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2012年4月創作文芸126: えろくないGANTZを創作しよう (141) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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えろくないGANTZを創作しよう


1 :11/04/30 〜 最終レス :12/04/03
とあるマンションの一室。そこには、同じ様に死んだはずの人々が集められていた。
部屋の中央にある謎の大きな黒い球。
彼らは、その「ガンツ」と呼ばれる球に、星人を「やっつける」ように指示され、別の場所へと転送されていく。
原作のガンツはエロい!なのでグロイだけのガンツを創作しよう。
っというスレです!
【注意事項】
・都合上、登場人物が死亡したり残酷な場面が含まれます。
・このスレはちなみに15禁です。R18ではないです。ご注意を…。
・エロ描写を書く人は基本スルーです。(厳しめにとります)
・荒らしもスルーです。
・ある程度まとまるとまとめサイトを作成します

2 :
創作発表でスレが立てれなかったので、ここで立てますた。
初心者だけど、よろしくお願いします!

3 :
[プロローグ]
玩具のような武器を片手に今日も不気味な怪物をしに行く。
ーーそこは、まるで地獄の様な惨状。人間の本性がそこに現れるからだ。
弱いものは死に、強い奴もされる。
それが、一度死んだ私たちへの重すぎる罪と罰なのだ。
慈悲を持つな、感情は捨てろ
ただ、無慈悲に戦え。

4 :
↑それエピローグにして終了

5 :
〜完〜

6 :
東京を舞台にするなら小説版をふまえた上で過去編にするか、
もしくは東京以外の他県や他国を舞台にした方がある程度のオリジナル展開が出来ると思うよ
ちなみにガンツ呼びは東京地域だけで、他の地域では黒球のことは別の呼び方をしている
(大阪では黒飴ちゃん)
ミッション開始時の音楽も地域によって違う
今のところ東京と大阪以外は描写がないからオリジナルでよろしいかと

7 :
>>6 アドバイスありがとう。
俺が書く舞台は愛知。シェアにするなら人によって変えてもOK

8 :
「南雲英俊」。この名前を言ったら数年前まではみんな驚き、サインや握手を求められた。
あくまでも数年前の話だ…。
自分がスタジアムの離れたのは2年前の話。
酔っ払ったファンに、「シュートを外しすぎ」とか「今のままじゃFW失格」とか言われた挙句、シカトしていたため殴られた。
顔面を何十箇所も殴られて、顔がアンパンマンみたいに腫上がった。
アンパンマンはみんなのヒーローだからよかったが、実際の俺は醜かった。
顔の事をからかった、先輩にアンパンチを食らわせてやり、チームを解任させられた。
怪我は治り順調に回復しても、俺の心は晴れなかった。顔は腫れが直ったのと同時に…。
(リベンジしてやりたい!絶対に戻ってきてやるからな!)
心のどこかでは希望を持ってトレーニングに励んだ。一生懸命にだ。
だけども一般人にパンチしたヒーローに天罰が下った。それは、買い物へ行ったときのことだ。
珍しく、スーパーで買い物をした。お袋の誕生日に料理でも作ってやるためにだ。
自炊はしたことがなかったが、なぜかイカ墨パスタは作れた俺は鮮魚コーナーで食材を探していた。
小さな子供一人がお菓子コーナーで倒れて動いていなかった。
正義感の強い元アンパンマンは、その子供の救出に向かう。が、不運なことは突然起きた。
お菓子の棚が固定してあったはずなのに、いきなり倒れだしたのだ。
アンパンマンは馬鹿馬鹿らしい偽善者なので、子供を庇って棚に押しつぶされてそのまま死んだ。
(死んだはずだった…。)
目を開けるとそこは、マンションの一室だった。真ん中には黒い巨大な球体。
不気味な成人との戦いに巻き込まれていくとはまだ知らない。

9 :
この部屋には、自分を含めると男女8名。中にはまだ小さなガキもいる。
球体に文字が浮かび上がると、人々は動揺を隠せずに声を出した。
「何なんだよ!ここは!ワケが分からない。死んだはずじゃなかったのか!?」
背広姿にパーマのかかった髪の小柄な青年が大声で叫ぶと人々が次々と声を上げた。
「私は木島高志です。学生やってます。いや、ましたか…。自です。」
「僕は葛城智彦。『永遠のウチュウ』っていう本書いたけど知ってる?」
「宇部智子でーす。名古屋でOLやってまーす。」
「わしは平泉真人じゃ。まったくなんでこんなことなっとんのや?」
「えーと私は持田芳恵です。職業は名古屋大学の准教授」
「俺は…南雲英俊です。職業は…。」
頭の中でどうしようか?と迷い一旦サッカー選手と言おうとしたが、今は違うのでやっぱりやめた。
「職業は、無職です。よーするにぷータローです。」
表面では笑顔を作っていたが、心の中では泣いていた。そして嘆いていた。
パーマの青年が悲鳴を上げた。と同時に自分の体が徐々に消えていく。

10 :
目標:ミヤネ星人
・特徴 司会者
・好きなもの 阪神タイガーズ ニュース
・口癖 「っちゅ〜ねん!」
南雲英俊 元サッカー選手
。事故死
木島高志 学生。首つり自
葛城智彦 作家。事故死。
宇部智子 OL。事故死。
平泉真人 。刺。
持田芳恵 教授。病死。
その他二名。

11 :
「ーーー!?」
再び目を開けると、そこは商店街で、人通りはなかった。
「やめろ!ぎゃぁぁぁぁ。」
どこからか、木島の悲鳴が上がり、同時に心臓の鼓動も上がった。
「なに?やっやめて!うぎゃぁぁ。」
「どうした!?ぐぁぁぁ!」
次々と悲鳴が上がり、焦りを感じ出す。武器がないからだ
「いやだ・・・。私はまだしぬわけにはいけないんだ!」
葛城が血塗れでこちらに走ってきた。怪物を引き連れて。
星人は整った顔の中年男性に見えるロボットで、不気味だった。
「逃げろ!君は生き残れ!」
葛城はそう叫ぶと、鉄パイプを片手に星人へと立ち向かう。

12 :
なんでガンツなの?
自分で創作しろよ

13 :
のシーンはバラの花びらが散るのか

14 :
>>12 自分で創作して、設定ばかり陳列するイタイ子になりたくない。
最小限の説明で、読者と書き手が楽しめたらそれでいい。(って言っても自分も楽しみたい気持ちもある。)
>>13 貴方が期待してるシーンはございません。
あくまでも、エロ要素のない創作バトルものGANTZです。

15 :
ネギください。二本で充分ですよ

16 :
三本必要だろ

17 :
ガギギギ・・・グシャン!
つい先ほどまで人間だった葛城の内蔵の欠片と胃液が散乱している。 
グロテスクな臭いが漂うなか、ロボットはマイクスタンドを持ち上げた。
「痛いっちゅ〜ねん。」
何かを弾き跳ばすと、目から火の玉を吹き出して停車中のバスを引火させた。
火だるまになった持田が確認したが助けられず見放した。
「誰か!助けてくれ!」
叫ぶも返事は帰ってこない。
「お巡りさん!助けてください!」
見かけた警官に助けを乞うも無視されて、見放された。 
(嫌だ!神様、助けて下さい。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。)
「誰か助けて下さい!お願いします。何でもします!」

18 :
ガンツがエロくてなにが不都合か。

19 :
エロいから親の前で読みにくい。

20 :
映画は物足りなかった。
漫画も展開が急で最終ミッション後は面白くなくなった。

21 :
映画は良質の二次創作という感じだった。優等生山本のかっこ可愛さは原作を超えていた。

22 :
えろくないGANTZ
 真面目な高校生玄野計は、地下鉄のホームで電車待ちの間、雑誌のグラビア記事を読んでいた。
(鮎川ももさん、頑張ってるなあ。俺も負けていられないぞ)
 幼い頃は運動神経抜群のガキ大将であった玄野だが、身長が伸び悩んだせいもあって、中高では学業に専念していた。
(身長はアキラの方が伸びたからなぁ。俺は別の形で親の期待に応えなきゃ)
 ホーム内を見回せば、サラリーマンの中年に、時代錯誤のガングロギャル、主婦と思われる女性などがいる。鮎川ももさんだけではない、みんなそれぞれ頑張ってるんだ、俺も頑張ろう、と玄野は一人でガッツポーズをする。
 と、そこにオールバックの長身の高校生がやってきた。厳しい目つきの彼は、玄野の横に並ぶ。小学校の頃の友人、加藤勝であった。
「加藤、久しぶりだな!」
「おお、計ちゃん」
 互いに当時と雰囲気が変わっていたが、心の綺麗な面で通じ合っていた二人はすぐにまた意気投合した。離れていた数年の時を埋めるように、思い出話に花を咲かせた。
 加藤は現在、頭の悪い工業高校に通いながら、弟と共に自立する為にバイトもしていると言った。玄野は、俺は国公立の大学を目指していると言った。
 形は違えど、日々を努力し、悔いのないように生きる聡明な二人の高校生。
 確かにその先にあるはずだった彼らの輝かしい未来は、ドサリという、泥酔したホームレスが線路に転落する音によって打ち破られた。
「助けにいくぞ、加藤」
「おう!」
 正義感が暴走し足元をよく見ていなかった二人は、ホームから逆さまに転落。頭を強打し、更にやってきた快速電車に轢かれて死亡した。
 ホームレスは自力で安全スポットに逃げ込み無事だった。

