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2012年3月創作発表115: 非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part27 (347)
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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part27
- 1 :
- 1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」
現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。
基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!
前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part26
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1325080773/
非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
- 2 :
- スレ立て乙です。
こちらでは初めましてですが、自分も非リレーロワデビューをさせていただきます。
というわけで、さっそくオープニングを投下します。
- 3 :
- 不動遊星が目覚めた場所は、明かりの消えたホールだった。
(ここは、一体どこなんだ……?)
何故だか妙に頭が痛い。状況からして、睡眠薬でも盛られたのかもしれない。
ほとんど条件反射的に、痛む眉間を押さえようと、右腕を持ち上げるために力を込める。
「!」
しかし、腕は動かなかった。
視線を手元に下ろしてみれば、自分の両手と両足が、バンドで固定されているのが分かった。
劇場の観客席に座った体勢で、身体を拘束されているのだ。
(これは、本当に捕まったようだな……)
靄の晴れてきた思考で、眉根をしかめながら結論を出す。
寝ている間に見知らぬ場所へ連れてこられた――そうした最初の情報からして、自分が何者かに拉致されたという可能性は考慮していた。
だがそれも、今となっては、ほぼ確定事項と見なしていいだろう。
束縛は何者かの作為と、その動機となる悪意の証明に他ならない。
問題は、一体どこの誰が自分を捕まえ、こんな所に放置したかということだ。
「何だよ、これ……?」
「おいおい、一体どうなってんだ?」
聞き耳を立ててみれば、暗いホールの客席から、次々と声が上がっている。
どうやらここに集められたのは、自分1人だけではなさそうだ。
よくよく確認してみれば、自分の隣にも人影があった。
「おい君、起きてくれ」
未だ覚醒に至っていない男を、少し声を張って起こさんとする。
自分より1つか2つ年下の、黒服とセミロングの少年が、やがて瞼を震わせた。
「ここは、どこだ」
ゆっくりと瞳を開き、周囲を見渡す。
歳の割に落ち着いた男だ――ほとんど動じた様子もなく、その一言を呟いた少年に、遊星はそんな感想を抱いた。
「俺にも分からない……気がついたら、ここに拘束されていたんだ。君は何か、この状況に心当たりはないか?」
「……誘拐を働くような男の目星はつくが、いつどうやってこうなったのかは、俺にも見当がつかないな」
「犯人に心当たりがあるのか?」
低く、よく通る少年の声に、問いかけた。
「まぁ今となっては、奴がわざわざ俺に手を出すとは考えにくいが……」
「それでも構わない。今は1つでもヒントが欲しい……よかったら、そいつのことを教――」
状況が分からないのは相変わらずだが、仕立て人の正体が分かるかもしれないというのは収穫だ。
そう思い、彼の連想した犯人像を、聞きだそうとしたのだが、
「!?」
唐突に、音。
びぃぃっ、と間延びしたサイレンが、会場内に響き渡る。
舞台の開演を告げる合図に、遊星の言葉はさえぎられた。
やがてそれに合わせるようにして、目の前の舞台の幕――どうやら下りていたらしい――が上がる。
ばち、ばち、と音を立て、眩く点灯するスポットライトが、ようやく劇場内の暗がりを照らした。
- 4 :
- 「ようこそ諸君! 私の演出するステージへ!」
大仰に声を張り上げたのは、紫のスーツを着込んだ男だ。
優男然とした顔つきだったが、衣服の下の肩幅は広く、背筋もぴんと立てられている。ああ見えて、なかなかに鍛えているらしい。
「研美さん!? これは一体、どういうことなんだよ!?」
直後に響いたのは、いくつかの声。
どうやらあの男、会場内の何人かとは、事前に面識のあった人物のようだ。
「落ち着きたまえ、丹童子君。私とて礼儀はわきまえているさ……君の知りたいことは、今から順を追って説明していこう」
(よく言う……)
余裕たっぷりに振舞う、研美なるその男の声に、遊星は右の拳を握った。
本当に礼儀をわきまえているのなら、そもそもこんな馬鹿なことは、最初からしでかしていないだろうに。
「さて」
ぱちん、と指の鳴る音が響く。
「では説明を始めるとしよう」
それが合図のつもりなのだろうか。なんともまた気障な男だ。
「君達に集まってもらったのは他でもない。君達には、これから私達の行う、大いなる実験に付き合ってもらいたいのだよ」
「実験だと? それは一体どういうことだ?」
いよいよ黙っていられなくなり、遊星は声を張り上げた。
この男に対する好感度は、先ほどから猛烈な勢いで急降下中だ。どうにもならないとは知りつつも、これ以上黙ってはいられなかった。
「簡単なことさ。君達にはこれから、互いの命を賭けて戦ってもらいたい」
瞬間、ホールに巻き起こったのはどよめきだ。
これまでとは比較にならないざわつきが、薄暗い室内に溢れかえる。
「何よそれ! 一体どういうことよ!」
「また同じやり口を繰り返す気か、研美!」
「君達にはこれから、我々の用意した会場へ向かってもらう。そこが戦いのステージだ」
そしてそれを無視するようにして、研美は説明を続けていった。
「人数が多い上に会場も広い……恐らくこの実験は、それなりの長丁場になるだろう。
そこで君達には、いくつかの物資が支給される。人をすための武器も、まとめて渡されるという寸法だ。
細かいルールは、同じくその物資と一緒に、ルールブックを渡すことになっているので、それを読んで確認してほしい」
「1つ、質問をしてもいいかしら?」
その時、不意に。
説明を遮るようにして、観客席から声が上がった。
投げかけられた問いかけは、若い少女の声色だ。推測される歳の割には、随分と肝が据わっている。
「何かな、巴君?」
「ルールがあるということは、違反した場合の罰則もある、という解釈でいいのかしら?
何かしらの強制力がない限りは、私を含めた大多数が、し合いには乗らないと思うのだけど」
なるほど、確かにその通りだ。
遊星自身、会場に送り込まれたとしても、し合いに乗るつもりは全くない。
このような無作為かつ強制的な選定では、そんな人間の方が圧倒的に多いだろう。
であれば、乗り気にならない人間を、その気にさせるための強制力が、このし合いには不可欠だ。
- 5 :
- 「なるほど、いいところに気がついたね。確かに君の言う通り、この実験にはいくつかの反則行為が存在する。
それを犯した者がどうなるか……それは、君自身の身をもって、説明させてもらうとしよう」
ぱちん、と研美の指が鳴る。
瞬間、会場に響いたのは。
「―――ッ!?」
どかん――という強烈な轟音だった。
耳を覆いたくなる爆音が、容赦なく鼓膜へ襲いかかる。音の上がった方からは、煙が上っているように見えた。
一体何があったのだ。何かが爆発したようだったが――
「見るがいい! これが違反者の末路だ!」
研美の声が響き渡る。
同時に会場のスポットライトが、遊星の視線の先を照らす。
そこに座っていたのは、1つの死体。
首元からもうもうと煙をたなびかせ、だらりと椅子にもたれかかる死体だ。
「なっ!?」
「嘘だろ……おい、マミッ!」
たちまち劇場は騒然となった。
あちらこちらから悲鳴が上がり、ざわめきとパニックが暗がりを満たす。
遊星自身でさえ、あまりに唐突な人に、一瞬言葉を失っていた。
「君達の首には予め、爆弾を内蔵した首輪が巻かれている。
この実験を妨害しようとした者、無理に外そうとした者には、このような制裁が下ると思ってもらいたい。
それとこの実験においては、時間が経過するごとに、会場が狭くなっていく。
立ち入り禁止となったエリアに、足を踏み入れてしまった場合も、同様の罰則が下るということを、よく覚えておいてくれたまえ」
不敵な笑みを浮かべる研美の声は、あまりにも冷酷に響いていた。
「……では、一通りの説明が終わったところで、最後に報酬の話をしよう。
この実験が完遂された時、最後に残った協力者には、我々から報酬を用意させてもらう。
……そしてその件に関しては、“彼”の口から説明してもらおう」
研美の言葉が区切られると同時に、新たな人影が姿を現す。
舞台裾から歩いてきたのは、奇妙な出で立ちをした金髪の男だ。
その素顔は分からない。黒と白のモノトーンで塗られた、ピエロのような仮面に覆われ、表情をうかがい知ることはできない。
「キヨタカではないのか……」
隣の少年が呟いた。
その清隆という男が、彼が目星をつけていた、誘拐の容疑者だったのだろう。
「彼の名はパラドックス……この実験を統括する主催者であり、未来からやって来た協力者だ」
研美の紹介を受けた男は、依然沈黙を保ったままだ。
怪しげなその風貌からは、未来人という突拍子もない自己紹介も、少しは信じられるように思える。
これまで自分が戦ってきた、ダークシグナーなどというオカルトが有り得るのなら、
あるいは未来からの来訪者も、有り得ない話ではないのでは、とさえ。
「ハッ、未来からとはまた大きく出たな。だが、あまり悪ノリが過ぎるようなら、こっちも興醒めしちまうぜ?」
その時、後方から響いたのは、荒っぽい男の声だった。
スポットライトが照らしたのは、ふてぶてしい態度の若者だ。鋭い視線と笑みからは、凶悪な雰囲気が感じられる。
- 6 :
- 「まぁ、信じられないのも無理はないか……いいだろう。パラドックス、見せてあげたまえ」
研美の声に合わせるように、パラドックスの手が懐へ伸びる。
またも無言で取り出されたのは、1枚のデュエルモンスターズのカードだ。
遊星も見慣れたトレーディングカードが、ゆっくりと前面へとかざされる。
「――《Sin 真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン》!」
『グォオオオオオオオンッ!!』
絶叫。
宣言と共に放たれたのは、獰猛なドラゴンの雄叫びだった。
彼のかざしたカードが光り、魔物の姿を具現化させる。
光と共に顕現したのは、巨大な翼を持った漆黒の竜だ。
真紅眼の黒竜――デュエルモンスターズ最初期のレアカードとして、名前を耳にしたことはある。
(だが、何だあの姿は……!?)
しかし、現れたその姿は、遊星の記憶とは食い違っていた。
真紅眼の黒竜の両翼は、黒から白へと変色している。顔面の左半分も、まるでパラドックスの仮面のような、白いカバーで覆われている。
デュエルモンスターの実体化自体は、さして珍しいものではない。それくらいは現代においても、サイコデュエリストが実行している。
問題は奴が召喚したのが、真紅眼の黒竜の、未知のバリエーションカードであるということだ。
もしもあれが本当に、未来に作られたカードなら、彼が未来人であることの裏付けになるのではないか。
「っ、何だそりゃ……そんな魔法見――」
「黒炎弾ッ!」
号令と共に、熱風が荒れる。
客席の男の独り言は、灼熱の炎の中に消えた。
真紅眼の黒竜が、口から放った炎の弾が、彼の身体を焼き払ったのだ。
もはや二度目ともなると、悲鳴を上げる余裕すらないのか。会場はその光景に息を呑み、水を打ったかのように静まり返った。
「……見ての通りだ。これで私の持つ力が、君達にも理解できただろう」
静寂の中、パラドックスの声が響く。
熱風に金髪をはためかせ、堂々たる態度で言葉を紡ぐ。
その瞬間全ての観衆の目は、モノクロの仮面に釘付けとなっていた。
「この実験に用いられる設備の数々は、彼のもたらした技術によって構築されている。
セキュリティに関しても同様だ。ゆめゆめ、私達に刃向かおうなどとは思わないように」
「そしてこの実験を勝ち抜いた者には、私の技術力、そして研美グループの財力の総力を挙げて、望む報酬を与えることを約束しよう。
何であろうと構わない。無敵の力、巨万の富……死者の復活すらも成し遂げてみせよう」
「では、説明はこれで終了だ。君達の健闘を祈らせてもらうよ」
三たび、ぱちん、と指が鳴る。
ぷす、と首筋に感じた痛覚。
首輪のある場所よりも少し上――劇場の座席の背もたれに、麻酔針が仕込んであったのか。
不動遊星の意識は、再びまどろみの中に沈んでいった。
この時、時刻にして23時50分。
選ばれた30人の被験者達は、この時から実に10分後――0時ジャストに覚醒を迎える。
それが長きに渡る戮劇の、開幕を告げるゴングとなった。
【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】
【ヴェイロン@魔法戦記リリカルなのはForce 死亡】
【主催者 パラドックス@遊戯王5D's】
【主催者 研美悠士@セイクリッドセブン】
【趣味で選んだ作品でバトルロワイアル 実験開始】
- 7 :
- 趣味で選んだ作品でバトルロワイアル ルール
【基本】
全30人の参加者でし合いをし、最後の1人になった者が優勝者となる。
基本的には何でもありだが、いくつかの反則行為が設定されており、反則を犯した者の首輪が爆発する。
【支給品】
参加者にはし合いをするために、いくつかの支給品が用意されている。
現地に用意されているデイパックの中に入っており、その内訳は以下の通り。
・地図……フィールドの地図。7×7=49マスに区切られている。
・ルールブック……ルールが記載された冊子。
・名簿……参加者30人の名前が記された名簿。
・食糧……水と携帯食料のセット。
・時計……時刻の分かる、ごく普通の腕時計。
・メモ帳……同じくごく普通のメモ帳。
・筆記用具……鉛筆、消しゴムなどの筆記用具一式。本来の用途によし、緊急時の武器によし。
・コンパス……東西南北を確認できる方位磁針。
・ランタン……暗い夜道を照らすためのもの。油が切れたとしても、最悪鈍器として使える。
・ランダム支給品……1〜3つ。基本的には現実世界にあるものか、参戦作品からの出典となる。
【放送】
6時間ごとに主催者側からの定期放送が行われる。内容は以下の通り。
・それまでの死者の名前の発表
・追加される禁止エリア位置の発表
・その他連絡事項など
禁止エリアは放送ごとに2マスずつ追加される。ゲーム終了まで解除されない。
【能力制限】
し合いを行う上で明らかに不公平な能力は、主催者側によって弱体化・封印されている。
具体的な度合は、各人で確認すべし。
【反則行為】
以下の行為に及んだ者は無条件で反則と見なし、首輪を爆破する。
・首輪を無理やりに外そうとする
・禁止エリアに侵入し、1分以上エリア内に留まる
・その他主催者側に対する、一定以上の敵対行為を取る
- 8 :
- 参加者名簿
【スパイラル〜推理の絆〜】4/4
鳴海歩/アイズ・ラザフォード/浅月香介/高町亮子
【魔法少女おりこ☆マギカ】4/4
佐倉杏子/千歳ゆま/呉キリカ/美国織莉子
【仮面ライダークウガ】3/3
五代雄介/ズ・ゴオマ・グ/ン・ダグバ・ゼバ
【喰霊-零-】3/3
諫山黄泉/土宮神楽/諌山冥
【セイクリッドセブン】3/3
丹童子アルマ/藍羽ルリ/輝島ナイト
【東方Project】3/3
紅美鈴/レミリア・スカーレット/八坂神奈子
【魔法戦記リリカルなのはForce】3/3
トーマ・アヴェニール/リリィ・シュトロゼック/スバル・ナカジマ
【.hack//G.U.(小説版)】2/2
ハセヲ/オーヴァン
【勇者王ガオガイガーFINAL】2/2
獅子王凱/パルパレーパ
【仮面ライダー響鬼】1/1
日高仁志(ヒビキ)
【牙狼】1/1
龍崎駈音(バラゴ)
【遊戯王5D's】1/1
不動遊星
30/30
地図
1 2 3 4 5 6 7
A 森 森 森 森 川 森 神
B 森 森 森 森 川 森 森
C 森 野 野 野 川 野 野
D 森 野 街 街 川 学 街
E 野 デ 街 街 橋 街 街
F 野 街 街 病 川 川 川
G 野 街 街 街 街 研 街
デ:デパート
学:学校
病:病院
研:研究所
- 9 :
- というわけで投下は以上です。
文字通り、自分の趣味で選んだ作品での非リレーロワ、これよりスタートとなります。
これからなにとぞよろしくお願いします。
- 10 :
- 新ロワ乙そしてスレ立て乙です
自分も投下します 俺得6 21:美女と美獣 登場:稲垣葉月、ラト、レイ・ブランチャード
- 11 :
- 21:美女と美獣
稲垣葉月は、少し視界の明るい林の中をとぼとぼと歩いていた。
ある男に襲撃されて逃げ回って以来、誰とも会っていない、最愛の狼レックスにも。
精神的にかなり追い詰められていた葉月は少しでも心の拠所が欲しかった。
支給された突撃銃、AKS-74(男に襲われている時は支給品を確認する前だった)を手に持ち、
辺りを警戒しながら足を進めて行く。頭にはもう一つの支給品、九〇式鉄帽を被る。
すると前方に二人の人影を発見した。
「!」
すぐに近くの茂みに身を隠す葉月。
人影は、片方は学生服姿の黒猫獣人の少年、もう一人は妙に露出の多い格好の青髪の少女らしかった。
何か会話をしているように見える。
(声を掛けるべき、でも、もしあの二人も…し合いをやる気になっていたら…)
もう追い回される目には遭いたく無いと葉月は切に願う。
(どうしよう、やり過ごそうか…いやでも)
「ん…」
(!!)
