヒだけ。俺の居場所はハルヒだけ。俺の全てはハルヒだ。
それでいい。それが俺の選んだ道なんだよ。
大体、だ。元から古泉の奴は好きになれなかったのだ。
胡散臭い笑顔に胡散臭い態度。
- 51 :
- 初対面の相手に超能力がどうこうだの、ハルヒが神だの意味のわからんことを述べ始めるしだな。
普通は信じないぞ? ……事実、俺も信じてなかったしな。
毎度毎度、肝心なところは俺に押し付けてきやがるのも気に食わない。
俺を過大評価して、自分を過小評価して、勘違いも甚だしいんだよ。
そんな、根拠も確証もない曖昧な評価で面倒事に巻き込まれるこっちはたまったもんじゃない。
ハルヒに対するあの妄信的、狂信的な態度もそうだ。
影であれ程動いてるくせにそんなこと微塵も表に出さず従順に従って、従って、従って。
お前がそんなに甘やかすから、ハルヒがまた調子に乗って、俺が迷惑するんだ。
まぁ……楽しくないこともないがな。
長門もそうだ。
元はと言えばあいつが宇宙人だの何だの言い始めたところからおかしくなり始めたんだ。
朝倉には殺されかけるし、巨大カマドウマには襲われるし。
融通が利かないわ、ハルヒを止めてくれないわ。
最近、少しずつ扱いがわかってきたとは言え本当に困った奴だよ。
そう言えば、無表情の中に、少しずつ表情があることを他の奴らは気づいているんだろうか?
朝比奈さんは言わずもがな、だな。
あの愛くるしい仕種、可愛らしい声、アンバランスな特盛。
全てが完璧過ぎる、まるで天使のようなお人だ。
ハルヒの傍若無人な態度にも逃げ出さず従って……性格も完璧過ぎる。
そして時折見せる大人びた態度。あぁ……なんて素敵なんだ。
「古泉……長門……朝比奈さん……」
走馬灯のように、あの時の思い出が脳内を駆け巡る。
もう忘れたってのに、今更仲間だなんて言えないこともわかってるのに。
- 52 :
- ksk
- 53 :
- ksk
- 54 :
- なのに何で? 何でこんなにも苦しいんだよ!?
俺には……俺にはもうハルヒしかいないんだ。それでいい筈なんだ。
「う……っ……うぅ……っ」
それなのに、それなのに――
――何だってこんなにも涙と鼻水が止まらないんだよ。
「ひぐっ……ぐぅ……げほっげほっ……!」
もう、無理だ。
繋ぎ止めていた気力が音をたてて霧散していくのがわかる。
目と鼻から止めどなく体液を垂らしながら、ぐしゃりと崩れ落ちるようにしてその場に倒れこむ。
疲労感漂う全身が急速に安堵の息を漏らしもう歩けないとばかり脱力していく。
服から垂れてきていたのだろうか、吐瀉物の残滓が土の味と混ざり口内に入り込んで不快感を掻き立てるがもうどうでもいい。
何事かを喚いている恐ろしい同行者の存在も思考の隅へ追いやり、そのままゴロンと寝転ぶ。
何だ……星の浮かばない静寂の支配する夜空も、中々どうしていいものじゃないか。
死にたくない。殺されたくない、生きていたい。
- 55 :
- でも、それ以上に……あの日だまりのような日常に帰りたいんだ。
「はっ……今更、何を言ってんだよ俺は……」
思わず言葉が零れ落ちる。
あまりのご都合主義染みた思考回路に笑いすらおきない。
あれだけの事をしておいて、今更帰りたいだなんて虫が良すぎる話だ。
今時、そんな展開少年漫画でもやりはしないだろうさ。
どれだけ泣こうと、喚こうと、俺が奪っちまった命は帰ってこない。
そんな甘ったるくて最高に素敵な展開は、この舞台じゃ有り得ない。
「わかってる。わかっちゃいるんだがなぁ」
今までハルヒや長門を見てきたからだろうか。
どうやら俺は、この期に及んで自分の望む最高の展開を諦めきれないらしい。
靄が掛かり不明瞭だった思考が少しずつクリアになっていくのがわかる。
どうすればいい? どうすればあの日常に戻ることができる?
俺にできることなら何だってやるさ、どんな手段を使ってでもあの日常に帰ってみせる。
だから教えてくれ。俺は一体どうすりゃいいんだ?
「なんて……結局は堂々巡りじゃねぇか。殺した奴の重さすら背負えない俺が、何をするんだっての」
何をどう足掻こうともあの日常には帰れない。
それを理解して、理解して、理解しても尚……諦めきれなかった。
急速にクリアになった思考に、急速に靄が掛かり始める。
「どうして……こうなっちまったんだよ」
何度目だろうな。無意味な言葉がまたしても口をつく。
なんで? もどうして? も意味はないんだ。
生きたい。死にたくない。ハルヒに会いたい。
今の俺にはそれだけしか残っちゃいない。
……なんだ、結局のところは単純じゃないか。
SOS団も、スバルも、他の奴も知らん。
俺は、ハルヒの為だけに生きる。
だからハルヒ――俺を助けてくれよな?
- 56 :
- ksk
- 57 :
-
そうだ……こんなところで休んでる暇はないんだよ。
早く、立たないと――
+ + +
将軍の所に連れて行く価値も無い。
結局、ノーヴェが出した結論はそれだった。
逃げたしたかと思えば、ふらふらと死にそうな足取りをした戻ってきたキョンはやけに素直だった。
相変わらず足取りは覚束ないものの、木材を杖に自らの足で歩いている。
目の前の相手に対する殺意と悪魔将軍への恐怖を押し止め、取り敢えず将軍の元へ連れて行こうと歩き始めてから約数十分。
自分自身の行動や感情の変化に戸惑いつつあったが、悪魔将軍の命に逆らうわけにもいかないと言い聞かせモールへと向かう。
喋ってしまえば感情が爆発してしまいそうで怖いのだろうか、表層は無関心を装いながらもさり気無く背後に意識を向けながら山道を共にしていた。
(あたしは……一体何なんだ?)