23 :
 即死したかと思われた玄野計と加藤勝は、黒い球の置かれたマンションの一室にいた。
「はじめまして、僕は西といいます。貴方達に話しておかなければならないことがあります」
 彼――西丈一郎は、反抗期や中二病の多く見られる中学生にしてはしっかりした丁寧な口調で、その場にいた玄野達を含む数人の人間に語り始めた。
 まず、ここにいる全員が一度命を失ったこと。それを、ガンツと呼ばれる黒い球が蘇らせたこと。その代償として、地球に潜伏する凶暴な宇宙人との戦闘を強いられること。
 戦果に応じて点数が与えられ、それが百点に到達した時、部屋からの解放を始めとした様々な特典が用意されていること等から、いずれ訪れるカタストロフィについてまで、西は事細かに親切に説明した。
「凄い話だけど、信じるよ。西君」
「ありがとうございます、玄野さん」
 玄野と西は硬く握手を交わした。他の面々も、「わざわざ教えてくれてありがとう」「よくわからないが頑張ろう」と一致団結した。
 そこに、今回最後の死者が、ガンツより発せられるレーザー光によって出現した。裸の若い女であった。その場にいた者達――いずれも男性である――は、一斉に目を背けた。
「なんだッ、俺達もこうして送られてきたのかッ!?」
「そそそそうですッ! この方、風呂場で手首を切ったのかもしれません!」
 西は女の手首に付いた血を見てそう言った。しかし女の身体は極力見ないよう心掛けた。
「服を着せるんだッ」
 玄野のその一声で、全員が一斉に上着を女に被せる。ふぅー、と安堵の溜息が同時に上がった。彼らの偉大なフェミニスト精神により、事態はとりあえずの収束を見せた。
 やがて意識を取り戻した女は、岸本恵と名乗った。
「俺と同じ名前だね。お互い頑張ろう」
 自志願者に頑張ろうは本来禁句であるが、玄野の爽やかさがそれを無かったことにした。
「はい……!」
 服に埋もれ服ダルマとなった岸本は満面の笑みを見せた。

24 :
>>23
しばらく原稿を目で追っていた編集者が
「君はいったい何をしたいのかな?ただ漫画のコマワリを文章で書き起こしただけじゃないの。」
>>1は唇をかみしめて黙っていた。
さらに編集者は
「にしても文章力が足らないね。あと表現力もね。」
僕の唇に血がにじんだ。
「まあ、好きで書くならいいけど商業ベースに乗せるにはもう少し・・・ね。」
どうやら僕のただならぬ気配に気づいたようだ。
「いろんな本を読んだほうがいいよ。うん、普段読まない本とかね。」
これが彼との最後に交わした言葉だった。
今、僕は狭い部屋の格子状の窓から月明かりを眺めてる。
後悔はしていない・・・・・・・
〜完〜

25 :
他人にケツを拭いてもらわないときちんと終わることすらできないのか
やれやれだぜ 

26 :
http://sonimcity.web.infoseek.co.jp//adaltn/yuukoadult001.html

27 :


28 :
ぬら〜りひょん

29 :
 その後玄野達は、ねぎ星人田中星人あばれんぼうおこりんぼう星人と人員を一人も欠くことのないままミッションをこなしていった。とにかく頭のきれる玄野と正義感溢れる加藤二人の指揮により、チームは軍隊並に高度な連携をなしていた。
 しかしその日、ホモが死んだ。チビ星人にリンチにされたのだ。ビルの屋上でズタボロになったホモを見て玄野は激怒した。加藤も激怒した。全員が激怒した。総勢二十名近いガンツ戦士達はXガンを乱射しソードを振り回しチビ星人の群れを血祭りにあげた。
 彼らはガンツ部屋に帰ってきておいおい泣いた。部屋はまるでホモの葬式であった。
「きっともう誰も死なせない」加藤は固く決意していた。玄野も頷いて、みんなで円陣を組んだ。
 一年後、ガンツチームは総勢百名を超す大所帯となっていた。巨大な星人が現れても、人海戦術により即死した。その様はまさに土竜だった。


30 :
このサイト痛すぎワロチーヌwww
http://57.xmbs.jp/mitikusa/

31 :
本スレから保守に参りました

32 :
>>23
エロくしたくないなら元から服着た状態で転送させろよ。
まぁ、俺もガンツはエロく無い方が良いなぁ。この前、あんまりガンツ知らないやつにガンツ読んでるって言ったら、
「えー?ガンツ?めっちゃエロいやつじゃん。お前もエロいなぁ〜〜ww」て言われたし。

33 :
ttp://www.youtube.com/watch?v=nFZkCk-nH10#t=2m35s
ttp://www.youtube.com/watch?v=-0_Loi4ZdCI#t=7m15s

34 :
>>32
わかった
 玄野と加藤の次に、岸本恵と名乗る賢そうな女子高生が部屋に現れた。「君も何らかの理由で死んだのかい」と、至って真面目な面持ちで玄野が問う。
 学業疲れで、洗面所で手首を切って……と、岸本はその辛い死因を語った。
「でも、服は着てました」と誇らしげに胸に手を当てて言った。
「スーツは裸になって、一糸まとわずの姿で着ましょう」
 最古参で部屋に詳しいという西によって、ガンツと呼ばれる球から出現した装備品の使用手順などが全員にわかりやすく説明された。
「しかしそれでは、まずい。男女の着替えを分ける必要がある」
 山田という小学校教師が教育的立場からものを言った。それに大きく頷いたのは加藤だった。
「岸本さん一人に玄関で着替えてもらえば済む話だが、こちらの部屋にこれだけ大人数の男が構えている、という事実は大きな心理的圧迫になる。どうにかそれを和らげる手段はないものか」
「僕が部屋の出入り口に立って、門番の役目をしましょう」胸元からちらりとスーツを見せて西が言った。「更に、岸本さんにはこの便利なステルス迷彩の装置も渡しましょう。万一、覗かれても、これによって着替えている姿は誰にも見えません」
「西!」加藤は西に歩み寄って、固く握手を交わした。
 西は部屋の男性全員を見渡して言う。
「ここにいるみなさんを信用しないわけではありません。事実、みなさんは僕がこれまでの人生で見てきた中でも最も綺麗な目をしている方々だ。ただ、これは、加藤さんが言ったように、この中でただ一人の女性である岸本さんの心的負荷を考慮した結果です」
「ああ、それがいいよ。その年頃のお嬢ちゃんはデリケートだから」と、。
「安心しな。着替えを覗こうとかいう輩が出たら、俺がぶっ飛ばしてやる」と、もう一人の。
「みなさん、どうもありがとう。これはまるで、女性に優しい社会の縮図ね」
 岸本は安心した表情で微笑む。西からステルス装置とスーツを受け取ると、廊下に出ていった。

35 :
 そのようなかたちで、ガンツ部屋の女性の権利を守る体制は確立されていった。戦闘では男性陣が前線に出て戦う。瀕死の敵を女性に譲る場面もよく見られた。
 西の提言によって、次に、ガンツ部屋に収拾される際に金縛り現象が発生し、女性または男性であっても無防備な格好でガンツ部屋に呼ばれてしまう可能性が問題化された。
 しかしそれは、ミッションの開始時刻が夕方から夜間に限定されることから、その時間帯には必ず外向きの服装をしておくというルールを定めることで難なく解決した。
 その後も順調に、一人も人員を欠くことなく、ミッションを遂行していった玄野達だったが、それも十戦目を越えたころ、加藤が次の戦いに対し、ただならぬ警戒を示した。
「いやな予感がする」
「どうした加藤」玄野が心配した。
「次のターゲットは、ぬらりひょんと出ていますね」西が言う。「つよい、あたまがいい――このターゲットに、加藤さんは妙なものを感じているのでしょうか」
「いや、わからない」
 加藤は頭を抱えてブルブルと震えていた。このメンバーの中でもっとも感受性が強いのがこの加藤だ。今では十人近くに増えた女性メンバーの権利を自分のことのように主張する、偉大なるフェミニスト加藤。
 その加藤がこれほどまでの危険を感じている。いったいこのミッションで何が起こるのか。と玄野は考えた。
「とにかく、いくしかない。こちらにはZガンも沢山ある。どんな危機だって乗り越えられるさ」