黒猫少年の目と葉月の目が合う。どうしようか迷っている時に目が合ってしまった葉月は動揺を隠せない。
「どうしたラト…ん? 誰だ」
「ひっ…あ、あ」
「落ち着いて、僕達はし合いには乗っていないよ」
ラトと呼ばれた少年が葉月に優しく語り掛ける。
「ほ、本当…?」
「ああ、僕はラト」
「私はレイ・ブランチャードだ……貴方は?」
「い、稲垣葉月……本当にし合いには乗っていないの? 信じても良いの?」
震えた声の葉月の問いに二人は頷く。
「……信じる。私も、し合いには乗ってない」
まだ恐怖は拭いきれなかったが葉月はラトとレイの二人を信じてみる事にした。
これ以上一人きりでいると気が狂ってしまいそうな気がしたためだ。
葉月、ラト、レイの三人は互いに知っている情報や支給品の事を話し合う。
- 12 :
- 「…うーん、稲垣さんが言うような黒い狼は、見ていないな」
「そう…私もラト君の同級生には、会っていないね…」
「しかし、やはりもうやる気になっている奴がいるんだな」
「死に掛けたよ、私……この間興奮剤とお酒飲んでレックスとした時に過呼吸になった時以来かな、
死にそうになったのは」
「……」
「……」
「え? 何か変な事言った?」
「…稲垣さん、貴方は少し一般的な常識や羞恥心が欠如しているようだね…少し注意する事をお薦めするよ」
「そう?」
ラトの指摘を葉月は右から左に受け流す。
「ええと、私の支給品はこの突撃銃と、兜よ」
「僕はバスタードソードと拳銃だったよ…拳銃はレイにあげたけど」
「私の支給品はトランジスタラジオ一個だけだったからな……」
レイが古びた小型のラジオを葉月に見せながら言う。
かなり昔の物で骨董品を扱う店に置いてあるような代物だ。
成程確かにとてもこのし合いにおいて役に立ちそうな物とは思えない。
「稲垣さん、僕達はこのし合いに反対する人達を集めて、脱出する手段を探すつもりでいるんだ。
協力して欲しい。貴方の大切な人と、僕のクラスメイトも捜さないといけないしね」
「分かった、宜しくラト君、それに、レイちゃん」
「! …あ、ああ(レイ”ちゃん”と呼ばれるのも新鮮だ…今まで大抵呼び捨てか”さん”付けだったしな)」
葉月、ラト、レイの三人はまず林地帯を抜けるべく歩き出した。
- 13 :
- 【早朝/D-4小中学校】
【稲垣葉月@オリキャラ】
[状態]肉体的疲労(中)、精神的疲労(大)
[装備]AKS-74(30/30)、九〇式鉄帽
[持物]基本支給品一式、AK-74弾倉(5)
[思考・行動]
基本:レックスに会いたい。
1:ラト君とレイちゃんと行動する。
[備考]
※ロワ参加前からの参戦です。
※ダーエロの外見を記憶しました。
※ラトのクラスメイトの情報を得ました。
【ラト@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]バスタードソード
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:し合いを潰す。
1:稲垣さん、レイさんと行動。
2:僕は、死んだはずじゃ…。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※レックスの情報を得ました。
※特殊能力の制限については現時点では不明です。
【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]M/1914コングスベルク・モデル(7/7)
[持物]基本支給品一式、M/1914弾倉(2)、トランジスタラジオ
[思考・行動]
基本:し合いを潰す。首輪を外したい。
1:ラト、稲垣葉月と行動。
[備考]
※ロワ参加前からの参戦です。
※レックス、ラトのクラスメイトの情報を得ました。
- 14 :
- 投下終了です
- 15 :
- てすと
- 16 :
- 投下します俺得6 22:下衆極まる獣 登場:アインリア、仲販遥
時間帯を早朝から朝に変えます
- 17 :
- 22:下衆極まる獣
とある民家の中。
魔狼、アインリアは満足気な表情を浮かべ支給品の煙草で一服していた。
「あ……う……いたいよぉ……」
傍には全裸の少女が嗚咽を漏らしている。引き裂かれた衣服が散乱していた。
アインリアは煙草を消し嗚咽を漏らす少女の元へ歩み寄る。無論慰めるためなどでは無い。
「君は痛かったかもしれないけど、俺は凄く気持ち良かったよ?
いやあ俺は運が良い、君みたいな巨の美少女を見付けられたんだから、しばらく愉しませてもらうよ。
ね? 遥ちゃん」
「ひ、ひどいよ、ひどいよアインリアさんどうして、どうしてこんなことするの!?」
「え? どうしてって、女の子を*すのは気持ち良いからだよ?」
「…おに! あくま! げどう!」
「鬼でも悪魔でも外道でも結構だけど、そんな事より、俺の汚れてるから遥ちゃんのお口で綺麗にしてよ」
「ひっ……」
激昂する遥の言い分などお構いなしに畜生の狼は己自身の後始末を遥に強要する。
体液に塗れたそれを眼前に突き付けられ遥の表情が引き攣る。
「ほら、早くぅ」
「いや!」
「お口開けて、あーん」
「やだ! や、むぐっ……ううううう!」
「ああ……上のお口も良いねぇ、言っておくけど、噛み付いたりしたら君の柔肌が俺の爪と牙で裂ける事になるよ?」
「……ッ」
「そうそう、良い子だね、聞き訳が良いよ。あ、……はぁん……もっと舌を絡ませて……先端を……」
「……」
遥の目から涙が零れる。
どうしてこんな事をしなければいけないのか。
し合いで死んで、生き返ったと思えばまたし合い、そして今は、狼の化け物の欲望をしゃぶらされている。
(えいたくんにあいたい…)
このし合いの場のどこかにいると思われる、以前のし合いで自分を助けてくれた少年の事を頭の中に思い浮かべた。
しかしそれも狼が唸り声を発したと同時に喉の奥に注がれた熱くねっとりとした感覚で中断された。
とても獣臭く、濃厚なそれに、たまらず遥はえづき、咳き込み、畳の上に白く濁った液がぶちまけられた。
「ふぅ、良かったよー」
「うっ…もう、いやだ…」
「ああ、でも、こんなに吐き出して…もったいない、お仕置きが必要だね」
「え? ……やだ、やだ!!」
激しく抵抗する遥。
次第に業を煮やしたのか、アインリアは鋭い爪の付いた前足を遥の目に突き付ける。
「!!」
「あんまり手間掛けさせると、ね? 分かるでしょ?」
「……」
「やっぱり君は良い子だね、素直だ。さっきは痛くしちゃってごめんね。今度は君も気持ち良くするから……」
「あ……う」
- 18 :
- もう自分は助からないのか、このままこの狼に蹂躙されるのか。
誰か助けて――――遥は切に願う。
だが、現実は大抵人を裏切る。
狼は宣言した通り、自分だけでなく遥にも気を配った。
獣のざらついた舌、唾液、毛皮の感触、凄まじい速度の腰の動き、人間のそれとは明らかに違う獣の――――。
今まで快楽を知らなかった身体は段々と、本人の意思には関係無く獣に順応してしまっていく。
「どうしたの遥ちゃん? もっと欲しいの?」
「……」
「聞こえないよ?」
「……と」
「ん?」
「もっと……もっとください……」
言いたくなかったのに、止められなかった。身体が求めて、求めて、止められなかった。
(えいた……くん……ごめん………ね………わたし………もう……………)
快楽に支配されていく思考の中、遥は思い浮かべた。
もしかしたら、心から好きになっていたかもしれない少年を。
何度も何度も絶頂に狂った少女は、最期は狼の牙で喉笛を切り裂かれ、文字通り昇天した。
遥の持っていたデイパックから、自動拳銃シグザウエルP226と予備弾倉、軍用スコップを手に入れ、
アインリアは再び一服する。
「流石にちょっと疲れたな……どこか別の家で休もうか……ありがとうね遥ちゃん、凄く気持ち良かったよ」
少女の死体を見ながらアインリアは言った。
【仲販遥@自作キャラでバトルロワイアル 死亡確認】
【残り 37人】
【朝/E-3住宅街・長谷川家】
【アインリア@オリキャラ】
[状態]肉体的疲労(中)、満足
[装備]草刈鎌
[持物]基本支給品一式、煙草、シグザウエルP226(15/15)、シグザウエルP226弾倉(2)、軍用スコップ
[思考・行動]
基本:自分の欲望の赴くままに行動し、ついでに優勝も目指す。
1:可愛い女の子は犯してからす。それ以外は甚振ってすかさっさとすか無視。
[備考]
※ロワ参加前からの参戦です。
※◆xR8DbSLW.w、玉堤英人の外見を記憶しました。
※仲販遥が玉堤英人のクラスメイトだと言う事は知りません。
- 19 :
- 投下終了です すまん遥 決してこういう展開のためだけにお前を出した訳ではないのだよ
- 20 :
- 投下乙です。
うぅ…すごい外道な…。
自分選ロワ投下します。
6 信じる者は救われない
登場人物:灰葉スミオ、刻命裕也
- 21 :
-
「…緊急事態<メーデー>だ」
牛舎にて一人の男が声を震わせながらつぶやいていた。
彼の名前は灰葉スミオ、エニグマと言うものに呼ばれ、e-testなるものを受けていた生徒の1人である。
そのe-testが終わり、これからが正念場と言ったところであった。
だが、待っていたのはし合い。
それは灰葉スミオにとっては怒りしか抱かなかった。
彼は、お人よしである。
そして、誰よりも優しい。
敵であろうが、人を疑う事を知らないような人物だ。
そんな人間がこのし合いに呼ばれてする行動は簡単だ。
「…安心院なじみ、俺はお前を許さない!絶対にこんなし合いなど、潰してやるのだっ!」
「叫ぶのは良いが、後ろに敵がいた時どうするんだ」
「っうおぉ!…お、驚かすなっ!心臓に悪いだろう!」
「悪かったな…俺は刻命裕也だ」
「俺は灰葉スミオだっ!よろしくな、裕也!」
「名前呼びはやめろ…気色悪い」
「気にするなっ!とにかくよろしく頼む!」
スミオが手を出すが、刻命はしかめっ面をする。
一つため息を吐いて刻命は手を握る。
「よろしくなっ!では行こうではないか!」
「……そうだな、だが」
外に出ようと刻命に背中を向けていたため、顔が見えなかった。
だが、何か今までの声のトーンと違った気がした。
刻命の方を向こうとすると、胸部に違和感を感じた。
そこから徐々に熱いものが出ていく感触があった。
「あ、な…なんで、だ」
「……初対面の俺を信じるなんて、馬鹿にもほどがあるな…まぁ、他人を信じて死ぬなんて言うのは傑作だな…」
灰葉スミオは前のめりに倒れる。
ポケットから落ちた携帯電話には、刻命裕也の名前があった。
今となっては遅い、灰葉スミオの能力。
携帯電話を確認していれば、こうはならなかったのかもしれない。
だが、これがお人よしの末路である。
信じる者は救われない、それがこのし合いでの鉄則だ。
「ハハッハア!いいな…!人をすって言うのは…!」
刻命は右手に持った果物ナイフを指で回しながら牛舎から出て行った。
【灰葉スミオ@eniguma【エニグマ】 脱落】
【残り人数 89人】
【朝/H-4】
【刻命裕也@コープスパーティ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品、果物ナイフ@現実
[思考・状況]
基本:し合いを楽しむ
1:とりあえずうろつく
[備考]
※Chapter3にて持田由香と会う前からの参戦です
- 22 :
- 投下終了です。
参加者追加します。
【ジョジョの奇妙な冒険part1 ファントムブラッド】
ジョナサン・ジョースター / ディオ・ブランドー / ロバート・E・O・スピードワゴン
- 23 :
- 皆さん、投下乙です。
新ロワ期待しています。
では自分も、俺ニコロワ投下します
- 24 :
- 俺ニコロワ08話:救われぬ者に救いの手を
C−3にある、地図上ではウィッチーズ基地と名付けられた古城。
その城内にある食堂にてケイネス・エルメロイ・アーチボルトは、このし合いについての考察を行っていた。
この場に連れてこられる寸前まで参加していた聖杯戦争。
過去の英霊達を現界させて執り行われる聖杯戦争は、云わば魔術師としての高潔さを競う場でもあった。
己のサーヴァントを戦い合わせ、またマスター同士も代々伝わりし魔術の力をもって正々堂々と戦い合う。
己の命を賭けた、誉れ高き戦争。
それが聖杯戦争だ。
だが、このし合いとやらはどうだ?
先の場を見ただけでも、魔術のまの字も知らないような一般人が何人も見受けられた。
戮を愉悦と感じるような狂人が何人も見受けられた。
成程、中には高潔さと実力を兼ね揃えた魔術師もいたのだろう。
しかし、力を持たぬ一般人を巻き込み、それどころか悪鬼の如く狂人と同じ檻に閉じ込め、し合わせる行為は一体何なのだ?
命懸けの覚悟をもたぬ者達を集め、生き延びたければ、願いを叶えたければ、しあえと。
そんな畜生にも至らぬ行為を強制させる、先の存在はなんなのだ?
「ランサー、貴様はこのし合いをどう捉える」
沸々と沸き上がる感情を抑えながら、ケイネスは口を開いた。
その横に待機していたのは、聖杯戦争でのケイネスのサーヴァントたる男。
ディルムッド・オディナ。ケルト神話に登場する、フィアナ騎士団随一の戦士である。
サーヴァントとマスターとの魔力的な繋がりを通して、ランサーはケイネスの居場所を把握し、いち早く馳せ参じたのだ。
槍兵は膝を折り、頭を垂らした状態でランサーはケイネスの声を聞いているが、その表情は幾許かの驚きに染まっていた。。
主従の契りを経て数日の時間が経過していたが、ケイネスがランサーに意見を問うたことなどない。
少なくともランサーの記憶には、そのような事などなかった。
ランサーは面を伏せたまま、主の問い掛けに答えた。
「……とても許し置けるものではありません。今すぐにでもかのもの首級を上げ、この陰虐なし合いを終わらせたく思います」
答えはランサーの気持ちを正直に表したものであった。
戦う力も持たぬ民人を巻き込んでのし合いなど、騎士の誇りが許さない。
ランサーの心は、エクストリームガンダムへの敵愾心と、弱きを守るべくの騎士道に染まっていた。
「そうか……ならば、我がサーヴァントよ。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが命じる」
ランサーの真摯な言葉を受け、ケイネスは立ち上がる。
瞳には一片の迷いもなく、言葉には一雫の陰りもない。
主の言葉を平伏の姿勢で待つランサーへと、力強い声色で呼び掛けた。
「―――ディルムッド・オディナの双槍をもって、弱きを踏み躙る外道を討ち滅ぼし、弱き者全てを救って見せよ」
ランサーの表情が、今度こそ驚きに染まった。
- 25 :
- それは、その命こそは、ランサーが待ち望んでいたもの、そのものだった。
面を上げ、主の顔を見る。
「私は首輪の解除に専念する。私が首輪の解除法を模索している間、しあいの阻止については貴様に全て任せる。
己が信じる道を選び、己が思うように双槍を振え。その行動全ての責は、マスターたる私が受け持つ。貴様は自分が思う騎士道を貫けば良い」
言葉が、ランサーの鼓膜を叩く。
ランサーは騎士として、己の忠節を尽くし聖杯戦争での勝利を主に捧げることを、唯一つの願いとして現界した。
生前は果たせなかった騎士としての忠節の道。
主は命じた。弱きを救い、外道を討てと。
それはランサーが思い焦がれていた選択と同意義のものであり、まさに騎士の望むべく道であった。
ランサーは、眼前にいるマスターと、心の奥底で通じ合う何かを感じずにはいられなかった。
「我が主―――ケイネス・エルメロイ・アーチボルト殿よ! 主のご期待に必ずや添う事を、ディルムッド・オディナの名に誓わせていただく!
授かりし使命、騎士の誇りと己が全てをもって成し遂げていたします!」
沸き上がる義憤が身体の芯に炎を灯し、漲る活力となってランサーを支える。
我が二度目の生は、この主の為にこそある。
もはや願望は殆ど成就したに等しかった。槍を持つ身体が、これほどまでの昂揚感に包まれたのは何時程ぶりか。
「―――ディルムッド・オディナよ。貴様の武功を期待する」
「―――御意」
もはや二人の主従に言葉はいらず、槍兵は万感の滾りでもって場から立ち去り、魔術師は一縷の迷いもない信頼で槍兵を見送った。
槍兵が消えた先は南。ならば魔術師は北を目指すことを決めた。
地図上にある数多の施設。その名称を見ながら、少しでも首輪解除の手掛かりになりそうなものを探す。
槍兵と魔術師、二人のバトルロワイアルが此処に始まった。
- 26 :
- 【一日目/深夜/C-3・ウィッチーズ基地】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@順調すぎる Fate/Zero ランサー陣営編】
[状態]健康
[装備]令呪(三画)@Fate/Zero、水銀の入った試験管@Fate/Zero
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
基本:首輪を解除する
1:北上し、会場にある施設を見て回る
[備考]
※動画:【MAD】順調すぎる Fate/Zero ランサー陣営編 からの出典のため綺麗なケイネス先生です
【ランサー@Fate/Zero】
[状態]健康
[装備]破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)@Fate/Zero、必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)@Fate/Zero
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜1
[思考]
基本:主の命に従い、し合いを止める
1:外道を討ち、弱きを救う
2:セイバーと出会ったら決着を付ける
[備考]
※原作からの参戦です。少なくともセイバーのことは知っています
・動画紹介
順調すぎる Fate/Zero ランサー陣営編
Fate/ZeroのMAD。綺麗なケイネスとランサーが順調に聖杯戦争を勝ち進んでいく動画。
切嗣の作戦を読み切る洞察力と、完璧な魔術工房を容易く切り捨てることのできる決断力を併せ持ったケイネス先生が五臓六腑の活躍を見せる。
……まぁ、○オチなんですけど
- 27 :
- これにて投下終了です。
これがやりたかった…(恍惚)
- 28 :
- 投下乙です
投下します 俺得6 23:至高の存在、空気
登場:◆xR8DbSLW.w、玉堤英人、ムシャ
- 29 :
- 23:至高の存在、空気
xRは傷の痛みを我慢しながら自分のデイパックに入っていた、
大型の回転式拳銃マグナムリサーチBFRを眺めていた。
右腕上腕を負傷している身でこんな大型の銃を扱えるのか疑問だったが武器がある事は一応の安心感がある。
病院で自分の命を救ってくれた玉堤英人は現在身を潜めている民家の中を物色している。
カレンダーに書かれた年や、卓袱台の上の新聞の記事などに興味を引かれていたのを見かけた。
「しかし…何か」
それよりもxRは気になる事があった。
(視線を感じるような……気のせいか?)