木材を杖にしながら亀のような足取りで後ろを付いてはくるのだが、突然嘔吐し突然めそめそと泣き出すキョンに気を配るのもいい加減苛立ちに限界が来ていたのか、いつの間にやら意識を内に向け自問自答を繰り返す。
甘さは、捨てた筈だった。
今度こそ悪魔将軍に認めてもらうつもりだった。
でも結局は、できなかった。
悪魔将軍の命令に逆らうのが怖かったのだ。
これじゃあまるで、悪魔将軍の犬じゃないか。
- 58 :
- ksk
- 59 :
-
あの時も、あの時も、あの時も……結局最後の最後で甘さを、弱さを捨てきれず将軍の期待を損なった。
今回もまた、同じことの繰り返し。
ガイバーにもなれない、意識がはっきりしているかすらわからない只の人間が将軍の期待に応えられる筈が有るわけもないのに。
ことができなかった。
「ッ……チキショー!!!」
上手くいかない自分自身への苛立ちから傍に立つ木を力任せに殴り飛ばす。
右拳が微かに痛んだ気もするが無視。
続け様に左拳、右拳、左拳と連続で木の幹を殴り続ける。
ギシギシと体を揺らしはらはらと葉を落としながらも、木は大地に根を張り続けたままだ。
ムカつく。と溢してから何度も何度も拳を振るう。
意味などない、只ムカついたから。それだけの理由で木の幹を殴る。
苛立ちを、憎しみを、無力さを、恐怖を込めて殴る。
流石に数十発も殴られれば限界が来たのだろう。
やがて、メキメキと音を立てながら木は半ばから折れていく。
その光景を見ても、自らが作り出したそれを見てもノーヴェの心が晴れることはない。
将軍ならきっと、一発でこんな木を殴り折った筈だ。
対して自分のこの体たらくは何だ。
決して終わりの見えない悪循環。
何をしても納得がいかず自分を責め、それを紛らわす為に行う行為に更に苛立つ。
この舞台に連れて来られるまでは、殆ど感じたこともない陰鬱な感情がノーヴェの心を支配する。
強くなりたい。只ひたすらに、それを願う。
ギュオーにも、ゼクトールにも、古泉にも勝てるようになりたい。
願えば願う程、思えば思う程、理想と遠く掛け離れた自分自身の姿に苛立ちが増していく。
何かぶつけるものが欲しかった。
この鬱屈した感情を発散するために、全力をぶつけられる何かが欲しかった。
- 60 :
-
グシャリ。
と、不意に背後から崩れ落ちる音が聞こえる。
何事かとそちらへ目を向ければ、どこまでも苛立たせる相手が地面に寝転んでいた。
ブチリ、とある筈のない欠陥が千切れる音がノーヴェの脳内に響く。
「……何なんだよテメェは!さっきから愚痴愚痴と泣き言ばっかり言いやがって……。
いい加減鬱陶しいんだよ!少しはしゃきっとしやがれ!……聞いてんのかよ!!!」
「わかってる。わかっちゃいるんだがなぁ」
返事とも独白ともつかない台詞が返ってくる。
元々が気の長い性格ではない。
ノーヴェ自身自覚しているが、単純明快で簡潔な判りやすい性格をしている。
加えて、自分自身に対する形容し難い苛立ちに怒りを覚えている状況だったのだ。
その意味不明さが、支離滅裂さが、導火線についた火のようにノーヴェの激情を煽る。
燃え盛る灼熱の業火のように、抑えきれない苛立ちがノーヴェの胸を焦がす。
(ふざけんな! ふざけんな! ふざけんな! ふざけんな!)
気が付けば、反射的に相手の胸倉を掴み上げていた。
しかし、相手がそれを気にする様子はない……と言うより気付いた様子すらない。
それがまた、怒りに火を付ける。
(殺してやる! こんな奴生きてたって誰の役にもたちゃしねぇ!
こいつは……こいつは只の疫病神でしかねぇよっ!!!)
「なんて……結局は堂々巡りじゃねぇか。殺した奴の重さすら背負えない俺が、何をするんだっての」
何度目かの決意を固めると同時に、ポツリと言葉が耳に入り込む。
無視しても良かった。そのまま怒りに任せて殴り飛ばしても良かった。
でも何故だか、その言葉は誤魔化しようもなくノーヴェの胸に染み渡っていく。
堂々巡り。
- 61 :
-
この一言がチクリと胸に刺さる。
そうだ。結局そうだ。
堂々巡り。いつもと同じ。怒りに任せてみても、結局はコイツをことができない。
将軍の命令に逆らうわけにはいかないから、あたしは将軍の部下だから。
吐き慣れた言葉が胸中を駆け巡る。
こんなもの自分に向けた言葉で有る筈がないのに、どうしようもなく頭に響いて仕方がない。
いつの間にか、胸倉を掴む手は力なく下げられていた。
「あた、しは……違う。お前とは違う……あたしは、やれるんだっ」
自分に言い聞かせるように、小さく呟いてみる。
しかし、他の何者でもない自分自身の心がその言葉を否定していた。
もう無理だと、お前は悪魔になんてなれないと。
――所詮、お前が悪魔になるのは不可能だと。
「違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う――」
「どうして……こうなっちまったんだよ」
最早相手の言葉など聞こえていない。
自分の胸に浮かぶ言葉を、両手を耳に当て必死に否定する。
嫌だ嫌だと首を振るその姿は、駄々を捏ねる子供にしか見えないと気付かずに。
己の心を保つために必死に否定する。
傍から見ればとんでもない光景だろう。
奇妙な服を着た少女が、嘔吐まみれの服を着た少年に向かって大声を張り上げている。
それはこの舞台においても奇異な光景だった。
しかし、本人たちは到って真剣そのものである。
そして。
恐怖が、怒りが、不安が、悪魔になれない少女の心の限界点を突破する。
- 62 :
- ksk
- 63 :
-
「――あたしは……将軍の犬なんかじゃ、ないんだ…っ!」
+ + +
最後に見たのは、立ち上がろうとするキョンの姿。
次に見えたのは、悪魔のように真っ赤な肉塊の姿。
「はは……あははははははははははははははは!!!」
その光景を理解すると同時、心底からの笑いが喉を震わせる。
――あたしにも、やれるんだ。
まるで勝利を宣言するかのように高々と拳を宙に突き出す。
ドロリ、とキョンだったものが目の前に零れ落ちた。
水でも払うような軽い動作で腕を振るうと、細長く黒い糸のようなものが拳にこびりついているのがわかる。
指とそれの隙間にはピンク色の肉片が絡まり、引き千切られた血管が拳を開く邪魔をする。
強引に拳を開くと隙間から入り込んだぶよぶよとした物体が零れ落ちていく。
滴る血液を追って視線を大地へと向けると、そこには真っ赤な花が咲いていた。
悪魔の如く膂力をもって限界以上の圧力を加えられ、あらぬ方向に曲げられた腕。
半ばからへし折れたそこからは、目が眩むような赤の中に黄ばんだ白が見える。
どうやら肉が裂け、中の骨が露出しているらしい。
だらりと長く間延びしながら地面に零れ落ちた腕の残骸からはスライム状の粘液が滴り落ちている。
未だに血管がピクンピクンと脈打つ肌の裏側を見て、人体とはこんなものかと嘆息。
視線を下へとずらしてみれば、ご丁寧に両手両足をへし折っているようだ。
絵画の鑑賞でもするような気楽さで首を動かし、今度は視線を僅かに上へと向ける。
顎が引き裂かれ粉砕された歯の欠片がそこら中に散らばっていた。
舌は引き抜かれ、眼球も丁寧にくり貫かれている。
- 64 :
- 普段なら嫌悪すら抱きかねないその光景も、昂ぶった感情に支配された脳にはとしか作用しない。
グチュリ、グチュリと腕を動かす度に聞こえる肉片と血液が奏でる音色も今は心地いい。
湯気に混じりながら立ち込める腐臭すら今は極上の香りにすら思えてくる。
暫く肉塊を鑑賞していたノーヴェだが、それにも飽きたようにゆらりと立ち上がる。
その胸中に先ほどまでの恐怖や不安は存在しない。
代わりに存在するのは悪魔としての強烈な自負。
そう、悪魔となった自分に恐怖も不安もある筈が無い。
何度も、何度も自分は悪魔なのだと言い聞かせる。
その意味すら理解出来ずに、只、言い聞かせる。
「もう……あたしは将軍の言いなりになるだけじゃないんだ」
将軍にはキョンは使えそうにないから殺したとでも説明すればいい。
悪魔である自分が、将軍の教えを受けた自分が使えない弱者を始末したって何の問題もない。
タッグパートナーが必要なのであれば、自分がその役目を務めてみせる。
もう、足を引っ張るような真似はしない。
灼熱のマグマのように燃え盛る気持ちがノーヴェに自信を与えていく。
もうこれ以上ここにいる必要は無い。
一刻も早くモールに戻り、悪魔になった自分を将軍に見せるのだ。
善は急げとばかりに立ち上がる。
途中、鬱陶しい肉塊が纏わり付いてくるが払う必要すら感じなくなっていた。
「あばよ……お前には一応その……か、感謝してやらんこともないからな!」
不器用な、自分なりの言葉で肉塊と別れを交わし落ちていたデイバッグを広い一目散にモールに向け走り出す。
「あたしは、悪魔なんだ……悪魔なんだ」
自信に彩られた胸中に、その言葉の意味は届かない。
歪んだ少女がその意味に気付くのは、果たして――。
- 65 :
-
【E-06 森林/一日目・夜中】
【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】気分昂揚、悪魔の精神、疲労(小)、ダメージ(大)、顔面にダメージ(中)、血まみれ
【持ち物】ディパック(支給品一式)、小説『k君とs君のkみそテクニック』、不明支給品0〜2、 デイパック(食料半分消失、盗聴器(発信)がランタンに仕込まれている)
【思考】
0.あたしは将軍の犬じゃない!