36 :
 大阪民国。玄野達にとって迂闊だったのは、今回はじめて別チームとの合同戦線がとられたことである。大阪人である彼らは信じられないほど気性が荒く、品性が欠けていた。ナイーブな加藤の目の前で、女型星人への陵辱が行われたのだ。
「うおお」加藤が悶える。あまりの光景に目を覆う。
 意外なことに、それを支えたのは女性である岸本だった。
「加藤君、しっかりして。あれは、ひどいようだけど現実なの。赤ちゃんを作る行為よ。れっきとした、正しい行為なのよ」
「そうだ加藤。俺もおまえも、ああして生まれてきたんだ」
「そんなあ」松犬の目から、ついに涙。
 と、女型星人と繋がりながら、スーツを半脱ぎの男が近づいてきた。「いよう。俺は桑原いうもんや。小学校の教師やっとる」
 山田が驚愕して前に出た。「僕も小学校教諭ですが、あなたみたいな人は、あり得ません、めちゃくちゃです」
「ああ、でもな、これが関西のやり方や。汚いもん、えろいもん、必死なって隠してどないするん? 俺みたく、これが真実の姿や、って堂々としとくんが、まだ潔くないかねえ」
 加藤はその言葉に、激しい稲妻を受けたような顔をした。
「あるがまま、ということか。恥ずかしがるから、余計いやらしい気持ちになってしまう……。は。ただそれだけのこと。そこからエロスを感じるかどうかは」
「人それぞれなのさ」ホモが言った。
「いくぞ、ぬらりひょんを倒しに行くんだ」
 玄野が右手を突き上げる。メンバー達は雄叫びを上げ、レーダーに反応のあった道頓堀へと走った。

37 :
 道頓堀の水面で遊びながら、大ボスぬらりひょんは小さな老爺から子供へ、そして裸の女へとをしていく。
「裸婦というのは、ずっと昔から芸術的な捉えられたをしてきたものです」橋の欄干に身を預けて、西が言った。
「そう言われると、ちっとも助平な印象はしないな」と玄野。
「そうよ。人のカラダを見てそんなふうに思うこと、それ自体がとっても失礼なんだから」
 岸本が言うと、全員が一斉に笑った。
 加藤がZガンを構える。トリガーを引くと、ぬらりひょんの頭上から円形の不可視攻撃が襲った。川にあいた大穴と共にぬらりひょんは潰れたが、裸の大男の姿となって一瞬で再生した。
「うおっ、危ない」
 ぬらりひょんが目玉から放ったレーザー光を、玄野達は統率のとれた動きで一斉回避した。
 すかさずまた加藤がZガンで攻撃。しかし、ぬらりひょんは即時、再生する。そんな攻防を何度か続けるうちに、ぬらりひょんは見るもおぞましい姿へと変貌していく。
「」
 あまりに直球な表現が玄野の口からもれた。ぬらりひょんはこともあろうに女性器を模したクリーチャーとなったのだ。
「もついているぞ」
「いやっ」
 岸本が目を覆った。彼女を後ろに下げて、加藤が言った。
「はただのだ。人類の半分は女性だ。その下半身にかならずついている、ごくありふれた器官だ」
「そう冷静な見方をされると、ちっともえろくないな」
「だろう」
「それにね、真面目なお話」おばあさんが言った。「出産のために大切なものなのよ」
「その通りです」
「亮太も、お母さんのあそこから出てきたのよ」
「えーっ」
 そんな孫と祖母の微笑ましいやりとりを横目に、ガンツ戦士達は道頓堀川に向けてZガンを構えた。

38 :

 後日、玄野計は地下鉄のホームを颯爽と歩く。キヨスクで購入したプレイボーイを片手に、サラリーマンとOLがすでに腰掛けるベンチの中央に座った。
(鮎川ももさん、こっちの方にいってしまったなあ)
 袋とじを開封して、中のヘアヌードグラビアをじっくり吟味する。玄野の顔はとても清々しい。
 ちっとも、いやらしくなんかないさ。これはただの裸だ。いやらしい目で見るから、いやらしいんだ。えろいことばかり考えているから、ただの裸や性描写がえろく写ってしまうんだ。
「俺たちの戦いがえろいだなんて、なあ、計ちゃん」後ろから加藤が顔を出す。
「ああ。そんなこと言う奴は、とても恥ずかしい奴さ」
 玄野は立ち上がり、プレイボーイを全力で前方に投げた。その時、激しい音を立てて快速列車がホームに進入し、プレイボーイは弾け飛んだ。
「ナイス。計ちゃん」
えろくないGANTZ 完

39 :
GJ
フェミニストなに萌えたw

40 :
本スレから誘導されて来ますた
画像期待あげ

41 :
あがってナカッタorz

42 :
http://www.gamer.ne.jp/news/201111240026/
>インデックスは、「GANTZ-ガンツ-」のソーシャルゲーム「GANTZ/XAOS」を、「GREE」にて、
>2011年12月より提供開始することを決定し、本日2011年11月24より事前登録を開始した。

>「GANTZ/XAOS」では、プレイヤーは謎の黒い玉「ガンツ」の指令によって戦うことになった
>「星人」との戦闘に生き残るため、「GANTZ」に登場する様々なキャラクターを率い、
>自分だけの「GANTZ」チームを結成する。
>「GANTZ」の主人公である「玄野計」や「加藤勝」をはじめ、
>原作に登場する150以上のキャラクターがカードとなって登場し、デッキを組んで戦闘を行う。

43 :
ガンツの絵は描いたこと無いがAKIRAなら得意よ。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2305606.jpg.html
パス akira

44 :
上手いじゃんv

45 :
エロいやつがみたいんだが…

46 :
>>45
過疎ってるし原作程度のエロならOKでいいんじゃね?
全年齢板だから、エロ目的のものはいかんと思うが

47 :
背景は描けないって言うか描きたくない。
昔真剣に漫画家を半年間だけ目指してたけど面倒でたまらなかったw
大友と上條をよく真似してたんでそのどちらかかなら描けるよ。
ガンツはリアルな絵柄だからどっちかって言うと描きやすい。
エロはモロより少しだけのが良いような気がする。
素人がエロ描いてるとただのキモオタ扱いになるしね。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2313401.jpg.html
パス akutu

48 :
>>47
これだけ上手けりゃ充分じゃん、超期待
背景は説明だけしとけば描く必要ないと思うし
お遊び企画なんだから、原作からコピペしてもい(ry

49 :
「エロくない」は一体どこへいったのかw
よくわからんが、画像期待の人はつまり原作キャラのエロが見たいのか?なんでもいいからエロが見たいのか?

50 :
>>47
めちゃくちゃうまいじゃんw
早くレイカを描いてくださいw

51 :
エロあっても無くても面白けりゃいいです
見たい

52 :
原作で放置されたままになってるキャラたちの補完をどうかお願いします
もうここのガンツ漫画が放置キャラたちの結末と思うことにするから

53 :
>>49
原作と関係無く何でもいいからエロが見たいというなら
エロパロやエロ漫画板に行けばいいだけで
わざわざこういうスレにまで来てリクエストしないっしょ?
エロにしろ何にしろ、みんなガンツの二次作品が見たいんだよ
っちゅうことで、はげしく期待

54 :
>>53
見てないけど、pixivでそういうの描いてる人いないのかなって思った。

55 :
>>54
そりゃ二次創作自体なら無いことは無いよ
和泉と西のホモとかはそれなりにあるw

56 :
>>55
ざっと見たけど吹いたわw

57 :
ホモでも腐女子向けのBLみたいのでなく
原作に出てくるホモネタ程度のものならいいと思う
たとえば、ホモボクサーの鬼塚が不意打ちくらわず
鬼塚グループと加藤のガR対決になってたら
加藤はどう切り抜けただろうかとか
そういうif話も面白そうだし

58 :
期待age

59 :
age

60 :
あげ

61 :
GREEのGANTZネタ取り入れてみても面白そうだ
期待age

62 :
ほしゅ

63 :
 加藤君が机に伏せて震えている。さっき二年の不良に呼び出されて帰ってきてからずっとだ。僕なんかに全部はわからないけど、彼はきっと闘っているんだ。その証拠に、机の脚が鳴るほどに全身を震わせていても、眼だけは何かを真っ直ぐに睨みつけている。
 声をかけようか迷う。加藤君はいつも気弱な僕たちを不良から助けてくれる。だから今回はこっちがお返しをする番じゃないかって思うんだ。だけどもし足でまといになったなら申し訳ない……どうしよう。
 ガタ! と突然の音を立てて加藤君は立ち上がる。フゥフゥと息を調えて、明らかにこれから何か事を起こそうとしている。僕は思わず話しかけた。
「加藤君、一緒にトイレ行かない?」
「!?」彼は驚いた顔をする。
「さっきからずっと我慢しててさぁ」
 加藤君は驚愕が抜けない様子のまま、
「ああ……いいぜ」
 二人で教室を出た。「あ」加藤君が思いついたように立ち止まった。
「少し遠くのトイレでもいいか? ここの一年トイレは……不良がいるからな」
「うん。いいけど」
 僕に気を遣ってくれたのか、普通に怖くて不良を避けたのか……
 いやいや! 僕と一緒のときに不良に絡まれたりしたら、明らかに僕が邪魔になるだろう! だから加藤君は安全な方を選んだんだ。怖がったりなんかしてない。僕は何考えてるんだ。
 横を歩く加藤君は見るからにそわそわしている。やっぱり、声かけなきゃよかったかなぁ。