部屋のどこかから自分に注がれる視線のようなものを感じていた。
しかし英人は別の部屋に移動していてこの部屋――恐らく居間――にはいない。
自分以外にはいないはずなのだが。
(いないよな、でも何か感じるような)
”気付いているんだろ…?”
「!?」
声が聞こえた。英人のものでは無い、男の声だ。
”俺の気を感じ取れ……目を凝らして良く見るんだ……”
「な、何だ、何だよ…?」
”ここだ……俺はここにいる……”
「……?」
声のする方向に目を向け、意識すると、段々と像が浮かんできた。
それは、最初は何なのか全く見当も付かなかったが、像がはっきりとしてくるにつれ、
それが和風の鎧を着込んだ鎧武者だと言う事が分かってきた。
「な、な……!?」
「驚かせちまったかな」
驚くと言うレベルでは無い、何しろ今まで何も無かったはずの空間に鎧武者が出現したのだから。
口を開けたまま呆然とするxRに鎧武者が歩み寄る。
「ちょっ、え」
「ああ待て待て、俺はし合う気は無い、取り敢えず話を」
「どうしたxR、何かあったのか……、!? 誰だ!?」
部屋に戻ってきた英人が鎧武者に拳銃を向ける。
「待て待て待て! 俺はやり合う気は無い! 話を聞いてくれ!」
銃を向けられ流石に焦る様子を見せる鎧武者。
「……」
「英人、取り敢えず何もしなさそうだし話、聞いてやろうぜ」
「そうだな……」
xRに促され英人は銃を下ろし、鎧武者は安堵した表情(仮面で良く分からないが)を浮かべた。
- 30 :
- 「俺はムシャ、魔王軍四天王の一人だ」
「魔王軍? 四天王?」
「何だそりゃ…」
「? 魔王軍を知らないのか…? もしかして別の世界の人間なのか」
話が噛み合わないxRと英人に、ムシャと名乗った鎧武者の男は自分の身の上や世界の事を、
出来る限り簡単に説明した。
「むぅ…分かったよ」
「何となく分かった」
「本当に分かってくれたか?」
「ま、まあ……」
「神は言っている、分かったと言わなければ話が進まないと」
「……何にせよ分かってくれたなら良いか」
「…ムシャさん、だったか」
「さんは付けなくてもいいぜ」
「あ、ああ……ムシャ」
英人がムシャに質問を投げ掛ける。
「いつからここにいたんだ?」
「お前らが来る前からさ」
「…それなら来た時にどうして出てきてくれなかったんだよ?」
「あー、それはなxR……悪かった。いつもの癖でステルス化しちまってたみたいでな」
「ステルス化…気配も姿も消せる能力、と解釈すれば良いのか? 凄いな…」
「英人だったか、まあそんな所だ」
「地味にすげぇ…」
英人とxRが民家を訪れた時、ムシャの気配も姿も全く感じなかったし見えなかった。
ムシャの能力に二人は感嘆の声をあげる。
「…所で、英人にxR、鉢巻を巻いた青年、紅白鎧のウザい男、髭の大男、金髪エルフ、
白髪エルフ男、水色髪のハーピー、角の生えた女性、或いは少女、どれか一つでも見てないか?」
「いや、見てない…青と白の狼の化け物なら見たけど」
「俺も…この傷はその狼にやられたんだ…ムシャの知り合いか? その人達は?」
「ああ……」
「…僕も知り合いを捜しているんだが…」
英人とxRも自分のクラスメイト及び知り合いの事をムシャに訊いたが、
先程の自分達と同じような返答が返ってくるに留まる。
この場にいる全員がそれぞれの知り合いを捜している事が分かった時点で、ムシャが口を開いた。
「英人にxR、折角だ、一緒に行動しようぜ。目的は一緒だろ?」
「し合いを潰して脱出する…そうだな」
「良いけど、あんた強いのか? ムシャさんよ」
xRが疑念の眼差しをムシャに向ける。
ムシャは腰に差していた苗刀を鞘に入ったまま抜き取り二人に向け突き出す。
「剣の腕には自信がある、銃相手でもそうそう遅れは取らないさ。信じてくれ」
仮面の奥に見える双眸は、自信と強固な意思が確かに感じ取れた。
- 31 :
- 【朝/D-2住宅街:張田家】
【◆xR8DbSLW.w@非リレーロワスレ書き手】
[状態]右上腕裂傷(処置済)、鼻先に軽い傷
[装備]マグナムリサーチBFR45-70(5/5)
[持物]基本支給品一式、.45-70ガバメント弾(10)
[思考・行動]
基本:し合いをする気は無い。とにかく生き残りたい。
1:英人、ムシャと行動。
2:他の書き手さんはどうしてるんだ…?
[備考]
※他書き手と面識がある設定です、また、他書き手オリキャラの情報をある程度持っています。
※アインリアを危険人物と認識しました。
※玉堤英人のクラスメイト、ムシャの知り合いの情報を得ました。
【玉堤英人@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]ベレッタM92FS(14/15)
[持物]基本支給品一式、ベレッタM92弾倉(2)
[思考・行動]
基本:し合いはしない。
1:xR、ムシャと行動。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※アインリアを危険人物と認識しました。
※◆xR8DbSLW.w、ムシャの知り合いの情報を得ました。
【ムシャ@VIPツクスレ・もしもシリーズ】
[状態]健康
[装備]苗刀
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:し合いを潰し脱出する。
1:英人、xRと行動。
[備考]
※アインリアの情報を得た上で危険人物と認定しました。
※玉堤英人、◆xR8DbSLW.wの知り合いの情報を得ました。
※ムシャステルスが使えるようですが制限については不明です。
- 32 :
- 投下終了です。
- 33 :
- 新ロワ乙に、スレ立て乙に、投下乙です。
それでは投下します。予選ロワ 2話:図書館にて
登場:宇骨計 十村鈍吉 藁畝薊
- 34 :
- 美しい死に方。それを俺は求めている。しかしそんな方法は中々見つからない。
外傷を残さず、痛みがなく、一瞬のうちに死ぬ。それが自分の求める死に方。
首吊り自はどうか。首に傷が残るし、苦しむ。ダメだ。
練炭を使うのはどうか。痛みはない、しかし、一瞬でない。ダメだ。
睡眠薬を使うのはどうか。下手をすれば生き残り中毒になりかねない。ダメだ。
投身自はどうか。外傷が残るし、下手をすれば生き残る。ダメだ。
他にも述べるとキリがない、十回は自しようとしたが、どれも美しくないと思いやめた。
やはり心破裂を起こして死ぬのがもっとも美しいと思っている。
つまり俺をすのであればデスノートでも持ってこい。それが条件だ。
できれば早くしてほしい。老人まで生きたくない。早めにしてくれ。
「全く…バトルロワイアルか…」
そう言う宇骨は静かにイスに座り本を読んでいた。
ここはC-6、D-6に位置する図書館。色々な本が存在する。
彼は紅茶を飲みながら本を読んでいた。
なぜ、紅茶があるのか、宇骨はデイバッグを開くとそこにはティーセットとロングボウと矢が入っていた。
早速紅茶を作り、飲みながら本を読んでいる。これが今の状態だった。
これを読み終わったら行動を開始する。宇骨はそう思っていた。しかし
「う、動くなよ!動いたら撃つからな!」
その男が現れるまでは。
宇骨はゆっくりと手をあげ、後ろを向く。それくらいはしても撃たれないと踏んだからだ。
見ると汗ばんだスーツ姿のおっさんがいた。
足は短足、ブタみたいな足。腹回りは非常に分厚そうな脂肪に覆われている。まさにブタ。顔はむくんでいて鼻が大きく、メガネをかけている。やはりブタだ。
総合的に見てブタとしかいえない外見のおっさんが銃を構えている。
「お、お前!し合いに乗っているのか?」
「乗っていません。そちらも乗ってませんよね?」
「も、もちろんだ!乗るわけないだろう!」
おっさんは上擦った声で問い、乗っていなかったと分かった瞬間、安堵の表情を見せた。
それと同時に持っていた銃をおろし、その場に座り込んだ。
- 35 :
- 「ふ〜最初に会ったのが君でよかったよ。私の名前は十村鈍吉だ。」
「初めて会った人を信用していいんですか?」
現にそれで死んだ人がいることを宇骨は知らない。念のため聞いているのだ。
おっさんは二コリと笑うと
「君から気は感じない。だから大丈夫だ!」
「はぁ…宇骨計です。それにしても・・・いや、なんでもないです。」
失礼極まりないことを平気で言おうとしてしまった…
しかしおっさんをそれに気づいたのか、優しい笑顔で
「この体のことかい?ブタに見えるだろう?笑えるよな!ハッハッハッ!」
「はぁ…」
と笑い飛ばしてくれた。どうやら体型は気にしてないらしい。
どうやらこのおっさんはどこかの会社に勤めるサラリーマンらしい。
非常に仕事ができると自慢げに話してくれた。半分聞いてないが…
部下にも慕われているとも話す。こっちは何とか全部聞けた…
「それでこの後どうするんですか?十村さん。」
「もちろんこのし合いにはのらなっ”……
その瞬間十村は正面に倒れた。
その後ろには片手にハンマーを持った女が一人いた。なぜ気づかなかったのか…
急すぎた展開に動くことができない。
その女はまたハンマーを十村の頭に振り下ろす。何度も、何度も。
しだいに十村の頭が潰れていく。そのさまを見て宇骨は
綺麗だ…
- 36 :
- その女には彼女がいた。優しかったし、彼女に尽くしてくれた。
彼女の名前は、藁畝薊。
大工の娘である。
もちろん彼女も大工として生きるつもりである。彼とともに…
しかしそれは叶わぬ夢とかした。
このバトルロワイアルで彼は死んだ。目の前で爆破されて。
彼女の目に映るのは首から上がない彼の死体。
彼女を壊すにはそれで充分だった。
D-5に位置する森に転送された彼女は迷わず図書館に入った。
片手にハンマー、そして座り込んだ男を見かけるとそこに近づきハンマーを振り下ろす……
――――――
もちろん美しくない。しかし、それは死に方だ。し方としては綺麗だ。
おっさんには申し訳ないがし方は綺麗だ。文句の言いようがない。
まだ女はおっさんの死体にハンマーを振り下ろしている。そろそろおっさんの全身の骨は粉々なのではないだろうか。
宇骨はイスに座り込む。そして冷めた紅茶を飲む。
女のやっていることが終わるまで待とうかと考えている。
彼女の最後を見届けたくなったからかな。さて
「それまで本を読もうかな。」
そう宇骨は呟くと読みかけの本を手に取りまた読み始めた。
ちなみに紅茶はおいしかった。
- 37 :
- 【十村鈍吉 死亡】
【D-6/図書館/一日目・日中】
【宇骨 計】
[状態]健康、強い自願望
[装備]ロングボウ、矢×15
[道具]支給品一式、ティーセット
[思考・行動]
基本:生き残る。まずは…
1:ゆっくりと本を読む。
【藁畝 薊】
[状態]精神崩壊
[装備]ハンマー
[道具]支給品一式、ランダム支給品×1
[思考・基本]
基本:???
1:この男を粉々にする。
【参加者特徴】
宇骨計
高校1年生。学校には来るが屋上に行き本を読むだけに学校に来ている。
自を図ろうとしたことがあり10回もあるとか。
自願望があり、美しく死にたいと思っている。
十村鈍吉
ブタのような外見をした男性。しかし体型は気にしていない。
職業はサラリーマン。独身。仕事はデキる。
見た目に反し運動ができるとか(本人談
藁畝薊
高校1年生。大工の娘。卒業したら跡を継ぐと決めている。
彼氏がいる。彼氏との関係は良好。
積極的に人と関わる明るい性格だったが…
- 38 :
- 投下終了です。
何かおかしな点があればどうぞ。
- 39 :
- 投下乙です。
では自分も。俺ニコロワ09話投下します
- 40 :
- 俺ニコロワ09話:ロリコン超能力者と百合魔導師(CV.大塚明夫)が天国へと全力疾走していくお話し
学園都市が誇る第一位の超能力者・一方通行(アクセラレータ)。
最強の能力者とされる少年が、し合いの場にて君臨していた。
首には黒色のチョーカー、右手には現代風の杖。
一歩、一歩と進むたびに杖へと体重を預け、身体を不自然に傾けながら道を進む。
一方通行がいる場所は市街地であったが、電気の灯ったビルなど一つもなく、灯りといえば定間隔で置かれた街灯くらいしかない。
物音も聞こえない。
車が通る音、人々の歩く音、ビルの隙間を通り抜ける風音すらもなかった。
怖いほどの静寂に包まれたビル街に、最強の能力者が歩み進む音だけが響く。
(いいね、いいね、最ッ高だねぇ!! 愉快に素敵に決まっちまったぞォ!!)
一方通行は歪んだ愉悦に染まった笑顔を浮かべる。
突然始まったし合い。
集めた人々を前に謎の存在が告げた事は、生き延びてければしあえというもの。
成る程、狂っていると断じるに充分すぎる内容ではあった。
『闇』に身を置き、『悪党』を自称する一方通行としては、意を覚えずにはいられない。
光の世界に生きる住人すら巻き込んだ、あまりに馬鹿げたし合い。
あのコスプレ野郎は、死体の一欠けらと残さずぶちす―――そう、一方通行は心の中で断じていた。
「上から見てみたが、参加者の姿は見えないな。どうやら森林の向こう側は市街地になっているようだが」
―――だがしかし、今この瞬間一方通行が浮かべる笑顔は、エクストリームガンダムへの意からのものではなかった。
一方通行の視線はある一点に集結していた。
それがさも当然のように、夜空を背に空を飛ぶ少女。まだ幼げな面持ちに、膨らみのない平坦な身体。
一方通行の頭上にてフワリと宙に浮き、少女はその見た目とは反した野太い声で語りかけてくる。
「そォか。なら、まずは市街地を目指すぞ」(おいいいい、何つー際どいアングル見せやがるんですかァ! さそってんですか、このガキはァ!!)
少女の姿を真下から見上げながら、一方通行は口だけは冷静に言葉を飛ばした。
顔にはこれ以上ないほどの満面で下劣な笑顔が浮かんでいるが、空中の少女からは見えることがない。
空を舞う少女の恰好は、黒色のレオタードに申し訳程度のスカートとマントを身に付けただけの、何とも露出度の高いものであった。
真下の一方通行からは隠されるべき点が殆ど丸見えである。
空中の少女を、更に言うならば空中の少女の股間あたりを凝視しながら、一方通行は必死に興奮を抑えていた。
「……了解だ。異論はない」
そんな下品な視線にさらされている事も知らずに、少女は一方通行の意見を了承する。
一方通行の隣へと舞い降り、視線を市街地がある方角へと向けた。
「なら、行くぞォ」(あー、やベェ! 何か良い匂いがする!! モフモフしてェ! モフモフしてェぞ、おいィイ!!)
既に一方通行の表情も、普段浮かべている他人を拒絶するかのようなしかめっ面へと戻っていた。
惚れ惚れする変わり身の早さに、少女はやはり一方通行の心底にある下劣な感情に気付くことはない。
ロリコンと少女、危険な臭いしかしない二人組が森林を進んでいく。
- 41 :
- ◇
そして、十数分程の時間が経過したところで、ようやく危険な二人組は市街地へと辿り着いていた。
高いビルディングの並ぶそこを見渡しながら、少女は目的の人物を探す。
W.D.M.G(ホワイト・デビル・マジシャン・ガール)。またの名を高町なのは。
少女―――フェイト・T・ハラオウンの親友にして嫁である女性だ。
共にこの場に召喚されたなのはの探索を、フェイトは何よりも優先して行動していた。
なのはとの合流。それだけがフェイトを突き動かす指標であった。
なのはの為ならばし合いに乗ることもできるし、なのはがし合いに乗らないというのならし合いには乗らない。
フェイトにとってなのはは全てである。
一方通行と行動を共にしているのも、殆ど成り行きであり、言ってしまえば一方通行が無理矢理付いてきているようなものだ。
正直、どうでも良い存在であった。
邪魔だと感じれば、今この瞬間に害することだって出来る。
(彼女の気配はないか……くっ、確かに彼女の存在は感じるというのに……!)