1.誰よりも強くなりたい
2.モールに向かう。
3.ヴィヴィオは見つけたら捕まえる。
4.タイプゼロセカンドと会ったら蹴っ飛ばす。
5.ジェットエッジが欲しい。
※参加者が別の世界、また同じ世界からでも別の時間軸から集められてきた事に気付きました。
ズ……ズズ……。
悪魔となった少女が立ち去った森に、何かが引き摺られる音がする。
その何かは、一つの金属を中心に広がっていった。
見落としたのか、見逃したのか、その場に放置された血溜まりに沈む金属。
- 66 :
- 驚異的な速度で広がるソレは、やがて一つの形を産み出す。
月光に彩られ、姿を現すは穏やかな表情で目を瞑る少年。
嘔吐に塗れた制服姿で、それでも尚安らかに眠り続ける。
強殖細胞。
幾多の犠牲を生み出してきたそれは、持ち主がこんなところで逃げ出すのを認めはしない。
最早数えることが不可能な数まで肉片を刻まれようとも。
壊れたオブジェのように晒しあげられても。
一片の肉片からすら蘇る。
絶望に支配されながらも、生きたいと願う持ち主に、強殖細胞は応えていた。
悲しいかな、本人は気付いていなかったが。
戦え、戦え、戦え。
その命燃え尽きても、逃げ出すことは許さない。
只一つの為に生きると決めた少年に、安息など訪れない。
【E-06 森林/一日目・夜中】
【名前】キョン@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】生き延びる決意、ダメージ(中)、疲労(大)、気絶
【持ち物】木材@現実
【思考】
0:ハルヒの為に、生きる。だから助けてくれ……。
1:葦のように生きる
(2:―――死にたくない。)
【備考】
※「全てが元通りになる」という考えを捨てました。
※ハルヒは死んでも消えておらず、だから殺し合いが続いていると思っています。
※再生機能が自動で発動しましたが、以後戦闘等で本格的に使えるようになるかは後の書き手さんにお任せします。
- 67 :
- ksk
- 68 :
- 以上で投下終了です
誤字脱字、矛盾点等ありましたら是非是非御指摘お願いします!
- 69 :
- 乙でした!
とうとうノーヴェも初体験ですか。初めて……だったよね?
一方のkyonはやはりユニットガイバーからは逃れられない運命か。
この先どう転がっても立ち直る姿が想像しにくいですが、頑張って欲しいものです。
いや、やっぱりもう手遅れか……いろんな意味で……
- 70 :
- 乙です
ノーヴェ、初体験おめでとう……漫画の4期の方を知ってるから見てて悲しいわ
確か一部のナンバーズ以外は殺人はしていない。ノーヴェもしていない
kyonは生きてはいるがどうなるんだろう…
俺は立ち直らないが何かを起こす様な気がする…
気がするだけだがw
- 71 :
- 投下乙です
キョンの負け犬オーラにノーヴェが呑まれるかと思いきや一気に突き抜けたなぁ
しかしこれ、キョンを殺し損ねた罪であとで将軍にお仕置きをくらうんじゃw
あと少し再生が強力すぎる気がします
- 72 :
- >>71
了解しました。
再生の制限を強くし、キョンへの疲労・ダメージを増やしておきます
- 73 :
- 投下乙です!
あわわ…ノーヴェがとうとう悪魔に…
ただ、まだ迷ってる辺りが今後不安だなぁ
結局殺せてないから将軍からお仕置きされそうだしw
改めて、投下乙でした
- 74 :
- 投下乙です!
キョンの精神描写が素晴らしすぎる
- 75 :
- 投下乙!
ノーヴェの精神状態にキョンの妄言がクリティカルヒットしたなぁ
血みどろノーヴェがの行く末がいろんな意味で怖い
キョンは生きたいと思ってるけどこのまま生き続けても地獄なんだよな……
ところでE-06ってこの組の進行具合だともう禁止エリアになってるんじゃないかな?
- 76 :
- そろそろかな
- 77 :
- じゃあ、このまま放っておいてもkyonは……
kyonはしぶとくずるずると生き続け、あっけなく死んでいってほしい。
- 78 :
- kyonはどうなるんだろう…
あっさり死ぬのか、それとも…
- 79 :
- 投下乙です!