64 :
 トイレから帰って午後の授業が始まって、加藤君は依然落ち着かない様子のまま五限六限が終わって、放課になった。
「加藤君」
「おう、一緒に帰ろうぜ」
 顔に僅かに無理が見えた。
 靴に履き替え、校舎前を歩く。加藤君は一言も喋らない。
 校門のところで、立ち止まり「やっぱ……」と言いかけた。「お前一人で帰っ」
 その横顔が衝撃に乱れた。
 突然の奇襲を受けて、加藤君は倒れた。体の大きい、色の黒い三年生がその襟を掴んで、体育館裏まで引きずっていった。
「おほっ、やったやった」二年の金髪の不良が校門前から飛び出してくる。
「鬼塚さんさすが」他の不良たちも出てきて、一同も体育館裏へと行ってしまった。
 僕は立ちすくんでいた。全て一瞬の出来事だった。
「どうしよう……先生を……」
 いや、駄目だ。校外に目に付く校門前でならまだしも、隠れたリンチは黙認される。教師たちが保守に走っているからこそ、風紀は平然と崩壊しているんだ。
 ちくしょう。僕が行ったところで何もできない。加藤君を余計に困らせるだけだ。きっと、昼休みに声をかけてしまったことでも、彼の何かを邪魔してしまったんだ。僕は馬鹿だ……!
 十秒ほど考えただろうか。僕は早々と決意した。事態は刻一刻を争うんだ、悠長に悩んでる暇なんてない。
 ヘマをしたなら、せめて、男になるしかない。きっと僕が招いたことだから、僕が現場に行かないなんて間違ってる。迷惑を大きくしてもいい、僕は行くんだ。僕が加藤君を助けるんだ。
「おい、そこの眼鏡の人」
 いきり立っていた僕に声がかかった。振り向くと、校門の前に長髪の私服の男が立っていた。
「西深角工業高校って、ここで合ってるか?」
「あ、はい、そうですけど?」急いで早口で返事をしてしまった。
「だよな。エロ高校って書かれてるから、おいおいって思って一応確認したけど。どうもサンキュ」
 そう言って去ろうとする長髪の人。その横顔が一瞬、加藤君に似て見えた。
「ちょっ、ちょっと待って下さい」僕は呼び止めていた。
 彼は振り返る。一九〇センチ程と思われる長身。僕の中に期待と、使命感が湧いた。
「ケンカとか、できますかっ?」

65 :
 長髪の彼は体育館裏に駆けつけるやいなや、加藤君を壁に押し付けていた三年生の後頭部に鮮やかな飛び蹴りを入れた。その一撃でそれまでの攻守が逆転する。加藤君は腕を振りほどくと、すかさず三年の顎を強く跳ね上げた。
 黒い大男は倒れ、周りにいた不良たちは一斉に散っていった。
 加藤君は流血していた。
「加藤君」僕はハンカチでそれを拭いた。
「すまん、ありがとう」言葉ははっきりしている。大丈夫そうだ。彼はすごく頑丈だから。
「あんたも、助けてくれてありがとう」長髪の人に向かって言った。僕もお礼を言って頭を下げた。
「なぁ、今、かとうって言ったか」
 彼は目を丸くしていた。口許は微かな喜びをたたえていた。「もしかして、かとうまさる?」
「そう……だけど」加藤君は困惑。
 途端、長髪の彼は高笑いをはじめた。「おいマジかよ。ははは!」僕たちは呆気にとられていた。
 彼は腹を抱えながら言う。「今日は下見にきただけだったんだけどな。まさか会えるとは思わなかった。くろのけいとどっちにしようか迷ったんだが……お前が気に入ったよ」
「くろの……計ちゃん?」加藤君は反応した。
「まぁとりあえずよろしく」と手を差し出して握手をした。「今度ここに転校……することに今決めた、和泉紫音だ」
 そうして、彼は加藤君と眼を合わせて言った。
「ガンツって知ってるか?」
end

66 :
>>63-65
GJ!
加藤の高校の方に和泉が転校するというパラレルネタがイイです。
鬼塚たち不良やいじめられっ子一年生の使い方も上手い。
ぜひ続きが読みたいです!

67 :
そう言えば原作の和泉は加藤と入れ替わるように死んでしまったから殆ど絡みは無いんだよな
だから、和泉が加藤と絡むパラレル設定話は、いろいろと想像が膨らむし期待できる

68 :
参考 レイカのエロコラ
http://akiba.geocities.yahoo.co.jp/gl/reika_seijin/
エロくなくてもいいから他キャラでもこういうの作ってほしい

69 :
えろくないガンツなんて...
http://vwx.kr//193

70 :
70

71 :
ほしゅ

72 :
 2012年、二月。某県桜が丘高等学校軽音部の五名が、自主的に企画した卒業旅行先のロンドンで行方不明となった。
 何らかの事件に巻き込まれた疑いもあると見て県警は調査を進めているが、現地警察との連携が取れず、捜査は難航を極めている。
 ジャカジャカジャカジャーン!!
「おーいえー!」
 ズッダカダカダカダカ!
 ギュイーンギュイイーーン!!
「うぼおおおおおおおお!!!」
 ぎょーん!ギョーーーン!!
 だ、ダン!
「……はい、ありがとうございました。センキュー。放課後ティータイムで、ふわふわタイムでした」
「ウオオオー!」
「ブラボー!ブラボー!」
 ロンドン郊外のマンション一室に設置された、いわゆる黒い球の部屋。
ダークマター≠ニ呼ばれる黒い球の内部には、多数のコンセント、オーディオジャックが搭載。ミッションの毎夜、放課後ティータイムによる爆音ライブが行われていた。
「いやあ、気持ちよかったねぇ」演奏していたXガンを振り回す唯。
「何言ってんだ唯、本番はこれからなんだぞー」
「大丈夫だよ。私たちってミッションもなかなかいけてるじゃん」
「唯はもう90点だもんな」と澪。
「そう、私に任せて!今日も狩りまくるよ」
「唯ちゃん凄いわぁ」と95点保有者の紬。

73 :
 二年部員の梓がおずおずと言った。
「現地の人たちが、多分親切心でだと思うんですけど」
「Catastrophe ホニャララ,チャバチャバ、ペチャクチャクチャ.」
「カタストロフィがくるって、言ってます」
「カタストロフィって、カスタード系かな」
「いや、トリュフみたいなキノコの類いかもしれないぞ」
「お前ら……」
「直訳して、破滅とか、大破壊とか」梓は震えている。「何らかの、不穏なイベントなのは間違いないです……」
「ライブイベントかしら」
「おおっ!」
「それに放課後ティータイムも参加だね!」
「ま、マジか……。全国規模のイベントなのかな……」澪は赤面。
「……」梓。
 そこでミッション開始の合図、ジミヘンの楽曲がダークマターより流れ出る。
「あ、ジミー大西」
「ジミーヘンドリックス!」
「これに合わせてもう一曲やるか! ワン、ツー、ワンツースリーフォー」
 ジャカジャカジャカ
 ギュイーンギュイイ!! ドルドルドル
「やめろ!やめろ!!」
「そうですよ!早く着替えないと転送が始まってしまいます」
「つってもなぁ」と律。
「ねー。私たち女子だもん。男の人達の前では着替えられないよ」
「あ、ていうか唯、スーツ持ってきた?」
「うん、忘れた」
「じゃあ私のスーツ、貸してあげるね」
「わー、ありがとうムギちゃん」
「ちょっ、ちょっ……。他人のスーツじゃ効果ないんですよ」

74 :
「大丈夫だよー。着るだけでやっぱり気分が違うもん」
「そうだぞ、プラシーボ効果を侮るな! ということで澪〜、私たちも交換しよーぜ」
「やっ、やだよ!」
「あ゛っ!!!」
 唯の絶叫に近い声。
「だめだよ!あずにゃんがそれだと仲間はずれになっちゃう!!」
「な、なにっ!」
「じゃあどうすればいいの!?」
「五人で、仲間はずれを、作らないように、スーツを、着まわすには! うう!私は頭が悪いから無理だ」
「まず、五人で輪になろう!」唯は両隣の二人の手を取る。「そして、各自、右側の人にスーツを手渡そう!」
「唯……!いざという時に機転が効く奴だ……!」
「あの、それだと唯先輩の右側にいる私がスーツ無しになるんですけど……」
「え、じゃあいいよ……左に回すから……」がっかりして唯。
「そうすると、唯の左にいる私がスーツ無しになるけどな……」細い声で律。
「……て、ていうか!だから、他人のスーツじゃそもそも機能しないんですって!」
「も〜、あずにゃん細かいよぉ。機能するとかしないとか」
「重要ですよ!」
 バキャ!!
「へぶ!」梓が吹き飛ぶ。
 ドガシャ!部屋後方のイギリス人メンバーの中に突っ込む。
「な、なにするんですか、先輩」頬を押さえ、涙目。
「あずにゃん……着てるんじゃん……。スーツ」
「私は呼ばれる前にいつも着てきますけど……」
「これじゃ、仲間はずれじゃなくて一人抜け駆けだよッ! ひどいよ、あずにゃん! そんな人だとは思わなかった!うあああん」
「唯ちゃん……!」
「唯!」
「これは、手を痛めてるな」と澪。唯の手の甲は全力の殴打により赤く腫れ上がっていた。
 作者が面倒臭いので転送開始。