フェイトの表情には目に見える焦燥があった。
兎にも角にも会いたくて仕方がない。
そんな心中の表れは、隣の一方通行にも容易く感じ取れた。
「落ち着けェ。焦ったところでなンも変わりはしねェぞォ」
「……すまない」
杖を持つ方とは逆の手で、一方通行は優しくフェイトの頭に手を置いた。
傍から見れば子どもを宥めつかせようとする大人の対応。
そして、弱弱しく目を伏せたフェイトは、まるでその一言に心を落ち着かせた子どもの対応。
中々に睦まじい光景であるが、だが当の本人達の心中はまるで違った。
(ああああああ!! その表情は反則だろォがよおおおお!! やべェよ! 俺の理性が風前の灯火ですよ、オイィ!!)
(さ、ささささささ触られた……なのはしか撫でることの許されない私の聖域を、この白ゴボウが撫でただと……!!)
両者ともに相当に異常な思考を辿っている。
至福の中にいる一方通行は、フェイトが噴出させる漆黒の意に気付かない。
屈辱の中にいるフェイトは、一方通行が身から滾らす劣情に気付かない。
いっそしてしまうか、とフェイトは手中のバルディッシュへと魔力を流入させる。
「フェイトちゃん、やっと見つけた!」
その時であった。
闇の中から、声が聞こえた。
声が届いた瞬間、フェイトの心中から一方通行の存在など影も形もなくなる。
なのは。なのはの声だ。
フェイトの心に浮かぶは愛らしい微笑みを浮かべる親友の姿。
頭を撫でる手を払いのけ、フェイトは闇の中へと走り出す。
- 42 :
- 「こっちだよ。フェイトちゃん!」
あそこだ。ビルとビルの間の路地裏。
なのははあそこにいる。
あそこから声を掛けてくれているのだ。
待ってて。今直ぐに行くから。
「なのは!!」
野太い声を張り上げながら、フェイトが路地裏へと飛び込む。
そんなフェイトの姿を愛おしく思いながら、一方通行も路地裏の方へと足を進める。
あのフェイトが言っていた少女。おそらくはフェイトと同等、もしくはそれ以上の可愛さなのだろう。
(ッエーイ☆ ロリもう一匹ゲットってかァ!! 何なんですか、ここはァ! 天国か、天国なんですかァァァ!!)
ただでさえ赤い瞳を更に血走らせながら、一方通行は天使二人が待つ路地裏を目指す。
不自由な身体がこれほど煩わしく感じたことはない。
僅か十数メートルの距離が、まるで拷問のような距離だ。
もう制限時間など無視して能力を解放してしまおうか、などと考えながら、一方通行は着実に路地裏へ近づいていった。
そして、ついには辿り着く。
一度大きく深呼吸をして、一方通行は念願の天国へと一歩踏み出す―――
「―――アァ?」
―――その直前で、『何か』が一方通行へと飛んできた。
丸いバスケットボール程の大きさの『何か』。
片手が塞がっている一方通行には、その『何か』をキャッチすることができなかった。
『何か』は一方通行の痩躯に当たった後で、地面へと転がり落ちる。
『何か』は水にでも濡れていたのか、それが触れた箇所の服が生暖かく湿る。
一方通行は、暗闇に落ちた『何か』を凝視するよりも早く、腰に刺さった拳銃へと手を伸ばしていた。
殆ど反射的な動作だ。五感よりも先に、『闇』を生き抜いてきた一方通行の勘が働いていた。
「ッ、がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
だが、その俊敏な動作をもってですら、至らない。
一方通行の肩から腹に掛けて、熱い何かが通り抜ける。
力が抜け、立っている事すら敵わない。
激痛に一方通行の意識が漆黒に染まっていく。
自身が倒れたことすらも理解できない状況で、一方通行は見た。
先程飛んできた『何か』の正体と、闇の中にいる者の顔。
『何か』は微笑んでいた。
『何か』は歓喜だけが存在する中にあった。
『何か』―――フェイト・T・ハラオウンの生首は、生首だというのに満面の笑顔を浮かべていた。
天使の笑顔に見守られながら、一方通行は深淵へと意識を落としていった。
路地裏に待っていたものは、本当の意味での天国だったのかもしれない。
- 43 :
-
「ふぅ、これで二人ですか。存外力を有しているようでしたが、これなら案外楽勝かもしれませんね」
そして、意識を失った一方通行を見下ろしながら、闇の中から彼女は現れた。
参加者名簿にてセイバーと記されている英霊(サーヴァント)。
伝説の騎士王。アーサー・ペンドラゴンがその人が、そこにはいた。
順調に聖杯戦争を勝ち進んでいたセイバーであったが、気付けばこの場所にいた。
何でも願い事を叶えてくれるという、聖杯戦争と同様の誘い文句。
マスターも参加しているのならいざ知らず、この状況でセイバーがし合いに乗らぬ道理などなかった。
優勝を目指す為に早速参加者を探し回り、フェイトと一方通行の姿を発見した。
強力な魔力を有したフェイトを見て、セイバーが選択した作戦は、彼女特有のスキル『精神攻撃:A+』を活用しての陽動作戦。
相手の弱点を見抜き、想い人の声色を真似て路地裏へ近づかせ、隙だらけのその首元へと渾身の一閃を見舞う。
次いで現れた一方通行にも不意打ちの一撃を当てるだけ。
何とも簡単な作業であった。
「マスターもいれば、もっと効率良く参加者を減らせるのでしょうが……だが、それでは優勝を目指すこともできなくなるか。何とも面倒なものです」
セイバーは『、眼下の一方通行へトドメを刺そうと、『風王結界』にて不可視にした剣を振り上げる。
そこで気付いた。
一方通行の姿がない。
物音もなく、動く気配もなく、一方通行は何処へともなく消えていた。
「な……馬鹿な! 動けるような傷じゃなかった筈だ!」
焦りの声を上げながら周囲を見るも、あるのはフェイトの生首と首のない死体だけ。
一方通行の姿は、その移動した後に出来るはずの血痕さえもない。
ダ、と人外の力で地面を蹴り、月下の市街地を見回す。
だが、誰もいない。静寂で無人の市街地が広がるだけであった。
「逃がした……のか。まさかあの状態から逃げ果せるとは……」
失意と屈辱の中でセイバーは強く唇を噛んだ。
自身の詰めの甘さに怒りを覚えずにはいられなかった。
【一日目/深夜/D-1・市街地】
【セイバー@順調すぎる Fate/Zero セイバー陣営編】
[状態]健康、外道王
[装備]約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fate/Zero、騎士甲冑@Fate/Zero
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜1
[思考]
基本:優勝し、願いを叶える
1:参加者を探し、害していく
[備考]
※【MAD】順調すぎる Fate/Zero セイバー陣営編からの参戦です。動画補正で(かなり)外道です
- 44 :
- ◇
「バレて……ねぇよな。くそっ、何なんだ、あのアマは」
そんなセイバーの、十数メートル先の道路にてエドワード・エルリックは小さくごちた。
その小さな背中には気絶状態の一方通行が背負われている。
一方通行の命の危機を救ったのは、まさにこのエドワード・エルリックであった。
市街地から、切り伏せられる一方通行の姿をエドは確認した。
特技である『背景にまぎれ、自分の存在を他者から限りなく認識しづらい状態にする』を用いて、セイバーに接近。
一方通行を救出し、市街地を進んでいる。
少し振り返れば其処には、険しい顔で市街地を見回すセイバーの姿がある。
自分の特技を誰よりも知るエドであったが、流石に肝を冷やさずにはいられない。
(逃げるには逃げれるだろうが……コイツが助かるか、どうかは……)
見たところ、一方通行の傷は相当に深いものであった。
今すぐにでも治療をしなくては、確実に命に関わる。
いや、それでも助かるかどうかは五分五分以上の賭けとなる。
「気張れよ、オイ……絶対に助けてやるからな」
激励の声を掛けながら、治療が出来る場所へと必死に進むエド。
彼は気付いていない。
一方通行の身体で発生している異常な現象に。
斬られた血管から外に漏出する筈の血液が、まるで見えない血管を通っているかのように循環しているのだ。
ベクトル変換。神業ともいえる緻密な計算と能力操作を無意識の状態で行使し、一方通行は失血を最低限なものに抑えていた。
とはいえ、直ぐに治療をしなければ危険なことに変わりはない。
一人の命を救うために進む錬金術師。
彼らのバトルロワイアルは開始したばかりであった。
【フェイト・T・ハラオウン(BKMG)@遊戯王なのはMAD 死亡確認】
- 45 :
- 【一日目/深夜/D-1・市街地】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]ロリコン、肩から脇腹にかけての斬り傷、失血(中)、能力(残り27分)にて止血中、気絶中
[装備]一方通行の杖@とある魔術の禁書目録
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
基本:主催者を害する
0:気絶中
1:し合いに乗った参加者をす
[備考]
※アニメ二期終了後からの参戦です。ニコ動補正でロリコンです
【エドワード・エルリック@ニーサン】
[状態]健康、隠密スキル
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:し合いを阻止する
1:白髪頭(一方通行)を治療する
2:甲冑ドレスの女(セイバー)を警戒
[備考]
※ニーサンMADからの参戦の為、背景にまぎれたり、他人に気付かれずに行動することが可能です
【動画紹介】
・【MAD】順調すぎる Fate/Zero セイバー陣営編
外道なセイバー陣営が順調に聖杯戦争を勝ち進んでいくMAD。
嘘、不意打ち、声マネ、精神攻撃……なんでもござれの外道王が、外道マスターと共に大活躍していく。
- 46 :
- これにて投下終了です。
- 47 :
- 投下乙です。
予選ロワ 2話:図書館にて
自願望があって生き残りたいと思う矛盾
ネットで飛び降り自や首吊自の死体見た事あるが美しさとは程遠い無惨なものだぞ
美しい死に方なんてあるのかねぇ
俺ニコロワ09話
フェイトが死んだァァ 一方通行よくは知らんがこんなロリコンだったっけ…wニコ動補正乙
外道セイバーを見て無印アニロワのセイバー思い出す人はいるかな
ニーサン…ニーサン…
投下します俺得6 24:裏切りにも似た目配せ 登場:ノーチラス、中根玲奈、レオポルト
- 48 :
- 24:裏切りにも似た目配せ
「あ…ああ」
ノーチラスは今まで感じた事の無い快楽に身を震わせていた。
「凄いよノーチラス君、一杯出てるよ…奥の奥に、ノーチラス君の――が…ああん」
森の中で、青髪の少女の大切な部分に彼は自分のいきり立ったそれを入れ、放出していた。
自分を慰める時のものとは比べ物にならない快感とを卒業出来た幸福感に彼は支配される。
「こんなに、気持ち良いんだな…はぁ、はぁ」
「ノーチラス君の、おっきくていいね、またしようね」
「うっ……」
「いいでしょぉ?」
露出させた房をノーチラスの身体に押し付けねだる少女。
その美貌とらな雰囲気に狼の少年は再び欲情してしまう。
「あっ」
「きゃっ!」
ノーチラスと少女の衣服が消滅した。
ノーチラスが無意識の内に能力を発動させてしまったのだ。
彼は相手の衣服を消滅させる超能力を持っているのだが、興奮状態によるもののせいか、
相手だけでなく自分の衣服をも消し去ってしまった。
茶色の毛皮の狼獣人の青髪の美少女が全裸で向き合っている。
興奮し切った獣にとって我慢ならない状況に他ならない。
「す、すまない玲奈…」
「いいよ、森の中で全裸っていうのも良いし」
「そういう問題、か?」
ダァン!!
「えっ」
「えっ」
二人のすぐ近くの樹木に穴が空いた。
銃声が聞こえたので何が起きたのかは二人もすぐに分かった。
「お二人さん、お楽しみ中悪いけどよ〜へっへっへ」
嫌らしい笑みを浮かべた茶色の毛皮の人狼が、突撃銃らしきものを携え二人に向かって近付いてくる。
「うっ…何かヤダ、あの人」
「誰でも良いって訳じゃないのか」
「そりゃは好きだけど多少は選びたいよ男は」
「なぁー俺も混ぜてくれや」
「ええー!」
人狼の股間の雄は既にいきり立っている。
先程ノーチラスのそれを見た時は嬉々としていた玲奈だったが今度は嫌そうにしていた。
- 49 :
- 「さっき、ちと嫌な事があってよ、癒して欲しいんだよ」
「な、何で…」
「良いだろーお嬢ちゃんよぉ」
「ちょ、ちょっと待てあんた……」
ダァン!!
ノーチラスが口を挟もうとすると人狼は再び突撃銃を単発で発砲した。
威嚇と言う事は間違い無い。
「……玲奈、悪いけどさ」
「えええ、そんな、もっと頑張ってよ」
「む、無理…俺が武器を出す前にされる」
「ヘタレ!」
「お兄さんにはちと寝てて貰おうか」
人狼は口論する二人をよそに、ノーチラスの頭部を突撃銃の銃床で思い切り殴打した。
ノーチラスは悲鳴をあげる間も無くあっさりと気を失い卒倒する。
これで玲奈の運命はほぼ決定してしまったようなものだ。
「ああああ」
「さてと、お嬢ちゃん、俺はレオポルトだ…玲奈って言うんだな」
「そうだけど、ね、ねぇ、どうしてもヤらないと駄目?」
「玲奈ちゃん相当なヤ*マンだろぉ? 匂いで分かるぜ。でも何でもねーんならいいだろが」
「それは…」
「年いくつよ」
「……16」
「16でこの身体かよぉ〜たく最近のガキは発育が良いよなぁー。じゃあいただきますよ」
「もうだめぽ」
……
ノーチラスが意識を取り戻した時、全ては終わり、人狼レオポルトの姿は無かった。
身体中を唾液と種液に塗れさせた全裸の少女が地面に横たわっている。
目には光が無くいわゆる「目」になっていた。
「れ、玲奈…大丈夫か」
「ノーチラステメーは後で話あるからな覚えとけ」
「ひぃぃ」
……
- 50 :
- レオポルトは上機嫌で森の中を歩いていた。
「いやー気持ち良かった…ホントはの方が良いけど、たまにはグラマーも悪くねーな…。
…茜ちゃんはまだ生きてんのかなー?」
かつて取り逃がしたに想いを馳せながら、レオポルトは足を進める。
【朝/D-2住宅街:張田家】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]全裸、頭部に打撲、中根玲奈に対する恐怖
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???(1〜2、武器がある様子)
[思考・行動]
基本:し合いはしない。
1:玲奈許してぇぇ!
2:クラスメイトの捜索?