キョンはいよいよ燃え尽きてきたな
どうなることやら
遅れて申し訳ない、雨蜘蛛、晶、オメガマン投下します
- 80 :
-
-H-08博物館にて-
パソコンは、ザーザーと砂嵐の音を立てている。
晶と雨蜘蛛は、なんとも難しい顔でその画像を眺めていた。
18時までに録画されていたリング上での戦闘は、森のリングで起きたものだけ。
その内容は、二人にそれぞれ違う意味での衝撃を与えていた。
(巨人殖装……か。でも……あれは……)
(キョンの野郎があんな化け物になるとはねぇ〜。こいつはやべえな……厄介だぜ)
晶は違和感を。雨蜘蛛は危機感を。それぞれに、腹の中で渦巻かせる。
二人の間に、会話は起きない。今やこの二人は決別寸前だ。
両者を無意識のうちに繋ぎとめていたスエゾーの抜けた穴はあまりに大きい。
(巨人殖装が俺が居るのと同じ次元に出てきたなら、俺にはそれを探知できる自覚がある……。
あれはガイバーユニットとは違って、俺自身が作り上げた物だ。たとえ他の殖装者が
装着していたとしても、それを察知できない筈がない。ガイバー同士のテレパシーとは訳が違うんだ)
(キョンがナーガを殺したって結果は知っていたが、あの力……ガス欠で後半は悲惨な事になってやがったが、
なんとかあの場を乗り切って生き残ってるのは確実……あの時殺しておくべきだったかねぇ……。
主催者連中の言ってる事が聞き取れりゃあ、もっとはっきり場の状況が読めたんだが……)
だが、それぞれの頭の中だけで考えるにも限界という物がある。
しばしの沈黙の後にぎこちなく、どちらともなく言葉を交わし始める。
「一体何なんだ、あのトンデモねえ怪物はよ」
「あれは……巨人殖装という、俺の知っているガイバーの強化形態です。レプリカのようですが」
「ふむ……お前もあれを使える、って事か……条件が揃えば」
「ええ。今は使えませんけど……それより、俺は画面の視点が気になりました」
晶が、疑問を口にする。
なるほど、リング上の戦闘を録画した映像は、後半に向かえば向かうほどめまぐるしく切り替わっていた。
最終的に4〜5個程、リング内の様子を撮影しているカメラがあるようにも見えた。
博物館の外のリングで起こった戦いの録画については、精々二点程の視点移動しか用いられていなかったのに。
かちり、と晶の頭の中で何かが引っかかる音がする。とても大事な事に気付いたような、感覚。
何が引っかかっているのかは分からないが、とりあえずその事は置いておけ、と雨蜘蛛に窘められる。
「さぁ〜て……もう22時だ。俺の用事に付き合ってもらうぜ」
「……何処へ行くんですか?」
「海☆水☆浴」
- 81 :
-
-J-7海岸部〜地下洞窟にて-
何の邪魔も入らず、二人は目当ての場所に辿り着いた。
島の底部、波が寄せる絶壁の中に洞窟があるなど、半信半疑で着いてきた晶も、
実際干潮によって露出している洞窟の入り口を見せられれば納得せざるを得なかった。
雨蜘蛛が言うように、近くの海岸にはまだゴムボートが残されている。
だが、空を飛べる晶がいる限り、それを使う必要は皆無。
ゴムボートと、その近くに浮かんでいる丸焦げのアメフラシを放置して、二人は海上に飛び立った。
人を一人抱えて浮くのは、ガイバーにとってはそう難しいことではない。
洞窟の近くまで飛空する最中、晶は足元の海面に、鮫らしき生き物の影を認め、冷や汗を流す。
「俺を落としたい、って思ってないかい、えぇ?」
「……いえ、別に」
心を見透かすような雨蜘蛛の声にぶっきらぼうに答えながら、晶はあっさりと洞窟の入り口に辿りついた。
打ち寄せて洞窟の入り口を覆おうとする波に足を濡らされ、滑り込むように少しだけ奥に進み、降り立つ。
雨蜘蛛は首をコキコキ鳴らしながら晶の元を離れ、重力の住人に戻る。
「なかなか面白い体験だったがねぇ〜。うぷ、海よりゃマシだがあんまり頻繁にやるもんじゃねえなぁ、飛行体験」
「非行ばっかりしてる人が言う事ですか、それ」
「長門を笑わせられなかったお前が言っていい駄洒落じゃねえなあ、そりゃ」
「「……」」
- 82 :
-
冷たい空気が流れる中、二人はランタンをつけて、真っ暗闇に等しい洞窟の内部を見渡す。
明らかに天然の産物といった体で、人の手が加えられているようには見えない。
本当にここに何かがあるのか……雨蜘蛛は銃を構え、晶はガイバー形態のまま、用心しつつ先に進む。
どれほど歩いただろうか……島の地下を進んでいると考えれば、
そろそろH-5あたりの禁止エリアにぶつかってもおかしくない、と二人が焦り始めた頃だった。
分かれ道もなく、延々と曲がりくねりながら伸びていた洞窟に、突如幻想的な柑橘色の光が燈ったのだ。
別に、洞窟の壁に電灯が備えられ始めたわけではない。
数十歩ほど先に見える曲がり角の奥に、何かオレンジ色に輝く物が―――!
「これは……まさか!?」
「行くぜ、晶! こりゃ〜ひっとすると、とんでもねえお宝を見つけちまったのかも知れねえぜ!」
二人が駆け足になって、光の元を確かめに向かう。
曲がり角を曲がったその先は、結論から言えば、洞窟の終点だった。
その地面には大きな窪みが自然的に出来ていて、オレンジ色の液体が湛えられている。
時折ゴポゴポと泡を浮かばせるその様子は、何故か晶と雨蜘蛛に強い不快感を与えた。
「これは……やっぱり……」
「……深いな。これだけの量なら、今までおっ死んだ奴全員分掻き集めても足りねえだろ」
命のスープ、LCL。参加者が一定の条件を満たすと変貌する、最低の液体。
二人はどこまで続いているのか分からない窪みを覗き込み、まじまじと見つめていたが……。
「―――!? 雨蜘蛛さん、なんで自分から中に―――!?」
「何言ってんだ! てめえこそ足突っ込んで……う、うおっ!?」
二人が、意志に反してそのスープのプールにダイブしていた。
手を伸ばして這い上がろうとするが、粘り気の強い液体は二人を解放することなく、奥へ奥へと誘っている。
やがて抜け出す事を諦めた二人は、お互いの身体にしがみつく事で、どうにかこの状況を打開しようとする。
雨蜘蛛は、晶の身体を踏み台にして自分だけでもスープの上に顔を出し、魚捕り用の網や有刺鉄線を
うまく活用してどこかに引っ掛け、脱出しようともがいていた。
晶の方はより過激で、雨蜘蛛をしっかり抱えてから、スープ中でメガスマッシャーを放ち、