75 :
 軽音部五名を含むロンドン黒球チーム十名は、バッキンガム宮殿周辺へと転送された。
「バッキンガム宮殿 は、イギリスのロンドンにある宮殿。外周護衛を担当する近衛兵の交代儀式を見物出来る事で有名。現在では王室の代名詞として有名だが、イギリスのある大衆紙で『イギリスで最もつまらないアトラクション』として紹介された事がある。」
「それウィキペディアの丸引用じゃないですか!澪先輩!」
「うっ……うぅ……」
「唯ちゃん! まだ痛むの!?」
「ううぅ……私、90点とったのに……。あと10点だったのに……今回で死んじゃうんだ……」
 梓がつかつかとそれに歩み寄る。「ちょっと見せてください」
「やだよ」
「そうよ。梓ちゃん落ち着いて」
「どうせ転送の時に傷は消えてるんでしょう? 唯先輩、見せてください」
「梓」律が肩に手をおく。「大人の事情があるんだ」
 澪が言葉を繋いだ。「ミッション開始時の転送による傷のリセット効果は原作でもまだ明確に提示されていないんだ。だから二次創作でそこに触れることは極力避けたい」
「も、もういいですから、メタ発言はやめましょうよ……」
「gya!!」
 その時、ロンドンメンバーの悲鳴。軽音部は一斉に振り向いた。
 オオオオオ……
 ギターなどを構えた、四人組の男達。楽器を振り回し、スティックで突き、ロンドンメンバーを次々蹴散らしていく。
「あれは……」澪が目を見開き、息をのんだ。「90年代東京で活躍した伝説のロックバンド……漫画家ハロルド作石と親交があり『BECK』のモデルにもなっているという、その名もバッキンガム宮殿=c…!」
「澪は本当に音楽のぞうしが深いなあ」
「いや……これもネットの丸写しじゃないんですか……」
「律っちゃん、ぞうけいだよ、造詣!」

76 :
 バッキンガム宮殿星人(以下BQ星人)達は、ロンドン現地メンバー五人を残らず吹き飛ばした。
 軽音部へと標的を定める。
「相手は四人です。でもこちらは五人……」梓は不敵に笑う。「今こそ軽音部の連携を」
「いたい……いたい」
「唯、また手が痛むのか!?」と澪。
「うっ……」ぽたっ、ぽたっ……。唯の目から大粒の涙が落ちる。「私、90点とったのに……あと10点だったのに……」
「それさっきもやりましたよね……」
「あずにゃん……」梓を見上げる。「一人、抜け駆け、だもんね、あずにゃん……。スーツ着てるの、お前一人だもんね……」
「そうだ。唯もこう言ってることだし、全員の安全を考えてここは梓、一人で行ってくれ。部長命令だ」
「……ていうか、どさくさに紛れて先輩の呼び方が冷たかったんですけど……」
「あずさッッッ!!!!!」
 紬。

「甘ったれんじゃねえッ!!!!! 行って!!ぶッしてこいッッッッ!!!!」

「……」半泣きで星人の元へと向かった。

77 :
 ザッ! バッ!!
 ギョーンギョーン! ブバッ!
 梓が駆ける。BQ星人四体と同等に立ち回る。
「うおおおお!!」
「お茶をいれたわよー」
「おっ、ムギ用意がいいな」
 レジャーシートの上にトレイが置かれ、ケーキも並べられる。
「イギリス王室御用達、ダージリンティー。そして……ジャーン!」
梓≠ニ書かれたスーツ用ケースから取り出されたのは、こんがり焼きあがったクリスマスプティング。
「わぁ!」唯は感激。
「これ私、食べたかったんだ」と澪。
「太るぞー」
「うるさいな」
「ねぇ」唯が言う。「あずにゃんのぶん、残しておいてあげようよ」
 他三人が顔を見合わせる。
「ははっ」律が苦笑した。「残しておくに決まってるだろー」
「何を心配してたんだ、唯」
「あはは。そうだよね」唯も笑う。
「私たち五人で放課後ティータイムだものね」と紬。
 キュウウウウン! ドロッ、ドロロロッ……
「ああッ! スーツがオシャカに!」

78 :
「あはははっ」
「ほんと、唯ってば梓が大好きだよなぁ」
「先輩!先輩!スーツがぁ!」BQ星人最後の一体の攻撃を、「ひいっ!」仰け反って回避。
「あっ。唯それ……梓のぶんも食べてないか?」
「えっ、うそ」赤面する。
「ほんと唯は面白いなぁ」
「ああ。時々すごく抜けてるけど……、でも演奏になると凄いよな」
「唯ちゃんを中心に集まったんだもんね。私たち」
 唯は頭を掻いて笑う。
「Hey you! Girls!」
 現地ロンドンメンバーの青年が近寄ってきた。
「ほにゃらら、ほにゃっほにゃ!(君たちは何を呑気にお茶など飲んでいるんだ! 仲間の危機じゃないか!)」
「ええ……何言ってるかわかんないよ」
「一緒にお茶をしたいんじゃないか?」と律。
「イギリス人って結構ずうずうしいんだね」

79 :
「ペッチャクッチャ!グチャグチャ!(本当にがっかりだよ!君たちの演奏は素晴らしいと思ったのに!)」
 直後、青年の罵声は止まる。
 立ち上がった唯に、喉を掴まれている。
「クチャクチャうっせーよ」
 青年の足は浮く。
「私たちには私たちのやり方があるんだ。外野が口出すんじゃねえ」
 バッグから取り出した筆ペンとボールペンをそれぞれ彼の鼻の穴に差し込む。
「Oh……」
 次の一瞬、掌底が放たれる。スーツはダメージオーバー。内部液が放出されつつ、彼は吹き飛ぶ。
 唯は三人に向き直る。「ちょっと、かっこつけちゃったかな」照れ笑い。
「いやぁ、唯ってなんだかんだでバンドのこと考えてるんだよな」
「見直したよ」
「やっぱり、バンドは喧嘩もできないとだめよね」
「こんちくしょう!!!」
 梓のソードが敵を切り裂いた。

80 :
「もう、ひどいですよ!」
 ガツン!
「ふざけないでくださいよ!!」
 カン!
「落ち着け、落ち着けって梓……」
「部屋内で刀を振り回すなよ…!」
 ガン!
 カン! 黒球に当たる。
 画面が切り替わる。
【AZUSA 20points Total85points】
 半狂乱の状態にあった梓は動きを止めた。「あ……」
「これで、私たちに並んだな」うんうんと首肯しながら律。
「あずにゃんも一緒に卒業だよ!」唯が飛びかかり、抱きついた。
「えっ……」梓は刀を取り落とす。「先輩……」目には涙。唯の温かなぬくもり。
「そもそも今まで梓から得点奪ってたの唯たちなのに……色々すごいな……」顔を引き攣らせる澪。
「ねぇみんな。採点が終わったから、お茶にしましょう?」
 ウィッジウッドのティーカップが鳴る。
 放課後ティータイムの五人は、現地メンバーが帰宅する中、お茶会を開始。
「採点後のお茶って、まるで学校だよな」と澪。
「放課後ティータイム、インUK! イン、SF……マンション?」
「律、下手な英語はいいよ」
 一同、爆笑。
 ティーカップにレディグレイが注がれていく。アールグレイをベースにしたフルーティな紅茶。柑橘系の匂いが部屋に広がる。
 この時点で、紬が持ち込んだポットの残量は不足している。紬は速やかにレディグレイを四つ注ぎ終えると、輪を抜け、下着を下ろし、代用の湯を注ぎ入れる。

81 :

「はい、梓ちゃんごめんね」
「どうも」
 ジョロロロ……。
 ティーカップから強烈なアンモニア臭が広がる。
 紬のレディグレイ。ムギ茶を前に、梓は絶句。
「先輩がいれた茶ぁだ。飲めるよな」紬。
「なんかすごい臭いするよね」
「本場モノは二杯目が違うんだよ。茶葉が蒸れて芳醇な香りが出てくるんだ」
「澪も紅茶に詳しくなったなぁ」
「どうした。飲めよ梓」紬。
「……」
 カップを顔に近づけていく梓。
 軽くメンス混じりの臭気に白眼を剥きかける。
 口呼吸を試みるが、口腔と鼻は繋がっているため、状況は悪化する。
 瞬間、鼻腔が拡大。
 ガシャン!!!
 ティーカップを部屋隅に投げつけた。
「本当にッ……! 本当に最低です!!」
 部屋内はしんと静まり返る。紬が驚き、「梓ちゃん……」

82 :
「私、ここに来るまで先輩たちのことは凄く尊敬していたんです! 馴れ馴れしいけどあったかい唯先輩。かっこいい澪先輩。本当は頼りになる律先輩。優しいムギ先輩……」
「…………」
「なんでこうなっちゃったんですか! 本当に、なんでみんな、変わってしまったんですか!!」
 紬が立ち上がる。
 黒球の方を向き、「Please display a 100-point menu」
 チキチキチキ……。百点メニューの表示。
 英文を梓は驚愕の顔で読み上げていく。
「1、記憶を消されて、自由になる……。……記憶を、消されて……」
「そういうことだよ、あずにゃん」
「ようやく、わかったかな」と律。
「全てが終わった時、ここでの記憶は残らないの」と紬。「だから私たちは、今はあなたに好き放題……」
 三人はにじり寄る。
 梓は後ずさる。
 足が滑り、床にぶちまけられたムギ茶の上に尻もちをつく。
 三人は迫る。
「いやぁぁぁ……」
「うえっへっへっへ」
「あずにゃん、あずにゃ〜〜ん」
「すぐ、終わるわよ……」
「おい、あんまいじめるなよー」と澪。