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※超能力は制限されてはいないようです。
【中根玲奈@オリキャラ】
[状態]全裸、体液塗れ、ノーチラスに対する怒り
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???(1〜2)
[思考・行動]
基本:し合いをする気は無い。
1:許したら負けだと思っているウフフ
[備考]
※レオポルトを危険人物と認識しました。
※ノーチラスのクラスメイトの情報を得ています。
【レオポルト@オリキャラ】
[状態]背中に軽い火傷、上機嫌
[装備]56式突撃歩鎗(28/30)
[持物]基本支給品一式、56式突撃歩鎗弾倉(5)
[思考・行動]
基本:自分の欲望のままに行動する。死にたくはない。
1:これからどうしようかね。
[備考]
※ロワ参加前からの参戦です。
※神谷茜、ノーチラス、中根玲奈の名前と外見を記憶しました。
※ノーチラス、中根玲奈から離れた場所にいます。
- 51 :
- 投下終了です
レオポルトは人は厭わないが積極的にし合う気は無いといった所
- 52 :
- 投下乙でしたー。
自分も投下させていただきます。
趣味ロワ第1話、千歳ゆま、アイズ・ラザフォード、ズ・ゴオマ・グ、スバル・ナカジマ分です。
- 53 :
- 「――ってことは、アイズお兄ちゃんは、ゆまをさないってことだよね?」
「そうなるな」
鬱蒼と生い茂る木々の間から、微かな月光が地面を照らす。
腐葉土の上に立ち向き合うのは、少年と幼い童女の2人だ。
ブレード・チルドレンの1人、アイズ・ラザフォード――夜風に銀髪を揺らす美少年を、銀月の光が照らしていた。
「もちろん、向かってくる脅威に容赦はしない……だが、好きでこんな実験に乗ってやるほど、俺も暇ではない」
真実だ。
振りかかる火の粉を次々と払い、その手を血に染めてきたアイズだったが、何も好きでしをやってきたわけではない。
それはあくまで生存のためであり、必要に駆られての悪行に過ぎない。
むしろ自らの血に呑まれ、戮を厭わぬ鬼となることを忌避し、アイズは宿命に抗ってきた。
「んー……よくわかんないけど、でもよかった」
その目の前で安堵の声を上げているのが、千歳ゆまという少女だ。
アイズがこの実験場で目を覚ました後、最初に遭遇した相手が、おろおろと途方に暮れていた彼女だった。
半泣きのところを何とかなだめ、敵意がないことを相手に伝え、そして現在に至るわけである。
「……まぁいい。ひとまず、状況を確認するぞ」
言いながら、アイズはデイパックを肩から降ろす。
そのまま鞄の口を開き、中からルールブックと名簿を取り出すと、ランタンに火を点け確認を始めた。
ルールブック――オープニングで研美が言った割には、ろくに規則らしい規則もなかった――を早々に流し見し、
さっさとデイパックへと戻すと、今度は名簿の方へと視線を向ける。
(アサヅキ、リョウコに……ナルミアユム)
いくつか、見知った名前があった。
五十音に並んだ中で、最初に目に留まったのは、浅月香介と高町亮子。同じブレード・チルドレンの仲間だ。
しかし彼らは重傷を負い、未だ入院していたはずである。
にもかかわらず、この実験に集められていたという事実には、いささかの疑問符が浮かんだ。
そしてその後に見つけたのは、救世主・鳴海歩の名前だ。
数多の試練を乗り越えて、しかるべき力を磨き覚醒した、ブレード・チルドレンの救い主である。
その名前を目にした時、一瞬、細目が見開かれた。
彼がこの場にいるというのか。
偶然にしてはタチが悪い。あいつはこんなことに巻き込まれて、死んでいい器ではないというのに。
(アサヅキ達のことも気になる……だが、まずはナルミアユムと合流しなければ)
ここにこの実験場における、アイズのスタンスは確定された。
鳴海歩を守護すること。
いかなる手段を使ってでも、彼の命を守り抜き、この場から生還させることである。
「ユマといったか……ここに載っている名前の中に、お前の知っている名前はあるか?」
同時に確認したのは、ゆまのことだ。
自分の知り合いがいたのだから、ゆまの知り合いもいるかもしれない。
こんな状況だ。
かつて頼りにしていたカノン・ヒルベルトがおらず、アサヅキ達も当てにならない今、
戦力がいるならいるに越したことはないだろうし、逆に脅威となる存在がいたなら、警戒すべき対象になる。
「うーんとね……あ、キョーコだ! この佐倉杏子っていう人が、ゆまの友達だよ」
「お前の友達か……あまり戦いには向かなさそうだな」
少しばかり、落胆する。
幼児の友達ということは、同じく幼児か、よくて小中学生くらいだろう。とても役に立つとは思えない。
「そんなことないよ! キョーコは怪物だって退治しちゃう、とっても強い魔法少女なんだから!」
「魔法、少女……?」
ゆまから返ってきた返事に、しばしアイズは目を丸くした。
魔法少女というフレーズには、ほんの少し聞き覚えがある。
確か歩の兄・清隆が言っていた、日本の漫画のジャンルだったか。言葉から察するに、魔法使いが主役のファンタジーなのだろう。
ということは、彼女の話は、いわゆるごっこ遊びの話か。
自分達の置かれている状況も、大概とんでもないものだが、さすがにそこまでぶっ飛んだものが、現実に存在するとは思えない。
- 54 :
- 「分かった……そういうことにしておく」
「あー! 嘘だと思ってるー!」
ぷぅっと頬を膨らませて反論するゆまを、適当にあしらうようにして返事をする。
「とりあえず、こっちだ。現在地から南に行けば、森を抜け、市街地に行けるだろう」
そうしてアイズはコートを翻すと、行く先を指差して、告げた。
現在位置は分からないが、森はフィールドの北部に集中している。
開けた中心点に行くには、どこからであれ、南を目指さなくてはならない。
「そっちに行けば、キョーコに会えるかな……?」
「どうだかな……生き残っていたなら、可能性はあるだろうが」
不安げに問いかけるゆまへと、不器用ながらも、慰めの言葉をかける。
未だ2桁の歳にもなっていないような、年端もいかない小さな少女だ。こんな状況に放り込まれて、平気でいられるはずもない。
いくら無愛想なアイズと言えど、この2人きりの状況で、そんなゆまを放っておくことはできなかった。
「行くぞ」
発した声に、無言の頷きが返ってくる。
先ほど示した方向へと、先導するようにアイズが進む。
かさかさと鳴る小さな足音が、黒いロングコートの後に続くのが分かった。
らしくない、とは思う。必要悪に駆られてとはいえ、人鬼であるはずの自分が、今は子供の手を引いているのだ。
それでも見つけてしまった以上は、放っておくわけにもいかないだろう。
とりあえずその辺りは置いておき、まずは市街地へ向かうことに専念――
がさり。
――しようとした矢先に、足が止まった。
「ひっ」
どうやら今の物音は、ゆまの耳にも届いたらしい。
それだけの、大きな足音だ。それが側面の方向から聞こえてきた。
ゆまのものでもなければ、当然、アイズ自身のものでもない。
何者かの気配を感じつつ、懐の得物へと手をかけ、左側へと視線を向ける。
「……ヘェェエ……」
そこに佇んでいたのは、日傘をさした黒ずくめの男だった。
身体は漆黒のコートに覆われており、そこから体格は読み取れない。目深にかぶったキャップの下には、青白い顔が覗いている。
そこに宿された感情は、狂喜。
まるで中毒者のような、常軌を逸した笑顔だった。
両目をくわと丸く見開き、怪しげな吐息を漏らす様は、明らかに正常な状態ではない。
「下がっていろ、ユマ」
危険な相手だ。
戦闘能力の有無はともかく、友好的な雰囲気は感じられない。
波乱の気配を察したアイズは、ゆまを背後へ下がらせると、油断なく黒ずくめの男を睨む。
こちらは子供を連れているのだ。相手の動向にはいつも以上に、神経を研ぎ澄まさなければ。
そう思い、コートの裏に伸ばした片手に、一層の力を込めた瞬間、
「ハァァァァアッ!」
目の前の相手は、予想外の行動に出た。
- 55 :
- 「何だと……!?」
それはまさしく変身である。
怪しげなコートの男から、人ならぬ異形への変貌である。
突如奇声を上げた男の姿が、傘を放り投げると同時に、一瞬で怪物へと変化したのだ。
鋭い牙、恐ろしい爪、そして腕から伸びる翼――まるで獣のような凶悪なフォルムは、どこか蝙蝠を連想させる。
もちろん、こんな相手に遭遇するのは、アイズにとっては初めてのことだ。
何が起こったのか分からない。あのパラドックスなる男が、カードから竜を呼び出した時と、同じ驚愕が彼を襲う。
そこで思い出したのが、ゆまの言っていた言葉だった。
「……あれがそうなのか?」
魔法少女こと佐倉杏子が、戦っていたという怪物のことだ。
もしかしたらあの話は、真実だったのではないか。
魔法を使う秘密の戦士は、もしや本当に実在していて、そんな彼女の戦う相手が、目の前の怪物なのではなかろうか。
そんな意図を短くまとめ、背後のゆまへと問いかける。
「う、ううん、多分違うよ……あの人はなんだか、ちょっと違う」
「参考にはならなさそうだな……」
そしてどうやらあの蝙蝠男は、そんなゆまにとってもまた、未知の存在であったらしい。
攻略の可能性はここに潰えた。これで情報は完全にゼロだ。
捨て鉢気味に呟きながら、アイズは得物を引き抜いた。
アメリカ軍制式採用の実績を持つ名銃・ベレッタM92だ。取り回しに優れる上に、計15発の装弾数も美味しい。
あれはどう考えても敵だ。化け物の本性を明かしたということは、すなわち臨戦態勢に他ならない。
いつでも発砲できるように、セーフティを解除して備える。
「ヘァァッ!」
そしてそのタイミングは、すぐに訪れることになった。
「ッ!」
「きゃあ!」
刹那に膨れ上がる蝙蝠の体躯。
きんと耳を突く風切りの音。
猛烈な勢いの突進を、ゆまを抱えて飛び退き、かわす。
ごろごろと転がる身体を立て直し、弾かれたように、引き金を引いた。
ばん、ばん、ばんと発砲が響く。木々を縫うように飛翔する敵を、鉛の弾丸が狙い撃つ。
攻撃する側が放つのが弾丸なら、逃げる相手の速度も弾丸並だ。
時速100キロはくだらないであろう怪人のスピードは、狙いをつけるだけでもやっとだった。
「ユマ、お前は先に市街地へ行け……ここは俺が食い止める」
身を立たせ銃を構え直したアイズが、眼下のゆまへと言い放つ。
「そんな、やだよ! アイズお兄ちゃんだけ置いてくなんて――」
「いいから急げ、死ぬぞ……!」
言い合っている暇などなかった。
相手の攻撃能力は未知数だが、あのスピードは十分に脅威だ。ゆまを庇いながらでは、恐らく対応しきれまい。
故に語気を普段より強めて、有無を言わせぬ口調で言った。
「う……うん!」
それでようやく納得したらしい。
一瞬、びくっと震えた後、ゆまは南へと走り去っていった。
- 56 :
- 「ジョベギバボドゾ、ギジャガデデ……」
それに入れ替わるようにして、蝙蝠男が立ちはだかる。
ずん、と大きな足音を立て、ゆまが消えた道筋の先に、異形の怪人が着地する。
「ラガ、ギギガ……ラヅゴグザグ、ヂゾグデデジャス」
裂けた口から発せられるのは、意味の分からない未知の言語だ。
自分達人類と目の前の怪物とは、根本的に違う生命なのだと、改めて思い知らされる。
ブレード・チルドレンなど可愛いものだ。あれこそが本物の化け物なのだ。
「通じるかどうかは、分からないが……!」
ばん、ばん、ばん、と。
棒立ちの蝙蝠怪人目掛け、再び拳銃を3連発。
獣の皮膚に着弾する度、男の身体がぐらりと揺れる。
だが、それだけだ。
ぐじゅぐじゅと不快な音を立て、銃弾はぱらぱらと皮膚から落ちた。
直撃を受けた傷跡が、瞬時に再生してしまったのだ。“この程度”のダメージでは、奴には効果がないらしい。
これで不公平でないというのは、まったくどんな判断基準だ――改めてアイズは、研美を恨んだ。
「ハッ!」
気合と共に、到。
両の腕を大きく広げ、蝙蝠男が飛びかかる。
「ぐっ……!」
瞬く間にアイズは取り押さえられ、地面に組み敷かれてしまった。
その筋力の何としたこと――ぎちぎちと押さえこんでくる腕力は、気を抜けば腕をへし折られそうになるほどだ。
普段、矢面に立たない身ではあるものの、身を守るための戦闘訓練は、余念なく積んできたつもりだった。
それでも、この人外の魔物には、その一切が通用しないのだ。
情けない。
鳴海歩を守ると決めたその矢先に、真っ先に脱落する羽目になろうとは。
生温かい吐息が頬を撫でる。
爛々と光る牙が迫る。
(後は頼んだぞ、ナルミアユム――)
それがアイズ・ラザフォードの、生涯最期の思考だった。
◆
何が何だか分からなかった。
気付けばあの劇場に送られて、人が死ぬ姿を見せられた。
同じようにし合えと、この森の中に捨てられて、そしてそれからこの有り様だ。
半分べそをかきながら、千歳ゆまは必死に駆けていた。
あのアイズ・ラザフォードという外人の男が、どこまで戦えるかは分からない。
それこそあの蝙蝠の化け物が、魔女と同等の力を持つのなら、並の人間では太刀打ちできない。
だとしても、あの場は逃げるしかなかった。どうせあの場にいたとしても、ゆまに出来ることなど何もなかった。
(やっぱり、ゆまは役立たずなの……!?)
もどかしい。
無力感が付きまとう。
父親を繋ぎ止められなかったからと、母親はゆまに暴力を振るった。
魔法少女になったとしても、どうせ役に立たないからと、杏子もゆまの助けを拒む。
そしてこの場においてもなお、戦いの役に立てぬが故に、アイズはゆまを先に逃がした。
自身の無力はトラウマを抉り、ゆまの精神を摩耗させていった。
- 57 :
- 「――ハァアッ!」
瞬間、奇声が彼女の耳を打つ。
目の前に立ちはだかったのは黒い風。
上空高くから落下してきた、あのおぞましき蝙蝠怪人だ。
「あ……!」
そしてゆまは見てしまった。
頬まで裂けた口元が、てらてらと光を放っていることを。
獰猛な牙が月光に照らされ、赤い血の色に染まっていることを。
「そんな……!」
それが意味することはただ一つだった。
アイズ・ラザフォードは失敗したのだ。
この異形の怪人に立ち向かうも、それでも一矢報いるには至らず、命を奪われてしまったのだ。
脳裏にフラッシュバックするのは、オープニングでの2人の死者だ。
首から上を吹き飛ばされた、巴なる金髪の少女の顔。
巨大な竜に焼きされた、若い不良然とした男の顔。
あれと同じ目に遭ったというのか。
自分に力がなかったが故に、アイズは自分を庇った末に、彼らと同じところへったというのか。
「ヘェェヘヘヘ……」
陰湿な引き笑いが鼓膜を揺らす。
舐め付けるような声音が脳髄を震わす。
ざくり、ざくりと響くのは、一歩ずつ近寄ってくる足音だ。
死ぬのか、私は。
こんなところで死ぬというのか。
せっかく杏子に助けられたのに。新しい人生を始めたというのに。
私はこんなにも弱いから、こんなにもあっさりとされてしまうのか。
それは嫌だ。逃げなくては。
しかしこの化け物相手に、果たして逃げ切れるのか――?