その勢いでスープの海から飛び出そうと用意していた。だが呼吸が合わない二人はお互いを邪魔し合い、
ついには自力では到底脱出できない深みへと、墜ちていった……。
- 83 :
-
-……にて-
呼吸が出来ないわけではない。
むしろ今までよりも効率よく肺に酸素を流し込めるような錯覚を抱えて、
深町晶は静かにオレンジ色の景色を眺めている。
指先には、まだ雨蜘蛛の感覚が残されてはいるが、何の反応も見えない。
気絶しているのか、もう死んでいるのか、それとも指先の感覚自体が気のせいなのか。
晶は、蜃気楼のように浮かぶ様々な光景や物体、人物、出来事を見ながら、なんともなしに考えていた。
このスープの中は、まるで小型の宇宙だ。あらゆる事象が、この中で陽炎のように再現され、揺らいでいる。
「……これは?」
絶対者に挑み、消滅させられる二体のガイバーの姿が見えた。
輝き、全てを祝福する聖なる炎を放つ火の鳥の姿が見えた。
ゴツゴツとした岩場で、仲間を裏切って機械の怪物の傍に侍る悪党の姿が見えた。
それらが全て、一瞬で赤い波動に飲み込まれて、かき消される。
爆発的に広がる波動に触れた物は全て命のスープと化し、終わる。
光の巨人を飛び回って排除したり、同属の宇宙人と戦ったりする、普通じゃない高校生達の姿が見えた。
リングの上で熱くぶつかり、自分と自分の属する何かを守らんとする、超人たちの姿が見えた。
血反吐を吐きながら誰かの為に、そして敵の為に力を振るう、管理局のエースとストライカーの姿が見えた。
侵略者を名乗りながら、何故か侵略対象の惑星に適応してしまったインベーダーたちの姿が見えた。
盗賊だろうがドラゴンだろうが吹き飛ばし、唯我独尊に生きる恐ろしい魔術師の姿が見えた。
誰もいなくなった世界で、誰かにいて欲しいと願った少年少女の姿が見えた。
森の中に佇む、虚ろな精霊が、子供と戯れる姿が見えた。
それらが全て、一瞬で赤い波動に飲み込まれて、かき消される。
爆発的に広がる波動に触れた物は全て命のスープと化し、終わる。
「なんだ……これは……」
それは、あたかも録画したかのような鮮明な映像。
つい先日まで赤い波動に呑まれた世界にいたように感じる、リアリティ溢れる映像だった。
余りに突然に、脳裏に刻み込まれていく真相。理解する。
理 解 さ せ ら れ る 。
- 84 :
-
「そうか……俺たちは……既に……」
それを認めてどうなるかなど、分からない。
あの赤い波動が何なのか、生命のスープとは何なのかなど、晶だけでは解明できない。
だが晶自身は、あっさりと【それ】を認証してしまった。そうせざるを得ない、明快な【解答】がそこにあった。
自分達の世界が……とうに、終わっていたという事に。自分達が、何故【ここにいる】のか分からないという事に。
その事実を振り絞った理性で拒絶して、晶が自分の全ての認識を断絶する。
見ざる、聞かざる、言わざる。感じず、知らず、触れず。
「うわああああぁああぁあぁあああ……」
己が悲痛な叫びを目覚ましにするように、晶の、ガイバーTの瞳が開いた。
洞穴の中、オレンジ色の液体から吐き出されるように晶は倒れている。
手を掴み続けていたはずの雨蜘蛛の姿は無い。ヘッドセンサーで調べるが、もうLCLの中にはいないようだ。
かといって、一人でこの洞窟を引き返せる筈もない……一体、何処へ行ったのだろう?
ともかく彼を探す気力は、今の晶にはなかった。窪みの淵に寝転んでいた晶は立ち上がり、時計を確認する。
23:35。次にチャットを約束した時間まで、さほど時間はなくなっていた。
「今、見たものは……誰かに伝えられるような、事なのか?」
誰にでもなく、自分に尋ねるように呟いて。
晶は、静かに洞穴の天井を眺めた。
【H-8 地下洞窟終点/一日目・夜中】
【深町晶@強殖装甲ガイバー】
【状態】:精神疲労(極大)、頭痛、深い悲しみと決意
【持ち物】 首輪(アシュラマン)、博物館のメモ用紙とボールペン、デイパック(支給品一式) スエゾーの円盤石、
スエゾーの首輪 手書きの地図(禁止エリアと特設リングの場所が書いてある) 、小トトロ(ダメージ小)
【思考】
0:ゲームを破壊する。
1:スエゾー…お前の気持ちは俺が受け継ぐ!!
2:24時にドロロと情報交換。
3:今のは……?
4:もっと頭を使ったり用心深くなったりしないと……
5:巻島のような非情さがほしい……?
6:ハムを探して助け出す。
7:クロノスメンバーが他者に危害を加える前に倒す。
8:もう一人のガイバー(キョン)を止めたい。
9:巻き込まれた人たちを守る。
【備考】
※ゲームの黒幕をクロノスだと考えていましたが揺らいでいます。
※小トトロはトトロの関係者だと結論しました。スパイだとは思っていません。
※参戦時期は第25話「胎動の蛹」終了時。
※【巨人殖装(ギガンティック)】が現時点では使用できません。
以後何らかの要因で使用できるかどうかは後の書き手さんにお任せします。
※ナーガ、オメガマンは危険人物だと認識しました。
※参加者が10の異世界から集められたという推理を聞き、確信しています。
※10の異世界の終末の光景を見て、自分達の実在に疑問を抱いています。
※ケロロ、タママを味方になりうる人物と認識しました。
※ドロロたちとの間に4個の合言葉を作り、記憶しています。
※雨蜘蛛から『主催者は首輪の作動に積極的ではない』という仮説を聞きました。
※小トトロにスエゾーと融合した後遺症や影響が残っているかどうかは次の方にお任せします。
※第三回放送までの死亡者・殺害者リスト(一部改竄)を知りました。
- 85 :
-
-G-4滝にて-
オメガマンは結局、スエゾーのいる可能性のある博物館ではなく、温泉の方に行ってみる事にしていた。
別にスエゾーに三度ちゅっちゅされるのを恐れたわけではない。
殺せる数が多そうな方を優先した、高度な戦略上の判断なのだ。
それが証拠に、オメガマンの思考回路は冷静に回っている。
(キョンの野郎の情報どおりなら、連中だって居場所を変えてるだろう……。
あのクズ野郎から情報が漏れない、なんて考える奴がいるはずがないからな!
だとしても怪我人が多いって話だし、精々動けたとしても別荘やコテージ辺りが限界だろう。
取りあえず俺は、手近なその辺りから焦らず探っていくだけよ!)