83 :
 生死の一線をくぐり抜けた者達の眼光は違う。奏でる音も鋭く尖り、聴く者にギリギリのスリルを与える。
「イイ゛イィイィィィーーーアアアアーーーー!!!!」
 ジャジャジャジャジャ!!ドドドド
 スンパカタッタンタン。スンパカタッタンタン
「セーーーックス!!!セーーーックス!!!!」
 ギャギャン!
「はい、どうもありがとうございました。放課後ティータイムでカレーのちライスでした。センキュー」
「ウオオー!」
「Tea time! Tea time!」
 ロンドン市街の汚い地下ライブハウスは異様な盛り上がりだった。爆音。奇声。便所の臭い漂う中、繰り広げられる狂騒。
「ほにゃほにゃほにゃ〜〜(ありがとう、ジャパニーズガールズバンドたち。お陰で店は大繁盛だ。これ、チップ。受け取りなさい)」
 犬のような荒い吐息で手を広げた唯にフィッシュアンドチップスが渡される。
 ドギャ!!
 ローキック。店主は奇妙な背格好になりながら、全員に十ポンドずつを手渡した。
「ほにゃほにゃらほにに〜〜」
「梓、通訳!」
「ええと、約束通り二階の部屋を自由に使っていいそうで」
「やったーっ!」ギャギャギャギャギャーーーン!ドコドコドコドコ!!

84 :

 こうして宿と金を得る日々が続いていた。
 一同は鉄筋造りのライブハウスを二階へ。渡された部屋の鍵を開け、入室。
「うわっ!」
 異様に広い空間。四つのダブルベッド。そして異臭。明らかに不純なラブパーティが日夜行われているであろう部屋がそこにあった。
 唯以下三年生メンバーが駆け出す。各々ベッドに突入する。
「やったー!ベッド獲得ー!」と唯。
「梓は床な!床!」律。
「ちょ……露骨すぎないか」
「いいのよ、二年の扱いはこれで」
 梓はドア前で立ち尽くす。
 直後、異変を目の当たりにする。
「わ……。なにこれぇ」
 唯の頬に粘液。
「シーツ湿ってるぞ……」
「なんとも言えない臭いがする」
「私の方、明らかに茶色い染みが……」
「あはは……」梓は苦笑い。
 その横を唯が半泣きで通り過ぎる。「顔、洗わなきゃ……。お風呂入らなきゃ」
「私も……」と澪。他二人も続く。
 とぼとぼと廊下を行く軽音部三年生たち。ライブハウス店主にシャワールームの所在を尋ねる。ない、と言われる。店主は暴行を受ける。

85 :

「あーーーん。うあああーーん」床で唯は号泣。
「帰りたくなっちゃった……」と紬。
「日本食が恋しいな」
「こっちの料理まずいもんなぁ」
「……」梓は神妙な面持ちで床一点を見つめている。
 やがて唐突に言う。
「私たち、どうしてあの部屋に呼ばれたんでしょう」
「え、どうしてって」
「気づいたらいたよな」
「あの部屋には死んだ人しかいけないんです。ロンドン現地メンバーは全員そうだったと言ってました」
「そりゃホラ吹いてんだろ」投げやりに律。
「いや、でも……」
「め〜んどくせぇ。寝っか!」脚をだらんと投げ出して紬。
 すぐさま寝息が立つ。律と澪も床に横になり、「トイレの臭いがする」「ベッドとどっちもどっちだな」との会話の後、静かになった。唯の嗚咽だけが聞こえていた。
「誰か、私たちをあそこへ送った人がいるはずなんですよ……」
 三角座りをした梓は呟く。
「何者かにはめられたんです。私たちは……。それを解決しない限り、自由になっても、きっとまた……」

86 :
 翌日、梓は唐突に気づく。
 ライブ中、パーカーを被った背の高い黒人が、見ている。
「あの人……ロンドンメンバーです」
 唇は震えていた。
「私たちのファンになったんじゃないの。極々自然なことじゃーん」汗をタオルで拭きつつ律が言う。
「昨日の演奏の時もいました。挨拶にも来ないっておかしくないですか」
「梓……」下から覗き込む紬。「お前、それ天狗すぎね? 客に、挨拶に来させる≠ニかさぁ」
「そうだよね。放課後ティータイムはもっとゆるーく、どんな人でもウェルカムのスタンスが似合ってるよ」
「そ、そういうことじゃなく……」
 ライブハウス控え室に五人はいた。梓は慌てて身振り手振りで説明を始める。
「だって、他の人達は来てないんですよ。みんな同じように盛り上がっていたのに、あの人だけ毎回って。それも、まるで監視するみたいに扉の横で腕組みして、じっと見てるんですよ?」
「梓が黒人に偏見を持ってることはよーくわかった」律。
「ええっ! ちが……」
「あずにゃん……あのね、私たちは国境や人種を越えたグローバルでワールドワイドなバンドを目指していて……うん、音楽をやる人はみんなそうだよね……
ていうか、この際バンドなんて関係ない。これは人間性の問題。そういう思想を持ったまま、あずにゃんには大人になって欲しくないよ、私」
「そうだなぁ。イギリス含め世界の人種差別の感情は未だに根強い。梓はこれまで考えてもこなかっただろうけど、一人の女子高生として問題への明確な意思は持っておいた方がいいんじゃないか。
うっかりこういう場で思想の曖昧さが発露したりするのはトラブルの元だよ。私は誰もが宗教を明示しておくべきだと思うし、臓器提供意思もはっきりさせておくのがいいと思う。や避妊に対する考え方も周囲には伝えておくべきだよ」と律。
「そうだよね」一同、同意。
「だっ、だーかーら、そういうのじゃないんですって! 私たちをあの部屋に送ったた人間がいるはずなんです」
「は〜。何でもかんでも陰謀論かよ」律は頭を掻いた。
「梓」澪が身を乗り出す。「梓は、それであの黒人が怪しいって思うのか?」
「……はい」
「私たち、その人にされたってこと?」
「そんな覚えないけどなぁ」

87 :
「そのはずです。……ですが」
 梓はパイプ椅子を立って、前に出て説明を始めた。
「あの部屋に呼ばれる時って、身につけてる服も一緒に転送されるじゃないですか」
「じゃないと困るよ」唯がすかさず声を上げる。
「そうだ梓。おまいは裸で転送されたいのか?」律。
「梓ちゃん。そういうの、屁理屈のとんちよ。現に服ごと転送されてるんだから、それ以上の事実はないわ」と紬。
「ちょっとみんな待てよ。梓の話をまず聞こう」澪のフォローが入った。梓に視線をやり、先を促す。
「あ……はい。えと、確かにムギ先輩の言う通りこれは理屈です。けど、その法則があったから、ムギ先輩はティーセットを部屋に持ち込むことができたわけで……」
 言いながら紬と目が合う。紬は舌打ちをして顔を背ける。「はいはい、だからなんなのよ」
 梓は満足気に頷いて続けた。
「この理屈でいけば、転送時に手に触れたものは何でも部屋に持ち込めるということになります。勿論大きさ的限度はあるでしょうけど、それがもし……」
「生物・無生物を問わない法則だったら……」下を見つめる澪。
「そういうことです」
「あーー!ばっかでえ〜!」
 ガシャンと梓のいた椅子を蹴飛ばして、紬は仰け反った。
「こっちは五人いんだよ。全員に気づかれないように近づいて触れるなんてできっこねーだろ、アホか」
「……ずっと気になってたんだけど、ムギって二重人格か何かなのか」小声で澪。
「生理なんだよ〜」ほわほわと唯。
「ムギ先輩の疑問には」
 梓はジャケットのポケットに手を入れる。
「これで説明がつきます」
 言うと同時、火花が飛ぶ。ツインテールの先端から沿うように、身体を伝う。
 他四人が目を見張った。梓が消えていく。
「そうか……ステルス迷彩装置」驚嘆する澪。「これで気づかれず近寄って、部屋への道連れにしたってことか」
「なるほど……」
「……チッ」
 唯も律も、紬からも異論は出ず、梓の提示したその可能性は全員の中で受け入れられた。
「次のライブの時に……いえ、ミッションの時でもいいです。とにかく、あの黒人を捕まえましょう」
 梓の言葉に、四人は頷いた。