「ヘァァァ!」
混乱する思考を切り裂くように、蝙蝠男が飛びかかった瞬間、
「――おぉりゃあああああっ!」
裂帛の気合の宿った叫びが、その突撃すらも打ち落とした。
「ゥエッ!?」
上空に飛び上がった怪物が、勢いよく側面へと吹っ飛んでいく。
どすんと音が響くと同時に、見知らぬ何かが地に降り立つ。
「え……?」
がさがさとざわめく夜風の中、ゆまはその影を瞳に捉えた。
暗がりから姿を現したのは、純白の後ろ姿だった。
先ほどのような怪物ではない。ショートに切りそろえられた髪の下には、人間の肌が覗いている。
「ふぅ……間一髪」
安堵の声は女性のものだ。
その声を聞いた瞬間になって、初めてゆまは、自分が助けられたのだということを理解した。
- 58 :
- 「バンザ、ゴラゲパ……!」
遠くに吹っ飛ばされた蝙蝠男が、再び歩み寄ってくる。
どうやらさっきの物音は、木か何かにぶつかったことで起こったらしい。
怪人は頭を押さえながら、随分と不機嫌そうにしている。
「大丈夫? 怪我はない?」
そしてその怒りをも意に介さず、女はゆまへと問いかけた。
ちょうどその時、ゆまは初めて、自分を助けた女の顔を見た。
肩越しに見せるその表情は、いかにも頼もしげな笑顔だった。
「あ……う、うん」
根拠はない。一見普通の人間に見えるこの女性が、どうやってあの怪人を吹っ飛ばしたのかは分からない。
それでもその笑顔を見ていると、不思議と、不安が消えていく。
この人ならどうにかしてくれるかもしれないと、警戒心が解かれていく。
だからこそ、ゆまは返事を返した。
正体不明のこの女性を、明確に味方と認識し、正直に己の状態を伝えた。
「そう、よかった」
にっこりとほほ笑み、力強く頷く。
言葉少なに、しかし確かに、喜びの感情を表すと、女は再び正面を向く。
「しばらくそこから動かないでね……こいつの相手は、あたしがするから」
右の拳を奥へと引き、左の拳を盾と構える。
見たことのない構えだが、空手か何かの仲間なのだろうか。
元より、スポーツには疎いゆまだが、それでも彼女のその構えは、確かに奇妙なものとして映った。
「ゴゼゾ……ゴゼゾ、ガラブリスバァ!」
遂に痺れを切らしたのか、蝙蝠男が叫びを上げる。
両腕の翼を広げると、まるでグライダーのように飛びかかってくる。
びゅん――と風を切るその様は、まさしく地を滑る銃弾だ。
ろくに武器も持たない女には、止められるとは到底思えない。
「頼むよ――ケリュケイオン!」
されど女は怖れない。
微塵の震えも見せることなく、闘志を滲ませ声を張る。
そしてその瞬間になってようやく、ゆまは女の両手を見た。
彼女の手に嵌められた、宝石のようなもので飾られたグローブが、一瞬光を放った瞬間、
「うぉおおおおおおおッ!」
女の怒号は拳撃となり、蝙蝠を明後日の方向へ殴り飛ばした。
「ァアアアッ!」
みっともない悲鳴を上げながら、獰猛な怪人が宙を舞う。
あれほど凶悪に映った化け物が、まるで紙屑か何かのように、弧を描き地面へ落とされる。
瞬間、拳を構える女の出で立ちは、先ほどのそれとは激変していた。
大胆に腰部を露出したデザインは、一瞬前までにまとっていた、制服のような姿とはまるで違う。
コートの裾のような腰布と、長い鉢巻をはためかせる姿は、まるでテレビのヒーローのような戦闘服だ。
蒼穹の拳を煌めかせ、悠然と佇むその姿――それを表す言葉は1つ。
「まほう、しょうじょ……?」
かの佐倉杏子のそれと同じ、魔法少女の装束に他ならなかった。
- 59 :
- ◆
条件反射的に身体が動いた。
その少女の姿を見た瞬間、弾かれたように足が動いた。
支給品の中に入っていた、仲間のデバイスを装着し、敵と思しき相手へと殴りかかった。
どちらが脅威となるかなど、わざわざ考えるまでもない。
異形の怪物然とした姿ですらも、考慮の対象になりはしない。
誰かがそこで泣いていて、その人を泣かせる者がいる――スバル・ナカジマの尺度においては、それは絶対的な悪に他ならなかった。
「ガァアアアッ!」
怒りに唸る蝙蝠男が、身体を起こして駆け寄ってくる。
あのパンチを浴びてなお動けるのか。
手加減をしたつもりはなかった。常人なら骨折とまではいかずとも、うずくまり動けなくなるくらいの一撃のはずだ。
どうやらあの怪人の姿も、見かけ倒しというわけではないらしい。
「はっ!」
だからとて、やるべきことは変わらない。
襲いかかる鋭利な爪を、左腕で払い落す。
息もつかせぬ間の追撃。速い――しかし短慮な一撃。
もう片方の腕の攻撃も、右腕で難なくさばき切る。
「そぉりゃっ!」
だんっ、と音を立てながら、ボディにお見舞いしたのはキックだ。
がら空きの胴体に直撃をもらい、怪人はみっともない呻きを上げる。
パワーもスピードも防御力も、明らかに人間離れしている。並の武装局員なら、苦戦を強いられる羽目になるだろう。
さりとて、この身は並ではない。
特務六課の2枚のエース――かの時空管理局トップエース・高町なのはに並び立つほどの、不撓不屈のストライカーだ。
驕るつもりは毛頭ないが、この程度の愚図にやられるほどの、軽い看板などではない。
「うぉぉっ!」
パンチ、パンチ、続けてパンチ。
しゅしゅっと風を切る音を立て、高速のジャブをお見舞いする。
鮮やかな三連撃を打ち込んだ直後、追撃にぶつけるのは回し蹴りだ。
「ハァァァァア〜……ッ!」
しかし、それを阻むものがある。
左手から伸びた膜状の翼が、スバルのキックをガードする。
野生の本能というやつか。こちらの動きに追い付いてきた相手が、初めて攻撃を受け止めた。
そのまま力任せの動作で、右足が強引に振り払われる。
浮き上がる身体に出来た隙を、今度は蝙蝠の拳が襲った。
「く……!」
防護装甲の上からも、どすんと響く強烈な一撃。
丸腰の人間に繰り出せるものではない。
丸出しのウエストを左手で庇い、スバルは一旦距離を取る。
決して敵わない相手ではないと悟ったのだろう。裂けた口から漏れる怪人の吐息に、あからさまな喜色が混ざる。
「ハハァァァッ!」
そうして繰り出されてくるのは、またも短慮な突撃だ。
まったく、声からしていい歳しているだろうに、まるで昔の自分を見ているようで、何だかむず痒くなってくる。
生憎とそんな頭の悪い戦術を、そう何度も通用させられるほど、今のスバル・ナカジマは甘くはない。
- 60 :
-
- 61 :
- 『Protection.』
突き出す左手の宝珠から、ブーストデバイスの音声が響く。
瞬間、宵闇を引き裂いて、顕現するのは光の盾。
襲い来る蝙蝠の鋭利な爪と、真正面から衝突し、更なるスパークが周囲を照らす。
防御魔法・プロテクションが、敵の攻撃を阻んだのだ。
この現象は相手にとっても、全くの未知のものであったらしい。予期せぬ防壁の出現に、一瞬怪人の動きが止まった。
そうなれば後は簡単だ。
これで一気にケリをつけるべく、必の一撃をぶつけてやる。
「ディバインッ――」
防御を解除し、両の手で構える。
眼前でぐるりと円弧を描き、その中心に魔力を集中。
青い光を放つ魔力が、バレーボール大のスフィアを形成。
ぐい、と右腕を後方へ引いた。
ずい、と左腕を突き出した。
解き放つは師匠直伝の極意。
かつて見よう見まねで身に付けたものを、本人の教導の中で鍛え上げ、その輝きを増したフェイバリットアーツ。
どんな壁であろうと打ち砕く、一撃必倒の四文字の体現。
あらゆる困難を真正面から突破し、あらゆる脅威を薙ぎ払う、スバル・ナカジマの魂の具現だ。
「――バスタァァァァァーッ!!!」
その名も奥義・ディバインバスター。
眼前に集中した極大の魔力を、拳撃に合わせて発射する、強力な砲撃魔法である。
「ウグァァァァッ!!」
動転した蝙蝠怪人は、その一撃をモロに食らった。
ゼロ距離から減衰なしに直撃を受け、魔力の奔流に流されるまま、遥か彼方へと吹き飛んでいった。
轟然と巻き起こる衝撃が、烈風となってバリアジャケットを煽る。
蒼天の波動は暗黒を呑み込み、真昼のごとき輝きを振りまく。
全てが事を終えた時、そこに怪人の姿はなかった。
薙ぎ倒された木々の先には、少しばかりたなびく煙と、夜の暗闇だけがあった。
生死は確認できないが、ひとまずは撒いたということだ。
ふぅ、と安堵の息をつくと、改めて少女の方へと向き直った。
「これでもう、大丈夫だよ」
唖然とする少女の瞳を見据え、安心させるように声をかける。
少女はしばしそのままでいたが、やがて脅威が去ったと気付いてか、スバルの方へと駆け寄っていった。
「よしよし」
ひし、としがみつく娘の頭を、優しい手つきでゆっくりと撫でる。
泣きじゃくる少女を、そのままに、気持ちが落ち着くまで泣かせてやる。
(……こんな小さな子まで巻き込むなんて)
同時にその胸に宿されるのは、この実験を起こした者達への怒りだった。
自分が巻き込まれたのはまだいい。
しかし、このような戦いの最中へ、抵抗すらもできない幼子を放り込み、平然としを強いる行為は、断じて許せたものではない。
この実験は自分の手で叩き潰す。戦えない者達を救い、必ずや安全な場所へと送り返す。
確固たる念を拳に込めて、スバルは己の決意を固めた。
- 62 :
- 【一日目/深夜/A-4】
【千歳ゆま@魔法少女おりこ☆マギカ】
【状態】精神的疲労(小)、疲労(小)
【装備】なし
【道具】基本支給品、不明支給品1〜3
【思考】
基本:とりあえず生き残る
1:杏子に会いたい
2:このお姉ちゃんは……?
【備考】
※第1話より、キュゥべえとの一度目のの直後からの参戦です
【スバル・ナカジマ@魔法戦記リリカルなのはForce】
【状態】バリアジャケット、腹部にダメージ(極小)、魔力消費(中)
【装備】ケリュケイオン@魔法戦記リリカルなのはForce
【道具】基本支給品、不明支給品0〜2
基本:実験を止める
1:この少女(=ゆま)を含めた、戦えない人々を守る
【備考】
※第17話終了後からの参戦です
◆
「バンバンザ、ガギズパ……!」
痛む身体を引きずりながら、蝙蝠怪人ズ・ゴオマ・グは、怒りの形相を浮かべていた。
これは一体どういうことだ。
何故ただのリントにしか見えないあの女が、ここまで自分を追いつめることができる。
この身は魔石の強化を受け、リントを遥かに超えた超人――グロンギの怪人であるというのに。
「ギサギサガゲ、ジャガゼゼ……!」
何から何まで気に食わないことずくめだ。
いずれす予定だった族長――ン・ダグバ・ゼバに、労せずして近づけたのはまだいい。
問題は奴をすためのベルトの破片を、あのよく分からないリントの男に、没収されてしまったということだ。
あれがなければ話にならない。今の弱い自分のままでは、ダグバ相手には戦えない。
ましてやよく分からない力で、自分を退けたあの女もいる。
「サヅギギジャズ……ガンゴン、バパビサギザ……リンバゴゼグ、ボソギデジャス……!」
まずはベルトの破片を探す。
その上でダグバと決着をつける。
ついでにあの眩しい力の女も、残りの奴らもしてやる。
忌々しげに唸りながら、ゴオマは進軍を開始した。
- 63 :
-
- 64 :
- 【一日目/深夜/A-3】
【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【状態】ダメージ(中)
【装備】なし
【道具】基本支給品、黒い日傘、不明支給品0〜2
【思考】
基本:皆し
1:ダグバをし、自分がグロンギの頂点に立つ
2:そのためにもダグバのベルトの破片を探す
3:次に会ったら、眩しい女(=スバル)は必ずす
【備考】
※第26話終了後からの参戦です
【アイズ・ラザフォード@スパイラル〜推理の絆〜 死亡確認】
※A-4にアイズ・ラザフォードの死体とデイパック(基本支給品、不明支給品0〜2)、ベレッタM92(9/15)が放置されています
これにて投下終了です。
まさかノッケから連投にひっかかるとは思わなかった……w
ぶっちゃけOPでラザ君を出したのは、ここでお亡くなりになられることが確定してたからだったりします。南無
以上代理投下終了です
- 65 :
- 連投規制に引っ掛かったそうなので投下します
その前に感想を スバルかっけぇ
投下します俺得6 25:叶うならば―――― 登場:ダーエロ、◆meUMrrZs9o
- 66 :
- 25:叶うならば――――
「そ、そんな…」
教会の中で、ダーエロは絶望していた。
自分がこのし合いで生き残らせると決めた想い人の死体を発見した。
一体何が起きたと言うのか教会の中には他にも二人の少年の死体が転がっている。
「嘘だろヘレンたん…君が…死ぬなんて…う、うわあああああああ!!!
絶叫し涙を流すダーエロ。
ヘレンのためにし合いに乗る決意をし、一人の女性を襲った。結局その女性には逃げられてしまったが。
いとも呆気なく、その決意は無駄になってしまった。
目の前が真っ暗になった彼はもう全てがどうでも良くなってしまった。
装備していた三八式歩兵銃の銃口を口に咥える。
(ヘレンたん、今俺も行くよ……)
目を瞑り、想い人の笑顔を思い浮かべながら、ダーエロは引き金を引いた。
礼拝堂の中に銃声が響いた。
数分後、一人の少女が教会を訪れる。
◆meUMrrZs9oは死体が転がり血の海となっている教会内を見てしばし言葉を失った。
「これは酷い……壮絶な戦いでもあったのかな……」
強烈な血の臭いに耐えながら死体に近付くと、少なくとも白髪の黒い肌の男は、
自分で頭を撃ち抜いて自したらしい事が分かった。
小銃を咥えて引き金を引いたらしく、頭蓋骨が砕け脳漿が飛び散り一層酷い有様だ。
正直いつまでも見ていたくないが彼が持っている小銃は使えそうで、放っておくには惜しい。
- 67 :
- 「ううっ」
出来る限り男の死体と肉片に触れないようにしながらmeは小銃を回収する。
苦労して予備の弾薬も男の死体及びデイパックから抜き取った。
小銃の銃口付近に付着した血液を男の衣服で拭き取り、作業は完了した。
「もうここにはいたくない、さっさと行こう……」
血の臭いと凄惨な死体ですっかり気分の悪くなったmeは逃げるように教会の出口へと向かった。
【ダーエロ@VIPツクスレ・もしもシリーズ 死亡確認】
【残り 36人】
【朝/F-4教会】
【◆meUMrrZs9o@非リレーロワスレ書き手】
[状態]健康
[装備]9mm拳銃(8/9)
[持物]基本支給品一式、9mm拳銃弾倉(2)、文化包丁、ガムテープ、三八式歩兵銃(4/5)、6.5mm×50SR弾(15)
[思考・行動]
基本:し合いからの脱出。危険人物は可能な限り始末する。
1:他書き手さんの捜索。
[備考]
※◆ymCx/I3enU、◆VxAX.uhVsM、◆6LQfwU/9.Mのオリキャラの情報を持っています。
- 68 :
- 投下終了です
- 69 :
- 投下乙です、自分も投下します
タイトル:ライオン嫌い
登場人物:大岡真座衛門国近、被験体00号
- 70 :
-
「……不浄の者よ。そこを退け」
私が、このような状況に陥っているのは、そう、少し前からだったか……。
この状況の仔細を語るには、しばし過去に遡らなければならない。
◇
「これは一体どう言う事か……」
私は、確かに先程までかの者のいた場所にいたはずなのだが。
それが、何故このような場所に?
そして、私の首元に絡み付く、忌わしきこれは何だ?
全く以て、不可解極まりない。
「……私は、何を?」
ここは異国か。それとも、そうではないのか。
考えれば考える程、不可解なことは埃の様に出て来る。
「私の、力の届く範囲ではない、と言う事か」
何しろ、私に気づかれる事無このような場所に無理矢理連れて来て、忌わしき物を首元に付けた。
これだけで、私の力の手の届く範囲ではない事が分かる。
だが、あくまで届かないと言う事実が分かったのみ。
無力さに絶望し、何もしないと言う訳では無い。
「かの愚か者を、私の手で断罪せねば」
このような催しを、黙って見過ごす訳にはいかぬ。
「……うむ」
- 71 :
- 懐から、すらりと日本刀を抜き放つ。
これを抜くのは、前に、天剣をかの者に向けられた時以来だが、曇りは一つもない。
(し合い……とやらは、よく分からぬが……不浄の者の気配がある以上、油断はできぬ)
先程から、この場を霧の様に、不浄な気配が包んでいる。
これは、果たして何か……?
正体は掴みかねるが、とにかく気配が在るのは変わらぬ事実。
(近づいている……不浄が、ますます増えて行く)
その時であった。
急に背後に気配を感じたのは。
「むっ!?」
慌ててひらりと身をかわすと共に、高速で何かが私の傍を通り過ぎて行く。
通り過ぎて行ったそれは、轟音と共に、さっきまで私のいた地面を抉る。
これは、どうみても人の成せる技ではない。
だが、この気には、人の気も混じっている。これはどういうことか?
「はぁ……はぁ……」
「やはり、源はお前であったか」
「し……て……やる……」
「……不浄の者よ。そこを退け」
……一瞬、判断が遅れた。
それを、実感したのは、私の体が軽々と宙に浮いてからだった。
物凄い速度で、景色が遠ざかって行く……。
「ぬあぁぁ……!!」
◇
- 72 :
- 「何と言うことだ……これほどまでとは」
いくつか、民家らしき物を突き抜け、やっと停止した。
私をこれほど吹き飛ばした力……一体、何がどうなっているのか?
しかし、運良く直撃を免れられたようで、一応、行動に支障はないようだが……。
流石に、無傷とは行かなかった。少し体を休めなければ。
……それにしても、奴の奇々怪々な強さは一体何なのか。人の力とは、到底思えない。
何が何やら、私を持ってしても、分からない。
(奴は……追って来ていない……か?)
……幸運にも、追撃は行わなかったようだ。
もし、この状態で襲われていたら、今度こそ斃されていただろう。
まだ、私の運は尽きてはいなかった。
それだけが、この状況の中に存在した唯一の「良かったこと」だった。
(…………必ず、この無念は晴らさねば)
【一日目・深夜/A-6】
【大岡真座衛門国近@オカルト】
[状態]:健康、ダメージ(中)
[装備]:大岡さんの日本刀@オカルト
[所持品]:なし
[思考・行動]
基本:かの不浄なる者を滅する
1:暫く、身を休めねばならんか……
2:必ず、かの者は打ち倒さねば
※大岡さんの姿が誰にでも見えるようになっています。会話も出来るようになっています
※A-6の民家に、いくつか穴が開いています
※大岡さんの頭は、今の所ライオンヘッドです。時間が立てば他の顔に変わるかもしれません
「…………どこだ…………」
ギョロリ、と血走った目で辺りを見回す男。
その体躯は、まるでフランケンシュタインを連想させるほどの大きさ。
丸太のような腕、そして両手に握られた標識。これで、さっきの奴を吹き飛ばした。
しかし、手応えはない。しきれていない。
ここに呼ばれた者を、皆しにする。それが、男に課せられた使命であり、生きがいだ。
「……………………」
荒く息をつきながら、既にいない敵を探し続ける。
吹き飛ばした方向も見ずに。
「す…………早く…………」
【一日目・深夜/A-5】
【被験体00号@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:交通標識×2
[所持品]:なし
[思考・行動]
基本:全てす
1:……。
- 73 :
- ≪参加者紹介≫
【名前】 不明(被験体00号)
【性別/年齢/職業】 男/不明/無職
【特徴】 見た目も著しく変化しているので、年齢等の推測は不可。身長は2m50cmオーバー。
【特殊能力】 「一応」無し。
【能力説明】 特殊能力と呼べるか怪しいが、様々な投薬・改造手術等が積み重なった結果がこれ。
もはや自我は殆ど無く、ただ与えられた指令により動く人マシーンと化している。
【備考】 たまに口から言葉が漏れるが、意思の疎通は実質不可能である。
≪支給品紹介?≫
【大岡さんの日本刀@オカルト】
大岡さんが、懐から出した物。
まるで、手品の様に出てくるらしい。
【交通標識】
被験体00号が、道端にあった標識をもぎ取った物。
これで殴られれば、良くて重症悪くて即死するほどの凶器。
---
投下終了です
- 74 :
- 皆様投下乙です。
>月影と蒼天
おおおおおおおおおおおおおおおおおお!