だが、腹が減っては戦はできぬ。
キョンの相手をして少し疲れたオメガマンは、少し遅めの夕食を取る事を決め込み、
滝の下の水場で釣りをしていた。適当に拾った木の枝で魚を見つけて叩くという、原始的なやり方だ。
オメガマンも超人、碌な道具がないそんなやり方でも、3,4匹の魚を捕まえる事は出来た。
「フォーフォフォフォ! ただ焼くだけじゃ、味がなくて泣けてくるが……まあ、仕方ないな」
薪を集めて火を熾し、魚を串刺しにして炙る。なるほど、味は薄くとも、香ばしい匂いは漂って来る。
支給品のおにぎりも、焼きおにぎりにすれば晩御飯らしく、寒空の下で食べるに相応しいものになる。
だが、次の瞬間。滝下の水面から、凄まじい勢いで、一人の男が飛び出してきた。
口をあんぐり開けていたオメガマンは、完璧超人の中でも1,2を争う反射神経で、その方角に向き直る。
- 86 :
-
「……む!?」
「……お前さんは……!?」
仮面をつけた二人が、まじまじと見つめあう。
無差別に参加者を殺害するオメガマンにとって、突如現れた男……雨蜘蛛を殺さない理由はない。
一方の雨蜘蛛も、リングの映像を見てオメガマンがそういう類の参加者だと言う事は知っている。
だが、お互いのスタンスや前情報からは計れない、奇妙な求心力というものが、この二人の間には存在した。
属性が似通ってはいるが、オメガマンにとって雨蜘蛛はいつでも殺せる存在だという事実も、
即座に戦闘が開始されるのを防ぐ一因となっていた。
そして晶とは違い、ショッキングな映像を見たくらいでは雨蜘蛛は動揺しない。
ワープじみた速度で水中を吹っ飛ばされたのには焦ったが、ごく自然な態度で、オメガマンに接する事が出来た。
両手におにぎりと焼き魚を握っているオメガマンに、雨蜘蛛がすっと小瓶を差し出す。
「ウォ醤油……いかがかなぁ?」
オメガマンは焼き魚を差し出し、その返答とした。
今、二人の悪のマスクドマンが、同じディナーの席に着いたのだ。
- 87 :
-
【G-4 滝/一日目・夜中】
【名前】雨蜘蛛@砂ぼうず
【状態】胸に軽い切り傷 マントやや損傷
【持ち物】S&W M10 ミリタリーポリス@現実、有刺鉄線@現実、枝切りハサミ、レストランの包丁多数に調理機器や食器類、各種調味料(業務用)、魚捕り用の網、
ゴムボートのマニュアル、スタングレネード(残弾2)@現実、デイパック(支給品一式)×3、RPG-7@現実(残弾三発) 、ホーミングモードの鉄バット@涼宮ハルヒの憂鬱
【思考】
1:生き残る為には手段を選ばない。邪魔な参加者は必要に応じて。
2:オメガマンと情報交換。あわよくば利用する。
3:晶の怒りを上手く主催者側に向ける事で、殺し合いの打開の一手を模索する。
4:水野灌太と決着をつけたい。
5:24時までには博物館に戻り、できれば晶と合流する。
6:ゼクトール(名前は知らない)に再会したら共闘を提案する?
7:キョンを利用する。
8:ガイバーに興味がある。
【備考】
※第二十話「裏と、便」終了後に参戦。(まだ水野灌太が爆発に巻き込まれていない時期)
※雨蜘蛛が着ている砂漠スーツはあくまでも衣装としてです。
索敵機能などは制限されています。詳しい事は次の書き手さんにお任せします。
※メイのいた場所が、自分のいた場所とは異なる世界観だと理解しました。
※サツキがメイの姉であること、トトロが正体不明の生命体であること、
草壁タツオが二人の親だと知りました。サツキとトトロの詳しい容姿についても把握済みです。
※サツキやメイのいた場所に、政府の目が届かないオアシスがある、
もしくはキョンの世界と同様に関東大砂漠から遠い場所だと思っています。
※10の異世界の終末の光景を見ました。
※長門有希とキョンの関係を簡単に把握しました。
※朝比奈みくる(小)・キョンの妹・古泉一樹・ガイバーショウの容姿を伝え聞きました。
※『主催者は首輪の作動に積極的ではない』と仮説を立てました。
※ドロロたちとの間の4個のダミー合言葉を記憶しています
(うち一つはダミー・本物の共有合言葉ですが、それをチャット開始時に用いると次の合言葉が要求されます)。
※第三回放送までの死亡者・殺害者リスト(一部改竄)を知りました。
【ジ・オメガマン@キン肉マンシリーズ】
【状態】アシュラマンの顔を指に蒐集
【持ち物】デイパック(支給品一式×3&食料1/2入り)、不明支給品0〜1、5.56mm NATO弾x60、
マシンガンの予備弾倉×3、 スーパーアンチバリア発生装置@ケロロ軍曹×2、
スタームルガー レッドホーク(4/6)@砂ぼうず、.44マグナム弾30発 超高性能小型盗聴器(受信)@ケロロ軍曹
【思考】
1:皆殺し。
2:今のところは、古泉の策に乗っておく。
3:雨蜘蛛と情報交換。あわよくば利用する。
4:別荘、コテージ周辺を捜索する。なのは達が見つからなければ、温泉へ。
5:スエゾー、スバルナカジマン、悪魔将軍に復讐する。
【備考】
※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。 皆殺しをした後は報酬をもらうつもりでいます。
※Ωメタモルフォーゼは首輪の制限により参加者には効きません。
※E-6の川底のスイッチを押したことにより、そこから南の地で何かが起こった(あるいは何かが動作した)ようです。
(詳細は以降の書き手さんにお任せします)
- 88 :
- 以上で投下終了です
誤字脱字、矛盾点等ありましたら指摘お願いします。
- 89 :
- 投下乙です
LCLの海でとんでもないモノを見たな……
確かにこれは知らせてもいいのかの類だわ…
さて、次の茶はどうなるのか?
雨蜘蛛とオメガマンは両方とも相手を利用するとかw
この二人もどう転ぶか…
- 90 :
- >目褪め/目醒め ◆4etfPW5xU6氏
投下乙です、ノーヴェがついに覚醒しましたね。
キョンの悲愴譚もいよいよ佳境、オラワクワクしてきたぞ
全てを喪った普通人の末路に呪いあれー
>真実のしっぽ ◆MZbbkj1l7.氏
投下乙です。また晶がぼっちに!