88 :
 翌日、ライブハウス一階フロアにて、
「ほにゃらぺらぺら〜」とイギリス人店主。
 向かい合う梓に、横から律が訊く。
「なんだって?」
「もう出ていってくれ、って……」
 背後で紬に青筋が立つ。唯と澪が両手を押さえてなだめた。
「ほんにゃらほにゃほにゃ」
「他のバンドやお客さんも上の部屋を使うから、そう何日も泊めるわけにはいかない、って」
「ま、どこも言うことは一緒だな」と律。
「ここは格別で汚かったけどな……」思い出してうんざりの澪。
 そのような経緯で軽音部はライブハウスを後にする。
 ロンドン郊外アルダスゲート街を通り、次のライブハウスを探す。会話がない。
「大丈夫!」
 唯がギターケースを掲げて叫んだ。
「私たちにはこれがあるもん。また次が……それも綺麗な宿が見つかるよ!」
「別に誰も落ち込んでるわけじゃないぞー、唯」と、右へ左へ視線を走らせながら律。
「ちょっと、言葉数は減りますよね」と梓。
「どうだ、怪しい奴はいるか」澪が訊く。梓は首を振った。
 一行はテムズ川通りへ。
「ペラペラペラリンコ(この辺りでライブハウスってありますか)」
 梓が通行人に尋ねる。
「ペランチョペランチョ(あることはあるけど、飛び入りで演らせてくれるところはないだろうねぇ)」
 宿も見つからず、追跡者の黒人の姿も見当たらない。
「あー……」
 まず律が歩き疲れ、橋の欄干に座り込む。「もう何キロ歩いたよ? しかも私はドラムセット積載なんだぞー」
「そうだな。このへんで昼食にしようか。朝も食べてなかったもんな」と澪も腰を下ろす。
 唯と紬が橋中腹の屋台に向かい、袋を下げて帰ってきた。「買ってきたよー。……なんと、たこ焼き!」
「なにっ」
「ああ、イギリスじゃあ日本食も人気らしいからな」と澪。
 唯は自身もほくほくしながら、湯気に満ちたたこ焼きパックを開ける。「正直、イギリス料理はマズすぎて、もう死んでも食べたくないよー」爪楊枝で刺し、頬張る。「おいしーっ」

89 :
 隅で食べつつ、通行人に目を配る梓。その横に紬が座った。
「梓」
「は、はいっ?」たこ焼きを噴きかけながら返事をする。
「色々、悪かったね……。私、ここ来てからなんかイライラしててさ」
「い、いえ」
「ほら、料理がクッソ不味いじゃん? お嬢育ちの私は耐えられねーんだよ。あと、ま、生理も不快だし」
「……え、えと、けっこう開けっぴろげなんですね」生理と言いつつ完全にガニ股の紬を見て言う。「色んな意味で」
「……なぁ、梓」
「はい」
「私たちが卒業しても……ああ、学校の話な。……無事日本に帰れて、それで私たちが卒業した後も、おまえは元気でやれよ。グレたりすんなよ」
「は、はは」苦笑する。
「正直、おまえが気がかりでさ……」紬は前髪を描き上げる。「真面目すぎるところとか、少し危うく感じたりしてね……。それでなんか、やり過ぎちゃったかな。……ごめんね」
「ムギ先輩……」笑って言う。「そんな、いいんですよ。私も確かに、日頃真面目にツッコミすぎる面があるんで、自分で気になってたんです」
「……ありがとう」紬も朗らかに笑った。
 二人はそれから作曲の話、恋愛の話、普段できないようなナイーブな話などをした。たこ焼きの最後の一つを食べ終える頃には、先輩後輩のわだかまりも、いじめの確執も消え、二人は自然と笑い合うようになっていた。
 梓が広げた容器を片付ける。「そろそろ行きましょうか」
「待て」
 紬の声に、立ち上がりかけた梓の動きが止まった。
「あの、柱の陰」
 言われるまま目をやった先には、フードを被った人影。あの日見た黒人の姿である。
「……いつ見つけたんですか」
「……今だ」
 黒人はじっと梓たちを見ている。動く気配はない。
「律や唯たちには言うな。悟られる。……何気なく、自然に二手に別れよう」紬が静かに言う。「橋の両側から、梓、私と二人で挟み打ちにするぞ」
「……はい」
 同意し、立ち上がりかけた。その時だった。
「おい行くぞー!……って、あれ? 何見てんの?」律が二人の視線を追った。「……んー? あれってもしかして」

90 :
 紬が舌打ちをするも、遅い。黒人が動く。柱から飛び出し、橋をシティ方面へと駆け出した。
「追うぞ!」紬はスカートを振り乱し、走った。
「えっ、なに」まだたこ焼きを完食していない唯。
「黒人です。いたんですよ!」指を差して、梓も走り出す。
「うそぉ」
「律、そこで荷物見張ってろ!」澪と唯も後を追った。
 橋を下り、車道を横切り、四人は走る。途中、梓の息が切れ始める。「はぁ、はあっ」
「任せろ」紬が肩に触れる。スピードを上げていく。唯と澪が続く。
 イングランド銀行に差し掛かった地点で、紬の走力も限界に近づく。
「はあっ、はあっ、なんだあいつ……全然追いつけねえ」
 黒人は足元から発煙しつつ、コーナーを曲がる。
「スーツかっ……」と澪。
「早いわけだ、クソ」紬が吐き捨てる。
 一同もコーナーを曲がったところで、黒人はその三百メーター先を行っている。二人の速度が緩みかける。
 そこを唯が飛び抜ける。
「唯!?」
 凄まじい加速で黒人の後を追う、五人の中で足は最も遅い筈の平沢唯。
「あいつもスーツだ……」紬が呟いた。「恐らくずっと着てやがった」
 澪も納得する。「どうりで力が強いと思った」
 唯は音速に達する。イングランド銀行の次のコーナーで、敵の背中に飛びかかる。
「よしっ」両手で拘束。しかし勢い余って電柱に衝突。歩道に転がり、スーツの筋力アシストで羽交い締めにする。
 澪と紬が追いつく。
「うっ、これ、どうすればいいんだ……」
 歩道ブロックを破壊しながら地面を転がる黒人と唯。
 後から梓が息をきらせてやってくる。「あっ、捕まえたんですか!?」
「捕まえたはいいんだが……」紬。
 その時、揉み合いの中で、黒人の頬が偶然に掴まれる。ベリリと、黒の皮膚が剥がされた。
「え」
 梓を始め、一同が驚愕した。現れたのは、白肌の日本人系の顔。フードの中からは、赤褐色の長い髪が垂れ落ちた。
 軽音部顧問がそこにいた。
「先生!?」「さわちゃん!?」
「……いやぁ、ばれちゃったか」唯の拘束を受けながら、山中さわ子はウインク。舌を出した。

91 :
 シティオブロンドン、小汚いライブハウスの楽屋で、山中さわ子は教え子たちのじっとりとした視線に晒されていた。
「どういうことなのか、説明して下さいね」少しも抑揚を付けず、梓が言う。
「えーとね、ロンドンにはよく来るの〜」
 ガシャン! テーブルが鳴った。
「んなこと聞いてんじゃねーよ」と紬。
「……あれ、琴吹さん、なんか様子が……」冷や汗。
「いいから答えて下さい」
 梓に再度促され、さわ子は下を見、しぶしぶ口を開く。
「簡単なこと。私は一度、死んだ。そしてあの部屋に送られた。……半年前のことよ」
 首を押さえて続ける。
「ライブ参戦中にヘドバンで首を痛めたのと、ホテルに帰ってお酒飲んでそのままお風呂入っちゃったのがまずかったのね」
「さわちゃん無茶するなー」と律。
「おかしくないですか」梓の指摘が入る。「それなら、ミッション後は当然ロンドンで解放されるはずです」
 唯もはっとする。「そうだよ。毎日学校にいたよね」
「どんなに必死に日本へ行き来しても、学校に毎日顔を出すなんて不可能です」
「ふっ……」
 梓の詰問に、鼻で笑うさわ子。
「あの黒い球が……、人をデータとして扱っているのは気づいていたかしら?」
「……薄々」梓の表情が落ちる。
「え、どういうこと?」と律。
「……あまり気分の良い話じゃないですが、一度目のミッションで律先輩が死にかけましたよね。テムズ川に落ちて」
「え……」困惑する律。「は? そんな覚え」
「記憶が飛んでるんだ」と澪。
 律は固まる。
「恐らくあのダークマター≠ヘ、重傷者の処理をする際、とんでもなく大雑把な方法をとっています」手で説明をする。「あの時、瀕死の律先輩ではなく、川に落ちる前の時点の律先輩が再生された。……これにはパソコン等のデジタルデータ処理と似通った部分を感じます」
「さすが、中野さんね」拍手をしかけるが、背後の唯の拘束がそれを許さない。さわ子は苦笑いで続ける。「それなら、私に起こったことも容易く想像がつくんじゃない?」
 梓はしばし黙考して、口を開いた。
「データ重複……。山中先生が二人に増えた、とか……」
「正解」
 さわ子はにやりと笑った。
「私は山中さわ子のクローンよ」

92 :
 ガシャン!! 紬の蹴り。空いた椅子が吹き飛んだ。
「唯!! そいつを今すぐ絞めな!!」
「え〜」にこやかに拘束。
「クローンだか何だか知らねえが、何の理由も無しに私たちを巻き込んだんだ! これ以上迷惑なことはねえ!」
「おいムギ、落ち着けって」
「そうだ。何か事情があるのかもしれないだろ」
「そうです」梓が言う。「カタストロフィ、とか……。どんなイベントかわからないけど、その為に人員が必要なのかも。……そうなんじゃないんですか、先生」
 梓の予想に反して、さわ子は首を振る。
「それはまだだいぶ先よ。人員を集めたってどうにかなる話じゃないし、それに……」表情が途端に緩む。
「カタストロフィを予告するカウンター、言えばあの球に表示されて、本来は数字がどんどん削られていくものなんだけれど、徐々に増えていってるのよ。これ、どういうことかわかる?」
 一同、首を振る。
「延期よ、延期。世界中には楽しみにしてる人も沢山いるみたいだけど、当分来ないわよ、地球侵略の宇宙船なんて」