熱い!熱い!自分もこんな風に書けるようになりたいです。
>叶うならば――――
武器庫への道が遠くはないな…。
しかし「たん」呼びのせいで重さがぁ。
>ライオン嫌い
大岡さんすげぇ…。
今後もやばそうだな、この人は。
では自分選投下します。
7話 DEAD or DEAD
登場人物:ジョナサン・ジョースター、クリック・ルーカス、大神さくら
- 75 :
- 「バカな……嘘だろうっ……!?」
190cmをも超える巨漢の男――――ジョナサン・ジョースターは驚きのあまり叫んでいた。
彼の手に握られているのは大量の名前が描かれている名簿だ。
そう……それは名簿、そこまでは何でもない、普通の事だ。
だが、最大の問題……それは描かれている名前にあった。
「なぜ……ディオが生きているっ!!」
名簿に書かれていた名前――――その中の一つにあったものだ。
ディオ・ブランドー、彼の手により確実にしたはずのかつての兄弟なのだ。
彼が生きているなどあり得ない、あれで終わったと思っていた。
だが――――終わっていなかったのだ。
安心院と言う女性が生き返らせたのだろうか。
たしか、開幕するときに言っていた、人を生き返す事が出来ると言っていた。
それならば辻褄も合う、ディオが生き返ったからくりも。
「再びディオと戦う……それがどれだけの苦難なのか考えれないだろう。
だが、これは僕の責任なんだ……!今度こそディオを倒し、主催の思惑を止める!」
その凛とした態度はまさに「紳士」の如くだった。
彼の意志は風の如く勢いがあり、
彼の精神は林の如く静かであり、
彼の戦いは火の如く勢いがあり、
彼の肉体は山の如く貫禄があるのだ。
普通の人間では到底できない事である。
「……さて、そこにいるのは誰だ、出てきてくれないか」
後ろを振り返って、木々の中を見つめる。
少し時間が経ち、そこから一人の人間が出てきた。
150cmくらいの背丈に異常と言えるほどの細身の男。
そして何よりもおかしかったのは、その赤色の目だ。
「俺に気付くとはなぁ…スゲェだぁアンダ」
「……僕はジョナサン・ジョースター……君は何者なんだ?」
「…………俺様ぁクリック・ルーカスたぁ……」
クリック・ルーカスと名乗る男は不気味に小さく笑いながら言った。
それを見てジョジョは背筋が凍るような思いを感じていた。
相手の雰囲気が、彼の敵―――――ディオに似ているからだ。
- 76 :
-
「……なぁ、アンダぁ…………一つぎいていいがぁ?」
「なんだ」
「……でべぇのぢは……ウメェ゛のガぁぁあ!?」
「っ――――!」
クリック・ルーカスはこちらに向かって飛び込んでくる。
それを『波紋』の力を以って迎撃しようとする。
だが、そこでジョジョは自分の体の異常に気付いた。
波紋の力が出せない――――それは彼にとって驚きを通り越したことだ。
「っ、うおおおおおおおお!!」
だが、波紋の力が無かろうと、彼は強い。
その強靭な肉体を以って襲いかかってくるクリック・ルーカスを迎撃する。
攻撃のリーチ的にも、肉体の強さもジョジョに分があるのは明らかだ。
ジョジョの一撃がルーカスに当たると思われた次の瞬間だ。
彼の体がひらりと舞い上がった。
舞い上がった、と言うのでは分かりにくいかもしれない。
だが、そうとしか言いようがなかった事実だ。
左に避けるのでなく、右でもなく、下でもない。
上空に浮いたのだ。
固く握られた拳は空を切る。
次いで、上空から落下したルーカスはジョジョの背中に乗った。
そして、歯で首筋を噛んだ。
- 77 :
-
「っ、ぐおおおおおお!!」
体から力が一瞬で抜ける。
膝を地面について倒れこんでしまう。
それに当たり、ルーカスの体が変化していく。
徐々に筋肉質になり、背丈が高くなっていっている。
そして、少しづつジョジョの体から生気の色が抜けていく。
ここまでか――――そうジョジョが思った次の瞬間だった……!
「ぬおおおおおおおおおお!!」
「ッ――――」
付近から、巨大な女性が飛び出してきた。
その強烈な蹴りで自分の背中にいた男を森の奥まで飛ばした。
そして、残ったのは自分とその女性だけになった。
「……すまぬ、助けが遅れた……無事か?」
「ああ、助かったよ…僕はジョナサン・ジョースターと言う…君は?」
「我は大神さくらだ……で、ジョースター……」
「ジョジョでいいよ……そっちの方が楽だ」
「それでは、ジョジョよ……一つ聞かせてはもらえぬか?」
「……僕の答えられる事ならば」
「では……おぬしはこのし合いに乗っているか」
彼女は僕を強く見つめた。
しかし、怯んではいられないのだ。
僕は強く決めているのだから。
「僕はかつての兄弟を、さなくてはいけないんだ。
だが、人をすなんて言うのはしない、僕がすべきなのはディオとあの主催者だ。
普通の人は、何があろうとすつもりは……ないっ!!」
彼女は僕の目をもう一度見た。
少しだけ時間が経つ。
彼女は立ち上がり、手を差し出してくる。
そして、こう僕に言ったのだ。
- 78 :
-
「貴様の眼は、本当に強い者の眼だ、我はお前を信頼しよう、ジョジョよ。
ぜひとも我と協力して、打倒を目指そうではないか」
僕は、体に残る力を振り絞って彼女の手を握った。
だが――――そこで僕の視界は真っ暗になった。
少しだけ、眠くなったのだ。
だから今は、眠らせてほしい。
【朝/B-5森】
【ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険part1 ファントムブラッド】
[状態]血液不足(中)、気絶
[所持品]基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:ディオをし、このし合いを止める
1:……
[備考]
※エリナと結婚した後からの参戦です
※『波紋法』が使えなくなっています、いつかは使えるようになるかもしれません
【大神さくら@ダンガンロンパ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:このし合いを止める
1:ジョジョをどこか休めるところに連れていく
2:舞園、山田、大和田は死んだはずでは……
[備考]
※Chapter3終了後より参戦です
- 79 :
-
「ぎゃばはは…がらだにぢがらがみなぎっでくるぜぇ…」
クリック・ルーカスは起き上がって笑った。
体は先ほどより背が伸び、筋肉がついている。
それは彼が、吸収型の吸血鬼だからだ。
吸った血の質により体が変化するのだ。
巨漢のジョジョの血を吸えば、強くなるのは当然である。
「……ほがのやづも……ぢをもらうぜぇ…………!」
クリック・ルーカスはふらふらとした足取りで歩き始めた。
彼の行く末は分からない。
【朝/B-4森】
【クリック・ルーカス@オリキャラ・異常】
[状態]身体強化(中)、体中に傷
[所持品]基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:し合いで優勝する
1:他の奴の血を吸う
[備考]
※血を吸えば強くなる吸血鬼です
※太陽の光にあたっても死にませんが、怪我の回復の早さが異常に遅いです
投下終了です。
- 80 :
- 投下乙です。
自分も投下します俺得6 26:Dead Tree 登場:野比のび太、糸賀昌明、ケトル
- 81 :
- 26:Dead Tree
平野部に響く銃声。
野比のび太と糸賀昌明の二人は路上に放置されていたトラックの陰に隠れていた。
港に向かおうと思っていた二人はなぜか港への道がどれも陥没、車で塞がれている、
バリケードが張られているなどで通れない事を知り計画を変更して西の方へ向かっていたが、
その道中で襲撃を受けた。
「うう、参ったな、どうしよう」
「相手はマシンガンか? くそっ、厄介過ぎる」
ダダダダダダダッ!!
「うわぁ!」
「うぉっ」
トラックの運転席の窓ガラスが砕けタイヤがパンクした。
「ね、ねぇ! ちょっと待ってよ! 僕達はし合いをする気なんか無いよ!!」
「何してんだのび太…!?」
意を決してのび太が銃撃してくる襲撃者に向かって説得を試みる。
すると意外にも銃撃が止んだ、一応は話を聞くつもりがあると見たのび太は続ける。
「こんなし合いに乗るなんておかしいよ…僕達は脱出する方法を探してるんだ、僕の友達に、
ドラえもんって言う頼りになる奴がいて……」
襲撃者――白猫の少年は耳をぴくりと動かす。
相手の少年が言った「ドラえもん」と言う名前に覚えがあった。
確かあれは――ホテルで青い狸のようなロボットと狼の少年を害した時――――。
「きっとドラえもんなら……」
「……たよ」
「え?」
初めて白猫少年の声を聞いたのび太は驚きの声を発する。昌明も意外そうな顔をする。
「何て…?」
「したよ」
「え?」
「ドラえもんは、僕がしたよ」
「……は……!?」
信じられないと言った表情をのび太が浮かべた。
「こ、こ、した? ドラえもん、を」
「そうだよ、僕が、僕が撃ちしたんだ!!」
「……嘘、だ」
「嘘じゃないよ、蜂の巣にしたよ、あいつ、僕をそうと……」
- 82 :
- ドラえもんが彼――ケトルを「そう」としたと言うのは彼の壊れかけた精神状態が生み出した妄想である。
そんな事に彼自身が気付くはずは無い、そのような状態では無くなっていた。
ダァン!!
ケトルの銃の物では無い別の銃声が響き、
ケトルの額に穴が空き、彼は路上に崩れ落ち息絶えた。
のび太の手に銃口から煙を噴くコルトシングルアクションアーミーが握られている。
「の、のび太……」
「……」
のび太自身、どうして引き金を引いたのか分からない。
ドラえもんをしたとあの猫の少年が宣言した時、何とも言えないどす黒い感情が湧き起こった。
気が付いたら、少年の頭を撃ち抜いていた。
「…ドラえもんが死んだなんて、嘘だ…嘘だ…」
「のび太…」
昌明はどう声を掛けてやれば良いのか分からず困惑する。
のび太からドラえもんは大切な友達だと良く聞かされていたため尚更だ。
「…あの人、向こうから来ましたよね」
「あ、ああ……向こうは……ホテルのある方向だな」
「……」
「い、行くか?」
「良いですか?」
「気になるんだろ? 友達の事」
「…はい」
猫少年はホテルのある方向から歩いてきた。
先程の猫少年の言っていた事から察するに、ドラえもんがホテルにいる可能性は非常に高い。
本当に死んだのか、もしかしたらまだ生きているのではないか、絶望と僅かな希望がのび太の心に入り混じる。
「…ドラえもん…」
「……」
猫少年が持っていた銃と弾薬、ドス、チャクラム、ピッケルを昌明が拾った後、
のび太と昌明はホテルの方向へ歩き始めた。
【ケトル@自作キャラでバトルロワイアル 死亡確認】
【残り 35人】
- 83 :
- 【朝/B-6平野部】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]健康、激しく動揺
[装備]コルトSAA(5/6)
[持物]基本支給品一式、.45LC弾(12)
[思考・行動]
基本:し合いには乗らない。
1:ホテルへ…ドラえもん…。
[備考]
※参戦時期は不明です。
【糸賀昌明@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]PPSh41(60/71)、某高校男子制服
[持物]基本支給品一式、コンバットナイフ、PPSh41ドラム型弾倉(2)、ドス、チャクラム(3)、ピッケル
[思考・行動]
基本:し合いには乗らない。
1:のび太……。
[備考]
※ロワ参加前からの参戦です。
※某高校男子制服は、自作キャラでバトルロワイアルの高校の男子制服です。
- 84 :
- 投下終了です
- 85 :
- 投下乙です。のび太…
では自分も俺ニコロワ投下します
- 86 :
- 俺ニコロワ09話:そのを揉みしだく!! 〜暗者(アサシン)が見た、女騎士マーダー撃退法〜
暗闇の中を駆ける影があった。
黒色のマントを羽織った青年が、時折後方を振り返りながら、息も絶え絶えに走っていた。
既に肩で息をしている状態で、誰が見ても限界に近い状態だということが分かる。
(くっ、くそ……何でこんな事になっている!?)
疲労に霞む思考で悪態をつきながら、青年―――ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは自身の不幸を思い返していた。
聖杯戦争の最後、万感の覚悟と共にあの少年の拳を受けた。
失意と、だがそれを遥かに超える達成感の中で、ルルーシュは現世から消失した筈であった。
その筈だったのだが……気付けば先程の空間にいた。
人間とも付かぬ存在から告げられたし合い。
し合いに優勝すればあらゆる願いを叶えるという言葉。
それは聖杯という願望成就機を失ったルルーシュにとって、まさに渡りに船であった。
先の存在がどれ程の力を有しているのかは分からない。
だが、どうせもう聖杯は存在しないのだ。ならば、僅かでも希望のある選択肢に縋るのは別段悪いことでもない。
所詮、一度は死んだ身だ。願いを叶えるために行動させてもらおう。
そう決意したルルーシュは、再びのし合いの会場へと移された。
さてこれからどうするか、と行く先について思案を始めたルルーシュに早速の試練が襲い掛かった。
し合いに乗ったらしき他の参加者が、問答無用で襲い掛かってきたのだ。
ルルーシュはサーヴァントである。
過去、もしくは未来の時代にて、英霊と称されるに値する功業を成した者。
人外の力と宝具を用い、人間には到底至らぬ力を振るう者。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは将にサーヴァントであり―――だが、悲しい事に、その実力の程は精々常人と同等のものしかなかった。
サーヴァントとの戦闘は勿論、人間との戦闘であっても敗北の可能性がチラつく悲しいサーヴァントである。
そして、ルルーシュを襲った人物はサーヴァントにも勝るとも劣らない力を有した人物であった。
紫色の髪に刃物のように鋭い眼光を光らせる女性。
美人と言い切るに十分な美貌と、男どもを容易く誘惑できるであろう妖艶な肉体。
手には剣が一振りあり、女性とは……いや、人間とは思えない速度で迫ってくる。
到底ルルーシュがどうこう出来る相手ではない。
武器として装備していた拳銃も、まるで意味をなさなかった。
結果としてルルーシュは逃げの一手を選ばざるを得ず、生涯三度目の死の淵に立たされていた。
(相手は撃った弾丸を剣で弾く化け物……! 空を飛び、ギアスも通じない……!
くそっ、何が『絶対遵守』の力だ、ふざけやがって! 肝心な時に使えない力に何の意味がある!)
切り札であるギアスも試したものの、全く効果を成さない。
相手はサーヴァントか、サーヴァント並みの対魔スキルを持つ存在。
尚更、勝機があるとは思えない。
「くっ、止めろ! こんなし合いに乗って何の利益がある!? 先程の存在が本当に約束を守ると思っているのか!!」
ルルーシュは己の命運を口車に賭けた。
適当に綺麗事を並べ、襲撃者の心中に不審が生まれるように仕向ける。
これでほんの少しでも追撃の手が揺らげば御の字。何もしないでされるよりは遥かにマシと言える。
ルルーシュの視線の先では襲撃者が得物を構えたまま、俯くきながら立っている。
執拗というに十分すぎた攻撃は、ルルーシュの言葉を境に止まっていた。
(上手くいったのか……? ならば好都合……口八丁で手駒としてやれば……!)
安堵の息を吐きながら、ルルーシュは和らげな笑みを浮かべて、襲撃者を見る。
その表情も勿論演技でしかないが、演技力ならば相当に自信があった。
出来るだけ柔らかい笑顔で、優しげな言葉を掛ける。
- 87 :
- 「落ち着いてくれ。ここで自分を見失えばあいつの思うがままだ。し合いになんて乗っちゃいけない。落ち着いて、事態を見極め直すんだ」
ルルーシュの言葉は届いている筈だが、襲撃者は俯いたまま動かない。
ルルーシュは自身の説得に手応えが感じられずにいた。
現状に我を見失った者ならば何らかの反応を見せる筈だが……。
「……止まれんのだ……」
数秒の沈黙を経て、返答があった。
それは悔恨と苦痛に満ちた、心の底にある何かを振り絞るような一言。
嫌な予感がルルーシュの脳裏を過ぎる。
「もう止まれん……二度目のし合いであろうと、私はもう止まれない。主の為、それだけの為に、私は外道へと身を堕としたのだ!
主がこの場にいる限り私はただの剣となる。ただ主に仇名す者を切り裂くだけの剣に―――私はそれだけの存在で良い!!」
予感は最悪なことに的中した。
叫びと共に剣を振り上げ、とんでもない速さでルルーシュへと突進を始める襲撃者。
二度目のし合い、主、気になるワードは幾つもあったが、それを指摘するだけの余裕はない。
止めろ、と叫ぶことすら叶わない。
ルルーシュは身に迫る危機に必死の思いで拳銃を掲げ、ろくに狙いも付けずに引き金を絞る。
幸運にも、放たれた弾丸は襲撃者の眉間めがけて飛んでいったが、襲撃者の動きは更にその上をいった。
発砲と同時に首を傾け、最小限の動きで攻撃の手を緩めることなく、弾丸を回避。
もはやルルーシュには知覚すらできない速度で、襲撃者が迫る。
思わず目を閉じ、最弱のサーヴァントにして第六次聖杯戦争の覇者が、己の死を覚悟する。
―――ザン
命を奪う音は、思っていたよりもずっと小さい音であった。
◇
少女は人々を救いたかった。
こんなし合いで誰かが死ぬなんて間違っている。
だから、行くあてもないにも関わらず、全力で走っていた。
少女は後悔していた。
救えたかもしれない人を助けられなかった。
だから、行くあてもないにも関わらず、全力で走っていた。
後悔に押されるように、願望に押されるように、少女は走る。
その末で少女が遭遇したのは、し合いの中で幾数も発生している戦闘の一つ。
少女に迷いはなかった。
少女は駆ける。
己の思いに任せて、前へ踏み出す。
私にできること。
ただそれだけを思って、少女は戦場へと躍り出た。
- 88 :
- ◇
(っ……!? 痛みが、ない……?)