雨蜘蛛とオメガマンのタッグ……3/4閣下くらいの恐ろしさですかの
遅ればせながら、リナ、ドロロ、ヴィヴィオ、朝倉投下します
- 91 :
-
胡桃色の魔力光が、遊園地の道路を淡く照らす。
バルディッシュ・アサルトを展開する事でピンクのバリアジャケットを纏ったリナ・インバースは、
いい加減リアクションを取るのにも疲れた自分の姿をなるべく意識しないように努めながら、戦斧を肩に担いだ。
「……しかしこうやってバルディッシュを持ってると、なんかすっごく盗賊っぽくてアレよね」
『!?』
リナの何気ない言葉に、バルディッシュが微かに動揺したような機械音を上げる。
このデバイスの本来の所持者―――フェイト・T・ハラオウンは、デバイスであるバルディッシュを、
自分の家族の一員のように大事にし、二人はパートナーとしても阿吽の呼吸を体現した間柄であった。
そんな真の主人に比べ、リナに対しどんな感情を持ったのか……寡黙で知られるバルディッシュが語る事はない。
一方、リナにとっては魔道具に感情があるという事自体、考慮する必要がないことだった。
魔道具に感情があるなど有り得ない、と思っているわけではない。
バルディッシュに感情があったとしても、道具としての扱い方を変える理由にはならない、と考えているのだ。
人間同士なら、リナとバルディッシュの性格の相性は「悪し」と言わざるを得ないだろう。
だが、あくまでリナにとってバルディッシュはただの道具。性格の違いで両者の性能や効率が上下する事はない。
「ヴィヴィオちゃんの話じゃ、槍や鎌にもなるらしいけど……どっちにせよ、近接戦じゃ使いづらいわね」
「魔術師のリナ殿が、近接戦をすることも想定する必要はなかろう。前衛は拙者に任せられよ」
「ドロロ君の腕は信頼してるけど、私だって近接戦に巻き込まれないとは限らないしね。
剣だったら良かったんだけどなぁ……無理?」
『……』
「無理かー……まあいいや、んじゃ早速、そっちの魔法の練習始めましょーか」
- 92 :
-
リナが、バルディッシュの世界の魔法……ミッドチルダ術式の構成を開始する。
彼女は魔法にかけては天賦の才を持つ。それほど苦戦する事もなく展開した魔方陣の意味を理解し、
バルディッシュやヴィヴィオから学んだいくつかの魔術を試し始めた。
「挙動瞬(ブリッツ・アクション)!」
ヴィヴィオやバルディッシュ達の世界の魔法には、リナの知る精神世界との同調や呪文詠唱がほぼ存在しない。
リナにとっては、単純に魔力を行使する技術であるミッドチルダ式の魔術は使いやすい物であった。
その上、自分以外に魔術の構築をサポートしてくれるデバイスの存在もある。
カンニングペーパーを使っているような物で、一からこの技術を学んだ者―――なのはやフェイトのように、
デバイスなしでミッドチルダ術式を使う事はまだ難しいかもしれないが、とりあえずリナは成功した。
術式は正常に発動し、リナの肉体の動作が高速化する。
アサシンとしてトップクラスに位置するドロロの目にも、今のリナの動きは集中しなければ捉えられなかった。
「なるほど……こりゃ便利だわ。使い慣れない武器でも身体の方の速度が上がれば、もたつく事はないし……」
リナがバルディッシュを振るい、数m先にあったベンチを粉砕する。
ベンチの破片が全て地面に落ちる前に元の位置に戻り、術を解除。
ガラガラとベンチが崩れる音を聞きながら、リナはぐっと拳を握りこんだ。
「ふっ。デバイスがないと私には使えないとはいえ、これはなかなか強力かも……魔力の消費も少ないし。
……ホントに一個持って帰っちゃおうかなー、これ……いや、協会に売ればかなりの……3……いや5個……」
- 93 :
-
- 94 :
-
『!?』
(頑張ってほしいでござる、バルディッシュ殿……)
にやり、と口を歪め、「これならあの戦法も使えるかも……」などと呟き始めたリナに、
バルディッシュが抗議するようにパカパカと光を上げる。リナ、これを完全に無視。
ドロロは自分そっちのけで新術の習得に取り掛かるリナを見ながら、バルディッシュに妙な親近感を持っていた。
一時間ほど経っただろうか。
補助魔法3種、攻撃魔法2種を"とりあえず"習得し、リナが満足そうにため息をついた。
伏御雷(サンダー・アーム)なる、身体の一部に魔力を変換させて発生させた電撃を集める術を解く。
これが当たれば、どんな強者でも3〜4秒は動きを止めるだろう、とドロロも見立てていた。
「まだちょっと早いけど……一旦戻りましょうか」
「む……わかったでござる」
ドロロが、周囲に修行の際の音を聞かれないよう張っておいた結界を解除する。
バルディッシュを宝石の形に戻して、リナはスタッフルームのドアを開けた。
「お姉ちゃん!」
「ヴィヴィオちゃ〜ん!」
「……」
抱き合う朝倉とヴィヴィオに優しい微笑みを見せて、リナはゆっくりとドアを閉じた。
ドロロが、ドアに挟まった。
- 95 :
-
◇
ヴィヴィオちゃんが、うなされている。
私は額に汗を浮かべる彼女に、こういった状態の人間に対する的確な治療を行うが、効果は見えない。
人間というのは厄介なものだ。自分達の世界で確立された外科・内科・心療的な症状の何れにも当てはまらない、
不可解な体調不良を見せる事が多々ある生き物だと、「活かせぬ知識」として理解してはいる。
一向に悪夢から解放されない彼女に、どうしていいものかとあくせくしながら、取りあえず浴衣に着替えさせてみた。
「……やっぱり、私も何かおかしいわね」
ヒューマノイド・インターフェースである自分がこんな、冷静さを失った行動を取るなどありえないことだ。
もっとおかしいのは、この"おかしさ"がヴィヴィオちゃんを相手にした時にだけ発動する事。
彼女が絡まない出来事においては、自分は未だ人間とは違う精神状態を維持できている。
「ヴィヴィオちゃんの事を考えると、まるで自分が人間になったような気がして心地いい。
天真爛漫な彼女に好感を持ち、弱みと涙をはっきりと見せられた事で、影響を受けたのかな」
人間は皆仮面をつけている。
自分の感情を押し隠し、自分の思考を簡単には他に知られまいとする基本機能があるのだ。
私は、その仮面を外した人間に出会った事がなかった。
通っていた高校に、優等生として存在していた私に友好的に接触していたクラスメート達は言うに及ばず。
観察対象だった涼宮ハルヒに最も近しかったキョン君も、ここでは涼宮ハルヒを殺害している。
どういう心境の変化があったのか。それとも心境の変化などなく、ここに招かれる前から殺意を抱いていたのか。
それも、キョン君と親しくない私には一切分からないし、分かりたくもない。
涼宮さんにしても、外から見る分では破天荒な奇人という印象しかないが、
実際はまともな、常識的な感性を持っていたのかも知れない、など、いくらでも推測は出来る。
そんな、本心を見せない、浅い付き合いしかしてこなかった私だからこそ。
「ヴィヴィオちゃんの、本心を全てぶつけてきた姿に……………………」
気付けば、私の手はヴィヴィオちゃんの頭を撫でていた。
うなされる声は、止んでいる。私はほぅ、と胸を撫で下ろした。
……これだ。こういう気持ち……ノイズが、何故不快ではないのだろうか。
唐突に、今の自分の姿がかっての長門さんのそれに重なるイメージ。
- 96 :
-
「そうか……長門さんもきっと、キョン君や涼宮さん相手に、こういうノイズを感じていたのね」
勝ち目の薄い状態で、少なくとも自分自身よりは重要度の低い対象を守る為に、自分を止めようとした長門さん。
"そう"だったはずの彼女は、このノイズを捨てたのだ。でなければ、こんな暴走を起こすはずがないではないか。
インターフェースに不要なはずのノイズが、失われる事で彼女に何らかの破損要因を与えたのか。
そう考えると、確かにこのノイズは大事な物なのかもしれない。
だが、そういう小難しいこと以前に―――自分は、ヴィヴィオちゃんに惹かれているのだ。
「……?」
無意識に掴んでいた、クロスミラージュの残骸が、正しい形状に収斂されていく。
形だけではない。クロスミラージュは、その機能をも完全に取り戻していた。
有り得ない、と私は目を見開く。だがクロスミラージュは現実、こちらに言葉を投げかけてくる。
『Thank you.』
「何故?」
クロスミラージュには、人間で言う『感情』のような物がある。
AIのレベルではない、人間の心に近いような物だと、私は看破していた。
だからこそ、直せないと判断したのだ。それが何故修復している?