93 :
「侵略……」澪は青ざめる。
「そ、それなら、来ないにこしたことはないですけど……」梓が言う。「ならどうして……。何故、先生は私たちにこんなことをしたんですか」
 さわ子の眼が冷たく光った。
「平沢さん、まず、私の顎のポイントを押して」
「はい?」
 言われるがままに唯はさわ子のスーツを破壊。
「そして、私を椅子に縛るがいいわ。……さあ、縛りなさい!」
「なんでこの人主導になってるんだ?」と澪。
 唯は性拘束用の縄を見つけ、さわ子を縛り上げる。
「できました」
「よくできたわ」うんうんと頷く。「じゃあ平沢さん、上着を脱いで、全部脱いで」
「まさか……」澪が漏らす。
 唯は着ていたコートを床に落とし、上下の衣服を順々に脱いでいく。
 全身密着型の黒いスーツが現れる。
「はぁ……」
 さわ子は恍惚の表情。
「これを……着てほしかったの……」
 その後三十分間に及び、山中さわ子は軽音部による暴行を受ける。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
 和解し、外の陽も落ちた十九時二十分。
 部屋への転送が開始される。

94 :
 ウエストミンスター寺院。ロンドン、ウエストミンスターに所在する教会である。
 桜高軽音部を含むロンドンチームは、その建物内部へと転送された。
「床と壁には、イギリス歴代君主や女王、政治家が埋葬されているとか……」と律。
 澪がぎゃああと身を伏せた。
 ライトアップされた聖堂。細やかな装飾の施された壁を、梓の視線が上に辿る。
 ラフな服装の男性二人が、いた。
 天井に張り付いていた。
「あれは……知る人ぞ知る日本のお笑いコンビ、ウエストミンスター=I……私もよく知らないが、来年あたりにブレイクするかもしれない……」
「って澪! 危ない!」
 律に押されて澪が転がる。一瞬のち、ウエストミンスター星人が落下。会衆席が木っ端微塵に吹き飛んだ。
 瓦礫と埃の中から星人は身を起こし、正面の梓へと狙いを定める。
 が、その頭部は途端に膨れ上がり、ばんと飛び散った。
 撃ったのは紬。「よし……」星人が五点以上ならこれでクリアとなる。
「正直、早く帰りたいんだ。ふかふかのベッドで眠りたい」
「私もです……!」
 梓がもう一体の星人を狙う。
 その時、周囲の壁が崩壊。続いて床が内側から破壊される。中から土色の手が伸びる。
「ひぃぃぃ!」澪の悲鳴。歴代王、女王のゾンビが一同を取り囲んだ。
 ロンドンチームは応戦。混乱の中、ウエストミンスター星人は逃げ去る。
「追うぞ、梓!」
「はい!」
 他三人とさわ子、現地メンバーはゾンビ達を次々撃破。それを背に、紬と梓は聖堂外へと駆け出す。

95 :
 薄曇の夜空に満月が浮いていた。明かりの下に星人はいた。
 梓の射撃で戦闘が開始される。トリッキーな動きにより、星人は二人を撹乱する。
 梓は一瞬の隙を突く。敵に致命傷となる一撃を照射した。
 だが同時に、Xガンのタイムラグが彼女にとっての命取りとなる。まだ肉体を保った敵が、武器であるジェンガタワーを振りかぶり、迫った。
「――!」
 空白の時間。
 恐る恐る薄目を開けた時、眼前に、盾となり出血する紬の姿があった。梓は言葉を失った。
 直後、星人は爆散する。
「ムギ先輩!」倒れた紬を抱き起こす。呼びかけるが、返事がない。
 頬に触れる。冷たくなっていく。
「そんな……。そんなのってないですよ」
 背後で聖堂が崩壊する。「全部倒したよー!」唯の声。「やりすぎなんだよ!」と澪。「おっ、転送が始まったぞ」と律。
 梓の、彼女に触れる手も消えていく。
「一緒に帰ろうって、約束したじゃないですか……」ぽろぽろと涙が落ちる。「作曲……教えてくれるって」
 数秒後、ロンドンチームは寺院敷地内から消えた。
 梓もいない。
 血溜まりの中、日本の女子高生の横たわる姿だけがあった。

96 :
「おーい梓」
「うわぁぁぁあぁん……」
「そんなに泣くことかぁ?」と律。「たかがムギだろ?」
「あずにゃん。人は死ぬものだよ。全ての生命は限りあるものだよ。認めようよ」
 床に突っ伏した梓の声は止まない。
 唯は次第に不快さをあらわにしていく。腕組み、貧乏ゆすりを始める。「なんていうか、こういうノリじゃないよね。放課後ティータイムって」
「マジになってどうするって感じだよなー」律は大股開いて座る。
「もう……。何なんですか……。仲間が死んだんですよ……」
 涙目で唯を睨んだ。
「友達だったんですよ……。おかしくないですか……」
 唯は僅かにたじろいだ。
「……そんなこと言ったって、ねぇ」律を見やる。「キーボードって正直要らなかったし……」
 直後、部屋は荒れる。
 立ち上がり、唯に突っ込む梓。壁に押し付け、引いて、何度も打ち付ける。
 言葉はない。悲鳴と、怒号。さわ子と現地メンバーも仲裁に入るが、梓の腕の一振りで蹴散らされる。
 唯の首元を掴み、梓は壁沿いに彼女を持ち上げる。
 その頬に、雫が落ちる。
 ひとつ、ふたつ。
 唯の瞳から涙が零れる。「うっ……うう」
 梓は表情を変えない。
「泣いたって許されないことはあるんですよ」
「梓……」澪が歩み寄ろうとした。それを律が無言で止めた。
「……もうどうしようもないことだから」唯が口を開いた。
「あずにゃんを置いて卒業しなきゃいけないことだって……。日本に帰れなくなったことだって……だから騒ぐしかなくて……」
 嗚咽混じりの声。
「ムギちゃんと、お別れしなきゃいけないのだって……もう仕方がない、ことだから……」

97 :
 梓は面食らった顔をしていた。
「梓……」澪を押しのけて律。「唯はどんなに辛い時でも、前向きでいようとしてきたんだ」
「なんで……」
「なんでって……うわ」
 律は押しのけられ、澪が言葉を繋ぐ。
「誰か一人が笑っていないと、みんなが駄目になっちゃうだろ」
 梓の手が緩んでいく。「唯先輩……」
 唯はすとんと床に落ちた。あとはただ泣きじゃくるだけだった。
 梓もそれに覆いかぶさるように崩れ落ち、号泣した。嗚咽は部屋中に連鎖した。軽音部は抱き合って、それを抑えることなく。イギリス人達も押ししたように泣いていた。
「それでも、戻ってこないものはあるのよ……」
 さわ子が涙ぐんだ。
 その時、微かな火花の散る音。無意識に視線は、宙を走るレーザー光を追った。
「ん、先生?」淡いミルクティカラーの髪が浮く。
 琴吹紬の頭が描き出されていた。

98 :
 ロンドンの黒い球ダークマター≠ェミッション終了を告げ、採点画面を映し出した。
「これで、みんな揃って卒業だね……」
「ばぁか、何言ってる唯……。みんなが点数取れてるとは限らないんだぞー……」
 涙ながらに紬の帰還を喜ぶ軽音部。梓は彼女の胸に抱きついたまま離れなかった。
「梓……。クリアできてるといいな」紬は小さな頭を撫でる。
「……はい」声がした。
【SCORE RESULT】画面に表示。紬からの採点となる。
「お……」
 結果は100点を軽くオーバーの合格点。従って、同種の敵を倒した梓も好結果が期待される。
【AZUSA Total105points】
「やった」と梓。
 その後、ひたすら数を倒した唯たちも100点超えの結果が出され、一同はハイタッチ。喜びを分かち合った。
「おめでとう」さわ子は合計50点台。「それじゃあ、日本のもう一人の私によろしくね……って、記憶は消えるんだから、そんなこと言っても仕方ないわね」ふふ、と笑った。
「……」紬。
「先生は……どうするんですか」唯が訊く。
「どうするって、決まってるじゃない。せっかくの第二の人生よ。それにここはロックの伝統、ロンドン。バンドを組んで、暴れまわるわ!」
 そう言い、唯のギー太を歯ギターする。持ち主は泣く。

99 :

 桜高軽音部の五人は、100点メニューの一番を選択。
【it inputted.】
 受理された。ほっと溜息が溢れる。
「みんな、ここでの経験を活かして、来年度も頑張りなさいよ!」
 さわ子が表情を引き締め、言った。
「ここでの経験って……意味わかんないが……」
 呆れて笑う澪。その足首が徐々に消えていく。「あ……」この転送で、部屋からの解放となる。
「それじゃあね、さわちゃん。ロンドンの人達、ほにゃほにゃほにゃー」手を振る唯。
「ほにゃりらん(貴君たちの幸運を心から祈っている)」ロンドンメンバーA。
「ぺらぺら、ぺらっちょ(また音を聴かせにきてくれよ)」メンバーB。
 それぞれ、握手を交わす。
 梓も手を振る。胸までの転送が完了している。
「……」
 紬は一人、後輩の横顔を見つめていた。

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