斬撃の音は遠くから聞こえていた。
恐る恐る目を開けると、そこには青色に光る魔方陣のようなもので襲撃者の攻撃を防ぐ少女がいた。
物語の中ででてくるような幾何学模様の魔方陣。
魔方陣には一筋の線が走っており、完全に斬撃を防ぐにはいたらなかったようだ。
だが、それでも斬撃は確かに逸れており、ルルーシュを切り裂くには至らなかった。
その代償として傷を負ったものはいるのだが。
「…………!」
「お、おい、大丈夫か」
ルルーシュの前で魔方陣を発生させている少女。
少女の左肩からは血が滲み出ており、纏ったセーラー服を汚していた。
よくよく見てみると、ルルーシュを救出した少女は大分奇抜な恰好をしている。
セーラー服は上半身を覆うのみで、下半身は露出されており、紺色の下着が丸見えであった。
極め付けは少女の頭部から生える犬のような獣耳と、丸見えの下着から生える尻尾。
この窮地で流石にその恰好に言及するルルーシュではなかったが、僅かに思考を止めてしまったのは確かである。
その隙を、襲撃者は見逃さない。
「ハァァァアアアアア!」
裂帛の気合いと共に再度剣を構え直し、最上段から魔方陣に向けて振り下ろす。
一度傷ついた盾は、今度は斬撃を防ぐことができないだろう。
おさらくは術者たる少女ごと切り裂かれ、今度こそルルーシュにも死が訪れる。
あまりに気の抜けた自身の行動に、ルルーシュは強く強く唇を噛んだ。
が、予想されていた破壊がもたらされることはない。
「な……!?」
驚きの声は、二つの口から漏れたものであった。
ルルーシュと襲撃者。加害者と被害者との両端の立場にありながら、驚きは同様のもの。
手負いの魔方陣が、今度は易々と攻撃を防ぎ切ったのだ。
ヒビすら入らず、先程と同じものとは思えぬ堅牢さで剣を受け止めている。
攻撃は一撃目以上の力でもって振り抜かれたものであった。
襲撃者が有する全力全開。だというのに剣はまるで進まない。
火花は散らせどそれ以上の前進はなく、攻撃は完全に無力化されていた。
「くっ……!」
驚愕に顔を歪ませる襲撃者に、ルルーシュは躊躇いなく行動を映した。
隙だらけの顔面へと弾丸を一発放つ。
魔方陣に弾かれる可能性もあったが、こちらからの攻撃は通過する仕組みらしい。
音速の弾丸はギリギリのところで回避されるが、体勢は立て直せた。
また強固な防御壁を有した少女も助けに回っている。
形勢は此方が有利、とルルーシュは判断していた。
牽制の意味を込めて、拳銃を連射するルルーシュ。
弾丸が襲撃者に命中することはないが、一旦の後退を引き出すには十二分であった。
二発、三発と撃たれる弾丸に襲撃者は堪らず飛び退り、距離を開ける。
- 89 :
- 「君、助かったよ。すまないが、アイツが後退するまで防御を頼んでもいいかい?」
好青年を気取りながら、ルルーシュは促すように獣耳の少女へと指示を送る。
しかしながら、少女は何ら反応を見せない。
ジッと襲撃者を見詰めながら、ただ沈黙をもって止まっていた。
自身の負傷を気に留める様子もなく、ルルーシュの声すらも耳に届いていないようである。
「おい、大丈夫か?」
油断なく銃口を向けながら、更に声を掛けるルルーシュであったが、やはり反応はない。
ただ、意思を喪失してしまったかのように一点を見詰め、動かない。
表情を伺うルルーシュも不審を覚えずにはいられなかった。
こいつは一体どうしたのだ?
あの窮地に飛び出すだけの勇気と正義感がありながら、どうして何もせずに静止している?
事態はやはりルルーシュの予測できない次元にあった。
襲撃者も強力な防壁を前に、軽々に攻撃へと転じることができないようであった。
沈黙の中で発生した奇妙な均衡状態に、ルルーシュも襲撃者も動くことができない状況だった。
「……………い………」
そんな均衡状態の中、ルルーシュは聞いた。
身じろぎ一つせずに襲撃者を凝視していた少女が発した、小さな声。
あまりに小さい声に、ルルーシュもよく聞き取ることができなかった。
何と言ったのだと、ルルーシュが思わず聞き返しそうになったその時である。
―――余りに一方的な蹂躙が始まった。
「あ、」
「ああ、」
「あああああああああああぁぁぁあああああ!!」
勝負は一瞬であった。
数秒の間で襲撃者は倒れ、場に立つのはルルーシュと少女だけとなる。
- 90 :
- ルルーシュは少女の行動を一部始終見ていた。
何がどうなったのか理解すらできなかったし、正直に言えば眼前で起きた光景を信じることができなかった。
だが、それは紛れもない現実であり、ルルーシュを危機から救ったのも事実である。
少女は……少女はそう、襲撃者に対して―――胸を揉んだ。
もう一度言おう。
少女は、襲撃者の、胸を揉んだ。
胸を揉み、何をどうやったのか、襲撃者の意識を奪ったのだ。
その動きはまさに疾風の如く。
襲撃者も抵抗するにはしたが、その剣術の悉くを回避し、接近し、胸を揉んだ。
そう、少女は胸を揉んで、襲撃者を撃退したのだ。
「……はっ、私ってば何を……? あ、さっきの人! 大丈夫ですか、怪我は!? って、アレ? いたたたた! いつのまにか傷が……」
そして少女は、何事もなかったかのようにルルーシュに語りかけてきて、一人で盛り上がり一人で痛がっている。
ルルーシュはもはや完全に思考停止であった。
あの窮地を脱した方法が、あんなサーヴァント並みの力を有した女を撃退した方法が、胸を揉むだと?
生き延びる策を本気で考えていた自分が馬鹿らしくなる。
これは一体何なのだ。
「あ、あの……」
自嘲の笑みを浮かべるルルーシュへ、少女がおずおずと話しかけてくる。
ルルーシュは一度だけ小さく息を吐き、気を落ち着かせた。
窮地を脱したのは確固たる事実であり、またこの少女も手駒としては十分な要素を有している。
ならば選択肢は既に決まっている。
このし合いで優勝する為に、ナナリーに対して優しい世界を手に入れる為に、利用する。それだけだ。
「助かったよ。君がいなければ僕は確実にされていた。僕はルルーシュ。君は?」
「あ、わ、私は宮崎芳佳って言います。えと……大丈夫ですか? どこか痛いとかありません?」
少女―――宮崎芳佳は心配そうな瞳でルルーシュを見上げる。
その優しさのこもった瞳に対して、ルルーシュは柔和な微笑みで返した。
裏にある邪悪な感情の一切を滲ますことなく対面する。
「ああ、大丈夫だ。感謝してもしきれない。本当に助かった。ありがとう、芳佳」
「い、いえいえ、そんな。間に合って良かったです」
「謙遜することはないさ。君は俺の命の恩人だ」
「そ、そうですか……えへへ」
パァと輝くような、心底からの笑みを作る宮藤。
そんな宮藤とは裏腹の、漆黒に染まった感情を渦巻かせるルルーシュ。
世界を救うウィッチと、世界を救えなかった魔神とがここに出会った。
- 91 :
- 「さて、まずはこの襲撃者をどうするかだな」
「あれ。あの人、気絶してるんですか? もしかしてルルーシュさんが倒したんですか? スゴい!」
「……覚えていないのか? さっき君がしたこと」
「私が何かしたんですか? ルルーシュさんを助けようと盾を張ったところまでは覚えているんですけど……」
「そ、そうか。彼女を撃退したのも君なんだが……記憶にないならそれで良いんだ」
「私が!? えぇー、全然思い出せないや……。えっと、私、どうやって倒したんです?」
「いや、無理に思い出すことはないさ。君は俺を救ってくれた。それだけで充分さ」
両者は、互いに互いの本性を知らない。
宮藤芳佳は、言わずもがなルルーシュが持つ魔神『ゼロ』としての内面を。
そして、ルルーシュもまた宮藤の本性を知らない。
いや、この本性とやらは宮藤自身も自覚に乏しいところがある。
魔神―――どんな相手であろうと、そこに巨がある限り揉まずにはいられない本性。
獣とすら揶揄される、宮藤芳佳のもう一つの顔であり、ある種のアイデンティティ。
魔神と()魔神が交差する時、物語は始まる―――。
【一日目/深夜/E-1・森林】
【アサシン(ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア)@第六次聖杯戦争】
[状態]健康
[装備]ルルーシュの拳銃@第六次聖杯戦争
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:優勝し、ナナリーに優しい世界を手に入れる
1:襲撃者をどうするか決める。ここで害しておきたいが……
2:宮藤を利用する。いざとなればギアスの使用も辞さない
3:さっきの宮藤は何だったんだ……?
[備考]
※サーヴァントである為、ほんの少し身体能力が向上しています
【シグナム@パロロワMAD(アニロワ1st)】
[状態]健康、気絶中
[装備]
[道具]基本支給品一式
[思考]
基本:主・はやてを救うため、参加者を皆しにする
0:気絶中
【宮藤芳佳@ストライクウイッチーズ】
[状態]健康、獣
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考]
基本:し合いを止める。もう誰もさせない
1:ルルーシュさんと行動する
2:皆と合流したい
3:私なにをしたんだろう……?
[備考]
※ニコ動補正で獣成分がかなり強くなっています
【動画紹介】
・第六次聖杯戦争
Fateシリーズの聖杯戦争を元にしたクロスオーバーMAD。
綿密に仕組まれたストーリー展開は素晴らしいの一言。クロスオーバーが好きな人、出典キャラをを知っている人は一度見てみるのをオススメ。
- 92 :
- これにて投下終了です。
胸を揉むだけで相手を昇天させる獣姉貴は百合ヒロインの鏡(感嘆)
- 93 :
- 投下乙です。
色々あって時間ができたので凍結を解き再び投下を続けたいと思います。
DOL4th44話 儚【とおいゆめ】
登場人物:古川正人、三瀬笑子、加賀咲
- 94 :
- 『儚』
これは夢だろうか。
体が浮いているような感覚がある。
右を向いても誰もいない。
左を向いても誰もいない。
上を向いても誰もいない。
下を向いても誰もいない。
そしてこれは夢だと気づく。
誰もいない、誰も見ない、誰も知らない。
すべては自分の遠い記憶。
それでは――――ご覧に頂きましょう。
この俺――――古川正人の人生の一部を。
『夢』
「おい、面貸せよ―――南崎中学の古川」
「――――あぁ?」
面倒なことになった。
善良な市民である俺が。
ただの中学生である俺が。
受験を控えていそいそと勉強にいそしんでいる俺が。
少年をいじめていた不良4人組をボコボコにしただけの俺が。
どうしてこんな厳つい人たちに囲まれているんでしょうね。
「はぁ、面倒くせぇ…」
「何が面倒だぁ…?俺の弟をボッコボコにしてくれてよぉ?アァ!?」
「……ま、いいか」
正直言って、これ以上やるのは面倒くさい。
これで逃げてもどんどんしつこくなってくるだけだろう。
それならここでもう終わらせてしまうべきだろう。
- 95 :
- 「はぁ、で?これで終わりか?」
約5分後―――俺の目の前には馬鹿が4人倒れていた。
あんだけやりそうな風格あったのに瞬かよ。
俺自身もスゲェ吃驚してるよ。
見かけ倒しって問題じゃねぇよ、これ。
「ぐ、畜生…こいつ化物か、ぁ…」
「……ノーコメント」
手加減するつもりで行ったはずである。
逆にいえば、負けてやる気はなかったがここまでする気はなかった。
なんていうか、こういうのをかませ犬と言うんだろうな。
いや――――違うか。
「あー、怪我したなら病院行け、金は自分で払え、じゃあな」
「なっ―――待てこのやろ、い、イデデデデデデ」
何やら後ろで勢いよく立ちあがって痛めたのがいるが、気にしない。
これ以上付き合うのは面倒すぎる。
とりあえず他にあーだこーだ言ってるけど放置しよう。
「……あー、そういや由樹に卵買って来いって言われてたな…買いに行かないと」
一応俺には3つ下の妹がいたりする。
名前は由樹、俺と二人で暮らしている妹だ。
父親が過労死して、糞婆がどこかに逃げている今、俺とあいつしか家にいない。
そんなわけで、俺が学校帰りに買い物をしたりする。
◆ ◆ ◆
「ありがとうございましたー」
店員がいつものように挨拶をする。
正直言って、変哲もない日常である。
「……あ、やっべ…時間が……」
時計を見れば6時30分である。
普通に見たら晩飯が作られ始める時間である。
そろそろ街にいるのは部活帰りの人間と会社帰りの人間くらいだ。
さすがに時間的に危ないと思ったので近道をすることにした。
あまり通る道ではないけれど、別にいいだろう。
- 96 :
-
「……ん」
道の先に何か人の気配があった。
この時間になって路地裏に人がいるのはおかしい事ではない。
だが、気配が複数人なのだ。
ただ事ではない、そう思い人の気配がする方向に歩く。
歩くごとに少しづつ明るくなっていく。
すると影が数個見えた。
暗い中で目を凝らす。
そして視界がはっきりしたころには、俺は飛び込んでいた。
見えたのは数人の不良に囲まれている女の子。
それだけでも助けるには十分だった。
「うらあああああああああああああ!!」
竹刀で一人吹っ飛ばす。
すると残った二人がこっちに気付いて持ってたスタンガンと拳銃を構える。
――――拳銃?
その持っている者に俺は強烈な違和感を覚えた。
持っているのはどう見てもハンドガンだ。
普通の人間が持っていてはおかしいものである。
「ふ、へへ…怖ぇか?これは本物なんだよ…これを見たら全員驚いて逃げやがる…。
まったく愉快だよな、さっきも一人撃ったら周りの奴が逃げて行きやがった。
散々俺達に好き放題言った大人達がだぁ…滑稽だったぜ…」
何かひとりでに喋っている。
だが、喋ってる内容は笑えなかった。
こいつはすでに人を撃っている。
きっと一人だけではないのだろう、笑い方が異常だ。
そういえば、こんな話を聞いた事がある。
銃を撃つとまれに、何かの衝撃で脳に衝撃を与えて人を撃たなければ気が済まなくなる病気があると。
ショック症状ではあるが、精神障害でもある。
あいつは今普通ではない、きっと普通に俺を撃つだろう。
つまり、俺も容赦してはいけない。
- 97 :
-
「ははは、うへははっははあはっはは!!!」
パンパンパン、と乾いた音が鳴る。
銃が撃たれているのだろうが、距離と暗闇のせいで照準が合っていないらしい。
銃弾が右へ左へと放たれていく。
銃弾が放たれていく中、もう一人がこっちに走ってくる。
持っているのはロッド型スタンガンだ。
きっとまともに戦えば感電してお陀仏だ。
振られるそれを避け、わき腹に突きを与える。
相手が少しひるんだところで画面を蹴りつける。
これで二人目も倒す、そして次が一番の問題の奴だ。
いまだ撃ってきている、弾切れと言うものはないのだろうか。
「ひゃはははぎゃああがああはあああ!!!?」
相変わらず狂ったように撃ってくる。
その一発が偶然、右肩に当たる。
重い衝撃と熱さが襲ってくる。
「ひゃはははは…あ?」
銃弾が切れたのか、発砲が止まった。
急いでリロードしようとする不良に隙を与えず、顔面に蹴りを入れる。
そして、渾身の頭突きを繰り出した。
それで相手は白目を剥き、倒れていった。
結局残ったのは俺と怯えている女の子だ。
「……大丈夫か?」
「ぁ…」
「…………ショックでも受けたのか…?家どこだ、送るぞ」
「……いや」
「え?」
「帰りたくない」
それが、俺とあいつ…三瀬笑子のだった。
- 98 :
- 『未』
さて、懐かしい夢を見ていた。
去年くらいだったか、一昨年だったか。
どっちにしろ近い事に変わりはない。
あの時の俺は何がしたいのか分からなかった。
今の自分だってそうではあるが。
体を起こそうとするが何故か起き上がれない。
そして体の一部に重みがかかってる事に気付きそこを見る。
すると、その部位に手が二つあった。
笑子の物ではないとすぐに分かった。
そして、首を出来る限りひねって後ろを見る。
そこにいた人は―――――――知らない人だった。
「……誰だアンタ」
「…………」
何やら眠っているようで。
なんか顔が至福みたいな顔してるのがムカつく。
「おい、起きろってんだろ」
「…うーん、グヘヘヘ……」
なんかオッサンみたいなやつだと思った。
すると、なんか掴んでた両手を握りやがった。
…まぁ、どんな状況かは想像してくれ。
とりあえず今することは簡単だ。
「起きろやこのアマアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
とりあえず叫んでおいた。
まぁ、迫力もクソもないんだけどね。
「……んぁ、おはようー」
「おはよう、じゃないんだよ、あんた誰だよ」
「加賀咲、ピッチピチの16歳です!キャハッ!」
「うざいからやめろ、あと16歳とか嘘言うな、オッサンだろテメェ」
「テメェって、言葉づかいわるいなー、可愛い顔が台無しだよ?」
「……はぁ」
- 99 :
- 正直言ってあまり気分がいいものではない。
そう思っていると後ろから笑子が扉を開けてきた。
「あ、おはよー正人」
「ん、ああ……ってか今の時間は?」
「4時9分だけど?」
「…って、放送過ぎてんじゃん!」
「ああ、それならあたしが書いたから大丈夫よ」
「…………って、つまりさっきのは起きてたのか?数分で寝れるとかあり得ないし」
「巨アザスシタww」
「……笑子、斬って良いか?こいつ」
「いや、我慢しようよ…むやみにやっちゃ駄目でしょう?」
そう言うなら仕方ない。
そう思いながら放送の結果を見る。
死者に関しては知り合いはいない。
師匠が死ぬわけがないしな。
あとは禁止エリアだが、F-4を注意すればいいだけだ。
「……よし、じゃあ行くぞ」
「え?どこに?」
「そりゃあ…手掛かり探しに?」
「……いや、それは良いけどさ、えっと…古川さんだっけ?」
「なんだ?」
「服着ようよ」
その瞬間空気が凍った。
肌寒い感覚があったのを思い出した。
そして、最後に笑いながら走って出て行った。
とりあえず、来てた学ランを着てこよう。
そう思った。
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