『Only you understand it.(それを知っているのはあなただけです)』
「……理解?」
自分が、何を理解したのか。
そんな事は分かっている……分かっているが、不可解だ。
ヴィヴィオちゃんに対しての感情がなんだったのかを、私は理解した。
だが、それが何故クロスミラージュの修復に繋がったのか……それが不明瞭。
困惑する私の横で、ヴィヴィオちゃんが目を覚ました。
クロスミラージュの声を聞きつけたのだろうか?
- 97 :
-
「ふぁ……りょ、涼子お姉ちゃん? クロスミラージュ……?」
「ヴィヴィオちゃん……大丈夫? うなされていたけど」
「……夢をね、見たの」
「夢……なのはさんの、かしら?」
「みんなの夢。アスカお姉ちゃんは変わっちゃって、ハルヒお姉ちゃんは死んじゃって……。
怖い人がたくさんいて……ここであった事を全部、夢の中で見返してたの……」
「……」
「駄目だよね、強くなるって約束したのに。あんなに泣いて、こんな姿にもなったのに。
ぜんぜん、震えが止まらないの……!」
十台半ばの、ヴィヴィオちゃんの姿。
彼女はその姿に、何かトラウマがあるらしい……聖王の器、という言葉と、何か関わりがあるのだろうか。
私は彼女が震える姿を見て、以前の叱咤を思い出す。もう一度、同じ事をやるべきだろうか。
……その必要はない。今のヴィヴィオちゃんは必ず自分で、強くなるために再起できる。
彼女の目には、恐怖に怯えながらも、それに対する怒りを燃やす炎が輝いている。もう、彼女は大丈夫。
そして私も今や、ヒューマノイド・インターフェースではないのだ。少なくとも、この島の中においては。
ヴィヴィオちゃんの傍にいる限りは―――そう、その理由は。
「ヴィヴィオちゃん……その震えも、きっといつかは止まるわ。それまで、私がずっと側にいる。
私には涙を流す機能がないから、あなたと一緒に泣いてはあげられないけど……せめて、一緒に笑いながら」
「お姉ちゃん……」
「……いつか、貴女に聞かれたわね。何故、わたしをこんなに助けてくれるの、って」
「うん」
「それはね、私が貴女を『好き』だからよ」
口に出してしまった。
そうなのだ、『好感を持つ』と『好き』というのは、同じ意味であっても、違う。
その違いを理解してしまった。心の実在を証明してしまった。言語よりも深い、何かを知ってしまった。
だから―――私は彼女に、『好きだ』と言う。インターフェースから変容できた喜びを込めて。
- 98 :
-
「……うんっ! 私も、お姉ちゃんの事、大好きだよっ!」
(ふにゃにゃ……ッッッ!)
私の中で、何かが決壊する。ヴィヴィオちゃんへ飛ばす意識が、より濃く、色を覚えて、重くなる。
この気持ちが、愛というものなのだろうか?
ヴィヴィオちゃんの方は、私以外にもこの気持ちをたくさんの人に向けることが出来ているのだろう。
私はまだ、彼女以外にこの気持ちを送る事が出来ない。
もっと成長し、ヴィヴィオちゃんと一緒にいれば、いつかヴィヴィオちゃんのように、
この気持ちをもっとたくさんの人に伝える事が出来るようになるのだろうか。
それは……なかなか、悪くない。
「お姉ちゃん!」
「ヴィヴィオちゃ〜ん!」
『Oh...』
クロスミラージュを部屋の隅に投げ飛ばし、愛を確かめ合う為に、私とヴィヴィオちゃんが抱き合う。
分かり合えた事への歓喜。未来に進もうとする自分達への祝福。
そして殺し合いという最悪の舞台で、尚も人間の想いがこんなに輝けるという事を知り、それを守らんとする決意。
今初めて、私は自分の立ち位置を決められたような気がした。
漫然と成り行きで敵と味方を決め、長門さんへの対抗心だけで今日一日を生き抜いてきた。
だが……もう、揺れることはない。私は絶対に、ヴィヴィオちゃんから離れない!
いつか。なのはさんに出会う時だろうか。全てを終わらせて、それぞれの居場所に帰る時だろうか。
それとも、どちらかが死ぬ時か。別れが来る事は、分かっている。その時を想うと、胸が裂けるように苦しい。
だが、終わりを見据えて進まないのは、歩くと決めた道に対する侮辱だ。
恋路……というのはちょっと違う気もするが、ともかく。
「ヴィヴィオちゃん……貴女は私をずっと信じてくれていたけど……私は今始めて、貴女を本当に信じられたわ。
他にも信じられる人が、好きだと思える人が出来るように、これからも貴女と一緒にいて……いいかな?」
「ずっと一緒だよ! お姉ちゃんは、ママじゃないけど……ママと同じくらい、好きだもん!」
……やばい、卒倒しそうだ。「うん、それ無理☆」とか言われていたら心臓麻痺で死んでいたかもしれない。
既にこの朝倉涼子は、高町ヴィヴィオにぞっこんになってしまっている。
認めてしまえば、それは殺し合いの場では理論上マイナスになるような感情でしかなかった。
それなのに、今の私は、かってないほどに全身に活力を漲らせている。
ドアを半開きにして、入ってきていいのだろうかとうろうろしているリナさんも、
ドアに挟まったまま沈黙しているドロロもまるで気にならない……おっと、彼らを蔑ろにするわけにもいかない。
このヴィヴィオちゃんへの気持ちを、他の人にも向けられるようにならなければ、成長したとは言えない。
今のままでは、私はただノイズに翻弄されているだけ、半暴走状態の存在と言われても仕方ないような様だ。
然此、ノイズ上等。今の私は、もう情報統合思念体よりも大事に思えるものを、見つけてしまったのだから。
- 99 :
-
「……入ってきてもいいわよ」
「あ、はい……って、何してんのよあんたわぁぁぁぁっ! 色んな意味でどうしようかって思ったわよ!」
「踏んでるでござる! リナ殿、拙者を踏んでるでござる!」
『……』
『……』
何故か顔を真っ赤にして詰め寄るリナさん。ドアの下で踏まれて抗議の声を上げるドロロ。
無言でお互いの存在を感知しあうデバイス達。彼らへの疑念や不安が完全に消えたわけではないけれど。
仮初とはいえ、数年間も付き合ってきたこの体の性格は、そう簡単には変えられないけれど。
どうしてだろうか、私の目には、この人たちの姿が、今までとまったく違うように見えていた。
「……約束だったわね。話すわ……長門さんの事、私の事、首輪の事。そして……」
ちらり、とヴィヴィオちゃんを見て、できる限り優しい笑顔で。
「……涼宮、ハルヒの事も」
リナさん達が、まじまじと私の顔を眺める。
何だろうか? そんなに、変な事を言ったのか……それとも、初めて本気で作ってみた笑顔が、いけなかったのか。
「あ、あんた……なんか変な物でも食べた? 凄く可愛いっていうか……素直……」
「その純粋な瞳……! し、信じられぬ……偽者か!?」
「……」
ひどいよぅ。
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